JPH08157276A - 湖沼底泥からの多孔質セラミックス及び湖沼底泥の処理方法 - Google Patents

湖沼底泥からの多孔質セラミックス及び湖沼底泥の処理方法

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JPH08157276A
JPH08157276A JP7247845A JP24784595A JPH08157276A JP H08157276 A JPH08157276 A JP H08157276A JP 7247845 A JP7247845 A JP 7247845A JP 24784595 A JP24784595 A JP 24784595A JP H08157276 A JPH08157276 A JP H08157276A
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porous ceramics
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firing
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Toshikuni Sera
俊邦 世良
Toshio Kai
敏雄 貝
Kenji Shinya
謙治 新屋
Tadaaki Tamura
忠昭 田村
Yukio Harada
幸夫 原田
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湖沼に堆積する底泥を有効活用した多孔質セ
ラミックス及びそれを用いた環境改善を行うことのでき
る湖沼底泥の処理方法を提供すること。 【解決手段】 湖沼に堆積する底泥を浚渫・採取し、該
採取物を脱水・乾燥して含水率を調整し、必要により成
形したのち焼成してなることを特徴とする多孔質セラミ
ックス及び得られた多孔質セラミックスを湖沼に埋め戻
すことを特徴とする湖沼底泥の処理方法。焼成時に、底
泥に可燃物の微粉砕品を添加することにより得られる多
孔質セラミックスの吸水率を大きくすることができ、ま
た、ガラス粉を添加することにより焼成温度を低くする
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は汽水湖、淡水湖、水
利ダム、沼などの閉鎖系水域に近い湖沼あるいはそれに
近似した水域に堆積する底泥(一般にヘドロと呼ばれて
いる)から得られる多孔質セラミックス及び該多孔質セ
ラミックスを湖沼に埋め戻すことによる湖沼底泥の処理
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】湖沼のような閉鎖系水域では、流入河川
を経由して生活排水が流れ込みヘドロとなって底面に堆
積するため、魚介類や植物の死滅、水質汚染などを誘引
し、環境破壊の原因となり、特に重金属などの有害物質
を含有すると、地域住民の健康を害する公害問題にまで
発展することになる。そのため底泥の適切な浄化処理方
法が切望されている。従来の底泥の処分方法としては、
底泥を浚渫して海洋に投棄したり、あるいは海浜、陸上
に埋め立てるなどが一般的である。しかし海洋投棄は水
質汚染拡大の恐れがあり、最近では埋立て処分が主体に
なっている。本発明者らは先に、底泥の乾燥処理物に微
粉砕紙を混入し、必要に応じて粘結剤を添加して生ペレ
ットを成形し、該成形物を大気と隔絶した焼成炉の移動
グレート上に積層し、該成形物の可燃物量に応じて酸素
濃度を制御しながら焼結させて多孔質骨材とすることを
提案した(特願平5−259672号)。このような処
理により底泥除去による環境改善と底泥の土壌改良ある
いはろ過助材としての有効利用が可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記方法は、焼結され
た多孔質骨材を土壌改良材あるいはろ過助材として有効
利用するものである。しかしながらこの方法において
は、需給のバラスが崩れて、供給量が需要量を上回るよ
うな場合、あるいは得られた多孔質骨材品質が在来製品
より劣る場合には、廃棄処分せざるを得なくなり、本質
的な有効利用方法とはいえなかった。また、海浜又は陸
上に埋め立てるにしても、種々の廃棄物処分量の増加と
処分場の減少から、処分コストの高騰をきたすので、確
実に資源として全量有効利用できる方策を見出す必要が
ある。
【0004】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであって、湖沼底泥を有効利用した、各種用途によ
り要求される性能に応じた吸水率、強度などの特性を有
する利用価値の高い多孔質セラミックス及び底泥の減量
・減容が可能で、環境改善に役立つ湖沼底泥の処理方法
を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は次の(1)乃至
(10)の発明を含むものである。 (1)湖沼に堆積する底泥を脱水・乾燥して含水率を調
整した後、焼成してなることを特徴とする多孔質セラミ
