JPH08120417A - 耐熱フェライトステンレス鋼 - Google Patents

耐熱フェライトステンレス鋼

Info

Publication number
JPH08120417A
JPH08120417A JP26227494A JP26227494A JPH08120417A JP H08120417 A JPH08120417 A JP H08120417A JP 26227494 A JP26227494 A JP 26227494A JP 26227494 A JP26227494 A JP 26227494A JP H08120417 A JPH08120417 A JP H08120417A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
stainless steel
toughness
strength
ferritic stainless
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26227494A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhiko Hiraide
信彦 平出
Hisanobu Hashizume
寿伸 橋詰
Yoshio Taruya
芳男 樽谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP26227494A priority Critical patent/JPH08120417A/ja
Publication of JPH08120417A publication Critical patent/JPH08120417A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 SUH409等の従来鋼に比べ、特に排ガス
温度600〜650℃にて優れた高温強度、耐熱疲労性
を有し、800℃までの耐酸化性と、優れた加工性と溶
接部耐食性、靭性を有した自動車排気系部材あるいはL
NG火力複合発電の排ガス経路部材として適したフェラ
イトステンレス鋼を得ることを目的とする。 【構成】 重量%で、C:0.015 %以下、Si:0.2 〜
0.8 %未満、Mn:0.2 〜0.8 %未満、P:0.03%以
下、S:0.002 %以下、Cr:11〜14%、Ni:0.5 %
以下、Nb:0.2 %を超え0.5 %以下、Ti:0.06〜0.
2 %、N:0.015 %以下、Al:0 〜0.2 %、及び必要
により、Mo:0.3 〜2 %、W:0.1 〜1 %、V:0.1
〜0.5 %、B:0.0003〜0.005 %以下のうち1種または
2種以上含み、かつC+N≦0.02%、(Nb+Ti)/
(C+N)≧20、及びAlを含有する場合はAl≧2
Nを満足し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる
耐熱フェライトステンレス鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種内燃機関の排ガス
経路部材として好適な耐熱フェライトステンレス鋼に関
する。例えば、自動車排気系部材や、排熱回収ボイラー
を用いたLNG火力複合発電の排ガス経路部材に好適で
ある。
【0002】
【従来の技術】自動車排気マニホールド、フロントパイ
プ、センターパイプ(以下自動車排気系管という)等の
排気系部品は、エンジンから排出される高温の燃焼ガス
と接触する部位にあり、これを構成する材料には優れた
加工性と、耐酸化性、高温強度、耐熱疲労性等、多様な
特性が要求される。しかし、近年の排ガス規制の強化、
さらには自動車のエンジン性能の向上による排ガス温度
の上昇、車体計量化による燃費向上の要請等に応えるた
め、ステンレス鋼の溶接管が排気系材料として使用され
るようになってきた。
【0003】一方、火力発電プラントおいては、近年、
排熱回収ボイラーを用いた複合発電が盛んに行われ、発
電用タービンの燃焼温度は上昇する傾向にあり、特にL
NGを燃料とすることから、従来の1100℃級より、
1300℃級、1350℃級が実際に計画、設置される
ようになりつつある。それにともない、タービン出側の
