JPH0788434B2 - 木質系発泡体の製造方法 - Google Patents

木質系発泡体の製造方法

Info

Publication number
JPH0788434B2
JPH0788434B2 JP19334887A JP19334887A JPH0788434B2 JP H0788434 B2 JPH0788434 B2 JP H0788434B2 JP 19334887 A JP19334887 A JP 19334887A JP 19334887 A JP19334887 A JP 19334887A JP H0788434 B2 JPH0788434 B2 JP H0788434B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wood
foam
solution
anhydride
physical properties
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP19334887A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6436628A (en
Inventor
信夫 白石
徳郎 横田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP19334887A priority Critical patent/JPH0788434B2/ja
Publication of JPS6436628A publication Critical patent/JPS6436628A/ja
Publication of JPH0788434B2 publication Critical patent/JPH0788434B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、密度、圧縮応力及び弾性率等の物性において
優れた木質系発泡体の有効かつ簡便な製造方法に関し、
更に詳しくは無処理の木質材から調製された木材溶液を
発泡硬化させることからなる、木質系発泡体の製造方法
に関するものである。
従来技術とその問題点 従来、木質材の利用法の1つに、木粉と発泡性樹脂を混
練して発泡体(合成木材)を得る技術があり、広く知ら
れている。しかしながら、この発泡体の場合、木粉は単
なる充填材または骨材としての役割しか果しておらず、
木質材の特性を有効に利用したものとは言えない。木質
系資源の有効利用が望まれているにもかかわらず、これ
まで、木質材自身が樹脂化に積極的に関与することによ
り、その特性が活かされている木質材発泡体が得られな
かった理由は、主として、木材がそのままでは種々の溶
媒に溶解し難く、例え溶解したとしても発泡体を製造す
るための高分子反応に適した木材溶液を調製することが
難しく、実用的でなかった。
他方、木質材の有効利用の一環として、木質材の成分で
あるリグノセルロース等のポリオールとしての性質を利
用し、接着剤やフィルム等の樹脂原料として用いること
が提唱されている。例えば、木質材(以下、本明細書中
では、木材等のリグノセルロース類一般を指すものとす
る)の水酸基の一部または全部にエステル化またはエー
テル化等の化学修飾を施した後、有機溶媒に溶解させて
木材溶液を調製し、この木材溶液を樹脂化する方法が提
案された(特開昭57−2360、60−104513、60−206883、
61−215675〜9号公報等参照)。しかしながら、これら
の従来例には発泡体の形成に関する具体的な記載は殆ど
なく、工業化に適した実用的な発泡体製造方法の例を見
い出すことはできない。
本発明者らは、木質系発泡体を得るために有効な方法の
開発を目的として鋭意研究を重ねてきたが、高分子化可
能な有機溶媒を用い、酸触媒の存在下で化学的修飾木質
材を処理することによって得られた木材溶液から、木質
系発泡体を調製することに成功した(特開昭61−171744
号公報)。この発明の方法は、それまで知られていなか
った有意義な方法であったが、木質材を予め化学的に修
飾する工程が必要であるために、全体としての製造工程
が複雑になる上、製造コストも高くつくという問題点を
含んでおり、改良の余地が残されていた。従って、既に
市販されている多くの発泡体と物性的に遜色のない木質
