JPH08151334A - リポソームおよびその製剤 - Google Patents

リポソームおよびその製剤

Info

Publication number
JPH08151334A
JPH08151334A JP29132994A JP29132994A JPH08151334A JP H08151334 A JPH08151334 A JP H08151334A JP 29132994 A JP29132994 A JP 29132994A JP 29132994 A JP29132994 A JP 29132994A JP H08151334 A JPH08151334 A JP H08151334A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liposome
acid
phosphatidylcholine
dha
docosahexaenoic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29132994A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuyoshi Yazawa
一良 矢澤
Kazuo Watabe
和郎 渡部
Tateji Yasuda
立二 保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sagami Chemical Research Institute
Original Assignee
Sagami Chemical Research Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sagami Chemical Research Institute filed Critical Sagami Chemical Research Institute
Priority to JP29132994A priority Critical patent/JPH08151334A/ja
Publication of JPH08151334A publication Critical patent/JPH08151334A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • A61K9/127Liposomes

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、生体内で安定性が高く薬物の放出
制御等に有用な、リポソームおよびドコサヘキサエン酸
のアスコルビン酸エステルを含有するその製剤を提供す
ること。 【構成】 ドコサヘキサエン酸が構成脂肪酸組成の10
%以上を占めるホスファチジルコリンを膜形成脂質とし
て含むリポソームおよびドコサヘキサエン酸のアスコル
ビン酸エステル(DHA−As)を含有するその製剤。 【効果】 本発明のリポソームは、生体内での安定性
が高く、薬物の放出制御等に有用であり、その製剤は、
例えば、DHA−Asの含有量が高く、かつ、優れた安
定性を有しており、DHA−Asを生体内で一定量づつ
放出することが可能であり、DHA−Asの有用な生理
活性を有効に作用させることが期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薬物の放出制御等に有
用な、ドコサヘキサエン酸が構成脂肪酸組成の10%以
上を占めるホスファチジルコリンを膜形成脂質として含
むリポソームおよびドコサヘキサエン酸のアスコルビン
酸エステルを含有するその製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】リポソームは、脂質人工膜より形成され
る小胞であり、生体との親和性がよく、生物的に分解可
能な素材からなり、種々の物質を保持させることが可能
であることから、種々のマイクロカプセルとして薬物等
をその小胞に含有させ、薬物の放出制御やドラッグデリ
バリーシステムに利用することが検討されている。
【0003】この目的のためには、リポソームは、少な
くとも薬物を放出し終わるまでは生体内で安定に存在
し、一定速度で封入薬物を放出することなどが要求され
る。生体内において、リポソームが破壊される要因の一
つとして、ホスフォリパーゼA 2(PLA2)の作用が知
られている。
【0004】従来、このリポソーム形成脂質としてのリ
ン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジ
ルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファ
チジルイノシトール、リゾホスファチジルコリン、スフ
ィンゴエミリン、卵黄ホスファチジルコリン、大豆ホス
ファチジルコリンや水添大豆ホスファチジルコリン等が
用いられ、グリセロリン脂質のアシル基は飽和アシル基
であるものがよいとされており(例えば、特開平6−9
