JPH08157927A - 製鋼用ランス - Google Patents

製鋼用ランス

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JPH08157927A
JPH08157927A JP32967394A JP32967394A JPH08157927A JP H08157927 A JPH08157927 A JP H08157927A JP 32967394 A JP32967394 A JP 32967394A JP 32967394 A JP32967394 A JP 32967394A JP H08157927 A JPH08157927 A JP H08157927A
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lance
water
passage
pipe
cooling
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JP32967394A
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Koichi Miwa
幸一 三輪
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Kawasaki Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吹錬用ノズルの付近を効果的に冷却できるよ
うにして所要冷却水量を少なくし、併せて通水路の構成
を簡単化することによって、酸素通路等として使用でき
る内部の断面積を広くとり得る製鋼用ランスを提供す
る。 【構成】 外側にある二重の管11・12および仕切り
壁11A・12Aによって囲まれる空間を通水路10と
する。その通水路10のうちに、ランス1の基端側から
延びて先端側の吹錬用ノズル31の付近に開口する冷却
水の送り管20を複数配置する。通水路10の内側は、
吹錬用ノズル31に通じる酸素の通路30とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、転炉等において酸素吹
錬により鋼を得るための製鋼用ランスに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】上吹き転炉(LD転炉)によって鋼を得
る過程では、図3のように、転炉2内に装入された溶銑
2A中にランス(製鋼用ランス)1にて高圧の酸素(純
酸素)が吹き込まれる。酸素を吹き込む(すなわち吹錬
をする)と不純物が燃焼して除去され、溶銑が良質の鋼
(溶鋼)に精錬されるからである。
【0003】ランスは、その本体が転炉の上方から内部
にまで届く長さをもち、酸素の通路を内部に備えるとと
もに下方端部に1〜5個程度の吹錬用ノズルを有してい
る。また、高温の炉内に入ることから水冷構造になって
いて外側に通水路を備え、とくに先端部には、十分な冷
却効果が得られるように熱伝導率の高い銅(または銅合
金)製のピース(ランスチップ)が使用されている。
【0004】図4に、従来の典型的な製鋼用ランス1’
について先端部付近の断面形状を示す。上方の基端部
(図示省略)から延びる鋼管部分1A’の下方に、吹錬
用ノズル31’を有する銅製のランスチップ1B’が接
続されている。鋼管部分1A’とランスチップ1B’の
上部は三重の管11’・12’・13’が同心状に重ね
られてなり、ランスチップ1B’の先端付近では、それ
らの管のそれぞれに仕切り壁11A’・12A’・13
A’がつなげられている。中心部の空間は、吹錬用ノズ
ル31’から出す吹錬のための酸素の通路30’である
が、三重管となった三組の管および仕切り壁の間は、冷
却のための通水路10’となっている。つまり外側から
数えて2番目の管13’等と3番目の管12’等の間が
冷却水の往きの通路で、1番目の管11’等と2番目の
管13’等の間が冷却水の戻りの通路である。
【0005】酸素の通路や通水路を図4のように三重管
によって構成した製鋼用ランスは、特開昭61−159
11号公報などに記載されている。ただし、当該公報の
ランスは、場所や数・大きさを選んだ特定の冷却水導入
口をランスチップ内に設けることにより、吹錬用ノズル
