JPH08155933A - 中空コンクリートブロックマット製造用型枠及び中空部の形成方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】中空コンクリートブロックを一体成形して脱型
後フィルターシート上に連続ブロック模様を形成可能な
型枠を提供し、緑化の確実かつ積極的な保護工に寄与
し、施工能率の向上及び製造コストの低減を図る。 【構成】型枠本体１となる鋳型ユニットＡ1aを固定フレ
ーム２内に複数個連結してゆき連結方向の一端（終端）
に鋳型ユニットＢ1bを組み合わせて連結を完了し、所望
のマット面積及びマット概外形を確保する。端部用の鋳
型ユニットＢ1bは、鋳型ユニットＡ1aを半分に切断した
ものである。中空部造形用の中子３は、成形後のブロッ
クにおけるフック掛止部を形成するための可動爪を有し
ており、この可動爪が中子設置時及びコンクリート注入
時には中子本体３周部から外方に開いて固定形状を呈
し、かつ、脱型時には中子本体３内に閉じて硬化したブ
ロック部から離脱するようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、斜面の保護工に緑化工
法を採用する際に使用されるブロックマット製造用型枠
に係り、詳しくは、フィルターシート上に多数の中空コ
ンクリートブロックを一体成形するために、型置き及び
コンクリート注入から脱型までの１ショットごとに一の
ブロックマットを工場生産可能又は現場施工可能な中空
コンクリートブロックマット製造用型枠及び中空部の形
成方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、海岸や河川の護岸又は土地造成に
伴う切土や盛土等の法面保護工事では、コンクリートブ
ロック（モルタルブロックを含むものとする。）の張り
付けに工数と専門工を必要としてきた。

【０００３】こうした斜面の保護工には多くの工法（斜
面安定化工法）があるが、近年、植生や構造物による緑
化工法を兼ねたものを採用することへの要請が高い。

【０００４】その一つに所謂ブロックマット工法があ
り、織布又は不織布等のフィルターシート上に多数のコ
ンクリートブロックを貼付又は一体成形したブロックマ
ットを斜面に連続敷設するというものである。

【０００５】そして、このブロックマットの地面への固
定は、まずブロック間に鉄筋を打ち込み固定し、時間の
経過を待ってブロックの間隙に草花を植生させ、フィル
ターシートを通してこれらが根付くことにより固定強化
を図るものである。

【０００６】このためのブロックマットの製造に関して
は種々の提案があり、例えば特公平１−５２１７９号の
「地表侵食防止用ブロックマットの製造方法」が知られ
ている。ここでは、繊維シート上に多数のコンクリート
ブロックの同時成形用型枠をのせた後、コンクリート又
はモルタルのスラリーを注入してブロックを成形し、成
形したブロックを硬化させることによりシートとブロッ
クを同時に一体成形するようにしている。

【０００７】この公知の製法の実施における利点は、製
造設備の主体が型枠であることにより、上記地表侵食防
止用ブロックマットを比較的簡易かつ能率よく大量に製
造できる点にあり、現在、産業上の利用もさかんであ
る。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
知の製法になるブロックマット製品は、緑化工法におけ
る植生が活着するまでの間、風雨により被害を受けやす
いという問題があった。（この問題は本発明の中空コン
クリートブロックの造形により解消される。）

【０００９】また、施工（敷設）や輸送において重機に
よる吊り上げを要する場合も多いにもかかわらず、荷重
均等な吊り上げ等取扱い面での工夫がなされていなかっ
た。したがって、繊維シート材料の強度を低下するわけ
にはゆかず、現状ではブロックマットの価格が繊維シー
ト材料のコストに左右されるので、コストの低減が困難
であった。（この問題は本発明の型枠の改善により解消
される。）

【００１０】こうしたなかで環境や景観の保全に優れた
緑化工法、かつ、施工能率の高い経済的工法という観点
から、中空コンクリートブロックマットが期待されてお
り、このための型枠の改善が要請されている。

【００１１】本発明はこのような事情に鑑みなされたも
のであって、上記公知の製法を一部利用可能な型枠につ
いて、中空コンクリートブロックを一体成形することに
より、緑化の確実かつ積極的な保護工に寄与し、施工能
率の向上及び製造コストの低減が可能な中空コンクリー
トブロックマット製造用型枠及び中空部の形成方法を提
供することを目的とするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、フィルターシート上に多数の中空コンクリ
ートブロックを一体成形するために、型置き及びコンク
リート注入から脱型までの１ショットごとに一のブロッ
クマットを工場生産可能又は現場施工可能な中空コンク
リートブロックマット製造用型枠であって、中空コンク
リートブロック造形用の型枠本体となる鋳型ユニット
と、該鋳型ユニットを複数個連結して所望のマット面積
及びマット概外形を確保し一時に脱型するための固定フ
レームと、鋳型ユニット連結後の個々のブロック造形部
について用意される中空部形成用の中子を具備し、脱型
後フィルターシート上に連続ブロック模様を形成するよ
うにしたことを特徴とするものである。