系発泡体を簡便に、しかも低コストで製造する方法を開
発するために、本発明者らは継続的に研究を重ねてき
た。
上記の発泡体の製造に関連して、木材溶液を簡便に得る
方法が最近開示された(特開昭61−261358号公報)。こ
の出願の方法は、木質材を直接フェノール類またはビス
フェノール類に溶解させることからなるが、得られた木
材溶液中の木質材の水酸基はそのまま活性化されずに存
在していると考えられる。すなわち、このような木材溶
液を発泡硬化させた場合、主として反応性の化合物であ
る溶媒のみが反応し、木材成分は積極的に反応に関与せ
ず、発泡体の物性の向上に寄与し得ないと推測される。
上記の事情から、優れた物性を有する木質系発泡体を木
質系材料から製造するための、工業化に適した有効な方
法が開発されれば、木質系資源の有効利用に多いに貢献
するものと考えられる。
本発明の目的は、優れた物性を有する木質系発泡体を製
造するための、工業化に適した、実用的かつ有効な方法
を提供することにある。
問題点を解決するための手段 本発明者らは、木質材を二塩基酸の無水物の存在下、高
分子化可能な活性基を有する有機溶媒に溶解せしめてな
る木材溶液に、架橋剤または硬化剤、及び要すれば発泡
剤を加えて発泡硬化させることにより、極めて優れた物
性を有する木質系発泡体を得ることができることを見い
出し、本発明を完成するに至った。
本発明の木質系発泡体の製造に用いられる木材溶液は、
リグノセルロース類一般、即ち木粉、木材繊維、木材チ
ップや単板屑等を粉砕したもの、及びワラやモミガラな
どの植物繊維を包含した木質材から、本発明者らの開発
した新規な方法によって調製される。
木材溶液の製造に用いる二塩基酸の無水物としては、ジ
カルボン酸類の無水物が好ましく、無水マレイン酸及び
無水フタール酸が特に好ましい。これら酸無水物の量は
化合物の種類や、木材溶液の使用目的等に応じて随時変
化され得るが、通常は木質材100部に対して1〜50部、
好ましくは5〜20部とすることができる。
高分子化可能な活性基を有する溶媒としては多価アルコ
ール類、フェノール類、ビニールモノマー、及びグリシ
ジル化合物等を挙げることができる。これらの内、多価
アルコール類および多価フェノール類が特に好ましい。
本発明に用い得る多価アルコール類には、エチレングリ
コール等の二価アルコール、グルセリン等の三価アルコ
ール、及びポリエチレングリコール(例、ポリエチレン
グリコール600)等の重合体が含まれる。多価フェノー
ル類としてはフェノール、レゾルシン、クレゾール、ナ
フトール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールFなどが用いられる。これらは、それぞれ単独で用
いられるが、2種以上の混合物として、あるいは、本発
明の目的に適した他の適当な溶媒との混合物として用い
ることもできる。
さらに、溶解時に最初から、あるいは途中から、水、ま
たは低級アルコールやアセトン等の低沸点の適当な溶媒
を添加共存させ、使用に適した粘度に調整してもよい。
溶液化反応の混合物中の各成分の割合は、使用する試
薬、反応条件等によって適宜選択されるべきものである
が、通常、重量比で、酸無水物1〜50部を溶媒10〜1000
部に含有させ、これと、木質材100部を混合したものが
好ましい。例えば、無水マレイン酸1〜50部をポリエチ
レングリコール600(PEG600)10〜1000部に添加した溶
媒中に木質材100部を加える。より好ましくは無水マレ
イン酸5〜20部、ポリエチレングリコール600(PEG60
0)10〜100部及び木質材100部を混合する。この場合に
は所望により、アセトン(約1〜25%)を添加するとよ
い。
本発明方法に用いられる木材溶液は、上記の条件の範囲
内で選択された反応混合物を200〜300℃に加熱すること
により得られる。好ましくは、約220〜250℃とし、撹
拌、または非撹拌下で反応させる。一般に、反応混合物
をステンレス製の耐圧反応管に仕込み、密閉して温度約
250℃で30分〜4時間反応させると、所望の木材溶液を
得ることができる。このようにして得られた木材溶液の
木質材含有率は、原料の仕込み量に応じて重量%で10〜
90%の範囲である。
この木材溶液に架橋剤または硬化剤、及び要すれば発泡
剤を加えて発泡硬化させる。
架橋剤または硬化剤は、溶液の種類に応じて適宜選択さ