高温排ガスの熱を回収する排熱回収ボイラも高温化する
傾向にある。例えば従来、550℃前後であった排ガス
温度が100℃程度上昇し650℃前後になってきてい
る。
【0004】オーステナイト系ステンレス鋼は、優れた
耐熱性および加工性、溶接性を有している。代表的な鋼
種としてはSUS304(18Cr-8Ni)、SUS310S
(25Cr-20 Ni)などがある。しかし、オーステナイト系
ステンレス鋼は熱膨張係数が大きく、自動車排気管のよ
うな激しい加熱−冷却の繰り返しを受ける用途において
は、熱歪みに起因する熱疲労によって破壊が生じやす
い。
【0005】また、LNG火力複合発電の排熱回収ボイ
ラーは、真夏等の消費電力ピーク期を除いて、一般的に
は昼間運転ー夜間停止の操業方式をとる。よって、排熱
経路部材のなかで、例えば内張りダクト等に、オーステ
ナイトステンレス鋼を使用すると、熱膨張係数が大きい
ことから熱歪みによる変形等の危険がある。
【0006】一方、フェライト系ステンレス鋼は、オー
ステナイト系ステンレス鋼より熱膨張係数が小さいた
め、こうした熱歪みによる疲労破壊や変形が回避でき、
また安価であるからフェライト系ステンレス鋼の方が自
動車排気管や内張りダクト等に用いる場合に有利とな
る。
【0007】600℃以上における耐熱性、特にクリー
プ強度の面ではフェライトステンレス鋼は、オーステナ
イトステンレス鋼に及ぶべくもないが、前述のように、
熱膨張係数が小さいこと、安価であるといった利点を活
かして、それほどクリープ強度が要求されない構造部材
に適しているといえる。従来、耐熱フェライトステンレ
ス鋼としては、一般にSUH409L(12Cr-Ti )が用
いられてきた。しかし、自動車排気系、排熱回収ボイラ
ーの排ガス温度の上昇と共に、さらに高温強度、クリー
プ強度に優れた材料が望まれていた。
【0008】さらに、LNG火力複合発電の排熱回収ボ
イラの排ガス中には10%程度の水分と5%程度の炭酸
ガスが含まれ、これらの凝縮水による運転停止時の露点
腐食が懸念されており、特に溶接部での耐食性改善が望
まれていた。
【0009】特開昭60−145359号公報には、
「C:0.05%以下、Si:1.0 〜2.0 %、Mn:2 %以
下、Cr:6 〜25%、Mo:5%以下(ただし、Cr+
Mo≧8 %)、N:0.05%以下、Al:0.5 %以下、T
i、Zr、Ta、Nbの1種以上(ただし、Ti、Z
r、Ta、Nb量はすべてのC、Nを炭化物、窒化物と
するのに必要な化学量論量)を含み、Nb: 0.3%以下
でしかも0.1 %以上(好ましくは0.2 %以上)の不結合
(固溶)Nbからなる、周期的酸化抵抗とクリープ強さ
を有する高温用フェライト鋼」が開示されている。
【0010】同公報では周期的酸化抵抗にはSiの添加
が有効であり、クリープ強度には、0.1 %以上(好まし
くは0.2 %以上)の不結合(固溶)Nbの存在とSiに
富むラーベス相の形成が重要であると述べられている。
【0011】しかしながら、本発明者らが上記フェライ
ト鋼について検討した結果、1%以上のSiを含有させ
た場合、良好な母材靭性を得ることは容易ではなく、高
温使用中に析出するラーベス相により脆化し、降温時に
小さな衝撃で壊れる危険がある。特に、板厚3〜9mmと
いった中厚板を構造部材として使用する場合、長時間使
用時の信頼性が得られないということが判明した。ま
た、この発明の実施例に開示されている鋼は、C、Nの
安定化に寄与するNb、Ti量が少なく、溶接熱影響部
の粒界腐食を防止するには不十分であるという問題があ
る。
【0012】特公昭62−14626号公報には、鋼中
S、Oを 0.008%未満とし、鋼中介在物が高温でMnS
より安定な介在物であることを特徴とした耐高温酸化性
に優れたフェライト鋼が開示されている。
【0013】不純物であるS、Oの含有量を低減するこ
とにより、耐酸化性に悪影響を及ぼす介在物であるMn
SあるいはCr、Si、Al、Mn等の酸硫化物の生成
を抑えることを特徴としており、高温使用時あるいは溶
接部のCr炭化物生成による耐酸化性の劣化を抑制する
ために、C固定元素としてTi、Nb、Zr、Taの1
種または2種以上を合計でC量の4倍以上、1.5%以
