JPH08132629A - インクジェットヘッドおよびその作製方法 - Google Patents

インクジェットヘッドおよびその作製方法

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JPH08132629A
JPH08132629A JP27237494A JP27237494A JPH08132629A JP H08132629 A JPH08132629 A JP H08132629A JP 27237494 A JP27237494 A JP 27237494A JP 27237494 A JP27237494 A JP 27237494A JP H08132629 A JPH08132629 A JP H08132629A
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JP
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grinding
layer
cutting
wafer
heater
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JP27237494A
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English (en)
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Masaki Kataoka
雅樹 片岡
Yukihisa Koizumi
幸久 小泉
Yutaka Mori
豊 森
Masa Suzuki
雅 鈴木
Naoshi Kotake
直志 小竹
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価で高品質、高精度のインクジェットヘッ
ドを作製可能なインクジェットヘッドの作製方法、およ
び、そのような作製方法で作製された構造を有するイン
クジェットヘッドを提供する。 【構成】 ヒータウェハ1上には、SiOx等の蓄熱層
17、多結晶シリコン等の抵抗体層13、BPSG等の
層間絶縁膜18、Al等の個別電極11および共通電極
12、SiNx等のヒータ保護層14、Ta等のヒータ
保護層15、PSG等の電極保護層16が順次形成さ
れ、パターニングされる。これらの層は吐出口7を形成
するための研削位置8の部分には形成しない。そして、
感光体樹脂層5が形成およびパターニングされる。研削
位置8には、SiOx,SiNx,BPSG,PSG等
の脆性材料や、Al,Ta等の金属材料が存在しないの
で、研削工程において良好な品質の吐出口7を含む研削
面が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェットヘッド
およびその製造方法に関するものであり、特に大面積の
基板に多数のインクジェットヘッドを作製し、切削また
は研削によって個々のインクジェットヘッドを取得する
作製方法および作製されたインクジェットヘッドに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェットヘッドの製造方法として
は、多種多様な方法が提案されている。その中で、大量
生産に向き、低コストでしかも安定した品質で製造でき
る方法として、大面積の基板に多数のヘッドを形成し、
切断分離する方法がある。特に、2枚のシリコンウェハ
を貼り合わせて切断または切削することにより、多数の
均一なインクジェットヘッドを獲得する製造方法は、大
量生産、低コスト化、品質安定化において非常に有用な
方法である。このような製造方法は、例えば、特開昭6
1−230954号公報、特開平1−166965号公
報等ですでに提案されている。
【0003】図2は、従来例のインクジェットヘッドの
一部断面図である。図中、1はヒータウェハ、5は感光
性樹脂層、7は吐出口、8は研削位置、11は個別電
極、12は共通電極、13は抵抗体層、14,15はヒ
ータ保護層、16は電極保護層、17は蓄熱層、18は
層間絶縁膜、19はインク流路である。2枚のシリコン
ウェハのうちの1枚であるヒータウェハ1上には、蓄熱
層17として酸化シリコン(SiOx)が形成され、そ
の後、順次、多結晶シリコン等による抵抗体層13、燐
および硼素を含む酸化シリコン(BPSG)による層間
絶縁膜18、アルミなどによる個別電極11および共通
電極12、窒化シリコン(SiNx)等によるヒータ保
護層14、タンタル等によるヒータ保護層15、燐を含
む酸化シリコン(PSG)等による電極保護層16、そ
して、感光体樹脂層5が形成およびパターニングされ
