JPH08100319A - 帽子の汗取りテープ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 帽子のクラウン内周に止着する汗取りテープ
であって、止着した場合に片側にシワを発生することな
く、肌当りの良い、更に汗臭さの残らない汗取りテープ
の提供。 【構成】 伸縮性の小さな小可伸層と伸縮性の大きな大
可伸層を有し、小可伸層を中立層として両側又は片側に
大可伸層を形成したテープであり、小可伸層はタテ糸と
ヨコ糸が交互に規則正しく絡み合った織組織を有し、一
方の大可伸層はヨコ糸に対してタテ糸が交互に絡み合う
ことなく、飛び飛びに絡み合った組織としたもので、タ
テ糸又はヨコ糸の少なくとも一方は抗菌性と親水性があ
り、そして熱可塑性のある糸とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は帽子のクラウン内周面に
シワを発生することなく止着され、吸汗性と抗菌性を有
す汗取りテープに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】帽子のクラウン内周面には汗を吸着した
り、型崩れを防止するためのテープが止着されている。
従来の上記テープは広幅のバイアステープを適当な細幅
に裁断して用いているが、該バイアステープはタテ糸と
ヨコ糸を交互に規則正しく編成した織組であり、そのた
め内周に沿って止着する場合に、該内周長の違いによっ
て多少のシワが発生する。また上記広幅のバイアステー
プは大きなロットとなり、所定のカラー色に染められて
から必要な長さ分を裁断して使用するため、同一色のテ
ープが数多く出来上がって、帽子本体の色彩とマッチし
ないテープを用いているケースが多い。勿論、このテー
プは帽子を着用した状態では外部に露出しないが、帽子
そのものの意匠は損われてしまう。

【０００３】一方、帽子の汗取りテープとしてはその目
的の第一が汗の吸着であることから、使用される糸は汗
の吸着性能に優れているが、皮膚の表面に存在している
数多くの微生物が汗とともにテープへ移り、２〜３時間
後には増殖を開始する。増殖した細菌は汗や脂肪等の有
機物を分解して不快な臭いを発生させることになる。

【０００４】そこで、出願人は幅方向に湾曲するように
組成したテープを開発し、平成５年１月２９日付けで実
用新案登録出願を行っている（実願平５−６７５６
号）。この汗取りテープは帽子のクラウン内周に沿って
止着されるテープであって、該テープは伸縮性のない不
可伸層と伸縮性のある可伸層から成り、上記不可伸層は
タテ糸とヨコ糸が交互に規則正しく絡み合った織組織を
有し、一方の可伸層は上記ヨコ糸に対してタテ糸が交互
に絡み合うことなく、飛び飛びに絡み合った組織とした
もので、上記可伸層のタテ糸に僅かな緩みを与え、上記
不可伸層を中立層として幅方向に湾曲可能に構成してい
る。

【０００５】又、微生物の増殖を抑制する為にタテ糸や
ヨコ糸として抗菌性の糸を用いている。ただし、この汗
取りテープには不可伸層が形成されている為に、該テー
プは長手方向に伸びることが出来ず、このことが縫製作
業に支障を来している。すなわち、帽子のクラウン内周
に沿って縫製する場合、シワが発生し易く、該シワを抑
えて縫製することは技能的に容易でない。それに、伸び
のないテープはクラウン内周になじみにくく、帽子を着
用した場合の着用感が悪くなる。

【０００６】

【本発明が解決しようとする課題】このように、汗の吸
着テープには上記のごとき問題がある。本発明が解決し
ようとする課題はこれら問題点であって、長手方向に伸
縮可能であると共に幅方向にも多少湾曲出来るため、帽
子の内周に沿って止着した場合にシワを発生することな
く、また汗等による雑菌の増殖を抑えて不快な臭いを防
止し、更にムレ感のないテープを提供する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明に係る帽子の汗取
りテープは、素材である糸として弾性が高くて熱可塑性
に優れた性質を有し、又抗菌性の糸を使用して編成され
るテープである。よってこのテープは汗臭さの原因とな
る黄色葡萄状球菌や、水虫の原因となる白癬菌の増殖を
抑制して優れた防臭抗菌効果を発揮する。そして該テー
プの織組織は伸びの小さな小可伸層と伸びの大きな大可
伸層からなり、上記小可伸層の両側又は片側に大可伸層
を形成する。したがって、上記小可伸層を基準として外
側の層は伸び、内側の層は縮むことで、幅方向に湾曲す
ることが出来る。勿論、該湾曲に伴って内側の層にシワ
を生じることはなく、テープ全体も小可伸層の伸縮可能
な範囲内で伸縮することが出来る。

