JPH079221B2 - ロケットエンジン燃焼室及びその製造方法 - Google Patents

ロケットエンジン燃焼室及びその製造方法

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JPH079221B2 JP17678588A JP17678588A JPH079221B2 JP H079221 B2 JPH079221 B2 JP H079221B2 JP 17678588 A JP17678588 A JP 17678588A JP 17678588 A JP17678588 A JP 17678588A JP H079221 B2 JPH079221 B2 JP H079221B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ロケットエンジン燃焼室及びその製造方法に
関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
従来、ロケットエンジン燃焼室はニッケル等の電鋳によ
り製造されているが、特に大口径のロケットエンジン燃
焼室では、強度や耐熱性を向上させるため、ニッケル等
の電鋳で形成された燃焼室の内面に更にジルコニア、イ
ットリア、セリア等のセラミック溶射層を形成すること
が行なわれている。このロケットエンジン燃焼室は、使
用に際しては約2000〜3000°Kのロケット推進薬燃焼温
度から保護するため、燃焼室壁をロケット推進薬を冷却
剤として冷却(完全再生冷却)するものであり、この場
合、冷却効果を上げるために冷却剤が沸騰しないように
冷却が行なわれる。
しかし、このように燃焼室をニッケル等の金属により形
成することは、熱伝導性が良いので、燃焼室内面からの
熱流束が増加し、このため燃焼室の耐熱性がより一層要
求されるばかりでなく、熱負荷を低減させるために燃焼
室の肉厚を厚くする必要があり、冷却機構も大型化し
て、燃焼噴射機構全体を軽量化する上で問題があった。
また、燃焼室の内面にセラミック溶射層を形成すること
は、セラミック溶射層と燃焼室を形成するニッケル等の
金属との密着性が本質的に悪いので、ロケット推進薬の
燃焼開始時における燃焼室内面の急激な温度上昇によっ
てセラミック溶射層がスポーリングし、剥落したり、亀
裂が発生したりする場合が非常に多く、耐久性に問題が
生じる。このため、超高速で噴出する燃焼ガスに対して
セラミック溶射層が持つ断熱性能、耐摩耗性能が十分発
揮できないものであった。
一方、小口径のロケットエンジン燃焼室にあっては、燃
焼室の内面にセラミック溶射することが困難であるた
め、冷却する際に、燃焼室壁を保護する目的で、燃焼室
の外面をロケット推進薬を冷却剤として冷却すると同時
に、燃焼室の内面に沿ってロケット推進薬の一部を噴出
させる(部分再生冷却)ことが行なわれており、このた
めエネルギーロスが多いという欠点を有していた。
本発明は、上記欠点を除去するためになされたもので、
耐摩耗性、耐熱性に優れ、耐久性が良好であり、かつ冷
却効率が高く、冷却機構を小型化し得て、燃焼噴射機構
全体の軽量化を図ることが可能なロケットエンジン燃焼
室及びその製造方法を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
本発明は、上記目的を達成するため、金属製ロケットエ
ンジン燃焼室体を形成する金属母材中に断熱材粒子を均
一にかつ該燃焼室体の内面から外面に向かうに従い分散
量が漸次減少するように分散させて、傾斜機能を持たせ
たものである。
また、かかる傾斜機能を有するロケットエンジン燃焼室
を製造する方法として、ロケットエンジン燃焼室形成用
母型を断熱材粒子を分散させた金属めっき液中に浸漬し
てめっきを施し、上記母型の外面に金属めっき母相中に
断熱材粒子が分散複合した金属−断熱材粒子複合めっき
