JPH0811203B2 - 超高圧液体噴射装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ 本発明は超高圧液体を噴射して、該液体の噴射エネル
ギーを種々の加工に利用するための装置に係り、特に超
高圧液体の微細噴射流線を、効果的に加工に適用するた
めの流線移動装置に関するものである。

［発明の技術的背景］ さて、超高圧液体を各種加工に適用するに際し、ノズ
ルから噴射された液体は1mmに満たない極めて細い流線
を成している場合が多い。すなわち細い流線に超高圧を
作用させることによってエネルギー密度を高め、これを
加工に適用しようとするものである。

このように、超高圧液体噴射を利用した加工方法は、
前記のように流線が極めて細いため、加工代が少ないと
いう利点を有している半面、広い面積に超高圧液体を適
用することが困難であった。

そこで、該流線を旋回させて前記困難を解決しようと
する試みがなされた。このような試みは、特公昭57−22
692号公報において知見し得るもので、超高圧液体を広
い面に効果的に適用し得るものである。さらに実開昭57
−81100号公報や実開昭59−120250号公報並びに実開昭5
9−120251号公報その他においても同様に知見し得ると
ころである。

［背景技術の問題点］ さて、前記各先後技術において、噴射液体を旋回転部
材の回転中心に対して偏心した位置で一端にノズルを配
設し他端を超高圧発生装置に連結した管軸を支承し、そ
の偏心回転部材をエアモータや電動機などの駆動機によ
り回転駆動することによって前記管軸に配設されたノズ
ルが偏心量に応じた円運動を為し、その結果、ノズルか
ら噴射された超高圧液体が円状の噴射軌跡を示し、もっ
て広い面積に対して超高圧液体噴射を適用できるように
構成されたものである。

前記各先行技術に共通した点として、ノズルに旋回運
動を与えて超高圧液体を連続的に面として適用できるよ
うにした点と、ノズルに旋回運動を与えるための駆動機
構として電動機やエアーモータなどの動力を利用してい
る点である。

すなわち、当該装置には加工のための超高圧液体と、
駆動機構としての別の媒体とが混在していて、特に該駆
動媒体が電気の場合、適用環境が水を使用するとと相ま
って漏電や感電の危険を有している。また駆動媒体がエ
アーモータの場合、当該装置に対して超高圧液体と加圧
空気とを供給しなければならず、二種類の供給配管に起
因して操作性が悪くなる傾向があった。

［発明の目的と概要］ 前記従来技術にかんがみ、本発明において、操作性の
向上と、構成機器の単一化による設備の簡素化を目的と
するものである。

前記目的を達成するために本発明において次のような
構成を成している。すなわち、回転部材の回転中心に対
して偏心した位置で一端にノズルを配設し、他端を超高
圧発生装置に連結した管軸を支承し、前記回転部材を回
転駆動することによってノズルに偏心量に応じた円運動
を行わせる超高圧液体噴射装置において、加圧液体で作
動される駆動手段と、該駆動手段を前記管軸に固定させ
る係止手段と、前記駆動手段と前記回転部材とを連動さ
せる連結手段とから成り、前記係止手段内で前記管軸の
所定位置において分岐させた液体流路と前記駆動手段の
給液口とを噴射減速手段を介して連通したことを特徴と
するものである。

具体的な実施態様としては、前記駆動手段が前記噴射
減速手段を介して給液口から噴射された液体に対向して
回転自在に配設されたタービンと、タービンの回転数を
調節する部材とから成るもの、前記噴射減速手段が管軸
から分岐された超高圧液体を液体流路内において噴射す
る第一ノズルと、該第一ノズルの下流において第一ノズ
ルから噴射された液体に空気を混入する気液混合室と、
該気液混合室下流に配設されて空気混合液体を収束噴射
する第二ノズルとから成るもの、さらに、液体流路内に
駆動手段に供給される液体の流れを撹拌する部材を配設
して成るものを示す。

［発明の構成と作用］ 第１図は本発明の基本的な構成を表わす縦断側面図
で、１は管軸、２は駆動手段で具体的には水を作動流体
とする水圧モータを示す。３は偏心回転部材であって、
回転中心Ｒから距離ｅ偏心した位置に穿設した偏孔21に
管軸１を軸受22で回転自在に貫装支承すると共に、自体
は軸受23によってケース４に回転自在に支承されてい
る。水圧モータ２の出力軸13の先端には歯車14が配設な
いしは刻設されていて、偏心回転部材３の端面に偏孔21
を中心にして配設された歯車15に係合している。水圧モ
ータ２は管軸１に固定されていて、管軸１から分岐した
液体流路11を穿設して成り、該液体流路11は水圧モータ
２の給液口12に連通している。管軸１は、一端にノズル
５を係止し他端には超高圧発生装置であるポンプ６に連
結した可撓管で具体的には耐超高圧性のホース７を係止
して成る。

