JPH08143801A - 記録液 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 水性媒体と、遊離酸の形が下記一般式〔III
〕で表わされる色素並びに一般式〔Ｉ〕及び／又は〔I
I〕で表わされる色素とを含有することを特徴とする記
録液。 【化１】 【効果】 記録画像の耐水性が良好で、所望の色調、か
つ高色濃度の黒色画像を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は記録液に関するものであ
る。詳しくはインクジェット記録に適した黒色系記録液
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】直接染料や酸性染料の水溶性色素を含む
記録液の液滴を微小な吐出オリフィスから飛翔させて記
録を行う、所謂インクジェット記録方法が実用化されて
いる。この記録液に関しては、長時間安定した吐出が可
能であることの他、電子写真用紙等のＰＰＣ（プレイン
ペーパー コピア）用紙、ファンホールド紙（コンピ
ューター等の連続用紙）等の一般事務用に汎用される記
録紙に対する定着が速く、しかも印字物の印字品位が良
好であること、即ち印字に滲みがなく輪郭がはっきりし
ていることが要求されると共に、記録液としての保存時
の安定性も優れていることが必要であるので、記録液に
使用できる溶剤は著しく制限される。

【０００３】一方、記録液用の色素に関しては、上記の
ような限られた溶剤に対して充分な溶解性を有すると共
に、記録液として長時間保存した場合にも安定であり、
また印字された画像の濃度が高く、かつ真の黒度に近い
色相を有ししかも耐水性、耐光性に優れていること等が
要求されるが、これ等の多くの要求を同時に満足させる
ことは困難であった。

【０００４】このため種々の方法（例えば特開昭５５−
１４４０６７号、特開昭５５−１５２７４７号、特開昭
５７−２０７６６０号、特開昭５８−１４７４７０、特
開昭６２−１９０２６９号、特開昭６２−１９０２７１
号、特開昭６２−１９０２７２号、特開昭６２−２５０
０８２号、特開昭６２−２４６９７５号、特開昭６２−
２５７９７１号、特開昭６２−２８８６５９号、特開昭
６３−８４６３号、特開昭６３−２２８６７号、特開昭
６３−２２８７４号、特開昭６３−３０５６７号、特開
昭６３−３３４８４号、特開昭６３−６３７６４号、特
開昭６３−１０５０７９号、特開昭６４−３１８７７
号、特開平１−９３３８９号、特開平１−２１０４６４
号、特開平２−１４０２７０号、特開平３−１６７２７
０号、特開平３−２００８８２号等各公報参照）が提案
されているが、性能上市場の要求を充分に満足するとと
もに製造の容易な色素の開発には至っていない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、インクジェ
ット記録用及び筆記用具用等として、普通紙に記録した
場合にも印字品位が良好であると共に、記録画像の濃度
が高く、耐水性や耐光性に優れており、長時間保存した
場合の安定性が良好である記録液を提供することを目的
とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、記録液成
分として特定構造の黒色色素を併用した場合に、特に上
記の目的を満足する性能が得られることを確認し本発明
を達成したものである。即ち本発明の要旨は、水性媒体
と、遊離酸の形が前記一般式〔III 〕で表される色素並
びに一般式〔Ｉ〕及び／又は〔II〕で表される色素とを
含有する記録液に存する。

【０００７】以下本発明を詳細に説明する。本発明にお
いて用いられる色素は、前記一般式〔III 〕で表される
色素並びに一般式〔Ｉ〕及び／又は〔II〕で表わされ
る。詳しくは前記一般式〔Ｉ〕、〔II〕及び〔III 〕に
おいて、Ａ₁ 、Ａ₂ 、Ｄ₁、Ｄ₂ は各々独立に水素原
子、炭素数１〜４のアルキル基（例えば、メチル基、エ
チル基、ｎ−プロピル基、ｉ−プロピル基、ｎ−ブチル
基等の直鎖又は分岐のアルキル基）、炭素数１〜４のア
ルコキシ基（例えば、メトキシ基、エトキシ基、ｎ−プ
ロポキシ基、ｉ−プロポキシ基、ｎ−ブトキシ基等の直
鎖又は分岐のアルコキシ基）及び炭素数２〜５のアシル
アミノ基（例えば、アセチルアミノ基、ｎ−プロパノイ
ルアミノ基等）を表わす。

