JPH08170222A - ポリベンザゾール繊維の製造方法 - Google Patents
ポリベンザゾール繊維の製造方法Info
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- JPH08170222A JPH08170222A JP7251137A JP25113795A JPH08170222A JP H08170222 A JPH08170222 A JP H08170222A JP 7251137 A JP7251137 A JP 7251137A JP 25113795 A JP25113795 A JP 25113795A JP H08170222 A JPH08170222 A JP H08170222A
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Abstract
り優れた力学的特性を備えた繊維を効率よく製造するこ
とのできる方法を提供する。 【解決手段】 溶媒としてポリリン酸を用い、ポリベン
ズオキサゾール若しくはポリベンズチアゾール、または
これらのコポリマーから構成されるポリベンザゾール繊
維を製造する方法において、下記(a)および(b)の
脱溶媒処理を順次施す製造方法である。 (a)紡糸されたフィラメントを、水、または水とポリ
リン酸の混合液と接触させることによって、該フィラメ
ント中のリン原子濃度を重量で10,000 ppm以下に抑制す
る工程。 (b)該フィラメントを無機塩基溶液と接触させること
により、フィラメント中のリン酸の少なくとも50%を中
和させる工程。
Description
ル若しくはベンズチアゾールのポリマー、またはこれら
のコポリマーから構成されるポリベンザゾール繊維を製
造する方法に関するものである。
やコポリマーと酸溶媒を含むドープを紡糸口金より押出
した後、引伸ばしたり縮めたりしながら繊維状のドープ
(便宜上、ドープフィラメントと呼ぶ場合がある)と
し、次いで凝固性流体(水、または水と無機酸の混合
液)中に浸漬して凝固させ、更に水洗浴中で洗浄して大
部分の溶媒を除去した後、乾燥することによって得られ
る。この製造方法によれば、繊維束を1本のフィラメン
トに収束させることもできるが、紡糸から乾燥にわたる
任意の段階で、種々のサイズのマルチフィラメントに収
束させることも可能である。
繊維は、強度等の力学特性に優れている為、ロープ、ケ
ーブル、繊維強化プラスチック、防刃用布帛等の様々な
用途に用いることができるが、近年、更にそれらの諸特
性を高めて高性能化することが強く望まれている。
着目してなされたものであり、その目的は、光酸化によ
る劣化や、高温下における強度や分子量等の低下を改善
することによって、より優れた力学特性を備えたポリベ
ンザゾール繊維を効率よく製造することのできる方法を
提供しようとするものである。
のできた本発明は、溶媒としてポリリン酸を用い、ポリ
ベンズオキサゾール若しくはポリベンズチアゾール、ま
たはこれらのコポリマーから構成されるポリベンザゾー
ル繊維を製造する方法において、下記(a)および
(b)の脱溶媒処理を順次施すところに要旨を有するも
のである。 (a)紡糸されたフィラメントを、水、または水とポリ
リン酸の混合液と接触させることによって、該フィラメ
ント中のリン原子濃度を重量で10,000 ppm以下に抑制す
る工程。 (b)該フィラメントを無機塩基溶液と接触させること
により、フィラメント中のリン酸の少なくとも50%を中
和させる工程。
るには、ポリベンザゾール繊維中に残留する無機塩基と
ポリリン酸の化学量論比を、酸を1とした場合、塩基の
下限を0.5 以上とすることが好ましく、より好ましくは
0.75以上である。その上限として好ましいのは2 以下、
より好ましくは1.5 以下である。最も好ましい上記塩基
と酸の化学量論比は、1 :1 〜1.3 :1 である。また、
紡糸速度として好ましいのは50m/ 分以上、より好まし
くは200 m/ 分以上である。
晶性(臨界濃度点以上で液晶ドメインを形成することが
できる)のポリベンザゾール、即ちポリベンズオキサゾ
ール(PBO)若しくはポリベンゾチアゾール(PB
T)のポリマー、またはこれらのコポリマーから構成さ
れるポリベンザゾール(PBZ)を紡糸原液として使用
する。本発明で使用するPBZは、下記〜の文献に
記載されているPBO、PBT及びこれらのランダムコ
ポリマー、シーケンシャルコポリマー、ブロックコポリ
マーを包含するものである。
er Compositions, Process, Process and Products」,
U.S. Patent 4,703,103 (October 27, 1987) Wolfe らの「Liquid Crystalline Polymer Compositi
ons, Process, Process and Products」,U.S. Patent
4,533,692 (August 6, 1985) Wolfe らの「Liquid Crystalline Poly(2,6-Benzothi
azole)Compositions,Process and Products」,U.S. Pa
tent 4,533,724 (August 6,1985 ) Wolfe らの「Liquid Crystalline Polymer Compositi
ons, Process, Process and Products」,U.S. Patent
4,533,693 (August 6, 1985) Evers 「Thermoxdatively Stable Articulated p-Ben
zobisoxazole p-Benzobisthiazole Polymers」,U.S. P
atent 4,359,567 (November 16, 1982 ) Tsaiらの「Method for Making Heterocyclic Block C
opolymer Compositions, Process and Products 」,U.
