JPH079088A - 小ロット生産用連続鋳造設備による鋳片の製造法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小ロット生産用連鋳機で鋼種変えのときのス
クラップ量を少なくする。 【構成】 連鋳機のモ−ルド１０をタ−ンテ−ブル８上
に複数個載置し、このタ−ンテ−ブル８を回転してモ−
ルド１０を、湯道６を介して、順次タンディシュ２に切
換接続することにより鋳片を作る。したがって、鋼種変
えのとき、湯道６に残っている溶鋼のみがスクラップと
なるので、多品種小量生産時のスクラップ量が少なくな
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、小ロット生産に対応し
た連続鋳造設備による鋳片の製造法に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術とその課題】通常、連続鋳造設備における
異鋼種等多品種の小量生産では、連々鋳と呼ばれる連続
鋳造方法が採用されている。かかる操業の場合、複数の
鋼種を連続して注湯するため、境界部に異鋼種の混合状
態が発生する。この混合部は鋳造しようとする鋼種とは
性分が異なるため、一般的にはスクラップにしたり、ま
た、混合を防止するため鉄板等仕切板の連結金具を介在
させて混合状態を可及的に抑えている。したがって、か
かる異鋼種連々鋳法においては、スクラップが多く発生
するという問題があった。また、連結金具を挿入する場
合、その挿入の間、鋳造をストップさせるので、鋳造能
率が低下すると共に、定常部と非定常部の鋳片を比べる
と、鋳片内質（中心偏析）に差を生じ、殊に高級鋼材の
場合、使用に供し難く、スクラップ化せざるを得ないと
いう問題があった。

【０００３】そのため、小ロット生産に関し、本出願人
は、マルチストランド方式の連続鋳造設備において、複
数のストランドに共用する一つのタンディシュを設け、
このタンディシュを分割用堰により、各ストランド毎に
区分した室を形成し、区劃化された室毎にそれぞれタン
ディシュノズルを設け、これらの少なくとも一つの室に
添加剤投入用ホッパ−とガスバブリング装置を設けると
共に、一つのレ−ドルから前記分割用堰を越えて各室に
溶鋼を供給する小ロット生産用タンディシュの提案を行
っている（特開平２−９９２５１号公報参照）。

【０００４】しかしながら、かかる提案の小ロット生産
用タンディシュも添加剤投入用ホッパ−等が設けてある
室において、小ロット生産をすれば、前記のような異鋼
種連々鋳法と同様、やはり小ロット生産の前後において
は、モ−ルド内で混合境界部が発生し、スクラップとな
る鋳片の発生は避けられないという問題があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そこで本発明は、かかる
問題を解決するためになされたもので、その要旨とする
ところは、１）レ−ドル、タンディシュおよびモ−ルド
からなる連続鋳造設備において、前記モ−ルドをタ−ン
テ−ブル上に複数個載置し、該タ−ンテ−ブルを回転し
て、モ−ルドを湯道を介して順次前記タンディシュに切
換接続して注湯することを特徴とする小ロット生産用連
続鋳造設備による鋳片の製造法にあり、また、２）請求
項１のモ−ルドで鋳造された鋳片を、ロ−ラ−エプロン
に挿入して軽圧下圧延することを特徴とする小ロット生
産用連続鋳造設備による鋳片の製造法にある。

【０００６】

【実施例】本発明を添付図面に示す実施例により詳細に
述べる。図１は本発明の実施例の全体模式図、図２は図
１のＡ矢視要部図、図３は図２の要部詳細図である。

【０００７】本実施例は、通常のタンディシュ内におけ
る鋼種変更法や、タンディシュ精錬法を用いて小ロット
生産を行う連続鋳造設備であって、前記タンディシュで
は、レ−ドルから注湯された溶鋼中に、所定の合金を添
加して攪拌したり、溶融合金を添加して、溶鋼の成分を
調整するようになっている。

【０００８】図１において、１はレ−ドル、２はタンデ
ィシュ、３は添加合金投入ホッパ−であって、このタン
ディシュ２には図示しないがガスバブリング装置が設け
られ、溶鋼を均一に攪拌するようになっている。４はレ
−ドルノズル、５はスライディングノズルである。

【０００９】このスライディングノズル５は、外気と遮
断された状態でＬ字状湯道６の入口部６ａに連通してい
る。この湯道６の出口部に設けられた注入口６ｂは、仕
切板７と固定板２１を介して、タ−ンテ−ブル８に設け
た連通口９に連通している。この連通口９は、タ−ンテ
−ブル８に載置するモ−ルド１０の数に応じて設けられ
ており、この連通口９毎にモ−ルド１０が載置されてい
る。すなわち、本実施例では、図２に示すようにタ−ン
テ−ブル８上に８個のモ−ルド１０が放射状に等間隔に
載置されている。前記タ−ンテ−ブル８には、その外周
面に歯車が設けられている。この歯車をピニオン１１を
介してＣＰＵからの信号によって制御されるモ−タ１２
によって間欠的に駆動し、前記タ−ンテ−ブル８を間欠
的に回転させるようになっている。

【００１０】前記固定板２１には、前記注入口６ｂに連
通する貫通孔２２が穿設されており、この貫通孔２２は
前記タ−ンテ−ブル８の回転により連通孔９と選択的連
通するようになっている。前記仕切板７には仕切板用ア
クチュエ−タ１３が付設されている。また、前記Ｌ字状
湯道６の最底部には排出口１４が開口していて、この排
出口１４には栓体１５が設けられている。更に、前記モ
−ルド１０は、図３に示すように縦方向に２つに分割可
能に構成され、１対の開閉用シリンダ１６によって開閉
されるようになっている。また、このモ−ルド１０は、
図示しないが温調（冷却）媒体通路が埋設されており、
更に、必要に応じて電磁攪拌装置を付設して、鋳片の内
質を向上させてもよい。なお、このモ−ルド１０には、
図示しないが冷却ゾ−ンに回転してくると、冷却水を吹
付け冷却するようにしてもよい。

