JPH08136496A - バイオセンサー - Google Patents

バイオセンサー

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JPH08136496A
JPH08136496A JP6291993A JP29199394A JPH08136496A JP H08136496 A JPH08136496 A JP H08136496A JP 6291993 A JP6291993 A JP 6291993A JP 29199394 A JP29199394 A JP 29199394A JP H08136496 A JPH08136496 A JP H08136496A
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JP
Japan
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specific binding
binding reaction
specific
antibody
signal
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JP6291993A
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Taizo Uda
泰三 宇田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特異的結合反応素子とそれに特異的に結合反
応する特定成分との特異的結合反応を利用したバイオセ
ンサーを提供する。 【構成】 特異的結合反応素子とそれに特異的に結合反
応する特定成分との特異的結合反応を利用したバイオセ
ンサーにおいて、該特異的結合反応素子に対して低下せ
しめられた結合能を持ちかつ信号形成能をもつセンシン
グ素子を該特異的結合反応素子に結合してあるところの
特異的結合反応素子の固定化してあるバイオ層と、該バ
イオ層から遊離された信号形成能をもつセンシング素子
より得られる信号を検知することのできる検知素子から
構成することにより、優れた感度を有するバイオセンサ
ーが簡単に得られる。特に抗原の保存領域から模擬抗原
ペプチドを設計することにより、優れた抗体や抗原のた
めのバイオセンサーが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流体試料中の特定成分
を分析するためのバイオセンサーに関する。特に本発明
は、連続的な測定及び繰り返しての測定を簡単に行うこ
とができ、高い感度を期待できる特異的結合反応を利用
したバイオセンサーに関する。
【0002】
【従来技術及び解決すべき課題】特異的な結合反応を利
用した測定法が、生物学的な物質、環境汚染物質などを
迅速かつ確実に測定するために開発されてきている。こ
うした測定を迅速に行なうことのできる装置としてバイ
オセンサーが挙げられる。特異的結合測定法、特には免
疫学的測定法は、抗原とその抗原に対する抗体との間の
特異的な反応である抗原抗体反応を利用するものである
が、その高い検出感度を利用して抗原、抗体、その他の
ものの同定や定量的な測定に広く用いられており、こう
した原理による免疫バイオセンサーはその一部が実用化
され広く用いられている。かくして特異的結合を利用し
たバイオセンサーは、人の臨床における検査や病気の診
断などに広く利用される他、動物においてもその臨床検
査や病気の診断、さらにはその他の広い範囲の測定対象
物の分析、測定、定量、検出などに用いられている。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、迅速でか
つ簡単な操作で検体中の特定成分を確実に測定でき、か
つ繰り返して高い感度で測定できるバイオセンサーを開
発すべく鋭意研究を行った結果、簡単な装置構成をとる
だけで簡単な方法により感度良く検体の特定成分を測定
できる方法及びセンサーの開発に成功し、本発明を完成
した。
【0004】本発明は、特異的結合反応素子とそれに特
異的に結合反応する特定成分との特異的結合反応を利用
したバイオセンサーにおいて、該特異的結合反応素子に
対して低下せしめられた結合能を持ちかつ信号形成能を
もつセンシング素子を該特異的結合反応素子に結合して
あるところの特異的結合反応素子を固定化してあるバイ
オ層と、該バイオ層から遊離された信号形成能をもつセ
ンシング素子より得られる信号を検知することのできる
検知素子からなることを特徴とするバイオセンサーであ
る。本発明に従った一つの具体的な態様では、標識の付
された模擬特定成分を結合せしめた特異的結合反応素子
が固定化されている水不溶性担体を、測定すべき試料と
反応させて競合的に該模擬特定成分を遊離せしめ、得ら
れた遊離模擬特定成分の標識を介して信号を得、つぎに
この信号を検知することによって、該試料中の特定成分
の測定が行なわれ、そうした特徴ある測定方法及びそれ
に用いる装置が提供される。
【0005】本発明では、特異的結合反応素子とそれに
特異的に結合反応する特定成分との組合せとしては、例
えば抗原とそれに対する抗体、抗体とハプテン、エフェ
クターとレセプター、酵素と酵素インヒビター、レクチ
ンと糖鎖含有物質(例えば多糖類、糖蛋白質、糖脂質な
ど)、酵素と酵素基質、核酸とその相補的な核酸などが
挙げられ、それらは公知のものの中から選んでよい。代
表的には生物学的に活性な分子を挙げることができ、例
えばイオノフォア、イオン交換樹脂、酵素、抗体、抗
原、レクチン、神経レセプター、神経伝達物質、オリゴ
ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、DN
A分子、RNA分子、蛋白質、糖蛋白質、メタロプロテ
イン、コファクター、これらの活性フラグメントまたは
サブユニットなどを包含している。
【0006】本発明において、流体試料としてはあらゆ
る形態の溶液、コロイド溶液が使用しうるが、好ましく
は生物由来の流体試料、例えば血液、血漿、血清、唾
液、羊水、乳、尿、汗、涙、脳脊髄液、組織培養液、細
胞培養液などが挙げられる。本発明において、測定しう
る流体試料中の特定成分とは、その存在の有無が検出さ
れうるもの、又はその流体試料中での量が測定されうる
もので、その特定成分に特異的に結合する物質が存在し
うる物質あるいは物質群である。こうした特定成分とし
ては、ポリペプチド、蛋白質、複合蛋白質、多糖類、脂
質、複合脂質、核酸、ホルモン類、薬剤、抗生物質、ビ
タミン類、農薬、環境汚染物質などが挙げられる。具体
的には、次のような物質あるいは物質群が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。
【0007】(a)医薬などの薬物及び代謝産物 抗ヒスタミン剤、コリン抑制剤、バルブロン酸、テグレ
トール、プロスタグランジン、パパベリン、オキサゼパ
ン、ノルトリプチリン、ナルセイン、メタドン、メプロ
バメート、メペリジン、L−ドーパ、イミプラミン、グ
リセオフルビン、エピネフリン、カテコールアミン、ア
ンフェタミン、バルビツレート、クロルプロマジン、カ
フェイン、ブチロフェノン、アトロピン、カナビノー
ル、テトラヒドロカナビノール、テオフィリン、プロプ
ラノロール、フェニトイン、プロカイナミド、N−アセ
チルプロカイナミド、メソトレキセート、リドカイン、
ジソピラミド、ジゴキシン、カルバマゼピン、アミトリ
プチリン、アセタミノフェン、セコバルビタール、プリ
ミドン、フェノバルビタール、エトスクシミド、
【0008】ジフェニルヒダントイン、ストレプトマイ
シン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ク
ロルテトラサイクリン、テラマイシン、ポリミキシン、
ペニシリン、セファロスポリン、エリスロマイシン、ク
ロロマイセチン、クロラムフェニコール、カナマイシ
ン、アクチノマイセチン、トブラマイシン、ネオマイシ
ン、ゲンタマイシン、アミカシン、キニーネ、キニジ
ン、モルヒネ、リセルグ酸、ヘロイン、デキストロメト
ロファン、コデイン、コカイン、ベンゾイルエクゴニン
など、さらにはそれらの代謝産物
【0009】(b)ビタミン類 ビタミンA、ビタミンB2 、ビタミンB12、ビタミンB
6 、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミン
K、チアミン、ビオチン、葉酸など (c)ホルモン及びホルモン様物質 インシュリン、グルカゴン、バソプレシン、オキシトシ
ン、アンジオテンシン、プロラクチン、ソマトスタチ
ン、成長ホルモン、セクレチン、ガストリン、ドーパミ