【０００８】水素原子以外のＡ₁ とＡ₂ 、Ｄ₁ とＤ₂ は
それぞれベンゼン環の対象の位置に置換するのが良い。
またＥは炭素数１〜４のアルキル基（Ａ₁ 、Ａ₂ 、
Ｄ₁ 、Ｄ₂ で表わされるアルキル基と同じ）を表わし、
Ｒ¹ 〜Ｒ¹¹は各々独立に水素原子、炭素数１〜８のアル
キル基、（Ｅで表わされるアルキル基、及びｎ−ヘキシ
ル基、ｎ−オクチル基）、シクロヘキシル基、カルボキ
シル基で置換されていても良いフェニル基（例えば、フ
ェニル基、メタカルボキシフェニル基、ｐ−カルボキシ
フェニル基、３，５−ジカルボキルフェニル基等）を表
わし、Ｒ¹²は水素原子又はカルボキシル基で置換されて
いてもよいフェニル基（Ｒ¹ 〜Ｒ¹¹で表わされるフェニ
ル基と同じ）を表わし、Ｒ₁ とＲ ₂ 、Ｒ₃ とＲ₄ 、Ｒ₅
とＲ₆ 、Ｒ₈ とＲ₉ 、Ｒ₁₀とＲ₁₁の少なくとも一方が水
素原子である方が良い。Ｇはスルホ基又はカルボキシル
基を表わし、ｌ、ｍは各々１又は２を表わす。

【０００９】本発明で使用される色素は一般式〔Ｉ〕、
〔II〕又は〔III 〕で示される遊離酸の形のまま使用し
てもよいが、製造時塩の形で得られた場合はそのまま使
用してもよいし、所望の塩の形に変換してもよい。また
酸基の一部が塩の形のものであってもよく、塩の形の色
素と遊離酸の形の色素が混在していてもよい。このよう
な塩の例としてはＮａ、Ｌｉ、Ｋ等のアルカリ金属の
塩、アルキル基、ヒドロキシアルキル基で置換されてい
てもよいアンモニウムの塩、有機アミンの塩等があげら
れる。有機アミンの例としては、低級アルキルアミン、
ヒドロキシ置換低級アルキルアミン、カルボキシ置換低
級アルキルアミン及び炭素数２〜４のアルキレンイミン
単位を２〜１０個有するポリアミン等があげられる。こ
れらの塩の場合、その種類は１種類に限られず複数種混
在していてもよい。また、本発明で使用する色素の構造
において、その１分子中に酸基が複数個含まれる場合
は、その複数の酸基は塩型あるいは酸型の互いに異なる
ものであってもよい。

【００１０】これ等の色素の具体例としては、例えば以
下のＮｏ．１〜Ｎｏ．１６に示す構造のアゾ系色素が挙
げられる。 一般式〔Ｉ〕の色素の例

【００１１】

【化２】

【００１２】

【化３】

【００１３】一般式〔II〕の色素の例

【００１４】

【化４】

【００１５】

【化５】

【００１６】一般式〔III 〕の色素の例

【００１７】

【化６】

【００１８】

【化７】

【００１９】一般式〔Ｉ〕、〔II〕及び〔III 〕で示さ
れるアゾ系色素は、それ自体周知の方法〔例えば、細田
豊著「新染料化学」（昭和４８年１２月２１日 技報堂
発行）第３９６〜４０９頁参照〕に従って、ジアゾ化、
カップリング工程及びトリアジニル化工程を経て製造す
る事ができる。記録液中における前記一般式〔III 〕並
びに〔Ｉ〕及び／又は〔II〕の染料の含有量としては、
記録液全量に対して１〜６重量％、特に２〜４重量％程
度が好ましい。

【００２０】又、〔Ｉ〕及び／又は〔II〕の色素と〔II
I 〕の色素の混合比率としては２０／８０〜８０／２
０、好ましくは４０／６０〜６０／４０が挙げられる。
〔Ｉ〕あるいは〔II〕で表わされる色素はおよそ青味黒
色であり〔III 〕で表わされる色素はおよそ茶味黒色で
あるが、これらを併用することによって、真の黒色に近
付けることが可能となる他、配合比率の調整によって、
黒色の範囲で、好みの色調を得ることができる。

【００２１】本発明に用いられる水性媒体としては、水
及び水溶性有機溶剤が用いられ、例えばエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール（＃２００）、ポリエチレングリコー
ル（＃４００）、グリセリン、Ｎ−メチルピロリドン、
Ｎ−エチルピロリドン、１，３−ジメチルイミダゾリジ
ノン、チオジエタノール、ジメチルスルホキシド、エチ
レングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコー
ルモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、２−ピロリドン、スルホラン、エチルアル
コール、イソプロパノール等を含有しているのが好まし
い。これ等の水溶性有機溶剤は、通常記録液の全量に対
して５〜３０重量％の範囲で使用される。一方、水は記
録液の全量に対して６５〜８５重量％の範囲で使用され
る。本発明の記録液に、その全量に対して０．１〜１０
重量％、好ましくは０．５〜５重量％の尿素、チオ尿
素、ビウレット、セミカルバジドから選ばれる化合物を
添加したり、又０．００１〜５．０重量％の界面活性剤
を添加することによって、印字後の速乾性及び印字品位
をより一層改良することができる。