膜を形成した後、上記母型を除去して、上記複合めっき
膜よりなるロケット燃焼室を製造するに当り、上記めっ
き時におけるめっき条件又はめっき液中の断熱材粒子の
分散量を漸次変化させて上記複合めっき膜中の断熱材粒
子の共析量が漸次減少するようにめっきを施す方法を採
用したものである。
本発明のロケットエンジン燃焼室は、金属母材中に断熱
材粒子を均一に埋設状態で分散させてあるものであり、
しかも金属母材中の断熱材粒子の分散量を内面から外面
にかけて連続的に減少させて傾斜機能を有する燃焼室と
して構成しているものであるから、内面付近での高熱を
断熱材粒子で遮断すると共に、当該断熱材を取り巻く熱
伝導性のよい金属母材を介して冷却剤により熱を逃すも
のであり、それ故金属母材の熱伝導性を損なうことな
く、断熱材粒子の断熱効果を十分に発揮させ、冷却剤と
して使用するロケット推進薬の沸騰を防止し、冷却効率
を高めている。
しかも、本発明は、金属母材中に断熱材を共析させて一
体的に燃焼室を形成して、ロケット推進薬の燃焼開始時
における燃焼室内面の急激な温度上昇による断熱材の剥
落、亀裂発生を防止し、十分な断熱効果を発揮させてお
り、かつ超高速で噴出する燃焼ガスに対する耐摩耗性及
び耐久性の向上を図っているものである。
この場合、このような傾斜機能を持たせず、断熱材粒子
が多量に分散した層に断熱材粒子が分散していない層を
積層したような断熱材粒子分散量が急激に変化するよう
な構成では、両層の強度、機械的特性や耐熱性が著しく
相違し、断熱材粒子分散量が急変する界面においてこれ
らの物理的特性値が急変し、機械的応力、熱的応力が該
界面に集中する。このため、ロケットエンジンの超高速
燃焼ガスに耐え得ず、亀裂等が生じるおそれがあり、断
熱作用、冷却作用を保証し得ない場合があるが、本発明
は断熱材粒子が内面から外面にかけて漸減する傾斜機能
を有するため、強度、機械的特性や耐熱性などの物理的
特性が内面から外面にかけて漸次変化していくものであ
り、従って部分的に機械的応力、熱的応力が集中するよ
うなことがなく、燃焼ガスを確実に受けとめ、断熱作
用、冷却作用を保障する支持機能に優れているものであ
る。
それ故、本発明はこのように金属母材に断熱材粒子を分
散させて一体的に傾斜機能を有する燃焼室を形成してあ
るため、十分な冷却効率を確保しつつ、十分な断熱効果
を発揮させることができ、しかも燃焼室の肉厚を薄くし
て軽量化を図り、その冷却機構を小型化し、燃焼噴射機
構全体の軽量化を図ることができると共に、冷却剤の沸
騰を防止して冷却効率を高め、十分な断熱効果を発揮さ
せることができるので、燃焼室の内面に沿ってロケット
推進薬を噴出させる必要をなくして小口径の燃焼室にも
好適に使用し得るものである。
また、本発明の製造方法によれば、断熱材粒子を分散し
ためっき液のめっき条件、即ちめっき液組成、pH、陰極
電流密度、撹拌、めっき温度をコントロールし、或いは
断熱材粒子のめっき液中への分散量をコントロールする
ことにより、粒子のめっき膜への共析量をコントロール
することができ、従ってめっき中にこれらの条件、粒子
分散量を漸次変化させることにより、上述した傾斜機能
を有するめっき膜が簡単かつ確実に製造し得るものであ
る。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に係るロケットエンジン燃焼室は、第1図に示し
たようにロケットエンジン燃焼室体1を形成する金属母
材2中に断熱材粒子3を均一に、かつ該燃焼室体1の内
面4から外面5に向かうに従い上記粒子3の分散量が漸
次減少するように分散してなるものである。
ここで、母材2としては、ニッケル,Ni−P,Ni−B,Ni−C
o,Ni−Fe等のニッケル合金、銅、Cu−ZnやCu−Zn−Sn等
の銅合金、鉄、鉄合金などが使用できるが、強度、耐熱
性、熱伝導率、価格等の面からニッケル、ニッケル合金