ックス。 (2)湖沼に堆積する底泥を脱水・乾燥して含水率を0
〜50重量%に調整後、1000〜1200℃の温度で
焼成してなることを特徴とする多孔質セラミックス。 (3)含水率を調整した底泥に可燃物の微粉砕品を配合
した後、焼成してなることを特徴とする前記(1)又は
(2)の多孔質セラミックス。
【0006】(4)湖沼に堆積する底泥を脱水・乾燥し
て含水率を調整し、成形した後、焼成してなることを特
徴とする多孔質セラミックス成形物。
【0007】(5)湖沼に堆積する底泥に、該底泥を脱
水・乾燥して含水率を調整する前あるいは後に、ガラス
粉又はガラス粉と可燃物の微粉砕品を配合して焼成して
なることを特徴とする多孔質セラミックス。 (6)湖沼に堆積する底泥にガラス粉又はガラス粉と可
燃物の微粉砕品を配合し、脱水・乾燥して含水率0〜5
0重量%に調整後、800〜1100℃の温度で焼成し
てなることを特徴とする多孔質セラミックス。 (7)湖沼に堆積する底泥を脱水・乾燥して含水率を調
整する前あるいは後にガラス粉又はガラス粉と可燃物の
微粉砕品を配合して得られるガラス粉又はガラス粉と可
燃物の微粉砕品を配合した含水率調整底泥を、成形した
後、焼成してなることを特徴とする多孔質セラミックス
成形物。 (8)前記焼成工程で発生する微粉を、成形前の底泥に
添加して成形、焼成してなることを特徴とする前記
(4)又は(7)の多孔質セラミックス成形物。
【0008】(9)前記(1)乃至(8)のいずれかの
多孔質セラミックス又は多孔質セラミックス成形物を湖
沼に埋め戻すことを特徴とする湖沼底泥の処理方法。 (10)湖沼に堆積する底泥を脱水・乾燥して含水率を
調整し、可燃物の微粉砕品を配合して成形後、還元性雰
囲気下に1000〜1200℃の温度で焼成することに
より多孔質セラミックス成形物とし、得られた多孔質セ
ラミックス成形物を湖沼に埋め戻すことを特徴とする湖
沼底泥の処理方法。
【0009】湖沼には河川を通じて、流域住民の生活排
水、産業排水が流入しているが、自然体系の自浄作用が
機能しているときは、底泥(ヘドロ)の堆積はみられな
かった。しかし自然体系の機能低下と汚染物質の流入量
増加が相まって、多年経過により湖沼の底に堆積するよ
うになり、ヘドロ化して、異臭の発生、漁獲量の減少を
来している。そこで本発明では、汽水湖、淡水湖、水利
ダム、沼などの閉鎖系水域に近い湖沼あるいはそれに近
似した水域(以下、単に湖沼という)に堆積する底泥
(ヘドロ)を浚渫・採取して多孔質の粒状物あるいは成
形物に変換し、これを水質浄化材その他の用途に有効利
用するものである。なお、本発明でいう湖沼は前記例示
に限定されるものではなく、要はヘドロが堆積する水域
を意味するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は次の四つの態様に大別さ
れる。すなわち、その1は浚渫・採取した底泥の含水率
を調整したのち、そのまま焼成して得られる多孔質セラ
ミックスである。この多孔質セラミックスは、製造方法
は簡単ではあるが、得られる多孔質セラミックスの吸水
率があまり大きくならず、また、大部分は粒状物となる
が粒径にばらつきがあり、砂状物を含む場合もある。な
お、この態様において、焼成前の底泥に微粉砕した可燃
物を添加することにより焼成品の吸水率を任意に調整す
ることができる。
【0011】その2は含水率を調整した底泥を成形した
のち焼成した多孔質セラミックスで、この場合は製造の
工程数が増えるが、品質が安定化し粒径のそろったもの
が得られるので、例えば湖沼に埋め戻しに使用する場合
などでは充填密度を高くできる利点がある。
【0012】その3は含水率を調整する前あるいは調整
後の底泥にガラス粉を配合して焼成したものであり、こ
の場合多孔質セラミックスの吸水率は若干小さくなる
が、粒子の圧壊強度は高くなり、また、焼成温度を低く
できる利点がある。この態様においても微粉砕した可燃
物を添加することにより焼成品の吸水率の調整が可能で
あり、また、成形することにより品質の安定化、粒径の
均一化の効果がある。
【0013】その4は前記多孔質セラミックス又は含水
率を調整した底泥に微粉砕した可燃物を混合して成形
後、焼成した多孔質セラミックスの利用に関するもので
あり、湖沼底泥から得られる多孔質セラミックスを湖沼
に埋め戻すことにより、湖沼底泥の処理、有効利用を行
うものである。
【0014】本発明の第1の実施態様の多孔質セラミッ
クスは、浚渫・採取した底泥を脱水・乾燥して含水率を
調整し、そのまま焼成したものである。この多孔質セラ
ミックスは例えば図1に示す方法により製造することが
できる。先ず浚渫船等を利用して湖沼の底泥1を浚渫
し、輸送パイプ2で陸上の資源化設備50に送る(図1
において鎖線で囲った内側が資源化設備50に相当す
る)。次いで含有水分の多い底泥1の脱水と異物除去を
目的として、振動スクリーン等の異物分離機3で3mm
程度以上の木葉や小石等の異物4を除去し、沈殿槽5で
重力沈降により排水6を分離除去する。沈殿槽5下部に
堆積した含水率が若干低下した泥水は脱水機7で脱水処