【００２２】

【実施例】以下本発明を実施例について更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限りこれ等の実施
例に限定されるものではない。 〔実施例１〕ジエチレングリコール１０重量部、イソプ
ロピルアルコール３重量部、前記Ｎｏ．２の色素１．５
重量部及びＮｏ．１３の色素１．５重量部に水を加え、
アンモニア水でｐＨを９に調整して全量を１００重量部
とした。この組成物を充分に混合して溶解し、孔径１μ
ｍのテフロンフィルターで加圧濾過した後、真空ポンプ
及び超音波洗浄機で脱気処理して記録液を調整した。得
られた記録液を使用し、インクジェットプリンター（商
品名：ＭＪ−７００、エプソン社製品）を用いて電子写
真用紙（ゼロックス社製品）にインクジェット記録を行
い、高濃度の黒色印字物を得た。また下記に（ａ）、
（ｂ）及び（ｃ）の方法による諸評価を行った結果を示
す。

【００２３】（ａ）記録画像の耐光性：キセノンフェー
ドメーター（スガ試験機社製）を用い、記録紙に１００
時間照射したが、照射後の変退色は小さかった。 （ｂ）記録画像の耐水性：水中に記録紙を５秒間浸漬し
た後の画像の滲みを調べたが、画像の滲みは僅かであ
り、又濃度の低下も小さかった。 （ｃ）記録液の保存安定性：記録液をテフロン容器に密
閉し、５℃及び６０℃で１ケ月間保存した後の変化を調
べたところ、不溶物の析出は認められなかった。

【００２４】〔実施例２〕グリセリン５重量部、エチレ
ングリコール１０重量部、前記Ｎｏ．７の色素２重量部
及びＮｏ．１３の色素３重量部に水を加え、アンモニア
水でｐＨを９に調整して全量を１００重量部とし、この
組成物を実施例１に記載の方法により処理して記録液を
調整した。この記録液を用いて、実施例１と同様に印字
を行った結果、高濃度の黒色記録物を得た。またこの記
録物に対し、実施例１の（ａ）〜（ｃ）による諸評価を
行った。その結果、実施例１と同様に何れも良好な結果
が得られた。

【００２５】〔実施例３〕ジエチレングリコール１０重
量部、Ｎ−メチルピロリドン５重量部、イソプロピルア
ルコール３重量部、前記Ｎｏ．２の色素２重量部、Ｎ
ｏ．１１の色素１重量部、及びＮｏ．１３の色素２重量
部に水を加え、アンモニア水でｐＨを９に調整して全量
を１００重量部とし、この組成物を実施例１に記載の方
法により処理して記録液を調整した。この記録液を用い
て、実施例１と同様に印字を行った結果、高濃度の黒色
記録物を得た。またこの記録物に対し、実施例１の
（ａ）〜（ｃ）による諸評価を行った。その結果、実施
例１と同様に何れも良好な結果が得られた。

【００２６】〔実施例４〜９〕実施例１において用いた
前記Ｎｏ．２及びＮｏ．１３の色素の代りに下表に示す
色素を用いる以外は、実施例１の方法により記録液を調
整し、印字を行い、この記録物に対して実施例１の
（ａ）〜（ｃ）による評価を行った。その結果、実施例
１と同様に何れも良好な結果を得た。

【００２７】

【表１】

【００２８】

【発明の効果】本発明の記録液は、インクジェット記録
用、筆記用具用として用いられ、普通紙に記録した場
合、黒色系の記録物を得ることができ、その印字濃度及
び耐光性、耐水性が優れている他、記録液としての保存
安定性も良好である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 透 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水性媒体と、遊離酸の形が下記一般式
   〔III 〕で表わされる色素並びに一般式〔Ｉ〕及び／又
   は〔II〕で表わされる色素とを含有することを特徴とす
   る記録液。 【化１】 （式中、Ａ₁ 、Ａ₂ 、Ｄ₁ 、Ｄ₂ は各々独立に水素原
   子、炭素数１〜４のアルキル基、炭素数１〜４のアルコ
   キシ基及び炭素数２〜５のアシルアミノ基からなる群か
   ら選ばれるものを表わし、 Ｅは炭素数１〜４のアルキル基を表わし、 Ｒ¹ 、Ｒ² 、Ｒ³ 、Ｒ⁴ 、Ｒ⁵ 、Ｒ⁶ 、Ｒ⁷ 、Ｒ⁸ 、Ｒ
   ⁹ 、Ｒ¹⁰及びＲ¹¹は各々独立に水素原子、炭素数１〜８
   のアルキル基、シクロヘキシル基又はカルボキシル基で
   置換されていても良いフェニル基を表わし、Ｒ¹²は水素
   原子又はカルボキシル基で置換されていても良いフェニ
   ル基を表わし、 Ｇはスルホ基又はカルボキシル基を表わし、 ｌ、ｍは、各々１又は２を表わす。）