JPH08127532A - 温熱貼付剤 - Google Patents

温熱貼付剤

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JPH08127532A
JPH08127532A JP6292408A JP29240894A JPH08127532A JP H08127532 A JPH08127532 A JP H08127532A JP 6292408 A JP6292408 A JP 6292408A JP 29240894 A JP29240894 A JP 29240894A JP H08127532 A JPH08127532 A JP H08127532A
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adhesive
drug
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heating element
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JP6292408A
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Takeshi Atai
武司 直
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、発熱体を設けた温熱貼付剤におけ
る薬物含有層中の薬物として、自然界に存在する自然物
の一部を乾燥し、又はこれに簡単な加工を施して得た生
薬を用いることにより、生体に対して比較的穏やかで副
作用が少なく、安全性が高いのであり、しかも比較的安
定で保存性が良好であるから、取り扱い易い温熱貼付剤
を提供することを目的とする。 【構成】 本発明は、発熱体の片面に皮膚貼着性の薬物
含有層を設けた温熱貼付剤において、薬物含有層中の薬
物が自然物の一部を乾燥し、又はこれに簡単な加工を施
して得た生薬からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外皮に貼付されて全身
又は患部の疾患治療や疾病の予防を行うための温熱貼付
剤に関するものであり、特に、薬物として自然物の一部
を乾燥し、又はこれに簡単な加工を施して得た生薬を用
いた温熱貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、人体に適用されて全身又は患
部の疾患治療に用いられる貼付剤が製造され、販売され
ている。
【0003】又、この貼付剤を大別すると、発熱体を備
えるものと、発熱体を備えないものとに分類される。
【0004】ところで、発熱体としては、通気性フィル
ムで構成された開放部のないシート状袋体の内部に、発
熱体組成物、例えば鉄粉、活性炭及び塩類等からなる発
熱体組成物を封入してなるものが提案されている(特開
昭50−54188号公報、特開昭53−47154号
公報、特開昭53−60885号公報、特開昭54−1
55984号公報、特開昭55−14067号公報、特
開昭55−166147号公報、特開昭62−1030
14号公報、実公昭58−22733号公報等)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの貼付剤におい
ては化学的に合成された薬物が用いられているが、この
ものは精製され、純度の高いものであり、その用い方に
よって副作用が発生し易く、しばしば安全性の面で問題
を抱えている。
【0006】又、化学的に合成された薬物は、即効性が
あるものが多い反面、生体との親和性が乏しいので、肝
臓代謝などによって消費されるだけでなく、つまり生体
内で分解されたり、肝臓等の臓器に負担をかける等、生
体に悪影響を与える場合がある。
【0007】更に、化学的に合成された薬物は、本来自
然界に存在しないものも多く、不安定で、製剤化した
後、その成分が経時変化によって変化することが多く、
常に、その安定性に配慮する必要があり、保存や取り扱
いに相当の注意を要する場合がある。
【0008】本発明は、上記技術的課題を解決するため
に完成されたものであって、発熱体を設けた温熱貼付剤
における薬物含有層中の薬物として、自然界に存在する
自然物の一部を乾燥し、又はこれに簡単な加工を施して
得た生薬を用いることにより、生体に対して比較的穏や
かで副作用が少なく、安全性が高いのであり、しかも比
較的安定で保存性が良好であるから、取り扱い易い温熱
貼付剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の温熱貼付剤は、
上記目的を達成するために、発熱体の片面に皮膚貼着性
の薬物含有層を設けた温熱貼付剤において、薬物含有層
中の薬物が自然物の一部を乾燥し、又はこれに簡単な加
工を施して得た生薬からなることを特徴とする、との技
術的手段を講じたものである。
【0010】即ち、本発明者は、薬物含有層を設けた貼
付剤において、この薬物として、自然物の一部を乾燥
し、又はこれに簡単な加工を施して得た生薬を用いて薬
理効果の実験を繰り返した結果、所要の薬理効果が認め
られなかったり、薬理効果にバラツキがあることが認め
られた。
【0011】そこで、この生薬を用いた貼付剤におい
て、薬物含有層側と反対側に発熱体を設け、再度実験を
繰り返したところ、優れた薬理効果が認められたうえ、
局所のこり、疼痛及び冷え等を伴う症状、例えば肩こ
り、筋肉痛、筋肉のこり、腰痛、打撲、手足の冷え、神
経痛、リューマチ、打ち身、捻挫等の疾患に使用され、
温熱による治療効果を充分に期待できるのである。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられる発熱体としては、外皮に適用されて温熱効果
を発現するものであれば特に限定されるものではない
が、具体的には、例えば化学的な反応熱を利用するも
の、抵抗体に電力を供給して発生するジュール熱を利用
するもの、等が挙げられる。
【0013】本発明において、発熱体を設ける理由は、
人体に温熱を供給し、この温熱によって、生薬の溶解性
や移行性を著しく向上させたり、粘着性基材に分散させ
た薬用自然物の粉末等から薬効成分の放出・抽出性を向
上させたり、更に、生薬の生体への吸収性を良好にする
だけでなく、血液の循環を活発にし、生体内に吸収され
た生薬を一層効果的に生体内の各部に循環、供給させる
ことができるのであり、これらの結果、局所治療効果を
助長、促進したり、全身治療効果を一層向上させて、薬
理効果を一層高めることができるからである。
【0014】発熱体において、化学的な反応熱を利用す
るものとしては、少なくとも片面が通気性フィルムで構
成された開放部のない偏平状袋体の内部に、空気の存在
によって発熱する発熱体組成物を封入しているものが挙
げられる。
【0015】この発熱体組成物としては、空気の存在に
よって発熱するものであれば特に限定されるものではな
く種々のものが挙げられるが、特に、その成分としては
鉄粉系、反応助剤、水及び保水剤から構成されるもの
で、空気の存在下で発熱する物質が好ましい。具体的に
は鉄粉、活性炭、保水剤、塩化ナトリウムや塩化カリウ
ム等の塩化物等の発熱体組成物を適宜配合したものであ
る。
【0016】この場合、発熱体の温度条件としては低温
火傷を発生しない範囲に制御することが重要であり、こ
の観点から、後述する皮膚貼着性の薬物含有層の表面温
度が38〜43℃に制御されたものが好ましい。
【0017】本発明で用いられる発熱体としては、特
に、以下に述べる発熱体が、低温火傷の発生が少なく安
全であり、又、優れた温熱効果を比較的長時間にわたっ
て提供できるうえ、使用中に異臭がなく、しかも発熱体
組成物の偏りがないので使用感が優れる結果、至極有益
である。
【0018】即ち、発熱体組成物としては、鉄粉40〜
75重量%、活性炭1〜10重量%、塩化ナトリウム等
の塩化物1〜10重量%、水10〜40重量%及び保水
剤1〜40重量%からなるものであり、又、この発熱体
組成物を封入する偏平状袋体は少なくとも片面が通気性
フィルムで構成された開放部のないものであり、しかも
この通気性フィルムが透湿度で制御されているものであ
る。
【0019】従って、本発明で最適に用いられる発熱体
としては、少なくとも片面が通気性フィルムで構成され
た開放部のない偏平状袋体の内部に、鉄粉40〜75重
量%、活性炭1〜10重量%、塩化ナトリウム等の塩化
物1〜10重量%、水10〜40重量%及び保水剤1〜
40重量%からなる発熱体組成物を封入してなり、且つ
上記通気性フィルムがASTM法(E−96−80D
法)で50〜600g/m2・24hrのものである。
【0020】この場合において、発熱体からの温熱を一
層厳格に制御して、一層安全で、しかも一層優れた温熱
効果を確保するために、特に、通気性フィルムの透湿度
がASTM法(E−96−80D法)で75〜500g
/m2・24hrのものが望ましい。
【0021】このように、透湿度で通気性フィルムを管
理するのは、温度が安定するだけでなく、発熱時間もほ
ぼ一定化するからである。
【0022】即ち、このように、温度範囲を38〜43
℃という微妙な範囲に設定するには、発熱体組成物の組
成と、フィルムを通気度で管理するのではなく、透湿度
で管理する必要があり、しかも通気性フィルムの透湿度
をASTM法(E−96−80D法)で50〜600g/m
2・24hrとすることにより、空気(酸素)と発熱体組成
物との酸化反応による発熱と、水の蒸散等による放熱の
バランスによって温度が制御されるのである。
【0023】又、透湿度を上記範囲にコントロールする
ことにより、空気(酸素)と発熱体組成物との酸化反応に
よって酸素が消費され(減圧状態)、一方、発熱によって
蒸気圧が上昇するが、この両方の相殺によっても偏平状
袋体内は減圧状態になり(蒸気圧の上昇より空気中の酸
素の消費による体積の減少の方が大)、このため発熱体
組成物は偏平状袋体によって押圧されるので発熱体組成
物が固定され、偏りがなく、従って、温熱貼付剤の形状
が一定で、しかも温熱貼付剤全面の温度が均一になるの
で、優れた温熱貼付剤が得られるのである。