理されて脱水底泥8となり、脱水底泥コンベヤ9で次工
程に供給される。脱水処理にはフィルタープレス方式、
遠心式、ベルトプレス式、リボンスクリュー式等の脱水
機が適用できる。焼成前の底泥の水分は50重量%以下
に調整しておくのが好ましい。底泥の性状、脱水機の性
能によっては含水率を50重量%以下にできない場合に
は、脱水底泥8を天日乾燥あるいは乾燥機10により所
定含水率になるまで乾燥する。
【0015】このようにして含水率が50重量%以下に
調整された脱水底泥8は、定量フィーダ11を介して焼
成炉12に定量供給される。焼成炉12としてはロータ
リキルン、シャフトキルン、サーキュラグレート式焼成
炉等があり、焼成条件、製品の用途などにより適宜選択
して使用すればよい。例えば、焼成物の使用目的が浚渫
地への埋め戻しなどで、粒径、品質管理を厳しく要求さ
れない場合には、大型化が容易でかつ最も廉価な設備と
なるロータリーキルンが好適であり、ここではロータリ
ーキルンを使用する場合について説明する。
【0016】ロータリーキルン(焼成炉12)内に供給
された脱水底泥8はゆっくり回転しながらキルン出口側
に設置されているバーナ13からの熱を受け、徐々に昇
温しながら炉出口に移動する。バーナ13に使用する燃
料には特に制約はなくガス、灯軽油、重油、石炭等が使
用でき、燃料供給量は焼成物がキルン出口近くで所定の
焼成温度(1000〜1200℃)となるように調整・
設定される。ロータリーキルンの場合は外部から熱供給
するため炉内温度の制御はしやすく、自燃方式で焼成す
る場合と比較して焼成物同士の融着による多孔性の消失
と焼塊物化を防ぐことができる。更にキルンの排熱を脱
水底泥8の乾燥熱源として有効利用すれば、より経済性
が改善される。焼成炉12から排出された焼成物14は
製品回収ホッパ15に送られ貯蔵される。このようにし
て製造された焼成物は大部分が粒状の多孔質セラミック
ス16となっている。この態様において、焼成前の底泥
に古紙などの可燃物の微粉砕品を添加することにより、
得られる多孔質セラミックスの吸水率を調整することが
できる。
【0017】次に本発明の第2の実施態様について説明
する。この実施態様は、浚渫・採取した底泥を脱水して
含水率を調整し、そのまま成形し、この成形物を焼成し
て多孔質セラミックスの成形物としたものである。この
多孔質セラミックスは品質が均一で粒径が揃っており、
例えば、湖沼の埋め戻しに使用する場合に充填量が増す
効果がある。また、焼成工程においては成形品どうしの
摩擦等により微粉が発生するので、これらを分離したの
ち、成形工程に戻すようにすれば微粉の処理は不要とな
り、収率も向上する。
【0018】本発明の第3の実施態様は、浚渫・採取し
た底泥に、含水率を調整する前あるいは調整後、ガラス
粉又はガラス粉と古紙などの可燃物の微粉砕品を配合し
て焼成したものであり、多孔質セラミックスの吸水率は
ガラス粉を添加しないものに比べて若干小さくなってい
るが、粒子の圧壊強度は高くなり、また、製造時の焼成
温度を低くできる利点がある。この多孔質セラミックス
は例えば図2に示す方法により製造することができる。
【0019】この場合も湖沼の底泥1を浚渫し、輸送パ
イプ2で陸上の資源化設備50に送り、沈殿槽5で排水
6を重力沈降分離するまでは前記第1の実施態様の場合
と同じである。沈殿槽5の下部に堆積し、含水率が若干
低下した泥水56とガラス粉55を混練機57に供給し
て十分混練した後、脱水機7で脱水処理し脱水底泥8と
する。脱水底泥8は脱水底泥コンベヤ9で次工程に供給
される。脱水処理にはフィルタープレス式、遠心式、ベ
ルトプレス式、リボンスクリュー式等の脱水機が適用で
きる。焼成前の底泥の水分は50重量%以下に調整して
おくのが好ましい。底泥の性状、脱水機の性能によって
は含水率を50重量%以下にできない場合には、脱水底
泥8を天日乾燥あるいは乾燥機10により所定含水率に
なるまで乾燥する。
【0020】ガラス粉としては特に制限はないが、FR
P製品の燃焼残渣であるガラス繊維(アルカリを含まな
いホウケイ酸バン土系のガラス原料)あるいは窓ガラス
等に使用される板ガラス(ソーダ石灰ケイ酸系のガラス
原料)などの廃棄物を微粉砕したものが好適に使用でき
る。
【0021】前記のようにして含水率が50重量%以下
に調整された脱水底泥8は、定量フィーダ11を介して
焼成炉12に定量供給される。焼成炉12としてはロー
タリキルン、シャフトキルン、サーキュラグレート式焼
成炉等があるが、図2にはロータリーキルンを使用する
場合を示している。
【0022】ロータリーキルン(焼成炉12)内に供給
された脱水底泥8はゆっくり回転しながらキルン出口側
に設置されているバーナ13からの熱を受け、徐々に昇
温しながら炉出口に移動する。バーナ13に使用する燃
料には特に制約はなくガス、灯軽油、重油、石炭等が使
用でき、燃料供給量は焼成物がキルン出口近くで所定の
焼成温度となるように調整・設定される。前記第1又は
第2の態様におけるようにガラス粉を添加することなく
焼成する場合には1000〜1200℃の焼成温度が必
