JPH0796111A - 水平式真空ベルトフイルター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】使用するエンドレス濾布ベルトの種類の制約を
なくし、装置の大容量化にも向く低コストの高性能かつ
経済的な水平式真空ベルトフィルターを提供することを
目的とする。 【構成】真空引き箱の真空時に濾布ベルト上に供給した
原液スラリーの濾過及び得られたケーキの洗浄を行い、
真空引き箱を大気圧に切り換えたとき、濾布ベルトの間
欠的移動により、水平ベルト部の前端からケーキの排出
を行う水平式真空ベルトフィルターにおいて、水平ベル
ト部の前端共通ロールから下方へＵターンしたのち後方
へ延びて外側大ループをなすエンドレス濾布ベルトと、
水平ベルト部の下面に接して前方へ延びその共通前端ロ
ールから下方へＵターンしたのちエンドレス濾布ベルト
の内側に形成され内側小ループをなすエンドレス伴走ベ
ルトとを具えたことを特徴とする水平式真空ベルトフィ
ルター。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は水平式真空ベルトフィル
ターに関する。

【０００２】

【従来の技術】水平式真空ベルトフィルターは、濾過面
積，ベルト速度等を任意に調節して、処理原液スラリー
の性状に柔軟に対応でき、生成したケーキを向流多段的
に洗浄できるので、少量の洗浄水でも確実かつ高効率で
洗浄できる等の利点がある。それ故、この種のベルトフ
ィルターは化学工業，鉱業，金属工業，食品工業等の多
くの分野で広く採用されている。従来、使用されている
水平式真空ベルトフィルターは次の２型式に大別され
る。

【０００３】(1) 間欠往復動式 これは、特公昭５５−３３３６８号に示されているよう
に、エンドレス濾布ベルトの水平部の下面に沿ってベル
ト巾と同一巾を有する複数の偏平長方形真空引き箱を縦
列的に配設し、複数の真空引き箱と濾布ベルトとを同時
に一体的に所定ストローク前進させ、真空引き箱の真空
引きを停止したときに同真空引き箱を駆動シリンダーで
原位置へ戻す動作をくり返す型式である。この型式はケ
ーキを実質的に連続的に排出できる利点がある半面、間
欠的移動に好適な厚手の強力な濾布ベルトを必要とし、
さらに真空引き箱の駆動系統が複雑になり、コストが高
くなるとともに機械の大きさに限度があるという難点が
ある。

【０００４】(2) 固定真空引き箱式 これは、特公昭５５−２６８８６号で示されているよう
に、真空引き箱は固定され、その三方切換バルブの切り
換えによって箱内を真空引きと大気開放との二状態に交
互にくり返し、真空引き状態で濾過操作を行い、大気開
放状態で濾布の移動とケーキの排出を行うものである。
この型式は、ケーキの排出は濾布の移動時にのみ行われ
るので、間欠的であるという短所を有しているものの、
構造が比較的簡単であり、設備費が安価である長所を有
する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みて提案されたもので、使用するエンドレス濾
布ベルトの種類の制約をなくし、装置の大容量化にも向
く低コストの高性能かつ経済的な水平式真空ベルトフィ
ルターを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そのために請求項１の発
明は、縦鉛直面上に前後上下に配設された複数の横方向
平行ロールに掛け回されて循環的に移動するエンドレス
濾布ベルトの上端水平ベルト部の下面に沿ってこれに接
して複数の長方形の偏平真空引き箱を適宜間隔で固定し
て設け、前記真空引き箱の真空時に前記濾布ベルト上に
供給した原液スラリーの濾過及び得られたケーキの洗浄
を行い、前記真空引き箱を大気圧に切り換えたとき、前
記濾布ベルトの間欠的移動により、前記水平ベルト部の
前端からケーキの排出を行う水平式真空ベルトフィルタ
ーにおいて、前記水平ベルト部の前端共通ロールから下
方へＵターンしたのち後方へ延びて外側大ループをなす
エンドレス濾布ベルトと、前記水平ベルト部の下面に接
して前方へ延びその共通前端ロールから下方へＵターン
したのち前記エンドレス濾布ベルトの内側に形成され内
側小ループをなすエンドレス伴走ベルトとを具えたこと
を特徴とする水平式真空ベルトフィルターである。

【０００７】請求項２の発明は、請求項１において、水
平ベルト部でエンドレス濾布ベルトの下面と真空引き箱
の上縁との間に通気性を有するエンドレス伴走ベルトを
介在して二重水平ベルト部を形成し、このエンドレス伴
走ベルトを駆動ロールで前方に移動することにより、摩
擦力で前記水平ベルト部のエンドレス濾布ベルトを前方
へ移動することを特徴とする水平式真空ベルトフィルタ
ーの駆動方法である。