【0024】事実、このように水蒸気透過性を制御した
通気性フィルムを用いると、使用中の温度変化が小さ
く、しかもロット間のバラツキが極めて小さく安定した
温度特性が再現性良く得られる。
【0025】本発明に用いられる偏平状袋体は片面が通
気性フィルムで構成された開放部のないものであって、
該通気性フィルムの透湿度がASTM法(E−96−8
0D法)で50〜600g/m2・24hrの範囲のものであ
る。
【0026】ところで、上記ASTM法(E−96−8
0D法)とは以下に述べる方法である。即ち、カップ内
径(直径)6.18cm、高さ1.5cmの容器内に純水20
mlを入れ、該容器の上面を通気性フィルムで閉蓋してロ
ウで固定し、これを恒温(32.2℃)、恒湿(50%)の
中に24時間放置する。次いで、この容器内の水の減少
量を測定し、放出(蒸散)した水の量を[g/m2・24hr]
に換算して表示した値である。
【0027】通気性フィルムの透湿度が、50g/m2
24hr未満であると発熱量が少な過ぎて温湿布効果が乏
しくなるので好ましくなく、一方、600g/m2・24h
rを超えると温度が上昇して最高温度が43℃を超える
場合があり、このため、低温火傷の危険性があるので好
ましくなく、従って、通気性フィルムの透湿度が、好ま
しくは75〜500g/m2・24hrのものが最も望
ましい。
【0028】又、上記偏平状袋体においてその他面は上
記の通気性フィルムと同様のものを用いて形成してもよ
く、或いは他のフィルムやシートを用いて形成してもよ
いのであり、通気性や透湿性の有無は問わない。
【0029】上記偏平状袋体を形成する高分子材料とし
ては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエス
テル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレ
タン、ポリスチレン、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
天然ゴム、再生ゴム又は合成ゴム等が挙げられる。
【0030】又、上記偏平状袋体は、目的に応じて2種
以上の高分子材料で形成された2層以上のものでもよい
が、その素材の選択に当たり、ヒートシール性があり、
簡単に熱融着できるものを選ぶのが好ましい。この場
合、2層以上の高分子材料層が熱融着できないときに
は、その間にホットメルト系の接着フィルムを介在させ
てこれらの高分子材料層を接合してもよいが、このよう
に構成することにより、片面の通気性フィルムの透湿性
が失われないように注意することを要する。
【0031】ところで、上記偏平状袋体を補強するため
に織布もしくは不織布からなる通気性補強用フィルムを
用いるのが好ましいが、かかる通気性補強用フィルム
は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニロ
ン、ポリエステル、レーヨン、アセテート、アクリル、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化
ビニル等の人工繊維、綿、麻又は絹等の天然繊維から選
ばれる1種または2種以上の素材を用いて形成される。
【0032】上記発熱体組成物は上記偏平状袋体に均一
に封入されるが、その充填量は150〜6000g/m2
の範囲とするのが望ましく、その充填量が、150g/m
2未満であると発熱体組成物の充填量が少な過ぎて所望
の温度を長時間に亘って維持できず優れた温熱効果が得
られないのであり、一方、6000g/m2を超えると発
熱体組成物の充填量が過剰になって袋詰めが困難になっ
たり、温熱貼付剤が厚くなり過ぎて使用感や携帯性が悪
くなるうえ、不経済であるから好ましくない。
【0033】又、本発明においては、上述の発熱体の片
面に、皮膚貼着性の薬物含有層が設けられる。そして、
本発明では、特に薬物含有層中の薬物が自然物の一部を
乾燥し、又はこれに簡単な加工を施して得た生薬である
点、に最も大きな特徴を有する。
【0034】即ち、本発明においては、薬物含有層が粘
着性基材と生薬からなり、この粘着性基材は生薬を保持
するとともに、外皮への粘着性を有するものである。
【0035】この粘着性基材としては、外皮への粘着性
を有するものであれば特に限定されるものではないが、
具体的には、例えば湿布基材又は粘着基材などが挙げら
れる。
【0036】この湿布基材としては湿布として用いられ
るものであれば特に限定されるものではなく、公知のも
のが挙げられるが、湿布基材中に、水を含有していても
良く、或いは水を含有していなくても良いのである。
【0037】又、上記粘着基材としては外皮への粘着性
を有するものであれば特に限定されるものではなく、公
知のものが挙げられるが、具体的には、例えば酢酸ビニ
ル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニ
ルアセタール系粘着剤、ポリオレフィン系共重合体型粘
着剤或いはこれらの変性体、セルロース系粘着剤、塩化
ビニル系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリアミド系粘着
剤、ポリエチレン系粘着剤、飽和ポリエステル系粘着
剤、ウレタン系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤又はゴ
ム系粘着剤で形成されているものが挙げられる。
【0038】ところで、ポリオレフィン系共重合体型粘
着剤の変性体とは、ポリオレフィン系共重合体型粘着剤
の成分の一部を他の成分に置き換えてポリオレフィン系
共重合体型粘着剤の性質、例えばポリオレフィン系共重
合体型粘着剤の粘着性の改善や安定性等を変えたものを
いう。
【0039】更に、上記ゴム系粘着剤としては、具体的
には、例えば天然ゴム系粘着剤、イソプレンゴム系粘着
剤、スチレンブタジエンゴム系粘着剤、スチレン−イソ
プレン−スチレンゴム系粘着剤、ポリサルファイド系粘
着剤、スチレンゴム系粘着剤、ニトリルゴム系粘着剤、
ブチルゴム系粘着剤、ウレタンゴム系粘着剤、アクリル
ゴム系粘着剤又はアクリロニトリルゴム系粘着剤で形成
されているものが挙げられる。
【0040】上述の粘着剤は単独で用いても良く、或い
は2種以上を混合して用いても良いのである。
【0041】本発明において、上述の湿布基材又は粘着
基材、つまり粘着性基材には、他の成分、例えば粘着性
賦与剤、老化防止剤、軟化剤、充填剤、粘着調整剤、粘
着改良剤、着色剤、消泡剤、増粘剤又は改質剤等の添加
剤、或いは防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤、消臭剤又は脱臭
剤等の衛生剤が配合されていても良く、これらの配合割
合は配合される物質や配合目的に応じて適宜決定され
る。
【0042】又、本発明においては、上記粘着性基材に
上記添加剤を配合することによって、弾力性、凹凸面へ
の追従性や密着性、更に粘着性及び使用感、剥離時の苦
痛、熱伝導性等を制御できるのである。
【0043】この粘着性賦与剤としては、環状骨格を持
った石油系樹脂であり、具体的には、例えばロジン、脱
水系ロジン、脱水素ロジンのグリセリンエステル類、ガ
ムロジンのグリセリンエステル類、水添ロジン、水添ロ
ジンのメチルエステル類、水添ロジンのグリセリンエス
テル類、水添ロジンのペンタエリトリットロジン類、重
合ロジン、重合ロジンのグリセリンエステル類、クマロ
ンインデン樹脂、水添石油樹脂、無水マレイン酸変性ロ
ジン、ロジン誘導体類又はC5系石油樹脂等が挙げられ
るのであり、温熱貼付剤に所要の粘着力を賦与するため
に、単独或いは2種以上を組み合わせて適宜用いられ
る。
【0044】その具体的な市販品の例としては、例えば
アルコンP−85、アルコンP−100、アルコンP−
125(荒川化学製)等、クイントン(日本ゼオン製)、エ
スコレッツ3000(エクソン製)等が挙げられる。
【0045】又、本発明で用いられる軟化剤は粘着剤或
いは湿布剤の物性を変化させたり、生薬を溶解ないし分
散させて軟化させるものであり、粘着剤或いは湿布剤と
粘着性賦与剤の組み合わせによって、適度の保形性や柔
軟性更に粘着力を発現させるのである。
【0046】この軟化剤としては、例えばエチルアルコ
ールやプロピルアルコール等の低級アルコール、ポリエ
チレングリコール又はポリプロピレングリコール等の多
価アルコール、ヤシ油、ヒマシ油、オリーブ油、ツバキ
油、アーモンド油、パーシック油、ラッカセイ油、ゴマ
油、大豆油、ミンク油、綿実油、トウモロコシ油、サフ
ラワー油、オレイン酸、流動パラフィン、高級脂肪酸、
ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、セバシ
ン酸エステル、ジメチルホルムアミド、液化ゴム、鉱油
等が挙げられる。
【0047】本発明で用いられる生薬としては、自然物
の一部を乾燥し、又はこれに簡単な加工を施して得られ
たものであって、薬効を期待できるものであれば特に限
定されるものではない。
【0048】即ち、この生薬としては、薬用に供する目
的をもって、植物、動物、鉱物などの自然物の一部を乾
燥し、又は、簡単な加工をしたもの(全形生薬)、これ
を粗切、中切又は細切したもの(切断生薬)、全形生薬
又は切断生薬を粗末、中末、細末又は微末としたもの
(粉末生薬)、更に、細胞内容物、分泌物又はそれらの
抽出物などが挙げられるのであり、生薬は西洋生薬と和
漢生薬に大きく分類される。
【0049】そして、本発明で用いられる生薬として
は、それ自体が固体であるか或いは液体ないし液状であ
るかを問うものではないが、経皮吸収されるものである
ことを配慮すると、粘着性基材或いはその中の成分に薬
効成分が溶解ないし抽出されるものであれば良いのであ
る。
【0050】本発明で好適に用いられる生薬としては、
以下のものが挙げられる。即ち、 薬用に供する目的
をもって、植物、動物又は鉱物などの天然物の全部或い
は一部、或いは動植物の成長したもの、更にこれらの乾
燥物や細片物を水又は温水或いはエチルアルコール、ア
セトン、エーテル、アセトン変性エチルアルコール又は
