JPH081095A

JPH081095A - ガラス繊維入り強化プラスチック品からのプラスチック分の分別回収方法および分別回収設備

Info

Publication number: JPH081095A
Application number: JP61495A
Authority: JP
Inventors: Takeshi Nakagami; 武司中上; Haruo Okada; 治雄岡田
Original assignee: Sekisui Chemical Co Ltd
Current assignee: Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date: 1994-04-20
Filing date: 1995-01-06
Publication date: 1996-01-09

Abstract

(57)【要約】【目的】プラスチック分が焼けて色調が変色したりする
ことなく、ガラス繊維入りプラスチック品を微粉体化す
ることができ、かつ、この微粉体物からガラス繊維を除
去してプラスチック分のみを効率よく回収することがで
きるガラス繊維入り強化プラスチック品からのプラスチ
ック分の分別回収方法および分別回収設備を提供するこ
とを目的としている。【構成】ガラス繊維入り強化プラスチック品を粗粉砕し
て得た粗粉砕物を、高速回転する翼による衝撃とこの翼
の背後に生じる多数の超高速渦流並びにこれによって発
生する高周波の圧力振動を起こす微粉砕機に投入して粉
砕し、この微粉砕物を振動篩機に投入して篩分け、篩分
けによって大部分のガラス繊維が取り除かれた一次分別
品を振動フィーダと粉体回収装置とによって、さらに一
次分別品中に残存するガラス繊維を取り除いて再使用に
耐えるプラスチック微粉砕物を得るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ガラス網入り塩化ビニ
ル製波板等のガラス繊維入りプラスチック品の製造過程
で発生する不良品や耳トリミング品等の廃物中のプラス
チック分を分別して回収するガラス繊維入り強化プラス
チック品からのプラスチック分の分別回収方法および分
別回収設備に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】塩化ビニル製波板等のプラスチック製品
は、製造過程で不良品や耳をトリミングした耳トリミン
グ品等の廃物がどうしても発生する。これらの廃物のう
ち、単一プラスチックのみから形成されているプラスチ
ック製品の廃物は、そのまま粉砕して新しいプラスチッ
ク原料に混合して再使用することが行われているが、強
化繊維としてガラス繊維の層を設けたようなガラス繊維
入りプラスチック製品の場合、ガラス繊維を取り除かな
い限り、再利用が不可能で、ほとんどが廃棄処分されて
いるのが現状である。

【０００３】そこで、これらガラス繊維入りプラスチッ
ク製品の廃物を回転刃と固定刃からなるカッター式粉砕
機（たとえば、特公昭４７−１８８１９号公報に開示さ
れているような粉砕機）で微粉砕したのち、この微粉砕
物を図５に示すような分別機１００に投入し、プラスチ
ックのみを分別回収する試みがなされている。すなわ
ち、この分別機１００は、微粉砕物を第１分別槽１０１
に投入し、ブロアー１０２からエアーを第１分別槽１０
１内に吹き込み、第１分別槽１０１内で空気流を形成し
て微粉砕物中の軽量分であるガラス繊維を上方に吹き上
げ第１分別槽１０１の上部に設けた集塵機へ繋がる吸引
口１０３からガラス繊維を吸引除去する。そして、第１
分別槽１０１の底に溜まった一次回収品を第２分別槽１
０４へ送り、再びブロアー１０５からエアーを第２分別
槽１０４内に吹き込み、第２分別槽１０４内に空気流を
形成して一次回収品中に残る軽量分であるガラス繊維を
上方に吹上げて第２分別槽１０４の上部に設けた集塵機
へ繋がる吸引口１０６からガラス繊維を吸引除去し、プ
ラスチック微粉砕物のみを第２分別槽１０４の下部に設
けた取り出し口１０７から取り出せるようになってい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、ガラス繊維入
りプラスチック品の廃物は、十分に微粉砕しないと、ガ
ラス繊維がプラスチック粉砕物の中にサンドイッチ状態
で残り、ガラス繊維を完全にプラスチック粉砕物から分
離することが不可能である。一方、上記カッター式粉砕
機でガラス繊維入りプラスチック品の廃物をプラスチッ
クが十分微粉になるまで粉砕すれば、ガラス繊維とプラ
スチックとが完全に分離するのであるが、このカッター
式粉砕機では、プラスチック分が高速回転でカット刃に
接触して破砕される為、粉砕しすぎるとプラスチック分
が焼け、色調が変色してしまう。したがって、装飾性が
必要なものを成形する場合に使用できないといった問題
があった。

