JPH0814015B2 - 磁気特性および表面性状の優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

磁気特性および表面性状の優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法

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JPH0814015B2
JPH0814015B2 JP2006799A JP679990A JPH0814015B2 JP H0814015 B2 JPH0814015 B2 JP H0814015B2 JP 2006799 A JP2006799 A JP 2006799A JP 679990 A JP679990 A JP 679990A JP H0814015 B2 JPH0814015 B2 JP H0814015B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、磁気特性、特に磁束密度が優れ、しかも
表面性状の良好な無方向性電磁鋼板およびその製造方法
に関するものである。
〔従来の技術〕
モーター、変圧器等の鉄芯材料として使用される無方
向性電磁鋼板は、これら電気機器の高効率化、小型化を
図るため鉄損が低く且つ磁束密度が高いことが要求され
る。
無方向性電磁鋼板の磁気特性を向上させるためには、
冷間圧延前の素材のフェライト結晶粒径を十分に粗大化
しておくことが有利であることは従来より知られてい
る。このような観点から、磁気特性を向上させる方法と
して下記の技術が開示されている。
1)熱間圧延後、高温で巻取りを行ない、鋼帯の保有す
る熱で自己焼鈍を行なう技術(例えば、特公昭57−4313
2号)。
2)Ar3変態温度を超える温度で熱間圧延を終了した鋼
帯に、熱間状態で3〜30%の塑性歪を導入し、高温で巻
取り自己焼鈍させる技術(例えば、特開昭60−258414
号)。
3)圧延終了温度、巻取温度を制御した特定条件下で熱
間圧延を終了した鋼帯に焼鈍を施す技術(例えば、特開
昭58−204126号)。
4)熱間圧延後の鋼帯に軽度のスキンパス圧延を施した
後、焼鈍を行なう技術(例えば、特公昭45−22211号、
特開昭63−186823号、特開平1−139721号)。
5)熱間圧延後の鋼帯に予備焼鈍を施した後、軽度の冷
間圧延を行ない、さらに再加熱して焼鈍を行なう技術
(例えば、特開平1−191741号)。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述した各種技術の中で、特公昭57−43132号、特開
昭60−258414号公報で開示されている高温巻取りによる
自己焼鈍の技術は、熱延板の結晶粒成長が不十分であ
り、結晶粒を十分に粗粒化させめためには、鋼板を極め
て高温で巻取る必要がある。しかし、このような高温巻
取を行なうと、後工程での酸洗性が劣化し、さらに粒界
酸化を生じやすく、最終製品の表面性状を損なうという
問題がある。
また、特開昭58−204126号公報に開示されている熱延
板焼鈍を施す技術では、熱延終了温度を700℃以下の低
温にする必要があり、圧延機の負荷が大きくなるという
問題がある。さらに、この技術は熱延板焼鈍前の熱延鋼
帯を微細な結晶組織とし、粒界エネルギーを駆動力とし
た2次再結晶的な異常粒成長により粗大粒を得ようとす
るものであるため、組織形成が不安定であり、安定して
最適な冷圧前組織に制御することは困難である。
これに対し、上記4)、5)の熱延板に軽度の圧延を
付加した後、焼鈍を行なう技術では、歪エネルギーを駆
動力とした異常粒成長を起こすため、前述の熱延板焼鈍
のみを行なう場合よりも粗粒化が促進される。
しかし、特公昭45−22211号公報に開示された技術で
は、C,Sが高いため粒成長性が劣り、熱延板焼鈍前に圧
延歪を付加しても、最適な冷圧前組織に制御することが
困難である。さらに、多量に含有されたSは硫化物を生
成し、磁気特性そのものを著しく劣化させるため、たと
え最適冷圧前組織に制御できたとしても、最終製品の磁
気特性を十分ち向上させることができない。
また、特開昭63−186823号公報に開示されているよう