下の範囲で添加することが記載されている。
【0014】しかし、不純物のNについての検討がなさ
れていなく、Nは母材及び溶接部の靭性に及ぼす影響が
大きいため、なかでも溶接部の靭性に不安が残る。ま
た、高温強度、熱疲労寿命に及ぼす諸元素の影響に関す
る検討が充分なされていない。
【0015】特に、C、N固定元素であるTi、Nb、
Ta、Zrを2種添加した場合、NbとTiを複合添加
した場合における加工性、成形性、靭性、高温強度、耐
食性のバランスを考えた適正添加量に関する検討がなさ
れていない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、SUH40
9等の従来鋼に比べ、特に排ガス温度600〜650℃
にて優れた高温強度、耐熱疲労性を有し、800℃まで
の耐酸化性と、優れた加工性と溶接部耐食性、靭性を有
した自動車排気系部材あるいはLNG火力複合発電の排
ガス経路部材として適したフェライトステンレス鋼を得
ることを目的とする。また、ユーザーの低コスト化にも
対応できる安価なフェライトステンレス鋼材、例えば、
自動車排気系において排気マニホールド−フロント・セ
ンターパイプ−マフラに至る材料の一元化に寄与する材
料の提供にある。
【0017】
【課題を解決するための手段】自動車排気系部材は一般
に、板厚2mm以下の薄板あるいは溶接管であり、排熱回
収ボイラダクト材の板厚としては1.5〜6mmが主体
で、9mm程度までの中厚板も使用される。いずれも構造
上必要な耐酸化性、高温強度、耐熱疲労特性、加工性、
靭性、溶接性が要求される。しかし、厳しい内圧等を受
けない部材であるためSUS304や2.25Cr−1Mo
フェライト鋼並みのクリープ強度は要求されず、長期の
使用に耐え得る高温強度を具備していれば良い。
【0018】そこで、本発明者らは従来鋼に比べ上記諸
特性がより優れたフェライト鋼を開発すべく、鋭意研究
を行った結果、下記のような知見を得るに至った。
【0019】A )Nbと 0.006〜0.2 %の極狭い範囲の
Tiとを複合添加効果した場合に形成される(Nb、T
i)炭化物は、NbあるいはTi単独添加系における炭
化物よりも高温で析出し、微細に析出するTiNを核と
して析出し易いのでその周辺には固溶C、Nの存在しな
い領域(Interstitial Free )が形成されるので、それ
により軟質となり良好な加工性、成形性が得られるが、
同時にラーベス相が優先析出するサイトが減少し、高温
使用中におけるラーベス相の析出遅延に有効で、脆化を
遅らせることができ、さらに、再結晶温度も低下させる
ので、熱歪みを緩和し熱疲労特性が向上すること。
【0020】B )(Nb+Ti)/(C+N)≧20と
規制することにより、母材及び溶接熱影響部の靭性が向
上すると共に、凝縮水環境における溶接部の粒界腐食が
防止されること。
【0021】C )耐酸化性、靭性を向上させるために添
加するAl量は、0.02%以上、Al≧2Nとすることで
熱延板及び熱影響部での靭性が向上すること。
【0022】本発明は、このような知見に基づき完成さ
れたもので、その要旨は、「重量%で、C:0.015 %以
下、Si:0.2 〜0.8 %未満、Mn:0.2 〜0.8%未
満、P:0.03%以下、S:0.002 %以下、Cr:11〜14
%、Ni:0.5 %以下、Nb:0.2 %を超え0.5 %以
下、Ti:0.06〜0.2 %、N:0.015 %以下、Al:0
〜0.2 %、及び必要により、Mo:0.3 〜2 %、W:0.
1 〜1 %、V:0.1 〜0.5 %、B:0.0003〜0.005 %以
下のうち1種または2種以上含み、かつC+N≦0.02
%、(Nb+Ti)/(C+N)≧20、及びAlを含
む場合はAl≧2Nを満足し、残部がFeおよび不可避
的不純物からなる耐熱フェライトステンレス鋼」にあ
る。
【0023】
【作用】次に、本発明鋼の合金成分および不純物に関し
て、含有量と作用について説明する。
【0024】CおよびN:C、Nの増加は、強度を向上
させるが、靭性を劣化させ、加工性、溶接性に悪影響を
およぼす。したがって、C、Nはできるだけ低いことが
望ましく、このためC:0.015 %以下、N:0.015 %以
下とし、かつC+N≦0.02%とする。望ましくはC:0.