【０００８】ところで、この小可伸層と大可伸層の織組
織はタテ糸とヨコ糸の編成にて構成され、該小可伸層は
タテ糸とヨコ糸が交互に絡み合った一般的な組織であ
る。一方の大可伸層はタテ糸とヨコ糸が交互に絡み合う
ことなく、ヨコ糸に対してタテ糸が飛び飛びの状態で絡
み合う織組織となる。その結果、タテ糸には長さに余裕
が生じて、小可伸層を構成するタテ糸に比較して張力に
緩みが発生する。この緩みがより大きな伸縮性をもたら
しめる。又小可伸層の伸縮性は糸自体の弾性伸びに基づ
く。以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

【０００９】

【実施例】図１は一般的な帽子であり、該帽子はクラウ
ン１とツバ２から成り、クラウン１は内部を空洞化して
凸状に形成され、その入口側全周にわたって汗取りテー
プ３が止着されている。該汗取りテープ３は着用した場
合に額に生じる汗を吸着するのみならず、肌当りを良好
ならしめたり、帽子の形が崩れないようにする機能を備
えていて、テープ３の片側をクラウン１内周に縫着して
いる。

【００１０】ここで、上記テープ３は所定の細幅にて形
成される織布であり、タテ糸とヨコ糸を編成した織組織
ではあるが、該タテ糸とヨコ糸が交互に絡み合った組織
ではない。図２はこのテープ３を示したもので、テープ
３は４つの層４ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄを組織していて、
各層４ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄの織組織はそれぞれ違って
いる。

【００１１】これら各層４ａ〜４ｄの中で層４ｂは小可
伸層であり、その伸縮性は大きくないが、他の層４ａ、
４ｃ、４ｄは上記小可伸層４ｂに比較してその伸縮性は
大きくなっている。ところで、上記小可伸層４ｂは一般
的な織組織であって、タテ糸及びヨコ糸が交互に絡み合
って形成されているが、その他の層４ａ、４ｃ、４ｄは
上記タテ糸とヨコ糸が交互に絡み合って組織されておら
ず、ヨコ糸に対してタテ糸は飛び飛びの状態となってい
る。

【００１２】ところで、本発明のテープを構成する糸は
弾性に富んだ熱可塑性を備えた糸であり、例えばポリエ
ステル素材から成る糸を使用することが出来、上記弾性
に富んでいる為にタテ糸とヨコ糸が交互に絡み合った組
織から成る小可伸層４ｂであっても多少の伸びを呈し得
る。それに、該糸の熱可塑性は仮に縫製時にシワが生じ
ても、後でアイロンをかけることによって該シワを無く
すことが出来る。

【００１３】図３は前記図２の拡大組織図であり、同図
で×印の箇所はタテ糸がヨコ糸の上（表面）に位置して
いる部分を、逆に空白の箇所はタテ糸がヨコ糸の下（裏
面）に位置している部分を示している。小可伸層４ｂは
タテ糸とヨコ糸が交互に規則正しく絡み合った織組織と
なっているが、大可伸層４ａの左側端のタテ糸５ａを例
にとれば、ヨコ糸６が３本通ったところで、該タテ糸５
ａが上方に位置した編成となり、隣りのタテ糸５ｂは逆
に３本のヨコ糸６、６、６を下方に位置させ、１本のヨ
コ糸６を通したところで再び３本のヨコ糸６、６、６を
下方に置く組織となっている。タテ糸５ｃの場合は、上
記タテ糸５ａの場合と同じであるが、該タテ糸５ｃが上
方に位置する位置は異なり、位相をズラした組織となっ
ている。

