JPH08159145A - ボールジョイントの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 球状の球頭部５と球頭部から延びる柄部３と
を有するボールスタッド２と、球頭部を揺動回動自在に
保持するベアリング８と、ベアリングを内包し、かつ開
口からボールスタッドの柄部を突出させる略円筒状のハ
ウジング９と、ボールスタッドの柄部外周面に装着され
るブーツ１２とを備えたボールジョイントの製造方法に
おいて、ハウジングに電着塗装を行なった後、ブーツの
一端をハウジングの内周に装着し、他端をボールスタッ
ドの柄部外周面に装着した後、ハウジングの端部１０を
かしめる。 【効果】 ハウジングの端部付近に電着塗装が施されて
いてかしめ加工の時に塗料が剥離しても、ボールジョイ
ントの内部に塗料の剥離片が侵入することはないので、
ボールジョイントの耐久性が低下するということがな
い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車の懸架装置及び
操舵装置等に使用されるボールジョイントに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車の懸架装置及び操舵装置等
に使用されるボールジョイントは、図４に示す如き構成
のものがある。このボールジョイントは、両軸タイプの
ボールジョイント１０１である。１０２はボールスタッ
ドで、球状の球頭部１０５とその球頭部１０５から同軸
に突出する２本の柄部１０３，１０３からなり、このボ
ールスタッド１０２は中空形状である。また、ボールス
タッド１０２の球頭部１０５の外周側には一対のベアリ
ング１０８，１０８が配設される。このベアリング１０
８，１０８はボールスタッド１０２の球頭部１０５の外
周面と略同一曲率の内球面１１５を有し、球頭部１０５
を揺動回動自在に包持する。ベアリング１０８，１０８
の外周側には、略円筒状で金属製のハウジング１０９が
配設されており、ハウジング１０９の一端端部１１０の
内周側には断面略Ｌ字状の抜け止めリング１０６が嵌装
され、ハウジング１０９の一端端部１１０のかしめ加工
により固定されている。また、略円筒形のブーツ１１
２，１１２が、抜け止めリング１０６の一端端部外周と
ボールスタッド１０２の一方柄部１０３の外周との間、
及びハウジング１０９の他端端部外周とボールスタッド
１０２の他方柄部１０３の外周との間に夫々装着されて
いる。

【０００３】次に、上記ボールジョイント１０１の製造
方法を説明する。まず一対のベアリング１０８，１０８
にボールスタッド１０２の球頭部１０５を嵌装し、つい
でベアリング１０８，１０８に囲▲ぎょう▼されたボー
ルスタッド１０２の球頭部１０５をハウジング１０９の
開口１１１から嵌合する。続いて抜け止めリング１０６
をハウジング１０９の一端端部１１０の内周側に挿嵌
し、ハウジング１０９の一端端部１１０を内周側にかし
め、最後にブーツ１１２，１１２を抜け止めリング１０
６の一端端部外周とボールスタッド１０２の一方柄部１
０３の外周との間とハウジング１０９の他端端部外周と
ボールスタッド１０２の他方柄部１０３の外周との間に
各々装着して、ボールジョイント１０１の製造が完了す
る。

【０００４】このようなボールジョイント１０１のハウ
ジング１０９には、防錆のための電着塗装が施されてい
る。この電着塗装は、容器内の電着塗料の中にハウジン
グ１０９を浸漬し、電着塗料に弱電流を流して電着塗料
をハウジング１０９に塗着させる塗装方法である。

【０００５】しかし、電着塗装を施されたハウジング１
０９は端部１１０をかしめる際に塗料が剥離されるた
め、塗料の剥離片がボールジョイント１０１の内部に侵
入してしまうということが発生する。そしてボールジョ
イント１０１の内部、つまりベアリング１０８とボール
スタッド１０２の間に侵入した塗料の剥離片は、ボール
スタッド１０２が揺動回動する際にベアリング１０８の
内周を削ってしまうため、ボールジョイント１０１の耐
久性が低下していた。よって塗料の剥離片がボールジョ
イント１０１の内部に侵入するのを防ぐために、ハウジ
ング１０９の端部１１０付近に塗装が施されないように
することが行われていた。つまり、図５に示す如く、ハ
ウジング１０９の端部１１０付近に専用カバー１６１を
被装することが行なわれた。これにより専用カバー１６
１により被装された部分には電着塗装を行なう際に塗料
が塗着しないので、ハウジング１０９の端部１１０付近
には塗装が施されず、ハウジング１０９の端部１１０を
かしめる時に塗料が剥離してしまうということがなかっ
た。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし上述の如く、専
用カバー１６１でハウジング１０９の端部１１０を被装
すると、その作業に時間がかかり工数が増加するという
ことがあった。また専用カバー１６１を使用するため費
用が高くなるということがあった。

【０００７】従って本発明は上述の如き課題を解決し、
被装のための工数増加及び費用の増加を抑制し、更にハ
ウジング端部のかしめ時に塗料の剥離片がボールジョイ
ントの内部に侵入しないボールジョイントの製造方法を
提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は以下の構成であ
る。

【０００９】球状の球頭部と球頭部から延びる柄部とを
有するボールスタッドと、球頭部を揺動回動自在に保持
するベアリングと、ベアリングを内包し、かつ開口から
ボールスタッドの柄部を突出させる略円筒状のハウジン
グと、ボールスタッドの柄部外周面に装着されるブーツ
とを備えたボールジョイントの製造方法において、ハウ
ジングに電着塗装を行なった後、ブーツの一端をハウジ
ングの内周に装着し、他端をボールスタッドの柄部外周
面に装着した後、ハウジングの端部をかしめる。