れるが、通常、発泡体の製造に用いられる多価イソシア
ネート化合物、多価グリシジル化合物またはメラミン誘
導体等を用いることができる。以下の実施例では多価イ
ソシアネート(Millionate MR200)を用いた例を示した
が、本発明の目的に適う架橋剤または硬化剤を選択する
ことは当業者にとって極めて容易なことであり、本発明
は特定の架橋剤または硬化剤の使用に限定されるもので
はない。また、必要に応じて反応促進のために触媒を加
えてもよい。架橋剤または硬化剤の種類に応じてどのよ
うな触媒が適当であるかは当業者にとって自明であり、
それらの中から適宜選択することができる。その触媒の
一例としてアミン類および酸無水物を挙げることができ
る。
発泡剤としては、炭酸アンモニウム、重炭酸ソーダ、ア
ゾジカルボンアミド等、熱分解によってガス化するも
の、フレオン等の低沸点溶媒を挙げることができる。な
お、イソシアネート類等のように水の存在によってガス
体を生成するものもあり、その場合には水を加えればよ
い。
発泡硬化は、従来のウレタン樹脂あるいはエポキシ樹脂
を得る条件に準じて行なうことができる。その反応条件
は木材溶液の溶媒や用いる試薬によって種々変化し得
る。本発明に係る木材溶液は、溶解時に無水マレイン酸
等の酸無水物が存在していることにより、無水マレイン
酸の木質材成分への重付加さらには縮合が起こり、少な
くとも、木質材中のリグニンの側鎖α炭素とβ炭素との
間の不飽和基が消滅され(リグニンのフェノール性水酸
基および芳香核の反応性が高められ、さらにはリグニン
への反応性不飽和基の導入を結果する)、さらには木質
材中に水酸基よりも反応性の高いカリボキシル基が導入
されて活性化されていると予測され、樹脂の製造原料と
して極めて有用であると考えられる。このことは、無処
理木材を無水マレイン酸の存在下及び非存在下で調製し
た木材溶液から、揮発性成分を除去したもののIR吸収ス
ペクトルにおいて、前者の試料の方がカルボニル基の吸
収が強いことによって支持されている(第1図)。
本発明に係る木材溶液は上記の如く活性化されているの
で、これに多価イソシアネート類等の架橋剤または硬化
剤と、必要に応じて適当な発泡剤を加え、通常の樹脂化
反応の条件下で発泡硬化処理すると、該木材溶液は、積
極的に反応に関与する。その結果、木材成分が、発泡時
の形態保持に重要な役割を果たし、優れた物性を有する
発泡体を与えることになる。
本発明の木材溶液はそのままでも発泡硬化による樹脂化
に有用であるが、ε−カプロラクトンまたはプロピレン
オキシドを重付加するとより有効に反応し、優れた物性
の樹脂を与える。これは、下記の図に示されるように、
リグニンのフェノール性水酸基にアルコール性水酸基が
付加されること、並びに、立体障害を受け易い位置にあ
るセルロース、リグニンまたはヘミセルロースのアルコ
ール性水酸基にプロピレンオキシドやε−カプロラクト
ンが付加して水酸基をグルコピラノース環や芳香環等か
ら外側へ引き出すよう作用することに起因すると考えら
れる。
上記の、木材成分に無水マレイン酸が重付加さらには縮
合していること、並びにそのようにして得られた木材溶
液にプロピレンオキシドおよびε−カプロラクトンが重
付加していることが、無水マレイン酸の存在下および非
存在下で調製した木材溶液、並びにそれらにε−カプロ
ラクトンまたはプロピレンオキシドを反応させた試料の
GPC分析(ゲルパーミエイションクロマトグラフィ、示
差屈折計およびUV検出計による測定)によって明らかに
された(第2図A,B,C,Dおよび第3図A,B,C,D)。第2図
は木材溶液及びそれにプロピレンオキシドまたはε−カ
プロラクトンを重付加させたもののGPCチャート(示差
屈折計)であり、(A:無水マレイン酸を加えて溶液化し
たもの、B:無水マレイン酸を加えずに溶液化したもの、
C:溶液化木材:プロピレンオキシド=1:5のもの、D:溶
液化木材:ε−カプロラクトン=1:5のもの)、第3図
は同様のGPCチャート(UV検出計)である。これらの図
から明らかなように無水マレイン酸の木材成分への縮
合、該縮合物へのプロピレンオキシドまたはε−カプロ
ラクトンの重付加に伴う高分子化の影響が認められる。
このような活性化は、イソシアネートがフェノール性水
酸基よりもアルコール性水酸基に対して高い反応性を有
するという観点から発泡硬化反応にとって好ましいこと
である。