【０００５】また、上記分別機１００で分別処理した場
合は、分別工程中で、毛玉状繊維が生成され、再度の分
別が必要となり、回収率が悪いと言う問題がある。さら
に、微粉砕化の際の摩擦によりプラスチックが（−）に
帯電し、ガラス繊維が（＋）に帯電するため、たとえ、
プラスチックが焼けて色調が変化することなくガラス繊
維と上手く粉砕分離できても、電気的吸引力によってプ
ラスチックとガラス繊維とが再びくっついてしまい分離
回収しにくいと言う問題もある。

【０００６】本発明は、このような事情に鑑み、プラス
チック分が焼けて色調が変色したりすることなく、ガラ
ス繊維入りプラスチック品を微粉体化することができ、
かつ、この微粉体物からガラス繊維を除去してプラスチ
ック分のみを効率よく回収することができるガラス繊維
入り強化プラスチック品からのプラスチック分の分別回
収方法および分別回収設備を提供することを目的として
いる。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１に記載の発明（以下、「第１発明」と記
す）にかかるガラス繊維入り強化プラスチック品からの
プラスチック分の分別回収方法は、ガラス繊維入り強化
プラスチック品を粗粉砕して得た粗粉砕物を、高速回転
する翼による衝撃とこの翼の背後に生じる多数の超高速
渦流並びにこれによって発生する高周波の圧力振動を起
こす微粉砕機に投入して粉砕し微粉砕物とする微粉砕工
程と、この微粉砕物を篩にかけ、篩上に残る大部分のガ
ラス繊維を含む篩不通過分と篩を通過する一次分別品と
に分別する第一次分別処理工程と、この一次分別品を振
動板の一端部に供給し、振動させながら振動板の他端側
へ移動させるとともに、振動板の上部からコロナ放電に
よりイオン化した風を吹き付け、一次分別品中のガラス
繊維およびプラスチックとに帯電した静電気を除電し、
かつ、振動板の中間部に設けた金網部分を通過する一次
分別品に金網越しにエアーを吹き付け、一次分別品中の
軽量分を振動板より上側に吹き上げ、吹き上げられた軽
量分を集塵機て吸引除去し、振動板の他端から一次分別
品から軽量分が除かれた二次分別品を排出する第２次分
別処理工程と、一側面に金網が設けられた垂直通路に前
記二次分別品を投入し、金網側から吸引によって金網側
に向かって生じる気流で二次分別品を拡散させつつ、金
網を通過する二次分別品中の微細ガラス繊維を除去し、
金網を通過しないプラスチック微粉砕物を回収する回収
工程と、を備える構成とした。

【０００８】請求項２に記載の発明（以下、「第２発
明」と記す）にかかるガラス繊維入り強化プラスチック
品からのプラスチック分の分別回収方法は、上記第１発
明の構成に加えて微粉砕工程から第一次分別処理工程へ
の微粉砕物の移送行程、および、一次分別品の一次分別
処理工程から二次分別処理工程への移送行程の少なくと
もいずれかの移送行程中に、ガラス繊維およびプラスチ
ックに帯電した静電気を除電する構成とした。