01%以下、N:0.010 %以下、C+N:0.015 %以下で
ある。
【0025】C+Nが0.03%を超えるとTi、Nbを複
合添加しても充分C、Nを固定することができなく前記
悪影響がでると共に、溶接部の粒界腐食感受性が高くな
る。
【0026】Si:Siは、有効な脱酸元素であり、ま
た耐酸化性に必須な元素である。0.2 %以上の添加で耐
酸化性向上に効果を発揮する。また、Siには、高温強
度を向上させ、耐熱疲労特性を向上させる効果がある。
これは、高温(>600℃)で析出するラーベス相(主
にFe2 Nb)において、Nbの一部をSiが置換する
ことにより、高温強度に寄与する固溶Nbの低下を抑え
て、高温強度を保持するためである。 0.8 %以上添加
すると、靭性、加工性を劣化させるので、Siは0.2
〜0.8 %未満と狭い範囲とする必要がある。望まし
くは0.2 〜0.6 %である。
【0027】Mn:Mnは、脱酸元素であり、熱間加工
性を向上する元素として知られる。しかし、MnSを形
成し酸化の起点となったり、オーステナイト形成元素で
あることから、耐酸化性にとって好ましくない。よっ
て、0.2 〜0.8 %未満とした。望ましくは0.3 〜0.7 %
である。
【0028】Cr:耐酸化性及び耐食性に必須な元素で
ある。11%未満ではその効果が現れず、14%を超えて添
加すると、靭性、加工性を劣化させるため、上限を14%
とした。
【0029】P:Pは、製造上の不可避的不純物の1つ
であるが、靭性、加工性への悪影響を避けるためには0.
03%以下とする必要がある。
【0030】S:Sもまた製造上の不可避的不純物であ
るが、S量が多いとMnと同様、耐酸化性の点から好ま
しくなく、また溶接性にも悪影響を与えるので、上限を
0.002 %とする必要がある。
【0031】Nb:Nbは、フェライトステンレス鋼の
弱点である高温強度、クリープ強度を向上させるうえで
必須の元素であり、500℃以上でその効果が顕著に現
れる。Nbは炭窒化物としてC、Nを固定する作用があ
る。本発明では、Nb:0.2 %を超え、0.5 %以下、C
+N≦0.02%としているため、%Nb/(%C+%N)
≧10となる。これにより、十分な高温強度、クリープ強
度を得るのに必要な固溶Nb量を確保した。Nb量は、
高温強度の点から多いほど望ましいが、0.2 %以下では
十分な高温強度が得られず、0.5 %を超えて含有すると
ラーベス相の析出が顕著になり、靭性が劣化することか
ら、0.2 %を超え、0.5 %以下とした。
【0032】高温使用中(>600 ℃)にラーベス相(F
2 Nb)が析出し、固溶Nb量の低下による高温強度
の低下が起こるが、析出後にも十分な高温強度を得るに
は固溶Nb量として0.1 %以上必要で、そのため0.3 %
を越えたNb量が必要であることを見いだした。また、
ラーベス相析出による脆化の点からは極力Nb量は低い
ほど、トータルのラーベス相析出量が減少するので、好
ましい上限は0.4 %である。
【0033】Ti:Tiは、Nbと同様にC、Nの固定
元素として有効である。特に、溶接熱影響部においてC
r炭化物の生成を抑制し、靭性、耐食性の確保には不可
欠な元素である。また、Ti、Nbには母材及び溶接熱
影響部の結晶粒粗大化抑制効果を有する。これらの効果
を十分に発揮させるには、(Nb+Ti)/(C+N)
≧20必要とする。望ましくは、これらの効果をさらに
発揮させるには(Ti/Nb)がほぼ0.5 、一般には0.