S. Patent 4,578,432 (March 25, 1986) 11 Ency. Poly. Sci. & Eng., 「Polybenzothiazoles
and Polybenzoxazoles 」, 601 (J.Wiley & Sons 198
8 ) W.W. Adamsら「The Materials Science and Engineer
ing of Rigid-Rod Polymers 」(Materials Research S
ociety 1989 )
構造式1(a)に代表されるAB型単位、及び/または
下記の化学構造式1(b)に代表されるAA/BB型単
位で表すことができる。
夫々同一または異なって、ライオトロピック液晶性のP
BZの中から選択される芳香族基を表す。この芳香族基
は、炭素のみで芳香環を形成していることが好ましい
が、ピリジニレン基の様な少なくとも1個のヘテロ原子
を有するものであってもよい。また、縮合系または非縮
合系の多環式芳香族基であっても構わないが、環のうち
少なくとも一個は、6員環であることが好ましい。分子
量(大きさ)については特に限定されないが、炭素原子
数の合計は18個以下が好ましく、より好ましくは12個以
下、更により好ましくは6 個以下が推奨される。
れるAB型単位の場合、Arは1,3,4-フェニレン構造ま
たはその類似体が好ましく、一方、上記構造式1(b)
に代表されるAA/BB型単位の場合には、Arl は1,
2,4,5-フェニレン構造またはその類似体が好ましい。上
記各式中、Zは、夫々同一または異なって、酸素原子ま
たは硫黄原子を意味する。
直接結合、またはライオトロピック液晶性のPBZの中
から選択される2価の有機基を意味する。この様な2価
の有機基としては、上記芳香族基(Ar)が好ましく、
特に1,4-フェニレン構造またはその類似体が推奨され
る。
における各アゾール環中の窒素原子とZは、夫々、隣接
するAr(芳香族基)の炭素原子と結合し、5員環のア
ゾール環と芳香族基が縮合した形になっている。
B型のアゾール環は、J. Wiley & Sons の文献(11 Enc
y. Poly. Sci. & Eng., Polybenzothiazoles and Polyb
enzoxazoles ,601, 1988 )に図示されているシス型ま
たはトランス型のいずれであっても良い。
繰り返し(AB−PBZタイプ)またはAA/BB単位
の繰り返し(AA/BB−PBZタイプ)で構成される
ことが好ましく、より好ましいのは、実質的にAA/B
B−PBZタイプからなるものである。ここで、上記ポ
リマー中のアゾール環は、Zが酸素原子であるオキサゾ
ール環またはZが硫黄原子であるチアゾール環が好まし
い。
単位は、下記構造式2(a)〜2(h)で示されること
が好ましく、より好ましくは2(a)〜2(f)、更に
より好ましくは2(a)〜2(d)である。
上の繰り返し単位を有することが好ましい。より好まし
くは50以上、更により好ましくは100 以上である。この
様なPBZおよび後記するドープは、下記に示す公知の
手法によって合成することができる。
gust 6,1985 ) SybertらのU.S.Patent 4,772,678(September 20, 19
88) HarrisのU.S. Patent 4,847,350 (July 11, 1989) Gregory のU.S. Patent 5,089,591 (February 18, 1
992) Ledbetter らの「An Integrated Laboratory Process
for Preparing RigidRod Fibers from Monomers ,The
Materials Science and Engineering of Rigid-Rod Po
lymers の253-264 頁(Materials Research Society, 1
989)」
たはAB型モノマーを、非酸素雰囲気下、非酸化性且つ
脱水性の酸溶媒中にて、高剪断速度で激しく攪拌させな
がら、約120 ℃〜190 ℃の範囲をステップワイズ法また
はランプ制御法にて昇温させながら反応させることによ
って合成する。