触媒としてトリエチレンジアミンを用い、ε−カプロラ
クトンを重付加した木材溶液から本発明方法によって得
られた発泡体成形物は、密度0.03(g/cm3)程度の低い
ものまで含まれ、市販の発泡体と比肩し得るものである
ことが示された。木材溶液の含有率と、密度、圧縮強度
及び弾性率等の物性とは密接に関連しており、一般に木
材含有率20〜30%の場合に各物性値は最低となってい
た。このことはまた、木材溶液の存在が発泡体の形成に
深く関与していることを示すものである。他方、フレオ
ンを用い、ε−カプロラクトンを重付加した木材溶液か
ら本発明方法によって得られた発泡体は、細かい均質な
独立気泡を有する硬質発泡体であって、1kgfの荷重を付
加しても圧縮変形の起こらない優れた特性を示し、木材
溶液がその形態保持に重要な役割を果たしていることが
認められた。これらのことは、本発明の木質系ウレタン
発泡体と市販のウレタン発泡体の特徴とを比較した後述
の表3からも明らかである。
また、本発明方法においては、木材溶液中の木材成分の
含有量を変化させることによって、物性の異なる木質系
発泡体を得ることができる。即ち、木材溶液中の木質材
とPEGとの混合割合を調べた結果、木質材の比率が高く
なる程、発泡体の密度が低下し、25%の圧縮変形を起こ
させる応力および圧縮弾性率が低下する。このことは、
木材溶液の形の木材の含有率が高まる程、空隙率が大き
くなり、相対的に軟質発泡体的な性質が顕著になること
を意味する。これはまた、木質材が発泡体の形成に積極
的に関与していることと関連しており、本発明方法で得
られる木質系発泡体が構造的に安定しており、空隙率の
非常に大きい、フレキシブルで優れた物性を有する、市
販のものに遜色のない発泡体であることを示すものであ
る。
効果 本発明方法では、無処理の木質材から得られた、樹脂化
に適した木材溶液を用いて発泡硬化せしめるので、密
度、圧縮応力及び弾性率等の物性において極めて優れた
木質系発泡体を簡便に得ることができる。従ってこのよ
うな本発明の発泡体製造方法、並びに得られた木質系発
泡体は、木質材の有効利用として価値あるものといえ
る。
以下に製造例及び実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明する。
製造例1 木材溶液の調製 乾燥マカンバ木粉(20〜80メッシュ)20g、ポリエチレ
ングリコール600(PEG600)15g、無水マレイン酸4g、及
びアセトン10mlをステンレス製反応管に入れて密閉した
後、250℃で2.5時間静置すると木材溶液が得られた。
得られた木材溶液から揮発性成分を除去した後、IRスペ
クトルを測定した。比較のため、無水マレイン酸非存在
下で溶液化を行ない、得られた木材溶液を同様に処理し
てIRを測定した。その結果を第1図に示す。図から明ら
かなように無水マレイン酸存在下で得られた木材溶液
(A)の方が、非存在下のもの(B)よりカルボニル基
の吸収が強く表われており、これは、無水マレイン酸が
木質材の構成成分中に導入されていることを示してい
る。
製造例2 木材溶液の調製 無水マレイン酸の代わりに無水フタール酸を用いて製造
例1と同様に溶液化反応を行ない、木材溶液を得た。
実施例1 ヒドロキシプロピル化木材溶液からの木質系
発泡体の製造 1.木材溶液のヒドロキシプロピル化 下記の表1に示す量の、製造例1で得られた木材溶液、
プロピレンオキシド及び水酸化カリウムを簡易化学反応
装置TEM−MV50型の反応容器に秤り採って、密閉し、撹
拌下、110℃で2〜4時間反応させた(ヒドロキシプロ
ピル化)。圧力は最初、昇温に伴って7〜8kgf/cm2まで
高まったがその後下降し2〜4時間後には0〜0.5kgf/c
m2になった。次に、溶液状生成物を酢酸で中和し、ロー
タリーエバポレーターを用い、減圧下で未反応のプロピ
レンオキシド及び水を除去し、室温まで冷却した。
2.発泡体の製造 実施例1.1で調製したヒドロキシプロピル化木材溶液10
g、多価イソシアネート化合物(Millionate MR200)10
g、トリエチレンジアミン(触媒)の10%水溶液(水は
発泡剤として作用する)0.25ml、及びスタホームF(発
泡調製剤)0.20gを混合し、激しく撹拌して発泡させ
た。さらに、90℃で2時間処理して硬化させた。
このようにして得られた発泡体成形物は、密度0.03〜0.