さて、その作用は、ポンプ６で発生した超高圧水はホ
ース７を経て管軸１へ送入され、ノズル５から噴射す
る。管軸１へ送入された超高圧水の一部は管軸１の途中
で分岐し、液体流路11へ分流される。その分流された超
高圧水がそのまま水圧モータ２へ導入されれば高速噴射
水流が直接水圧モータ２に投射されることになるため、
壊食などでタービンを損傷させてしまう。そこで、液体
流路11内において噴射減速手段を配設し、超高圧水を減
速して水圧モータ駆動に適した加圧液体に変更してから
水圧モータ２の給液口12へ供給させて該水圧モータ２の
回転駆動を行う。その減速された加圧液体で回転駆動さ
れた水圧モータ２はその回転を当該出力軸13へ出力す
る。出力軸13には歯車14が設けられていて、該歯車14に
係合させて配設した偏心回転部材３の歯車15を介して偏
心回転部材３を回転駆動するものである。

ここで、偏心回転部材３に配設された歯車15は、偏心
回転部材３の回転中心Ｒとは距離ｅ偏心した位置に設け
られた偏孔21を回転中心とするように配設されている。
従って水圧モータ２が管軸１に固設されていて管軸１の
中心と水圧モータ２の出力軸13との距離が一定であるこ
とと相俟って歯車14と歯車15は常に係合状態を維持し得
るものである。

こうして回転駆動された偏心回転部材３がケース４の
中で回転すると、該偏心回転部材３に設けた偏孔21は偏
心回転部材３の回転中心を中心とし、半径をｅとする円
周上を移動することになる。つまり半径をｅとする円運
動を行う。すなわち、偏孔21に貫装された管軸１は前記
偏孔21と同様に、偏心回転部材３の回転中心を中心とし
半径ｅの円運動を行うことにる。もちろん、水圧モータ
２は管軸１に係止手段によって固設されているので管軸
１の旋回転と共に円運動を行う。但し、管軸１と偏心回
転部材３とは軸受22によって回転自在に関連付けられて
いるので、正確には管軸１はケース４内において偏心回
転部材３の回転中心Ｒの周囲を公転するものである。管
軸１の公転は、管軸１の一端に係止されたノズル５の公
転となり、ノズル５から噴射された水が円状の噴射軌跡
を描くことになる。

［発明の実施例］ 細部の実施例について述べれば、本発明の装置は、水
圧駆動式タービンモータを使用した駆動手段２と該駆動
手段を管軸１に固定させる係止手段とで構成されたモー
タボディ10を噴射装置ケース４の中に備え、装置内部で
連結手段によりタービンモータと偏心回転部材３を連動
させる構造になっている。すなわち、第４図にその断面
を示すように、管軸１に固定されたモータボディ10と、
該モータボディ10に軸受24によって回転自在に収納支承
されたタービン35と、該タービン35に延設され先端部に
歯車14を刻設した出力軸13とから成り、管軸から分岐
し、超高圧水を分流させる液体流路11がモータボディ10
に穿設され、該液体流路11内に超高圧水での噴射時の高
速噴射水流を減速する噴射減速手段が配設されている。
噴射減速手段の構成としては、まず最もタービン35寄り
の所定位置には、タービン35に向かって開口し、タービ
ン35に減速した加圧液体を噴射する第二ノズルが、また
該第二ノズル32の上流所定位置には第一ノズル31が配設
され、前記第一ノズル31と第二ノズル32との間には前記
第一ノズル31から噴射された高速水流によって誘起され
るインジェクション作用によって水流中に空気を混入す
るための気液混合室33が通気孔34によって外気に連通し
て配設されている。

こうして構成された水圧モータ２は、管軸１から分岐
した高圧水が液体流路11を通って第一ノズル31へ導か
れ、第一ノズル31から気液混合室33に向かって、正確に
は上流に向かって徐々に拡開するように構成された第二
ノズル32に向かって噴射される。すると、前記第一ノズ
ル31と第二ノズル32との間において、一般にエゼクタあ
るいはインジェクションポンプと呼ばれる原理に基づい
て、第二ノズル32に供給される水流に流線の周囲の流体
が巻き込まれて第二ノズル32から噴射されるときには、
第一ノズル31から噴射された流体と周囲から巻き込まれ
た流体とが混合されてタービン35に向かって噴射され
る。