プからなる剛直鎖の極限粘度数は、メタンスルホン酸
(25℃)の測定下にて10 dl/g 以上が好ましく、より好
ましくは15dl/g以上、更により好ましくは20dl/g以上で
ある。尚、緊張材等の補強用途に使用する場合には、極
限粘度数は25〜30dl/g以上とすることが推奨される。但
し、その上限は60dl/gを超えないことが好ましく、より
好ましくは40dl/g以下である。また、半剛直鎖のAB−
PBZの場合には、極限粘度数は5dl/g 以上が好まし
く、より好ましくは10dl/g以上、更により好ましくは15
dl/g以上である。上記PBZのポリリン酸溶液をドープ
とする。
工程による引き伸ばし、及び凝固工程によるフィラメン
トの形成を行うのに十分な濃度であることが好ましく、
より好ましくはライオトロピック液晶相を形成するのに
十分な濃度であることが推奨される。具体的には、7 重
量%(以下、特に明記しない限り、「%」は重量%を意
味するものとする)以上が好ましく、より好ましくは10
%以上、更により好ましくは14%以上である。ドープ濃
度の上限は、主に、PBZの溶解性やドープ粘度等によ
って決定されるが、実用上30%を超えることは殆どな
く、通常は20%以下である。
から押出してフィラメントとした後、紡糸口金と凝固ゾ
ーンの間の空隙で引き伸ばす。この工程は、通常エアギ
ャップと呼ばれるが、用語通り必ずしもエア(空気)を
必要とする訳ではなく、ドープを凝固させず且つ不都合
な反応が生じないものであればよく、エアの他、窒素、
空気、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等も含み得る。
紡糸方法としては、例えばUSP 5,034,250 に記載の方法
が用いられる。なお、紡糸口金には、複数の孔が設けら
れていることが好ましく、その孔数は特に限定されない
が、経済的観点から言えば、孔数をできるだけ多くする
のが良い。具体的には、紡糸口金1個当たりの孔数は10
0 〜1,000 程度であるが、それ以上であっても構わな
い。また、孔の配列の仕方は、円周状または格子状の
他、好ましい配列を適宜選択することができる。紡糸口
金は、ドープで分解され難い材質で構成されることが好
ましく、例えば、耐薬品性に優れたステンレス鋼等の金
属やセラミックス等が用いられる。
(紡糸の引取速度と紡孔中の平均流速との比)は、好ま
しくは20以上、より好ましくは40以上、更により好まし
くは50以上であり、最も好ましくは60以上である。紡孔
(紡糸口金の孔)の壁面での剪断速度(/s)は1,800
〜6,500 が好ましい。エアギャップでは、所望の太さの
PBZ繊維(以下、単に繊維と略記する)が得られるる
様、引き伸ばしを十分行う必要がある。
50m/ 分以上が好ましく、より好ましくは200 m/ 分以
上、更に好ましくは400 m/ 分以上である。或いは、80
0 m/ 分またはそれ以上の速度で紡糸することも可能で
ある。
入る。まず、工程(a)では、上記ドープフィラメント
を、水、または水とポリリン酸の混合液(洗浄液と呼ぶ
ことがある)と接触させる。これによって、ドープフィ
ラメント中のポリリン酸濃度の低下とポリマー濃度の増
大が起こり、凝固が進行する。一旦、凝固したフィラメ
ントは伸展性がほとんどなく、引き伸ばすことはできな
い。尚、この工程(a)に入る前には、ドープフィラメ
ントが流動しない低い温度まで冷却されていることが好
ましい。この凝固工程にて水洗・除去される溶媒の量
は、凝固浴中の浸漬時間、凝固液温度および凝固液濃度
に依存する。例えば、凝固液として温度23℃、20%
リン酸を用い、該液に1秒間浸漬する場合には、フィラ
メント中の70%以上の溶媒を除去することができる。
トを洗浄液と接触させることによって、フィラメント中
のリン濃度を10,000 ppm以下に減少させる必要がある。
好ましくは8,000 ppm 以下、更に好ましくは6,000 ppm
以下、最も好ましくは4,000ppm 以下である。フィラメ
ント中の乾燥後の残留リン濃度は、Kevex 770 XRF や、
Philips Electronic Instruments社製の測定装置(蛍光