【００１４】小可伸層４ｂは同図に示している通り、タ
テ糸５とヨコ糸６は１本ごとに交互に絡み合った組織と
なっている。層４ｃは前記層４ａと同じ組織にて構成し
ている。また層４ｄはタテ糸５、５…がヨコ糸６、６…
の上方に位置する箇所が大半となっている。図４は拡大
組織図の他の具体例であり、該織組織は同じく小可伸層
４ｂと大可伸層４ａ、４ｃ、４ｄから構成され、大可伸
層４ａでは上記タテ糸５ａ、５ｂが３本のヨコ糸６、６
…を上にしたところで１本のヨコ糸６を下にして絡み合
い、又タテ糸５ｃ、５ｄは３本のヨコ糸６、６…を下に
したところで１本のヨコ糸６を上にして絡み合ってい
る。

【００１５】大可伸層４ｃの場合の織組織も、その幅が
小さいだけで上記大可伸層４ａと同じである。更に、大
可伸層４ｄではタテ糸５ｏが４本のヨコ糸６、６…を下
にしたところで１本のヨコ糸６を上にして互いに絡み合
い、タテ糸５ｐは同じく４本のヨコ糸６、６…を下にし
たところで１本のヨコ糸６を上にしているが、上記タテ
糸５ｏの場合とでは位相がズレている。ここで、本発明
では大可伸層４ａ、４ｃ、４ｄの織組織を限定せず、し
かもこれら大可伸層４ａ、４ｃ…の幅や、配列構成も任
意である。

【００１６】図５（ａ）、（ｂ）はタテ糸５とヨコ糸
６、６…の関係を示す概略図であり、（ａ）は図３にお
ける小可伸層４ｂにおける組織で、上記タテ糸５とヨコ
糸６は交互に絡み合っているが、これに対して（ｂ）は
大可伸層４ａにおけるタテ糸５ａの編成組織を表し、１
本のヨコ糸６の上方に位置したタテ糸５ａは、３本のヨ
コ糸６、６、６の下方に位置し、再び１本のヨコ糸６の
上方に位置するといった位置関係を繰返し編成してい
る。

【００１７】ところで、図５（ａ）に示すタテ糸５とヨ
コ糸６の絡み合い組織で構成する層４ｂは伸縮機能が小
さな小可伸層を形成し、図４（ｂ）のごとくタテ糸５と
ヨコ糸６が交互に絡み合わないため、伸縮性のある大可
伸層４ａとなる。これは上記タテ糸５に緩みが残るため
である。すなわち、タテ糸５、５…はビームに巻き付い
ていて、それが巻戻されてヨコ糸６、６…と絡み合いな
がら織物組織を形成することになるが、図５からも明ら
かなように各ヨコ糸６、６…と交互に絡み合う（ａ）の
組織では、（ｂ）の場合に比べてタテ糸５の長さが余分
に必要となる。

【００１８】換言すれば、（ｂ）の場合にはタテ糸５の
長さに余裕が発生して張力は低下し、多少緩んだ状態で
絡み合うことになる。したがって、張力を作用するなら
ば、上記緩みによって大可伸層４ａ、４ｃ、４ｄの部分
は大きく伸び、小可伸層４ｂの部分の伸びは比較的小さ
なテープ３が作られる。勿論、ここで上記図３に示した
大可伸層４ａ、４ｃ、４ｄの組織は単なる１具体例に過
ぎず、この実施例に限定するものではない。

【００１９】ところで、本発明のテープ３は以上述べた
ように、小可伸層４ｂと大可伸層４ａ、４ｃ、４ｄにて
構成し、該小可伸層４ｂを中立層として、その両側又は
片側に位置する大可伸層４ａ、４ｃ、４ｄを大きく伸縮
可能とし、その結果、テープ３を幅方向へ湾曲すること
が出来る。勿論、テープ全体は長手方向に僅かの伸びを
呈し得る。そして本発明のテープ３に使用している上記
タテ糸５及びヨコ糸６の少なくとも一方は抗菌性を有
し、親水性に優れた糸が用いられる。従って、汗臭さの
原因となる黄色葡萄状球菌や水虫の原因となる白癬菌の
増殖を抑制し、優れた防臭抗菌効果があるとともに、汗
を吸収し、汚れを落とし易いテープとなる。