【００１３】ここで、上記中子が成形後のブロックにお
けるフック掛止部を形成するための可動爪を有し、この
可動爪が中子設置時及びコンクリート注入時には中子本
体周部から外方に開いて固定形状を呈し、かつ、脱型時
には中子本体内に閉じて硬化したコンクリートブロック
から離脱するようにしたものである。

【００１４】また、上記中子をブロック芯に定置するた
めに、中子本体の底面中心位置に凹部を設け、フィルタ
ーシートを載置する底板の各ブロック芯相当位置に設け
た凸部と係合するようにしたものである。

【００１５】一方、透水性及び可撓性を有し土砂粒子不
通過性の繊維シート上に、多数のコンクリートブロック
の同時成形用の型枠をのせた後、コンクリート又はモル
タルのスラリーを注入してブロックを成形し、成形した
ブロックを硬化させることによりシートとブロックを一
体成形するようにした地表侵食防止用ブロックマットの
製造方法の改善において、上記製造方法の型枠設置工程
と脱型工程を変更し、型枠本体に中子を組合せてコンク
リート注入の１ショットごとに多数の中空コンクリート
ブロックをフィルターシート上に造形するようにした中
空コンクリートブロックマットの中空部の形成方法であ
って、型枠設置時にブロック芯に相当する位置に中子を
定置し、中子には成形後のブロックにおけるフック掛止
部を形成するための可動爪を設け、中子設置時及びコン
クリート注入時に該可動爪を中子本体周部から外方に開
いて形状を固定し、脱型時には該可動爪を中子本体内に
閉じて硬化したコンクリートブロックから離脱し、か
つ、中子と型枠本体を含む固定フレームとを二段階に引
き上げて脱型することを特徴とするものである。

【００１６】

【作用】鋳型ユニットを複数個連結した型枠本体とブロ
ック造形部ごとに用意される中子を組合せ、成形時にフ
ィルターシート上で各ブロックの中心部を鋳抜くことに
よりフィルターシートに一体化した多数の中空コンクリ
ートブロックを形成することができる。

【００１７】その際、ブロック芯相当位置に定置される
中子が可動爪を有することにより、この可動爪が中子設
置時及びコンクリート注入時には中子本体周部から外方
に開いて固定形状を呈し、かつ、脱型時には中子本体内
に閉じて硬化したコンクリートブロックから離脱する。

【００１８】これにより、硬化後の中空コンクリートブ
ロックにはフック掛止部が形成され、施工時又は輸送
時、重機によるブロックマット製品の全面を利用した荷
重均等な吊り上げ等が容易となる。

【００１９】また、施工時に植木鉢状の中空コンクリー
トブロックの中に種子、土、肥料を入れ、給水、降雨等
による積極的な緑化を図ることができるので、施工後直
ちに土壌表面保護機能を発揮し、連続ブロックによる景
観的模様が達成される。

【００２０】

【実施例】本発明の一実施例を添付図面にしたがって以
下に説明する。図１は、型枠本体の基本形状と配列パタ
ーンを説明する平面図及び横断面概略図（Ｘ−Ｘ断面）
である。ここで、１が型枠本体、1aが鋳型ユニットＡ、
1bが鋳型ユニットＢ、２が固定フレーム、３が中子（本
体）、８が底板及びＯがブロック芯である。

【００２１】図１に示すように、中空コンクリートブロ
ック造形用の型枠本体となる鋳型ユニットＡ（1a）を固
定フレーム内に複数個連結してゆき連結方向の一端（終
端）に鋳型ユニットＢ（1b）を組み合わせて連結を完了
し、所望のマット面積及びマット概外形を確保する。端
部用の鋳型ユニットＢ（1b）は、鋳型ユニットＡ（1a）
を半分に切断したものである。なお、図中両端部にあら
われた半円形の実線部分は蓋板を示す。

【００２２】図２は、中子の断面図及び底面図（Ｙ−Ｙ
断面）である。ここで、３が中子（本体）、４が可動爪
及び５が凹部、６がブロック（部）、７がフィルターシ
ート、８が底板及び９が凸部である。

【００２３】図３は、中空コンクリートブロックマット
（製品）のブロック配列の詳細を示す平面説明図であ
る。ここで、10が中空コンクリートブロック、11が中空
部及び12がフック掛止部である。