X線装置)等を用い、E. P. Bertinの方法(Principles
and Practice of X-ray Spectrometric Analysis-Seco
nd Ed., Plenum Press, 1984)に準じて測定することが
できる。
せる方法としては、上記洗浄液を含む1個の洗浄装置に
1回浸漬する一段処理も可能であるが、好ましいのは、
該フィラメントを、複数の洗浄浴または洗浄ボックス
(以下、洗浄浴で代表させる場合がある)中に連続して
浸漬する多段処理である。具体的には、フィラメントを
洗浄液中に浸漬して凝固させた後、後方の洗浄浴に向か
うにつれて濃度が順次低くなる様に設定した複数の洗浄
浴からなる洗浄ラインにて連続的に水洗することが好ま
しい。最初の洗浄浴の濃度は、抽出速度の観点から40
%以下にすることが好ましい。一方、洗浄液の使用量を
極力減らすことを考慮すれば、0.2%以上のリン酸液
とすることが好ましい。この様にして、フィラメント中
のリン濃度を徐々に段階的に減少させることによって、
経済効率の高い水洗プロセスにすることができる。
するには、例えば液が飛び出さない閉塞構造からなるボ
ックス中に1個以上のローラーを設置し、該ローラーに
ネルソン掛けした糸条に対して、スプレーノズルから洗
浄液を吹き付ける等の方法が挙げられる。この様な洗浄
ボックスでは、洗浄液は洗浄ボックスの底部に集めら
れ、そこから連続的に排出される。
間は乾燥することのない様、ウエット状に保つことが好
ましい。フィラメントの表面は比較的多孔性であるの
で、この孔が通り道になり、フィラメント内部からも、
残留するリンを洗浄することができるからである。フィ
ラメントが乾燥してしまうと、その孔が閉塞し、再度湿
潤させたとしても元に戻らず、残留するリンを洗い出す
ことができなくなる。
好ましくは25℃以上である。但し、その上限は50℃を超
えないことが好ましく、より好ましくは40℃以下であ
る。力学特性が優れた繊維を製造することを目的とし
て、洗浄浴中へのフィラメント浸漬時間は、1秒間以上
が好ましく、より好ましくは5秒間以上である。また、
洗浄液としてポリリン酸を使用する場合、洗浄浴中の酸
濃度は0.5 %以上が好ましく、より好ましくは20%であ
る。但し、その上限は40%を超えないことが好ましく、
より好ましくは25%以下である。上述した連続洗浄処理
を行う場合には、実用上、浴温度を低くし且つ溶媒濃度
を高くすることが好ましく、その結果、溶媒をできるだ
けゆっくり除去することができる。
好ましくは50℃以上である。但し、その上限は120 ℃を
超えないことが好ましく、より好ましくは100 ℃以下で
ある。この洗浄液は、通常、溶液状態にて使用するが、
蒸気状態(スチーム)にて使用することも可能である。
ト中に残留するリン濃度によって決定されるが、通常、
合計して180 〜300 秒間の範囲内である。そのうち、前
記工程(a)における洗浄時間は200 秒を超えないこと
が好ましく、より好ましくは160 秒以下である。
当たっては、ライン速度を高くし且つ少ない水洗回数に
て実施することが好ましいが、良好な力学特性を備えた
繊維を得るには、できるだけゆっくりと脱溶媒する方が
好ましいと考えられている。従って、実用レベルの範囲
にて、できるだけ時間をかけて凝固・水洗することが推
奨される。
造工程上の任意の段階でマルチフィラメントに収束させ
ることができるが、収束時期として好ましいのは、上記
工程(a)の直前またはその間である。尚、本明細書に
おいて「フィラメント」とは、上記マルチフィラメント
も包含するものである。
中、張力が加わった状態にすることが好ましい。とりわ
け、フィラメントと接触する洗浄液の温度が高いとき
は、凝固から水洗に至る工程を通じて張力がかかってい
ることが好ましい。この張力の強さは、フィラメントの
収縮やポリベンザゾール分子鎖の緩和を防ぐことができ
る程度に強くすることが好ましい。
入る。本発明では、前述した如く工程(b)に入る前に
予めリン濃度が制御されたフィラメントを無機塩基溶液
と接触させる(以後、中和処理と呼ぶ)ことによって、
フィラメント中のリン酸の少なくとも50%以上を塩に変
換することが必要である。好ましくは75%以上、より好