(酸素ノズル)まわりの冷却を強化せんとするものであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図4のような三重管形
式の製鋼用ランスは、外径に比べて中心部の空間(酸素
通路30’)の内径が小さいため、酸素の最大流量につ
いて制約があるほか、冶金操業上の自由度が低いという
不都合がある。ランスには近年、単に吹錬用の酸素を吹
き出すだけではなく二次燃焼用の酸素を側方から吹き出
させたり、生石灰など添加剤としてのパウダーのインジ
ェクションを行わせたりすることもあり、それらの通路
をも含めるとランスを四〜五重管にせざるを得ないこと
も考えられる。ところが、従来のように中心部の空間が
狭いと、酸素の流量を犠牲にしないでそれらガスや粉粒
体等の通路を設けることは難しく、技術開発の成果であ
る多様な形態の冶金操業を自由には実施できない恐れが
ある。
【0007】三重管形式のランスにおいて酸素通路が狭
いのは、通水路として上述のとおり往きと戻りに内外の
二層を使い、それぞれの層に一定以上の広さ(断面積)
をもたせるからである。つまり、ランスの外径と酸素通
路の部分との間に、一定の強度をもたらすだけの厚みの
ある三つの管と、十分な量の冷却水を流せるだけの隙間
をもつ二層の通水路が存在することから、それらの分だ
けランスの外径に比べて酸素通路の径が小さいのであ
る。三つの管として標準サイズの鋼管が一般的に使用さ
れることも、当該通路の径が小さくなる一因である。
【0008】通水路を往きと戻りの内外二層に分けたう
えそれぞれの隙間を広くとるのは、ランスチップの先端
部分、すなわちランスのうちで最も熱負荷が高くなる吹
錬用ノズルの付近を、多量の水で確実に冷却したいがた
めである。当該部分は形状が単純ではないため局部的に
流れのよどむ箇所が生じがちで、流量を増やしてその付
近の平均流速を高めておかないと冷却の不十分な箇所が
できる可能性があるのである。また同じ目的で、冷却水
としては、常温に近い低温度のものが使用されている。
【0009】前掲の公報(特開昭61−15911号)
に記載のランスも、冷却水の局部的なよどみを無くすべ
く随所に冷却水導入口を形成するものであるが、かかる
手段によって冷却効果の改善を図る場合には、別の新た
な課題も生じてくる。すなわち、それら導入口を追加す
ることによってランスチップの形状がますます複雑化
し、鋳造等により同チップを製造することが極めて困難
になってしまう。また、所要流量が低減すれば多少は各
通水路の隙間を小さくできる可能性があるが、三重管に
て通水路等を形成している以上、中心部の酸素通路の拡
大については多くを期待することができない。
【0010】本発明の目的は、ランスチップの先端付近
の冷却を効果的に行えるようにして冷却水の所要水量を
少なくし、併せて通水路の構成を簡単化することによっ
て、酸素通路その他として使用できる内部の断面積を広
くとり得る製鋼用ランスを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の製鋼用ランス
は、複数の管とそれらにつながる仕切り壁とがそれぞれ
内外に重ねられて構成され、先端の吹錬用ノズルに通じ
た酸素の通路とともに冷却のための通水路を備え、その
点では従来と同様だが、新たにつぎのように構成したも
のである。
【0012】a) 最も外側の二重の管および仕切り壁に
て囲まれる空間を通水路とする。すなわち、従来のよう
に三重管ではなく二重管によって通水路を形成する。な
お、上記で「最も外側の二重の」と表現したが、通水路
よりも内側に酸素通路を一つのみ備えて他の管や通路
(二次燃焼用酸素やパウダー用のもの等)を何ら有しな
いランスにおいては、最も外側とはいえ他に管や仕切り
壁は存在しない。
【0013】b) 上記の通水路のうちに、ランスの基端
側から延びて先端側の吹錬用ノズルの付近(つまりラン
スチップの先端部分の内部)に開口する冷却水の送り管
を複数配置する。つまりこの送り管の内部を冷却水の往
きの通路とし、通水路のうち送り管以外の部分をその冷
却水の戻りの通路とする。
【0014】この製鋼用ランスについてはさらに、請求
項2に記載したとおり、 c) 上記の送り管(その全数または一部数について)の