ン、セロトニン、チロキシン(T4 )、トリヨードチロ
ニン(T3 )、コルチゾール、アルドステロン、カテコ
ールアミン、エストロゲン、プロゲステロン、テストス
テロン、プレドニソロン、ソマトメジンC、胎盤性ゴナ
ドトロピン、胎盤性ラクトーゲン、下垂体ホルモン放出
因子、卵胞刺激ホルモン、黄体刺激ホルモン、甲状腺刺
激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、メラニン刺激ホル
モン、β−エンドルフィンなど
【0010】(d)サイトカインあるいはサイトカイン
様物質 インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフ
ェロンγ、インターロイキン1、インターロイキン2、
インターロイキン3、インターロイキン4、インターロ
イキン5、インターロイキン6、インターロイキン7、
インターロイキン8、インターロイキン11、リンフォ
トキシン、TNF、顆粒球コロニー刺激因子、マクロフ
ァージ・コロニー刺激因子、顆粒球・マクロファージ・
コロニー刺激因子、エリトロポイエチン、T細胞代行因
子(T cell replacing facto
r)、T細胞分化因子、トランスフォーミング成長因子
β、白血病阻害因子、血小板由来増殖因子、繊維芽細胞
増殖因子、インシュリン様増殖因子、上皮細胞増殖因
子、神経成長因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、
サルコシンオキシダーゼ、クレアチナーゼ、スーパーオ
キシドディスムターゼ、ヒト膵分泌性トリプシンインヒ
ビターなど
【0011】(e)農薬 燐酸エステル類、チオホスフェート類、カルバメート系
農薬、ハロゲン化ビフェニル類、ピレスリン系殺虫剤、
スルホニル尿素系薬物など (f)ウイルス ルベラ、パラミクソウイルス類、例えばインフルエンザ
ウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、肺炎ウイ
ルスなど、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、ロ
タウイルス、ヘルペス・シンプレックスウイルス、ポリ
オウイルス、レトロウイルス類、例えば白血病ウイル
ス、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、A型肝炎ウイ
ルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)
など
【0012】(g)微生物 マイコプラズマ、トキソプラズマ、病原性アメーバ、サ
ルモネラ、連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、クラミジア、ト
レポネーマ、レジエネラ、結核菌、カンジダ、ヒストプ
ラズマなど (h)免疫グロブリン類、血漿蛋白質、血液型決定因
子、酵素など IgG、IgE、IgM、IgA、あるいはそれらの重
鎖又は軽鎖、血液凝固第8因子、フォン・ウイルブラン
ド因子、フィブリノーゲン、血液型表面抗原、リューマ
チ因子、スミス抗原、トロンビン、アポリポタンパク、
抗DNA抗体、免疫複合体など
【0013】(i)腫瘍マーカーその他の診断用抗原 前立腺特異抗原、Span−1、CA−125、CA−
50、DU−PAN−2、NCC−ST−439、KM
−01、CA−15−3、SCC、異型アルカリフォス
ファターゼ、トランスフェリン、セルロプラスミン、α
2−アンチプラスミン、フェリチン、α−フェトプロテ
ィン、CEAなどが挙げられるが、さらに特開昭54−
20134号公報、特開昭54−136896号公報、
特開平1−152367号公報などに記載のものは、そ
の測定方法、標識などと共にここで参考として含むこと
ができる。
【0014】本発明に適用される流体試料中の特定成分
やセンシング素子と特異的に結合する物質としては、測
定対象により抗体、抗原、レクチン、多糖類、糖蛋白
質、糖脂質、酵素、酵素阻害剤、酵素基質、レセプタ
ー、アクセプター、核酸などが挙げられる。代表的には
抗体、抗体フラグメント、オリゴヌクレオチド、オリゴ
ペプチド、ポリペプチド、蛋白質、糖蛋白質、コファク
ター、これらの活性フラグメントまたはサブユニットな
どを包含している。特に該特定成分と該特異的結合反応
素子との間の結合反応が抗原−抗体反応である場合が好
ましい。
【0015】本発明で使用される抗体は、その由来を特
に限定されるものではなく、また、抗体は常法により得
ることができ、例えば村松繁、他編、実験生物学講座1
4、免疫生物学、丸善株式会社、昭和60年、日本生化
学会編、続生化学実験講座5、免疫生化学研究法、東京
化学同人、1986年、日本生化学会編、新生化学実験
講座12、分子免疫学III、抗原・抗体・補体、東京
化学同人、1992年などに記載の方法に準じて、例え
ばウマ、ウシ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、ラット、マウス
などの哺乳動物等に抗原を投与し、免疫して得られる抗
血清、腹水液をそのまま、あるいは従来公知の方法、例
えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セファデック
スなどによるゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィ
ー法、電気泳動法、透析、限外濾過法、アフィニティ・
クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法
などにより精製して用いることができる。
【0016】また、抗原などで免疫した哺乳動物など
(例えばマウス)の脾臓細胞と骨髄腫細胞(ミエローマ
細胞)からハイブリッド細胞(ハイブリドーマ)を得
て、モノクローナル抗体を作成し、これを特定成分と特
異的に結合しうる物質として使用したり、例えば特定成
分が特異抗体などの場合そのモノクローナル抗体を修飾
し、模擬特定成分として使用すると特異性がより向上す
るなどして好ましい。モノクローナル抗体は、ケラー及
びミルシュタイン(Kohler,G.&Milste
in,C.,Nature,256,495,(197
5))などにより開示されたマウスミエローマ細胞を用
いての細胞融合技術を利用して得られたモノクローナル
抗体であってもよいことはいうまでもない。モノクロー
ナル抗体は公知のものあるいは市販されているもののう
ちから選んで用いることもできる。また抗体は遺伝子組
換え技術により作製されることもできる。さらにこれら
抗体はIgG、IgM、IgAといった各分画を用いる
ことが出来る。またこれら酵素をトリプシン、パパイ
ン、ペプシンなどの酵素により処理して、Fab、Fa
b’、F(ab’)といった抗体フラグメントにして使
用してもよい。さらにこれら抗体は単一で使用しても、
複数の抗体を組み合わせて使用してもよい。
【0017】本発明で使用される抗原やペプチドは、遺
伝子組換え法で産生されたもの、あるいは遺伝子組換え
により配列決定された遺伝子配列やペプチド配列を基に
化学合成などされたものであることもできる。例えば遺
伝子組換え技術を適用し、天然のウイルスや細胞から分
子クローニングにより得られたDNA配列あるいは既に
知られたゲノム配列から、酵素などを用いたり、化学合
成により得られたDNA配列または修飾DNA配列を、
微生物あるいは動物、植物、昆虫などで発現させて得ら
れたリコビナント抗原や、それらの情報を利用し液相法
や固相法として知られたペプチド化学合成法により得ら
れたペプチドまたは改変ペプチドである。ペプチドの固
相合成法は、一般的には自動ペプチド合成装置により好
適に行なうことが出来、例えばアプライド・バイオシス
テムズ社製(AppliedBiosystems)モ
デル430Aやモデル431A、ミジェン・バイオーチ
社製(MilliGAen/Biosearch)モデ
ル9050、モデル9500、あるいはエクセル(Ex
cell)、デュポン社製(DuPont)アールエイ
エムピーエス(RaMPS)、国産化学株式会社製「コ
ックさん」、アドバンスド・ケムテク社製(Advan
ced ChemTech)モデル350などを用いて
行なうことができる。リコビナント抗原としては、各天
然のゲノムの別々の抗原領域を発現させた組換えタンパ
ク質(リコビナントタンパク質)の少なくとも1種であ
ることができる。遺伝子組換え法で産生された抗原とし
ては、融合タンパク質として得られるものであることも
できる。また、本発明では好適に複数の抗原を混合して
用いることができる。