る。
【0004】このような構造のインクジェットヘッドに
おいて、各インクジェットヘッドの切り出しは、切削ま
たは研削加工(以下、研削加工またはダイシングで代表
する。)によりインクジェットヘッドの切り出しを行な
っている。すなわち、図2において、研削位置8におい
て研削加工を行なって、各インクジェットヘッドに分離
することになる。このとき、研削加工により吐出口7お
よび吐出口7を含むノズル面を加工、形成することにな
る。吐出口7の形状、加工状態は、インク滴噴射方向性
に大きく影響する。また、この加工によって、噴射特
性、特にインク滴体積および噴射安定性に大きく影響す
るインク流路長さが決定されることとなる。そのため、
特にこの部分の研削加工がインクジェットヘッドの特性
に重要な影響を与える。
【0005】上述のノズル面の研削加工を行なう方法と
しては、例えば、特開平2−184451号公報に記載
されているように、砥石(ブレード)径と回転速度で決
定される周速を一定以上として研削を実施している。ま
た、例えば、特開平5−57897号公報では、2枚の
基板を接合する前に、ノズル口周囲となる部分に溝入れ
を行ない、その後、基板の接合および分離を行なってい
る。さらに、特願平6−223757号では、研削砥石
(ブレード)の単位面積・単位時間当たりの研削容積を
規定し、研削砥石の形状の修正および目立てを行なうプ
ロセスと、研削液の供給方法を提案している。これらの
技術は、いずれも、従来と同様にして作製されるインク
ジェットヘッドについて、ノズル口の欠けなどが発生せ
ず、寸法精度の良いインクジェットヘッドを経済的に作
製しようというものである。
【0006】実際に大面積の基板を用いてインクジェッ
トヘッドを作製する場合、基板のチップ(インクジェッ
トヘッド)が配置されない領域は、設計工数とマスクコ
ストのために、基板上に配置される電極、ヒータ、回路
素子等の下地層や保護層が全面に残されるのが通常であ
る。例えば、図2に示した構成では、吐出口7を形成す
るための研削位置8に、酸化シリコンによる蓄熱層1
7、BPSGによる層間絶縁膜18、窒化シリコンによ
るヒータ保護層14、および、PSGによる電極保護層
16が存在している。これらの層材料は、いずれも脆性
材料である。これらは研削工程に重大な欠陥をもたらす
か、あるいは、過大な負荷となる。このように、研削位
置8に脆性材料が露出していることにより、砥石の研削
部の状態が悪化し、また、脆性材料の研削層の巻き込み
により、ノズル面の品質を悪化させていた。これを防止
するために低速送り等の対策が取られたが、加工時間が
長くなり、生産性の低下をもたらしていた。
【0007】また、図2に示したヒータ保護層15のよ
うに、サーマルインクジェットヘッド等ではタンタル等
の難研削金属材料が用いられている。これらの金属が研
削位置に配置される場合には、砥石の目潰れが発生し、
研削品質を悪化させる原因となる。同様に、電気的配線
に用いられているアルミあるいはアルミ合金等の柔らか
い金属の場合、砥石の目詰まりを発生し、研削品質を悪
化させる原因となる。上述のように、加工面がインク噴
射性能に大きく影響を与え、高品質が要求されるインク
ジェットヘッドの加工においては、これらは重要な問題
である。
【0008】例えば、特開平4−234666号公報で
は、ノズル口部分の樹脂層部をあらかじめパターンエッ
チングした後に、基板を接合し、切削、分離を行なって
いる。しかし、上述のような脆性材料や金属材料につい
てはそのままであり、研削加工に問題が残る。
【0009】また、別の問題として、特にシリコンウェ
ハのような円形な基板においては、研削加工における被
研削物への加工始まり形状(砥石の入射角度)または加
工終了形状(砥石の出射角度)が変化するため、その付
近での研削位置の曲がりや砥石の振れによる研削位置の
ズレ、吐出口の品質低下をもたらし、ヘッドの取れ高が
低下するという問題があった。
【0010】図9は、ウェハの研削加工時の研削プロフ
ァイルと応力の説明図である。31は砥石である。通
常、ノズルの品質を確保するため、研削加工時には軟質
で幅の薄い砥石が選択される。このような砥石を用いて
ウェハを加工すると、図9(A)に示すように、ウェハ
への砥石31の入射時および出射時に曲がった研削プロ
ファイルを示す。これは、図9(B)に示すように、砥
石31がウェハ周囲の加工をする際に、被研削物からの
研削応力を受けることによる。この研削応力は、研削方
向に対する被研削物への入射角度と研削深さおよび研削
速度で決定され、入射角度が小さいほど砥石への側面応
力が大きくなり、研削プロファイルの曲がりも大きくな
る。そして、入射角度90゜で側面応力が左右で同等と
なり、曲がりが発生しなくなる。しかし、円形のウェハ
では、入射角度が90゜付近となる研削位置は少なく、
多くの研削においては曲がりが発生することになる。ま
た、この砥石への側面応力が多大となると、ついには砥
石の破損をもたらす。
【0011】図10は、ウェハ端部からの距離と研削位
置ズレ量の評価グラフである。図10に示したグラフで
は、横軸にウェハ端部からの距離をとり、縦軸に理想的
研削位置からのズレ量を取り、研削プロファイルの詳細
を示している。(a),(b),(c)で示すズレ量の
グラフは、異なる被研削物への入射角度による研削位置
ズレ量を示しており、それぞれの入射角度は、(a)<
(b)<(c)という関係になっている。ここで、図1
0中に示すズレ量は、ある周期Lをもって振動してお
り、その振幅は急激に小さくなって、理想位置へ収束し
ていっている。ここでの周期Lは、砥石径と研削深さで
決定される砥石側面と被研削物の被研削方向での接触距
離Iに対してI=(1/2)・Lという関係になってい
る。これは、砥石側面が受ける力が左右均等、すなわち
被研削物内部に砥石が完全に入った状態となると、砥石
全体が持つ曲げ応力により、理想位置へ戻ろうとする力
が働くためである。
【0012】このように曲がった研削プロファイルによ
って研削加工を行なうと、ウェハに形成したインクジェ
ットヘッドによっては吐出口を含む面が曲面となり、イ
ンク流路の長さが一定でなくなって使用に耐えなくな
る。例えば、図9(A)において、×印で示したインク
ジェットヘッドは特に使用できない。そのため、インク
ジェットヘッドの取れ高が低下していた。また、他のイ
ンクジェットヘッドにおいても、曲がった研削プロファ
イルの影響を受けるものもあって、品質および精度が低
下していた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、インクジェットヘッドの加
工、特に研削工程の負荷を著しく低減し、安価で高品
質、高精度のインクジェットヘッドを作製することので
きるインクジェットヘッドの作製方法、および、そのよ
うな作製方法で作製された構造を有するインクジェット
ヘッドを提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、請求項1に記
載の発明においては、インクをノズルから吐出させて記
録を行なうインクジェットヘッドにおいて、前記ノズル
が配置された端面に脆性材料および金属層が露出してい
ないことを特徴とするものである。
【0015】また、請求項2に記載の発明においては、
1枚または1組の基板を用いて多数のインクジェットヘ
ッドを作製し、切削または研削によって個々のインクジ
ェットヘッドを取得するインクジェットヘッドの作製方
法において、保護層、ヒータ層、電極層等を積層する工
程で、脆性材料からなる層および金属層を基板の少なく
ともインク滴を噴射する吐出口となる付近の前記切削ま
たは研削箇所およびその延長線上から除いて積層するこ
とを特徴とするものである。
【0016】さらに、請求項3に記載の発明において
は、略円形の基板を用いて多数のインクジェットヘッド
を作製し、切削または研削によって個々のインクジェッ
トヘッドを取得するインクジェットの作製方法におい
て、インク滴を噴射する吐出口位置における前記切削ま
たは研削を行なう吐出口切削の工程より前に、前記吐出
口切削の方向とは直交する方向に少なくとも前記吐出口
切削の際に前記基板へ入射する側の前記基板の一部をあ
らかじめ除去する前加工を行なうことを特徴とするもの
である。
【0017】
【作用】請求項1に記載の発明によれば、少なくともイ
ンク滴を噴射するノズルが配置された端面に脆性材料お
よび金属層が露出していないので、ノズルの位置を規定
し、ノズルを形成するための切削または研削工程におい
て、研削面の品質低下などがなく、高品質のノズル端面
を有するインクジェットヘッドを得ることができる。
【0018】また、請求項2に記載の発明によれば、保
護層、ヒータ層、電極層等を積層する工程で、脆性材料
からなる層および金属層を基板の少なくともインク滴を
噴射する吐出口となる付近の前記切削または研削箇所お
よびその延長線上から除いて積層する。これにより、脆
性材料の研削片を巻き込むことによる研削面の低下や、
金属層の研削による砥石の目詰まりや目潰れがなくな
り、安定して高品質な研削面(吐出口および吐出口面)
を得ることができる。
【0019】請求項3に記載の発明によれば、略円形の
基板を用いて多数のインクジェットヘッドを作製するに
あたり、インク滴を噴射する吐出口位置における前記切
削または研削を行なう吐出口切削の工程より前に、前記
吐出口切削の方向とは直交する方向に少なくとも前記吐
出口切削の際に前記基板へ入射する側の前記基板の一部
をあらかじめ除去する前加工を行なう。これにより、略
円形の基板の端部領域においても、高精度で高品質な研
削面(吐出口および吐出口面)を得ることができ、イン
クジェットヘッドの取れ高を増加させることができる。
【0020】
【実施例】図3は、本発明のインクジェットヘッドの作
製方法の一実施例を示す工程図である。図中、1はヒー
タウェハ、2はチャネルウェハ、3a,3bはアライメ
ントマーク、4,4a,4bはヘッドチップ、5は感光
性樹脂層、6は接着剤、8a,8b,8cは研削位置、
9は洗浄液である。
【0021】図3(A)の工程において、ヒータウェハ
1を作製する。ヒータウェハ1は、シリコンウェハで構
成され、シリコンウェハ上に、ヒータウェハ側のヘッド
チップ4aの個数分だけ、図示しないヒータ、個別電
極、共通電極、保護層等をLSI工程により形成する。
さらに、図3(B)の工程において、感光性ポリイミド
樹脂をスピンコート後、所望パターンに露光、現像して
感光性樹脂層5を形成し、焼成(Cure)を行ない、
ヒータウェハ1が完成される。感光性ポリイミド樹脂と
しては、例えば、Ciba−Geigy社製 Prob
imide(登録商標),Du−Pont社製 Pyr
alin PI2722,等を用いることができる。ヒ
ータウェハ1には、上述の工程中にアライメントマーク
3aも形成される。
【0022】図3(C)の工程では、チャネルウェハ2
を作製する。チャネルウェハ2もシリコンウェハで構成
され、ヒータウェハ1上のヒータに対応するインク流
路、インク溜め等が異方性エッチングにより形成され
る。また、アライメントマーク3bも形成される。これ
により、チャネルウェハ2が完成する。
【0023】その後、図3(D)の工程において、チャ
ネルウェハ2の接着面側に、例えば、PETフィルムに
スピンコートした接着剤6を転写によって薄く均一に塗
布する。
【0024】次に、図3(E)の工程では、図3
(A),(B)の工程で作製されたヒータウェハ1と、
図3(C),(D)の工程で作製されたチャネルウェハ
2とをアライメントし、接合する。アライメントは、各
々のウェハの接着面側にあらかじめパターニングされた
アライメントマーク3a,3bを用いて行なわれ、例え
ば、赤外線顕微鏡を用いて観察しながらアライメント装
置によって高精度に達成される。2枚のウェハは、アラ
イメントし、接合した後、焼成(Cure)される。
【0025】図3(F)の工程は、各ヘッドチップ4の
切削および切断分離する工程である。図3(E)で接合
された2枚のウェハの吐出口面を形成し、流路長を規定
するために、研削位置8bで研削するダイシング工程
と、研削位置8cで研削し、各ヘッドチップに切断分離
する切断工程と、ヒータウェハ1に設けられた図示しな
いボンディングパットを露出するために、研削位置8a
で研削を行なう研削工程からなっている。ここでは、ダ
イシング工程では溝を形成するような切削を行なってい
るが、切断工程を兼ねるように切削を行なってもよい。
この工程により、個々のヘッドチップ4に切断分離され
る。
【0026】図3(G)の工程は、図3(F)の工程で
切断分離された各ヘッドチップ4を洗浄液9により洗浄
する工程である。図3(F)の切削によって発生した切
りくずや、ほこりなどがヘッドチップ4内に残留する
と、インクの吐出不良などを引き起こし、画質が低下す
る。そのため、この工程でこれらの切りくずやほこり等
を洗い流し、ヘッドチップ4を清浄な状態にする。
【0027】上述の図3(A)〜(G)の工程により作
製されたインクジェットヘッドは、固定基板上にダイボ
ンディングされ、電気的接続等がなされ、インクジェッ
トヘッドが完成する。
【0028】図1は、本発明のインクジェットヘッドの
一実施例を示す一部断面図である。図中、図2と同様の
部分には同じ符号を付してある。図1では、ヒータウェ
ハ1のヘッド部の層構成を示している。シリコンにより
構成されるヒータウェハ1上には、蓄熱層17として酸
化シリコン(SiOx)が形成、パターニングされ、そ
の後、順次、抵抗体層13、層間絶縁膜18、個別電極
11及び共通電極12、ヒータ保護層14,15、電極
保護層16が形成、パターニングされる。抵抗体層13
としては、多結晶シリコン等が用いられる。層間絶縁膜
18としては、燐および硼素を含む酸化シリコン(BP
SG)等が用いられる。個別電極11および共通電極1
2としては、アルミ等が用いられる。ヒータ保護層14
としては、窒化シリコン(SiNx)等が用いられる。
ヒータ保護層15としては、タンタル等が用いられる。
電極保護層16としては、燐を含む酸化シリコン(PS
G)等が用いられる。これらの蓄熱層17、抵抗体層1
3、層間絶縁膜18、個別電極11及び共通電極12、
ヒータ保護層14,15、電極保護層16は、吐出口7
を形成するための研削位置8の部分には形成しない。最
後に、感光体樹脂層5を形成し、パターニングして、ヒ
ータ基板1が作製される。
【0029】このように、上述の実施例の構造において
は、研削位置8にガラスやシリコンの酸化物、窒化物の
ような脆性材料(SiOx,SiNx,BPSG,PS
G等)や金属材料(Al,Ta等)が存在しない。これ
により、良好な研削面品質を得ることができる。
【0030】図4ないし図6は、ウェハレイアウトの一
例の説明図である。図中、21は脆性材料、金属材料の
除去領域である。図1に示すように、脆性材料や金属材
料を、吐出口7を形成するための研削位置8の部分に形
成しない場合に、例えば、図4に示すように、吐出口7
の前面のみを脆性材料、金属材料の除去領域21とする
ことが考えられる。このような構成においても、吐出口
7を含む面の研削に関しては良好に行なうことができ
る。しかし、通常の研削工程では、円形の砥石を高速回
転させながら、砥石と被研削物を相対移動させて行なう
ものであり、その性質上、ウェハのインクジェットヘッ
ドが存在しない領域も研削する。そのため、インクジェ
ットヘッドが存在しない部分で砥石の研削部の状態が悪
化し、脆性材料の研削層を巻き込んだままインクジェッ
トヘッドの部分の研削を行なって、吐出口7を含む面の
品質を悪化させる場合がある。
【0031】そのため、図5に示すように、ウェハの吐
出口を含む面を研削する場合には、その研削領域全てを
脆性材料、金属材料層の除去領域21となるように設計
する。これにより、上述のような不具合がなく、高品質
なノズル面を持つヘッドを短時間で加工できるようにな
る。
【0032】また、図6に示すように吐出口の部分の研
削と概略直交する研削領域についても、脆性材料および
金属材料層の除去領域21を設けており、砥石の長寿命
化およびインクジェットヘッドのさらなる高信頼性化を
達成することができる。さらに、ウェハ上のインクジェ
ットヘッドの配置されていない全ての領域を脆性材料お
よび金属材料層の除去領域21としたパターンとしても
よい。これらの除去パターンは、各層のパターニングマ
スクに追加されるもので、マスク数が増加することはな
い。
【0033】次に、インクジェットヘッドの切断分離に
ついて説明する。図7は、本発明のインクジェットヘッ
ドにおけるウェハ前加工の一例の説明図である。図7
(A)は、図3(E)に示した工程において、ヒータウ
ェハ1とチャネルウェハ2が接合された状態を示してい
る。このように2枚のウェハを接合後、図3(F)に示
す研削工程において各インクジェットヘッドに切断分離
するが、その前に、ウェハ前工程を実施する。前工程
は、図7(B)に示すように、図中(ア)で示される部
分のチャネルウェハ2部分のみを研削工程によって切り
離している。ヒータウェハ1も同様に切り離しても良
い。ここでの研削工程は、インクジェットヘッドの側面
部に当たり、研削品質が要求されないので、ラフな位置
合わせにより、硬質な砥石(電鋳ブレード等)を用いて
高速に行なうことができるので、ウェハ当たりの加工時
間は数十秒であり、コストを押し上げる要因にはほとん
どならない。
【0034】図8は、本発明のインクジェットヘッドに
おけるウェハ前加工の別の例の説明図である。この例で
は、図8(A)に示すように、ヒータウェハ1の完成後
に、図7で説明した研削方法等によりウェハの両サイド
を切り離す。また、チャネルウェハ2は、流路の形成の
際に行なう異方性エッチング工程において、外形に沿っ
た所望位置に溝を形成し、後に力を加えて割ることによ
り、図8(B)に示したような形状に加工した。図8
(A)に示したヒータウェハ1と図8(B)に示したチ
ャネルウェハ2を図8(C)に示すように貼り合わせ
る。その後、研削工程を実施する。このような前加工を
実施することにより、図8(D)に示すように、吐出口
を含む面の研削時には、ウェハ全体にわたって研削プロ
ファイル精度が向上し、高品質の吐出口を含む面を得る
ことができた。ウェハ端部での曲がりレンジは、従来約
15μm程度の曲がりがあったものが、この例では3μ
m程度に改善された。これによって、従来ではインクジ
ェットヘッドが得られなかった領域、例えば、図9に×
印で示した領域においても、良好なインクジェットヘッ
ドを得ることができるようになり、インクジェットヘッ
ドの取れ高が増加し、安価なインクジェットヘッドを供
給できるようになった。また、軟質で薄い砥石を使用す
ることが可能となり、さらなる高品質研削が可能となっ
た。
【0035】上述の前工程は、入射角度の関係からウェ
ハ径が大きくなれば、さらにその効果が大きくなる。ま
た、上述の例においては、前加工は研削、エッチング、
物理的応力で実施しているが、他の方法としては、レイ
アウト加工等、種々の方法が適用可能であり、上述の前
加工方法に限定されるものではない。
【0036】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、高精度、高品質で安価なインクジェットヘッ
ドを安定的に作製することができる。また、そのような
作製方法によって高精度に作製された安価なインクジェ
ットヘッドは、吐出口から吐出されるインクドットが揃
っているので、このようなインクジェットヘッドを用い
て記録を行なうことによって高画質の記録画像を得るこ
とができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェットヘッドの一実施例を
示す一部断面図である。
【図2】 従来例のインクジェットヘッドの一部断面図
である。
【図3】 本発明のインクジェットヘッドの作製方法の
一実施例を示す工程図である。
【図4】 本発明におけるウェハレイアウトの一例の説
明図である。
【図5】 本発明におけるウェハレイアウトの別の例の
説明図である。
【図6】 本発明におけるウェハレイアウトのさらに別
の例の説明図である。
【図7】 本発明のインクジェットヘッドにおけるウェ
ハ前加工の一例の説明図である。
【図8】 本発明のインクジェットヘッドにおけるウェ
ハ前加工の別の例の説明図である。
【図9】 ウェハの研削加工時の研削プロファイルと応
力の説明図である。
【図10】 ウェハ端部からの距離と研削位置ズレ量の
評価グラフである。
【符号の説明】
1…ヒータウェハ、2…チャネルウェハ、3a,3b…
アライメントマーク、4,4a,4b…ヘッドチップ、
5…感光性樹脂層、6…接着剤、7…吐出口、8,8
a,8b,8c…研削位置、9…洗浄液、11…個別電
極、12…共通電極、13…抵抗体層、14,15…ヒ
ータ保護層、16…電極保護層、17…蓄熱層、18…
層間絶縁膜、19…インク流路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 雅 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 小竹 直志 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクをノズルから吐出させて記録を行
    なうインクジェットヘッドにおいて、前記ノズルが配置
    された端面に脆性材料および金属層が露出していないこ
    とを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 1枚または1組の基板を用いて多数のイ
    ンクジェットヘッドを作製し、切削または研削によって
    個々のインクジェットヘッドを取得するインクジェット
    ヘッドの作製方法において、保護層、ヒータ層、電極層
    等を積層する工程で、脆性材料からなる層および金属層
    を基板の少なくともインク滴を噴射する吐出口となる付
    近の前記切削または研削箇所およびその延長線上から除
    いて積層することを特徴とするインクジェットヘッドの
    作製方法。
  3. 【請求項3】 略円形の基板を用いて多数のインクジェ
    ットヘッドを作製し、切削または研削によって個々のイ
    ンクジェットヘッドを取得するインクジェットの作製方
    法において、インク滴を噴射する吐出口位置における前
    記切削または研削を行なう吐出口切削の工程より前に、
    前記吐出口切削の方向とは直交する方向に少なくとも前
    記吐出口切削の際に前記基板へ入射する側の前記基板の
    一部をあらかじめ除去する前加工を行なうことを特徴と
    するインクジェットヘッドの作製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010221704A (ja) * 2009-02-25 2010-10-07 Canon Inc 液体吐出ヘッドの製造方法

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JP2010221704A (ja) * 2009-02-25 2010-10-07 Canon Inc 液体吐出ヘッドの製造方法

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