ましくは95%以上である。繊維中に残留する酸基の割合
は、核磁気共鳴スペクトル法やフーリエ変換赤外吸収ス
ペクトル法等によって測定することができる。
も良いし、或いは中和処理の前に、複数の洗浄浴や洗浄
ボックスにて浸漬し、予め、リン濃度を好ましいレベル
まで下げてから実施することも可能である。好ましく
は、この中和処理は、1台の水洗ボックスにて実施する
ことが推奨される。上記中和処理に用いられるアルカリ
溶液として好ましいのは、水酸化ナトリウム、水酸化ア
ルミニウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等であ
る。
ましく、より好ましくは0.4 %である。また、その上限
は1.2 %以下が好ましく、より好ましくは0.8 %以下で
ある。中和処理の時間は、使用するアルカリ溶液の濃度
に依存し、低濃度の場合には、処理時間がやや長くなる
が、概して約120 秒以下とすることが好ましく、より好
ましくは60秒以下である。
よっても変動し、pHが高い場合には処理時間は短く、
pHが低い場合には処理時間が長くなる。好ましいpH
の範囲は10〜14、より好ましくは11〜12である。
る過剰な塩基は、繊維の強度を低下させるものであり、
特に、熱処理後にその傾向が顕著に見られる。従って、
繊維中に残留する酸と塩基の化学量論比によって、アル
カリ溶液の濃度、中和処理の時間および中和処理後に残
留する余剰アルカリ溶液の水洗条件が適宜決定される。
上記塩基と酸の化学量論比は、酸を1とした場合、塩基
を0.5 以上にすることが好ましく、より好ましくは0.75
以上である。また、その上限については2 以下が好まし
く、より好ましくは1.5 以下である。繊維中に残留する
酸と塩基の最も好ましい化学量論比は1 :1 〜1.3 :1
であり、ポリリン酸の分解後の状態も含めて、全ての酸
基が中和されていることが推奨される。繊維中の酸と塩
基の化学量論比を測定するには、例えば中和後の繊維中
のリンと共役酸の比を測定する方法の他、アルカリ溶液
としてNaOHを使用する場合には繊維中のP:Naの
比を中性子活性化分析法等によって確認することができ
る。
溶液を洗浄するのであるが、少なくとも1秒間以上水洗
することにより、その大部分を洗浄することが好まし
い。この水洗時間は、繊維束または繊維中に含まれるア
ルカリ量に依存し、残留するアルカリ量が多くなればな
る程、水洗時間も長くする必要がある。
取っても良いし、或いは熱処理を行なってから巻取るこ
ともできる。その方法としては、例えばU.S. Patent 5,
296,185 に記載の方法を適用することができる。
理することが好ましいが、バッチ処理で実施することも
可能である。この様にして得られたPBZを含むマルチ
フィラメントヤーンは、ロープ、ケーブル、繊維強化プ
ラスチック、防刃用布帛等に好適に利用することができ
る。
だし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前
・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全
て本発明の技術範囲に包含される。尚、特に明記しない
限り、「%」は重量%を意味する。
定)のシス−PBZを14%溶解したポリリン酸(Eastma
n Kodak Company 製の「PPA」)溶液を、165 ℃に保
たれた紡糸口金(42ホール,孔径0.18mm)より押出して
フィラメントとした後、凝固浴中に浸漬してマルチフィ
ラメントヤーンとした。その際、紡糸口金と凝固浴表面
との間をガラスチューブで覆い、これらの間で気流が発
生するのを抑制した。紡糸口金壁面の剪断速度は約3,50
0/秒であり、スピンドロー比約40にて紡糸速度200 m/
分で巻取った。この様にして巻取ったフィラメントの単
糸デニールは1.5dpf(denier/filament )であり、その
直径は11.5μmであった。
水溶液を含む洗浄浴中に浸漬し凝固させた。洗浄浴中へ
の浸漬時間は約0.5 秒、該洗浄浴温度は約10℃であっ
た。次に、凝固した繊維をオフラインで水洗(液温23
℃)するが、実施例では、水,0.05%の苛性ソーダ水溶
液,水の3段階で順次水洗・中和・水洗するのに対し、