に、単に熱延板焼鈍前にスキンパス圧延を付加するたけ
で、鋼組成、軽圧延の圧下率に応じた熱延板焼鈍温度の
管理を適切に行なわない技術では、歪誘起により異常粒
成長した粗大な2次再結晶粒と細粒組織のままの1次再
結晶粒が混在した不均一なミクロ組織となり、最終製品
の磁気特性のコイル内各位置での均一性を劣化させる場
合や、2次再結晶粒が著しく粗粒化し、その痕跡が冷間
圧延後の鋼板表面に肌荒れ状に残り、うねりを形成する
場合がある。特に後者の場合は、結晶粒径の粗大化に伴
い磁気特性は向上するが、その反面、形成されるうねり
も大きくなるため占積率が低下してしまい、モーター、
変圧器等の電気機器の高効率化、小型化を図ることがで
きないという重大な問題点を有している。
また、特開平1−139721号公報にも熱延板軽圧延後に
焼鈍を施す技術が開示されているが、この技術は1.0%
以上のMnと0.1%以上のNiを複合添加することにより集
合組織を改善し、磁気特性の向上を狙ったものであっ
て、熱延板焼鈍はこのMnとNiの複合添加による集合組織
改善効果を発揮させるための工程であり、本発明が目的
とするような冷間圧延前の組織を最適化し、磁気特性、
表面性状とも向上させることを狙いとした技術ではな
い。しかも、この技術では、多量に添加されたMnとNiが
ともにα−γ変態温度を低下させると同時に、粒成長性
を劣化させるため、本発明が目的とするような最適な冷
間圧延前組織とすることが不可能となる。
さらに、特開平1−191741号公報には熱延鋼帯に予備
焼鈍、軽圧下圧延、焼鈍を施す技術が開示されている
が、この技術は冷間圧延前の結晶粒を粗大化することの
みを目的としているため、最終製品の表面性状が劣ると
いう問題点を有している。すなわち、この技術では冷間
圧延前の結晶粒が粗大化し過ぎるため、前述のように最
終製品の鋼板表面に肌荒れ状の痕跡を残し、大きなうね
りを形成し、占積率が低下してしまう。さらに、軽圧下
圧延前の予備焼鈍を必須としているため、製造工程、製
造コストの増加をもたらすという欠点がある。
本発明はこのような従来技術の問題に鑑み、高磁束密
度、低鉄損を有するとともに、占積率の低下をもたらす
ような鋼板表面の肌荒れ状の模様、うねりの形成を抑え
た、すなわち、磁気特性、表面性状ともに優れた無方向
性電磁鋼板およびその製造方法を提供しようとするもの
である。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、冷間圧延前の素材の結晶組織と、磁気
特性および冷間圧延後に形成される肌荒れ状のうねりと
の関係について種々検討した結果、不純物元素の含有量
を低減した鋼の冷間圧延前の組織を2次再結晶組織と
し、その2次再結晶粒の平均粒径と2次再結晶粒の占め
る体積率(2次再結晶率)を適正範囲に制御することに
より、磁気特性を向上させ、且つ鋼板表面のうねりの増
大を抑えることが可能であることを見出した。さらに、
特定成分の熱延鋼帯に特定圧下率の軽圧下圧延を施した
後、(Si+Al)含有量と軽圧下圧延圧下率によって規制
される温度で熱延板焼鈍を行なうことにより、最適な冷
間圧延前組織とすることができ、上述したような磁気特
性、表面性状の良好な無方向性電磁鋼板を製造できるこ
とを究明した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたもの
で、その特徴とするところは、重量%で、C:0.006%以
下、Si:0.1〜1.0%、Al:0.004%以下または0.1〜0.5
%、Mn:0.1〜1.0%、P:0.01〜0.15%を含有し、残部Fe
および不可避的不純物からなり、不純物としてのS,N,O
の総量が0.025%以下であり、熱延板焼鈍後に行なわれ
る冷間圧延前の素材の結晶組織において、2次再結晶粒
の平均結晶粒径が150μm以上500μm未満で、且つ2次
再結晶粒の占める体積率が70%以上である、鋼板表面の
ろ波中心線うねりWCAが1.0μm以下の磁気特性および表
面性状の優れた無方向性電磁鋼板である。
また、本発明製造法の特徴とするところは、以下の通
りである。
(1) 重量%で、C:0.006%以下、Si:0.1〜1.0%、A
l:0.004%以下または0.1〜0.5%、Mn:0.1〜1.0%、P:0.