2 以上1.0 以下とするのがよい。
【0034】NbとTiの複合添加した場合には、主と
してTiはNと結合して窒化物を形成し、Nbと残りの
TiはCと結合し、(Nb、Ti)炭化物を形成する。
前記したように(Nb、Ti)炭化物は、Nbあるいは
Ti単独添加系における炭化物よりも高温で析出し、微
細に析出するTiNを核として析出し易い。よってその
周辺には固溶C,Nの存在しない領域(Interstitial F
ree )が形成される。
【0035】これにより軟質となり良好な加工性、成形
性が得られるが、同時にラーベス相が優先析出するサイ
トが減少し、高温使用中におけるラーベス相の析出遅延
に有効で、脆化を遅らせることができる。さらに、再結
晶温度も低下させるので、熱歪みを緩和し熱疲労特性が
向上する。
【0036】以上の効果を発揮させる目的からTiは0.
06%以上の含有が必要で、Nの4倍以上を確保しかつ若
干の炭化物形成可能な量の下限である。 0.2%を超える
添加は、上記効果を向上させることはほとんどなく、圧
延時の表面疵が顕著となることから上限は0.2 %とし
た。
【0037】Ni:Niは製造上の不可避的不純物の一
つである。微量のNiの添加は、靭性改善に有効である
が、耐酸化性に悪影響を及ぼすことから特に0.5 %以下
とした。
【0038】Al:Alは任意添加元素であり、脱酸元
素として知られTiと共存するとその効果はより顕著と
なる。また、少量のAl添加により靭性が向上すること
が知られている。特に2%N≦%Alとすることで熱延
板及び溶接熱影響部の靭性が向上する。溶接時において
はTiとともにNの固定に作用するためで、その必要量
は2%N≦%Alである。
【0039】また、0.02%以上のAl含有により耐酸化
性が向上する。特に、Alが内部酸化してスケールに対
し“くさび”の役割をする事で酸化スケールの耐剥離性
を向上させて耐酸化性が向上する。これにより、排ガス
中への酸化スケールの混入が抑制される。さらに、0.02
%以上のAlは高温強度及びクリープ強度改善効果も有
する。しかし、過剰の添加は、耐酸化性、高温強度への
効果が飽和し、加工性へ悪影響を及ぼすため、上限を0.
2 %とした。
【0040】Mo:Moは任意添加元素であり、Nbと
同様、高温強度を向上させる元素として知られる。Mo
はNbと異なり、高温使用中にラーベス相(Fe2
o)形成傾向がFe2 Nbより小さく、長期にわたって
固溶状態を保持するため固溶強化作用が持続される。よ
って、クリープ強度及び耐食性を改善にはMo添加が好
ましい。この場合0.3 %以下ではそれらの効果が十分で
ないため、下限を0.3 %とした。しかし、過剰の添加
は、靭性、加工性を低下させる。さらにコスト高となる
ため、添加する場合は上限を2.0 %とした。
【0041】W:Wは任意添加元素であり、Nb、Mo
と同様高温強度を向上させる元素として知られる。Wも
Moよりも更にラーベス相の形成傾向が小さく、固溶強
化作用ががより長期にわたり持続されるため、クリープ
強度が向上する。 0.1%以下ではその効果が十分でな
く、過剰の添加は、靭性、加工性を劣化させ、コスト高
となるため0.1 〜1%とした。
【0042】V:Vは任意添加元素であり、固溶状態あ
るいは炭窒化物を形成して高温強度を向上させると共
に、加工性を改善する。0.1 %以上でその効果が現れ
る。しかし、0.5 %を超えて含有させると返って加工性
を低下させるので、0.1 〜0.5 %とした。
【0043】B:Bは任意添加元素であり、高温強度、
耐酸化性を改善する目的で含有させる。
【0044】その改善効果が現れる理由は定かではない
が、Bは一般的に粒界に偏析しやすい元素として知られ
ているので、粒界すべりを阻止して高温強度を改善する
ものと考えられる。また、粒界偏析により、耐酸化性に
有害なP、S等の不純物元素を排出して、耐酸化性を向
上させるものと考えられる。この効果は0.0003%以上で
現れ、0.005 %を超えて含有させると靭性、加工性も劣
化させるので0.0003〜0.005 %とした。
【0045】
【実施例】まず、表1に示される組成を有する鋼を、溶
解、鍛造後、加熱温度1150℃にて熱間圧延を行い、
板厚4.5mmに仕上げ、960℃にて焼鈍して熱延板を
作製した。さらに、4.5mm厚の熱延板に冷間圧延を施
し、960℃にて仕上げ焼鈍を行って、板厚1.5mmの
冷延板を作製した。冷延鋼板からは、T方向からJIS
13B号の厚さ1.5mmの常温引張試験片及び厚さ1.