比較例では水のみで水洗した。但し、いずれもトータル
の水洗時間は同である。
を、窒素雰囲気下にて常温で48時間乾燥し、乾燥後の試
料とした。また、乾燥後の試料の一部を用い、窒素充満
下にて600 ℃に調整した電気炉の中を2秒間かけて通過
させることにより、熱処理後の試料を得た。尚、熱処理
の際には、3.5g/dの一定張力がかかるようにした。
に固めて蛍光X線測定装置(フィリップスPW1404/DY68
5)を用いて測定し、Na濃度は中性子活性化分析法で
測定した。また、繊維の引張試験、強度保持率(Tensil
e Strength Retention:TSR)および極限粘度数につ
いては、熱処理の前後にて下記の要領にて測定した。繊
維の引張試験は、ASTM-D-885M に準拠して行った。
張強度に対する該照射後の引張強度の比を百分率(%)
で表した。具体的には、「Atlas Model Ci65A 」のウェ
ザーオーメーターを用い、765 ワット/mm2、300 〜800
nmの波長域にて100 時間照射を施した。引張強度の測定
は、Instron 4201万能試験機を用いるASTM D-2101 法に
準じて行った。即ち、10ポンドのロードセルを用い、糸
長10インチ、クロスヘッド速度1 インチ/ 分にて42フィ
ラメントのヤーンを撚り係数6 で測定した。試験は、1
個の試料につき10回繰り返し行い、その平均値を算出し
た。極限粘度数はメタンスルホン酸に溶解した後23℃で
測定した。この様にして得られた結果を表1に示す。
は、同一の紡糸した巻取りパッケージを試料として用い
たものである。また、表中の「A−S」(As-Spun )と
は乾燥後の試料を、「H−T」(Heat-Treated)とは熱
処理後の試料を夫々表す。
よる中和処理を施してフィラメント中のリン酸の少なく
とも50%以上を中和することにより、熱処理による強度
保持率および極限粘度数の低下を極力抑えることができ
ると共に、耐候性の大幅な向上が認められた。
ィラメントからなる試料を得た。次いで凝固(1秒)、
水洗(10分)処理した後、引き続き表2に記載のアルカ
リ溶液中に10分間浸漬した。尚、実施例7では中和処理
に引き続き、常温で24時間の水洗処理を行った。各実施
例において、乾燥後と熱処理後の各試料を用い、実施例
1と同様にして、強度、極限粘度数、繊維中の残留P濃
度およびNa濃度を測定すると共に、ASTM-D-885M に準
拠して弾性率を測定した。
におけるg/d 単位ではなく、GPa 単位にて表した。g/d
からGPa への換算は、下記の様にして行った。 1(g/d )=[密度]×0.0883(Gpa ) 尚、密度は、A−Sの場合には1.54g/cm3 、H−Tの場
合には1.56g/cm3 を夫々用いた。その結果を表2および
表3に示す。
如く中和処理後に更に水洗し、中和処理前のリン濃度を
できるだけ少なくすることによって、繊維中に残留する
リン濃度を大幅に減少させることができ、その結果、熱
処理による強度の低下を格段に抑えることができる。
こと以外は実施例1と同様の紡糸条件にて、単糸デニー
ル1.5dpfの紡糸を行った。次いで、各試料を、表4に示
すリン濃度になるまで十分水洗した後、実施例9〜12
では、0.1 Nの苛性ソーダ液に約5分間浸漬した。比較
例6〜8では、この中和処理を行わなかった。その後、
窒素雰囲気下にて常温で乾燥し、乾燥後の試料を得た。
更に、その試料の一部を545 ℃の水蒸気雰囲気中にて張
力5.5 g/dで熱処理し、熱処理後の試料を得た。これら
の試料について、実施例6と同様にして強度、弾性率お
よび極限粘度数を測定した。その結果を表4に併記す
る。
ることによって、初期強度の改善のみならず、熱処理時
の耐加水分解性も改善され、熱処理後においても、優れ
た強度や極限粘度数が得られることが分かる。
孔数166 、孔径0.18mmのノズルからPBOドープ(濃度
14%)を押出した後、該ノズルから23mm下方の無風帯
(保温筒長23 mm )に設けられたクエンチ(長さ200mm
,温度70℃,風速0.50 m/s)中にて均一に冷却を行っ
た。次いで、ノズルから450 mm下方に設けられた洗浄浴
に浸漬し、水洗処理を2回に分けて行った(第1水洗お