【００２４】図４は、中子の可動爪の動作を説明する断
面概略図であり、（ａ）が設置時、（ｂ）が脱型開始時
及び（ｃ）が脱型完了時を示す。

【００２５】図１に示すように、中空コンクリートブロ
ック造形用の型枠本体（１）となる鋳型ユニットＡ（1
a）を固定フレーム（２）内に複数個連結してゆき連結
方向の一端（終端）に鋳型ユニットＢ（1b）を組み合わ
せて連結を完了し、所望のマット面積及びマット概外形
を確保する。端部用の鋳型ユニットＢ（1b）は、鋳型ユ
ニットＡ（1a）を半分に切断したものである。

【００２６】図２及び図４に示すように、ブロック芯
（Ｏ）相当位置に定置される中子（３）は、成形後のブ
ロック（６）におけるフック掛止部（12）を形成するた
めの可動爪（４）を有している。この可動爪（４）が中
子設置時及びコンクリート注入時には中子本体（３）周
部から外方に開いて固定形状を呈し、かつ、脱型時には
中子本体（３）内に閉じて硬化したブロック部（６）か
ら離脱するようにしている。

【００２７】また、中子（３）をブロック芯（Ｏ）に定
置するために、中子本体（３）の底面中心位置に凹部
（５）を設け、フィルターシート（７）を載置する底板
（８）の各ブロック芯（Ｏ）相当位置に設けた凸部
（９）と係合するようにしている。（図２）

【００２８】図３に中空コンクリートブロックマット
（製品）のブロック配列の詳細を示すように、本発明型
枠を使用して連続する中空コンクリートブロック（10）
による景観的模様が達成される。各ブロック（10・・1
0）間は雨水の流路であり、植木鉢状の中空部（11）は
植生の活着を得る場所であって、施工時、種子、土、肥
料等を入れる。

【００２９】上記型枠を用いた中空コンクリートブロッ
クマットの製造については、公知の「地表侵食防止用ブ
ロックマットの製造方法」（特公平１−５２１７９号）
に準じたものであってよいが、中空部の形成に係る中子
の組入れを新たに導入するために型枠設置工程と脱型工
程を変更したものとなっている。

【００３０】この改善された中空コンクリートブロック
マットにおける中空部の形成方法は、型枠本体に中子を
組合せてコンクリート注入の１ショットごとに多数の中
空コンクリートブロックをフィルターシート上に造形す
るようにしたものである。

【００３１】すなわち、型枠設置時にブロック芯（Ｏ）
に相当する位置に中子（３）を定置し、中子（３）には
成形後のブロック（６）におけるフック掛止部（12）を
形成するための可動爪（４）を設け、中子設置時及びコ
ンクリート注入時に該可動爪（４）を中子本体（３）周
部から外方に開いて形状を固定し、脱型時には該可動爪
（４）を中子本体（３）内に閉じて硬化したブロック
（６）から離脱し、かつ、中子（３）と型枠本体（１）
を含む固定フレーム（２）とを二段階に引き上げ動作し
て脱型することを特徴としている。（図４）

【００３２】ここで、上記脱型工程における二段階引き
上げ機構について補足して説明すると、型枠本体は抜き
勾配をつけることにより容易に製品が脱型できるが、本
発明では中子に可動爪を設けているために、まず型枠本
体で製品を押さえた状態で中子を引き上げ、製品から中
子が抜けた後つづいて型枠本体を引き上げるものとして
いる。この二段階引き上げ機構を有する脱型装置は、型
枠吊り上げ治具として別途開発されており（図示省
略）、引き上げられた型枠は（すでに中子を含み組立て
が完了しているので）そのまま新たな底板の上にセット
され、つぎのショットに供される。したがって量産可能
かつコスト低減可能である。

【００３３】こうして、緑化の植生が確実かつ積極的な
保護工に寄与し、施工能率の向上及び製造コストの低減
が可能な中空コンクリートブロックマット製造用型枠が
提供できるが、本発明の保護範囲において、利用先に応
じてブロック模様（形状，配置等）の改変は自由であ
る。

【００３４】

【発明の効果】本発明は以上の構成よりなるものであ
り、これによれば鋳型ユニットを複数子連結した型枠本
体と中子を組合せ、フィルターシート上で多数のブロッ
クの各中心部を鋳抜くことによりフィルターシートに一
体化した多数の中空コンクリートブロックを形成するの
で、１ショットで一のブロックマットを簡易かつ能率良
く大量に製造することができ、しかも工場生産可能又は
現場施工可能である。