要であるが、ガラス粉を添加した場合には焼成温度を下
げることが可能となり、ガラス粉の添加量が2〜10重
量%の範囲で800〜1000℃で焼成することができ
るので燃料費の低減が可能である。このようにして製造
された焼成物は大部分が粒状の多孔質セラミックス16
となっている。
【0023】次にこの第3の態様の多孔質セラミックス
の製造方法の他の例について図3を用いて説明する。図
3は含水率を調整する前の浚渫・採取した底泥に可燃物
の微粉砕品を配合して焼成した例であり、図2との相違
点は資源化設備50内において、沈殿槽5の下部に堆積
し、含水率が若干低下した泥水56とガラス粉55に加
えて可燃物の微粉砕品を混練機57に供給して十分混練
した後、脱水機7で脱水処理し脱水底泥8とする点であ
る。すなわち、この方法においては新聞紙あるいは雑誌
等の古紙42を可燃物原料ホッパ43に投入後、粗砕機
44で10cm程度に裁断し、磁選機45でホッチキ
ス、クリップ、ピン等の金物類を分別排出し、裁断され
た古紙42をさらに微粉砕機46にて1mm以下に微粉
砕したものを可燃物ホッパ47を経て混練機57に供給
する。以下は図2の態様の場合と同様である。
【0024】この場合も、ガラス粉の添加効果により8
00〜1000℃で焼成することができる。また、可燃
物を添加して焼成しているのでより吸水率の高い多孔質
セラミックスを得ることができる。これらの第3の態様
においても、含水率を調整した底泥を成形した後、焼成
することにより品質の均一化、あるいは形状の均一化に
より埋め戻しに使用する際の充填量の増量をはかること
ができる。
【0025】本発明の第4の態様は湖沼底泥から得られ
る多孔質セラミックスを湖沼に埋め戻すことによる湖沼
底泥の処理方法である。この第4の態様の1例を図4及
び5によって説明する。この例は浚渫・採取した底泥を
脱水して含水率を調整し、可燃物の微粉砕品を添加して
成形し、この成形物を焼成して多孔質セラミックス成形
物とし、これを湖沼に埋め戻す方法である。
【0026】この場合も湖沼の底泥1を浚渫し、輸送パ
イプ2で陸上の資源化設備50に送り、脱水機7で処理
するまでは前記第1〜3の実施態様の場合と同じであ
る。このようにして得られた脱水底泥8は脱水底泥ホッ
パ9−1に供給される。脱水処理にはフィルタープレス
方式、遠心式、ベルトプレス式、リボンスクリュー式等
の脱水機が適用できるが、この場合にはフィルタープレ
ス方式の脱水機が一般的である。成形に際しては脱水底
泥の含水率を10〜20重量%程度としておくのが望ま
しい。通常、脱水機7では含水率を高々40〜50重量
%程度にしかできず、これだけで所定含水率を達成する
ことは不可能なので、脱水底泥8を乾燥機10で所定含
水率になるまで乾燥する。
【0027】脱水底泥8に、焼成により多孔質セラミッ
クスを形成するのに十分な可燃分が含まれている場合に
はそのまま成形、焼成すればよいが、通常は脱水底泥8
の固形物には自燃に必要な可燃分(大気雰囲気中での自
燃焼成の場合で固形分の4〜5%程度)が不足している
ので、自燃材料となる可燃物と水19を必要量添加し、
混練機18でよく撹拌混合する。可燃物の添加量は、脱
水底泥の性状、使用する焼成装置の形式、焼成条件、目
的とする多孔質セラミックスに要求される性状などに応
じて最適量を設定すればよい。すなわち、高い吸水率を
要求されない場合には、ロータリーキルンなどの使用に
より可燃物の含有割合が少なくても焼成可能である。ま
た、高い吸水率が要求される場合などでは多量の可燃物
を添加しても、サーキュラーグレート焼成炉を使用して
焼成雰囲気中の酸素濃度を調整して燃焼発熱量を制御す
るなどの方法により、適正焼成温度内で焼成することが
できる。
【0028】自燃材料としては可燃物であれば何でもよ
いが、ここでは新聞紙あるいは雑誌等の古紙42を可燃
物原料ホッパ43に投入後、粗砕機44で10cm程度
に裁断する。次に磁選機45でホッチキス、クリップ、
ピン等の金物類を分別排出し、裁断された古紙42は微
粉砕機46にて1mm以下に微粉砕され、可燃物ホッパ
47に投入される。乾燥後の底泥と古紙粉砕品を混練機
18に供給し、さらに造粒で必要な水分濃度になるよう
調整しながら水19を補給して十分に混練する。補給水
量は乾燥底泥の含水率にもよるが、古紙粉砕品が水を吸
収するので、30%前後とかなり多くなる。
【0029】この混練物は、ペレタイザ式造粒機などの
造粒機20で水21を添加しながら所定の粒径の生ペレ
ット(図示せず)に造粒、成形される。造粒することに
より湖沼に埋め戻す際に充填量が増す。なお、造粒は5
〜10mmの粒径が好ましい。造粒機20としてはペレ
タイザ式の外に、混合と造粒を同時にできる混合造粒機
あるいは押し出し造粒機等も使用できる。生ペレットは
ローラースクリーン22にて、所定粒径外のものを除去
し、所定粒径品(例えば粒径5〜10mm)だけが生ペ
レット投入ホッパ(図示せず)を経由して焼成装置に供
給される。
【0030】焼成装置は焼成形式により、ロータリキル
ン、シャフトキルン、サーキュラグレート等がありいず
れでもよいが、ここではウオーターシールの採用によ