【0018】代表的な抗原としては、ウイルス抗原、腫
瘍関連抗原、代謝物質、ホルモン、薬物などが挙げられ
る。ウイルス抗原としては、例えばC型肝炎ウイルス
(HCV)関連抗原、免疫不全症候群関連ウイルス(H
IV)関連抗原、B型肝炎ウイルス(HBV)関連抗原
などが挙げられる。HCV関連抗原としては、HCVc
100−3リコビナント抗原、pHCV−31リコビナ
ント抗原、pHCV−34リコビナント抗原などが挙げ
られ、それらの混合物が好ましく使用できる。HIV関
連抗原としては、例えばウイルス表面抗原などが挙げら
れ、例えばHIV−I env.gp41リコビナント
抗原、HIV−I env.gp120リコビナント抗
原、HIV−I gag.p24リコビナント抗原、H
IV−II env.p36リコビナント抗原などが挙
げられる。
【0019】上記したように本発明で用いられる抗原
は、例えば遺伝子組換え技術を適用し、天然HCV、H
IV、HBVなどのウイルスなどから分子クローニング
により得られたDNA配列あるいは既に知られたHC
V、HIV、HBVなどのゲノム配列から、酵素などを
用いたり、化学合成により得られたDNA配列を、微生
物あるいは動物、植物、昆虫などで発現させて得られた
リコビナント抗原、さらには、例えば、HCVやHIV
などのゲノムの別々の抗原領域を発現させた組換え蛋白
質(リコビナント蛋白質)の少なくとも1種であること
ができる。代表的な例としては、ウイルスなどの抗原の
うち保存領域(conservative regio
n)として知られた領域から、当該保存領域のペプチド
配列を模擬する配列を設計し、例えば3〜8個のアミノ
酸残基をもつペプチドを選択して合成したものが挙げら
れる。核酸を用いる場合には、生物学的な材料からの抽
出、化学的な合成方法や、PCR法、さらには部位特異
的変異誘発法など当該分野で知られた方法の中から選ん
だり、あるいはそれらの方法を組み合わせたり、さらに
は改変したりした方法を用いることが出来る。リガー
ゼ、制限酵素、逆転写酵素、例えばクレノー・フラグメ
ントなどを用いて合成したり、修飾したりすることがで
きる。
【0020】本発明のバイオ層は、抗原、ペプチド、抗
体などの特異的結合反応素子を少なくとも水不溶性担体
に固定して調製される。固定化方法としては、担体結合
法、架橋法、包括法、それらを組み合わせた複合法が挙
げられる。該固定化するには、当該分野で汎用されてい
る方法を用いることができる。担体結合法としては、例
えばイオン相互作用、疎水相互作用、物理的吸着などを
利用する方法、共有結合などの化学的結合により行うこ
とができる。物理的な吸着を利用する場合、例えば活性
炭、酸性白土、漂白土、カオリナイト、アルミナ、シリ
カゲル、ベントナイト、金属酸化物、ヒドロキシアパタ
イト、リン酸カルシウムなどの無機物質、デンプン、キ
チン、グルテン、セルロース、アガロース、タンニンな
どの天然高分子、ポリスチレンなどの合成高分子、疎水
性基を持ったアガロース誘導体などを担体として用いる
ことが挙げられる。イオン結合を利用した場合、デキス
トラン、セルロース、アガロース、デンプンなどの多糖
類のイオン交換体、例えばDEAE基、TEAE基、C
M基、スルホン酸アルキル基などを持つ誘導体、イオン
交換樹脂などを担体として用いることが挙げられる。
【0021】共有結合法としては、ペプチド法、ジアゾ
法、アルキル化法、臭化シアン活性化法、架橋試薬によ
る結合法、ユギ(Ugi)反応を利用した固定化法、チ
オール・ジスルフィド交換反応を利用した固定化法、シ
ッフ塩基形成法、キレート結合法、トシルクロリド法、
生化学的特異結合法などが挙げられるが、好ましくは共
有結合などのより安定した結合には、チオール基とマレ
イミド基の反応、ピリジルジスルフィド基とチオール基
の反応、アミノ基とアルデヒド基の反応などを利用して
行うことができ、公知の方法あるいは当該分野の当業者
が容易になしうる方法、さらにはそれらを修飾した方法
の中から適宜選択して適用できる。好ましくは共有結合
などのより安定した結合を形成できる化学的結合剤・架
橋剤などが使用される。
【0022】こうしたものとしては、カルボジイミド、
イソシアネート、ジアゾ化合物、ベンゾキノン、アルデ
ヒド、過ヨウ素酸、マレイミド化合物、ピリジルジスル
フィド化合物などが挙げられる。好ましい試薬として
は、例えばグルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、
N,N’−ポリメチレンビスヨードアセトアミド、N,
N’−エチレンビスマレイミド、エチレングリコールビ
ススクシニミジルスクシネート、ビスジアゾベンジジ
ン、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)
カルボジイミド、スクシンイミジル 3−(2−ピリジ
ルジチオ)プロピオネート(SPDP)、N−スクシン
イミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサ
ン−1−カルボキシレート(SMCC)、N−スルホス
クシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロ
ヘキサン−1−カルボキシレート、N−スクシンイミジ
ル (4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、N−
スクシンイミジル 4−(1−マレイミドフェニル)ブ
チレート、イミノチオラン、S−アセチルメルカプトコ
ハク酸無水物、メチル−3−(4’−ジチオピリジル)
プロピオンイミデート、メチル−4−メルカプトブチリ
ルイミデート、メチル−3−メルカプトプロピオンイミ
デート、N−スクシンイミジル−S−アセチルメルカプ
トアセテートなどが挙げられる。
【0023】ペプチド法では、担体と特異的結合反応素
子との間にペプチド結合を形成させて固定化される。例
えばカルボキシル基を持つ担体をアジド、クロリド、イ
ソシアネートなどの誘導体とし、特異的結合反応素子中
の遊離アミノ基との間でペプチド結合を形成させる。ペ
プチド合成に用いられる試薬、例えばカルボジイミド試
薬、ウッドワード試薬K(N−エチル−5−フェニルイ
ソキサゾリウム−3’−スルホナート)などが用いられ
る。担体のアミノ基及びカルボキシル基と特異的結合反
応素子中のアミノ基及びカルボキシル基との間でペプチ
ド結合を形成させることもできる。ジアゾ法は、芳香族
アミノ基を持つ担体をジアゾニウム化合物とし、これと
特異的結合反応素子とをジアゾカップリングさせて固定
化するものである。遊離アミノ基、ヒスチジンのイミダ
ゾール基、チロシンのフェノール性水酸基などを持つ特
異的結合反応素子に好適に適用できる。担体としては、
多糖類、アミノ酸共重合物、ポリアクリルアミド、スチ
レン系樹脂、エチレン・マレイン酸共重合物、多孔性ガ
ラス・芳香族アミノ誘導体などが挙げられる。
【0024】アルキル化法は、特異的結合反応素子中の
遊離アミノ基、フェノール性水酸基、スルフヒドリル基
をハロゲンのような反応性官能基を持つ担体によりアル
キル化して固定化する方法である。担体としては、ハロ
ゲン化アセチル誘導体、トリアジニル誘導体、ハロゲン
化メタクリル誘導体などが挙げられる。臭化シアン活性
化法は、デキストラン、セルロース、アガロース、デン
プンなどの多糖類、多孔性ガラスなどを臭化シアンで活
性化した後、特異的結合反応素子を固定化するものであ
る。架橋試薬による結合法のうち、特にグルタルアルデ
ヒドなどの二官能性試薬を用いた場合、セルロース、ア
ガロース、アルブミン、ゼラチン、キトサンなどのアミ
ノ基を導入したりあるいは有する天然高分子、合成高分
子、多孔性ガラス、多孔性セラミックスなどの無機担体
のアミノシラン誘導体などが挙げられる。ユギ反応と
は、カルボキシル基、アミノ基、アルデヒド基、イソニ
トリル基が共存していて反応させると縮合反応が起こる
ことを利用するものである。カルボキシル基又はアミノ
基を持つ担体と特異的結合反応素子とを混合した中にア
セトアルデヒド及び3−ジメチルアミノプロピルイソシ
アニドを加えることで反応させるものが挙げられる。担
体としては、多糖類、ポリアクリルアミドのアミノ誘導
体、ナイロンのイソニトリル誘導体などが挙げられる。
【0025】生化学的特異結合法においては、特異的結
合反応ペア同志の生化学的特異結合反応を利用するもの
で、例えば抗原とそれに対する抗体、抗体とハプテン、
エフェクターとレセプター、酵素と酵素インヒビター、
酵素基質、補酵素類、複合蛋白質における補欠分子団、
レクチンと糖鎖含有物質、酵素と酵素基質、核酸とその
相補的な核酸などが挙げられ、それらは公知のものの中