374号公報等)、高度不飽和脂肪酸であるドコサヘキ
サエン酸を多く含有するホスファチジルコリンを膜形成
脂質とするリポソームが有用であることは全く知られて
いない。このドコサヘキサエン酸(DHA)には、同じ
n−3系列のイコサペンタエン酸(EPA)やα−リノ
レン酸には見られない、学習能向上作用、明度識別能向
上作用、抗アレルギー作用などが知られており、老人性
痴呆症や、成人病が深刻になりつつある現代社会におい
て、医薬品や健康食品或いは化粧品への応用が期待され
ている。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、生体内で
安定性が高く薬物の放出制御等に有用なリポソーム、お
よびドコサヘキサエン酸のアスコルビン酸エステルを含
有するその製剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究した結果、膜形成脂質とし
てドコサヘキサエン酸が構成脂肪酸組成の10%以上を
占めるホスファチジルコリンを用いると、常法により容
易にリポソームを形成しうる上、優れた安定性を有して
いることを見出した。更に、このドコサヘキサエン酸に
富んだ疎水部へのドコサヘキサエン酸のアスコルビン酸
エステルの親和性が高くなり、優れたリポソーム製剤を
形成しうることを見出し本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は、ドコサヘキサエン酸が構
成脂肪酸組成の10%以上を占めるホスファチジルコリ
ンを膜形成脂質として含むリポソーム、およびドコサヘ
キサエン酸のアスコルビン酸エステルを含有するその製
剤に関する。
【0008】本発明のリポソームの膜形成脂質としての
リン脂質は、ドコサヘキサエン酸が構成脂肪酸組成の1
0%以上を占めるホスファチジルコリンであれば何れで
もよいが、膜の安定性の点で、ドコサヘキサエン酸が2
5%以上であることがより好ましく、例えば、合成によ
り製造したホスファチジルコリンやイカの皮から分離し
たホスファチジルコリン(sPC)が好ましい。イカの
皮にはリン脂質が湿重量当り約2%含まれ、リン脂質の
約50%がコリン型リン脂質で、約20%がエタノール
アミン型リン脂質であり、このコリン型リン脂質の構成
脂肪酸のうち約50%をドコサヘキサエン酸が占めてい
る。PCの結合型としては、ジアシル型とアルキルアシ
ル型のいずれでもよいが、ジアシル型を多く含む方が好
ましい。
【0009】膜の形態は多重ラメラ小胞(MLV)と単
ラメラ小胞のいずれであってもよく、また、小さな単ラ
メラ小胞(SUV)であっても大きな単ラメラ小胞(L
UV)であってもよい。
【0010】原料のイカとしては、ムラサキイカ、アメ
リカオオアカイカ、ヤリイカ、コウイカ、ホタルイカ等
が挙げられる。イカの皮は、可食部を取った後の廃棄物
として大量に存在し、かつ実質的に無償で入手できる。
ホスファチジルコリンは、常法によりイカの皮から溶剤
分別した後、既存の吸着クロマトグラフィーとイオン交
換クロマトグラフィーを組み合わせることによって、ホ
スファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミン
を他のリン脂質から別個に容易に単離できる。
【0011】すなわち、脂質成分の抽出は、脂質成分の
抽出の前に、イカの皮を凍結乾燥した後、細かく砕いて
表面積を広げることが好ましく、通常、有機溶剤を用い
ることにより好適に達成される。用いられる有機溶媒と
しては、リン脂質を溶解する通常の溶媒を単独又は混合
して用いることができ、例えばクロロホルム、エーテ
ル、ブチルアルコール、クロロホルム−メタノール系、
n−ヘキサン−エタノール水系、クロロホルム−n−ヘ
キサン系、クロロホルム−エーテル系、クロロホルム−
エタノール系などが挙げられる。これらの溶媒のうち、
クロロホルム−メタノール系が好ましく、特に、クロロ
ホルムの比率が50%以上、より好ましくは65%以上
であることが脂質成分の抽出効率が良い点で望ましい。
【0012】次いで、得られた脂質成分を分画すること
により、DHAを含むリン脂質を取得できる。分画は、
一般に有機溶剤を除去した後、脂質成分からリン脂質を
分画するのに通常用いられる方法のいずれかにより行な
うことができるが、大量に処理できる点で、分別用溶剤
を加えて不溶性物質を分離する方法、すなわち溶剤分別
法により行なうことが好ましい。分別用溶剤としては、
通常、脂質の分別に用いられる有機溶剤を用いることが
でき、例えば、アセトン、酢酸、クロロホルム、エーテ
ルなどが挙げられる。これらの溶剤のうち、分画効率が
よい点で、特に、アセトンが好ましい。また、溶剤に塩
化マグネシウム、塩化カルシウムなどを添加し、その共
存下、分別を行ってもよく、必要に応じて加熱、冷却な
どを行ってもよい。更に、得られた画分をカラムクロマ
トグラフィーで再分画し、目的とするリン脂質の画分を
集めることにより、高純度のリン脂質組成物を高収率で
得ることができる。カラムクロマトグラフィーとして