り、大気と断絶して焼成できるサーキュラグレート式焼
成炉23を使用した例で説明する。生ペレットの焼結に
当たっては、グレート(図示せず)上に床敷ペレット投
入ホッパ(図示せず)からグレート保護用の焼結品(焼
結済みの多孔質セラミックス製品)を投入し、30mm
程度の厚みで敷きつめて床敷とする。次いで、その上に
生ペレットを供給して、厚さ200〜300mmに積み
付けていく。この積層された生ペレットはグレートがゆ
っくり移動するのに伴い、乾燥、着火、焼成、冷却の各
工程を経て、焼成ペレット(多孔質セラミックス成形
物)となって排出される。
【0031】グレートの下部には、各工程に対応した吸
引ボックス24が敷設されており、吸引ボックス24の
各底部に接続された配管により、循環ガスラインを形成
しており、乾燥及び着火工程では、冷却工程から循環さ
れる300℃程度の高温ガス26が、乾燥及び着火燃料
の予熱に利用される。乾燥後の生ペレット表層部は、着
火工程の着火装置27により、プロパンあるいは重油を
燃料として着火される。
【0032】焼成工程では、焼成ガス循環ブロワ25で
焼成済みのガスを吸引し、生ペレットの自燃焼成で消失
した酸素分に見合う空気29を、空気供給ブロワ28で
必要量添加して、酸素濃度を調整しながら焼成工程入口
に循環する。焼成ガスの酸素濃度を10〜15%に調整
することにより、生ペレット層は上方から下方に順次1
000〜1200℃の範囲で焼成される。
【0033】多孔質セラミックス33の含水率を向上さ
せるために、生ペレットには多量の古紙42が添加され
ている場合もあり、大気雰囲気中で焼成すると、焼成温
度が著しく上昇して、焼成ペレット同士を融着させるこ
とが多々生じる。したがって、所定の焼成温度を維持す
るために、還元雰囲気で焼成するが、1000℃以下の
場合には多孔質セラミックス成形物33は焼結せず軟弱
であるので実用には供せない。一方、1200℃を超え
ると焼成ペレット同士が融着して多孔性を失うと同時に
焼塊物となり実用に供せない。このため、焼成温度は1
000〜1200℃が好ましい。焼成終了と同時に、ペ
レット層は冷却工程に入り、空気を供給することにより
冷却されて、焼成炉外に排出された多孔質セラミックス
成形物33はベルトコンベヤ30を経て製品回収ホッパ
31に送られ貯蔵される。
【0034】このようにして製造された焼成ペレットは
多孔質セラミックス成形物33となっており、前記実施
態様1の場合と同様敷設船32などにより、底泥1を採
取した湖沼の底部に埋め戻される。この多孔質セラミッ
クス成形物33は可燃物を混入して成形後焼成している
ので、より多孔質となっており、微生物の繁殖及び水質
浄化効果が大きく、また、成形することにより粒子の径
が揃うので埋め戻す際に充填量が増す効果がある。
【0035】
【実施例】以下実施例により本発明の方法をさらに具体
的に説明する。 (実施例1)図1のフローに従って底泥からの多孔質セ
ラミックスの製造試験を行った。底泥1として、汽水湖
に堆積した浚渫物を資源化設備50に供給し、異物分離
機3として目開き3mmの篩を有する振動スクリーンを
用いて3mm以上の木葉、小石等の異物4を除去した
後、沈殿槽5で重力沈降により排水6を分離除去した。
次いで脱水機7(リボンスクリュー式脱水機を使用)で
含水率35重量%まで脱水処理して脱水底泥8を取得
し、これを試料Aとした。また、脱水底泥8の一部を乾
燥機10にて含水率が約27重量%及び0重量%となる
まで熱風乾燥してそれぞれ試料B及びCとした。浚渫し
た底泥1の性状は表1に示すとおりであった。
【0036】
【表1】
【0037】これらの試料を定量フィーダ11を介し
て、下流側に2°傾斜したロータリーキルン式小型焼成
炉12(外径:555mm、内径:150mm、炉長:
1800mm)に定量供給し、炉内温度が1000〜1
200℃となるようにプロパン及び空気をバーナ13か
ら供給しながら、表2に示す焼成条件で焼成した。得ら
れた焼成物14を、目開き1mm、5mm、15mmの
篩でふるい分け、粒径が1〜5mm及び5〜15mmの
ものについて吸水率及び絶乾比重を測定した。測定結果
を表2に併記する。この結果から、含水率の異なる脱水
底泥試料の焼成状態はいずれも良好であり、得られる多
孔質セラミックスの吸水率及び絶乾比重はほぼ同じであ
った。なお、ここで得られた多孔質セラミックスは、造
粒せずに焼成しているため形状は一定ではないが、実用
に十分耐える硬さを有していた。
【0038】
【表2】
【0039】(実施例2)図2のフローに従って底泥か
らの多孔質セラミックスの製造試験を行った。底泥1と
して、実施例1で使用したのと同じ汽水湖に堆積した浚
渫物を資源化設備50に供給し、異物分離機3として目
開き3mmの篩を有する振動スクリーンを用いて3mm
以上の木葉、小石等の異物4を除去した後、沈殿槽5で
重力沈降により排水6を分離除去した。泥水56に所定
量のガラス粉55(ガラス繊維又は板ガラス粉)を配合
して、混練機57で十分混練した。混練物は脱水機7
(リボンスクリュー式脱水機を使用)で含水率30〜6