【０００９】一方、請求項３に記載の発明（以下、「第
３発明」と記す）にかかるガラス繊維入り強化プラスチ
ック品からのプラスチック分の分別回収設備は、ガラス
繊維入りプラスチック品を粗粉砕して得た粗粉砕物を、
高速回転する翼による衝撃とこの翼の背後に生じる多数
の超高速渦流並びにこれによって発生する高周波の圧力
振動によって微粉砕する微粉砕機と、この微粉砕機によ
って得られた微粉砕物を篩にかけて大部分のガラス繊維
を含む篩不通過分と篩を通過する一次分別品とに分別す
る振動篩機と、一端部に投入された前記一次分別品を振
動によって他端方向に移動させるとともに、中間部に金
網部分が設けられた振動板、および、この振動板の金網
部分下方に設けられ、金網越しに、金網部分を通過する
一次分別品に風を吹き付け、一次分別品中の軽量分を吹
き上げるブロアーからなる振動フィーダと、前記振動フ
ィーダに投入された一次分別品にコロナ放電によってイ
オン化した風を吹き付けて一次分別品中のガラス繊維分
およびプラスチック微粉砕物に帯電した静電気を除電す
る除電ブロアーと、前記振動フィーダの金網部分で吹き
上げられた前記軽量分を吸引して集める集塵機と、前記
振動フィーダの他端から排出される一次分別品から前記
軽量分を除いた二次分別品が通過する垂直の通路を備
え、この通路の一側壁面に前記二次分別品中に残る微細
ガラス繊維が通過するが、プラスチック微粉砕物が通過
しない大きさの金網が設けられていて、金網側から吸引
によって金網側に向かって生じる気流で二次分別品を拡
散させつつ前記金網を通過する二次分別品中の微細ガラ
ス繊維を除去し、かつ、金網を通過しないプラスチック
微粉砕物を通路下側に落下させて回収する回収装置と、
を備えている構成とした。

【００１０】請求項４に記載の発明（以下、「第４発
明」と記す）にかかるガラス繊維入り強化プラスチック
品からのプラスチック分の分別回収設備は、上記第３発
明の構成に加えて、振動篩機の下側に排出管を介して一
次分別品を貯めるタンクが設けられていて、前記排出管
の途中に、振動篩機内での摩擦によって一次分別品中の
ガラス繊維とプラスチックとに帯電した静電気を除電す
る除電装置が設けられている構成とした。

【００１１】請求項５に記載の発明（以下、「第５発
明」と記す）にかかるガラス繊維入り強化プラスチック
品からのプラスチック分の分別回収設備は、上記第３発
明または第４発明の構成に加えて、微粉砕機で微粉砕さ
れた微粉砕物が空気輸送管路を介して振動篩機に送られ
るようになっていて、この空気輸送管路の内壁面が最大
粗さ μｍ以下の鏡面に仕上げられているとともに、曲
がり部の最小半径が１．５ｍ以上になっている構成とし
た。

【００１２】

【作用】上記第１発明および第３発明の構成によれば、
ガラス繊維入りプラスチック品の廃物を、まず、粗粉砕
して、この粗粉砕物を、微粉砕機に投入して微粉砕する
のであるが、微粉砕機内では、粗粉砕物が高速回転する
翼による衝撃とこの翼の背後に生じる多数の超高速渦流
並びにこれによって発生する高周波の圧力振動によって
粉砕、剥離作用を受け、焼けによってプラスチック分の
色調を変えることなく微粉砕処理される。すなわち、ガ
ラス繊維とプラスチック微粉砕物とが分離した状態の混
合物である微粉砕物が得られる。

【００１３】得られた微粉砕物は、第一次分別回収工程
で、振動篩機に投入され、篩を通過しないガラス繊維分
と、篩を通過する一次分別品とに分別される。すなわ
ち、第一次分別回収工程では、大部分のガラス繊維分が
分別除去される。一方、第一次分別回収工程で分別回収
された一次分別品は、第二次分別回収工程である振動フ
ィーダに投入される。振動フィーダでは、振動板の一端
部に投入された一次分別品が振動板によって振動して分
散されながら他端方向に移動するが、移動途中に設けら
れた金網部分に来ると、金網部分の下側に設けたブロア
ーから金網越しに供給される風によって一次分別品中の
軽量分、すなわち、ガラス繊維分が分離して吹き上げら
れ、この吹き上げられたガラス繊維分が集塵機に接続さ
れたダクトを通して集塵機に回収除去される。