酢酸エチル等の有機溶剤に浸し、更に、この有機溶剤に
酸又はアルカリを加えたものに浸して薬効成分を抽出し
た生薬が挙げられる。
【0051】又、 薬用に供する目的をもって、植
物、動物又は鉱物などの天然物の全部或いは一部、或い
は動植物の成長したもの、更にこれらの乾燥物や細片物
から薬効成分を搾り出した残滓、或いは植物、動物又は
鉱物などの天然物の全部或いは一部、或いは動植物の成
長したもの、更にこれらの乾燥物や細片物を抽出剤に浸
し、これから薬効成分を搾り出した生薬が挙げられる。
【0052】上記薬用植物としては漢方薬或いは民間薬
を問わず薬用に供されるものであれば特に限定されるも
のではなく、具体的には、例えば根又は根茎を用いる
もの、木部、樹皮を用いるもの、全草又は茎葉を用
いるもの、花や蕾を用いるもの、種子、果実、果皮
を用いるもの、等が挙げられる。
【0053】この薬用植物を具体的に分類すると、以下
のとおりである。 .根又は根茎を用いるものの例
【0054】いれい仙 山野に自生するよじのぼり茎の多年草、キンポウゲ科セ
ンニンソウの根である。中国産は、同属のクレマーチス
・キネンセである。利尿剤や鎮痛剤として用いられるの
であり、リウマチにも効果的である。
【0055】えんご索 日本では、中国浙江省で栽培される多年草、ケシ科コリ
ダーリス・ブルボーサの塊茎が市販されている。プロト
ミンやブルボカプニンなどを含み、鎮痛剤及び通経剤と
して用いられる。
【0056】おうぎ 中国の山地に自生し、または栽培される多年草であり、
具体的には、マメ科ナイモウオウギ又はキバナオウギの
根である。ブドウ糖、ショ糖、果糖などを含み、止汗
剤、利尿剤及び血圧降下剤として用いられる。
【0057】おうごん 中国原産で、中国北部や東北部に自生するシソ科コガネ
バナの根であり、オウゴニン、バイカリンなどを含む。
消炎・解熱剤として用いられる。
【0058】黄連(おうれん) 山間の樹蔭地に自生し、又、日本では、兵庫、福井及び
鳥取で栽培されている多年草であり、キンポウゲ科オウ
レンの根をほとんど除いた根茎である。中国産には、コ
プディス・キネンシス、コプディス・オオメイエンシス
などがある。アルカロイド(ベルベリン、オウレニン、
コプティシン、パルマティン)などを含み、消炎剤、苦
味健胃剤で、精神不安、心下痞などに用いられる。
【0059】おんじ 中国東北部や内蒙古に自生する多年草、ヒメハギ科イト
ヒメハギの根である。サポニン、脂肪油を含み、鎮静剤
として用いられる。
【0060】かいはく 各地に栽培される多年草で、ユリ科ラッキョウのりん茎
である。整腸剤、解凝剤で、胸背痛、喘咳に用いられ
る。
【0061】かしゅう 中国産原産、日本の各地に自生する多年性つる草、タデ
科ツルドクダミの塊状根である。オキシメチルアントラ
キノン誘導体を含み、緩下剤として用いられる。
【0062】がじゅつ インドのヒマラヤ地方が原産地であり、日本では、沖
縄、奄美大島、屋久島で栽培されている多年草で、ショ
ウガ科ガジュツの根茎である。精油を含み、芳香性健胃
剤、消化剤として用いられる。
【0063】葛根(かっこん) 山野に自生するつる性多年草で、マメ科クズの根であ
る。でんぷん、鎮痙作用のあるダイドゼインなどを含
み、発汗剤、解熱剤として用いられる。
【0064】かろこん 暖地の原野に自生する多年生つる草で、ウリ科キカラス
ウリノ皮層を除いた根である。中国産は、トウカラスウ
リの根である。でんぷんを含み、解熱剤、止渇剤として
用いられる。キカラスウリの種子をかろにんと称し、消
炎剤、解熱剤、去痰、鎮痛剤として用いられる。
【0065】甘遂(かんすい、かんずい) 中国の河南、山西、甘粛、湖北各省に分布する多年草
で、トウダイグサ科ユーホルビア・カンスイの根であ
り、峻下剤として用いられる。
【0066】甘草(かんぞう) 中国東北部や内蒙古に自生する多年草で、マメ科ウラル
カンゾウおよび中央アジア、シベリア南部、中国西部な
どに自生するカンゾウの根および走出茎である。グリチ
ルリチン、ショ糖、ブドウ糖、マンニットなどを含み、
他薬と配合してその作用を増強する。鎮痛剤、矯味剤と
して用いられる。
【0067】桔梗(ききょう) 山野に自生し、または栽培されている多年草で、キキョ
ウ科キキョウの根である。キキョウサポニンを含み、排
膿剤、去痰剤として用いられる。
【0068】玄参(げんじん) 山野に自生する多年草で、ゴマノハグサ科ゴマノハグサ
の根である。消炎剤として用いられる。
【0069】香附子(こうぶし) 海べの陽あたりのよい砂地に自生する多年草で、カヤツ
リグサ科ハマスゲの根茎である。精油を含み、駆淤血剤
で、神経症、月経不順などに用いられる。
【0070】蒿本(こうほん) 中国原産の多年草で、セリ科カサモチの根茎である。日
本ではヤブニンジンの根といわれている。精油を含み、
発散疏通剤で、頭痛などに用いられている。
【0071】牛膝(ごしつ) 道ばたに自生する多年草で、ヒユ科ヒナタイノコズチの
根である。サポニンを含み駆淤血剤として用いられる。
【0072】柴胡(さいこ) 山野に自生し、または栽培される多年草で、セリ科ミシ
マサイコの根である。サイコサポニン、脂肪油などを含
み、解熱剤、鎮痛剤、強壮剤に用いられる。
【0073】さいしん 樹蔭地に自生する多年草で、ウマノスズクサ科ウスバサ
イシンの根及び根茎である。中国産は、東北部に自生
し、精油を含み、鎮咳剤、鎮痛剤として用いられる。
【0074】山豆根(さんずこん) 中国広西省に自生する小低木、マメ科ソフォーラ・サプ
プロストラータの根である。アルカロイド(マトリン、
オキシマトリン)を含み、消炎剤、解毒剤、消腫剤、止
痛の効があり、抗悪性腫瘍作用が認められている。
【0075】じおう 中国原産で、栽培されている多年草であり、ゴマノハグ
サ科アカヤジオウの根である。マンニトール、糖などを
含み、補血強壮剤、鎮痛剤として用いられる。
【0076】しおん 朝鮮、中国北部、蒙古、シベリアに分布し、日本では山
地に自生し、または栽培される多年草で、キク科シオン
の根茎および根である。鎮咳剤、鎮痛剤剤として用いら
れる。
【0077】紫・草根 日本の中北部および中国に自生する多年草で、ムラサキ
科ムラサキの根である。紫色の色素(アセチルシコニ
ン)を含み、解熱剤、解毒剤として用いられる。軟膏剤
として、肉芽の促進に用いられる。
【0078】芍薬(しゃくやく) 薬用としてだけでなく、観賞用としても栽培されている
多年草で、キンポウゲ科シャクヤクの根である。ペオニ
フロリンその他を含み、緩和剤、鎮痛剤として用いられ
る。
【0079】じゅつ、びゃくじゅつ 山野に自生する多年草で、キク科オケラの根茎である。
精油を含み、芳香性健胃剤、利尿剤として用いられる。
【0080】生姜(しょうきょう) 各地に栽培される多年草、ショウガ科ショウガの生の根
茎である。精油(シネオール、ジンギベロール)、辛味
成分(ジンゲロン、ショウガオール)などを含み、健胃
剤として用いられる。又、熱性刺激剤で新陳代謝機能の
促進剤として用いられる。
【0081】升麻(しょうま) 山野に自生する多年草で、キンポウゲ科サラシナショウ
マの根茎である。中国産は、オオミツバショウマの根茎
である。フェルラ酸、カフェ酸などを含み、発汗剤、解
熱剤として用いられる。
【0082】じんぎょう 中国に自生する多年草で、リンドウ科オオバリンドウ、
ハイリンドウなどの根である。解熱剤、鎮痛剤として用
いられる。
【0083】せんきゅう 中国原産で、日本でも栽培されている多年草であり、セ
リ科センキュウの根茎である。精油(クニジリド)を含
み、補血剤、鎮静剤、鎮痛剤で、また貧血性の淤血や婦
人病に用いられる。
【0084】前胡(ぜんこ) 山野に自生する多年草、セリ科ノダケの根である。配糖
体(ノダケニン)を含み、解熱剤、鎮咳剤、去痰剤とし
て用いられる。
【0085】大黄(だいおう) 中国の甘粛、青海方面に自生する多年草で、タデ科レウ
ム・パルマーツムその他の根茎である。また甘粛ではレ
ウム・タングーティクムを産し、四川、雲南ではレウム
・オフィキナーレを産する。レイン、エモジン、アロエ
エモジンなどを含み、消炎剤、下剤として用いられる。
【0086】たくしゃ 北海道、本州北部の水辺、湿地に自生する多年草で、オ
モダカ科サジオモダカの塊茎である。中国で栽培され、
福建、四川、江西省などに産する。アリソールを含み、
利尿剤、止渇剤として用いられる。
【0087】竹節人参(ちくせつにんじん) 山林の樹蔭地に自生し、地上部がオタネニンジンニよく
似た多年草、ウコギ科トチバニンジン、一名チクセツニ
ンジンの根茎である。パナックスサポニンを含み、健胃
剤、去痰剤、強壮剤として用いられる。去痰や解熱作用
は人参と比較して優れている。
【0088】知母(ちも) 中国の華北、東北部や朝鮮に自生し、日本でも栽培され
る多年草で、ユリ科ハナスゲの根茎である。アスフォニ
ンを含み、解熱剤、利尿剤、鎮痛剤として用いられる。
【0089】地楡(ちゆ) 各地に自生する多年草で、バラ科ワレモコウの根であ
る。タンニン、サポニンなどを含み、消炎剤、収斂剤、
止血剤として用いられる。
【0090】天台烏薬(てんだいうやく)、烏薬(うや
く) 中国、日本の暖地に自生し、または栽培される常緑小高
木、クスノキ科テンダイウヤクの根。精油を含み、芳香
性健胃剤、興奮剤として用いられる。
【0091】天麻(てんま) 中国、日本中北部の山中に自生する寄生植物で、ラン科
オニノヤガラの根茎である。強壮剤、鎮静剤として用い
られる。
【0092】天門冬(てんもんどう) 暖地の海辺に自生するつる性多年草、ユリ科クサスギカ
ズラの根である。アスパラギンを含み、強壮剤、緩和
剤、止渇剤として用いられる。
【0093】当帰(とうき) 山地に自生し、または栽培される多年草で、セリ科トウ
キの根である。大和当帰は、主として奈良県で栽培さ
れ、大深当帰が最良と言われている。中国産は、甘粛、
四川省を中心に産するアンゲリカ・シネンシスである。
精油、ニコチン酸、ビタミンB12などを微量に含み、鎮
痛剤、補血剤、強壮剤として用いられる。
【0094】独活(どっかつ) 山野に自生する多年草で、セリ科シシウド、ウコギ科ウ
ドの根である。発汗剤、腸内の発酵防止剤、解熱剤、鎮
痛剤として用いられる。