01〜0.15%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なり、不純物としてのS,N,Oの総量が0.025%以下である
熱延鋼帯を酸洗した後、圧下率ε(%)が3〜12%の範
囲の軽圧下冷間圧延を行ない、次いで(Si+Al)含有量
と軽圧下圧延圧下率εにより定まる下記条件(1),
(2) 3%≦ε≦10%のとき 50(Si+Al)-10ε+770≦T≦50(Si+Al)+5ε+810……(1) 10%<ε≦12%のとき 50(Si+Al)+670≦T≦50(Si+Al)+5ε+810……
(2) 但し、 Si…Si含有量(wt%) Al…Al含有量(wt%) を満足する温度T(℃)で30分〜12時間の熱延板焼鈍を
行うことにより、引き続き行なう冷間圧延前の素材の結
晶組織における2次再結晶粒の平均結晶粒径を150μm
以上500μm未満とし、且つ2次再結晶粒の占める体積
率を70%以上とする過程を経た後、所定の板厚まで冷間
圧延し、再結晶温度以上の温度で連続焼鈍を行ない、鋼
板表面のろ波中心線うねりWCAが1.0μm以下の鋼板を得
ることを特徴とする磁気特性および表面性状の優れた無
方向性電磁鋼板の製造方法。
(2) 上記(1)と同様の成分組成の熱延鋼帯を、
(1)と同様の工程で酸洗、軽圧下冷間圧延、熱延板焼
鈍、冷間圧延した後、連続焼鈍を施し、剪断または打抜
き加工を行なった後に、歪取焼鈍を行ない、鋼板表面の
ろ波中心線うねりWCAが1.0μm以下の鋼板を得ることを
特徴とする磁気特性および表面性状の優れた無方向性電
磁鋼板の製造方法。
(3) 上記(1)と同様の成分組成の熱延鋼帯を、
(1)と同様の工程で酸洗、軽圧下冷間圧延、熱延板焼
鈍、冷間圧延した後、連続焼鈍を施し、次いで3〜15%
の圧下率のスキンパス圧延を行ない、鋼板表面のろ波中
心線うねりWCAが1.0μm以下の鋼板を得ることを特徴と
する磁気特性および表面性状の優れた無方向性電磁鋼板
の製造方法。
〔作用〕
以下、この発明の詳細と構成の限定理由について説明
する。
まず、鋼成分の限定理由について説明する。
Cは、磁気時効による磁気特性の劣化を防止し、且つ
焼鈍時の粒成長性の劣化を抑えるため0.006%以下とす
る。
Siは、徹損を低減するのに有効であるが、0.1%未満
ではその効果が十分でなく、また1.0%を超えると磁束
密度が低下し、本発明の目的である高い磁束密度を得る
ことができない。以上の理由からSiは0.1〜1.0%とす
る。
Alは、Siと同様、鉄損低減に有効な元素であるが、鋼
中NとともにAlNを形成し、焼鈍時の粒成長性を悪化さ
せ、磁気特性を劣化させる場合がある。AlNによるこの
悪影響を排除するためには、Al量を低レベルに制限する
か、あるいは添加量を多くしてAlNを粗大化させる必要
がある。前者の場合、Al量を0.004%以下とすればよ
く、後者の場合は0.1%以上であればAlN粒子を粗大化さ
れることができる。しかし0.5%を超える添加は磁束密
度の低下をもたらす。以上の理由から、Alは0.004%以
下あるいは0.1〜0.5%の範囲とする。
MnもSi,Alと同様、固有抵抗を高め、鉄損低減に有効
であると同時に、鋼中SをMnSにして析出・粗大化さ
せ、磁気特性、粒成長性に対する悪影響を排除するため
に必要であるが、0.1%未満ではその効果が十分に得ら
れず、また1.0%を超えるとα−γ変態温度が低下し、
熱延板焼鈍時にオーステナイトが生成し易くなり、また
鋼中固溶Mnが熱延板焼鈍時の粒成長性を低下させ、最適
な冷間圧延前の結晶組織を得ることができなくなる。以
上の理由から、Mnは0.1〜1.0%とする。
Pは、鉄損低減、打抜き性向上のための硬度調整に有
効であるが、0.01%未満ではその効果が十分に得られ