は、シリカ系クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラ
フィー、イオン交換クロマトグラフィーなどを用いるこ
とができる。さらに、ホスファチジルコリンをホスファ
チジルエタノールアミン(PE)から分画するために
は、溶剤分別により得られたリン脂質組成物をまずシリ
カ系クロマトグラフィーに付してPEを分離したのち、
イオン交換クロマトグラフィーに付することによりホス
ファチジルコリンを分離することができる。
【0013】このようにして得られる各々のリン脂質
は、薄層クロマトグラフィーとNMRで分析してその種
類を同定することができ、更に常法によって、ケン化分
解、メチルエステル化、または、メタノリシスによっ
て、脂肪酸メチルエステルとした後、ガスクロマトグラ
フィーで分析して構成脂肪酸組成を求めることができ
る。
【0014】更に、これらのリン脂質をホスフォリパー
ゼA2で処理し、生成した遊離脂肪酸とリゾリン脂質を
薄層クロマトグラフィーで分画した後、上述のように脂
肪酸分析を行うことによって、脂肪酸のリン脂質分子内
分布を決定することができる。
【0015】上述の方法により得られるイカの皮から単
離したsPCの構成脂肪酸は、DHA、EPA、ステア
リン酸、パルミチン酸などであり、DHA含量は一般に
50%程度と高含量であった。
【0016】本発明のリポソーム及びその製剤は、上記
のようにして単離したホスファチジルコリンを用いて、
常法により調製することができる。
【0017】膜脂質の構成成分としては、上記ホスファ
チジルコリンの他にコレステロールおよび/または電荷
脂質を加えてリポソーム製剤を形成させても良く、電荷
脂質としては、例えば、PE、ホスファチジルグリセロ
ール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシト
ール、ホスファチジン酸、ジセチルリン酸、ステアリル
アミン、脂肪酸等を添加してもよい。また、膜安定化
剤、凍結保護剤、酸化防止剤として、コレステロール、
コレスタノール等のステロール類、糖、糖脂質、グリセ
リン、ポリエチレングリコールおよびトコフェロールや
アスコルビン酸等を添加することもできる。これらの添
加量はホスファチジルコリン1モルに対して1モル以下
が好ましく、その一例は、まず、上記のホスファチジル
コリンを、適当量のコレステロールおよびホスファチジ
ン酸と共に、溶媒に溶解させ、フラスコ等の容器中で溶
媒を除去して容器の内壁に均一に付着させる。この乾燥
物に蒸留水を加えて懸濁することにより、MLV型のリ
ポソームが得られる。また、同様に調製した乾燥物を凍
結乾燥し、凍結乾燥物をリン酸塩緩衝液(PBS)に懸
濁することにより、LUV型のリポソームが得られる。
このものを超音波破砕することにより、SUV型のリポ
ソームが得られる。
【0018】なお、本発明のリポソームには、常法に従
って、ヒトおよび動物用の医薬や検査薬をはじめとする
種々の薬物を含有させることができ、これら薬物を含む
リポソーム製剤も本発明の範囲である。特に、脂溶性の
ため水に溶け難く有機溶媒や可溶化剤等の使用が必要と
され、また、経口投与では消化器官内で分解を受ける可
能性が高く、多くの場合血中投与が好ましい投与形態
で、しかも、血液中での安定性の確保等が要求されてい
る、例えば、ドコサヘキサエン酸のアスコルビン酸エス
テルの如き、アスコルビン酸の抗酸化作用及びビタミン
C効果と高度不飽和脂肪酸の生理活性効果をあわせ持
ち、用途の応用性の高いアスコルビン酸エステル(特開
平3−99073号)で、循環器治療薬、特に狭心症、
心筋梗塞症のごとき虚血性心疾患および高血圧症の予防
及び治療に有効なカルシウム拮抗薬(WO94/200
92号)として有用な化合物が挙げられる。
【0019】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0020】
【実施例】
参考例1:イカの皮に含まれるリン脂質の単離と分析 湿重量10gのムラサキイカの皮を凍結乾燥し、1.6
gの乾燥物を得た。これを細かく砕いた後、クロロホル
ム:メタノール=2:1の混合溶剤で抽出し、0.26
gの脂質成分を得た。この脂質成分にアセトン40ml
を加え、冷却しながら撹拌を行い、中性脂質を分別濾過
し、アセトン不溶分0.22gを得た。これをシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーにかけ、クロロホルム:メ
タノール=85:15、80:20、75:25の順で
各々500ml、400ml、2000ml展開した。
これによって、PE及びその他のリン脂質混合物に分画
できた。次に、その他のリン脂質混合物をセファロース
カラムクロマトグラフィーにかけ、クロロホルム:メタ
ノール=1:4、酢酸、クロロホルム:メタノール=
1:4+酢酸アンモニウム(0.2%)を100mlづつで順
次展開した。これによって、他のリン脂質混合物からs
PCを単離できた。単離されたsPCとPEは各々0.