【0095】どぶくりょう 中国産のよじのぼり性低木で、ユリ科スミラックス・グ
ラブラの塊茎である。サポニンを含み、利尿剤、解熱
剤、解毒剤、浄血剤として用いられる。
【0096】人参(にんじん) 朝鮮、中国東北部原産であり、日本では、福島、長野、
島根の各県、韓国では、錦山、江華島などで栽培される
多年草で、ウコギ科オタネニンジンの根である。サポニ
ン、ベータシトステロール、パナセーン、ビタミンB
群、ステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸などを含
み、強壮剤、健胃剤、滋潤剤として、新陳代謝機能の向
上に用いられる。和名のオタネニンジンは、徳川吉宗が
諸藩に種子を下賜して栽培させたことによる。
【0097】敗醤(はいしょう) 山野に自生する多年草で、オミナエシ科オミナエシの根
である。オレアノール酸を含み、排膿剤、駆淤血剤、消
炎剤として用いられる。
【0098】貝母(ばいも) 中国原産であるが、日本でも栽培されている多年草であ
り、ユリ科アミガサユリのりん茎である。アルカロイド
を含み、鎮咳剤、排膿剤として用いられる。
【0099】はくとうおう 日本各地の山野に自生する多年草で、キンポウゲ科オキ
ナグサの根である。中国東北部には、ヒロハオキナグ
サ、チョウセンオキナグサなどが自生する。サポニン配
糖体を含み、消炎剤、収斂剤、止血剤として用いられる
他、熱性下痢としても用いられる。
【0100】麦門冬(ばくもんどう) 山野に自生し、または栽培される多年草で、ユリ科ジャ
ノヒゲの根の膨大部である。中国産は、ナガバジャノヒ
ゲである。糖分、粘液質を含み、鎮咳剤、緩和剤、止渇
剤、解熱剤として用いられる。
【0101】半夏(はんげ) 畑地などに自生する多年草で、サトイモ科カラスビシャ
クの塊茎である。鎮嘔剤、鎮咳剤、去痰剤として用いら
れる。
【0102】百合(びゃくごう) 各地に自生し、または栽培される多年草で、ユリ科ヤマ
ユリ、オニユリなどのりん茎である。でんぷんを含み、
滋養・強壮剤、消炎剤、鎮咳剤、更に食用にも供され
る。
【0103】びゃくし 山地に自生し、または栽培される多年草で、セリ科ヨロ
イグサの根である。フロクマリン誘導体および精油を含
み、鎮静剤、鎮痛剤として用いられる。
【0104】附子(ぶし) 中国四川省の山地に自生する多年草で、キンポウゲ科ア
コニツム・カルミカエリの新生根を秋に畑地で栽培し、
修治をほどこした塊根である。アコニチン系アルカロイ
ドを含み、虚寒証のものの興奮剤、強心剤、熱剤、鎮痛
剤、利尿剤、新陳代謝機能の向上剤として用いられる。
【0105】ぼうい 暖地の山野に自生する落葉つる性木本で、ツヅラフジ科
オオツヅラフジの茎または根茎である。中国産は、シマ
ハスノハカズラその他である。アルカロイドを含み、利
尿剤、消炎剤、鎮痛剤として、神経痛等に用いられる。
【0106】防風(ぼうふう) 日本の中部以北の山地に自生する多年草で、セリ科イブ
キボウフウまたはオオバノイブキボウフウの根および根
茎である。中国産は、東北部、華北などに自生する多年
草で、セリ科ボウフウの根である。発汗、解熱、解毒剤
として用いられる。
【0107】蒲公英(ほこうえい) 各地に自生する多年草で、キク科タンポポの根である。
健胃剤、催乳剤として用いられる。
【0108】木香(もっこう) インドカシミア地方に自生し、中国で栽培される多年草
で、キク科サウススレア・ラッパの根である。精油を含
み、健胃剤、整腸剤、利尿剤として用いられる。
【0109】竜胆(りゅうたん) 中国、朝鮮の山野に自生する多年草で、リンドウ科トウ
リンドウの根および根茎である。日本産は、同属のリン
ドウである。苦味配糖体、ゲンチアノーゼ、ゲンチオビ
オーゼその他を含み、消炎性苦味健胃剤として用いられ
る。
【0110】.木部・樹皮を用いるものの例 黄柏(おうばく) 山地に自生する落葉高木で、ミカン科キハダのコルク層
を除いた樹皮である。アルカロイド(ベルベリンその
他)を含み、消炎剤、苦味健胃剤、収斂剤として用いら
れる。家庭薬原料であり、オウバク末は、打ち身やくじ
きなどの湿布剤として使用されている。
【0111】桜皮(おうひ) バラ科サクラ類の樹皮である。配糖体を含み、収斂剤
で、皮膚病に用いられる。
【0112】桂皮 中国南部、関東、関西などに自生し、または栽培される
常緑高木で、クスノキ科キンナモームム・カッシアの根
である。幹および枝の皮をそのまま、あるいはコルク層
を多少除いたものである。精油、粘液、ショ糖、タンニ
ンなどを含み、発汗、解熱、鎮痛、興奮剤で、のぼせ、
頭痛、さむけ、からだの痛みを治すのに用いられる。
【0113】厚朴(こうぼく) 山地に自生する落葉高木で、モクレン科ホオノキの幹
皮、枝皮(和厚朴)である。中国産は、中国南部に自生
し、四川、湖北省で栽培される高木、カラホオの幹皮
(厚朴)。マグノクラリン、マグノロール、精油などを
含み、健胃剤、強壮剤、収斂剤、利尿剤、去痰剤として
用いられる。筋肉の緊張をゆるめる効果ある。
【0114】苦楝皮(くれんぴ) 暖地に自生し、または栽培される落葉高木、センダン科
センダンの幹皮または根皮である。中国原産のトウセン
ダン(本来の苦楝皮)は、日本でも栽培されている。カ
テコールタンニン、ワニリン酸を含み、駆虫剤として用
いられる。
【0115】五加皮(ごかひ) 東アジアの山地に自生する落葉低木で、ウコギ科ウコギ
の根皮である。中国では、ヒメウコギやマンシュウウコ
ギの根皮も五加皮としている。芳香成分、脂肪酸などを
含み、鎮痛剤、強壮剤として用いられる。
【0116】地骨皮(じこっぴ) 中国に自生し、または栽培されている落葉低木で、ナス
科ナガバクコである。また、中国、日本、朝鮮に自生し
あるいは栽培されているクコの根皮である。解熱剤、強
壮剤として用いられる。
【0117】沈香(じんこう) インド、中国南部、マライなどに自生し、または栽培さ
れている常緑高木で、ジンチョウゲ科ジンコウの樹脂に
富む木部からなる埋木。鎮静剤として用いられる。
【0118】桑白皮(そうはくひ) 中国原産であり、各地で栽培されている落葉低木で、ク
ワ科クワの根皮である。消炎剤、利尿剤として用いられ
る。
【0119】蘇木(そぼく) インド、マレー地方原産、インドから台湾南部にわたり
分布する低木で、マメ科スオウの心材である。ブラジリ
ンを含み、止血剤、駆淤血剤として用いられる。
【0120】杜仲(とちゅう) 中国(四川、湖北)に自生し、または中国中南部で栽培
される落葉高木で、トチュウ科トチュウの樹皮である。
グッタペルカを含み、強壮剤、鎮静剤として用いられ
る。
【0121】ちくじょ 中国原産であり、日本で広く栽培されている常緑竹で、
イネ科ハチクなど青竹の表皮を去り、白い部分をうすく
けずって綿状としたものである。解熱剤として用いられ
る。
【0122】釣藤鈎(ちょうとうこう) 中国、日本などの暖地に自生する落葉つる性植物で、ア
カネ科カギカズラの小枝の変化したかぎの部分である。
アルカロイド(リンコフィリン)を含み、鎮静剤として
用いられる。
【0123】牡丹皮(ぼたんぴ) 中国原産であり、薬用以外に観賞用としても栽培されて
いる落葉低木で、キンポウゲ科ボタンの根皮である。配
糖体を含み、消炎剤、鎮痛剤、駆淤血剤として用いられ
る。
【0124】木通(もくつう) 各地の山野に自生する落葉つる性木本で、アケビ科アケ
ビまたはミツバアケビの茎である。ヘデラゲニン、カリ
ウム塩類を含み、消炎性利尿剤として用いられる。
【0125】.全草又は茎葉を用いるものの例 いんちん、いんちんこう 各地に自生する多年草で、キク科カワラヨモギの花の穂
をつけた全草である。精油(ピネン、カピレン)を含
み、解熱剤、消炎性利尿剤、更に黄疸にも用いられる。
【0126】がいよう 山野に自生する多年草で、キク科ヨモギ属の葉。精油
(シネオール)を含み、収斂剤、止血剤として用いられ
る。
【0127】かっこう 温暖帯の山地に自生し、また中国で栽培もされる多年草
で、シソ科カワミドリの茎葉である。精油を含み、健胃
剤として用いられる。
【0128】けいがい 中国原産であり、河北、河南、山東、四川、山西、雲南
各省で栽培されている一年草で、シソ科ケイガイの花の
穂のついた全草である。精油(メントーン)を含み、発
汗剤、解熱剤、解毒剤として用いられる。
【0129】しゅろよう 南九州原産であり、各地に栽培される常緑高木で、シュ
ロ科シュロの葉である。利尿剤として用いられる。
【0130】淡竹葉(たんちくよう) 日本、台湾、朝鮮南部、中国、インドに分布する多年草
で、イネ科ササクサの葉である。日本では、ハチクも用
いられる。利尿剤として用いられる。
【0131】燈心草(とうしんそう) 湿地に普通に生える多年草で、イグサ科イ(イグサ)の
全草である。消炎剤、利尿剤として用いられる。
【0132】薄荷(はっか) 日本に自生し、または栽培されている多年草で、シソ科
ハッカの葉である。
【0133】精油(メントール)を含み、発汗剤、解熱
剤、健胃剤として用いられる。
【0134】びわよう 中国中南部原産であり、日本の暖地に自生し、または栽
培されている常緑樹で、バラ科ビワの葉である。健胃
剤、鎮嘔剤として用いられる。
【0135】麻黄(まおう) 中国、内蒙古に自生する小低木で、マオウ科シナマオウ
その他同族植物の地上茎である。シナマオウ(川麻黄)
は山西省北部、フタマタマオウ(山麻黄)は東北部から
内蒙古、キダチマオウ(木本麻黄)は内蒙古、蔭山山脈
の山岳地に自生する。パキスタン産は、エフェドラ・ゲ
ラルディアーナである。アルカロイド(エフェドリン)
を含み、発汗剤で、皮膚の***機能障害による呼吸困
難、喘咳、緒関節の疼痛などに用いられる。尚、麻黄の
根は、止汗作用があるといわれている。
【0136】木賊(もくぞく) 北半球の温帯に広く自生し、または栽培されている常緑
の多年草で、トクサ科トクサの地上部である。無水ケイ
酸を含み、消炎性利尿剤として用いられる。
【0137】やくもそう 中国北部および東北部、日本の各地に自生する二年草
で、シソ科メハジキの茎葉、花の穂が用いられる。レオ
ヌリンを含み、駆淤血剤として用いられる。尚、種子は
「じゅういし」と呼ばれ、利尿剤に用いられる。
【0138】.花や蕾を用いるものの例 夏枯草(かごそう) 山野に自生する多年草で、シソ科ウツボグサの花の穂で