【００１１】図１中、１７は軽圧下可能に構成したロ−
ラ−エプロンで、このロ−ラ−エプロン１７上には、前
記モ−ルド１０で鋳造されたスラブを掴持して挿入する
スラブ用クレ−ン（不図示）が設けられている。そし
て、このロ−ラ−エプロン１７は、造塊分塊法に用いら
れる通常の圧延設備に連設している。

【００１２】次に、本実施例の作用を述べるが、先ず、
同鋼種の鋳片を連続的に次々と生産する場合について述
べる。溶鋼１８はレ−ドル１からタンディシュ２に注湯
され、この溶鋼１８に必要に応じて合金１９を添加して
攪拌する。この成分調整された溶鋼は、湯道６を通り、
固定板２１に設けた貫通孔２２およびタ−ンテ−ブル８
に設けた連通孔９を介して、例えば予め内部に離型剤を
吹き付けているモ−ルド１０ｘの下方から注湯される。
このモ−ルド１０ｘに注湯が終わればタ−ンテ−ブル８
を所定のピッチだけ回転する。その結果、先ず、前記貫
通孔２２とモ−ルド１０ｘの連通孔９とが遮断され、更
に回転すると次のモ−ルド１０ｙの連通孔９と貫通孔２
２とが連通され、このモ−ルド１０ｙ内に溶鋼が注湯さ
れる。

【００１３】一方、先に注湯されたモ−ルド１０ｘには
パウダ−状の保温材２０を被覆して溶鋼上面の皮張りの
発生を遅くする。そして、このモ−ルド１０ｘの溶鋼は
冷却ゾ−ンに移送されて冷却される。そして、このモ−
ルド１０ｘが離型ゾ−ンに移送されると、開閉用シリン
ダ１６によって型開きして鋳片をロ−ラエプロン１７に
搬送する。このロ−ラ−エプロン１７によって鋳片を軽
圧下圧延する。このロ−ラ−エプロン１７での軽圧下圧
延によって鋳片は、通常のインゴット鋳造の際に凝固収
縮によって生じるヒケを、この圧縮によって回避するの
で、ヒケによるロスのない鋳片の鋳造ができる。このと
き、ロ−ラ−エプロン１７に挿入される鋳片は、モ−ル
ド１０への注湯完了からの経過時間や、モ−ルド表面の
温度による鋳片内部の固相率の算定等によってタイミン
グが決められる。このようにして他のモ−ルド１０ｙ
や、次のモ−ルド１０によって鋳造された鋳片は、間欠
的にロ−ラ−エプロン１７に挿入されて所定の鋳片が次
々に生産される。

【００１４】次に、鋼種変えをする場合について述べ
る。今迄鋳込んでいた鋼種の溶鋼の残りをモ−ルド１０
に注湯してしまう。次いで、タンディシュ２のスライデ
ィングノズル５を閉にしてタ−ンテ−ブル８を半ピッチ
だけ回転させて、固定板２１によって湯道６の注入口６
ｂと連通孔９とを遮断する。そして、栓体１５を開にす
る。その結果、湯道６に残っている今迄の鋼種は排出さ
れる。この間にタンディシュ２には新しい溶鋼がレ−ド
ル１から注湯され、次に鋳造する鋼種の成分とするため
に合金１９が添加される。この新しい成分の溶鋼が精錬
されると、栓体１５を閉にしてスライディングノズル５
を開にすると共に、タ−ンテ−ブル８を回転してモ−ル
ド１０を注入口６ｂに合せれば、新しい成分の溶鋼がモ
−ルド１０に注湯される。ここにおいて、栓体１５を開
にして、排出口１４から排出される溶鋼は約１〜２^ton
であって、例えば、前掲の特開平２−９９２５１号公報
で説明した提案のスクラップ量２０〜４０^ton に比べ、
はるかに低減される。

【００１５】なお、本実施例の湯道６は下注ぎ方式であ
るが、本発明はこれに限らず、上注ぎ方式にしてもよ
い。また、本実施例のモ−ルド１０はタ−ンテ−ブル８
に載置しているが、本発明はこれに限らず、レ−ル上を
往復して注入口６ｂにセットするようにしてもよい。

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、タンディシュのスライ
ディングノズルから複数個のモ−ルドへ湯道を介して注
湯したので、小ロット生産による鋼種変更の際、湯道に
残っている溶鋼のみがスクラップとなることから、その
量をきわめて小量とし、多品種小量生産時のスクラップ
量を大幅に低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の全体模式図である。

【図２】図１のＡ矢視要部図である。

【図３】図２の要部詳細図である。

【符号の説明】

１…レ−ドル、２…タンディシュ、３…添加合金投入ホ
ッパ−、５…スライディングノズル、６…湯道、８…タ
−ンテ−ブル、１０…モ−ルド、１７…ロ−ラ−エプロ
ン

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レ−ドル、タンディシュおよびモ−ルド
   からなる連続鋳造設備において、 前記モ−ルドをタ−ンテ−ブル上に複数個載置し、該タ
   −ンテ−ブルを回転して、モ−ルドを湯道を介して順次
   前記タンディシュに切換接続して注湯することを特徴と
   する小ロット生産用連続鋳造設備による鋳片の製造法。
2. 【請求項２】 請求項１のモ−ルドで鋳造された鋳片
   を、ロ−ラ−エプロンに挿入して軽圧下圧延することを
   特徴とする小ロット生産用連続鋳造設備による鋳片の製
   造法。