04g/cm3であって、半硬質発泡体として優れた性質を有
していた。プロピレンオキシドの添加量、即ち木材溶液
中の木質材の希釈率(木材溶液(g)/(木材溶液
(g)+プロピレンオキシド(g))と発泡体の物性
(密度、圧縮応力、弾性率、及び降伏応力)との関係を
それぞれ第4、5、6、7図に示す。
比較のため、木材溶液の代わりにポリエチレングリコー
ル(PEG)600(10g)のみを用い、多価イソシアネート
化合物(Millionate MR200)5g、10%トリエチレンジア
ミン水溶液0.20ml、及びスタホームF0.20mlから発泡体
を調製したところ、発泡後直ちに容積の収縮が起こり、
密度0.18g/cm3の、発泡倍率の非常に小さい軟質発泡体
が得られた。このことは、木材溶液が発泡体の成形、特
に発泡時における形態保持に重要な役割を果たしている
ことを示すものである。
実施例2 ε−カプロラクトン重付加に係る木材溶液か
らの発泡体の製造 1.木材溶液へのε−カプロラクトンの開環重合 下記の表2に記載の量の製造例2で得られた木材溶液、
ε−カプロラクトン及び水酸化カリウムを簡易化学反応
装置TEM−MV50型の反応容器に秤り採って密閉し、撹拌
下、180℃で1時間反応させた。内圧は反応に伴って2kg
f/cm2まで高まった。次に、溶液状生成物を酢酸で中和
し、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下、150℃
で未反応のε−カプロラクトン及び水を除去し、室温ま
で冷却した。
2.発泡体の製造 2.1 発泡剤としてトリエチレンジアミン水溶液中の水
を用いる方法 上記実施例2.1で調製したε−カプロラクトンを重付加
させた木材溶液10gを50℃に保持し、多価イソシアネー
ト化合物(Millionate MR200)10g、トリエチレンジア
ミン(触媒)の10%水溶液0.20ml、及びスタホームF
(発泡調製剤)0.20gを混合し、激しく撹拌して発泡さ
せた。さらに90℃で2時間処理して硬化させた。
このようにして得られた発泡体成形物は、密度0.03g/cm
3程度の低いものまで得られ、市販の同種発泡体と比肩
し得るものである。実施例1の場合と同様に木材溶液中
の木質材の希釈率と発泡体の物性との関係を調べた結果
を第8、9、10図に示した。これらの図から明らかなよ
うに、密度、圧縮応力及び弾性率のすべてが、木材溶液
の含有率と密接に関連しており、含有率20〜30%の場合
に最低となっている。このことは、木材成分の含有率が
上記範囲の当該数値より低くなると、発泡体生成時に形
態保持が十分になされず、一度形成された発泡体が収縮
して密度が高くなるためと考えられる。密度が高くなる
と圧縮強度及び弾性率は大きくなる。このことからも木
材溶液の存在が発泡体の形成に深く関与していることが
分かる。
2.2 フレオンを用いる方法 別法として、発泡剤としてトリエチレンジアミン水溶液
中の水の代わりにフレオンを用い、2.1と同様にして発
泡体を得た。
この発泡体は細かい均質な独立気泡を有する硬質発泡体
であって、1kgfの荷重を付加しても圧縮変形の起こらな
い優れた特性を示した。この場合も2.1と同様に、木材
溶液中の木質材の含有率と得られた木質系発泡体の物性
(密度、圧縮応力及び弾性率)は密接に関連しているこ
とが分かった(それぞれ、第11、12、13図)。
上記各実施例で得られた本発明の代表的な木質系発泡体
の物性を市販のポリウレタン発泡体のそれと比較し、表
3に示す。
表3より、本発明方法で調製した発泡体は、市販の発泡
体とほぼ同様な物性を有していることが分かる。
以上の記載から、本発明方法によれば、木材成分が発泡
体樹脂の形成に積極的に関与してなる、優れた物性の木
質系発泡体を得ることができることが分かる。そこで、
成形発泡体の物性に対する、木材溶液中の木材成分とPE
Gとの混合割合の影響を以下の試験例に記載の方法で調
べた。
試験例1 PEG600をそれぞれ、5、10、15及び20g用いる外は製造
例1と同様にして木質材とPEG600との混合比の異なる木
材溶液を調製した。これらの木材溶液を実施例2の記載
にしたがって、ε−カプロラクトンの開環重合に付した
後、発泡成形させた。成形発泡体の物性、即ち密度、圧
縮応力、及び弾性率を比較検討した。結果を第14、15、
16図に示す。これらの図から、木質材の含有率が高くな
る程、発泡体の密度が低下し、25%の圧縮変形を起こさ
せる応力および圧縮弾性率が低下することが分かる。即
ち、木材溶液の形の木材の含有率が高まる程、空隙率が
大きくなり、相対的により軟質発泡体的な性質が顕著に
なる。木質材:PEG600の重量比が20:5と圧倒的に木質材
の方が多い木材溶液を用いても物性の良好な軟質発泡体
が得られる。以上の結果からわかる様に、本発明方法に
よれば、木質材そのものを発泡体の形成に積極的に関与
せしめることができるので、ポリエチレングリコールの
数倍量の木質材を含有する木材溶液からも、空隙率の非
常に大きい、フレキシブルで優れた物性を有する軟質発