0重量%まで脱水処理し、得られた脱水底泥8を脱水底
泥コンベヤ9で搬送した。脱水機7で所定の含水率に達
したものはそのまま、さらに脱水が必要なものは乾燥機
10で乾燥した。
【0040】これらの原料を定量フィーダ11を介し
て、下流側に2°傾斜したロータリーキルン式小型焼成
炉12(外径:555mm、内径:150mm、炉長:
1800mm)に定量供給し、炉内温度が700〜12
50℃となるようにプロパン及び空気をバーナ13から
供給しながら焼成した。得られた焼成物14を、目開き
1mm、15mmの篩でふるい分け、粒径が1〜15m
mのものについて吸水率及び絶乾比重を測定した。測定
結果を表3に示す。
【0041】一方、上記焼成物14のガラス粉添加効果
を強度面から調べるため、同一組成の原料を造粒機(図
示省略、ペレタイザー式造粒機を使用)にて、注水しな
がら造粒し、粒径1〜10mmのペレットとした。生ペ
レットは前記ロータリーキルンで脱水底泥の場合と同一
条件で焼成し、絶乾比重、吸水率及び圧壊強度(粒径2
mmのものを使用)を測定した。これらの結果を表4に
示す。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】これらの試験結果を要約すると次のように
なる。 (1)脱水底泥8のみの焼成物の物性は、焼成温度の上
昇に伴い吸水率が減少し、絶乾比重、圧壊強度は増加す
る。この場合の適正焼成温度は1000〜1200℃で
ある。1000℃未満では焼成不十分となり、圧壊強度
も0.1kg/個と低く、指で押すと簡単に潰れる程度
である。一方、1200℃を超えると多孔質セラミック
スどうしが溶融固化して焼塊物となる。
【0045】(2)ガラス粉55を添加した脱水底泥8
の焼成物の物性は、脱水底泥8のみの焼成物に比べて吸
水率がやや低下し、逆に絶乾比重、特に圧壊強度は著し
く上昇した。例えばガラス粉を10重量%添加した場合
には、700℃焼成物の圧壊強度は0.2kg/個と軟
質であるが、800℃焼成では0.3kg/個と増加
し、指で押さえても潰れず、実用上十分な耐久性を有し
ている。さらに1000℃で焼成したペレットの圧壊強
度は、脱水底泥だけのものと比較して5倍に増加し、1
100℃では8kg/個と高強度の多孔質セラミックス
が得られた。しかし焼成温度が1100℃を超えると脱
水底泥中のガラス粉添加量が多過ぎるために溶融固化し
て焼塊物となった。一方、ガラス粉添加量が2重量%未
満の場合には、強度の向上が十分でなく、また、10重
量%を超えて添加すると不経済となる。さらに、脱水底
泥8の含水率が50%を超えると水分過多となり、定量
フィーダー11による搬送が困難となった。
【0046】以上の結果から、ガラス粉を2〜10重量
%添加した場合の適正焼成温度は800〜1100℃で
あり、脱水底泥8の含水率は最大50重量%まで焼成で
きることが確認された。このような焼成条件で焼成する
と高強度高吸水率を有する多孔質セラミックスを安価に
製造できることがわかる。
【0047】(3)脱水底泥8にガラス粉を添加した多
孔質セラミックスの強度向上は、焼成温度(800〜1
100℃)に比較してガラス粉の軟化点が700〜80
0℃と低く、焼成中に溶融することによるバインダー効
果により、素地が強化されることに起因するものと推定
される。
【0048】(実施例3)図4、5のフローに従って底
泥の処理試験を行った。底泥1として、実施例1で使用
したのと同じ汽水湖に堆積した浚渫物を資源化設備50
に供給し、異物分離機3として目開き3mmの篩を有す
る振動スクリーンを用いて3mm以上の木葉、小石等の
異物4を除去した後、沈殿槽5で重力沈降により排水6
を分離除去した。次いで脱水機7(フィルタープレスを
使用)で含水率45重量%まで脱水処理し、脱水底泥ホ
ッパ9−1に貯留した脱水底泥8を乾燥機10にて含水
率約15重量%となるまで熱風乾燥した。この浚渫した
底泥1の性状は前記表1に示すとおりである。また、可
燃物となる古紙42は新聞紙を粗砕、微粉砕して、孔径
1mm通過品を使用した。
【0049】乾燥した底泥と微粉砕した新聞紙を重量比
1/1にて、混練機18に供給し、水を35重量%添加
して十分混練後、造粒機20(ペレタイザ式造粒機)に
所定量投入し、水21を添加しながら粒径5〜10mm
の生ペレットを造粒した。生ペレットはローラスクリー
ン22で5mm以下と10mm以上のものを除去し、合
格品だけを生ペレット投入用ホッパから、サーキュラグ
レート焼成炉23に投入した。焼成炉のグレート上に
は、床敷ペレット投入用ホッパからグレート保護用の焼
結製品(多孔質セラミックス)を投入して、30mmの
厚さで敷きつめた。次いで、その上に前記生ペレットを
200mmの厚さで積み付けた。この生ペレット層は、
グレート下方の吸引ボックス24から30mmH2 Oの
圧力で吸引されつつ、300℃の熱風で5分間乾燥した
後、重油を燃料とする着火装置27にて、生ペレット表
層を着火(着火温度1100℃)させた。
【0050】焼成工程は、入口ガス量1000m3 N/