【００１４】しかも、振動フィーダに投入された一次分
別品には、除電ブロアーからコロナ放電によりイオン化
された風が上方から吹き付けられるため、摩擦により
（−）に帯電したプラスチック微粉砕物および（＋）に
帯電したガラス繊維が除電されるから、プラスチック微
粉砕物とガラス繊維とが電気的に吸着されることがなく
なる。したがって、より分離して吹き上げられやすくな
っている。

【００１５】つぎに、振動フィーダを通過した二次分別
品は、回収装置に投入されるが、回収装置では、垂直通
路に入った二次分別品中に極僅かに残ったガラス繊維分
が金網越しに吸引されることによって下方に落下してい
く途中に金網を通って除去され、回収装置出口からガラ
ス繊維分を殆ど含まないプラスチック微粉砕物が回収さ
れる。

【００１６】第２発明および第４発明の構成によれば、
一次分別品が第二次分別回収工程に送られる前にも除電
され、第二次分別回収工程での分別がより正確に行われ
る。第５発明の構成によれば、空気輸送管路に微粉砕物
がつまることなくスムーズに振動篩機に送られる。

【００１７】

【実施例】以下に、本発明を、その実施例をあらわす図
面を参照しつつ詳しく説明する。図１は本発明に係るガ
ラス繊維入りプラスチック品からのプラスチック分の分
別回収設備の１実施例をあらわしている。この分別回収
設備は、粗粉砕工程Ａ、微粉砕工程Ｂ、第一次分別処理
工程Ｃ、第二次分別処理工程Ｄ、回収工程Ｅに別れ、粗
粉砕工程Ａから回収工程Ｅまで順次処理され、ガラス繊
維入り塩化ビニル製波板の成形不良品や耳トリミング品
等の廃物から再利用可能な樹脂分を回収するようになっ
ている。

【００１８】すなわち、粗粉砕工程Ａでは、成形不良品
を粗粉砕機（ターボー工業社製のターボカッター）１
に、また耳トリミング品を耳粉砕機２にそれぞれ投入し
て粗粉砕処理し、サイクロン３を介して粗粉砕物４を回
収するようになっている。この粗粉砕機１または耳粉砕
機２で粗粉砕された粗粉砕物４は、塩化ビニルの粗粉砕
物にガラス繊維が一部サンドイッチ状に挟まったような
状態のものが多数含まれている。

【００１９】微粉砕工程Ｂでは、ホッパーパレット用台
車５によって運ばれてきた粗粉砕工程Ａで得られた粗粉
砕物４を供給フィーダ６ａを介して微粉砕機（ターボー
工業社製のターボミル）６に投入し、粗粉砕物４を微粉
砕するようになっている。すなわち、この微粉砕機６
は、高速回転する翼による衝撃とこの翼の背後に生じる
多数の超高速渦流並びにこれによって発生する高周波の
圧力振動を起こし粗粉砕物４を微粉砕するようになって
いて、塩化ビニル樹脂層によってガラス繊維を挟み込ん
だサンドイッチ構造になっている粗粉砕物４が、この微
粉砕機６に投入されることにより、プラスチック分とガ
ラス繊維分とが混合されているが、ガラス繊維がプラス
チックと完全に剥離している微粉砕物７が得られる。