泡体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は無水マレイン酸の存在下(A)及び非存在下
(B)に調製した木材溶液のIRスペクトル、第2図は木
材溶液、及びそれにプロピレンオキシドまたはε−カプ
トラクトンを重付加させたもののGPCチャート(示差屈
折計)を示すグラフ、第3図は第2図と同様の試料のGP
Cチャート(UV検出計)を示すグラフ、第4、5、6、
7図はそれぞれ、ヒドロキシプロピル化木材溶液から調
製した木質系発泡体の密度、圧縮応力、弾性率、及び降
伏応力と、木材溶液中の木質材の希釈率(木質溶液
(g))/(木材溶液(g)+プロピレンオキシド
(g))との関係を示すグラフ、第8、9、10図は、ε
−カプロラクトンを重付加させた木材溶液から、トリエ
チレンジアミンを用いて調製した木質系発泡体の密度、
圧縮応力及び弾性率と、木材溶液中の木質材の希釈率と
の関係を示すグラフ、第11、12、13図は、ε−カプトラ
クトンを重付加させた木材溶液からフレオンを用いて調
製した木質系発泡体の密度、圧縮応力及び弾性率と、木
材溶液中の木質材の希釈率との関係を示すグラフ、第1
4、15、16図は、木質系発泡体の密度、圧縮応力及び弾
性率と、木材溶液中の木質材含有量(木質材とPEG600と
の混合比)との関係を示すグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】木質材を二塩基酸の無水物の存在下、高分
    子化可能な活性基を有する有機溶媒に溶解せしめてなる
    木材溶液に、架橋剤または硬化剤、及び要すれば発泡剤
    を加えて発泡硬化させることを特徴とする木質系発泡体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】二塩基酸の無水物が無水ジカルボン酸であ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】高分子化可能な活性基を有する有機溶媒が
    アルコール類、フェノール類、エーテル類、ケトン類か
    ら選択されるものであることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載の方法。
  4. 【請求項4】二塩基酸の無水物が無水マレイン酸または
    無水フタール酸であり、高分子化可能な活性基を有する
    有機溶媒が多価アルコール類であることを特徴とする特
    許請求の範囲第1項記載の方法。
JP19334887A 1987-07-30 1987-07-30 木質系発泡体の製造方法 Expired - Fee Related JPH0788434B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19334887A JPH0788434B2 (ja) 1987-07-30 1987-07-30 木質系発泡体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19334887A JPH0788434B2 (ja) 1987-07-30 1987-07-30 木質系発泡体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6436628A JPS6436628A (en) 1989-02-07
JPH0788434B2 true JPH0788434B2 (ja) 1995-09-27

Family

ID=16306405

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19334887A Expired - Fee Related JPH0788434B2 (ja) 1987-07-30 1987-07-30 木質系発泡体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0788434B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0250026U (ja) * 1988-09-28 1990-04-06
FR2824329B1 (fr) * 2001-05-03 2003-06-13 Atofina Compositions de polymeres antistatique

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6436628A (en) 1989-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wang et al. Highly resilient lignin-containing polyurethane foam
Kurimoto et al. Mechanical properties of polyurethane films prepared from liquefied wood with polymeric MDI