ず、一方、0.15%を超えると鋼板を脆化させ、しかも磁
気特性、粒成長性ともに劣化させる。このためPは0.01
〜0.15%とする。
S,N,Oは、それぞれ硫化物、窒化物、酸化物を生成
し、焼鈍時の粒成長を阻害する。さらに、これらの析出
物、介在物が微細で且つ多量に分散すると磁気特性その
ものを著しく劣化させるため、S,N,Oの総量を0.025%以
下に規制する必要がある。これらの元素は各々単独では
S:0.007%以下、N:0.003%以下、O:0.015%とすること
が望ましく、極力少なくすることが好ましい。
次に鋼成分以外の構成の限定理由について説明する。
第1表中の鋼Cを通常の方法に従い熱間圧延し、この
鋼板に酸洗後10%の圧下率で軽圧下圧延を施し、さらに
675〜925℃の種々の温度で2hr均熱の熱延板焼鈍を行な
い、2次再結晶粒の占める体積率が100%で且つ2次再
結晶粒の平均結晶粒径が異なる冷間圧延前素材を作成し
た。また、比較のため同様の鋼種について、軽圧下圧
延、熱延板焼鈍をともに施さない熱間圧延ままの素材も
準備した。これらの鋼板を板厚0.5mmまで冷間圧延し、
温度800℃、均熱時間90秒の連続焼鈍を行なった後、磁
気特性と鋼板表面のうねりを測定した。
第1図はその結果を示したもので、冷間圧延前素材の
2次再結晶粒の平均粒径と、磁束密度B50および鋼板表
面のろ波中心線うねりWCAとの関係を示したものであ
る。同図から明らかなように、2次再結晶粒の平均粒径
の増大に伴い磁束密度は向上し、うねりは大きくなる
が、平均粒径が150μm以上500μm未満(好ましくは40
0μm未満)であれば、高い磁束密度を有し、しかもう
ねりを小さく抑えられることが判明した。また、鋼板表
面のうねりは、平均粒径が500μm以上となると著しく
大きくなる傾向が認められる。うねりWCAが1.0μm以下
であれば鋼板の占積率に及ぼす悪影響の程度が小さいた
め、上記の結果に基づき本発明では、うねりWCAが1.0μ
m以下となるよう、所定の板厚に仕上げるための冷間圧
延(熱延板焼鈍後に行なわれる冷間圧延)を行なう前の
2次再結晶粒の平均粒径を、150μm以上500μm未満と
規定した。
次に、冷間圧延前素材の結晶組織中の2次再結晶粒の
占める体積率の影響について検討した。第1表中の鋼C
を通常の方法に従い熱間圧延し、この鋼板に酸洗後1〜
12%の種々の圧下率で軽圧下圧延を施し、さらに750℃
の温度で2hr均熱の熱延板焼鈍を行ない、2次再結晶粒
の平均粒径が150μm以上500μm未満で、且つ2次再結
晶粒の占める体積率が異なる冷間圧延前素材を作成し
た。これらの鋼板を板厚0.5mmまで冷間圧延し、温度800
℃、均熱時間90秒の連続焼鈍を行なった後、磁気特性を
測定した。
第2図はその結果を示すもので、冷間圧延前素材の2
次再結晶粒の占める体積率と磁束密度B50との関係を示
したものである。同図から明らかなように、2次再結晶
粒の平均粒径を適正範囲に制御しても、2次再結晶粒の
占める体積率が低いと磁束密度の向上効果は小さい。さ
らに、冷間圧延前組織の2次再結晶粒の占める体積率が
低いと、最終製品のコイル内位置による磁気特性のバラ
ツキが大きくなり、磁気特性の均一性を損なう。また、
2次再結晶粒の平均粒径が500μm以上の場合は、2次
再結晶粒の占める体積率を低くしても、うねりを十分に
小さくすることができず、磁気特性、表面性状の両者を
良好に保つことはできなかった。
以上のことから、本発明では十分な磁束密度の向上効
果が得られ、磁気特性の均一性を損なわず、しかも表面
性状も良好に保つための条件として、冷間圧延前素材の
2次再結晶粒の平均粒径を150μm以上500μm未満、2
次再結晶粒の占める体積率を70%以上と規定した。
なお、最終製品の鋼板表面のろ波中心線うねりW