開口を、吹錬用ノズル付近の仕切り壁(ノズル部分の壁
を含む)に向けた水噴出ノズルとする−のがよい。
【0015】あるいは請求項3のように、 d) 送り管のうち上記の開口の付近(つまり先端付近)
を金属製のチューブ(たとえば銅管)とし、基端側の部
分(つまり開口から離れた部分)を樹脂製のチューブ
(たとえばテフロンチューブ)とする−のもよい。
【0016】
【作用】本発明の製鋼用ランスでは、冷却のための通水
路が上記a)のように二重管によって形成されているにも
かかわらず、吹錬用ノズルの付近を含めて必要な部分の
冷却が十分に行われる。それは、二重管であるために通
水路そのものは一層しかないが、その通水路のうちにb)
のとおり冷却水の送り管を配置しているからである。仮
に、二重管で形成された通水路内に単に基端側から冷却
水を送るのであれば、通水路内に水が満ちたのちは、い
かに圧力をかけてもその通水路の先にある吹錬用ノズル
の付近に円滑な水の流れをつくるのは難しく、水がよど
んでその付近の冷却は不十分になる。しかし上記のよう
に送り管を設ければ、そのような吹錬用ノズルの付近に
も冷却水はスムーズに流れ、十分な冷却作用を果たす。
つまり、ランスの基端側からこの送り管の内部へ冷却水
を送ると、それが開口する吹錬用ノズルの付近にまで冷
却水は一方向に確実に送られ、その開口より出て同ノズ
ル付近の仕切り壁の内面上を流れたうえ、今度はその付
近の圧力に押されるように、通水路内の上記送り管以外
の部分を通って基端側へ戻されるのである。結局、二重
管で構成した一層の通水路であっても、そのうちに送り
管を配置することにより、往きの通路(送り管の内部)
と戻りの通路(送り管の外部)の両方を形成しているこ
とになる。
【0017】通水路が二重管にて形成されるので、その
ことのみからも、三重管によってなる従来のランスより
も製造が容易で低コストであり、また軽量であるといっ
た利点を有するが、本発明のランスによる利点はそれだ
けにはとどまらない。すなわち、通水路が占める厚み
(ランスの径方向への寸法)を小さくすることができる
ため、ランスの外径が同じであっても酸素通路等として
使用できる内側の部分に広い断面積がとれるのである。
そうすると、多量の酸素を送るのに好適であるほか、そ
の内側の部分に吹錬用酸素以外のガスや粉粒体等の通路
を設けることも可能になり、前述したように多様な冶金
操業ができることになる。
【0018】このランスにおいて通水路の厚みを小さく
できるのは、つぎの理由による。
【0019】イ) 前記a)のように通水路が二重管で形成
されるため、三重管とされる従来のものよりも構成が簡
単で、少なくとも管のほぼ一重分の厚さだけは通水路全
体の厚みを小さくできる。つまり、仮に冷却水の往き
(送り管の内側)・戻り(送り管の外側)の各通路の断
面積(各合計断面積)を従来の三重管の場合の各通路の
断面積と等しくするとしても、中間の厚い管(図4にお
ける符号13’)をなくせる分だけ通水路全体の厚み寸
法は小さくなる。三重管におけるその中間の管とは違っ
て冷却水の送り管は、吹錬用ノズルの付近に先端の開口
の位置が固定されておれば途中の部分が多少の変形・位
置ずれ等を起こしても差し支えないほか、それぞれの直
径が小さいので内外の圧力差に耐えやすい−といった
事情から、かなり薄肉の管によって構成され得るからで
もある。
【0020】ロ) 前記b)の送り管の開口を適切に配置す
れば、冷却水の全体的な流量は少なくても、熱負荷の高
い部分や流れのよどみがちな部分などへ効率的に冷却水
を送る等によって必要な冷却を実現することができる。
こうして効果的な冷却を行うと冷却水のトータルの流量
を減らすことができ、したがって、通水路の断面積すな
わち通水路が占める厚みを小さくすることも可能にな
る。冷却効果の高い効率的な通水態様としてはたとえ
ば、複数の送り管の先を吹錬用ノズルの回りにおいてそ
の周方向へ向けて配置し、各吹錬用ノズル回りとその周
辺に強い回転流を形成したり、または前記のc)(請求項
2)に従いノズルを仕切り壁に向けて衝突噴流を形成し
たりするものが考えられる。なお、このように効果的に
冷却が行えることから、冷却水の温度が多少(当該圧力
において沸騰しない程度に)高くてもそれを冷却媒体と
して使用できるようになり、製鉄所内の他の装置を経由