【００２０】しかも、微粉砕物７中の塩化ビニル樹脂分
は変色がないものとなっている。次にこの微粉砕物７を
空気輸送管路８，サイクロン９，ロータリーフィーダ１
０を介して第一次分別回収工程Ｃとしての振動篩機１１
に投入する。なお、微粉砕物７中には、ガラス繊維が混
在しているため、空気輸送管路８の内壁面に凹凸があっ
たり、急に屈曲していると、ガラス繊維がその部分に付
着して、管路８を完全に塞いでしまい、空気輸送管路８
の維持管理が非常に面倒である。そこで、この分別回収
設備では、空気輸送管路８を、直径１５０mm、内壁面が
最大粗さ μｍにバフ研磨仕上げされたステンレス鋼管
によって形成するとともに曲がり分の最小半径を１．５
ｍにしてガラス繊維が付着して空気輸送管路８内を塞が
ないようにしている。

【００２１】一次分別回収工程Ｃとしての振動篩機１３
は、６メッシュの金網からなる振動篩１３ａ備え、この
篩１３ａによって微粉砕物７中の綿毛状となった大部分
のガラス繊維を含む篩不通過分１４と、残りの微細なガ
ラス繊維分と塩化ビニル樹脂微粉砕物とが混在した一次
分別品１５とを篩分けるようになっている。ところで、
振動篩機１３によって篩分けしている間に摩擦により静
電気が発生し、一次分別品１５中のガラス繊維と塩化ビ
ニル樹脂微粉砕物とがそれぞれガラス繊維が（＋）、塩
化ビニル樹脂微粉砕物が（−）にそれぞれ帯電するた
め、ガラス繊維と塩化ビニル樹脂微粉砕物とが電気的に
吸着し分離しにくくなるが、この分別回収設備では、図
２および図３に示すように排出管１３ｂの途中に、除電
装置１２が設けられている。

【００２２】すなわち、除電装置１２は、エアーコンプ
レッサー（図示せず）からエアー配管１２ａを通って排
出管１３ｂを四方から囲むように除電電極１２ｂに送ら
れ、除電電極１２ｂでイオン化した空気を排出管１３ｂ
を落下してくる一次分別品１５に吹き付けて、帯電した
ガラス繊維および塩化ビニル樹脂微粉砕物の除電を行
い、ガラス繊維と塩化ビニル樹脂微粉砕物との電気的吸
着をできるだけ防止するようになっている。

【００２３】なお、除電電極１２ｂは、図３に示すよう
に、一次分別品１５の落下方向にその空気の噴射方向を
傾けて設けられている。一方、篩分けられた一次分別品
１５は、排出管１３ｂを介して振動篩機１３の下側に配
置されたタンク１６に溜められたのち、スクリューコン
ベア１７により移送されて第二次分別処理工程Ｄとして
の振動フィーダ１８に投入される。

【００２４】この振動フィーダ１８は、図４に示すよう
に、ホッパー１８ａと、枠を備えた振動板１８ｂと、ブ
ロアー１８ｃとを備えている。また、振動板１８ｂの斜
め上方には、除電ブロアー１９が設けられている。振動
板１８ｂは、ホッパー１８ａからその一端に供給された
一次分別品１５を振動によって振動板１８ｂ上で分散さ
せつつ他端に設けられた出口から二次分別品２０として
排出できるようになっているとともに、中間部に６０メ
ッシュの金網部分１８ｅが設けられていて、この金網部
分１８ｅの下側からブロアー１８ｃよって風が送られる
ようになっている。さらに振動板１８ｂの上部に振動板
１８ｂと対面して金網１８ｆが配置されている。

【００２５】すなわち、振動板１８ｂの振動によって分
散しつつ出口方向へ移動する一次分別品１５は、金網部
分１８ｅのところまでくると、金網部分１８ｅの下側か
らブロアー１５によって供給される風によって軽量分、
すなわち、一次分別品１５中に混在する見掛け比重の小
さな微細なガラス繊維（単繊維状ガラス繊維）を吹き上
げ、金網部分１８ｅの上部に設けられた吸引ダクト２１
から集塵機（図示せず）に吸引回収され、残りの重量
分、すなわち、塩化ビニル樹脂微粉砕物と極僅かなガラ
ス繊維分を含む二次分別品２０を出口から回収工程Ｅ側
へ排出するようになっている。