第５図に示すのは、前記第４図における第一ノズル31
の直前上流において、液体流路11から第一ノズル31に供
給される水の流れを攪拌するための攪拌ノズル41を配設
し、該攪拌ノズル41と第一ノズル31との間に攪拌室42を
設けたもので、前記第４図の実施例における第二ノズル
32による空気の混入を助長するものである。

第６図はタービン35の回転数を制御する手段の実施例
を示すもので、第二ノズル32からタービン35に向かって
噴射される気液混合流体の流線の方向を反らせて、該流
線とタービン35との衝突角度を制御して、以てタービン
35の回転数を調節制御するものである。その他にタービ
ン35の回転数を制御する方法としては、タービン35に投
射される流体の圧力、流量を調節することで達成され得
る。

［発明の効果］ 以上において詳細に述べたように本発明によれば、装
置を駆動するための媒体として、ノズルから噴射されて
洗浄その他の加工に供される液体と同一の液体を用い、
これを装置内部で管軸から分岐させて利用するように構
成されているため、媒体供給のための配管がただ一つで
よく、従って装置を操作する際に操作の障害になること
が無く、極めて軽快に操作し得るものであり、操作性の
向上を達成し得たものである。また装置に供給される流
体がただ一種類であるので当該流体の発生手段もただ一
つでよく構成機器の単一化による設備の簡素化を成し得
たものである。

さらに細部について見れば、タービンに投射される流
体は液体流路内で噴射減速手段によって空気を混入させ
ることによって超高圧水の場合に噴射される高速水流を
水圧モータ駆動に適した加圧流体に変更してからタービ
ンに投射されることになるためタービンの損傷を極力抑
制し得たもので、ノズルを二段構成にすることによって
効果的に空気を混入し得たものであり、攪拌ノズルの配
設によって前記空気の混入が更に助長され、より効果的
にタービンの損傷を抑制し得たものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の基本的な構成を示す縦断側面図、第２
図および第３図はそれぞれ第１図におけるAA断面および
BB断面を示す図、第４図は第１図におけるCC断面の実施
例を示す図、第５図は別の実施例を示す図、第６図は更
に別の実施例を示す図である。 図において、１は管軸、２は水圧モータ、３は偏心回転
部材、４はケース、５はノズル、６はポンプ、７はホー
ス、10はモータボデイ、11は液体流路、12は給液口、13
は出力軸、14,15は歯車、21は偏孔、22,23は軸受、31は
第一ノズル、32は第二ノズル、33は気液混合室、34は給
気孔、35はタービン、41は攪拌ノズル、42は攪拌室、45
は偏向部材、Ｒは回転中心、ｅは偏心量である。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転部材の回転中心に対して偏心した位置
   で一端にノズルを配設し、他端を超高圧発生装置に連結
   した管軸を支承し、前記回転部材を回転駆動することに
   よってノズルに偏心量に応じた円運動を行わせる超高圧
   液体噴射装置において、加圧液体で作動される駆動手段
   と、該駆動手段を前記管軸に固定させる係止手段と、前
   記駆動手段と前記回転部材とを連動させる連結手段とか
   ら成り、前記係止手段内で前記管軸の所定位置において
   分岐させた液体流路と前記駆動手段の給液口とを噴射減
   速手段を介して連通したことを特徴とする超高圧液体噴
   射装置。
2. 【請求項２】前記駆動手段が、前記噴射減速手段を介し
   て給液口から噴射された液体に対向して回転自在に配設
   されたタービンと、タービンの回転数を調節する部材と
   から成る特許請求の範囲第１項に記載の装置。
3. 【請求項３】前記噴射減速手段が、管軸から分岐された
   超高圧液体を液体流路内において噴射する第一ノズル
   と、該第一ノズルの下流において第一ノズルから噴射さ
   れた液体に空気を混入する気液混合室と、該気液混合室
   下流に配設されて空気混合液体を収束噴射する第二ノズ
   ルとから成る特許請求の範囲第１項に記載の装置。
4. 【請求項４】液体流路内に駆動手段に供給される液体の
   流れを撹拌する部材を配設したことを特徴とする特許請
   求の範囲第３項に記載の装置。