5mm、幅20mm、長さ25mmの酸化試験片を採取した。
冷延板を電縫溶接により製管して熱疲労試験片を作製し
た。
【0046】図1は、熱疲労試験片の形状を示す図で、
1 が試験材の管で、2か所に径 8mmの穴(2 、3 )を明
け、冷却用エアーの供給口3 となっている。4 は管の内
面からの保持具(芯金)、5 は試験機のホルダーへの取
り付け部である。管1 と保持具4 は固定用ピン6 と端部
の溶接部7 によって固定されている。
【0047】熱疲労試験には、コンピュータ制御の電気
油圧サーボ式高温熱疲労試験装置を用い、試験は図2に
示す温度サイクル及び機械的ひずみ波形下で行った。
【0048】試験片の加熱には高周波加熱装置を用い、
冷却は管内面に前記エアー供給口から空気を吹き込むこ
とにより行った。試験温度は200 〜800 ℃とし、拘束条
件は50%拘束とした。
【0049】
【表1】
【0050】熱延板を600℃で1000時間時効し、
4mm厚さのJIS4号シャルピー試験片をT方向に採取
して靭性を評価した。また、熱延板に開先加工を施し表
2に示す条件で突き合わせTIG溶接を行ない、溶接熱
影響部にノッチがくるように4mm厚さのJIS4号シャ
ルピー試験片を採取した。
【0051】
【表2】
【0052】熱延焼鈍材と熱延焼鈍材を600℃で10
00時間時効した材料から3mm厚の板状引張試験片を採
取し、600℃で試験を行った。
【0053】酸化試験は、800℃で200時間、大気
中連続加熱条件で行った。
【0054】上記各種の試験結果を表3、4に示す。表
4は熱延板を焼鈍した後時効した材料の試験結果を示
す。同表より、本発明鋼1〜18は、常温伸び30%以
上、600℃の引張り強度25N/mm2 以上、800℃に
おける酸化増量が2.0mg/cm2以下、熱疲労寿命200
0サイクル以上と、加工性、高温強度、耐酸化性、熱疲
労強度に優れることがわかる。また、本発明鋼は溶接熱
影響部のvTrEは0℃以下で、時効後の常温靭性も使用上
問題とならないレベルであることが確認された。
【0055】特に、本発明鋼6〜8に示すように0.02〜
0.2 %のAlを添加すると、溶接熱影響部の靭性が向上
することが確認された。また、本発明鋼9、13、1
6、18で特に、Mo、W添加によって熱疲労強度が向
上し、時効後の強度低下が低減されることが確認され
た。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】比較鋼19は、SUH409L相当材であ
るが、600℃での引張り強度、熱疲労特性共に劣る。
比較鋼20、24は、Nbが 0.2%以下であるために、
600℃での引張り強度、熱疲労特性共に劣る。比較鋼
21はSiが0.8%以上、比較鋼25はMoが2%以
上であるため、常温伸び30%未満と加工性に劣るた
め、製管が容易にできなかった。比較鋼22はSiが
0.2%未満であるため、耐酸化性に劣る。比較鋼23
はNbが0.5%を越えているため、加工性、溶接熱影
響部の靭性に劣り、時効後の衝撃値が低く脆化が顕著で
あると共に、強度低下量も大きい。
【0059】比較鋼21、23はSiが0.8%以下で
あるため、vTrEは0以上で、時効後の常温靭性に劣
る。
【0060】比較鋼26、27はそれぞれC+N≧0.