CAは、前述のように占積率の低下を防止するため、1.0
μm以下と規定した。
次に、本発明の製造方法について説明する。
本発明では、上述した化学組成を有する連続鋳造スラ
ブを通常行なわれている条件で熱間圧延し、酸洗後、軽
圧下冷間圧延を行なう。この軽圧下圧延の圧下率は、3
%未満では鋼板内部に蓄積される歪量が少ないため、熱
延板焼鈍時に歪誘起粒成長する2次再結晶粒の占める体
積率を70%以上とすることができない。一方、圧下率が
12%を超えると蓄積される歪量が多過ぎるため、熱延板
焼鈍後の粒径が小さくなり、平均結晶粒径を150μm以
上とすることが困難となる。以上の理由から熱延板軽圧
下圧延の圧下率の範囲を3〜12%と規定した。
引き続き行なう熱延板焼鈍は、焼鈍温度を軽圧下圧延
圧下率ε(%)と(Si+Al)含有量に応じて定まる適正
範囲に管理しないと、前述のような最適な結晶組織を得
ることはできない。
第1表に示す5種類の(Si+Al)含有量の異なる鋼を
通常の方法に従い熱間圧延し、酸洗後1〜13%圧下率で
軽圧下圧延し、675〜925℃の温度で2hr均熱の熱延板焼
鈍を行ない、結晶組織を調査した。第3図は第1表中の
鋼Cについて、軽圧下圧延の圧下率ε(%)と熱延板焼
鈍温度(℃)の最適範囲との関係を示したものである。
同図から明らかなように、2次再結晶粒の平均粒径が15
0μm以上500μm未満であり、且つ2次再結晶粒の占め
る体積率が70%以上である最適冷間圧延前組織とするた
めの熱延板焼鈍温度T(℃)の範囲は、 3≦ε(%)≦10のとき −10ε+800≦T(℃)≦5ε+840 10<ε(%)≦12のとき 700≦T(℃)≦5ε+840 である。第4図は軽圧下圧延圧下率7%の場合の(Si+
Al)含有量(wt%)と熱延板焼鈍温度T(℃)の最適範
囲との関係を示したもので、前述の最適冷間圧延前組織
とするための熱延板焼鈍温度T(℃)の範囲は、 50(Si+Al)+700≦T(℃)≦50(Si+Al)+845 である。
他の鋼種に関する同様な調査により、軽圧下圧延圧下
率ε(%)によって規定される熱延板焼鈍温度T(℃)
の最適範囲は、(Si+Al)含有量(wt%)に比例して変
化することが明らかになった。従って、本発明において
は熱延板焼鈍温度T(℃)を、前述の圧下率εとの関係
と、(Si+Al)含有量との関係とを組み合わせた範囲、
すなわち、 3≦ε(%)≦10のとき 50(Si+Al)-10ε+770≦T≦50(Si+Al)+5ε+810 10<ε(%)≦12のとき 50(Si+Al)+670≦T≦50(Si+Al)+5ε+810 但し、 Si…Si含有量(wt%) Al…Al含有量(wt%) に規定した。
熱延板焼鈍の均熱時間は、30分以上確保すればほぼ粒
成長が完了し、十分な磁気特性向上効果が得られるた
め、その下限を30分と規定した。一方、12時間を超す長
時間の焼鈍を行なってもその効果は格別向上せず、生産
能力の低下、エネルギー使用量の増大をもたらし、経済
的に不利となるため、その上限を12時間と規定した。
その後、常法に従い所定板厚まで冷間圧延し、連続焼
鈍を行なうが、フルプロセス製品の場合は、鉄損の低下
を図るため連続焼鈍は再結晶温度以上の温度で行なう必
要がある。また、ユーザーにて剪断・打抜き後歪取焼鈍
を施すセミプロセス製品の場合は、歪取焼鈍時に粒成長
し、鉄損の低下を図ることができるため、冷間圧延後の
連続焼鈍の条件は特に限定する必要はない。
また、最終スキンパス圧延を施すセミプロセス製品の
場合は、このスキンパス圧延により鋼板表面のうねりは
さらに小さくなり、表面性状が改善されると同時に、ユ
ーザーでの歪取焼鈍時の粒成長が容易になり、鉄損がさ
らに低下する。しかし、このスキンパス圧延の圧下率が