した温排水をこの製鋼用ランスに通すことも可能にな
る。
【0021】請求項2の製鋼用ランスの場合は、上記の
ロ)に述べた冷却が、強く効果的に実現される。前記c)の
手段によると、送り管の開口に設けた水噴出ノズルから
吹錬用ノズル付近の仕切り壁に向けて冷却水の噴流が衝
突するからである。一般に、壁面に対して直角もしくは
それに近い角度で流体をぶつけると、壁面と平行に流体
を流す場合よりも局部的に高い熱伝達がもたらされる。
したがって、そのような衝突噴流を、ランスの先端付近
にあって最も熱負荷が高く、しかも形状が複雑であるが
ゆえに冷却水の流れがよどみがちな吹錬用ノズル付近の
仕切り壁に対して形成することにより、冷却水の全流量
を減らしても必要部分の効果的な冷却が果たせるように
なる。冷却効果を高めて冷却水の流量を減らせると、や
はり上述のように通水路の断面積を小さくすることがで
きる。
【0022】請求項3にしたがって構成した製鋼用ラン
スは、さらに経済的なメリットもある。通水路のうちに
複数配置する冷却水の送り管について、開口の付近を除
く基端側の長尺の部分に低コストな樹脂製チューブを使
用するからである。このような部分に樹脂製のチューブ
を使用できる理由は、前述したとおり送り管の途中の部
分は多少の変形・位置ずれ等を起こしても差し支えない
こと、また、ランスの先端付近の壁面を除いて通水路内
はせいぜい百数十℃であるため樹脂製チューブでも十分
に耐用性があること−などである。なお、送り管のう
ちでも、吹錬用ノズルに近く設ける開口付近の部分には
金属製チューブを使用するので、当該部分を適当に固定
しておけば開口の位置や向きがずれることはなく、ま
た、高温の壁面に直接接触してもそのチューブが軟化し
たり溶損したりする恐れもない。
【0023】
【実施例】図1〜図3に本発明の一実施例を示す。図1
(a)・(b)は製鋼用ランス1の先端付近に関する縦断面
図および横断面図、図2はそのランス1等へ供給する冷
却水の循環系統図、また図3は、ランス1を用いた転炉
2における製鋼過程を示す概念図である。
【0024】製鋼用ランス1は、先に説明したとおり図
3のように転炉2内に差し込まれ、内部の溶銑2Aに対
して高圧の酸素を吹き込むことによりその精錬を行う。
ランス1の本体は、図示のように転炉2の上方から内部
に届くまでの長い棒状に構成されており、昇降機能を備
えるキャリッジ(図示せず)に支持されて上下に移動す
る。そして上記のとおり炉内に酸素を吹き込むことか
ら、ランス1は、内部に酸素を通して先端(下端)の吹
出し孔(ノズル)から吹き出せるようになっており、し
かも、高温雰囲気で変形等を起こさないよう水冷構造に
なっている必要がある。酸素の吹出しと冷却に関するそ
うした必要を満たすものとして、このランス1は図1の
とおり構成している。以下、図1(a)・(b)にしたがっ
てランス1の構成を説明する。
【0025】製鋼用ランス1は、長尺の鋼管部分1Aの
先端に溶接によって銅製のランスチップ1Bを一体化し
たもので、内部に酸素通路30を形成し、それにつなが
る複数の吹錬用ノズル31を下向きに先端部に開口させ
ている。上方(基端側)において接続したホースや配管
(いずれも図示せず)からこの酸素通路30へ高圧の酸
素を供給すれば、それが吹錬用ノズル31から吹き出す
わけである。
【0026】冷却のための通水路10はランス1の外周
の部分に形成しているが、ランス1における最大の特徴
はこの通水路10の構成にある。
【0027】通水路10は、まず、従来のような三重管
(図4参照)ではなく二重管形式にて構成している。す
なわち、鋼管部分1Aからランスチップ1Bへかけての
真っすぐな管11とそれに続く仕切り壁11Aとをまと
めて一重に数え、同様の真っすぐな管12とそれに続く
仕切り壁12Aとを他の一重として二重の管とし、それ
らで囲まれる空間を通水路10としたのである。仕切り
壁11A・12Aの一部として吹錬用ノズル31の壁面
があり、それらが両仕切り壁11A・12Aをつないで
いるので、通水路10内の冷却水は、管11・12と仕
切り壁11A・12A、ならびに吹錬用ノズル31の壁
面を冷却することができる。
【0028】二重管形式の通水路10には往きと戻りの
各冷却水を仕切る部材(図4における管13’や仕切り