が最も好適に用いられる。
一方、断熱材粒子3としては、無機材料でも有機材料で
もよいが、1000〜3500℃の耐熱性を有するものが好まし
く、特に断熱性、強度、耐熱性、価格等の点からジルコ
ニア、イットリア、セリア、シリカ、アルミナ、チタニ
ア、ムライト等の無機粒子が好適に使用され、中でもジ
ルコニア、シリカ、イットリアが最も有効である。
上記断熱材粒子の粒径は種々選定し得るが、0.5〜30μ
m、より好ましくは1〜10μm、特に3〜8μm(平均
粒径)が好ましい。粒径が小さ過ぎる場合、逆に大き過
ぎる場合は、粒子の共析量が少なくなり、共析量のコン
トロールが困難になる場合が生じ、十分な傾斜機能を付
与し難くなる。
ロケットエンジン燃焼室体1の肉厚も適宜選択される
が、通常2〜20mm、好ましくは4〜10mm程度に形成し得
る。この場合、上記断熱材粒子3は内面から外面に分散
量が漸減する傾斜機能を有しているものであるが、断熱
材粒子3の分散量は、内面付近(内面から0〜約2mmの
間)では20〜40%、特に25〜35%、中間部分(内面から
約1〜約4mmの間)では10〜30%、特に15〜25%、外面
付近(内面から約2mm以上)では0〜10%、特に0〜5
%(以上の%はいずれも容量%である)とすることが好
適である。内面付近及び中間部分の断熱材粒子分散量が
それぞれ20%、10%より少ないと断熱効果が十分発揮し
得ない場合があり、40%、30%より多いと金属母材の強
度が低下して耐久性に劣る場合が生じる。また、外面付
近の分散量が10%より多いと耐久性が低下する場合が生
じる。
なお、本発明において、断熱材粒子の分散量の漸減は内
面から外面にかけて一連に連続的であってもよく、階段
状に減少していてもよいが、金属母材は一体性が実質的
に保持されている必要があり、これにより傾斜機能が有
効に発揮される。
本発明の上述したロケットエンジン燃焼室は、めっき法
を採用することにより効率よく製造することができる。
即ち、めっき法を採用してロケットエンジン燃焼室を製
造する場合は、アルミニウム等によりロケットエンジン
燃焼室形成用母型を製作し、この母型を断熱材粒子が分
散した金属めっき液中に浸漬してめっきを施し、母型の
外面に金属めっき母相中に断熱材粒子が分散複合した金
属−断熱材粒子複合めっき膜を形成するものであり、こ
の際めっき条件、めっき液中の断熱材粒子の分散量をコ
ントロールすることにより、上述した傾斜機能を有する
複合めっき膜を得るものである。
ここで、金属めっき液は上記燃焼室体を形成する金属母
材に応じて選択された金属のめっき液が用いられるが、
かかるめっき液としては公知のめっき液組成のものが使
用でき、例えば電気ニッケルめっき液としては、スルフ
ァミン酸浴、ワット浴、高硫酸ニッケル浴、高塩化物浴
などが使用し得る。
例えば、ワット浴タイプのものとして下記のものを用い
ることができる。
NiSO4・6H2O 300〜380g/l NiCl2・6H2O 30〜45 〃 H3BO3 30〜40 〃 ピット防止剤 0.5〜1 〃 pH 3.5〜4.5 この場合、本発明により燃焼室を製造するに当り、燃焼
室を全て同一浴でめっき製造してもよく、或いはその一
部を所定のめっき浴でめっき製造(一次電鋳)した後、
そのめっき膜上に別のめっき浴を用いて残る部分をめっ
き製造(二次電鋳)するようにしてもよいが、後者の一
次電鋳後に二次電鋳を行なう方法を採用する場合は、め
っき層の電着応力を少なくし、引張り強度を増す点から
一次電鋳用のめっき浴としてスルファミン酸浴、二次電
鋳用のめっき浴として硫酸塩を主成分とする浴が好適に
用いられる。なお、このようにして異なるめっき浴を使
用する場合は、金属母材の一体性の点から同じ金属のめ
っき浴を使用することが好ましい。
上記めっき浴中に対する断熱材粒子の分散量は0〜1000
g/lの範囲で適宜選定されるが、この場合他の条件が同