11gと0.04gであった。これらのリン脂質はNM
Rで各々の構造を確認した後、脂肪酸組成を分析したと
ころ、DHA、EPA、ステアリン酸、パルミチン酸は
sPCでは各々51%、5%、2%、33%、PEでは
19%、33%、12%、6%であった。又、これらの
脂肪酸の分子内分布を分析したところ、sPCのsn−
2位はすべてDHAであった。PEのsn−2位はDH
A又はEPAであった。
【0021】参考例2:イカの皮に含まれるリン脂質の
単離と分析 湿重量30gのムラサキイカの皮を凍結乾燥し、4.8
gの乾物を得た。これを細かく砕いた後、クロロホル
ム:メタノール=2:1の混合溶剤で抽出し、0.61
gの脂質成分を得た。この脂質成分にアセトン40ml
を加え、冷却しながら撹拌を行い、中性脂質を分別濾過
し、アセトン不溶分0.54gを得た。これをシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーにかけ、クロロホルム:メ
タノール=85:15、80:20、75:25の順で
各々500ml、400ml、2000ml展開した。
これによって、PE及びその他のリン脂質混合物に分画
できた。次に、その他のリン脂質混合物をセファロース
カラムクロマトグラフィーにかけ、クロロホルム:メタ
ノール=1:4、酢酸、クロロホルム:メタノール=
1:4+酢酸アンモニウム(0.2%)を100mlづつで順
次展開した。これによって、その他のリン脂質混合物か
らsPCを単離できた。単離されたsPCとPEは各々
0.29gと0.15gであった。これらのリン脂質は
NMRで各々の構造を確認した後、脂肪酸組成を分析し
たところ、DHA、EPA、ステアリン酸、パルミチン
酸はsPCでは各々49%、6%、2%、33%、PE
では18%、33%、11%、6%であった。又、これ
らの脂肪酸の分子内分布を分析したところ、sPCのs
n−2位はすべてDHAであった。PEのsn−2位は
DHA又はEPAであった。
【0022】実施例1:リポソームの調製 参考例1で単離されたsPCとコレステロール(chol)と
ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)とを8:
5:1のモル比でクロロホルム/メタノール=2/1の
混合溶媒に溶解した。この溶液をナシ型フラスコに入
れ、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去し
た。脂質膜がフラスコ内壁に均一に形成されるように、
必要に応じてクロロホルムを0.2ml加えて、再度エ
バポレーターで溶媒を留去した。真空ポンプで0.5〜
1時間減圧に保ったのち、蒸留水約0.6mlに懸濁
し、ネジ口試験管に移して凍結乾燥した。PBS-(0.8%
NaCl, 0.02% KCl, 0.115% Na2HPO4, 0.02% KH2PO4) 2
mlに懸濁し、0.1M CaCl2 0.5mlを添加
して二つに分け、一方は超音波破砕を行った。400倍
の光学顕微鏡を用いての観察の結果、超音波破砕を行っ
た試料は、粒子径1μm以下のリポソーム(以下、sP
C/SUVと略称する)であり、破砕を行わなかった試
料は粒子径が〜1μm程度のリポソーム(以下、sPC
/LUVと略称する)であることが確認された。
【0023】参考例3:リポソームの調製 sPCを大豆ホスファチジルコリン(大豆PC)に代
え、モル比を大豆PC/chol/DPPA=4:5:
1として、実施例1と同様の操作を行って、大豆PC由
来のリポソーム(以下、大豆PC/LUVおよび大豆P
C/SUVと略称する)を調製した。
【0024】試験例1 sPC/LUV、sPC/SUV、大豆PC/LUVお
よび大豆PC/SUVの各リポソーム溶液を0.2ml
づつ4本のネジ口試験管に分注し、1本は反応0時間の
試料として氷中保存した。残り3本にブタ膵臓由来PL
2を10μl(11単位)添加し、37℃で10,2
0,60分間インキュベーションしたのち、10mM
EGTA 30μlを添加して反応を停止した。各試料
からフォルチの方法に準じて脂質を抽出し、シリカゲル
薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/
水=65/25/2)を行った。遊離酸画分をかきと
り、塩酸−メタノール法で脂肪酸メチルエステルに変換
し、ガスクロマトグラフィーで定量した。sPC/LU
VとsPC/SUVについてはドコサヘキサエン酸(2
2:6(n-3) )、大豆PC/LUVと大豆PC/SUVに
ついてはリノール酸(18:2( n-6))に関して、それぞれ
遊離酸のモル数(nmol)の、ホスファチジルコリン中の
対応する酸のモル数に対する割合(加水分解率、%)を
算出して比較した。結果を図1と図2に示す。
【0025】これらの結果から、本発明のドコサヘキサ
エン酸を多く含むホスファチジルコリンより調製された
リポソームは、一般的な大豆PCを含むリポソームに比
べて、遊離した酸の量は少なく、酵素による分解に対し
て優れた安定性を有することが明らかである。
【0026】実施例2:イカの皮から得たホスファチジ
ルコリン(sPC)を用いたドコサヘキサエン酸のアス
コルビン酸エステルを含有するリポソームの調製 参考例1で単離されたsPC 5μmol 、ドコサヘキサエ
ン酸のアスコルビン酸エステル(DHA−As)4 μmo
l 、DPPA0.5 μmol 、コレステロール 2.5μmol を
クロロホルムに溶解し、ナシ型フラスコに移し、脂質膜
がフラスコ内に均一に形成されるように、ロータリーエ
バポレーターを用いて溶媒を留去した後、真空ポンプで
更に減圧乾燥した。次に、フラスコ内に蒸留水 0.2mlを