【００２６】一方、除電ブロアー１９は、振動板１８ｂ
の金網部分１８ｅからホッバー１８ａよりの部分にコロ
ナ放電によってイオン化した風を吹き付けるようになっ
ている。すなわち、振動フィーダ１８に投入される一次
分別品１５中のガラス繊維と塩化ビニル樹脂微粉砕物と
は、それぞれ摩擦による静電気によってガラス繊維が
（＋）に、塩化ビニル樹脂微粉砕物が（−）にそれぞれ
帯電し、電気的に吸着しているが、除電ブロアー１９に
よってイオン化した風を吹き付けることによって、除電
し、金網部分１８ｅでガラス繊維分が塩化ビニル樹脂微
粉砕物とを分離して吹き上げられやすくしている。

【００２７】最後に二次分別品２０を回収工程Ｅである
粉体回収装置２２（ブロアーシフター）に投入する。粉
体回収装置２２は、図４に示すようにホッパー２３と吸
気管路２４と垂直管路２５と備えている。ホッパー２３
は、上部開口部２３ａが振動フィーダ１８の出口下方に
設けられていて、下端が吸気管路２４の途中に開口して
いる。

【００２８】吸気管路２４は、一端が開放され、他端が
垂直管路２５に接続されている。垂直管路２５は、その
管壁に２８メッシュの金網２６が設けられていて、金網
２６を挟んで反対側に集塵機に接続された減圧室２７が
設けられている。また、垂直管路２５の下端は、図１に
示すように、回収品タンク２８の上部入口に臨んでい
る。

【００２９】すなわち、粉体回収装置２２では、集塵機
からの吸引によって減圧室２７が減圧されるから吸気管
路２４の開放端から外気が垂直管路２４方向へ吸引され
る。したがって、吸気管路２４は、その開放端から垂直
管路２５方向へ向かって気流が常に生じており、ホッパ
ー２３を介して吸気管路２４の途中に供給された二次分
別品２０が、この気流によって拡散されながら垂直管路
２５方向へ吹き飛ばされる。

【００３０】垂直管路２５に入った二次分別品２０は、
気流によって拡散され、二次分別品２０中に若干残った
ガラス繊維分が塩化ビニル樹脂微粉砕物とは完全に分離
された状態で浮遊する。そして、塩化ビニル樹脂微粉砕
物のみが回収品２９として回収品タンク２８に落下し貯
められる。一方、垂直管路２５中で浮遊したガラス繊維
分は、金網２６を通って減圧室２７側に入り込み、さら
に、集塵機へ回収されるようになっている。

【００３１】このようにして回収された回収品２９は、
塩化ビニル樹脂微粉砕物の総量が、回収設備に投入され
た粗粉砕物４中に含まれる塩化ビニル樹脂分の総量の８
０％で、０．０２％の微細なガラス繊維を含んでいた。
また、一次分別品中１５は、塩化ビニル樹脂微粉砕物の
総量が、回収設備に投入された粗粉砕物４中に含まれる
塩化ビニル樹脂分の総量の８９％であった。

【００３２】上記のようにして得た回収品２９を新品の
原料に１０％混入させて塩化ビニル樹脂波板を成形し、
新品の原料のみによって成形したものと、全光線透過率
（％）、曇度（％）、たわみ量（mm）を調べ、その結果
を表１に示した。なお、全光線透過率および曇度は、ヘ
イズメーターを使用し、たわみ量はＪＩＳによる方法に
準じて調べた。

【００３３】

【表１】上記表１に示すように、回収品２９を１０％新品の原料
に混入させても、得られる塩化ビニル樹脂波板は、新品
の原料のみによって成形したものと、全光線透過率
（％）、曇度（％）、たわみ量（mm）が殆ど変わらなか
った。また、引っ張り強度、衝撃強度、耐候性について
も全く変わらなかった。

