JPH0780502B2 - ヒートシール容器 - Google Patents

ヒートシール容器

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JPH0780502B2
JPH0780502B2 JP6381589A JP6381589A JPH0780502B2 JP H0780502 B2 JPH0780502 B2 JP H0780502B2 JP 6381589 A JP6381589 A JP 6381589A JP 6381589 A JP6381589 A JP 6381589A JP H0780502 B2 JPH0780502 B2 JP H0780502B2
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浩司 鈴木
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秀夫 倉島
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は熱可塑性樹脂を構成素材とするヒートシール容
器に関するもので、より詳細には耐熱性と低温ヒートシ
ール性との組合せを有するヒートシール容器に関する。
(従来の技術) ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性ポリ
エステルは、機械的強度、耐クリープ性、耐衝撃性、透
明性等の物性に優れ、しかも内容物による抽出性も少な
く、内容物の香味保持性(フレーバー保持性)も良好で
あることから、食品類に対する優れた容器用素材であ
り、これを延伸ブロー成形して成るピンや、これを用い
た積層体から成る容器は食品充填密封容器として実用に
供せられている。
熱可塑性樹脂を素材とした容器の利点の一つは、ヒート
シール(熱封緘)により手軽に密封を行い得ることであ
るが、PETを内面材としたヒートシール容器が未だ商業
的に成功するに至っていないのは、PETの融点が約260℃
と高いこと及びヒートシールに際してPET層が結晶化
し、十分な強度ヒートシール部を形成しにくいことによ
る。
この欠点を改善するために、特公昭49−34180号公報に
は、結晶性飽和ポリエステルを被着体間に配置しこれを
融点以上に加熱して溶融せしめた後、或いは結晶性飽和
ポリエステルを融点以上に加熱して溶融せしめこれを被
着体間に配置した後、60℃以下の冷媒で該結晶性飽和ポ
リエステルを急冷し220℃から67℃の間を急速に通過せ
しめることを特徴とする接着方法が提案されており、ま
た特開昭62−53817号公報には、少なくともシールすべ
き界面が熱可塑性ポリエステルで形成された容器形成用
素材の複数個の部分を、該部分の外面をポリエステルの
結晶化温度よりも低い温度に維持しながら、該部分のシ
ール界面及びその近傍が融着温度に達するように内部発
熱により加熱すると共に圧接し、次いでシール界面の温
度を溶融後、1.0秒以内に放熱により結晶化温度領域を
通過させることを特徴とするヒートシール部を有する容
器の製法が提案されている。
(発明が解決しようとする問題点) 前記先行技術における提案は、ヒートシール時における
PET層の結晶化を抑制し、これによりヒートシール部の
強度を高めるという目的に対しては、満足すべきもので
あるとしても、ポリエステルヒートシール界面の温度が
PETの融点以上に達することを必要とするという点で未
だ不満足なものである。
特に、PETは配向結晶化により前述した諸特性が顕著に
向上し、各種成分に対するバリヤー性や耐熱性が向上す
ることが知られており、またPETを熱結晶化させたもの
は耐熱性や剛性が顕著に向上することが知られている
が、このように配向結晶化され或いは熱結晶化されたPE
Tでは、ヒートシール温度が著しく高くなって、容器素
材の熱分解や熱変形を来すようになり、ヒートシール部
の冷却が困難になるという問題もあって、商業的なヒー
トシールが著しく困難なものとなる。
このような問題は、PETのみならず、樹脂の融点そのも
のが高くしかも樹脂が分子配向により結晶化され、或い
は熱結晶化されている熱可塑性樹脂内面材の場合にも同
様に認められる。
従って、本発明の目的は、前記従来技術における上記欠
点が解消され、優れた低温ヒートシール性と耐熱性との
組合せとを有するヒートシール容器を提供するにある。
本発明の他の目的は、短時間の低温ヒートシールで安定
した高強度のシール部を形成することができ、しかもこ
のシール部がレトルト殺菌等の高温殺菌にも耐え得るヒ
ートシール容器を提供するにある。
本発明の更に他の目的は、容器そのものが耐熱性に優れ
ていると共に、内容品がレトルト殺菌され或いは電子オ
ーブンやオーブントースター等で加熱調理されるときに
も、内容品への内面材の抽出等が顕著に抑制されるヒー
トシール容器を提供するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明によれば、対になった包装材料をそれらの対向す
る両面でヒートシールして成るヒートシール密封包装容
器において、前記包装材料の少なくとも一方は、結晶状
態での融解温度が200℃以上である熱可塑性樹脂から成
り且つ配向結晶化され或いは熱結晶化された内面層を有
し、且つ前記内面層のヒートシール部分ではヒートシー
ル面から内面層の厚み方向の途中に至る微小厚さで実質
上非晶質化乃至低結晶化された熱可塑性樹脂部分を有す
ることを特徴とする低温ヒートシール性のヒートシール
密封包装容器が提供される。
(作用) 本発明のヒートシール密封包装材料は、対となった包装
材料をそれらの対向する両面でヒートシールすることに
より形成されているが、この包装材料の少なくとも一方
が次の内面層を有していることが顕著な特徴てある。先
ず、この内面層は結晶状態での融解温度(示差走査熱量
計(DSC)での結晶融解ピーク温度として求められる…M
p)で200°以上、特に200乃至400℃でなければならな
い。内面層樹脂の結晶融解温度を上記範囲に規定してい
るのは、容器内面層の耐熱性の見地からであり、本発明
の容器は、内容物が充填された状態でレトルト殺菌等の
加熱殺菌に賦され或いは更に、内容物を充填した状態で
電子オーブンやオーブンとースター等による加熱調理に
賦されるが、これらの加熱時における熱変形、強度低下
及び内容品の抽出乃至溶出傾向を防止するためには、上
記範囲の結晶融解温度を有しなければならない。
次に、少なくとも内面層を構成する熱可塑性樹脂は結晶
性のものであり、しかも内面層は実際に配向結晶化され
或いは熱結晶化されていなければならない。配向結晶化
も熱結晶化も結晶化という点では同じであり、ただ前者
の場合には三次元的に結晶の異方性があるのに対して、
後者の場合には球晶のように、三次元的に結晶が等方性
である点でのみ相違する。本発明のヒートシール容器に
おける少なくとも内面層は、樹脂が高度に結晶化されて
いることにより、樹脂が非結晶ある場合に比して、熱的
に安定な構造となっていて耐熱性が向上し、更に剛性、
耐クリープ性、ガスバリヤー性、耐抽出性等の容器に要
求される特性が向上するものである。
熱可塑性樹脂の結晶化の程度、即ち結晶化度は一般に密
度法(密度勾配管法による密度)により求めることがで
き、昭和59年11月20日共立出版(株)発行「高分子の固
体構造II」の第305頁の式(6.3)より、 式中、ρは測定樹脂試料の密度(g/cm3)、ρは完全
非晶質の樹脂の密度(g/cm3)、ρは完全結晶質の樹
脂の密度(g/cm3)、Xcvは測定樹脂試料の結晶化度
(%)である。
例えばPETの場合 ρa=1.335(g/cm3)、 ρc=1.455(g/cm3)、 の値を用いるのが一般的である。
で与えられる。本発明の容器においては、内面層の結晶
化度(Xcv)が20%以上であれば、上記特性に関して満
足すべき結果がえられる。
ところで、内面層樹脂が上記した通り、高融点を有し且
つ高度に結晶化されている場合には、容器の耐熱性等に
関しては、きわめて満足すべき結果が得られるとして
も、ヒートシール性がきわめて悪くなり、ヒートシール
強度も満足すべきレベルには到底到達しないようにな
る。本発明の容器の内面層のヒートシール部分に、ヒー
トシール面から内面層の厚み方向の途中に至る微小厚さ
で実質上非晶質化乃至低結晶化された樹脂部分を設けた
ことが第三の特徴であり、顕著な特徴である。即ち、実
質上非晶質化乃至低結晶化された樹脂部分をヒートシー
ル部に設けることにより、この樹脂の融点(Mp)よりも
低い温度、一般にMp−100℃乃至Mp−10℃の温度でヒー
トシール可能となり、低温シールが可能となるばかりで
はなく、シール強度が1.5Kg/15mm幅以上の高シール強度
のヒートシール部を形成し得ると共に、このヒートシー
ル部は、例えば120℃で30分間のレトルト殺菌も十分耐
え得るようになる。実質上非晶質化乃至低結晶化された
樹脂部分は、ヒートシール面から内面層の厚み方向の途
中に至る微小厚さでもうけることも重要であり、厚み方
向に全体にわたって非晶質化乃至低結晶化されている場
合には、ヒートシール部が熱変形しまたシール強度やヒ
ートシール部の耐熱性が著しく低下するのに対して、本
発明によれば、ヒートシール部のヒートシール面に近接
した厚み方向の一部にのみ非晶化乃至低結晶化部分を設
け、厚み方向の他の部分には配向結晶化乃至熱結晶化部
分を残存させることにより、上記の欠点なしに、低温シ
ール性と易シール性とを得ることができる。
非晶質化乃至低結晶化された樹脂部分の結晶化度は、微
小厚さで存在することから、前述した密度法(密度勾配
管法)で測定することは困難であり、樹脂の結晶化度に
依存する特性吸収バンドを利用してレーザーラマン法で
密度分布を測定し、この密度から前記式(1)に基づい
て結晶化度を算出する。例えば、ポリエステルの場合、
この特性吸収バンドはC=0の伸縮振動に基づく波17
30cm-1のピークであり、下記式 式中、Δν1/2は上記特性吸収ピークの半値幅(cm-1
であり、k1およびk2はこの樹脂について半値幅を縦軸、
密度を横軸とした検量線グラフから求められる切片及び
勾配である。
に基づいて密度(ρ)を求めることができる。本発明に
おける非晶質化乃至低結晶化部分は、結晶化度(Xcv
が20%以下であることが望ましい。
尚、本発明において内面層とは、内面層を含めた全体
(単層)が前述した融解温度を結晶化構造とを有する樹
脂で構成されていてもよいし、また積層構造体のうち、
内面層のみが上記樹脂で構成されていてもよいことを意
味するものである。
(発明の好適態様) 本発明のヒートシール容器の一例を示す第1−A図及び
第1−B図において、この容器本体1は、カップ状(第
1−A図)乃至トレイ形状(第1−B図)を有し、短い
胴部2、胴部下端に連なる閉塞底部3、及び胴部上端に
連なるヒートシール用フランジ部4を有している。この
容器本体1と別体にヒートシール蓋12があり、ヒートシ
ール蓋12と容器フランジ部4との間にヒートシールによ
る密封が行われる。
この具体例では、容器本体1は、全体が結晶融解温度
(Mp)が200℃以上で且つ配向結晶化乃至熱結晶化され
た樹脂から成る。この容器本体1のヒートシール用フラ
ンジ部4を拡大して示す第2図において、このフランジ
部4はヒートシール面5を有し、このヒートシール面5
からフランジ部4の厚み方向の途中に達するように、微
小厚さdで実質上非晶質化乃至低結晶化された樹脂部分
6が設けられ、その下側には配向結晶化乃至熱結晶化さ
れた樹脂部分7が存在する。実質上非晶質化乃至低結晶
化された樹脂部分6はヒートシールすべき部分(フラン
ジ部の全体乃至一部)にのみ設けられ、樹脂容器1の他
の部分、例えば内面8は配向容器1の他の部分、例えば
内面8は配向結晶乃至熱結晶化された樹脂から構成され
ていることが理解されるべきである。
第1及び第2図の容器は、前記樹脂単層から成る容器の
例であるが、この容器を多層積層構成の容器とすること
もでき、この多層容器の例を示す第3図において、この
多層容器1は、ガスバリヤー性中間層9と樹脂製内外層
10a及び10bとから成る。内外層のうち少なくとも内層10
a、好適には両方の樹脂層10a、10bが本発明の要件を満
足する樹脂層から形成され、そのヒートシール部分に
は、本発明における第2図に示したのと同様なヒートシ
ール部構造6,7が形成される。ガスバリヤー性中間層9
としては、金属箔や後に述べるガスバリヤー性樹脂が使
用される。
容器の他の例を示す第4図において、この容器は、対向
する2片のシート状包装材料11a,11bが袋状に形成さ
れ、その周囲において、ヒートシールされた袋状容器か
ら成り、シート11a,11bはやはり樹脂製内外層10a,10bと
これらの間にサンドイッチされたガスバリヤー性中間層
とから成る。これらのシート11a,11bのヒートされる部
分にも第2図に述べたのと同様なヒートシール部構造6,
7が形成される。
勿論、本発明においては、ヒートシール蓋12(第1図)
も、第4図に示した積層構造とヒートシール部構造とを
有するものとし得ることが了解されるべきである。
本発明において、200℃以上の結晶融解温度(Mp)を有
する結晶化可能な樹脂としては、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、
ポリエチレンナフタレート(PEN)等の二塩基性芳香族
カルボン酸とジオールとから誘導された熱可塑性ポリエ
ステルを挙げることができる。このポリエステルは、そ
の本質を損なわない範囲内で、イソフタル酸、アジピン
酸、デカンカルベン酸、コハク酸等の二塩基酸や、ジエ
チレンルグリコール、トリエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ネオペンタンジオール等のジオール類
を含有し得るが、これらの共重合成分は酸成分或いはジ
オール成分当り20モル%以下の量で存在するのがよい。
用いるポリエステルは、一般に0.4乃至1.8dl/g、特に0.
5乃至1.5dl/gの極限粘度[η]を有するのが好ましい。
本発明の目的には、ポリエチレンテレフタレートが特に
好ましい。
内面層として用いる樹脂は、前記条件を満足する限りポ
リエステルに限定されない。例えば、ナイロン6、ナイ
ロン6,6,ナイロン6,8、ナイロン4,6等の脂肪族ナイロン
類;芳香族二塩基酸と脂肪族ジアミンとから誘導された
ポリアミド、例えばポリヘキサメチレンテレフタラミ
ド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド/イソフタラミ
ド、ポリオクタメチレンテレフタラミド、ポリブチレン
テレフタラミド;脂肪族二塩基酸と芳香脂肪族ジアミン
とから誘導されたポリアミド、例えばポリキシリレンア
ジパミド、ポリキシリレンセバカミド;等が使用され
る。これらのナイロン類は、98%硫酸中、1.0g/dlの濃
度及び20℃の温度で測定した相対粘度(ηrel)が1.6乃
至3.5、特に2.0乃至3.0の範囲内にあることが望まし
い。
勿論、これらの樹脂は、単独で使用し得る他、前述した
条件を満足する範囲内で2種以上のブレンド物でも使用
し得るし、樹脂の改質の目的で、他の熱可塑性樹脂、熱
硬化性樹脂、結晶化用核剤、着色剤、充填剤、粉末乃至
繊維状補強剤、滑剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸
収剤、酸化防止剤、熱安定剤を配合し得ることは当然で
ある。
前記樹脂から容器形成用素材への成形は、例えば押出成
形、射出成形、圧縮成形、中空成形、二軸延伸ブロー成
形、シート乃至フィルムからの圧空成形、プラグアシス
ト成形、張出成形、プレス成形、絞り成形、絞りしごき
成形等のその自体公知の任意の成形手段で行われる。
樹脂に対する配向結晶化は、前述した成形工程或いは成
形工程に続く延伸工程において、成形体を少なくとも一
軸方向に、好適には二軸方向に延伸して少なくとも一軸
方向に分子配向させ、必要によりこの分子配向を熱固定
することにより行われる。有効な延伸倍率は、面積倍率
で2乃至15倍、特に3乃至13倍のオーダーである。熱固
定は樹脂によっても相違するが、ポリエステルの場合
は、150℃以上、ポリアミドの場合は、180℃以上の温度
で行うことが望ましい。
樹脂に対する熱結晶化は、容器形成用素材を、その樹脂
の結晶化温度に保持することにより行われる。結晶化温
度範囲は、用いる樹脂に固有のものであるが、一般にそ
の樹脂のガラス転移点(Tg)以上で、融点(Mp)未満の
温度であり、特にTg+20℃乃至Mp−20℃の範囲が適当で
ある。結晶化速度は、結晶化温度や刻剤の有無、更には
結晶化雰囲気にも依存するが、一般には1乃至2分間の
熱処理が適当である。結晶化の進行に伴い、球晶が生長
し、樹脂の透明性が失われ、白濁化が進行するので、こ
の変化によって熱処理の終点を知ることもできる。
本発明の容器用素材は、図に示した通り、高融点及び高
結晶性樹脂と他の材料との積層体から成ることができ
る。例えばこの積層体の製造に用いる金属箔や金属シー
トとしては、アルミニウム箔、鉄箔、鋼箔、ブリキ箔や
アルミニウム板、前記箔と同様な表面処理鋼板等を挙げ
ることができ、この金属箔乃至シートと前記樹脂との積
層は、これらの間に必要により接着剤を介在させるか或
いは樹脂の熱接着性を利用して、押出コート法、ドライ
ラミネーション法、サンドイッチラミネーション法等で
行うことができる。
また、他の材料としては、高ガスバリヤー性樹脂、例え
ば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリ
デン共重合体、ハイニトリル樹脂、ハイバリヤー性ポリ
エステル、ハイバリヤー性ナイロン樹脂等を挙げること
ができ、この高ガスバリヤー性樹脂との積層体、共押出
成形法、共射出成形法等で直接容器形成用素材に成形す
ることによっても得られるし、また前述した各ラミネー
ション法によっても得られる。
積層体の容器素材への成形及び配向結晶化乃至熱結晶化
は、前述した単層構造の容器素材の場合に準じることが
できるが、本発明によれば、高融点高結晶性樹脂の配向
結晶化や熱結晶化は任意の段階、例えば積層前、積層後
