JPH08101A - 藺草育苗器具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 移植機における苗のせ台への苗の装着をきわ
めて簡単にできるものでありながら、植付時の苗量が一
定のものにできる藺草育苗器具を提供する。 【構成】 藺草苗を育苗する多数の区画部２を、縦横に
並列した仕切り壁３で仕切って形成し、かつ藺草苗の育
成用の開口４を各区画部２の上部に備えてポット苗形成
部材１を構成するとともに、載置状態のポット苗形成部
材１において、隣合う各区画部２を仕切る仕切り壁３の
下端縁と、載置面との間に根絡み用の間隙７が形成され
る状態でポット苗形成部材１を構成してある藺草育苗器
具。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、移植に適した状態に藺
草苗を育苗するために供される藺草育苗器具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、藺草を移植するには、例えば特開
平５‐１３７４２３号公報に開示されたもののように、
藺草移植機を利用して行うものが周知である。そして、
このような藺草移植機で移植するに当たって、移植機の
苗のせ部に苗取出可能に藺草苗を載置するために、移植
用の藺草苗は、予め育成された母株から小株を細分した
状態で分割してから、それらの小株を多数前後左右方向
で並列した状態に苗のせ台上に充填する形態のものが知
られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のように、移植機に多数の小株を苗のせ台上に充填す
る形態のものでは、一々その小株を充填するための作業
が必要で手間がかかるものであり、特に、その充填を行
うのに時間がかかるので、移植機で実際の移植作業して
いる時間に対して、充填に要する時間の割合が高く、能
率が悪いという問題があった。又、従来、移植機には母
株のまま苗を搭載して、その母株から小株を切り出しな
がら植えていくものも提案されており、この構造のもの
では、単に母株を搭載する作業で良いので、取扱いが容
易で手間は比較的かからないものであるが、一定の小株
を安定的に切り出すのが難しく、そのため、植付時の苗
量が不安定になって、均質な藺草成育が難しいものであ
った。本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであっ
て、移植機における苗のせ台への苗の装着をきわめて簡
単にできるものでありながら、植付時の苗量が一定のも
のにできる藺草育苗器具の提供を目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる藺草育苗
器具は、上記目的を達成するために、藺草苗を育苗する
多数の区画部を、縦横に並列した仕切り壁で仕切って形
成し、かつ藺草苗の育成用の開口を各区画部の上部に備
えてポット苗形成部材を構成するとともに、載置状態の
前記ポット苗形成部材において、隣合う各区画部を仕切
る前記仕切り壁の下端縁と、載置面との間に根絡み用の
間隙が形成される状態で前記ポット苗形成部材を構成し
てあることを特徴構成とする。かかる特徴構成による作
用・効果は次の通りである。

【０００５】

【作用】即ち、ポット苗形成部材は各区画部内に予め床
土を入れておき、その状態で各区画部内に藺草苗を差し
入れておいて、そのポット苗形成部材を地面あるいは育
苗用の箱に載置して育苗することで、その各区画部にお
ける藺草苗がその区画内で成育していき、苗の根も各区
画部内に詰まるように根張りし、さらに、隣り合う区画
部の仕切り壁の下端縁とそのポット苗形成部材を載置し
たところにおける載置面との間にそれら隣り合う藺草苗
の成長した根同士が絡み合うことができるように間隙が
設けられているから、その根絡みで各隣り合う区画部の
苗同士がつながった状態となり、ひいては全体的に一体
に根絡みでつながった状態となる。よって、所定状態に
育成した後、ポット苗形成部材を除去すると、各苗が縦
横に並設状態に一連につながった連続苗となっているの
で、移植機の苗のせ台にはその連続苗をのせる作業を行
うだけで、植付可能な状態にできる。そして、移植機に
おいて植付する際には、植付爪で１つの区画部で育成さ
れた苗毎に植付けていくことができる。又、各区画部で
育成した苗はほぼ一定の苗量にできるので、植付も安定
的に行えるとともに、圃場でも各苗はほぼ同一状態で成
育し得る。