【０００８】

【作用】このような構成によれば、エンドレス伴走ベル
ト（以下伴走ベルトという）に大きい張力を持たせ、そ
の水平部上に重畳されたエンドレス濾布ベルト（以下濾
布ベルトという）には、たるまない程度の小さい張力を
与えるだけでよい。濾過されたケーキを上載する濾布ベ
ルトは、上面の水平部分で真空引きの作用が効き、伴走
ベルトに密着した状態を保っている。真空引きを停止し
真空引き箱を大気圧としたのち、駆動ロールにより伴走
ベルトを駆動すると、水平部の前後のロール５ａ−２，
５ａ−３による摩擦力の作用で、濾布ベルトは伴走ベル
トと一体的に移動する。したがって、濾布ベルトのみの
間欠的移動による従来のタイプのベルトフィルターと比
較して、濾布ベルトの強度上の制約は大巾に少なくなる
から、従来、使用不可能であった強度の小さい繊細な濾
布ベルトの使用も可能となる。一方、伴走ベルトは通常
の濾布よりも強度を有する布を使用できるので、従来の
同一形式のベルトフィルターと比べて機長を1.5 〜２倍
に長くできる大型化が可能となる。

【０００９】

【実施例】本発明の一実施例を図面について説明する
と、図１はその全体側面図、図２は図１のII−II矢視横
断面図である。

【００１０】まず図１〜図２において、実線１ａは濾布
ベルトで、後端ロール５ａ−１，後部共通ガイドロール
５，後部共通中間ロール５ａ−２を経て前端共通ロール
５ａ−３に達し、ここで下方へＵターンしたのち濾布緊
張ロール７ａ，前部中間ロール７ａ−１，後部中間ロー
ル７ａ−２，濾布ベルト蛇行修正ロール６ａを経て後端
ロール５ａ−１に戻る外側ループを形成している。

【００１１】破線１ｂは伴走ベルトで、後部共通ガイド
ロール５から後部共通中間ロール５ａ−２を経て前端共
通ロール５ａ−３に達したのち、ここで下方へＵターン
して前部中間ロール８ｂ−１，伴走ベルト駆動ロール
８，後部中間ロール８ｂ−２，伴走ベルト張力調節ロー
ル７ｂ，中間ロール８ｂ−３，８ｂ−４，伴走ベルト蛇
行修正ロール６ｂを経て後部共通ガイドロール５に戻る
内側ループを形成する。ここで、外側ループを形成する
濾布ベルト１ａと内側ループを形成する伴走ベルト１ｂ
とは、後部共通中間ロール５ａ−２と前端共通ロール５
ａ−３との間で上下に重なった二重水平ベルト部（以下
水平ベルト部という）を形成している。

【００１２】２−１，２−２，２−３はそれぞれ濾布ベ
ルト巾と同一巾を有する偏平真空引き箱で、それぞれ同
一サイズの長方形の上端が開口し、底板にはそれぞれ真
空引き配管１１，１２が接続されている。各真空引き配
管１１，１２の下端は、それぞれ真空レシーバ１６，１
７の一側に接続され、各真空レシーバの下端にはそれぞ
れ濾液ポンプ１４と洗浄液ポンプ１５が接続され、また
上端には共通の真空ポンプ１３が接続されている。９，
１０はそれぞれ真空引き配管１１，１２に挿着された三
方電磁切換弁で、各真空引き箱２−１，２−３の内部を
濾過操作中はそれぞれ真空レシーバ１６，１７に連通
し、ケーキ排出中はそれぞれ大気に連通するように選択
的に遠隔制御される。

【００１３】１８は後端ロール５ａ−１を前後方向に移
動することにより濾布ベルト１ａの張力を調節する濾布
ベルト張力調節用油圧シリンダー、１９は伴走ベルト張
力調節ロール７ｂを前後方向に移動する伴走ベルト張力
調節用油圧シリンダーである。３，４はそれぞれ２重水
平ベルト部の後端寄りの位置，央部位置のそれぞれの若
干上方に配置され、それぞれ原液スラリー，洗浄液を２
重水平ベルト部の後端寄り，央部にそれぞれ供給するス
ラリーフィーダー，洗浄液フィーダーである。２０は真
空引き箱２−１〜２−４内に装着される液体が自在に流
れるメッシュプレートであり、表面は伴走ベルトが円滑
に摺動できるよう平滑になっている。２１は濾布洗浄手
段である。