02、(Nb+Ti)/(C+N)≦20であるため、
熱影響部の靭性に劣る。
【0061】なお、MAG溶接部のストラウス試験によ
り(Nb+Ti)/(C+N)≧20の本発明鋼は粒界
腐食を発生しないことを確認している。しかしながら、
比較鋼1,2のように(Nb+Ti)/(C+N)が2
0未満の場合には溶接熱影響部での粒界腐食割れが観察
された。
【0062】
【発明の効果】本発明により、SUH409等の従来鋼
に比べ、優れた高温強度、耐熱疲労特性、耐酸化性と靭
性、加工性と溶接部耐食性を兼ね備えており、自動車排
気系部材あるいはLNG火力複合発電の排ガス経路部材
として適したフェライトステンレス鋼が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱疲労試験片(ゲージ長さ:12mm)の形状
を示す図である。
【図2】熱疲労試験時の温度及びひずみ波形を示す図で
ある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.015 %以下、Si:0.2
    〜0.8 %未満、Mn:0.2 〜0.8 %未満、P:0.03%以
    下、S:0.002 %以下、Cr:11〜14%、Ni:0.5 %
    以下、Nb:0.2 %を超え0.5 %以下、Ti:0.06〜0.
    2 %、N:0.015 %以下、Al:0 〜0.2 %、を含有
    し、かつC+N≦0.02%、(Nb+Ti)/(C+N)
    ≧20、及びAlを含む場合はAl≧2Nを満足し、残
    部がFeおよび不可避的不純物からなる耐熱フェライト
    ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】さらに、Mo:0.3 〜2 %、W:0.1 〜1
    %、V:0.1 〜0.5 %、B:0.0003〜0.005 %以下のう
    ち1種または2種以上含むことを特徴とする請求項1記
    載の耐熱フェライトステンレス鋼
JP26227494A 1994-10-26 1994-10-26 耐熱フェライトステンレス鋼 Pending JPH08120417A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26227494A JPH08120417A (ja) 1994-10-26 1994-10-26 耐熱フェライトステンレス鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26227494A JPH08120417A (ja) 1994-10-26 1994-10-26 耐熱フェライトステンレス鋼

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08120417A true JPH08120417A (ja) 1996-05-14

Family

ID=17373525

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26227494A Pending JPH08120417A (ja) 1994-10-26 1994-10-26 耐熱フェライトステンレス鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08120417A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20010002441A (ko) * 1999-06-15 2001-01-15 이구택 고크롬 페라이트계 스테인레스강의 레이저 용접 방법
JP2002146484A (ja) * 2000-11-10 2002-05-22 Sanyo Special Steel Co Ltd 高強度フェライト系耐熱鋼
EP1207214A2 (en) 2000-11-15 2002-05-22 Kawasaki Steel Corporation Soft Cr-containing steel
EP2036994A1 (en) * 2006-07-04 2009-03-18 Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corporation Cr-CONTAINING STEEL EXCELLENT IN THERMAL FATIGUE CHARACTERISTICS
WO2020067650A1 (ko) * 2018-09-27 2020-04-02 주식회사 포스코 용접부의 기계적 성질이 향상된 페라이트계 스테인리스강 및 페라이트계 스테인리스 강관

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20010002441A (ko) * 1999-06-15 2001-01-15 이구택 고크롬 페라이트계 스테인레스강의 레이저 용접 방법
JP2002146484A (ja) * 2000-11-10 2002-05-22 Sanyo Special Steel Co Ltd 高強度フェライト系耐熱鋼
EP1207214A2 (en) 2000-11-15 2002-05-22 Kawasaki Steel Corporation Soft Cr-containing steel