【０００６】

【発明の効果】従って、従来のように、移植機の苗のせ
台に小株を手作業で充填するものに比較して、連続苗を
苗のせ台に載置するだけの作業で移植可能となるから、
その苗のせ作業が簡易なものになって迅速かつ効率的に
植付作業が行えるとともに、植付の苗量も一定のものに
できるので、圃場での育成も均一なものにでき、成育の
管理や収穫作業等が良好に行えるに至った。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１乃至図３に、本発明にかかる藺草苗育苗器具
を示している。すなわち、図１及び図２に示したもの
は、合成樹脂製のポット苗形成部材１であって、縦方向
の全幅寸法が７００〜９００ミリメートル位で、横方向
の全幅寸法が１６０〜１９０ミリメートル位であり、縦
方向と横方向とにそれぞれ並列する状態で小さく区画さ
れた多数の区画部２‥を設けている。この区画部２は、
縦横それぞれの幅寸法を１５〜２２ミリメートル位に設
定したものである。そして、隣合う区画部２同士は、仕
切り壁３で直方体状に仕切られているとともに、その区
画部２の内部空間形状は側面視で上すぼまりの台形を成
すよう仕切り壁３を形成している。さらに、各区画部２
の上面部には、藺草苗の育成用の開口４を穿設している
とともに、下方がわも開放されたものとなっている。
又、図１に示すように、このポット苗形成部材１の外周
壁１Ａの上下幅Ｌ１は、内側の仕切り壁３、つまり任意
の隣合う区画部２同士を仕切る仕切り壁３の上下幅Ｌ２
よりも大に設定している。すなわち、外周壁１Ａと、区
画部２同士を仕切る仕切り壁３とにおいて、お互いのそ
の上端を同じ高さに設定しているが、下端については、
外周壁１Ａの方が区画部２同士を仕切る仕切り壁３より
も下方に位置するように設定している。これにより、ポ
ット苗形成部材１を載置した状態で、隣合う区画部２同
士の下位部分では仕切り壁３が無いのでその隣りの区画
部２同士が連通するものとなっている。尚、上記上下幅
Ｌ１の具体的寸法は、２５〜３０ミリメートル位であっ
て、Ｌ１−Ｌ２の寸法は５〜１０ミリメートル位であ
る。

【０００８】上記構成により、藺草苗の育成は、図３に
示すように、ポット苗形成部材１を、育苗箱５内に装着
し、各開口４を通して床土６を各区画部２に供給し、次
いで、予め母株から得た小株を各区画部２に差し込み、
灌水等を施して行うのである。そして、植付に適した状
態に藺草苗が育成されると、隣合う区画部２同士を仕切
る仕切り壁３の下端と育苗箱５の底面との間の間隙７を
通して各藺草苗の根同士が絡み合うことになる。そし
て、植付の際には、その育苗箱５に苗が収められたまま
で圃場に持ち込み、移植機の予備苗台に搭載するか、予
め圃場の適宜箇所に置いておき、植付作業に伴って苗の
せ台上から苗がなくなる毎に、あるいはなくなる前に、
根絡みで一体化された連続苗Ｗを育苗箱５から取り出
し、かつポット苗形成部材１を外して、その連続苗Ｗを
苗のせ台に供給するのである。

【０００９】以下に、別実施例について説明する。 〔別実施例１〕図４及び図５に示すように、ポット苗形
成部材１の左右の外周壁１Ａ，１Ａの内面がわの下端近
くに、平面視での縦方向に沿ったガイド溝８，８を形成
するとともに、水平方向から底板９をその左右のガイド
溝８，８に差し込んで、ポット苗形成部材１の底部を全
体にわたって閉じた状態にできるように構成する。この
構成においても、各区画部２同士を仕切る仕切り壁３の
下縁部と、底板９との間には藺草苗同士が根絡みしてつ
ながるようにできるための間隙７が形成されるように設
定している。この構成により、藺草苗を育苗するときに
は、予めポット苗形成部材１に上記底板９を差し込ん
で、各区画部２内に床土を供給し、さらに、各区画部２
に小株を差し込み、灌水等を施して圃場の苗床等に載置
しておくのである。そして、移植時において、移植機の
苗のせ台にのせるときに、底板９をポット苗形成部材１
から抜き取り、かつポット苗形成部材１も連続苗から取
り外すのである。このようにすることで、上述のような
育苗箱は不要となるため、育苗器具全体として比較的軽
量にできるとともに、安価にでき、さらに、移植時の取
扱性も高いものとなる。その上、育苗中に根が成育して
いくことでポット苗形成部材１が浮き上がることも、ポ
ット苗形成部材１に係合した底板９で規制されるので、
一定規格の連続苗Ｗを得ることができ、植付を良好に行
えるものとなる。つまり、根の成育により、ポット苗形
成部材１が浮き上がると、連続苗Ｗにおける根の部分の
厚さが大きなものとなるので、植付の際根切りが困難に
なる等の不具合があるが、根切り等に問題のない一定規
格の連続苗Ｗを得ることで植付が良好に行えるのであ
る。尚、この別実施例１の構成のものを前述実施例のよ
うな育苗箱に入れて育苗しても良い。