【００１４】このような装置において、濾過時には、各
真空引き箱２−１，２−２，２−３，２−４は三方電磁
切換弁９，１０により真空レシーバ１６，１７に連通さ
れて真空引きされることにより減圧される。やがて濾過
により濾布ベルト上にケーキが形成されると、三方電磁
切換弁９，１０の切り換えにより、真空引き箱はそれぞ
れ大気に連通するので濾布ベルトに作用する差圧はゼロ
となる。濾布ベルトと真空箱との摩擦力は低下し、濾布
ベルトは伴走ベルトの移動とともに軽快に前方へ移動
し、真空引き箱２−３、２−４の上方に移ったケーキ
は、真空時に洗浄液の散布により洗浄される。このよう
にして洗浄されたケーキは、濾布ベルトの移動時に、図
示省略のスクレーパにより濾布ベルトから剥離され、濾
布ベルトの前端共通ロール５ａ−３における下方へのＵ
ターンの際に濾布ベルトから落下する。

【００１５】このようにして、真空引き箱による真空引
き作用及び真空引き箱の大気圧導入作用を間欠的にくり
返すことにより、スラリーの濾布ベルトによる濾過作用
がバッチ速度で進行する。

【００１６】

【発明の効果】以上のような構成と作用を有する本発明
によれば、下記の効果が得られるので、本発明は産業上
極めて有益である。従来のこの種の装置では濾布ベルト
のみが駆動ロールに直接かけ回されて移動する構造であ
るから、濾布ベルトには大きな張力がかかるため、その
織り方及び引張強度に大きな制約があった。しかしなが
ら、本発明装置では十分な通気性及び引張強度を有し、
濾過機能を不要とする伴走ベルトにより濾布ベルトは伴
走される。伴走ベルトとしては、例えば、ポリエステ
ル，ポリプロピレンの単繊維（モノフィラメント）のも
のが採用できる。ちなみに、この種のモノフィラメント
ベルトは、慣用の濾布ベルトに比べて２〜３倍の張力を
かけることが可能であり、それだけ低価格で機長を延長
し大型化することができる。また、濾布ベルトとして
は、単独では採用できない微細繊維製濾布等も使用可能
となる。その結果、特殊濾布ベルトを採用することによ
り、従来この種のフィルターでは処理不可能であった微
細粒子の濾過も可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す全体側面図。

【図２】図１のII−II矢視横断面図。

【符号の説明】

１ａ；濾布ベルト，１ｂ；伴走ベルト、２−１〜２−
４；真空引き箱、３；原液スラリーフィーダー、４；洗
浄液フィーダー、５；後部共通ガイドロール、５ａ−
１；後端ロール、５ａ−２；後部共通中間ロール、５ａ
−３；前端共通ロール、６ａ；濾布ベルト蛇行修正ロー
ル、６ｂ；伴走ベルト蛇行修正ロール、７ａ；濾布緊張
ロール、７ａ−１；前部中間ロール、７ａ−２；後部中
間ロール、７ｂ；伴走ベルト張力調節ロール、８；伴走
ベルト駆動ロール、８ｂ−１〜４；中間ロール、９，１
０；三方電磁切換弁、１１，１２；真空引き配管、１
３；真空ポンプ、１４；濾液ポンプ、１５；洗浄液ポン
プ、１６，１７；真空レシーバ、１８；濾布ベルト張力
調節用油圧シリンダー、１９；伴走ベルト張力調節用油
圧シリンダー、２０；メッシュプレート、２１；濾布洗
浄手段。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】縦鉛直面上に前後上下に配設された複数の
   横方向平行ロールに掛け回されて循環的に移動するエン
   ドレス濾布ベルトの上端水平ベルト部の下面に沿ってこ
   れに接して複数の長方形の偏平真空引き箱を適宜間隔で
   固定して設け、前記真空引き箱の真空時に前記濾布ベル
   ト上に供給した原液スラリーの濾過及び得られたケーキ
   の洗浄を行い、前記真空引き箱を大気圧に切り換えたと
   き、前記濾布ベルトの間欠的移動により、前記水平ベル
   ト部の前端からケーキの排出を行う水平式真空ベルトフ
   ィルターにおいて、前記水平ベルト部の前端共通ロール
   から下方へＵターンしたのち後方へ延びて外側大ループ
   をなすエンドレス濾布ベルトと、前記水平ベルト部の下
   面に接して前方へ延びその共通前端ロールから下方へＵ
   ターンしたのち前記エンドレス濾布ベルトの内側に形成
   され内側小ループをなすエンドレス伴走ベルトとを具え
   たことを特徴とする水平式真空ベルトフィルター。
2. 【請求項２】請求項１において、水平ベルト部でエンド
   レス濾布ベルトの下面と真空引き箱の上縁との間に通気
   性を有するエンドレス伴走ベルトを介在して二重水平ベ
   ルト部を形成し、このエンドレス伴走ベルトを駆動ロー
   ルで前方に移動することにより、摩擦力で前記水平ベル
   ト部のエンドレス濾布ベルトを前方へ移動することを特
   徴とする水平式真空ベルトフィルターの駆動方法。