ある。可溶性無機塩類を含み、消炎剤、利尿剤として用
いられる。
【0139】菊花(きくか)、甘菊花 キクの一品で、主として頭花を食用にするために栽培さ
れている多年草で、キク科リョウリギクの黄色花であ
る。解熱剤、鎮静剤として用いられる。
【0140】金銀花(きんぎんか) 中国、朝鮮、日本の各地に自生する常緑つる性植物で、
スイカズラ科スイカズラの花である。浄血剤、解毒剤と
して用いられる。茎葉を「忍冬」(にんどう)と称し、
解毒剤、利尿剤として用いられる。
【0141】紅花(こうか) エジプト方面原産であり、中国西北部、インド、チベッ
トなど各地に栽培される二年草で、キク科ベニバナの花
である。サフロールイエロー、カルタミンを含み、駆淤
血剤で、腹痛、婦人病に用いられる。
【0142】しんい 各地の山野に自生し、または栽培されている落葉高木
で、モクレン科コブシまたはタムシバのつぼみである。
精油(シネオール)を含み、発散剤で、葛根湯などに加
えて鼻疾に用いられる。
【0143】旋覆花(せんぷくか) 各地に自生する多年草で、キク科オグルマの花である。
健胃剤、利尿剤、去痰剤として用いられる。
【0144】丁香(ちょうこう)、丁子(ちょうじ) モルッカ群島原産、熱帯各地に栽培される常緑高木で、
フトモモ科チョウジのつぼみである。精油(オイゲノー
ル)を含み、健胃剤、興奮剤として用いられる。水蒸気
蒸留して得られた丁子油は、歯科で、消毒剤、防腐剤、
止痛剤として用いられる。
【0145】蒲黄(ほおう) 各地の沼地、水中に自生する多年草で、ガマ科ヒメガマ
の花粉である。脂肪油を含み、収斂剤、止血剤として用
いられる。
【0146】.種子、果実、果皮を用いるものの例 茴香(ういきょう)、小茴香(しょうういきょう) ヨーロッパ原産であり、各地に栽培される多年草で、セ
リ科ウイキョウの果実である。精油を含み、芳香性健胃
剤、駆風剤、去痰剤として用いられる。
【0147】烏梅(うばい) 中国江南原産であり、各地に栽培される落葉高木で、バ
ラ科ウメの未熟果実を燻製にしたものである。密閉した
容器の中で黒焼きにし、クエン酸、リンゴ酸などを含
み、収斂剤、駆虫剤として用いられる。
【0148】瓜子(かし)、冬瓜子 熱帯アジア原産であり、栽培される一年草のつる性草木
で、ウリ科トウガの種子である。消炎剤、利尿剤、排膿
剤として用いられる。
【0149】訶子(かし)、訶梨勒(かりろく) 北インドから南方地に分布する落葉樹で、シクンシ科ミ
ロバランの果実である。タンニンを含み、収斂剤、鎮咳
剤、止瀉剤として用いられる。
【0150】枳実(きじつ) 暖地に栽培される常緑高木で、ミカン科ダイダイ、ナツ
ミカン、ミカンなどの未熟果実である。芳香性苦味健胃
剤として用いられる。
【0151】杏仁(きょうにん) 中国原産であり、栽培される落葉高木で、バラ科アン
ズ、ホンアンズの種子である。配糖体、脂肪油などを含
み、鎮咳剤として用いられる。
【0152】瞿麦(くばく) 中国原産であり、日本へは古くから渡来し、栽培される
多年草で、ナデシコ科カラナデシコおよび各地に自生す
るカワラナデシコなどの種子である。消炎剤、利尿剤と
して用いられる。
【0153】決明子(けつめいし) 栽培される一年草であり、マメ科エビスグサの種子であ
る。アントラキノン誘導体を含み、緩下剤、強壮剤、利
尿剤として用いられる。
【0154】牽牛子(けんごし) 広く栽培されるつる性一年草で、ヒルガオ科アサガオの
種子である。樹脂配糖体(ファルビチン)、脂肪油など
を含み、下剤、家庭薬原料として用いられる。
【0155】ごしゅゆ 中国原産であり、各地に栽培される落葉小高木で、ミカ
ン科ゴシュユの果実である。アルカロイド(エボディア
ミン、ルテカルピン)、精油などを含み、健胃剤、鎮
痛、利尿剤として用いられる。
【0156】ごぼうし 栽培される二年草で、キク科ゴボウの果実である。配糖
体、脂肪油などを含み、解熱剤、解毒剤、利尿剤として
用いられる。
【0157】五味子(ごみし)、北五味子(ほくごみ
し) 日本の中部以北の山地や朝鮮、中国の中部、北部に自生
する落葉つる性植物で、モクレン科チョウセンゴミシの
果実である。精油、有機酸類、シツァンドレンなどを含
み、滋養・強壮剤、収斂剤、鎮咳剤として用いられる。
【0158】山査子(さんざし)、山査(さんざ) 中国原産であり、バラ科サンザシの果実である。クエル
セチンその他を含み、健胃剤、消化剤、整腸剤として用
いられる。
【0159】さんしゅゆ 朝鮮中部原産であり、庭園樹として栽培される落葉小高
木で、ミズキ科サンシュユの果実である。没食子酸、リ
ンゴ酸、酒石酸などをみ、収斂剤、滋養・強壮剤として
用いられる。
【0160】山梔子(さんしし)、梔子(しし) 暖地の山中に自生し、または栽培される常緑低木で、ア
カネ科クチナシの果実である。カロチノイド色素クロチ
ン、ゲニポサイドを含み、消炎剤、利尿剤、鎮静剤、止
血剤として用いられる。
【0161】酸棗仁(さんそうにん) 南ヨーロッパ原産であり、中国北部に自生する落葉小高
木で、クロウメモドキ科サネブトナツメの種子である。
脂肪油、シトステロール、ベツーリンなどを含み、神経
強壮剤、催眠剤として用いられる。
【0162】使君子(しくんし) 東南アジア産の常緑半つる性低木で、シクンシ科シクン
シの果実である。脂肪油、シクンシ酸などを含み、駆虫
剤として用いられる。
【0163】しつりし 中国東北部や日本の海辺の砂地に自生する多年草で、ハ
マビシ科ハマビシの果実である。駆淤血剤として用いら
れる。
【0164】赤小豆(しゃくしょうず) 中国また日本原産といわれる一年生の作物で、マメ科ア
ズキの種子である。解毒剤、利尿剤、排膿剤として用い
られる。
【0165】車前子(しゃぜんし) 山野に自生する多年草で、オオバコ科オオバコの種子で
ある。粘液質その他を含み、消炎剤、利尿剤、鎮咳剤と
して用いられる。
【0166】縮砂(しゅくしゃ) タイ、インドおよび中国南部に産する多年草で、ショウ
ガ科アモームム・キサンティオイデスの種子塊である。
精油(ボルネオール)を含み、芳香性健胃剤、整腸剤と
して用いられる。
【0167】小麦(しょうばく) 栽培される一年生または二年生草木で、イネ科コムギの
果実である。緩和剤、消炎剤、鎮静剤、止渇剤として用
いられる。
【0168】蜀椒(しょくしょう)、山椒(さんしょ
う) 山地に自生し、または栽培される落葉低木で、ミカン科
サンショウの成熟した果実である。精油、サンショオー
ルなどを含み、熱性刺激剤、健胃剤、駆風剤、駆虫剤と
して用いられる。
【0169】蘇子(そし) 中国原産であり、各地に栽培される一年草で、シソ科シ
ソの種子である。リノール酸、ステアリン酸、パルミチ
ン酸などを含み、発汗剤、鎮咳剤、利尿剤として用いら
れる。また、葉を「蘇葉」(そよう)と称し、精油を含
み、発汗剤、鎮静剤、鎮咳剤、利尿剤として用いられ
る。
【0170】大棗(たいそう) 南ヨーロッパ原産であり、各地で栽培される落葉小高木
で、クロウメモドキ科ナツメの果実である。糖分、粘液
質を含み、緩和剤、強壮剤、利尿剤として用いられる
他、種々の緊張による疼痛に効果がある。
【0171】陳皮(ちんぴ) ミカン類の黄熟した果皮を「橘皮」(キッピ)、黄熟す
る前の果皮を「青皮」(せいひ)、古くなった橘皮を
「陳皮」と称する。健胃剤、鎮咳剤、去痰剤、鎮嘔剤と
して用いられる。
【0172】桃仁(とうにん) 中国原産であり、各地に栽培される落葉低木で、バラ科
モモおよびノモモの種子である。アミグダリン、脂肪油
などを含み、消炎性鎮痛剤、駆淤血剤として用いられ
る。
【0173】にくずく モルッカ群島原産の常緑高木で、ニクズク科ニクズクの
仮種皮、種皮を除いた種子である。精油(ピネン、カン
フェン)、脂肪油、芳香性のミリスチンを含み、芳香性
健胃剤として用いられる。
【0174】びんろうじ 熱帯に自生し、または栽培される常緑高木で、ヤシ科ビ
ンロウの果皮を除いた種子である。アルカロイド(アレ
コリン)、タンニンなどを含み、健胃剤、収斂剤、駆虫
剤として用いられる。
【0175】蔓荊子(まんけいし) アジアに広く分布し、日本各地の海辺などに自生する小
低木で、クマツヅラ科ハマゴウの果実である。精油(カ
ンフェン)を含み、解熱剤、清涼剤として用いられる。
【0176】もくてんりょう 産地に自生する落葉つる性の低木で、マタタビ科マタマ
ビの果実に、マタタビアブラムシという昆虫の寄生によ
ってできた虫こぶ(熱湯をそそいでから乾燥する)。マ
タタビラクトン、アクティニディンなどを含み、強心
剤、利尿剤、腹痛、神経痛、リウマチなどに用いられ
る。
【0177】益智(やくち) 東インド、海南島産であり、ショウガ科アモームム・ア
マールムの果実である。精油を含み、健胃剤、整腸剤と
して用いられる。
【0178】よくいにん 中国、インドシナ原産、畑地に栽培される一年草で、イ
ネ科ハトムギの種皮を除いた種子である。澱粉、たんぱ
く質、脂肪、コイクセノライド(抗腫瘍性があるといわ
れる)などを含み、利尿剤、消炎剤、排膿剤、鎮痛剤と
して用いられる。
【0179】らいふくし 地中海地力原産であり、栽培される二年草、アブラナ科
ダイコンの種子である。健胃剤、去痰剤として用いられ
る。
【0180】竜眼(りゅうがん)、 台湾、中国南部、インドなどで栽培される常緑高木で、
ムクロジ科リュウガンの果実である。ブドウ糖、ショ
糖、アデニン、コリンなどを含み、滋養・強壮剤、鎮静
剤として用いられる他、健忘症、神経性心悸亢進症、病
後衰弱などにも用いられる。
【0181】れんぎょう 中国原産であり、モクセイ科レンギョウの果実である。
オレアノール酸を含み、消炎剤、利尿剤、排膿剤、解毒
剤として用いられる。
【0182】蓮肉(れんにく) 中国、日本の池、沼地に自生し、または栽培される多年
草で、スイレン科ハスの果実である。ラフェノーゼを含
み、健胃剤、強壮剤として用いられる。
【0183】その他として、動物、鉱物を用いるものの
例を以下に述べる。又、上記薬用の動物又は鉱物から抽
出或いは搾り出した生薬としては、主として牛皮から作
ったニカワ等が挙げられる。 あきょう 牛など動物の骨、皮膚などから得た、こう原質を加水分
解して製したものである。止血剤、鎮静剤、鎮痛剤、強
壮剤として用いられる。