【００１０】〔別実施例２〕図６及び図７に示すよう
に、高さ３０〜４０ミリメートル位の育苗箱５の底面部
に横方向に沿う状態で左右の全幅にわたって高さ３〜５
ミリメートル位の突条１０を形成するとともに、この突
条１０は、この育苗箱５に装填した状態での横方向に沿
った各仕切り壁３の直下にほぼ位置するように形成して
いる。この構成により、前述実施例と同様に藺草の連続
苗Ｗを得ると、その連続苗Ｗの根部には、突条１０によ
って横方向に沿った凹溝１１が形成されるのである。従
って、連続苗Ｗにおける前後方向での各苗部同士は凹溝
１１で仕切られることになる。連続苗Ｗに横方向に沿っ
た各凹溝１１を形成してあることで、図８に示すよう
に、移植機の苗のせ台１２における苗送り機構１３を無
端回動ベルト１４で構成したものにおいて、その無端回
動ベルト１４に凹溝１１同士の間隔と一致したピッチで
各凹溝１１に係入可能な係入突起１５を備えて、無端回
動ベルト１４による連続苗Ｗに対する送り作用が、係入
突起１５が係入した凹溝１１を送り方向に押すことで行
えるものにできるのである。尚、図８において、苗のせ
台１２が無端回動ベルト１４の搬送始端近くで屈折し、
搬送上手がわの苗のせ台１２の苗のせ面傾斜角度を搬送
下手がわよりも急角度にしているのは、前記係入突起１
５が凹溝１１に係入し易いように、その屈折箇所で凹溝
１１が前後方向に開いた状態にするためである。尚、図
７に、上述の凹溝１１は連続苗Ｗの左右全幅にわたって
形成したものを示したが、図９に示すように、凹溝１１
が連続苗Ｗの左右の両端近くには形成しないよう育苗箱
５に突条１０を設けても良い。この図９の構造で得られ
る連続苗Ｗは、その左右の両端近くでは凹溝１１が形成
されていないものであるから、各苗部分の前後での根部
同士のつながり強度が比較的高く、取扱中に凹溝１１箇
所から連続苗Ｗが不当に切れてしまう虞れも小さくな
る。

【００１１】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】ポット苗形成部材を示す縦断側面図

【図２】ポット苗形成部材を示す平面図

【図３】藺草苗を育苗する様子を示す縦断側面図

【図４】別実施例のポット苗形成部材を示す縦断正面図

【図５】別実施例のポット苗形成部材を示す側面図

【図６】底面に突条を備えた育苗箱等を示す縦断側面図

【図７】底面に突条を備えた育苗箱を示す平面図

【図８】下面に凹溝を備えた連続藺草苗を移植機の苗の
せ台に搭載した様子を示す縦断側面図

【図９】底面に突条を備えた育苗箱の別実施例を示す平
面図

【符号の説明】

１ ポット苗形成部材 ２ 区画部 ３ 仕切り壁 ４ 開口 ７ 間隙

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 進 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボ タ堺製造所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 藺草苗を育苗する多数の区画部（２）
   を、縦横に並列した仕切り壁（３）で仕切って形成し、
   かつ藺草苗の育成用の開口（４）を各区画部（２）の上
   部に備えてポット苗形成部材（１）を構成するととも
   に、載置状態の前記ポット苗形成部材（１）において、
   隣合う各区画部（２）を仕切る前記仕切り壁（３）の下
   端縁と、載置面との間に根絡み用の間隙（７）が形成さ
   れる状態で前記ポット苗形成部材（１）を構成してある
   藺草育苗器具。