hr、入口ガス温度1100℃、入口酸素濃度10%に
設定した。生ペレットはこの雰囲気をゆっくり移動しな
がら、50分間で焼成され、焼結物となり冷却工程を経
て、10〜100μmの無数の細孔を有する多孔質セラ
ミックス成形物33として排出された。このようにして
製造した多孔質セラミックス成形物33は、可燃物の消
失による収縮があり、粒径は3〜7mmになるが、吸水
率55.0%、絶乾比重1.03、圧壊強度7kg/個
(5mmφ)であり、高吸水性かつ実用強度を有する多
孔質セラミックスである。
【0051】(実施例4)実施例3で取得した多孔質セ
ラミックスの、湖沼の水質浄化作用及び生態系への影響
度合いを評価するために、この多孔質セラミックスを用
いた水槽と、市販の砂利を用いた水槽にて金魚飼育試験
を行った。前記多孔質セラミックス又は市販の砂利(玉
石)をろ過助材40として、図6に示す鑑賞魚用水槽3
4(400L×280W×270H)の底部にそれぞれ
層厚50mm、上部ろ過層38に層厚10mm敷設し
た。更に、上部ろ過層38の上部をガラスウール41で
覆った。水槽34内の水35は、底部のろ過助材40内
に吸引口が挿入され、吐出口を上部ろ過層38の位置と
する吸引パイプ36で吸引され、吐出パイプ37からろ
過層38に吐出される。そしてろ過層内部を通過した水
は、水落とし口の落下パイプ39から水槽内に循環され
る。また、水槽の底面部には水草3本を植え付けた。
【0052】中和剤(通称「ハイポソフト」)にて中和
した水道水を各水槽34に入れ、更に好気性バクテリア
をそれぞれ投入して、水温を22℃の一定温度になるよ
うに設定した。以上のようにセットした後、注水5日後
に、各水槽に金魚10匹ずつを入れて、水質浄化・ろ過
比較試験を開始した。金魚飼育試験は、金魚に白点病が
発生すると直ちに薬を投与し、好気性バクテリアは適宜
投与した。1週間毎に各水槽の水を1リットル採取し、
直ちに同量の水を補給して飼育試験を継続した。採取し
た水は、pH、NH4 + 、NO2 - 、NO3 - の水質分
析を実施するとともに、目視観察で水質浄化・ろ過性能
を比較した。
【0053】好気性バクテリアが関与する水質浄化機構
は、金魚の餌、糞等が分解して、アンモニア(N
4 + )が発生し、この毒性の強いNH4 + を溶存酸素
の存在下で棲息する好気性バクテリアが毒性の低い亜硝
酸(NO2 - )や硝酸(NO3 - )に変える。次いで溶
存酸素を必要としない嫌気性バクテリアがNO2 - とN
3 - を窒素ガス(N2 )に変えて無害化するとされて
いる。これらの反応式を以下に示す。
【化1】 2NH4 + +3O2 →2NO2 - +2H2 O+4H+ 2NO2 - +O2 →2NO3 - 2NO2 - +6H+ →N2 ↑+2H2 O+2OH- 2NO3 - +10H+ →N2 ↑+4H2 O+2OH-
【0054】したがって、水槽内のNO3 - 濃度を分析
することにより、水質浄化性能が評価できる。水槽内の
NO3 - 分析値と経過日数の関係を図7に示す。本発明
の多孔質セラミックスをろ過助材とする水槽の金魚は、
水替えを全くしなくても順調に飼育でき、44日目に1
匹死亡した。これに対し、市販の砂利をろ過助材とする
水槽の金魚は、20日目に1匹死亡しており、硝酸イオ
ン(NO3 - )濃度も14日以降急激に上昇し、飼育試
験開始20日後の硝酸イオン濃度は、多孔質セラミック
スの90mg/リットルに対し560mg/リットルと
極めて大きな値となっている。
【0055】これらの飼育試験結果から、本発明の多孔
質セラミックスの水質浄化性能は、市販の砂利に比べて
著しく良好であることがわかる。これは、多孔質セラミ
ックスには10〜100μmの微小孔が無数に形成され
ており、好気性バクテリア(大きさは5μm程度と言わ
れている)が、この微小孔を住処にして繁殖しやすい雰
囲気にあるのに対し、市販の砂利には微小孔が無く、好
気性バクテリアの住処がほとんどないので、繁殖し難い
状況にあるためである。
【0056】なお、実施例1で得られた吸水率の最も高
い多孔質セラミックス(試料C)及び実施例2で得られ
た多孔質セラミックス(試料7)を用いて前記実施例3
の多孔質セラミックスを用いた場合と同様の金魚飼育試
験を行った。その結果、試料Cを用いた水槽の金魚は試
験開始後40日目に1匹死亡し、試料7では42日目に
1匹死亡したが、試料C及び試料7ともに実施例3の多
孔質セラミックスと同様な水質浄化性能を有しているこ
とがわかる。なお、試料7の水槽内のNO3 -分析値と
経過日数の関係を図7に併記した。
【0057】このように、好気性及び嫌気性バクテリア
には、金魚の生育に有害な物質を無害な物質に変えてい
く生物的ろ過作用があり、多孔質セラミックスにはこれ
らバクテリアの棲息、繁殖を助長する機能があるため、
本発明の多孔質セラミックスは水質浄化に効果を発揮す
るのである。この作用は金魚だけに止まるのではなく、
湖沼に棲息する魚介類にも有効である。
【0058】
【発明の効果】本発明の多孔質セラミックスは土質改良
材、埋め立て材などの土木材料、多孔性を利用した湖沼