一であれば分散量が多くなるほど共析量も増大する。従
って、互に断熱材粒子分散量のみが異なる複数の同一め
っき浴を準備し、順次めっきする方法を採用することに
より、上記傾斜機能を有するめっき膜を形成することが
できる。
本発明において、上記傾斜機能を有するめっき膜を形成
する方法としては、上述した断熱材粒子のめっき液中へ
の分散量を変化させる以外に、めっき条件を変化させる
方法も採用される。
即ち、めっき浴としては、スルファミン酸浴を用いた方
が硫酸塩浴を用いた場合よりも断熱材粒子の共析量が多
くなり、まためっき液中には非イオン活性剤、アニオン
活性剤、カチオン活性剤等を0.0001〜1g/l、特に0.01〜
0.1g/lの範囲で添加し得るが、アニオン活性剤、非イオ
ン活性剤、カチオン活性剤の順で共析量が多くなり、そ
の添加量が多くなる程また共析量も増加する。なお、上
記活性剤としては、従来からめっきに使用されているも
のがいずれも好適に用いられるが、共析量を増大させる
点から、炭化水素系およびフルオロアルキル基系界面活
性剤が好ましく、またラウリル硫酸ナトリウムはめっき
膜のピットを防止する点から0.5〜1g/lを添加すること
が好ましい。
また、公知のニッケルめっきの第一次光沢剤、例えば有
機スルホイミド化合物並びに第二次光沢剤、例えばアセ
チレンアルコール化合物を0.5〜20g/l添加することによ
り、めっき皮膜の柔軟性および外観の改善に効果があ
る。
めっき液のpHは、めっき浴の種類に応じた通常の範囲と
することができ、例えば電気ニッケルめっき液等の場合
はpH3.5〜4.5とすることができるが、断熱材粒子の共析
量はpHが低くなる程増加する傾向にある。なお、スルフ
ァミン酸浴、硫酸塩浴を用いて上述した第1次電鋳、第
二次電鋳を行なう場合は、ピットのない柔軟なめっき膜
を得る点から第一次電鋳はpH3.5〜4.5、第二次電鋳はpH
4.0〜4.5とすることが好ましい。
次に、電気めっきを行なう場合において、陰極電流密度
は通常0.5〜10A/dm2の範囲で選定し得るが、電流密度が
低くなる程断熱材粒子の共析量が増加する。また、めっ
き液の撹拌としては、機械撹拌、ポンプ撹拌、空気撹
拌、カソードロッキング等が採用し得、特に機械撹拌が
好適であるが、この場合撹拌が強い程共析量が増加す
る。例えば、機械撹拌(プロペラ撹拌)においては、プ
ロペラの回転数を50〜2500rpmの範囲とすることがで
き、ポンプ撹拌においては、めっき液の循環量を10〜10
0回/時間とすることができ、空気撹拌においては、空
気量を0.5〜30m3/m2/分とすることができ、カソード
ロッキングにおいては、振幅0.5〜200cm、往復回数0.5
〜150回/分とすることができるが、いずれも強撹拌に
より断熱材粒子の共析量が増加する。
上記の陰極電流密度及び撹拌度合を変化させる方法は、
めっき液組成を変化させることなく、しかも連続的制御
が可能であるため、断熱材粒子の共析量をコントロール
する方法として有効に採用される。
また、めっき温度は電着応力の少ない柔軟なめっき膜を
得る点から通常30〜60℃であるが、めっき温度が高い程
共析量は増加する。従って、めっき温度を変化させるこ
とによっても共析量をコントロールし得る。
なお、めっき時間は燃焼室の肉厚により選定し得るが、
通常1〜2000時間である。
上述したようにして、傾斜機能を有するめっき膜を形成
した後は、適宜方法、例えば母型がアルミニウムである
場合はアルカリ溶液に浸漬するなどの方法により母型を
除去するものであり、これにより第1図に示した如き燃
焼室が得られるものである。
なお、燃焼室には必要により冷却剤通路を形成すること
ができ、例えばめっき終了後にめっき膜の外面に溝加工
を施すなどの手段により冷却剤通路を形成でき、また通
路を内包させることもできる。この冷却剤通路を内包し