3%未満では、その効果が十分でなく、また、15%を超
えると集合組織が変化し、磁気特性が劣化するため、圧
下率は3〜15%の範囲に限定する必要がある。
〔実施例〕
第1表に示す5種類の鋼を連続鋳造により220mm厚さ
のスラブとし、通常の熱間圧延により厚さ2.0mmの熱延
鋼帯に仕上げた。該鋼帯を通常の方法で酸洗後、圧下率
15%以下の範囲で軽圧下圧延し、725〜900℃の種々の温
度で均熱時間2〜10時間の焼鈍を行なった。さらにこの
鋼帯を所定板厚まで冷間圧延し、700〜850℃の範囲で連
続焼鈍を行ない、磁気特性と鋼板表面のろ波中心線うね
りを測定した。また、一部の鋼板については、 i)エプスタインサンプルに剪断し、750℃×2hrの歪取
焼鈍を施した後、または、 ii)最終スキンパス圧延後剪断し、歪取焼鈍を施した
後、 それぞれ磁気特性を測定した。これらの結果を具体的な
製造条件とともに第2表に示す。
なお、冷間圧延後の板厚は最終スキンパス圧延を施さ
ないものは0.5mm厚さに仕上げ、スキンパス圧延を施す
ものは最終スキンパス圧延後の板厚が0.5mmとなるよう
に冷間圧延の仕上げ厚を調整した。また、スキンパス圧
延を施したものは、スキンパス圧延後にうねり測定を行
なった。
第2表によれば、比較例では磁気特性、表面性状のい
ずれかが劣っているが、本発明例では磁気特性、表面性
状ともに良好な結果が得られている。
【図面の簡単な説明】
第1図は冷間圧延前素材の平均結晶粒径と最終製品の磁
束密度B50および鋼板表面のろ波中心線うねりWCAとの関
係を示すグラフ、第2図は冷間圧延前素材の2次再結晶
粒の占める体積率と最終製品の磁束密度B50との関係を
示すグラフ、第3図は熱延板焼鈍温度の最適範囲を軽圧
下圧延圧下率との関係で示したグラフ、第4図は熱延板
焼鈍温度の最適範囲を(Si+Al)含有量との関係で示し
たグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.006%以下、Si:0.1〜1.0
    %、Al:0.004%以下または0.1〜0.5%、Mn:0.1〜1.0
    %、P:0.01〜0.15%を含有し、残部Feおよび不可避的不
    純物からなり、不純物としてのS,N,Oの総量が0.025%以
    下であり、熱延板焼鈍後に行なわれる冷間圧延前の素材
    の結晶組織において、2次再結晶粒の平均結晶粒径が15
    0μm以上500μm未満で、且つ2次再結晶粒の占める体
    積率が70%以上である、鋼板表面のろ波中心線うねりW
    CAが1.0μm以下の磁気特性および表面性状の優れた無
    方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】重量%で、C:0.006%以下、Si:0.1〜1.0
    %、Al:0.004%以下または0.1〜0.5%、Mn:0.1〜1.0
    %、P:0.01〜0.15%を含有し、残部Feおよび不可避的不
    純物からなり、不純物としてのS,N,Oの総量が0.025%以
    下である熱延鋼帯を酸洗した後、圧下率ε(%)が3〜
    12%の範囲の軽圧下冷間圧延を行ない、次いで(Si+A
    l)含有量と軽圧下圧延圧下率εにより定まる下記条件
    (1),(2) 3%≦ε≦10%のとき 50(Si+Al)-10ε+770≦T≦50(Si+Al)+5ε+810……(1) 10%<ε≦12%のとき 50(Si+Al)+670≦T≦50(Si+Al)+5ε+810……
    (2) 但し、 Si…Si含有量(wt%) Al…Al含有量(wt%) を満足する温度T(℃)で30分〜12時間の熱延板焼鈍を
    行なうことにより、引き続き行なう冷間圧延前の素材の