【００３４】因に、微粉砕物７を図５に示す分別機１０
０によって分別して得た回収品は、０．５％のガラス繊
維を含んでおり、この分別機１００によって得た回収品
１０％を新品の原料に加えて同様にして塩化ビニル樹脂
波板を成形した場合、成形品の内部にガラス繊維が不規
則に分散して見え、外観が非常に悪かった。以上のよう
に、この分別回収方法および分別回収設備を用いれば、
ガラス繊維分を含まず、変色のないプラスチック微粉砕
物を効率よく回収することができる。

【００３５】本発明にかかる分別回収設備は、上記の実
施例に限定されない。たとえば、上記の実施例では、タ
ンク１６からスクリューコンベアー１７を介してタンク
１６より上方にある振動フィーダ１８に一次分別品１５
を供給するようになっているが、建屋等の高さに余裕が
あり、振動篩機１３を振動フィーダ１８の上方に配置す
ることができれば、タンク１６やスクリューコンベアー
１７を設けなくても構わない。

【００３６】また、上記の実施例では、除電装置１２が
排出管１３ｂの途中に設けられていたが、スクリューコ
ンベアー１７の出口部分や空気輸送管８の途中に設ける
ようにしても構わない。さらに、上記の実施例では、空
気輸送管路８を内壁面をバフ研磨仕上げしたステンレス
鋼管を用いるようにしていたが、内壁面の最大粗さが５
μｍ以下であれば、クロムめっき等をされたものでも構
わない。

【００３７】

【発明の効果】以上のように、第１発明および第３発明
の構成よれば、製造工程中に発生する回収可能な不良品
や、どうしても発生する耳トリミング品等の廃物を微粉
砕してプラスチック微粉砕物をガラス繊維と収率よく分
離回収できる。しかも、回収されるプラスチック微粉砕
物は焼けによって変色しておらず、新品の原料と同様に
再利用が可能である。

【００３８】第２発明および第４発明の構成によれば、
第１発明および第３発明の効果に加えて、より確実にプ
ラスチック微粉砕物のみを効率よく回収できるようにな
る。第５発明の構成によれば、上記第３発明または第４
発明の効果に加えて設備の維持管理が容易になると言う
効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る分別回収設備の一実施例を模式的
にあらわす系統図である。

【図２】図１の分別回収設備の振動篩機の排出管の横断
面図である。

【図３】図１の分別回収設備の振動篩機の排出管の縦断
面図である。

【図４】図１の振動フィーダおよび回収装置部分を拡大
してあらわす断面図である。

【図５】従来の分別機の断面図である。

【符号の説明】

Ｂ微粉砕工程Ｃ第一次分別回収工程Ｄ第二次分別回収工程Ｅ回収工程４粗粉砕物６微粉砕機７微粉砕物８空気輸送管路１２除電装置１３振動篩機１３ａ金網１３ｂ排出管１４篩不通過分１５一次分別品１８振動フィーダ１８ｂ振動板１８ｃブロアー１８ｅ金網部分１９除電ブロアー２０二次分別品２２粉体回収装置２５垂直管路２９回収品