た燃焼室を製造する方法としては、第一次電鋳を行なっ
た後、その外面に溝加工を施し、次いで溝内にワックス
を充填するなどしてマスキングした後、第二次電鋳を行
ない、最後に溝内のマスキングを除去する方法が好適に
採用される。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本
発明は下記の実施例に制限されるものではない。
〔実施例〕
金属母材をニッケル,断熱材粒子をジルコニア粒子にて
構成した第2,3図に示すごとき燃焼室(肉厚t約6mm、口
径D80mm)の燃焼室を下記方法により製造した。
まず、アルミニウムで燃焼室母型6(第4図参照、第4
図において右端の直径80mm)を形成した。
次に、この母型を常法に従って前処理した後、下記組成
のジルコニア粒子分散電気ニッケルめっき液に浸漬し、
下記条件で複合めっきを行なった。
めっき液組成 NiSO4・6H2O 320g/l NiCl2・6H2O 40 〃 H3BO3 35 〃 ピット防止剤 0.8 〃 ジルコニア粒子(粒径1μm) 400 〃 pH 4.2 めっき条件 めっき時間 1620分 陰極電流密度 0 → 120分 0.5A/dm2 120 → 1500分 1.5 〃 温 度 45℃ 空気撹拌 100l/min 以上のめっき操作により、第5図に示したように0.7mm
のジルコニア粒子複合ニッケルめっき膜6が得られた
(第一次電鋳)。
このめっき膜6中のジルコニア粒子共析量は内面側から
外面側にかけて下記の通り減少する傾斜機能を有してい
た。
内面からの距離0.01mm 30容量% 〃 約0.7mm 7 〃 次に、第6図に示すように、上記複合ニッケルめっき膜
7の外面を溝8の軸方向に沿って所定数形成し、これら
溝8内にワックス9を充填して溝8内をマスキングした
後、上記めっき膜7上に更に下記組成の電気ニッケルめ
っき液を用いて下記の条件でニッケルめっきを施し、8m
mのニッケルめっき膜10を得た(第二次電鋳)。
めっき液組成 NiSO4・6H2O 320g/l NiCl2・6H2O 40 〃 H3BO3 35 〃 ピット防止剤 0.8 〃 pH 4.2 めっき条件 めっき時間 17000分 陰極電流密度 2.3A/dm2 温 度 40℃ 空気撹拌 弱 い 第二次電鋳終了後、アルカリ溶剤を用いてアルミニウム
製母型6を溶解除去し、更に溝8内のワックス9を除去
して第2,3図に示す燃焼室を得た。ここで、第2,3図は上
記第一次電鋳によるめっき膜7と第二次電鋳によるめっ
き膜10とを境界線を持って示したが、第一次電鋳による
めっき膜7の母相はニッケルであり、第二次電鋳による
めっき膜10もニッケルであるから、両めっき膜7,10は互
に完全に一体化されており、実際は図示したような境界
線は持たないもので、得られた燃焼室は、上記第二次電
鋳によるめっき膜10,即ち燃焼室外面層のジルコニア粒
子共析量が0%であり、全体として内面から外面にかけ
てジルコニア粒子共析量が漸減する傾斜機能を有してい
るものである。なお、上記燃焼室において、溝8は冷却
剤通路を構成する。
このようにして得られた燃焼室の熱的効果を調べた結果
は第1表に示す通りである。なお、第1表には従来のニ
ッケル電鋳のみによる燃焼室の熱的効果の結果を併記す
る。
第1表の結果から明らかなように、本発明により得られ
た燃焼室は、従来のニッケル電鋳品と比較して熱伝導率
をその内面において約6割に低減することができ、使用
時に燃焼室の内面温度は通常500℃程度になるが、この
ような高温を効果的に断熱し得ることが認められた。
また、従来のニッケル電鋳品の内面にジルコニア溶射層
を2mm形成した燃焼室は、燃料噴射直後にジルコニア溶
射層の脱落が生じ易いが、本発明のニッケル母材中にジ
ルコニア粒子が分散した複合皮膜においては、実際にテ
ストした結果ではかかる剥落やジルコニア粒子の剥落は
全く認められず、何の変化もないので、燃料噴射時の熱