【００２０】図６は大可伸層組織を構成する他の実施例
を示している。この組織では前記図３、図４に示した大
可伸層４ｄと同じように、大部分の位置にてタテ糸５、
５…がヨコ糸６、６…の上（表面）に位置しているが、
前記実施例の場合とは異なり、上方に位置するタテ糸
５、５、…の箇所が、タテ糸５ａ、５ｂ…ごとに１ピッ
チずつ位置ズレし、全体として傾斜した斜め織り組織と
なっている。

【００２１】この斜め織り組織は汗を吸った場合に、肌
との接触面を少なくしてベタ付き感を無くす作用を呈
す。よって、テープ３を構成する大可伸層の一つとし
て、この斜め織り組織を組合わせることも汗取りテープ
としては優れたものとなる。以上述べたように、本発明
の汗取りテープは、伸縮性の小さな小可伸層の両側又は
片側に伸縮性の大きな大可伸層を形成したもので、次の
ような効果を得ることが出来る。

【００２２】

【発明の効果】本発明の汗取りテープは小可伸層を中立
層として、その片側又は両側に形成した大可伸層を有し
ている為に、幅方向に湾曲することが出来る。したがっ
て、帽子のクラウン内周に沿って縫着する場合、シワを
作ることなく該内周になじませることが出来る。そし
て、又テープ全体は長手方向への伸びがある為に、縫着
し易く、しかもクラウン内周面にフィットすることが出
来る。

【００２３】テープは組織を異にする複数層で構成する
ため、所定の層を目安としてクラウン内周に縫着するこ
とが出来、また上記大可伸層を斜め織り組織で構成する
ならば、汗を吸った場合に肌との接触面が少なくてベタ
付き感を与えず、特に親水性の糸を用いることで吸汗性
に優れる。更にはタテ糸やヨコ糸として抗菌性のある糸
を使用するならば、汗等による雑菌の増殖を抑制して汗
臭さを防止することが出来る。

【００２４】一方、このテープは細幅テープとして製作
するため、小ロットに対応可能となり、帽子の色彩と調
和した色に必要なロットだけ染色することが可能とな
り、従来のようにテープの色違いが原因で帽子の意匠を
損なうことはない。そして、糸はポリエステル等の熱可
塑性に優れた性質を有している為に、縫着の際に発生し
たシワはアイロンかけすることで無くすことが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】一般的な帽子。

【図２】本発明の汗取りテープ。

【図３】本発明の汗取りテープを構成する組織図。

【図４】本発明の汗取りテープを構成する他の組織図。

【図５】（ａ）は小可伸層のタテ糸とヨコ糸の関係、
（ｂ）は大可伸層のタテ糸とヨコ糸の関係。

【図６】斜め織り組織をした大可伸層。

【符号の説明】

１ クラウン ２ ツバ ３ 汗取りテープ ４ 層 ５ タテ糸 ６ ヨコ糸

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 帽子のクラウン内周に沿って止着される
   汗取りテープにおいて、該テープは伸縮性の小さな小可
   伸層と伸縮性の大きな大可伸層から成り、上記小可伸層
   はタテ糸とヨコ糸が交互に規則正しく絡み合った織組織
   を有し、一方の大可伸層は上記ヨコ糸に対してタテ糸が
   交互に絡み合うことなく、飛び飛びに絡み合った組織と
   したもので、上記大可伸層のタテ糸に僅かな緩みを与
   え、上記小可伸層を中立層として両側又は片側に大可伸
   層を形成し、長手方向に伸縮可能であると共に幅方向に
   湾曲することを特徴とする帽子の汗取りテープ。
2. 【請求項２】 上記タテ糸又はヨコ糸の少なくとも片方
   の糸を親水性と抗菌性に優れ、熱可塑性を有す糸とした
   請求項１記載の帽子の汗取りテープ。