【0184】じゃこう チベット、雲南方面に住むシカ科ジャコウジカの雄のジ
ャコウ腺分泌物である。芳香主成分ムスコン、その他コ
レステロール、脂肪、たんぱく質などを含み、興奮、鎮
痙剤、強心剤として用いられる。
【0185】熊胆(ゆうたん) クマ科セレナルクトス・チベターヌス(中国東北地方
産)、ウルスス・アークトス(華南産)またはその近縁
動物の胆汁を乾燥したものである。胆汁酸、ビリルビン
などを含み、苦味健胃剤。鎮静剤、鎮痛剤、鎮痙剤とし
て用いられる。
【0186】乳香(にゅうこう) ソマリー沿岸山地原産の低木、カンラン科ニュウコウジ
ュの樹幹に、傷をつけて得られた樹脂である。鎮痛剤と
して用いられる。
【0187】これらから得られた生薬は、病名や一つの
症状に対して局所的効果を発現させるために使用された
り、循環器系に作用して全身薬として用いても良く、
又、その成分は、一種又は必要に応じて二種以上配合し
て用いても良いのである。
【0188】ところで、本発明においては、生体に悪影
響を与えない範囲で、生薬(A)と共に、生薬以外の薬
物(B)を配合しても良いのであり、この場合、この
(B)の配合割合は(A)に対し100重量%以下、つ
まり(A)100重量部に対し(B)100重量部以
下、特に50重量%以下とするのが望ましい。
【0189】この(B)としては、経皮吸収性のもので
あれば特に限定されるものではないが、具体的には、例
えば中枢神経系用薬物、末梢神経用薬物、感覚器官用薬
物、アレルギー用薬物、循環器官用薬物、呼吸器官用薬
物、消化器官用薬物、外皮用薬物、滋養強壮変質剤、代
謝性薬物、抗生物質製薬物、生物学的製剤、化学療法
剤、ビタミン剤、鎮痛消炎剤、鎮咳去痰剤、抗ヒスタミ
ン剤及び副腎皮質ホルモン剤等が挙げられる。これら
(A)又は(A)及び(B)の薬効成分は、一種又は必
要に応じて二種以上配合されて用いられる。
【0190】この薬物の含有量としては薬効を期待でき
る範囲であれば特に限定されるものではないが、薬理効
果や経済性更に粘着力等の観点より、粘着性基材(C)
と生薬(A)、或いは粘着性基材(C)と、生薬(A)
及びこれいがいの薬物(B)の混合薬物の配合割合は粘
着性基材100重量部に対し生薬0.5〜30重量部、
特に、1〜15重量部の範囲で適宜決定される。
【0191】この薬物含有層の厚さとしては特に限定さ
れるものではないが、5〜3000μm、特に、10〜
2000μm、更に好ましくは25〜1000μmとす
るのが好ましく、粘着剤層の厚さが、10μm未満にな
ると所要の粘着力を得られない場合があり、一方、30
00μmを超えると厚くなり過ぎて使用感が悪くなるだ
けでなく、経済性が悪くなるので好ましくない。この薬
物含有層の形成方法としては特に限定されるものではな
く、公知の方法が挙げられる。
【0192】又、本発明の温熱貼付剤においては、上述
の薬物含有層に更に吸水性ポリマーが配合されたもの
が、この吸水性ポリマーによって、皮膚からの汗や分泌
物等の体液を、吸収、吸着し、常に外皮表面を清潔に保
つので衛生面から望ましい。
【0193】この吸水性ポリマーとしては、自重の10
倍以上、特に50倍以上の水を吸収してゲル化するもの
であれば特に限定されるものではないが、特に、架橋し
て水に対する溶解性を制御した吸水性ポリマーが、皮膚
への糊残りが生じず、しかもベトツキが無いので望まし
い。
【0194】具体的には、特公昭49−43395号公
報に開示されている澱粉−ポリアクリロニトリル共重合
体、特公昭51−39672号公報に開示されている架
橋ポリアルキレンオキシド、特公昭53−13495号
公報に開示されているビニルエステル−エチレン系不飽
和カルボン酸共重合体ケン化物、特公昭54−3071
0号公報に開示されている逆相懸濁重合法によって得ら
れる自己架橋ポリアクリル酸塩、特開昭54−2009
3号公報に開示されているポリビニルアルコール系重合
体と環状無水物との反応生成物、特開昭59−8430
5号公報に開示されているポリアクリル酸塩架橋物、ポ
リアクリル酸ソーダ、CMC、ポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ア
ラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセル
ロース、アルギン酸ソーダ、ペクチン、カルボキシビニ
ルポリマー、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド等から
選ばれた1種または2種以上の混合物が挙げられる。
【0195】この吸水性ポリマーの市販品の例として
は、例えば三洋化成社製のサンウェットIM−300、
サンウェットIM−300MPS、サンウェットIM−
1000又はサンウェットIM−1000MPS等の
他、製鉄化学社製のアクアキープ4Sやアクアキープ4
SH等が挙げられるのであり、又、住友化学社製のスミ
カゲルNP−1020、スミカゲルNP−1040、ス
ミカゲルSP−520及びスミカゲルN−1040等が
挙げられるのであり、更に、クラレ社製のKIゲル20
1−KやKIゲルー201K−F2等が挙げられるので
あり、又、荒川化学社製のアラソープ800やアラソー
プ800F等が挙げられるのであり、これらのうち、吸
水性が高く、しかも加温しても粘着剤層のダレがなく、
粘着剤層の保形性が良好である等の理由より、三洋化成
社製のサンウェットIM−300MPSやサンウェット
IM−1000MPS、住友化学社製のスミカゲルNP
−1020やスミカゲルNP−1040、クラレ社製の
KIゲル−201K−F2、荒川化学社製のアラソープ
800F等が特に好ましい。
【0196】本発明においては、密着性、粘着性、皮膚
からの汗や分泌物等の体液の吸収・吸着性、使用感及び
皮膚からの剥離性等の観点から、吸水性ポリマーの配合
割合は、薬物含有層全体の0.5〜10重量%の範囲と
するのが好ましく、特に1〜8重量%とすることによっ
て、人体皮膚の凹凸面にも追従して密着し、しかも粘着
性及び使用感が一層良好である上、剥離時の苦痛が無
く、加えて、吸水性ポリマーによって、皮膚からの汗や
分泌物等の体液を、吸収、吸着し、常に外皮表面を一層
清潔に保つので望ましい。
【0197】この場合、吸水性ポリマーが、粘着性基材
と親和性が悪く、均一に分散しない恐れが有るときに
は、界面活性剤で処理するのが望ましい。
【0198】本発明で用いられる界面活性剤としては吸
水性ポリマーを処理することによって当該吸水性ポリマ
ーが粘着性基材中に分散し易くなるものであれば特に限
定されるものではなく、具体的には、陰イオン界面活性
剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤又は両性
界面活性剤が挙げられる。
【0199】本発明で好適に用いられる界面活性剤とし
ては、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、カプ
リル酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナト
リウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウ
ム、或いは、リン酸エステル塩型の界面活性剤、高級ア
ルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アル
コールリン酸ジエステルナトリウム塩等の界面活性剤、
オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ラウリン酸、
パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸
やその金属塩、低重合度ポリカルボン酸の塩、例えば低
重合度ポリアクリル酸ソーダ、低重合度ポリアクリル酸
ブチル、低重合度ポリメタアクリル酸ソーダ、更に、ス
ルホン化ポリスチレン等の界面活性剤等が挙げられる。
【0200】本発明においては、粘着性基材が架橋され
ているものが、以下に述べる理由より、至極有益であ
る。
【0201】即ち、粘着性基材が架橋されていると、熱
安定性が向上し、加温時のダレやべたつき更に糊残りが
極めて少なくなって使用感が良好になり、しかも加温時
の粘着力や保形性も良好になり、更に生薬の保持性が向
上する。
【0202】この粘着性基材の架橋方法としては特に限
定されるものではないが、具体的には、例えば紫外線や
電子線等の照射線を、得られた粘着性基材に直接照射し
たり、又は発熱体上に形成した薬物含有層或いは粘着性
基材の層に照射したり、更に、ライナー上に形成した薬
物含有層或いは粘着性基材の層に照射し、これを発熱体
上に転着しても良いのであり、又、予め、別の装置で、
粘着性基材の照射線架橋を行っても良いのである。
【0203】照射線架橋としては、例えば特公昭62−
39184号公報に準じて行うことができる。そして、
例えば、紫外線の場合、通常300〜680nmで5〜3
0分間照射、電子線の場合、通常1〜20Mradで、照
射時間0.01〜5秒である。勿論、粘着剤に種々の化
学的架橋剤を加え、化学的に架橋しても良いのである。
【0204】ところで、本発明においては、粘着性基材
を上述の方法で架橋し、次いで、これを発熱体又はライ
ナーの上に形成しても良いのである。
【0205】尚、本発明においては、遠赤外線による温
熱効果を発現させるうえで、発熱体組成物中に遠赤外線
照射用のセラミックス粉末を含有させたり、或いは発熱
体と皮膚貼着性の薬物含有層の間に遠赤外線照射用セラ
ミックス層を設けてもよいのである。
【0206】ところで、本発明の温熱貼付剤において、
その薬物含有層の露出面には剥離処理を施した剥離紙、
セロファン又はポリエチレン、ポリプロピレン等のプラ
スチックフィルムを積層して被覆される。
【0207】この温熱貼付剤は1個或いは2個以上の単
位で気密性の包装材に密封包装され、流通に供される。
【0208】
【作用】本発明の温熱貼付剤においては、発熱体の片面
に皮膚貼着性の薬物含有層を設けた温熱貼付剤におい
て、薬物含有層中の薬物が自然物の一部を乾燥し、又は