から選んでよい。包括法とは、多糖類や蛋白質などの天
然高分子や合成高分子の細いゲル・マトリックスの中に
特異的結合反応素子を閉じ込めるものと、膜で区切られ
た空間に特異的結合反応素子を閉じ込めるものとに大別
できる。膜包括には、半透性の固体膜に包み込むマイク
ロカプセル型、半透膜性のホロー・ファイバーや限外濾
過膜による空間に包み込むもの、液体状の膜に包み込む
リポソーム型などが挙げられる。
【0026】高分子ゲルを用いる方法は、網目構造を持
つ高分子ゲルのマトリックスの中に特異的結合反応素子
を閉じ込めて固定化するもので、固定時にゲルを球状、
フィルム状、チューブ状、膜状に自由に成形できる。ゲ
ルの調製法としては、モノマーと架橋剤を重合させて高
分子ゲルを形成させる方法、プレポリマーあるいはオリ
ゴマーを重合させる方法、高分子を可溶性の状態から不
溶の状態に変化させることによりゲルを形成させる方法
などが挙げられる。ポリマーとしては、ポリアクリルア
ミド、ポリビニルアルコール、光硬化性樹脂、ウレタン
ポリマーなどの合成高分子、κ−カラギーナン、アルギ
ン酸、ペクチン、キトサン、デンプン、コラーゲンなど
の天然高分子などが挙げられる。ポリアクリルアミドの
場合、アクリルアミドモノマー、架橋剤N,N’−メチ
レンビスアクリルアミド、重合促進剤N,N,N’,
N’−テトラメチルエチレンジアミン、重合開始剤過硫
酸カリウムを用いてゲル化させたり、γ線又はX線のよ
うな放射線を用いたりできる。アルギン酸カルシウムを
利用する場合、アルギン酸ナトリウムは水に可溶である
が、そのカルシウム塩やアルミニウム塩は水に不溶であ
ることを利用している。まずアルギン酸ナトリウム水溶
液と特異的結合反応素子とを混合し、塩化カルシウム水
溶液と接触させる。
【0027】κ−カラギーナンの場合、κ−カラギーナ
ンは加熱すると水に溶解するが、アンモニウムイオン、
カリウムイオン、カルシウムイオン、脂肪族アミンなど
が存在するとゲル化するので、こうして得られたゲルを
グルタルアルデヒドやヘキサメチレンジアミンなどで架
橋して安定化させる。光架橋性樹脂ポリマーを用いる方
法としては、適度な重合度のポリエチレングリコール
(PEG)あるいはポリプロピレングリコール(PP
G)を主鎖とし、その末端にアクリロイル基、メタクリ
ロイル基、シンナモイル基などの光感応性基を組み込ん
だプレポリマーを用いるものが挙げられる。こうしたプ
レポリマーは光増感剤ベンゾインエチルエーテル又はベ
ンゾインイソブチルエーテル存在下、特異的結合反応素
子を含む溶液と混合し、紫外線を照射してゲル化させる
ことができる。ウレタンプレポリマーは特異的結合反応
素子を含む水溶液と混合するだけでゲル化させることが
できる。
【0028】マイクロカプセル型膜包括法は、例えば親
水性モノマーと疎水性モノマーとをその界面で重合させ
る際、特異的結合反応素子を被覆して固定化したり、液
中乾燥法で例えばベンゼン、ヘキサン、クロロホルムな
どの揮発性の高い有機溶媒にポリマーを溶解し、その中
に特異的結合反応素子を含む水溶液を分散させ一次乳化
液とし、次にこの一次乳化液をゼラチン、ポリビニル又
は界面活性剤などの保護コロイド物質を含む水溶液中に
分散させ、得られた二次乳化液から有機溶媒を除去する
ことによりカプセルを形成させるものである。ホロー・
ファイバーや限外濾過膜に特異的結合反応素子を固定化
する方法では、複数の特異的結合反応素子を固定化する
ことも可能で、さらに膜に結合すること無く遊離状態で
固定化することができる。参考となる文献としては、例
えば米国特許第4,003,988号、B. K. Van Weem
en 及び A. H. A. Schuurs, Febs Letters, Vol. 15,
No. 15, pp.232-235, (1971, 6); P. Leinikki及び Suv
i Passila, J. Clin. Path., 29, pp.116-120, (1976);
B. R. Brodeur, F. E. Ashton及び B. B. Diena, The
Journal ofMedical Microbiology, Vol. 15, No. 1, p
p.1-9, (1981); J. Clin. Path., 29, pp.150-153, (19
76);石川栄治、他編「酵素免疫測定法」株式会社医学書
院、1978年などを挙げることができる。
【0029】水不溶性担体としては、固定化、保存、測
定などにおいて用いられる液体媒質に実質的に不溶性で
ある担体を指す。これらの担体としては、抗原抗体反応
などの特異的結合反応に使用されるものが種々知られて
おり、本発明においてもこれらの公知のものの中から選
んで使用できる。特に好適に使用されるものとしては、
上記したものが挙げられ、例えば架橋化アルブミン、コ
ラーゲン、ゼラチン、アガロース、架橋アガロース、セ
ルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロ
ース、セルロースアセテート、架橋デキストラン、ポリ
アクリルアミド、架橋ポリアクリルアミド、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、ポリス
チレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−メ
タクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレー
ト、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレー
ト共重合体などのポリエステル、ナイロンなどのポリア
ミド、ポリウレタン、ポリエポキシ樹脂などの有機高分
子物質を乳化重合して得られたものなどの有機高分子物
質、ガラス、例えば活性化ガラス、シリカゲル、シリカ
−アルミナ、アルミナなどの無機材料などからなるもの
で、必要に応じ、シランカップリング剤などで官能性基
を導入してあるものが挙げられる。
【0030】本発明の特異的結合反応素子の固定化され
たバイオ層は、当該分野で普通に採用されていたりある
いは当業者に知られた非特異的結合反応を防ぐためのブ
ロッキング処理が施されていてよい。例えば、哺乳動物
などの正常血清蛋白質、アルブミン、スキムミルク、乳
発酵物質、コラーゲン、ゼラチンなどで処理することが
できる。非特異的結合反応を防ぐ目的である限り、それ
らの方法は特に限定されず用いることが出来る。
【0031】本発明の特異的結合反応素子に対して低下
せしめられた結合能を持ちかつ信号形成能をもつセンシ
ング素子としては、特異的結合反応ペアの一方であり、
特異的結合反応素子に対して低下せしめられた結合能を
持つものを挙げることができる。低下せしめられた結合
能としては、充分センサーとしての機能を果たす観点か
ら規定できる。例えば抗原・抗体のペアの場合で、セン
シング素子として抗原をデザインする場合、エピトープ
・マッピングを行なうことにより適切なペプチド配列を
選ぶことが出来る。エピトープ・マッピングは、酵素免
疫測定法、螢光免疫測定法、放射免疫測定法などにより
行なうことが出来る。こうしたセンシング素子は、特定
成分を模してデザインされるので模擬特定成分と呼ぶこ
とができる。こうして特定成分が蛋白質あるいはペプチ
ドなどの場合、センシング素子としては、模擬ペプチド
であることができる。
【0032】上記抗原あるいはペプチドを合成する手法
を利用して得ることができるが、例えばウイルスなどの
抗原のうち保存領域(conservative re
gion)として知られた領域から、当該保存領域のペ
プチド配列を模擬する配列を設計し、例えば3〜8個の
アミノ酸残基をもつペプチド配列域を選択してマルチピ
ン合成法により合成したものが挙げられる。また選定す
べきペプチド配列域としては、例えば表面に露出した領
域、親水性の領域、Cys残基の少ない領域などが挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。
【0033】センシング素子として抗体を用いる場合、
還元剤で部分的にスルフヒドリル基を形成してそれを利
用したり、二官能性架橋剤を用いて抗体を化学的に修飾
したり、細胞融合技術を用いたり、部位特異的変異誘発
法を組み合わせての遺伝子組換え法などを用いて、低下
せしめられた結合能を持つ抗体としたりできる。もちろ
ん抗体の製造は上記した抗体製造方法で行うことができ
るので、適宜それらの方法を組合わせることができる。
抗体はその認識抗原に対する親和性を指標に修飾される
こともできる。修飾するには、チオール基とマレイミド