加えて、この薄膜を懸濁した。得られたMLV型のリポ
ソームの粒子径は、400倍の光学顕微鏡を用いて観察
の結果、1μm以下であることが確認された。
【0027】参考例4:卵黄PC(ePC)を用いたド
コサヘキサエン酸のアスコルビン酸エステルを含有する
リポソームの調製 ePC 5μmol、DHA−As4μmol、DPP
A0.5μmol、コレステロール 2.5μmolをク
ロロホルムに溶解し、実施例1と同様の方法により、M
LV(DHA-As/ePC)を得た。
【0028】参考例5:ジパルミトイルPC(DPP
C)を用いたドコサヘキサエン酸のアスコルビン酸エス
テルを含有するリポソームの調製 DPPC5μmol、DHA−As4μmol、DPP
A0.5μmol、コレステロール 2.5μmolを
クロロホルムに溶解し、実施例1と同様の方法により、
MLV(DHA-As/DPPC)を得た。
【0029】試験例2:ドコサヘキサエン酸のアスコル
ビン酸エステルを含有するリポソームの安定性 実施例2、参考例4、5で得たMLVのリポソーム溶液
0.2mlにPBS-(0.8% Na Cl, 0.02% KCl, 0.115%
NaHPO4, 0.02% KH2PO4)0.8mlを加え懸濁し、各
リポソーム溶液を0.2mlづつ3本のネジ付試験管に
分注して、1本は反応0時間の試料とした。残り2本は
37℃で、12、24時間放置後の試料とした。この試
料を遠心分離(14,000rpm(約24,000×g))し、リポソー
ムを分離した。リポソームはPBS-で2回洗浄後、更
に遠心分離し、脂質をフォルチの方法に従って抽出し
た。この脂質をシリカゲルTLCに展開してホスファチ
ジルコリンとDHA−Asをかき取り、塩酸−メタノー
ル法で各々の構成脂肪酸メチルエステルを調製してGL
C分析を行い、脂肪酸組成を調べた。その結果を図3〜
5にまとめた。
【0030】sPCを用いた場には、図3より明らかな
ように、MLVの生成量はePCやDPPCを用いた場
合よりも少ないが、PC量の経時変化は最も少なく安定
であった。そして、MLVに含まれるDHA−As量の
変動も、sPCより調製したMLVはePCやDPPC
よりもDHA−Asを安定して保持(図4)していた。
更に、このsPCのMLVはDHA−Asを多く含有
(図5)していた。
【0031】
【発明の効果】本発明のリポソームは、膜形成脂質とし
てDHAを高濃度で含むホスファチジルコリンを用いる
ことにより、生体内で高い安定性を有しており、更に、
その製剤は、例えば、有用な生理作用を有するDHA−
Asを高濃度で含有することができ、かつ、生体内での
DHA−Asの放出を制御することが可能となり、DH
A−Asの有する生理活性を有効に作用させることが期
待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたsPC/LUVおよび参考
例3で得られた大豆PC/LUVのPLA2に対する安
定性試験結果を示すグラフである。
【図2】実施例1で得られたsPC/SUVおよび参考
例3で得られた大豆PC/SUVのPLA2に対する安
定性試験結果を示すグラフである。
【図3】実施例1、参考例4及び参考例5で得られた各
種PCを素材としたDHA−Asを含むMLVの37℃
における経時変化をPCの量で示す。
【図4】実施例1、参考例4及び参考例5で得られた各
種PCを素材としたMLVの37℃における経時変化を
DHA−Asの量で示す。
【図5】実施例1、参考例4及び参考例5で得られた各
種PCを素材としたMLVの37℃における経時変化を
DHA−As/PC比で示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年8月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】実施例1:リポソームの調製 参考例1で単離されたsPCとコレステロール(chol)と
ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)とを8:
5:1のモル比でクロロホルム/メタノール=2/1の
混合溶媒に溶解した。この溶液をナシ型フラスコに入
れ、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去し
た。脂質膜がフラスコ内壁に均一に形成されるように、
必要に応じてクロロホルムを0.2ml加えて、再度エ
バポレーターで溶媒を留去した。真空ポンプで0.5〜
1時間減圧に保ったのち、蒸留水約0.6mlに懸濁
し、ネジ口試験管に移して凍結乾燥した。PBS-(0.8%
NaCl, 0.02% KCl, 0.115% Na2HPO4, 0.02% KH2PO4) 2
mlに懸濁し、0.1M CaCl2 0.5mlを添加
して二つに分け、一方は超音波破砕を行った。超音波破
砕を行った試料は、sPC/SUV、破砕を行わなかっ
た試料はsPC/LUVと略称する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドコサヘキサエン酸が構成脂肪酸組成の
    10%以上を占めるホスファチジルコリンを膜形成脂質
    として含むリポソーム。
  2. 【請求項2】 ホスファチジルコリンが、イカの皮から
    単離したホスファチジルコリンであることを特徴とする
    請求項1に記載のリポソーム。
  3. 【請求項3】 ドコサヘキサエン酸のアスコルビン酸エ
    ステルを含有する、請求項1に記載のリポソーム製剤。