これに簡単な加工を施して得た生薬からなることを特徴
とする。
【0209】即ち、発熱体を設けた温熱貼付剤における
薬物含有層中の薬物として、自然界に存在する自然物の
一部を乾燥し、又はこれに簡単な加工を施して得た生薬
を用いることにより、生体に対して比較的穏やかで副作
用が少なく、安全性が高いのであり、しかも比較的安定
で保存性が良好である作用を有する。
【0210】ところで、薬物含有層を設けた貼付剤にお
いて、この薬物として、自然物の一部を乾燥し、又はこ
れに簡単な加工を施して得た生薬を用いて薬理効果の実
験を繰り返した結果、所要の薬理効果が認められなかっ
たり、薬理効果にバラツキがあることが認められた。
【0211】そこで、この生薬を用いた貼付剤におい
て、薬物含有層側と反対側に発熱体を設け、再度実験を
繰り返したところ、優れた薬理効果が認められる上、局
所のこり、疼痛及び冷え等を伴う症状、例えば肩こり、
筋肉痛、筋肉のこり、腰痛、打撲、手足の冷え、神経
痛、リューマチ、打ち身、捻挫等の疾患に使用すると、
温熱による治療効果を充分に発現することが認められ
た。
【0212】このように、本発明において、発熱体を設
ける理由は、人体に温熱を供給し、この温熱によって、
生薬の溶解性や移行性を著しく向上させたり、粘着性基
材に分散させた薬用自然物の粉末等から薬効成分の放出
・抽出性を向上させたり、更に、生薬の生体への吸収性
を良好にするだけでなく、血液の循環を活発にし、生体
内に吸収された生薬を一層効果的に生体内の各部に循
環、供給させることができるのであり、これらの結果、
局所治療効果を助長、促進したり、全身治療効果を一層
向上させるので、所要の薬理効果が認められる上、極め
て優れた薬理効果が得られるからである。
【0213】更に、化学的に合成された薬物は、本来自
然界に存在しないものも多く、不安定で、製剤化した
後、その成分が経時変化によって変化することが多く、
常に、その安定性に配慮する必要があり、保存や取り扱
いに相当の注意を要する場合がある。
【0214】又、薬物含有層を備える貼付剤において、
化学的に合成された薬物が用いられると、生体との親和
性が乏しく、拒絶反応によって副作用が発生し易く、し
ばしば安全性の面で問題が生じたり、肝臓代謝などによ
って消費されるだけでなく、つまり生体内で分解された
り、肝臓等の臓器に負担をかけ等、生体に悪影響を与え
る場合がある。
【0215】ところが、生体に対し生薬が穏やかである
理由は明確ではないが、生薬は自然界に存在する自然物
の一部を乾燥し、又はこれに簡単な加工を施して得たも
のであるが、本来、自然物は古来より、人類が食した
り、磨り潰すことにより患部に適用して血止め剤や湿布
剤としたり、煎じて飲用する等、長年にわたって使用し
てきたものであり、この間に生体が、自然物と調和する
ようになったり、自然物に対する抵抗力が自然にできた
為と解される。
【0216】本発明の温熱貼付剤においては、この温熱
によって、皮膚からの発汗等が活発になるが、薬物含有
層に吸水性ポリマーが配合されていることにより、この
吸水性ポリマーによって汗等の体液を円滑に吸収、吸着
し、常に外皮表面を清潔に保つので、ムレや痒みがな
く、しかも衛生的である作用を有するのである。
【0217】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0218】実施例1 発熱体の製造 (a) 表フィルムである透湿性フィルムの製造 ポリエチレン製の透湿性基材フィルム(厚さ25μm)
の片面に、ポリエステル製多孔質補強用基材(厚さ80
μm)をラミネートしたものを用いた[透湿度がAST
M法(E−96−80D法)で450g/m2・24h
r]。
【0219】(b) 裏フィルムの製造 厚さ25μmのポリエチレン製フィルムの片面にレーヨ
ン繊維含有量60重量%で且つ厚さ40μmのレーヨン
・ポリエステル混合不織布をラミネートしたものを用い
た。
【0220】上記の表フィルムと裏フィルムを重ね合わ
せるにあたり、裏フィルムにおけるポリエチレン製フィ
ルム側と、表フィルムにおける透湿性基材フィルムとが
接触するように積層し、つまり不織布が露出するように
積層し、その積層体の三周縁部をヒートシールして一方
端開放の偏平状袋体を形成し、この偏平状袋体の内部に
後述する空気の存在によって発熱する発熱体組成物を充
填し(1550g/m2)、この開放部をヒートシール
して、本発明で用いられる発熱体を得た。この場合、予
め、偏平状袋体における裏フィルムの露出面側、つまり
レーヨン・ポリエステル混合不織布側に、後述する方法
で薬物含有層を形成したものを用いた。
【0221】発熱体組成物の成分 鉄粉60重量%、活性炭3重量%、塩化ナトリウム3重
量%、保水剤3重量%及び水31重量%の発熱体組成物
【0222】 皮膚貼着性の薬物含有層の製造 (a) 粘着性基材と生薬の混合物の製造 スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体30
重量部、水素添加石油樹脂28.5重量部、テルペン系
樹脂9.0重量部、パラフィン系オイル18.5重量
部、アロマ系オイル7.0重量部、酸化チタン3.5重
量部、亜鉛華3.0重量部及びトリスノニルフェニルー
フォスファイト0.5重量部からなる粘着剤組成物を窒
素気流中で加熱し、充分に撹拌して均一な粘着性基材を
得た。
【0223】次に、この粘着性基材を窒素気流中で加
熱、液状にし、この粘着性基材100重量部に対し、オ
ウバクの粉末1.5重量部、サンシシの粉末1.0重量
部及びハッカ油0.2重量部を投入して均一になるまで
混合した。
【0224】(b) 薬物含有層の製造 次いで、この生薬を含有する粘着性混合物を、展延機を
用いて約11.5g/100cm2となるように、上記
偏平状袋体における裏フィルムの露出面側、つまりレー
ヨン・ポリエステル混合不織布側に、塗布した。尚、こ
の工程は発熱体組成物を封入する前に行った。
【0225】かくして、本発明の温熱貼付剤を得た。こ
の温熱貼付剤の大きさは、縦9.5cm、横13.0c
mとした。
【0226】実施例2 発熱体の製造 (a) 表フィルムである透湿性フィルムの製造 ポリエチレン製の透湿性基材フィルム(厚さ25μm)
の片面に、ポリエステル製多孔質補強用基材(厚さ80
μm)をラミネートしたものを用いた[透湿度がAST
M法(E−96−80D法)で450g/m2・24h
r]。
【0227】(b) 裏フィルムの製造 厚さ25μmのポリエチレン製フィルムの片面にレーヨ
ン繊維含有量60重量%で且つ厚さ40μmのレーヨン
・ポリエステル混合不織布をラミネートしたものを用い
た。
【0228】上記の表フィルムと裏フィルムを重ね合わ
せるにあたり、裏フィルムにおけるポリエチレン製フィ
ルム側と、表フィルムにおける透湿性基材フィルムとが
接触するように積層し、つまり不織布が露出するように
積層し、その積層体の三周縁部をヒートシールして一方
端開放の偏平状袋体を形成し、この偏平状袋体の内部に
後述する空気の存在によって発熱する発熱体組成物を充
填し(1550g/m2)、この開放部をヒートシール
して、本発明で用いられる発熱体を得た。
【0229】この場合、予め、偏平状袋体における裏フ
ィルムの露出面側、つまりレーヨン・ポリエステル混合
不織布側に、後述する方法で粘着性基材の層を形成した
ものを用いた。
【0230】発熱体組成物の成分 鉄粉60重量%、活性炭3重量%、塩化ナトリウム3重
量%、保水剤3重量%及び水31重量%の発熱体組成物
【0231】 皮膚貼着性の薬物含有層の製造 (a) 粘着性基材の製造 スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体30
重量部、水素添加石油樹脂28.5重量部、テルペン系
樹脂9.0重量部、パラフィン系オイル18.5重量
部、アロマ系オイル7.0重量部、酸化チタン3.5重
量部、亜鉛華3.0重量部及びトリスノニルフェニルー
フォスファイト0.5重量部からなる粘着剤組成物を窒
素気流中で加熱し、充分に撹拌して均一な粘着性基材を
得た。
【0232】(b) 薬物含有層の製造 次いで、この粘着性基材を、展延機を用いて約11.5
g/100cm2となるように、上記偏平状袋体におけ
る裏フィルムの露出面側、つまりレーヨン・ポリエステ
ル混合不織布側に、塗布し、粘着性基材の層を得た。
尚、この工程は発熱体組成物を封入する前に行った。
【0233】次いで、上記粘着性基材の層に、後述する
方法で得た生薬の溶液を含浸させ、溶媒を蒸散させるこ
とによって、皮膚粘着性の生薬含有層を形成した。
【0234】粘着性基材100重量部に対し、オウバク
の粉末1.5重量部及びサンシシの粉末1.0重量部と
なるように、オウバクの粉末及びサンシシの粉末を採取
し、これにエチルアルコールが85容量%の水溶液15
0重量部を加え、40℃で容量が半分になるまで加熱し
た。
【0235】次に、この生薬含有のエチルアルコール水
溶液を粘着性基材の層に含浸させて溶媒を蒸散させた。
この場合、単位面積当たりの用いたオウバクの粉末量及
びサンシシの粉末量が実施例1と同様になるように調整
した。
【0236】かくして、本発明の温熱貼付剤を得た。こ
の温熱貼付剤の大きさは、縦9.5cm、横13.0c
mとした。
【0237】比較例1 実施例1において、発熱体を用いていない以外は、実施
例1と同様にして発熱体の無い貼付剤を得た。
【0238】比較例2 発熱体の製造 (a) 表フィルムである透湿性フィルムの製造 ポリエチレン製の透湿性基材フィルム(厚さ25μm)
の片面に、ポリエステル製多孔質補強用基材(厚さ80
μm)をラミネートしたものを用いた[透湿度がAST
M法(E−96−80D法)で450g/m2・24h
r]。
【0239】(b) 裏フィルムの製造 厚さ25μmのポリエチレン製フィルムの片面にレーヨ
ン繊維含有量60重量%で且つ厚さ40μmのレーヨン
・ポリエステル混合不織布をラミネートしたものを用い
た。
【0240】上記の表フィルムと裏フィルムを重ね合わ
せるにあたり、裏フィルムにおけるポリエチレン製フィ
ルム側と、表フィルムにおける透湿性基材フィルムとが
接触するように積層し、つまり不織布が露出するように