衝撃に強いことが確認できた。
〔発明の効果〕
本発明のロケットエンジン燃焼室は下記のような優れた
効果を有し、本発明の製造方法によればかかる燃焼室を
簡単に能率よく確実に製造できる。
(イ)金属母材中の断熱材粒子の分散量が内面から外面
にかけて連続的に減少する傾斜機能を有するため、ロケ
ット推進薬の燃焼開始時における燃焼室内面の急激な温
度上昇にも、断熱剤が脱落したり、亀裂が発生すること
がなく、十分な断熱効果を発揮する。
(ロ)金属母材の熱伝導性を損なうことなく、十分な断
熱効果を発揮できるため、冷却剤として使用するロケッ
ト推進薬の沸騰を防止でき、冷却効率が高まる。
(ハ)十分な冷却効率を確保しつつ、十分な断熱効果を
発揮できるため、燃焼室の肉厚を薄くでき、軽量化がで
き、その冷却機構が小型化でき、燃焼噴射機構全体の軽
量化が図れる。
(ニ)冷却剤の沸騰を防止でき、冷却効率が高まり、燃
焼室の内面に沿ってロケット推進薬を噴出させる必要が
なく、エネルギーロスがなく、小口径のものにも有効に
使用できる。
(ホ)金属母材中に断熱材粒子の共析量が内面から外面
にかけて連続的に減少する傾斜機能を有するため、超高
速で噴出する燃焼ガスに対する耐摩耗性が十分であり、
十分な強度を確保することができ、耐久性に優れたもの
である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る燃焼室を説明する概略断面図、第
2図は本発明の一実施例の断面図、第3図は第2図のII
−II線に沿った断面図、第4図乃至第6図は第2,3図の
実施例を製造する方法を説明するもので、第4図は同方
法に用いる母型の断面図、第5図は同母型に第一次電鋳
を行なった後の断面図、第6図は第二次電鋳を行なった
後の第3図と同状の断面図である。 1…燃焼室体、2…金属母材、3…断熱材粒子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 外川 守人 愛知県名古屋市港区大江町10番地 三菱重 工業株式会社名古屋航空機製作所内 (72)発明者 岡田 益雄 大阪府寝屋川市成田東ガ丘18―4 (72)発明者 松村 宗順 大阪府豊中市立花町1―4―26 (72)発明者 千葉 格 大阪府枚方市出口1―5―1 上村工業株 式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−24818(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属製ロケットエンジン燃焼室体を形成す
    る金属母材中に断熱材粒子を均一にかつ該燃焼室体の内
    面から外面に向かうに従い分散量が漸次減少するように
    分散させたことを特徴とするロケットエンジン燃焼室。
  2. 【請求項2】ロケットエンジン燃焼室形成用母型を断熱
    材粒子を分散させた金属めっき液中に浸漬してめっきを
    施し、上記母型の外面に金属めっき母相中に断熱材粒子
    が分散複合した金属−断熱材粒子複合めっき膜を形成し
    た後、上記母型を除去して、上記複合めっき膜よりなる
    ロケット燃焼室を製造するに当り、上記めっき時におけ
    るめっき条件又はめっき液中の断熱材粒子の分散量を漸
    次変化させて、上記複合めっき膜中の断熱材粒子の共析
    量が漸次減少するようにめっきを施すことを特徴とする
    請求項1記載のロケットエンジン燃焼室の製造方法。
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JP2504325B2 (ja) * 1990-11-07 1996-06-05 三菱重工業株式会社 ロケットエンジン燃焼室
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