壁13A’)がないため、それらに代わって冷却水の流
れを確保する手段として、図示のように冷却水の送り管
20を通水路10のうちに多数配置した。送り管20
は、ランス1の基端側(上方)から通水路10中に真っ
すぐ下へ延ばし、その先端を、下側の仕切り壁11Aや
吹錬用ノズル31の壁面に近づけ、かつそれらに対して
ほぼ直角に向けている。送り管20のうち基端側の部分
にはテフロン製のチューブ21を使用したが、ランスチ
ップ1B内に入る部分は、先端に水噴出ノズル23(つ
まり断面の縮小部分を含む開口)を形成した銅のチュー
ブ22として、同チップ1Bに固定している。
【0029】送り管20を配置したことにより、基端側
から供給される冷却水は送り管20の内部を一方向に確
実に送られて仕切り壁11A等に当たり、さらに通水路
10のうち送り管20以外の部分を流れて基端側へ戻る
という、スムーズな流れを形成する。しかも、送り管2
0からは水噴出ノズル23を通して仕切り壁11A等に
冷却水の噴流を衝突させるため、高い熱伝達率によって
その部分を効果的に冷却することができる。仕切り壁1
1Aや吹錬用ノズル31の壁面は、ランス1のうちで最
も熱負荷が高いうえ冷却水流れのよどみも発生しがちな
部分だが、そのような部分に水噴出ノズル23の多くを
向けるよう送り管20を配置したことから、ランス1の
全体的な冷却水流量を減らしても必要な冷却が実現され
るものとなった。
【0030】上記のような効果的な冷却によって冷却水
流量を減らすことができた結果、このランス1では、通
水路10の断面積を減らし、半径方向に占める通水路1
0の厚みを小さく(薄く)することができた。そのた
め、ランス1としては、三重管形式の通水路を有するラ
ンス(図4参照)と外径が同じであっても、内部の酸素
通路30として、より大きな断面積を確保できた。酸素
通路30の断面積が大きいと、流量的制限が緩やかにな
って多量の酸素を送れるほか、その部分に他の管路等を
配置して(つまり、図示は省略するがランス1の全体と
しては三重・四重等の構成にして)他のガスや粉粒体等
を通すことも可能になり、転炉2の操業上の自由度が増
すことになる。
【0031】ランス1の冷却が上記のとおり効果的であ
ることに基づき、使用する冷却水の温度についての自由
度も広がった。つまり従来のように常温に近い冷却水で
はなく、より温度の高い水、たとえば製鉄所内の他の装
置に通されたのちの温排水をこのランス1に通すことも
可能である。この実施例では、図2に示すように、排ガ
ス処理設備4(転炉2用のもの)のガス通路(輻射部)
に通した冷却水の一部を、ランス1において選択的に利
用するようにした。すなわち、従来は熱交換器3とその
前後の配管を共用にしながらもポンプ5A・6Aを含む
他の部分は独立であったランス1用の配管系5と排ガス
処理設備4用の配管系6との間を、連絡管7によって接
続した。連絡管7により、配管系6のうち排ガス処理設
備4よりも下流の部分と配管系5のうちランス1の上流
の部分とをつなぎ、その連絡管7の途中にバルブ7Xを
設けるとともに、配管5のうちポンプ5Aの下流にバル
ブ5X、ランス1の下流にチェックバルブ5Yをそれぞ
れ設けるのである。このように構成すれば、バルブ5X
とバルブ7Xとについて開・閉を切り換える(一方を開
とし他方を閉とする)ことにより、ランス1には、熱交
換器3を出た30℃前後の冷却水でも、排ガス処理設備
4を通った80〜130℃程度の温排水でも任意に選択
して流すことができる。
【0032】上記のように冷却水を切り換えて流せるよ
うにすると、つぎのような利点がある。すなわち、ま
ず、ランス1に専用の冷却水供給ポンプ5Aとして、予
備のポンプが不要である。ポンプ5Aを整備等するとき
は、排ガス処理設備4側の温排水の一部を冷却水として
ランス1へ回すことができ、しかもそのことが排ガス処
理設備4における冷却性能に悪影響を及ぼすこともない
からである。なお、この意味から、ポンプ5Aをなくし
てその機能を排ガス処理設備4用のポンプ6Aに兼ねさ
せることも可能である。また、冷却水を切り換えてラン
ス1の表面温度を急変させると、ランス1の表面に付着
した地金等を除去することが可能になる。温度が急変す
る際、ランス1と付着物との間に熱膨張差が生じて付着
物が剥離し脱落するからで、たとえば、吹錬時に温排水