よび第2水洗)後、実施例13〜16では、約0.04%、
0.44%、0.8 %および1.2 %の中和槽にて約20秒間水洗
し(第3水洗)、引き続き水で20秒間水洗した(第4水
洗)。この間、張力を約2.6g/dに保った。この様にして
巻取られた試料を、更に水中で静置して十分水洗した
後、窒素雰囲気下、25℃にて乾燥した。尚、熱処理後の
試料については、上記の水洗工程を経た繊維を、直接巻
取らずに加熱ロール上で乾燥した後に巻取り、実施例9
〜12と同様に熱処理した。また、比較例9について
は、第3水洗にて中和処理を行わないこと以外は実施例
13〜16と同様に処理した。比較例10は、第2水洗
を行わずにリン酸で約20秒間処理したこと以外は比較例
9と同様に処理した。この様にして得られた各試料につ
いて、繊維中に残留するリンとナトリウムの量(表中、
P濃度およびNa濃度)およびNa/Pのモル比、並び
に極限粘度数(IVf )を実施例1と同様にして測定する
と共に、弾性率および強度については、実施例6と同様
にして測定した。更に、ASTM-D-885M に準じて伸度を測
定した。得られた結果を表6に示す。
ができる。実施例13〜16は、中和処理に用いたアル
カリ溶液の濃度を順次高くした例であるが、いずれも中
和処理後に水洗処理を行っているので、所望のレベルに
まで、リン濃度を低減することができ、得られる繊維の
諸特性も非常に良好である。これに対して、中和処理を
行わない比較例9は、熱処理後の力学特性が非常に悪く
なる。また、比較例10は、中和処理前のリン濃度が1
0,000ppm を超える例であり、その結果、繊維の力学特
性が非常に悪くなる。
たものであり、その処理方法は、表7に示す通りであ
る。即ち、孔数166 、孔径0.20 mm のノズルからPBO
ドープ(14%)を押出した後、該ノズルから35 mm 下方
の無風帯(保温筒長590mm )に設けられたクエンチ(長
さ400mm )中にて均一に冷却を行った。次に、ノズルか
ら590 mm下方に設けられた洗浄浴中に浸漬し、水洗を3
回に分けて行った(第1水洗、第2水洗および第3水
洗)。引き続き中和処理(第4水洗)を行った後、更に
水洗(第5水洗)し、220 ℃の加熱オーブン中にてロー
ラーに3 分間(実施例18では4 分間)通して巻取っ
た。尚、乾燥ローラーの出口における繊維の水分率は約
1.5 %であった。
するリンとナトリウムの量(表中、P濃度およびNa濃
度)およびNa/Pのモル比、並びに極限粘度数(IVf
)を実施例1と同様にして測定すると共に、実施例1
3と同様にして弾性率、強度および伸度を測定した。そ
の結果を表8に示す。
如く紡糸速度を600 m/ 分まで高めても、オンラインで
の中和処理が可能であり、熱処理後の強度は良好であっ
た。
で、熱処理による強度や極限粘度数等の低下を極力抑え
ることができると共に、耐加水分解性や耐候性等を著し
く向上することができる。その結果、従来に比べて、よ
り優れた力学特性を有するポリベンザゾール繊維を効率
よく製造できることができた。
Claims (4)
- 【請求項1】 溶媒としてポリリン酸を用い、ポリベン
ズオキサゾール若しくはポリベンズチアゾール、または
これらのコポリマーから構成されるポリベンザゾール繊
維を製造する方法において、下記(a)および(b)の
脱溶媒処理を順次施すことを特徴とするポリベンザゾー
ル繊維の製造方法。 (a)紡糸されたフィラメントを、水、または水とポリ
リン酸の混合液と接触させることによって、該フィラメ
ント中のリン原子濃度を重量で10,000 ppm以下に抑制す
る工程。 (b)該フィラメントを無機塩基溶液と接触させること
により、フィラメント中のリン酸の少なくとも50%を中
和させる工程。 - 【請求項2】 ポリベンザゾール繊維中に残留する無機
塩基とポリリン酸の化学量論比が0.5 以上:1 である請
求項1に記載の製造方法。 - 【請求項3】 紡糸速度が50m/ 分以上である請求項1
または2に記載の製造方法。 - 【請求項4】 紡糸速度が200 m/ 分以上である請求項
3に記載の製造方法。
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