基の反応、ピリジルジスルフィド基とチオール基の反
応、アミノ基とアルデヒド基の反応などを利用して行う
ことができ、公知の方法あるいは当該分野の当業者が容
易になしうる方法、さらにはそれらを修飾した方法の中
から適宜選択して適用できる。また上記特異的結合反応
素子を水不溶性担体に固定化する場合に採用される方法
を適用することもできる。好ましくは共有結合などのよ
り安定した結合を形成できる化学的結合剤・架橋剤など
が使用される。二官能性架橋剤としては、上記した担体
と特異的結合反応素子との間の結合に利用されるものが
挙げられる。抗体には、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリアミドなどの合成高分子、
デキストリンなどの天然高分子、コラーゲンなどの蛋白
質、ペプチド、多糖類などを結合して、その特異的結合
反応素子に対する親和性などを制御できる。また親水性
も同様にして制御できる。センシング素子として核酸あ
るいはオリゴヌクレオチドを用いる場合、上記したよう
にして適切な配列を合成したりしてデザインできる。セ
ンシング素子は、各種複数の分子種などを複数の特異的
結合反応素子を用いるのに応じて用いることもできる。
つまりバイオ層には、複数の特異的結合反応素子・セン
シング素子ペアを固定化して、複数の測定を連続的に、
あるいは非連続的に、そして同時にあるいは別々に行な
うことを可能にすることもできる。
【0034】本発明のセンシング素子の信号形成能は、
検知可能な信号を形成しうるものであればとくに限定さ
れず、信号としては化学物質、熱、光、音などが挙げら
れる。信号として化学物質の場合、特には電気化学的に
測定できる化学物質の生成あるいは消費を電極、半導体
素子などで測定できる。電極としては水素イオン電極、
アンモニア電極、二酸化炭素電極、酸素電極、過酸化水
素電極など、電界効果型トランジスタなどを挙げること
もできる。さらに化学反応に伴う熱変化をサーミスタ、
ICチップなどの熱計測デバイスで検知することもでき
る。また化学反応に伴う発光現象をフォトンカウンター
などで検知してもよい。また放射線カウンターなども用
いうる。これらは適宜組み合わせてもよい。
【0035】こうした信号形成能は、標識をセンシング
素子に結合することによって与えられることができる。
標識としては、酵素、酵素基質、酵素インヒビター、補
欠分子類、補酵素、酵素前駆体、アポ酵素、螢光物質、
放射性物質などを挙げることができる。酵素としては、
脱水素酵素、還元酵素、酸化酵素などの酸化還元酵素、
例えばアミノ基、カルボキシル基、メチル基、アシル
基、リン酸基などを転移するのを触媒する転移酵素、例
えばエステル結合、グリコシド結合、エーテル結合、ペ
プチド結合などを加水分解する加水分解酵素、リアー
ゼ、イソメラーゼ、リガーゼなどを挙げることができ
る。酵素は複数の酵素を複合的に用いて検知に利用する
こともできる。例えば酵素的サイクリングを利用するこ
ともできる。代表的な酵素標識としては、西洋ワサビペ
ルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼ、大腸菌β−D
−ガラクトシダーゼなどのガラクトシダーゼ、カタラー
ゼ、ウシ小腸アルカリホスファターゼ、大腸菌アルカリ
ホスファターゼなどのアルカリ・フォスファターゼなど
が挙げられる。
【0036】アルカリホスファターゼを用いた場合、4
−メチルウンベリフェリルフォスフェートなどのウンベ
リフェロン誘導体、ニトロフェニルホスフェートなどの
リン酸化フェノール誘導体、NADPを利用した酵素的
サイクリング系、ルシフェリン誘導体、ジオキセタン誘
導体などの基質を使用したりして、生ずる螢光、発光な
どにより測定できる。ルシフェリン、ルシフェラーゼ系
を利用したりすることもできる。検知はフォトダイオー
ドなどで行なうこともできる。カタラーゼを用いた場
合、過酸化水素と反応して酸素を生成するので、その酸
素を電極などで検知することができる。電極としてはガ
ラス電極、難溶性塩膜を用いるイオン電極、液膜型電
極、高分子膜電極などであることもできる。酵素標識
は、ビオチン標識体と酵素標識アビジン(ストレプトア
ビジン)に置き換えることも可能である。標識は、複数
の異なった種類の標識を使用したり、複数の特異的結合
反応素子・センシング素子ペアに応じてそれぞれ異なっ
て検知可能な標識を使用することもできる。こうした場
合、複数の測定を連続的に、あるいは非連続的に、そし
て同時にあるいは別々に行なうことを可能にすることも
できる。
【0037】本発明においては、信号の形成に4−ヒド
ロキシフェニル酢酸、1,2−フェニレンジアミン、テ
トラメチルベンジジンなどと西洋ワサビ・ペルオキシダ
ーゼ、ウンベリフェリルガラクトシド、ニトロフェニル
ガラクトシドなどとβ−D −ガラクトシダーゼ、グルコ
ース−6−リン酸・デヒドロゲナーゼなどの酵素試薬の
組合わせも利用でき、ヒドロキノン、ヒドロキシベンゾ
キノン、ヒドロキシアントラキノンなどのキノール化合
物、リポ酸、グルタチオンなどのチオール化合物、フェ
ノール誘導体、フェロセン誘導体などを酵素などの働き
で形成しうるものが使用できる。
【0038】螢光物質としては、フルオレセインイソチ
オシアネート、例えばローダミンBイソチオシアネー
ト、テトラメチルローダミンイソチオシアネートなどの
ローダミン誘導体、ダンシルクロリド、ダンシルフルオ
リド、フルオレスカミン、フィコビリプロテイン、アク
リジニウム塩、希土類キレート化合物、クマリン誘導体
などが挙げられる。標識するには、チオール基とマレイ
ミド基の反応、ピリジルジスルフィド基とチオール基の
反応、アミノ基とアルデヒド基の反応などを利用して行
うことができ、公知の方法あるいは当該分野の当業者が
容易になしうる方法、さらにはそれらを修飾した方法の
中から適宜選択して適用できる。また上記特異的結合反
応素子を水不溶性担体に固定化する場合に採用される方
法を適用することもできる。好ましくは共有結合などの
より安定した結合を形成できる化学的結合剤・架橋剤な
どが使用される。測定操作は、自動化された測定装置を
用いて行うことが可能であり、ルミネセンス・ディテク
ター、ホト・ディテクターなどを使用して基質が酵素の
作用で変換されて生ずる表示シグナルを検知して測定す
ることもできる。本発明においては、記録されたデータ
をコンピュータ処理装置で処理できるように構成するこ
とも含まれる。
【0039】本発明に従えば、(a)予め特異的結合反
応素子に対して低下せしめられた結合能を持ちかつ信号
形成能をもつセンシング素子を、試料中の特定成分(分
析対象物)と特異的な結合反応をすることのできる特異
的結合反応素子に結合し、(b)次に該特異的結合反応
素子を固定化してあるバイオ層に、試料を供給し、この
試料中の特定成分で該センシング素子を置換することに
より、該センシング素子をバイオ層から遊離せしめ、
(c)遊離せしめられた該センシング素子の発する信号
を検知することを特徴とする、試料中の特定成分の特異
結合分析法が提供される。本発明では、該バイオ層から
遊離された信号形成能をもつセンシング素子より得られ
る信号を連続的に検知することができる。遊離せしめら
れたセンシング素子は、そこに結合された標識を指標に
して信号を得ることが出来る。例えば標識がカタラーゼ
である場合、基質として過酸化水素含有液とそのカタラ
ーゼとが反応して生成される酸素を検知することにより
なされる。基質は連続的に遊離せしめられたセンシング
素子と接触するようにできる。
【0040】本発明の一つの態様ではイムノアフィニテ
ィを利用したエイズウイルス検出用バイオセンサーが提
供される。エイズウイルス(HIV)感染の有無は、酵
素免疫測定法やゼラチン凝集法等による抗体検査を一次
スクリーニングとして用い、次にこの検査で陽性あるい
は擬陽性になった検体について二次検査としてウエスタ
ンプロッティングを行うことにより確定診断している。
一方、感染初期に抗体に先んじて血中に現れるエイズウ
イルス抗原の検査は必須であるにも拘らず、未だ充分な
アッセイ系が開発されているとは言い難い。本発明はエ
イズ診断に重要であるエイズウイルス構成蛋白質の一つ
gp41をモデルとしたイムノアフィニティを利用した
エイズウイルス検出用バイオセンサーにも関する。
【0041】HIVの全核酸配列は既に決定されている
(R. Sanchez-Pescader, M. D. Power et al., Scienc
e, 227, pp.484 (1985) 及び M. Guyader, M. Emmerma
m, L.Montagnier et al., Nature, 326, 662 (1987))。
エイズウイルス膜蛋白質、例えばgp41、gp12
0、p24などの抗原決定部分、特にはその保存領域RG
PDRPEGIEEEGGERDRD (H-Arg-Gly-Pro-Asp-Arg-Pro-Glu-G
ly-Ile-Glu-Glu-Glu-Gly-Gly-Glu-Arg-Asp-Arg-Asp-OH)
(19mer)をペプチド合成機により合成し、キー・ホール
・リムペット(Keyhole Limpet Hemocyanin; KLH)とコン
ジュゲータした後、これを免疫原として動物を免疫し、
さらに必要に応じ、細胞融合法によりモノクローナル抗
体を作製し、こうして得られた抗体を使用してエピトー
プの解析を実施し、模擬抗原ペプチドを入手できる。上
記抗原決定部分より該抗体に対する親和性の弱い模擬抗
原ペプチドを選択して、例えばカタラーゼなど酵素で標
識し、センシング素子として標識模擬抗原ペプチドを得
る。このものは該抗体を固定化したバイオ層と反応さ
せ、固定化抗体と結合させることによりセンサー用反応
性バイオ層となる。このセンサー用反応性バイオ層は、
例えば図1のような原理のセンサー装置に組み込まれ、
このバイオ層と例えばgp41などのエイズウイルス膜
蛋白質とを接触させると、カタラーゼなどの酵素標識模
擬抗原ペプチドを遊離し、例えば過酸化水素などの標識
酵素の基質と出会うと、例えば酸素などの酸素電極で容
易に検知可能な信号を形成し、例えばgp41などのエ
イズウイルス膜蛋白質抗原の検知・測定を可能にする。
【0042】一方模擬抗原ペプチドを固定化してバイオ
層とし、モノクローナル抗体などの抗体を例えばカタラ
ーゼなど酵素で標識し、センシング素子としてデザイン
する。この場合ポリエチレングリコールとコンジュゲー
トすると好ましい結果が得られるが、上記模擬抗原ペプ
チドの場合のように特別な特異的結合反応における親和
性に関しての工夫をすることなく実質的に試料中の抗H
IV抗体により置換されうるものであれば特に限定され
ること無く標識模擬抗体をセンシング素子として使用で
きる。代表的な例では、マレイミド法などの方法でポリ
エチレングリコール500で修飾され、かつ過ヨウ素酸
法などでカタラーゼといった酵素標識された標識模擬抗
体が用いられる。標識模擬抗体は固定化模擬抗原ペプチ
ドに結合されセンサー用反応性バイオ層となる。このセ
ンサー用反応性バイオ層は、例えば図1のような原理の
センサー装置に組み込まれ、このバイオ層と例えば抗H
IV抗体を含む試料とを接触させると、カタラーゼなど
の酵素標識模擬抗体を遊離し、例えば過酸化水素などの
標識酵素の基質と出会うと、例えば酸素などの酸素電極
で容易に検知可能な信号を形成し、例えば抗HIV抗体
の検知・測定を可能にする。センサー用反応性バイオ層
は、必要に応じ同一あるいは異なる複数の層からなるこ
とができる。
【0043】
【実施例】次に実施例を示して、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこの具体例により限定されるもの
でなく、その思想に従うかぎり各種の形態で実施できる
ことは理解されるべきである。
【0044】実施例1 (1)抗HIV・gp41血清の作製 エイズウイルス膜タンパクgp41の保存領域 RGPDRPE
GIEEEGGERDRD (H-Arg-Gly-Pro-Asp-Arg-Pro-Glu-Gly-Ile-Glu-Glu-Glu
-Gly-Gly-Glu-Arg-Asp-Arg-Asp-OH)(19mer) のC末端にCysを付加したペプチドをサイエンス(S
cience),vol.231,pp.1556−1
559(1986,March)の記載に従いペプチド
合成機モデル431A(アプライド・バイオシステムズ
社製)により合成し、高速液体クロマトグラフィーによ
り精製し、次にキー・ホール・リムペット(Keyhole Lim
pet Hemocyanin; KLH)とN−スクシンイミジル 4−
(m−マレイミドベンゾイル)−N−ヒドロキシスクシ
ンイミド・エステルを用いて、コンジュゲート化し、フ
ロイント完全アジュバントを用いてエマルジョンとし、
ウサギを免疫する。コンジュゲートを100μg/do
seとし、ウサギは2週間置きに3回筋肉内投与を受け
る。免疫後ウサギ血液より該ペプチドに対する抗血清を
得る。得られた抗血清から抗体を、先ず33%硫安で塩
析し、つぎにプロテインA セファロース アフィニテ
ィ カラム クロマトグラフィーにかけてより精製す
る。
【0045】(2)抗HIV・gp41モノクローナル
抗体の作製 実施例1(1)と同様にして得られたペプチド・KLH
・コンジュゲートを用いて約6週齢のBalb/cマウ
ス(雄)を免疫した。すなわち、200μgの上記コン
ジュゲートをフロイント完全アジュバントを用いてエマ
ルジョンとし、マウスの腹腔に注射した。さらに、2週
間後、150μgの上記コンジュゲートをフロイント不
完全アジュバントを用いてエマルジョンとし、マウスの
腹腔に注射した。さらに、2週間後、0.15Mの食塩
水に溶解した100μgの上記コンジュゲートをマウス
の静脈に注射した。その3日後、マウスより脾臓を取り
出し、脾細胞を採取した。この脾細胞(4×102 個)
とアザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞X63−Ag8−
6.5.3(1.2×103 個)とを混合し、50%ポ
リエチレングリコール4000(メルク社製)を用いて
細胞融合した。
【0046】融合細胞を96ウェルプレートにまき、1
5%ウシ胎児血清(FCS)、ペニシリン(50単位/
ml)とストレプトマイシン(50μg/ml)とを含
むHAT培地(0.4μMアミノプテリン、16μMチ
ミジン、100μMヒポキサンチンを含むRPM1−1
640培地)で培養した。2日おきに培地の半分を新し
いHAT培地と交換し、2週間後各ウェルの培養上清を
酵素免疫測定法(ELISA法)によりアッセイし、ポ
ジティブなものを限界希釈法によりクローニングを行
い、ハイブリドーマを得た。次にこの細胞をマウス腹腔
内にて増殖させ、抗HIV・gp41モノクローナル抗
体を得た。腹水から得られた抗体は、先ず33%硫安で
塩析し、つぎにプロテインA セファロース アフィニ
ティ カラム クロマトグラフィーにより精製し、その
純度はドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド電
気泳動により確認された。そのうちの一つのハイブリド
ーマから得られた抗gp41モノクローナル抗体を41
S−2と名付けた。
【0047】実施例2 エピトープ・マッピング エイズウイルス膜タンパクgp41の保存領域 RGPDRPE
GIEEEGGERDRD (H-Arg-Gly-Pro-Asp-Arg-Pro-Glu-Gly-Ile-Glu-Glu-Glu
-Gly-Gly-Glu-Arg-Asp-Arg-Asp-OH)(19mer) のN末端からC末端にそれぞれ1アミノ酸づつずらした
5merのペプチドを全部で15種合成した。合成には
マルチ・ピン型ペプチド合成機をもちいた。(表1参
照)
【0048】実施例1(1)で得られた抗gp41血清
に対するこれらペプチドの反応性をサンドイッチ型EL
SAで調べた。その結果合成した5merのペプチドの
血清中の抗gp41抗体に対する親和性は、 GIEEE(H-Gly-Ile-Glu-Glu-Glu-OH)(41-A)>IEEEG(H-Ile-
Glu-Glu-Glu-Gly-OH)(41-B)>EGIEE(H-Glu-Gly-Ile-Glu-
Glu-OH)(41-B) の順である。同様に実施例1(1)で得られた抗gp4
1モノクローナル抗体、41S−2に対するこれらペプ
チドの反応性をサンドイッチ型ELSAで調べた。その
結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】41S−2抗体は、gp41のN末端側の
1部をゆるく、そして中央部を強く認識していることが
わかった。これは19merペプチドが折り畳まれて中
央部とN末端側が近接しているためと思われる。
【0051】実施例3 模擬抗原の作製 上記で確認されたペプチド41−A、41−B及び41
−BのC末端にそれぞれCysを付加したペプチドをペ
プチド合成機モデル431A(アプライド・バイオシス
テムズ社製)により合成し、高速液体クロマトグラフィ
ーにより精製し、次にマレイミド法によりカタラーゼで
標識した。すなわち、10mgのカタラーゼ(シグマ
(Sigma)C−10)を0.1Mリン酸ナトリウム
緩衝液(pH=7.0)1.2mlに溶解し、N−(ε
−マレイミドヘキサノイルオキシ)スクシンイミド(E
MCS;同仁化学社製)溶液(DMF中の25mg/m
l液)120mlを加え、室温で撹拌して30分間反応
させた。次にセファデックス(Sephadex)G−
25(10mm×200mm、ファルマシア社製)を用
いたゲル・クロマトグラフィーによりEMCSを除い
た。1mgの上記合成ペプチドをEMCS処理カタラー
ゼ液に加え、4℃で一晩反応させた。得られた液をリン
酸塩で緩衝化された食塩水液(PBS;pH=7.4)
に対して透析した。
【0052】実施例4 抗gp41抗体を固定化したバイオ層の作製 デュラポア(Durapore)メンブレン(ミリポア
(Millopore)社製)を直径13mmの円形に
切り抜き、メタノールに浸す。PBSで該メンブレンを
洗い、4℃で一晩の間、実施例1(1)で得られた抗g
p41血清を含浸させ、ついで室温で30分間3%スキ
ムミルク/PBSでブロッキング処理する。抗体を固定
化したメンブレンをPBSで洗い、次に4℃で一晩の
間、実施例3で得られたカタラーゼ標識模擬抗原液中に
置いて、固定化された抗gp41抗体にカタラーゼ標識
模擬抗原を結合させる。同様に処理し、実施例1(2)
で得られた抗gp41モノクローナル抗体、例えば41
S−2抗体についても上記メンブレンに固定化し、カタ
ラーゼ標識模擬抗原を結合させた。こうしてカタラーゼ
標識模擬抗原を結合させた抗gp41モノクローナル抗
体41S−2抗体の固定化されたバイオ層を得る。
【0053】実施例5 バイオセンサーにおけるHIV抗原の測定 AIDS用バイオセンサーをフロー・ダイアグラムで示
して図1の構成とした。実施例4で得られたバイオ層で
あるメンブレンをカートリッジに取り付ける。ポンプ1
により流速30〜60ml/hrでPBSを実験中ずっ
と流しておく。各種の濃度の抗原を含む試料液200m
lを使い捨て型のシリンジでもってポンプ1のラインに
セットする。ポンプ2でもって0.6〜2%の過酸化水
素を含むPBSを送り込む。過酸化水素はバイオ層であ
るメンブレンから遊離されて流れてくる該模擬抗原にコ
ンジュゲートしているカタラーゼに会うと、分解されて
酸素を形成する。酵素反応で形成された酸素は、フロー
・ライン中に挿入されている酸素電極(クラーク(Cl
ark)型)でモニターされた。生じる電流は、レコー
ダー付のalk・オーム抵抗測定装置でもって記録され
る。
【0054】結果は、ペプチド41−A模擬抗原では親
和性が強すぎるため抗原としてgp41を3μg/ml
(200μl)導入しても模擬抗原との置換が起こら
ず、センサーとして機能しなかった。ペプチド41−B
模擬抗原は高濃度のgp41の導入により僅かな電気信
号応答性を示した。ペプチド41−C模擬抗原では、セ
ンサーとして良好な動作性能を示した。41S−2抗体
の固定化されたバイオ層を用いても同様の結果を得た。
この場合ペプチド41−C模擬抗原では、2.5μg/
mlのgp41の導入により流速約30ml/hr、
2.0%の過酸化水素液条件で、図2に示すような信号
応答を得た。約130pAの出力が得られた。試料導入
後、約10分で最大値を得た。その時の抗原濃度依存性
を図3に示す。これから1μg/mlあるいはそれ以下
のgp41の検出が可能であることがわかった。同様に
ペプチド41−C模擬抗原を使用して幾つかのバイオ層
の調製を試みたところ、ペプチド41−Cはゼンサー用
素子として優れていることが確認された。場合により2
〜3倍の感度も達成できた。
【0055】実施例6 (1)模擬抗体の作製 (a)水谷等の方法(F.Mizutani and
S.Yabuki,Chemical Sensor
s,9,Supplement B,118(199
3))に従い実施例1(1)で得られた抗gp41抗体
をポリエチレングリコールで修飾する。また抗体は過ヨ
ウ素酸酸化法を用いてカタラーゼで標識する。 抗体に
蒸留水を加え、次に0.1MNaIO4 液を加え、室温
で約30分間インキュベート処理する。反応後この抗体
溶液を1mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.4)に対
して約4℃で一晩透析する。一方、リン酸緩衝食塩液
(PBS,pH7.4)と10mM炭酸ナトリウム緩衝
液(pH9.5)とを混合し、これにカタラーゼ(シグ
マ(Sigma)C−10)を溶解し、次にこのカタラ
ーゼ溶液を10mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.
5)に対して約4℃で一晩透析する。
【0056】NaIO4 液処理抗体液に、液が約pH
9.5付近になるまで0.2M炭酸ナトリウム緩衝液
(pH9.5)を加え、上記カタラーゼ溶液を添加し、
室温で約2.5時間撹拌しながら反応させる。反応終了
後0.4%テトラヒドロホウ酸ナトリウム液を添加し、
4℃で約2時間撹拌しながら反応させる。反応終了後P
BS(pH7.0)に対して約4℃で一晩透析する。こ
うしてカタラーゼ標識抗gp41抗体を得る。次にカタ
ラーゼ標識抗体液をモルカットL(ミリポア(Millipor
e)、UFP2 TMK24、300,000 カット)を用い濾過処理し、
活性化ポリエチレングリコール(メトキシ ポリエチレ
ングリコール−スクシンイミジル スクシネート、シグ
マ(Sigma)M3152)を添加し、約37℃で約
2時間撹拌しながら反応させた。反応終了後モルカット
Lで濾過処理し、模擬抗体を得た。
【0057】(b)同様に実施例1(2)で得られた抗
gp41モノクローナル抗体41S−2抗体についても
模擬抗体を作製した。5.19mg/mlの41S−2
抗体385μlに蒸留水616μlを加え、次に0.1
MNaIO4 液200μlを加え、室温で約30分間イ
ンキュベート処理する。反応後この抗体溶液を1mM酢
酸ナトリウム緩衝液(pH4.4)に対して約4℃で一
晩透析する。一方、リン酸緩衝食塩液(PBS,pH
7.4)0.5mlと10mM炭酸ナトリウム緩衝液
(pH9.5)0.5mlとを混合し、これに16mg
のカタラーゼ(シグマ(Sigma)C−10)を溶解
し、次にこのカタラーゼ溶液を10mM炭酸ナトリウム
緩衝液(pH9.5)に対して約4℃で一晩透析する。
【0058】NaIO4 液処理41S−2抗体液に、液
が約pH9.5付近になるまで0.2M炭酸ナトリウム
緩衝液(pH9.5)を加え、上記カタラーゼ溶液を添
加し、室温で約2.5時間撹拌しながら反応させる。反
応終了後0.4%テトラヒドロホウ酸ナトリウム液を添
加し、4℃で約2時間撹拌しながら反応させる。反応終
了後PBS(pH7.0)に対して約4℃で一晩透析す
る。こうしてカタラーゼ標識抗gp41モノクローナル
抗体41S−2抗体を得る。次にカタラーゼ標識41S
−2抗体液をモルカットL(ミリポア(Millipore)、UF
P2 TMK24、300,000 カット)を用い濾過処理し、活性化
ポリエチレングリコール(メトキシ ポリエチレングリ
コール−スクシンイミジル スクシネート、シグマ(S
igma)M3152)120mgを添加し、約37℃
で約2時間撹拌しながら反応させた。反応終了後モルカ
ットLで濾過処理し、模擬抗体を得た。
【0059】(2)ペプチド41−Cを固定化したバイ
オ層の作製 ペプチド41−Cを固定化するのは、実施例4と同様に
して行なった。すなわち、デュラポア(Durapor
e)メンブレン(ミリポア(Millopore)社
製)を直径13mmの円形に切り抜き、メタノールに浸
す。PBSで該メンブレンを洗い、4℃で一晩の間、実
施例3で得られた模擬抗原ペプチド41−Cを含浸さ
せ、ついで室温で30分間3%スキムミルク/PBSで
ブロッキング処理する。ペプチドを固定化したメンブレ
ンをPBSで洗い、次に4℃で一晩の間、実施例6
(1)で得られたカタラーゼ標識模擬抗体液中に置い
て、固定化されたペプチド41−Cにカタラーゼ標識模
擬抗体を結合させる。同様に処理し、実施例1(2)で
得られた抗gp41モノクローナル抗体、例えば41S
−2抗体についても上記ペプチド41−Cに結合させ
た。こうしてカタラーゼ標識模擬抗体を結合させた41
−Cの固定化されたバイオ層を得る。固定化においては
マレイミド法を用い実施例3で合成された41−Cペプ
チドを固定化することもできる。
【0060】実施例7 バイオセンサーにおける抗HIV抗体の測定 HIV感染の診断は、最終的には抗gp41抗体、抗g
p120抗体、抗p24抗体など存在を測定して診断さ
れている。そこで抗HIV抗体用バイオセンサーを実施
例5と同様のフロー・ダイアグラムで示して図1の構成
としたものに、実施例6で得られたバイオ層であるメン
ブレンをカートリッジに取り付ける。ポンプ1により流
速30〜60ml/hrでPBSを実験中ずっと流して
おく。各種の濃度の抗gp41抗体を含む試料液200
mlを使い捨て型のシリンジでもってポンプ1のライン
にセットする。ポンプ2でもって0.6〜2%の過酸化
水素を含むPBSを送り込む。過酸化水素はバイオ層で
あるメンブレンから遊離されて流れてくる該模擬抗体に
コンジュゲートしているカタラーゼに会うと、分解され
て酸素を形成する。酵素反応で形成された酸素は、フロ
ー・ライン中に挿入されている酸素電極(クラーク(C
lark)型)でモニターされた。生じる電流は、レコ
ーダー付のalk・オーム抵抗測定装置でもって記録さ
れる。
【0061】結果は、遊離された模擬抗体コンジュゲー
トにより酵素反応が起き、過酸化水素の分解で生じた酸
素生成により生じた電気信号応答を検知できた。カタラ
ーゼ標識模擬41S−2抗体を固定化されたペプチド4
1−Cに結合させたバイオ層を用いても同様の結果を得
た。この場合各種の濃度の41S−2抗体を抗gp41
抗体として含む試料液200mlを使い捨て型のシリン
ジでもってポンプ1のラインにセットして流すと、ほぼ
41S−2抗体の量に応じた応答性が得られた。感度
は、抗原測定より高くなっており、0.2μg/mlよ
り少ない量の検知が可能である。結果を図4に示す。実
験を繰り返し、0.1μg/ml程度の抗体の検知が可
能であることが確認され、実用的に使用可能な感度と評
価される。本発明で使用しているエピトープマッピング
の手法やペプチド合成の方法を利用して、同様に各種の
抗原の保存領域について、理想とする親和性を持つ模擬
抗原や模擬抗体などのセンシング素子の作製が可能であ
ることが確認された。
【0062】
【発明の効果】本発明に従えば、迅速な測定検知が可能
なバイセンサーを広くデザインすることができ、その応
用範囲の広い装置を提供できる。特にこれまでAIDS
などでは適当なバイセンサーがなく、その測定及び検知
に手間がかかったが、本発明の手法に従い感度に優れた
センサーが開発できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従った、バイオセンサーのフロー・ダ
イアグラムを示す。
【図2】本発明の41S−2抗体の固定化されたバイオ
層を用いたバイオセンサーにおけるgp41の導入によ
り得られた信号応答性を示す。
【図3】本発明の41S−2抗体の固定化されたバイオ
層を用いたバイオセンサーにおけるgp41の導入によ
り最大の信号応答性を示す時の抗原濃度依存性を示す。
【図4】本発明のカタラーゼ標識模擬41S−2抗体を
固定化されたペプチド41−Cに結合させたバイオ層を
用いたバイオ層を用いたバイオセンサーにおける抗gp
41抗体測定の感度を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/68

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特異的結合反応素子とそれに特異的に結
    合反応する特定成分との特異的結合反応を利用したバイ
    オセンサーにおいて、該特異的結合反応素子に対して低
    下せしめられた結合能を持ちかつ信号形成能をもつセン
    シング素子を該特異的結合反応素子に結合してあるとこ
    ろの特異的結合反応素子の固定化してあるバイオ層と、
    該バイオ層から遊離された信号形成能をもつセンシング
    素子より得られる信号を検知することのできる検知素子
    からなることを特徴とするバイオセンサー。
  2. 【請求項2】 該バイオ層に測定すべき試料を接触せし
    め、該特異的結合反応素子に感応して結合する特定成分
    でもって該センシング素子を遊離せしめ、該バイオ層か
    ら遊離された信号形成能をもつセンシング素子を検知可
    能な信号形成工程に付し、次に形成された信号を連続的
    に検知素子で検知しうるものであることを特徴とする請
    求項1記載のバイオセンサー。
  3. 【請求項3】 該センシング素子が、該特異的結合反応
    素子に感応して結合する特定成分よりも特異的結合反応
    素子に対して低下された結合能を持ちかつ信号形成能を
    もつ標識をされたペプチドからなるものであることを特
    徴とする請求項1記載のバイオセンサー。
  4. 【請求項4】 該センシング素子が、該特異的結合反応
    素子に感応して結合する特定成分よりも特異的結合反応
    素子に対して低下された結合能を持ちかつ信号形成能を
    もつ標識をされた抗体またはその誘導体からなるもので
    あることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサー。
  5. 【請求項5】 該特異的結合反応素子が特異抗体または
    実質的に特異抗体と同等の特異的結合反応性を持つもの
    であることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ
    ー。
  6. 【請求項6】 該特異的結合反応素子が特異的モノクロ
    ーナル抗体または実質的に特異的モノクローナル抗体と
    同等の特異的結合反応性を持つものであることを特徴と
    する請求項1記載のバイオセンサー。
  7. 【請求項7】 該特異的結合反応素子が特異抗体が認識
    する抗原決定部位よりもより低い親和性を該特異抗体に
    対して持つものであることを特徴とする請求項1記載の
    バイオセンサー。
  8. 【請求項8】 該特異的結合反応素子が抗原決定部位を
    エピトープ・マッピングして選択されたものでかつより
    低い親和性を該特異抗体に対して持つものであることを
    特徴とする請求項1記載のバイオセンサー。
  9. 【請求項9】 該特異的結合反応素子が特異抗体が認識
    する抗原決定部位に対して模擬せしめられているペプチ
    ドであることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ
    ー。
  10. 【請求項10】 該バイオセンサーが後天性免疫不全症
    候群(AIDS)を検知する為のものであることを特徴
    とする請求項1記載のバイオセンサー。
  11. 【請求項11】 該信号が酵素反応により形成されるも
    のであることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ
    ー。
  12. 【請求項12】 該検知素子が酸素電極であることを特
    徴とする請求項1記載のバイオセンサー。
  13. 【請求項13】 酵素標識された模擬抗原ペプチドを特
    異的結合反応を利用して固定化された抗体に結合せしめ
    られているバイオ層又は酵素標識された特異抗体を特異
    的結合反応を利用して固定化された模擬抗原ペプチドに
    結合せしめられているバイオ層を有する反応装置、該反
    応装置へ測定すべき試料を供給するための装置、該反応
    装置から特異的結合反応に伴った置換により遊離される
    酵素標識された模擬抗原ペプチドと酵素反応により検知
    可能な信号を生成せしめる手段、生成された信号を電気
    化学的に検知するための手段をもつことからなることを
    特徴とする請求項1記載のバイオセンサー。
  14. 【請求項14】 特異的結合反応素子とそれに特異的に
    結合反応する特定成分との特異的結合反応を利用した特
    定成分の測定方法において、該特異的結合反応素子に対
    して低下せしめられた結合能を持ちかつ信号形成能をも
    つセンシング素子を該特異的結合反応素子に結合してあ
    るところの特異的結合反応素子の固定化してあるバイオ
    層に、測定すべき試料を供給して該センシング素子を該
    特定成分で置換せしめて遊離させ、次に該遊離したセン
    シング素子をその信号形成能を利用して信号を生成せし
    め、形成された信号を検知することのできる検知素子で
    検知することを特徴とする特定成分の測定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999033968A1 (fr) * 1997-12-26 1999-07-08 Taizo Uda Procede de production d'anticorps catalytique et son procede d'utilisation
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