JP29132994A 1994-11-25 1994-11-25 リポソームおよびその製剤 Pending JPH08151334A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29132994A JPH08151334A (ja) 1994-11-25 1994-11-25 リポソームおよびその製剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29132994A JPH08151334A (ja) 1994-11-25 1994-11-25 リポソームおよびその製剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08151334A true JPH08151334A (ja) 1996-06-11

Family

ID=17767508

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29132994A Pending JPH08151334A (ja) 1994-11-25 1994-11-25 リポソームおよびその製剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08151334A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5955459A (en) * 1997-11-26 1999-09-21 Neuromedica, Inc. Fatty acid-antipsychotic compositions and uses thereof
US5977174A (en) * 1997-11-26 1999-11-02 Neuromedica, Inc. Cholinergic compositions and uses thereof
US6107499A (en) * 1988-02-26 2000-08-22 Neuromedica, Inc. Dopamine analog amide
US6153653A (en) * 1997-11-26 2000-11-28 Protarga, Inc. Choline compositions and uses thereof
US6197764B1 (en) 1997-11-26 2001-03-06 Protarga, Inc. Clozapine compositions and uses thereof
US6437002B1 (en) 1998-05-15 2002-08-20 Showa Denko K.K. Agent for preventing and treating skin diseases
US6828306B2 (en) 2000-07-31 2004-12-07 Ottawa Heart Institute Research Corporation Charged lipid compositions and methods for their use
WO2007046386A1 (ja) * 2005-10-17 2007-04-26 Cosmo Foods Co., Ltd. 有用リン脂質組成物を含む機能性素材及び機能性食品
JP2008179563A (ja) * 2007-01-24 2008-08-07 Cosmo Shokuhin Kk 有用リン脂質組成物を含む機能性素材及び機能性食品
US7439267B2 (en) 2001-01-25 2008-10-21 Pfizer Italia S.R.L. Essential n-3 fatty acids in cardiac insufficiency and heart failure therapy
JP2012529502A (ja) * 2009-06-08 2012-11-22 エピターゲット・アーエス 非ラメラ形成ホスファチジルコリンを含む音響感受性薬物送達粒子
CN104394850A (zh) * 2012-02-16 2015-03-04 布莱特赛德创新有限公司 膳食和营养组合物及应用的方法

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6107499A (en) * 1988-02-26 2000-08-22 Neuromedica, Inc. Dopamine analog amide
US5977174A (en) * 1997-11-26 1999-11-02 Neuromedica, Inc. Cholinergic compositions and uses thereof
US6153653A (en) * 1997-11-26 2000-11-28 Protarga, Inc. Choline compositions and uses thereof
US6197764B1 (en) 1997-11-26 2001-03-06 Protarga, Inc. Clozapine compositions and uses thereof
US5955459A (en) * 1997-11-26 1999-09-21 Neuromedica, Inc. Fatty acid-antipsychotic compositions and uses thereof
US6437002B1 (en) 1998-05-15 2002-08-20 Showa Denko K.K. Agent for preventing and treating skin diseases
US7390783B2 (en) 2000-07-31 2008-06-24 Ottawa Heart Institute Research Corporation Charged phospholipid compositions and methods for their use