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ガラス繊維入り強化プラスチック品を粗
粉砕して得た粗粉砕物を、高速回転する翼による衝撃と
この翼の背後に生じる多数の超高速渦流並びにこれによ
って発生する高周波の圧力振動を起こす微粉砕機に投入
して粉砕し微粉砕物とする微粉砕工程と、この微粉砕物
を篩にかけ、篩上に残る大部分のガラス繊維を含む篩不
通過分と篩を通過する一次分別品とに分別する第一次分
別処理工程と、この一次分別品を振動板の一端部に供給
し、振動させながら振動板の他端側へ移動させるととも
に、振動板の上部からコロナ放電によりイオン化した風
を吹き付け、一次分別品中のガラス繊維およびプラスチ
ックとに帯電した静電気を除電し、かつ、振動板の中間
部に設けた金網部分を通過する一次分別品に金網越しに
エアーを吹き付け、一次分別品中の軽量分を振動板より
上側に吹き上げ、吹き上げられた軽量分を集塵機て吸引
除去し、振動板の他端から一次分別品から軽量分が除か
れた二次分別品を排出する第２次分別処理工程と、一側
面に金網が設けられた垂直通路に前記二次分別品を投入
し、金網側から吸引によって金網側に向かって生じる気
流で二次分別品を拡散させつつ、金網を通過する二次分
別品中の微細ガラス繊維を除去し、金網を通過しないプ
ラスチック微粉砕物を回収する回収工程と、を備えるこ
とを特徴とするガラス繊維入り強化プラスチック品から
のプラスチック分別回収方法。
【請求項２】微粉砕工程から第一次分別処理工程への
微粉砕物の移送行程、および、一次分別品の一次分別処
理工程から二次分別処理工程への移送行程の少なくとも
いずれかの移送行程中に、ガラス繊維およびプラスチッ
クに帯電した静電気を除電する請求項１に記載のガラス
繊維入り強化プラスチック品からのプラスチック分の分
別回収方法。
【請求項３】ガラス繊維入りプラスチック品を粗粉砕
して得た粗粉砕物を、高速回転する翼による衝撃とこの
翼の背後に生じる多数の超高速渦流並びにこれによって
発生する高周波の圧力振動によって微粉砕する微粉砕機
と、この微粉砕機によって得られた微粉砕物を篩にかけ
て大部分のガラス繊維を含む篩不通過分と篩を通過する
一次分別品とに分別する振動篩機と、一端部に投入され
た前記一次分別品を振動によって他端方向に移動させる
とともに、中間部に金網部分が設けられた振動板、およ
び、この振動板の金網部分下方に設けられ、金網越し
に、金網部分を通過する一次分別品に風を吹き付け、一
次分別品中の軽量分を吹き上げるブロアーからなる振動
フィーダと、前記振動フィーダに投入された一次分別品
にコロナ放電によってイオン化した風を吹き付けて一次
分別品中のガラス繊維分およびプラスチック微粉砕物に
帯電した静電気を除電する除電ブロアーと、前記振動フ
ィーダの金網部分で吹き上げられた前記軽量分を吸引し
て集める集塵機と、前記振動フィーダの他端から排出さ
れる一次分別品から前記軽量分を除いた二次分別品が通
過する垂直の通路を備え、この通路の一側壁面に前記二
次分別品中に残る微細ガラス繊維が通過するが、プラス
チック微粉砕物が通過しない大きさの金網が設けられて
いて、金網側から吸引によって金網側に向かって生じる
気流で二次分別品を拡散させつつ前記金網を通過する二
次分別品中の微細ガラス繊維を除去し、かつ、金網を通
過しないプラスチック微粉砕物を通路下側に落下させて
回収する回収装置と、を備えているガラス繊維入り強化
プラスチック品からのプラスチック分の分別回収設備。
【請求項４】振動篩機の下側に排出管を介して一次分
別品を貯めるタンクが設けられていて、前記排出管の途
中に、振動篩機内での摩擦によって一次分別品中のガラ
ス繊維とプラスチックとに帯電した静電気を除電する除
電装置が設けられている請求項３に記載のガラス繊維入
り強化プラスチック品からのプラスチック分の分別回収
設備。
【請求項５】微粉砕機で微粉砕された微粉砕物が空気
輸送管路を介して振動篩機に送られるようになってい
て、この空気輸送管路の内壁面が最大粗さ５μｍ以下の
鏡面に仕上げられているとともに、曲がり部の最小半径
が１．５ｍ以上になっている請求項３または請求項４に
記載のガラス繊維入り強化プラスチック品からのプラス
チック分の分別回収設備。