Sternberg et al. Materials for the biorefinery: high bio-content, shape memory Kraft lignin-derived non-isocyanate polyurethane foams using a non-toxic protocol
Khundamri et al. Bio-based flexible epoxy foam synthesized from epoxidized soybean oil and epoxidized mangosteen tannin
D'Souza et al. Polyurethane foams made from liquefied bark‐based polyols
Fleischer et al. Glycerol-, pentaerythritol-and trimethylolpropane-based polyurethanes and their cellulose carbonate composites prepared via the non-isocyanate route with catalytic carbon dioxide fixation
Yao et al. Water‐absorbing polyurethane foams from liquefied starch
D’Souza et al. Synthesis and characterization of bio-polyols through the oxypropylation of bark and alkaline extracts of bark
JP4651786B2 (ja) バイオマス由来のポリオール及び生分解性ポリウレタン
Dinu et al. Cross-linked polyfuran networks with elastomeric behaviour based on humins biorefinery by-products
Hussain et al. Preparation and physicochemical characterisation of polyurethane foams prepared using hydroxybutylated condensed tannins as a polyol source
Rimdusit et al. Effects of polyol molecular weight on properties of benzoxazine–urethane polymer alloys
AU2015231797A1 (en) Biodegradable crosslinked polymers
Lalanne-Tisné et al. Organocatalyzed ring opening polymerization of lactide from the surface of cellulose nanofibrils
Lubczak et al. Polyurethane foams with starch
CN102504526B (zh) 一种聚醚型聚氨酯材料的制备方法
Sienkiewicz et al. Novel bio-based epoxy-polyurethane materials from modified vegetable oils-synthesis and characterization.
Szpiłyk et al. Polyol and polyurethane foam from cellulose hydrolysate
Tejado et al. Isocyanate curing of novolac-type ligno-phenol–formaldehyde resins
Beneš et al. Impact of natural oil-based recycled polyols on properties of cast polyurethanes
EP1762583A1 (en) Thermoplastic cellulosic composition, process for producing the same, and molded article thereof
JPH08225653A (ja) リグノセルロース物質の液化溶液の製造法
JPH0788434B2 (ja) 木質系発泡体の製造方法
JPWO2020045325A1 (ja) ポリロタキサン、該ポリロタキサンを有する熱硬化性組成物、及び熱硬化架橋体、並びにポリロタキサンの製造方法及び熱硬化架橋体の製造方法
Li et al. Tuning the thermoreversible temperature domain of PTMC-based networks with thermosensitive links concentration

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees