JPH08133369A - イチゴ用容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 イチゴの容器詰めの手間を軽減し、しかも搬
送時や保管時の痛みを防止する。 【構成】 イチゴ１の果托２が進入可能な窪み部１２を
容器本体１１の底部に複数個設けた容器に蓋体２１を設
ける。蓋体２１の天井面よりこれらの窪み部中、相隣合
う４つの窪み部に囲まれる箇所に向けて先細りの柱２４
Ａ、２４Ｂを垂下すると共に、蓋体の周側壁面にはこれ
らの窪み部の外周に沿って複数個の張り出し突起２２Ａ
・・・２２Ｊを内側に向けて設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は収穫したイチゴの出荷
のために使用する容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、収穫されたイチゴは箱状の容器に
詰められて出荷され、そのまま店頭で販売に供されてい
た。そしてこの場合、イチゴは斜め横に倒された状態で
互いに寄り重なるように箱詰めにされていた。即ち、店
頭効果を高めるためにイチゴは綺麗に整列した状態で箱
詰めされていなくてはならず、そのためには斜め横に倒
した状態で箱詰めするのが作業効率上もっとも整列させ
やすく、又搬送時に振動等により整列が崩れるおそれも
少なかった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記容
器詰め方法においては第１にイチゴは斜め横に倒された
状態で容器に収容されるのでその表皮が容器底部に接触
し、第２にイチゴは互いに寄り重なるように容器に収容
されるので互いに荷重がかかり、搬送時の振動や傾きに
よっては特定のイチゴに他のイチゴの荷重が加わるおそ
れがあった。よってこの場合、イチゴは異物質である合
成樹脂等の容器に長時間接触することにより接触部分が
痛んで溶けた状態になったり、又イチゴ同士の荷重のか
かり合いによりイチゴの一部がやはり痛んで溶けた状態
になる現象を生じた。

【０００４】そこで、このような事態を防止するために
イチゴの出荷にあたって痛みにくい未成熟のイチゴを出
荷することが広く行われており、特に痛みが生じやすい
温暖期には出荷されるイチゴの殆どを未成熟のものが占
め、その結果消費者は熟度の足りない不味いイチゴを強
いられ、痛みによる商品価値の低減は防止されても、肝
心のイチゴの味、風味の点で商品価値が逆に減殺される
問題点があった。

【０００５】又、作業効率上斜め横に倒した状態で容器
詰めするのが整列させやすいとはいっても、それは他の
方法に比べた場合であり、多大な労力と熟練技術を要す
ることには変りなく、イチゴの栽培に要する以上の労力
を箱詰めに費やさなくてはならず、慢性的な労働力不足
の昨今においてはイチゴ栽培の大きなネックとなってい
た。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は上記の如き従
来技術の問題点を解消したイチゴ用容器を提供すること
を目的とする。即ち、この発明はイチゴ１の果托２が進
入可能な窪み部１２を容器本体１１の底部に複数個設け
た容器に蓋体２１を設け、蓋体２１の天井面よりこれら
の窪み部中、相隣合う４つの窪み部に囲まれる箇所に向
けて先細りの柱２４Ａ、２４Ｂを垂下すると共に、蓋体
の周側壁面にはこれらの窪み部の外周に沿って複数個の
張り出し突起２２Ａ・・・２２Ｊを内側に向けて設けた
ことを特徴とする。

【０００７】

【作用】よって、この発明によればイチゴの果托を容器
本体の窪み部に落とし込むことにより容器内にイチゴを
箱詰めする際のガイド作用を生じ、イチゴの果托を容器
本体の窪み部に落とし込むことによりイチゴは容器内に
相互に独立して支持される作用を生じ、この作用により
托葉部分が下を向いた状態で容器内に立設されることに
より、容器底部にはイチゴの托葉部分が主に接触する作
用を先ず生じる（図１及び図４参照）。

【０００８】次いで、上記手順により収容した容器本体
に蓋体をかぶせることにより、落とし込むことによりイ
チゴが支持されている各窪み部中、相隣合う４つの窪み
部に囲まれる箇所の上方に蓋体の天井面より先細りの柱
が位置すると共に、これらの窪み部の外周に沿ってその
上方に蓋体の周側壁面よりの複数個の張り出し突起が位
置するので、イチゴの果托の上方周側にこれらの柱及び
張り出し突起が接することとなり、イチゴは果托の下方
が容器本体の窪み部により支持されると共に、上方が蓋
体の柱及び張り出し突起により支持される作用を生じる
こととなる（図４参照）。

【０００９】

【実施例】以下、この発明の具体的実施例を添付図面に
基づいて説明する。図１乃至図４はこの発明のイチゴ用
容器の一例を示す図である。図中符号１０は容器であ
る。この容器１０は合成樹脂、ここでは薄肉状の例えば
塩化ビニール等の透明合成樹脂（この図では図示の関係
上不透明として扱っている。）により容器本体とこれに
被蓋される蓋体との箱状に形成される。

【００１０】図中符号１１は上記の容器本体であり、底
部に多数の窪み部１２を設けると共に、この実施例では
それぞれの窪み部の底に空隙１３を設けた構成としてい
る。この場合、窪み部１２はイチゴ１の果托２が進入可
能な大きさとし、又空隙１３は同じく果托の基部３が進
入可能な大きさとする（図中符号４はイチゴの托葉部分
である。）。そうすることにより、イチゴ１の果托２を
容器本体の窪み部１２に落とし込んだ際に、その果托２
の基部３が窪み部の底の空隙１３に落ち込むことにより
果托の基部と空隙が相まってイチゴの転倒を防止するス
トッパー作用を生じることとなる（図４参照）。

【００１１】次に、図中符号２１は蓋体であり、この実
施例においてはヒンジ２０を介して上記の容器本体１１
と連結される。この蓋体２１の天井面からは、被蓋した
際に上記の容器本体の窪み部１２中、相隣合う４つの窪
み部に囲まれる箇所に向けられるように先細りの柱２４
Ａ、２４Ｂが垂下される。

【００１２】又、蓋体２１の周側壁面には、やはり被蓋
した際に上記の容器本体の窪み部１２の外周に沿って位
置するように複数個の張り出し突起２２Ａ・・・２２Ｊ
が内側に向けて設けられる。

【００１３】この実施例の図面における、以上の柱と張
り出し突起の位置の詳細を説明すれば次の通りである
（位置の説明は図１において紙面の上方をイチゴ用容器
の前方と仮に定義して行う）。先ず、この実施例におい
ては容器本体の窪み部１２は前後３列、左右２列の計６
個設けられているので、最前列の２個の窪み部と中列の
２個の窪み部に囲まれた箇所に先ず柱２４Ａが位置し、
次いでこの中列の２個の窪み部と最後列の２個の窪み部
に囲まれた箇所に柱２４Ｂが位置する。

【００１４】次に、張り出し突起に関しては、この実施
例では上記の柱と相まって、１つのイチゴに対し柱及び
張り出し突起により周側４方向よりそれを支持すること
を想定している。即ち、蓋体２１にはその前方中央より
時計回りに次の１０個の張り出し突起が設けられる。 (1) 最前列の２個の窪み部中、左側の窪み部の２時方向
及び右側の窪み部の１０時方向に向けられた張り出し突
起２２Ａ。 (2) 同じく右側の窪み部の２時方向に向けられた張り出
し突起２２Ｂ。 (3) 最前列右側及び中列右側の窪み部中、前方の窪み部
の４時方向及び後方の窪み部の２時方向に向けられた張
り出し突起２２Ｃ。 (4) 中列右側及び最後列の右側の窪み部中、前方の窪み
部の４時方向及び後方の窪み部の２時方向に向けられた
張り出し突起２２Ｄ。 (5) 同じく後側の窪み部の４時方向に向けられた張り出
し突起２２Ｅ。 (6) 最後列の２個の窪み部中、右側の窪み部の８時方向
及び左側の窪み部の４時方向に向けられた張り出し突起
２２Ｆ。 (7) 同じく左側の窪み部の８時方向に向けられた張り出
し突起２２Ｇ。 (8) 最後列左側及び中列左側の窪み部中、後方の窪み部
の１０時方向及び前方の窪み部の８時方向に向けられた
張り出し突起２２Ｈ。 (9) 中列左側及び最前列の左側の窪み部中、後方の窪み
部の１０時方向及び前方の窪み部の８時方向に向けられ
た張り出し突起２２Ｉ。 (10)同じく前方の窪み部の１０時方向に向けられた張り
出し突起２２Ｊ。

【００１５】よって、この実施例によれば、例えば図１
のＸ位置の窪み部１２に支持されたイチゴ１は張り出し
突起２２Ａ、２２Ｂ、２２Ｃと柱２４Ａにより支持され
ることとなり、同じくＹ位置の窪み部１２に支持された
イチゴは張り出し突起２２Ｃ、２２Ｄと柱２４Ａ、２４
Ｂにより支持されることとなる。

【００１６】そして、この場合、柱２４Ａ、２４Ｂは先
細り形状となっており、又張り出し突起２２Ａ・・・２
２Ｊは下方に向かうほど張り出し度合いが少なくなって
いることより、イチゴ１はその果托２の上方中途がこれ
らの柱及び張り出し突起と接触することとなる（図４参
照）。

【００１７】尚、この実施例においては積載時における
上下方向の剛性を高めるために容器本体１１の底部よ
り、蓋体２１より垂下される柱２４Ａ、２４Ｂに当接す
る柱１４Ａ、１４Ｂが立設され、これらはそれぞれ嵌合
窪み２５Ａ、２５Ｂと嵌合突起１５Ａ、１５Ｂにより嵌
合される構成としている。

【００１８】又、この実施例においては蓋体２１の上面
に複数個の突起２３を設けると共に、容器本体１１を蓋
体２１の上に重ねた際に、容器本体１１の底部の窪み部
１３同士の間に空間１６に位置する箇所にこれらの突起
２３を配することにより、イチゴ用容器１０同士を積み
重ねた際の横ずれ防止手段としている（図５参照）。

【００１９】以上の容器の使用にあたっては、托葉４を
容器本体１１の窪み部１２に向けてイチゴ１を持ち、先
ず果托の基部３を窪み部の空隙１３に落とし込み、次い
で果托２を窪み部１２に落とし込む。そして、上記の作
業を各イチゴ毎に順次繰り返すことにより、イチゴ１は
果托の基部３が空隙１３に落ち込んだ状態で容器本体内
に起立状態で整列される。

【００２０】次いで、蓋体２１を被蓋して一端を粘着テ
ープ等により固定すれば、各イチゴ１は蓋体２１の柱２
４Ａ、２４Ｂ及び張り出し突起２２Ａ・・・２２Ｊによ
り完全に支持されて輸送時に振動することが防止され
る。

【００２１】そして、この場合、この実施例のように容
器を薄肉状の合成樹脂により成型すれば、上記の蓋体２
１の柱２４Ａ、２４Ｂ及び張り出し突起２２Ａ・・・２
２Ｊはその形状より適度の弾性を持つことが期待でき、
イチゴに柔らかく接触して支持することとなり、イチゴ
はより傷みにくくなる。

【００２２】

【発明の効果】以上のように構成されるこの発明は次の
特有の効果を奏する。 イチゴの果托と容器底部の窪み部とが相まって容器内
にイチゴを箱詰めする際のガイド作用を生じることよ
り、イチゴの位置決めが容易に実現され、短時間でしか
も特殊な技能を要さず多数のイチゴを整列状態で箱詰め
することができ、イチゴの生産、収穫、販売の５０％を
占めるといわれている箱詰め作業が飛躍的に向上する。

【００２３】イチゴは果托の下方が容器底部の窪み部
により支持されると共に、上方中途が蓋体の柱及び張り
出し突起により支持されるので、イチゴが立設状態で容
器内に完全に支持され、搬送中に倒れたり、がたついた
りすることが防止され接触による傷みが減少される。

【００２４】上記の効果は単に蓋体を被蓋するだけで
実現されるので、完全な固定が短時間で容易に実現でき
る。

【００２５】上記と同様の作用より、必然的にイチ
ゴは托葉部分が下を向いた状態で容器内に立設され、容
器の窪み部の底部には主に托葉部が接触するので、イチ
ゴの表皮部分が直接容器に接触することが防止され、搬
送時及び保管時の痛みが減少される。

【００２６】個々のイチゴはそれぞれ果托が容器の窪
み部に落ち込むことにより相互に独立して支持されるの
で、振動や傾きによって特定のイチゴに他のイチゴの荷
重が加わるおそれがなく、搬送時及び保管時の痛みのお
それが減少される。

【００２７】実施例のように蓋体にずれ止めの突起を
設けた場合には輸送時のずれ止めはもとより、スーパー
マーケット等の売場での安全な積み上げ陳列が可能とな
り、陳列スペースを節約できる。

【００２８】以上の効果より、この発明によれば店頭
効果の高い整然と容器詰めされたイチゴが手間をかけず
に容易に実現でき、しかも容器やイチゴ同士の不用意の
接触が防止され搬送時及び保管時の痛みが可及的に防止
されるので、イチゴの出荷コストが大幅に軽減されるば
かりでなく、従来不可能であった温暖期における熟度の
高いイチゴの流通が可能となり、イチゴの商品性をその
流通コスト及び品質の両面より高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のイチゴ用容器の展開状態の平面図。

【図２】同上、被蓋途中の状態を示す背面図。

【図３】この発明のイチゴ用容器の斜視図。

【図４】この発明のイチゴ用容器の図３のＡ−Ａ線方向
より観察した断面図。

【図５】この発明のイチゴ用容器の積み重ね状態を示す
背面図。

【符号の説明】

１ イチゴ ３ （イチゴの）果托の基部 １０ イチゴ用容器 １１ 容器本体 １２ 窪み部 ２１ 蓋体 ２２Ａ・・・２２Ｊ 張り出し突起 ２４Ａ、２４Ｂ 柱

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 イチゴ（１）の果托（２）が進入可能な
   窪み部（１２）を容器本体（１１）の底部に複数個設け
   た容器に蓋体（２１）を設け、蓋体（２１）の天井面よ
   りこれらの窪み部中、相隣合う４つの窪み部に囲まれる
   箇所に向けて先細りの柱（２４Ａ、２４Ｂ）を垂下する
   と共に、蓋体の周側壁面にはこれらの窪み部の外周に沿
   って複数個の張り出し突起（２２Ａ・・・２２Ｊ）を内
   側に向けて設けたことを特徴とするイチゴ用容器。
2. 【請求項２】 イチゴ（１）の果托（２）が進入可能な
   窪み部（１２）の底にイチゴの果托の基部（３）が進入
   可能な空隙を設けた請求項１記載のイチゴ用容器。
3. 【請求項３】 イチゴ（１）の果托（２）が進入可能な
   窪み部（１２）の底部に更に窪み部（１３）を設けるこ
   とにより、イチゴの果托の基部（３）が進入可能な空隙
   とした請求項２記載のイチゴ用容器。
4. 【請求項４】 蓋体（２１）の上面には複数個の突起
   （２３）を設けると共に、これらの突起（２３）を容器
   本体（１１）を蓋体（２１）の上に重ねた際に、イチゴ
   （１）の果托（２）が進入可能な窪み部（１２）の底部
   の窪み部（１３）同士の間に位置する箇所に配した請求
   項３記載のイチゴ用容器。