EP1207214A3 (en) * 2000-11-15 2006-04-05 JFE Steel Corporation Soft Cr-containing steel
US7341690B2 (en) 2000-11-15 2008-03-11 Jfe Steel Corporation Soft Cr-containing steel
USRE44709E1 (en) 2000-11-15 2014-01-21 Jfe Steel Corporation Soft Cr-containing steel
EP2036994A4 (en) * 2006-07-04 2011-04-20 Nippon Steel & Sumikin Sst CHROME STEEL HAVING EXCELLENT THERMAL FATIGUE RESISTANCE
EP2036994A1 (en) * 2006-07-04 2009-03-18 Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corporation Cr-CONTAINING STEEL EXCELLENT IN THERMAL FATIGUE CHARACTERISTICS
WO2020067650A1 (ko) * 2018-09-27 2020-04-02 주식회사 포스코 용접부의 기계적 성질이 향상된 페라이트계 스테인리스강 및 페라이트계 스테인리스 강관
KR20200035750A (ko) * 2018-09-27 2020-04-06 주식회사 포스코 용접부의 기계적 성질이 향상된 페라이트계 스테인리스강 및 페라이트계 스테인리스 강관
EP3842562A4 (en) * 2018-09-27 2021-09-29 Posco FERRITIC STAINLESS STEEL AND FERRITIC STAINLESS STEEL PIPE WITH IMPROVED MECHANICAL PROPERTIES OF A WELDING PART
JP2022501512A (ja) * 2018-09-27 2022-01-06 ポスコPosco 溶接部の機械的性質が向上したフェライト系ステンレス鋼及びフェライト系ステンレス鋼管
US11946125B2 (en) 2018-09-27 2024-04-02 Posco Co., Ltd Ferritic stainless steel and ferritic stainless steel pipe with improved mechanical properties of welding portion

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1413640B1 (en) Ferritic stainless steel for member of exhaust gas flow passage
JP5387057B2 (ja) 耐熱性と靭性に優れるフェライト系ステンレス鋼
JP5274074B2 (ja) 耐酸化性に優れた耐熱性フェライト系ステンレス鋼板
JP5141296B2 (ja) 高温強度と靭性に優れるフェライト系ステンレス鋼
JP3468156B2 (ja) 自動車排気系部品用フェライト系ステンレス鋼
JP5540637B2 (ja) 耐熱性に優れるフェライト系ステンレス鋼
WO2008105134A1 (ja) 耐熱性の優れたフェライト系ステンレス鋼板
JP5012243B2 (ja) 高温強度、耐熱性および加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼
JP5206676B2 (ja) フェライト系耐熱鋼
JP3397167B2 (ja) 自動車排気系部品用フェライト系ステンレス鋼
JP2803538B2 (ja) 自動車排気マニホールド用フェライト系ステンレス鋼
JP4309140B2 (ja) 自動車排気系機器用フェライト系ステンレス鋼
JP5208450B2 (ja) 熱疲労特性に優れたCr含有鋼
JP3067577B2 (ja) 耐酸化性と高温強度に優れたフェライト系ステンレス鋼
JPH0860306A (ja) 自動車排気系部材用フェライトステンレス鋼
JP5428396B2 (ja) 耐熱性と溶接性に優れるフェライト系ステンレス鋼
JPH08120417A (ja) 耐熱フェライトステンレス鋼
JP3827988B2 (ja) 耐水蒸気酸化性,耐浸炭性及び耐σ脆化性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼
JP2001303202A (ja) ガスタービンの排気ガス経路部材用フェライト系ステンレス鋼材
JP2005330501A (ja) エキゾーストマニホールド用オーステナイト系ステンレス鋼
JPH0533104A (ja) 耐熱性, 低温靭性および溶接性に優れたフエライト系耐熱用ステンレス鋼
JP2006037176A (ja) エキゾーストマニホールド用フェライト系ステンレス鋼
JP4309293B2 (ja) 自動車排気系部材用フェライト系ステンレス鋼
JP4403029B2 (ja) 二重構造エキゾーストマニホールドの内側用オーステナイト系ステンレス鋼
JP2002004011A (ja) ガスタービンの排気ガス経路部材用フェライト系ステンレス鋼