【００３５】これにより、硬化後の各コンクリートブロ
ックにはフック掛止部が形成され、施工時又は輸送時、
重機によるブロックマット製品の全面を利用した荷重均
等な吊り上げ等が容易となるので、盛土及び緩い切土斜
面に直接敷き、固定し、連続敷設することができ、施工
能率の高い経済的工法を提供することができる。

【００３６】また、本発明型枠を用いた中空コンクリー
トブロックマット製品は、施工時に植木鉢状の中空コン
クリートブロックの中に種子、土、肥料を入れ、給水、
降雨等による積極的な緑化を図ることができるので、施
工により直ちに土壌表面保護機能を発揮し、連続ブロッ
クによる景観的模様が達成される。このことにより、ブ
ロック被覆工でありながら、自然な景観での緑化を可能
とする一貫緑化工法として寄与することが期待できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明型枠の一実施例である型枠本体の基本形
状と配列パターンを説明する平面図及び横断面概略図
（Ｘ−Ｘ断面）である。

【図２】同じく中子の断面図及び底面図（Ｙ−Ｙ断面）
である。

【図３】本発明型枠により製造された中空コンクリート
ブロックマット（製品）のブロック配列の詳細を示す平
面説明図である。

【図４】本発明型枠及び中空部の形成方法に係る中子の
可動爪の動作を説明する断面概略図であり、（ａ）が設
置時、（ｂ）が脱型開始時及び（ｃ）が脱型完了時を示
す。

【符号の説明】

１ 型枠本体 1a 鋳型ユニットＡ 1b 鋳型ユニットＢ ２ 固定フレーム ３ 中子（本体） ４ 可動爪 ５ 凹部 ６ ブロック（部） ７ フィルターシート ８ 底板 ９ 凸部 10 中空コンクリートブロック（製品） 11 中空部 12 フック掛止部 Ｏ ブロック芯

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 斜面の保護工に緑化工法を採用する際に
   使用されるブロックマットの製造において、フィルター
   シート上に多数の中空コンクリートブロックを一体成形
   するために、型置き及びコンクリート注入から脱型まで
   の１ショットごとに一のブロックマットを工場生産可能
   又は現場施工可能とする中空コンクリートブロックマッ
   ト製造用型枠であって、中空コンクリートブロック造形
   用の型枠本体となる鋳型ユニットと、該鋳型ユニットを
   複数個連結して所望のマット面積及びマット概外形を確
   保し一時に脱型するための固定フレームと、鋳型ユニッ
   ト連結後の個々のブロック造形部について用意される中
   空部形成用の中子を具備し、脱型後フィルターシート上
   に連続ブロック模様を形成するようにしたことを特徴と
   する中空コンクリートブロックマット製造用型枠。
2. 【請求項２】 中子が成形後のブロックにおけるフック
   掛止部を形成するための可動爪を有し、この可動爪が中
   子設置時及びコンクリート注入時には中子本体周部から
   外方に開いて固定形状を呈し、かつ、脱型時には中子本
   体内に閉じて硬化したブロックから離脱するようにした
   ものである請求項１記載の中空コンクリートブロックマ
   ット製造用型枠。
3. 【請求項３】 中子をブロック芯に定置するために、中
   子本体の底面中心位置に凹部を設け、フィルターシート
   を載置する底板の各ブロック芯相当位置に設けた凸部と
   係合するようにした請求項１又は２記載の中空コンクリ
   ートブロックマット製造用型枠。
4. 【請求項４】 透水性及び可撓性を有し土砂粒子不通過
   性の繊維シート上に、多数のコンクリートブロックの同
   時成形用の型枠をのせた後、コンクリート又はモルタル
   のスラリーを注入してブロックを成形し、成形したブロ
   ックを硬化させることによりシートとブロックを一体成
   形するようにした地表侵食防止用ブロックマットの製造
   方法の改善において、上記製造方法の型枠設置工程と脱
   型工程を変更し、型枠本体に中子を組合せてコンクリー
   ト注入の１ショットごとに多数の中空コンクリートブロ
   ックをフィルターシート上に造形するようにした中空コ
   ンクリートブロックマットの中空部の形成方法であっ
   て、型枠設置時にブロック芯に相当する位置に中子を定
   置し、中子には成形後のブロックにおけるフック掛止部
   を形成するための可動爪を設け、中子設置時及びコンク
   リート注入時に該可動爪を中子本体周部から外方に開い
   て形状を固定し、脱型時には該可動爪を中子本体内に閉
   じて硬化したコンクリートブロックから離脱し、かつ、
   中子と型枠本体を含む固定フレームとを二段階に引き上
   げて脱型することを特徴とする中空コンクリートブロッ
   クマットの中空部の形成方法。