等の水域や魚類等の飼育施設などで有用な水質浄化材と
して優れた性能を有するものである。通常の湖沼底泥の
場合、可燃物を添加せずに焼成したものでは、可燃物を
添加したものに比較して吸水率が小さく、絶乾比重も大
きくなるが多孔質セラミックスとしての機能は十分有し
ており、土壌改良剤、水質浄化剤として有効である。さ
らに、ガラス粉を添加して焼成する場合には焼成温度を
下げることができ、処理コストを大幅に圧縮できる。
【0059】また、本発明の湖沼底泥の処理方法によれ
ば、底泥を原料として湖沼内の好気性バクテリアが棲息
するのに適した微小孔を有する多孔質セラミックスが得
られるので、該多孔質セラミックスを底泥を採取した湖
沼に埋め戻すことにより、製品の余剰を生じることもな
く、底泥の減量と好気性バクテリアなどによる浄化作用
の促進効果があり、環境改善に寄与することができる。
そのため、本発明の処理方法は汽水湖、淡水湖、水利ダ
ム、沼などの閉鎖系水域に近い湖沼などの汚染水域の浄
化に極めて有効な方法である。本発明の方法により湖沼
底泥から得られる多孔質セラミックスの好気性バクテリ
アなどの水質浄化作用促進効果は、実施例の金魚飼育試
験により実証されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施態様を示す説明図。
【図2】本発明の第3の実施態様の1例を示す説明図。
【図3】本発明の第3の実施態様の他の1例を示す説明
図。
【図4】本発明の第4の実施態様を示す説明図(その
1)。
【図5】本発明の第4の実施態様を示す説明図(その
2)。
【図6】実施例4で使用したろ過試験装置の説明図。
【図7】実施例4における水槽内のNO3 - 分析値と経
過日数の関係を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 忠昭 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 原田 幸夫 山口県下関市彦島江の浦町六丁目16番1号 三菱重工業株式会社下関造船所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湖沼に堆積する底泥を脱水・乾燥して含
    水率を調整した後、焼成してなることを特徴とする多孔
    質セラミックス。
  2. 【請求項2】 湖沼に堆積する底泥を脱水・乾燥して含
    水率を0〜50重量%に調整後、1000〜1200℃
    の温度で焼成してなることを特徴とする多孔質セラミッ
    クス。
  3. 【請求項3】 含水率を調整した底泥に可燃物の微粉砕
    品を配合した後、焼成してなることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の多孔質セラミックス。
  4. 【請求項4】 湖沼に堆積する底泥を脱水・乾燥して含
    水率を調整し、成形した後、焼成してなることを特徴と
    する多孔質セラミックス成形物。
  5. 【請求項5】 湖沼に堆積する底泥に、該底泥を脱水・
    乾燥して含水率を調整する前あるいは後に、ガラス粉又
    はガラス粉と可燃物の微粉砕品を配合して焼成してなる
    ことを特徴とする多孔質セラミックス。
  6. 【請求項6】 湖沼に堆積する底泥にガラス粉又はガラ
    ス粉と可燃物の微粉砕品を配合し、脱水・乾燥して含水
    率0〜50重量%に調整後、800〜1100℃の温度
    で焼成してなることを特徴とする多孔質セラミックス。
  7. 【請求項7】 湖沼に堆積する底泥を脱水・乾燥して含
    水率を調整する前あるいは後にガラス粉又はガラス粉と
    可燃物の微粉砕品を配合して得られるガラス粉又はガラ
    ス粉と可燃物の微粉砕品を配合した含水率調整底泥を、
    成形した後、焼成してなることを特徴とする多孔質セラ
    ミックス成形物。
  8. 【請求項8】 前記焼成工程で発生する微粉を、成形前
    の底泥に添加して成形、焼成してなることを特徴とする
    請求項4又は7に記載の多孔質セラミックス成形物。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかに記載の多孔
    質セラミックス又は多孔質セラミックス成形物を湖沼に
    埋め戻すことを特徴とする湖沼底泥の処理方法。
  10. 【請求項10】 湖沼に堆積する底泥を脱水・乾燥して
    含水率を調整し、可燃物の微粉砕品を配合して成形後、
    還元性雰囲気下に1000〜1200℃の温度で焼成す
    ることにより多孔質セラミックス成形物とし、得られた
    多孔質セラミックス成形物を湖沼に埋め戻すことを特徴
    とする湖沼底泥の処理方法。
JP7247845A 1994-10-06 1995-09-26 湖沼底泥からの多孔質セラミックス及び湖沼底泥の処理方法 Pending JPH08157276A (ja)

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