を流して非吹錬時に冷たい水を流すなどすれば温度変化
の幅が増大し、とくに効果的である。そのほか、ランス
1の表面温度を高く保つと地金等の付着量そのものが減
少するという経験的事実もあり、吹錬中のランス1に温
排水を流すことはその点でも有利である。
【0033】
【発明の効果】本発明の製鋼用ランスにはつぎのような
効果がある。すなわち、 1) 通水路が二重管にて形成されるので、それが三重管
である従来のランスに比べて構造が簡単で、そのために
製造が容易なうえ低コスト・軽量でもある。軽量である
と、それを昇降させるためのキャリッジなどの構成を簡
素化することも可能になる。
【0034】2) 高温になりがちな部分や流れのよどみ
がちな部分を中心に効果的に冷却を行うので、冷却水の
全所要流量を減らすことができ、通水路の断面積も縮小
できる。したがって、ポンプや配管類を含めて冷却水の
供給設備を小容量化することも可能になる 3) 上記1)・2)のように通水路をシンプルかつ小断面積
にすることにより、ランスの外径を拡大しなくても、酸
素通路等として使用できる内側の部分の断面積を広くす
ることができる。当該部分を広くできると、多量の酸素
を送るのに好適であるほか、その部分に吹錬用酸素以外
のガスや粉粒体等の通路を設けることも可能になり、転
炉における冶金操業上の自由度が増すことになる。
【0035】4) 上記2)のように効果的に冷却が行える
ことから、他の装置を経由した温排水であってもこのラ
ンスの冷却水として使用可能となる。そのことからは、
冷却水の流用が可能となって設備の簡素化が図れるほ
か、ランス表面への地金の付着防止やその除去にも効果
を期待できる。
【0036】請求項2の製鋼用ランスの場合は、 5) 冷却水の衝突噴流によって上記のような効果的な冷
却を一層確実に実現できるので、上記2)〜4)の効果が顕
著である。
【0037】請求項3の製鋼用ランスは、さらに、 6) 冷却水の送り管のうち長尺の部分に樹脂製のチュー
ブを使用するため、とくに低コストで構成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の一実施例である製鋼用ラ
ンス1について先端付近の詳細を示す縦断面図、同(b)
はそのランス1の横断面図で、同(a)におけるb−b断
面を示す。
【図2】上記の製鋼用ランス1などへ供給する冷却水の
循環系統図である。
【図3】製鋼用ランス1等を用いた転炉2における製鋼
過程を示す概念図である。
【図4】従来の製鋼用ランス1’について先端付近の詳
細を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 製鋼用ランス 2 転炉 10 通水路 11・12 管 11A・12A 仕切り壁 20 送り管 23 水噴出ノズル 30 酸素通路 31 吹錬用ノズル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の管とそれらにつながる仕切り壁と
    がそれぞれ内外に重ねられて構成され、先端の吹錬用ノ
    ズルに通じた酸素の通路とともに冷却のための通水路を
    備える製鋼用ランスであって、 最も外側の二重の管および仕切り壁にて囲まれる空間を
    通水路とし、その通水路のうちに、基端側から延びて吹
    錬用ノズル付近に開口する冷却水の送り管を複数配置し
    たことを特徴とする製鋼用ランス。
  2. 【請求項2】 上記の送り管の開口を、吹錬用ノズル付
    近の仕切り壁に向けた水噴出ノズルとした請求項1に記
    載の製鋼用ランス。
  3. 【請求項3】 送り管のうち上記の開口の付近を金属製
    のチューブとし、基端側の部分を樹脂製のチューブとし
    た請求項1または2に記載の製鋼用ランス。
JP32967394A 1994-12-02 1994-12-02 製鋼用ランス Pending JPH08157927A (ja)

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JP (1) JPH08157927A (ja)

Cited By (4)

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