【００１０】

【実施例】以下本発明の実施例を図１乃至図３に基づい
て説明する。

【００１１】図１は本発明の実施例による両軸タイプの
ボールジョイント１を表す。２は球状の球頭部５とその
球頭部５から同軸に突出する２本の柄部３，３を有する
中空形状で金属製のボールスタッドを表す。

【００１２】８は合成樹脂製で円筒状のベアリングで、
ボールスタッド２の球頭部５の外周側に配設されてい
る。ベアリング８はボールスタッド２の柄部３，３を突
出させるための開口を両端に備えており、内側にボール
スタッド２の球頭部５と略同一曲率の内球面１５を有す
ると共にボールスタッド２の球頭部５を揺動回動自在に
保持する。９は略円筒状で両端に開口１１，１１を有す
るハウジングで、一端端部１０の内周側には略円筒状で
内側に延びるフランジ形状を有する抜け止めリング６が
固定され、ベアリング８の軸線方向への移動が規制され
ている。１２はゴム弾性体製の略円筒状のブーツで、両
端が開口され、大開口部１７に断面Ｌ字で金属製の環状
のカラー１３が埋設されている。このブーツ１２，１２
は抜け止めリング６の内周７とボールスタッド２の一方
柄部３の外周との間と、ハウジング９の一端端部１６内
周とボールスタッド２の他方柄部３の外周との間に夫々
配設されている。

【００１３】次にボールジョイント１の製造方法を説明
する。

【００１４】予めボールジョイント１のハウジング９に
は、防錆のための電着塗装が施されている。この電着塗
装は、図２に示す如く、容器内の電着塗料の中にハウジ
ング９を浸漬し、電着塗料に弱電流を流して電着塗料を
ハウジング９に塗着させる塗装方法である。

【００１５】そして、まず図３左半部に示す如く、ベア
リング８にボールスタッド２を嵌装し、続いて電着塗装
により電着塗料が塗布されたハウジング９の開口１１か
ら、ボールスタッド２の球頭部５を囲▲ぎょう▼するベ
アリング８を嵌挿する。続いて金属製の抜け止めリング
６をハウジング９の端部１０の内周側に嵌挿する。

【００１６】次に図３右半部に示す如く、カラー１３，
１３が埋設されたブーツ１２，１２をハウジング９の一
端端部１０内周側に配設された抜け止めリング６の内周
側とボールスタッド２の一方柄部３の外周との間と、ハ
ウジング９の他端端部１６内周側とボールスタッド２の
他方柄部３の外周との間とに夫々装着する。

【００１７】最後に図１に示す如く、ハウジング９の端
部１０を内側にかしめてボールジョイント１の製造が完
了する。

【００１８】従って上述の如きボールジョイントの製造
方法によれば、ハウジング９の端部１０のかしめ加工を
行なう前にブーツ１２を装着するため、ハウジング９の
端部１０付近に電着塗装が施されていてかしめ加工の時
に塗料が剥離しても、ボールジョイント１の内部に塗料
の剥離片が侵入することはない。

【００１９】なお、上記実施例では両軸タイプのボール
ジョイントを実施例として説明したが、片軸タイプのボ
ールジョイントに使用しても良い。

【００２０】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、球状の球
頭部と球頭部から延びる柄部とを有するボールスタッド
と、球頭部を揺動回動自在に保持するベアリングと、ベ
アリングを内包し、かつ開口からボールスタッドの柄部
を突出させる略円筒状のハウジングと、ボールスタッド
の柄部外周面に装着されるブーツとを備えたボールジョ
イントの製造方法において、ハウジングに電着塗装を行
なった後、ブーツの一端をハウジングの内周に装着し、
他端をボールスタッドの柄部外周面に装着した後、ハウ
ジングの端部をかしめるため、ハウジングの端部付近に
電着塗装が施されていてかしめ加工の時に塗料が剥離し
ても、ボールジョイントの内部に塗料の剥離片が侵入す
ることはないので、ボールジョイントの耐久性が低下す
るということがない。また電着塗装時に被装を必要とし
ないので、加工工数を抑制することができ、専用カバー
も不要となるのでコストを抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例によるボールジョイントを表す
断面平面図である。

【図２】本発明の実施例による電着塗装工程を表す断面
平面図である。

【図３】本発明の実施例によるボールジョイントを表す
断面平面図で、左半部はブーツ装着前、右半部はブーツ
装着後の状態を表す。

【図４】従来のボールジョイントを表す断面平面図であ
る。

【図５】従来の電着塗装工程における被装の状態を表す
断面平面図である。

【符号の説明】

２ ボールスタッド ３ 柄 部 ５ 球頭部 ８ ベアリング ９ ハウジング １０ 端 部 １１ 開 口 １２ ブーツ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 球状の球頭部（５）と該球頭部（５）か
   ら延びる柄部（３）とを有するボールスタッド（２）
   と、前記球頭部（５）を揺動回動自在に保持するベアリ
   ング（８）と、該ベアリング（８）を内包し、かつ開口
   （１１）から前記ボールスタッド（２）の柄部（３）を
   突出させる略円筒状のハウジング（９）と、前記ボール
   スタッド（２）の柄部外周面に装着されるブーツ（１
   ２）とを備えたボールジョイントの製造方法において、
   前記ハウジング（９）に電着塗装を行なった後、ブーツ
   （１２）の一端を前記ハウジング（９）の内周に装着
   し、他端を前記ボールスタッド（２）の柄部外周面に装
   着した後、前記ハウジング（９）の端部（１０）をかし
   めることを特徴とするボールジョイントの製造方法。