US6828306B2 (en) 2000-07-31 2004-12-07 Ottawa Heart Institute Research Corporation Charged lipid compositions and methods for their use
US7439267B2 (en) 2001-01-25 2008-10-21 Pfizer Italia S.R.L. Essential n-3 fatty acids in cardiac insufficiency and heart failure therapy
JP2007110904A (ja) * 2005-10-17 2007-05-10 Cosmo Shokuhin Kk 有用リン脂質組成物を含む機能性素材及び機能性食品
WO2007046386A1 (ja) * 2005-10-17 2007-04-26 Cosmo Foods Co., Ltd. 有用リン脂質組成物を含む機能性素材及び機能性食品
JP2008179563A (ja) * 2007-01-24 2008-08-07 Cosmo Shokuhin Kk 有用リン脂質組成物を含む機能性素材及び機能性食品
JP2012529502A (ja) * 2009-06-08 2012-11-22 エピターゲット・アーエス 非ラメラ形成ホスファチジルコリンを含む音響感受性薬物送達粒子
CN104394850A (zh) * 2012-02-16 2015-03-04 布莱特赛德创新有限公司 膳食和营养组合物及应用的方法
JP2015514683A (ja) * 2012-02-16 2015-05-21 ブライトサイド イノベーションズ,インコーポレイティド 食品性栄養組成物および使用方法
US20150182542A1 (en) * 2012-02-16 2015-07-02 Brightside Innovations, Inc. Dietary and nutritional compositions and methods of use
US10888572B2 (en) 2012-02-16 2021-01-12 Bio-Up Mimetic Technologies, Inc. Dietary and nutritional compositions and methods of use

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Van Hoogevest et al. The use of natural and synthetic phospholipids as pharmaceutical excipients
FI92463C (fi) Menetelmä sterolirakkuloiden valmistamiseksi ja yhdisteen sulkemiseksi niiden sisään
US5658898A (en) Intravenous solutions for a derivative of staurosporine
JPH08208457A (ja) ステロールリポソームの調製方法
JPH08151334A (ja) リポソームおよびその製剤
EP0292403A2 (en) Prostaglandin-lipid formulations
JPH0617309B2 (ja) アドリアマイシン包埋リポソ−ム製剤
JP3187622B2 (ja) リポソーム
Nacka et al. In vitro behavior of marine lipid‐based liposomes. Influence of pH, temperature, bile salts, and phospholipase A2
JP2008285459A (ja) リポソーム製剤の製造方法
JP2002526399A (ja) グルコシドパウキラメラベシクル
KR102096391B1 (ko) 액상결정 구조체를 형성하는 오메가-3-지방산 조성물
EP0416527A2 (en) Prostaglandin-containing liposome preparations
CA2285985C (en) A method for preparing aqueous liposomal compositions comprising an active ingredient which is highly insoluble in water
Arpita et al. Liposomes–a review
EP1140089A1 (en) Liposomic niflumic acid - new transdermal anti-inflammatory medicine
JP3531876B2 (ja) ドコサヘキサエン酸を含むリン脂質組成物の取得方法
JPH04356421A (ja) プロスタグランジン類含有脂肪小体組成物
JPH0768157A (ja) リポソーム
JP3399009B2 (ja) リポソームの製造方法
JP2911550B2 (ja) リポソーム製剤
JPH0446129A (ja) 新規なリポソーム形成助剤
JPH01174355A (ja) 経皮、経粘膜による物質の吸収を促進する組成物
JP2717510B2 (ja) 苦味低減化剤の製造法
Anandrao et al. A COMPREHENSIVE REVIEW ON LIPOSOMES: A NOVEL DRUG DELIVERY SYSTEM