積層し、その積層体の三周縁部をヒートシールして一方
端開放の偏平状袋体を形成し、この偏平状袋体の内部に
後述する空気の存在によって発熱する発熱体組成物を充
填し(1550g/m2)、この開放部をヒートシール
して、本発明で用いられる発熱体を得た。
【0241】この場合、予め、偏平状袋体における裏フ
ィルムの露出面側、つまりレーヨン・ポリエステル混合
不織布側に、後述する方法で薬物含有層を形成したもの
を用いた。
【0242】発熱体組成物の成分 鉄粉60重量%、活性炭3重量%、塩化ナトリウム3重
量%、保水剤3重量%及び水31重量%の発熱体組成物
【0243】 皮膚貼着性の薬物含有層の製造 (a) 粘着性基材と薬物の混合物の製造 スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体30
重量部、水素添加石油樹脂28.5重量部、テルペン系
樹脂9.0重量部、パラフィン系オイル18.5重量
部、アロマ系オイル7.0重量部、酸化チタン3.5重
量部、亜鉛華3.0重量部及びトリスノニルフェニルー
フォスファイト0.5重量部からなる粘着剤組成物を窒
素気流中で加熱し、充分に撹拌して均一な粘着性基材を
得た。
【0244】次に、この粘着性基材を窒素気流中で加
熱、液状にし、この粘着性基材100重量部に対し、イ
ンドメタシン1重量部及びハッカ油0.2重量部を投入
して均一になるまで混合した。
【0245】(b) 薬物含有層の製造 次いで、この薬物を含有する粘着性混合物を、展延機を
用いて約11.5g/100cm2となるように、上記
偏平状袋体における裏フィルムの露出面側、つまりレー
ヨン・ポリエステル混合不織布側に、塗布した。尚、こ
の工程は発熱体組成物を封入する前に行った。
【0246】かくして、本発明の温熱貼付剤を得た。こ
の温熱貼付剤の大きさは、縦9.5cm、横13.0c
mとした。
【0247】上記の実施例1・2及び比較例1・2の各
貼付剤を用い、下肢痛を訴えるパネラー(男性10人、
女性10人 年令55〜65才)に各々適用し、粘着
性、使用感、人体皮膚の凹凸面への追従性、下肢痛の自
覚症状及び剥離時の苦痛について試験を行った。
【0248】この場合、各パネラーの下肢痛箇所に1枚
貼着し、これを毎日張り替えつつ14日間続けた。
【0249】その結果、実施例1・2及び比較例1・2
のものはパネラー20名全員が粘着性、使用感及び人体
皮膚の凹凸面への追従性の全てが良好であると主張し、
更に、実施例1・2及び比較例1・2のものはパネラー
20名全員が剥離時の苦痛は認められないと主張した。
【0250】又、薬理効果において、実施例1について
は各パネラーの下肢痛箇所に14日間適用したところ、
パネラー20名中17名が下肢痛が認められず、又、残
りの3名が下肢痛が緩和され生活が行い易くなったと主
張した。
【0251】又、実施例2については各パネラーの下肢
痛箇所に14日間適用したところ、パネラー20名中1
8名が下肢痛が認められず、又、残りの2名が下肢痛が
かなり緩和され生活が行い易くなったと主張した。
【0252】一方、比較例1については各パネラーの下
肢痛箇所に14日間適用したところ、パネラー20名中
12名が下肢痛が認められず、又、4名が下肢痛が緩和
されたと主張したが、残りの4名は殆ど変わらないと主
張した。
【0253】又、比較例2については各パネラーの下肢
痛箇所に14日間適用したところ、パネラー20名中1
7名が下肢痛が認められず、又、残りの3名が下肢痛が
緩和されたと主張した。
【0254】ところで、実施例1・2及び比較例1につ
いては発赤、かぶれ及び痒み等の副作用は全く認められ
なかったが、比較例2のものについてはパネラー20名
中3名のものに発赤、かぶれ、痒み等の副作用が発生し
ていることが認められた。
【0255】以上の実験から、実施例1・2の温熱貼付
剤は、薬理効果が顕著であり、しかも副作用の発生が無
いのに対し、比較例1のものは薬理効果が乏しく、所要
の治癒効果得られないのに対し、比較例2のものは薬理
効果が顕著であるが、副作用が発生することが認められ
る。
【0256】ところで、実施例1・2及び比較例2につ
いては低温火傷が全く認められなかった。
【0257】以上の結果より、本発明の温熱貼付剤につ
いては、粘着性、使用感、人体皮膚の凹凸面への追従性
が良好であり、この外皮への適用後、剥離時の苦痛がな
く、更に下肢痛などの痛みをなくする治癒効果を発現す
る上、副作用が無いのである。
【0258】これに対し、比較例1のものは下肢痛など
の痛みに対する治癒効果が乏しく、所要の薬理効果が得
られないのであり、又、比較例2のものは下肢痛などの
痛みに対する治癒効果が良好であるが、発赤、かぶれ及
び痒み等の副作用が発生することが認められる。
【0259】
【発明の効果】本発明の温熱貼付剤においては、発熱体
の片面に皮膚貼着性の薬物含有層を設けた温熱貼付剤に
おいて、薬物含有層中の薬物が自然物の一部を乾燥し、
又はこれに簡単な加工を施して得た生薬からなることを
特徴とする。
【0260】即ち、本発明においては、発熱体を設けた
温熱貼付剤における薬物含有層中の薬物として、自然界
に存在する自然物の一部を乾燥し、又はこれに簡単な加
工を施して得た生薬を用いることにより、生体に対して
比較的穏やかで副作用が少なく、安全性が高いのであ
り、しかも比較的安定で保存性が良好であるから、取り
扱い易いなどの効果を有するのである。
【0261】本発明においては、貼付剤の片面に発熱体
が積層されているので、この発熱体と生薬により、冬期
において、単に、人体に温熱を供給して快適に過ごすこ
とができるだけでなく、局所のこり、疼痛及び冷え等を
伴う症状、例えば肩こり、筋肉痛、筋肉のこり、腰痛、
手足の冷え、神経痛、リューマチ、打ち身、捻挫等の疾
患に使用されると、温熱による治療効果を発現するので
ある。
【0262】このように、本発明においては、発熱体を
設けることによって、人体に温熱を供給し、この温熱に
よって、生薬の溶解性や移行性を著しく向上させたり、
粘着性基材に分散させた薬用自然物の粉末等から薬効成
分の放出・抽出性を向上させたり、更に、生薬の生体へ
の吸収性を良好にするだけでなく、血液の循環を活発に
し、生体内に吸収された生薬を一層効果的に生体内の各
部に循環、供給させることができるのであり、これらの
結果、局所治療効果を助長、促進したり、全身治療効果
を一層向上させるので、所要の薬理効果が認められる
上、極めて優れた薬理効果が得られるのである。
【0263】本発明の温熱貼付剤においては、この温熱
によって、皮膚からの発汗等が活発になるが、薬物含有
層に吸水性ポリマーが配合されていることにより、この
吸水性ポリマーによって汗等の体液を円滑に吸収、吸着
し、常に外皮表面を清潔に保つので、ムレや痒みがな
く、しかも衛生的であるなどの効果を有するのである。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発熱体の片面に皮膚貼着性の薬物含有層
    を設けた温熱貼付剤において、薬物含有層中の薬物が自
    然物の一部を乾燥し、又はこれに簡単な加工を施して得
    た生薬からなることを特徴とする温熱貼付剤。
  2. 【請求項2】 発熱体は少なくとも片面が通気性フィル
    ムで構成された開放部のない偏平状袋体の内部に、空気
    の存在によって発熱する発熱体組成物を封入しているも
    のである請求項1に記載の温熱貼付剤。
  3. 【請求項3】 発熱体組成物が鉄粉40〜75重量%、
    活性炭1〜10重量%、塩化物1〜10重量%、水10
    〜40重量%及び保水剤1〜40重量%からなるもので
    ある請求項2に記載の温熱貼付剤。
  4. 【請求項4】 通気性フィルムが透湿度で制御されてい
    る請求項2又は3に記載の温熱貼付剤。
  5. 【請求項5】 発熱体組成物の充填量が150〜600
    0g/m2である請求項2ないし4のいずれか1項に記
    載の温熱貼付剤。
  6. 【請求項6】 薬物含有層が粘着性基材と生薬からなる
    請求項1ないし5のいずれか1項に記載の温熱貼付剤。
  7. 【請求項7】 粘着性基材と生薬との配合割合は粘着性
    基材100重量部に対し生薬0.5〜30重量部である
    請求項6に記載の温熱貼付剤。
  8. 【請求項8】 粘着性基材が湿布基材又は粘着基材であ
    る請求項6又は7に記載の温熱貼付剤。
  9. 【請求項9】 粘着基材が酢酸ビニル系粘着剤、ポリビ
    ニルアルコール系粘着剤、ポリビニルアセタール系粘着
    剤、セルロース系粘着剤、塩化ビニル系粘着剤、アクリ
    ル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエチレン系粘着
    剤、飽和ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポ
    リオレフィン系粘着剤又はゴム系粘着剤で形成されてい
    る請求項8に記載の温熱貼付剤。
  10. 【請求項10】 ゴム系粘着剤が天然ゴム系粘着剤、イ
    ソプレンゴム系粘着剤、スチレンブタジエンゴム系粘着
    剤、スチレン−イソプレン−スチレンゴム系粘着剤、ポ
    リサルファイド系粘着剤、スチレンゴム系粘着剤、ニト
    リルゴム系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤、ウレタンゴム
    系粘着剤、アクリルゴム系粘着剤又はアクリロニトリル
    ゴム系粘着剤で形成されている請求項9に記載の温熱貼
    付剤。
  11. 【請求項11】 薬物含有層には吸水性ポリマーが配合
    されている請求項1ないし10のいずれか1項に記載の
    温熱貼付剤。
  12. 【請求項12】 吸水性ポリマーが界面活性剤で処理さ
    れている請求項11に記載の温熱貼付剤。
  13. 【請求項13】 粘着性基材が架橋されている請求項1
    ないし12のいずれか1項に記載の温熱貼付剤。
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