    結晶組織における2次再結晶粒の平均結晶粒径を150μ
    m以上500μm未満とし、且つ2次再結晶粒の占める体
    積率を70%以上とする過程を経た後、所定の板厚まで冷
    間圧延し、再結晶温度以上の温度で連続焼鈍を行ない、
    鋼板表面のろ波中心線うねりWCAが1.0μm以下の鋼板を
    得ることを特徴とする磁気特性および表面性状の優れた
    無方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】重量%で、C:0.006%以下、Si:0.1〜1.0
    %、Al:0.004%以下または0.1〜0.5%、Mn:0.1〜1.0
    %、P:0.01〜0.15%を含有し、残部Feおよび不可避的不
    純物からなり、不純物としてのS,N,Oの総量が0.025%以
    下である熱延鋼帯を酸洗した後、圧下率ε(%)が3〜
    12%の範囲の軽圧下冷間圧延を行ない、次いで(Si+A
    l)含有量と軽圧下圧延圧下率εにより定まる下記条件
    (1),(2) 3%≦ε≦10%のとき 50(Si+Al)-10ε+770≦T≦50(Si+Al)+5ε+810……(1) 10%<ε≦12%のとき 50(Si+Al)+670≦T≦50(Si+Al)+5ε+810……
    (2) 但し、 Si…Si含有量(wt%) Al…Al含有量(wt%) を満足する温度T(℃)で30分〜12時間の熱延板焼鈍を
    行なうことにより、引き続き行なう冷間圧延前の素材の
    結晶組織における2次再結晶粒の平均結晶粒径を150μ
    m以上500μm未満とし、且つ2次再結晶粒の占める体
    積率を70%以上とする過程を経た後、所定の板厚まで冷
    間圧延し、次いで連続焼鈍を施し、剪断または打抜き加
    工を行なった後に、歪取焼鈍を行ない、鋼板表面のろ波
    中心線うねりWCAが1.0μm以下の鋼板を得ることを特徴
    とする磁気特性および表面性状の優れた無方向性電磁鋼
    板の製造方法。
  4. 【請求項4】重量%で、C:0.006%以下、Si:0.1〜1.0
    %、Al:0.004%以下または0.1〜0.5%、Mn:0.1〜1.0
    %、P:0.01〜0.15%を含有し、残部Feおよび不可避的不
    純物からなり、不純物としてのS,N,Oの総量が0.025%以
    下である熱延鋼帯を酸洗した後、圧下率ε(%)が3〜
    12%の範囲の軽圧下冷間圧延を行ない、次いで(Si+A
    l)含有量と軽圧下圧延圧下率εにより定まる下記条件
    (1),(2) 3%≦ε≦10%のとき 50(Si+Al)-10ε+770≦T≦50(Si+Al)+5ε+810 ……
    (1) 10%<ε≦12%のとき 50(Si+Al)+670≦T≦50(Si+Al)+5ε+810……
    (2) 但し、 Si…Si含有量(wt%) Al…Al含有量(wt%) を満足する温度T(℃)で30分〜12時間の熱延板焼鈍を
    行なうことにより、引き続き行なう冷間圧延前の素材の
    結晶組織における2次再結晶粒の平均結晶粒径を150μ
    m以上500μm未満とし、且つ2次再結晶粒の占める体
    積率を70%以上とする過程を経た後、所定の板厚まで冷
    間圧延し、次いで連続焼鈍を施した後、3〜15%の圧下
    率のスキンパス圧延を行ない、鋼板表面のろ波中心線う
    ねりWCAが1.0μm以下の鋼板を得ることを特徴とする磁
    気特性および表面性状の優れた無方向性電磁鋼板の製造
    方法。
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