成形前、成形時或いは成形後の任意の段階で行い得るこ
とが了解されるべきである。
容器素材としては、内面被覆無継目絞り乃至絞りしごき
金属缶、プラスチック缶、カップ状容器、トレイ状容
器、ビン状容器、タンク状容器、可撓性パウチ、ヒート
シール蓋等が挙げられ、容器素材の一方または両方が本
発明で規定したヒートシール部構造を有することができ
る。
本発明において、ヒートシール部分に存在する実質上非
晶質化乃至低結晶化された樹脂部分の厚みは、この部分
近傍における配向結晶化乃至熱結晶化樹脂層の厚みの1
乃至30%、特に3乃至20%、最も好適には5乃至10%の
厚みを有するのがよい。即ち、非晶質化乃至低結晶化部
分の厚みが、上記範囲よりも小さければ、低温シール性
や易シール性が得難くなる傾向があり、上記範囲を越え
るとヒートシール部の耐熱性等が低下する傾向がある。
前記部分の厚みは少なくとも1μm以上、特に2μm以
上であることが望ましい。
ヒートシール部に設ける実質上非晶質化乃至低結晶化さ
れた樹脂部分の幅は任意に変化させ得るが、一般には1
乃至10mm、特に2乃至6mmの幅であることが好ましい。
本発明によれば、ヒートシール幅が上記のように小さい
場合にも密封信頼性に優れたシール強度が1.5kg/15mm幅
のヒートシール形成し得ることが特徴である。ヒートシ
ール部の幅を5mm以下に抑制することで易開封性ヒート
シールを形成させることもできる。勿論、非晶質化乃至
低結晶化された樹脂部分は、ヒートシールすべき部分に
一本として設けてもよく、また小間隔をおいて複数本と
して設けてもよい。
内面層のヒートシールすべき部分に非晶質化乃至低結晶
化された樹脂部分を設けるには、配向結晶化乃至熱結晶
化された樹脂が表面から厚み方向の途中へのごく限られ
た部分が短時間の内に急激に融点以上の温度に加熱され
且つ加熱中止と共に結晶化温度よりも低い温度に急速に
冷却されるようにすればよい。
このような限定された急速加熱及び急速冷却には、例え
ば炭酸ガスレーザビームの走査照射を用いることがで
き、この場合にはレーザビームの出力及び走査速度を変
えることにより、非晶質化乃至低結晶化樹脂部分の厚み
を制御することができる。また、レーザビーム径を変え
ることによりその幅を制御することができる。更に限定
された急速加熱及び急速冷却には、強制冷却された高周
波誘導加熱コイルと、ヒートシールパターンを有する導
体製型との組合せを用いることもできる。この場合に
は、コイルへの通電により型が急速に加熱されて、これ
に接触する樹脂の急速加熱が生じ、通電遮断により型を
介して樹脂の急速冷却を生じる。かくして通電時間を制
御することにより厚みの制御が行われる。
本発明のヒートシール容器において、その自体公知のヒ
ートシール機構、例えばホットプレート、インパルスシ
ール、誘導加熱シール、超音波シール、高周波誘導加熱
シール等を用いてヒートシールを行い得るが、いずれの
場合においても高融点高結晶化樹脂の融点(Mp)よりも
低い温度でヒートシールを行い得ることが顕著な特徴で
ある。
(発明の効果) 本発明によれば、対となった材料をそれらの対向する両
面でヒートシールするに際し、該材料の少なくとも一方
の少なくとも内面層を結晶融解温度が200℃以上でしか
も配向結晶化乃至熱結晶化された樹脂とし、しかもこの
内面層のヒートシール部分ではヒートシール面から内面
層の厚み方向の途中に至る微小厚さで実質上非晶質化乃
至低結晶化された熱可塑性樹脂部分を有するようにした
ことにより、低温ヒートシール性との組合せを有するヒ
ートシール容器を提供できた。この容器は更に、短時間
の低温ヒートシールで安定した高強度のシール部を形成
することができ、しかもこのシール部がレトルト殺菌等
の高温殺菌にも耐えることができ、また容器そのものが
耐熱性に優れていると共に、内容品がレトルト殺菌され
或いは電子レンジやオーブントースター等で加熱調理さ
れるときにも、内容品への内面材の抽出等が顕著に抑制
されるという利点を有する。
(実施例) 実施例1、比較例1,2,3 ポリエチレンテレフタレート(密度1.34g/cm3)、結晶
化度4.5%、極限粘度0.61、厚さ0.7mm)から210mm×210
mmのブランクを切り出し、サーモホーミング成形法によ
り外径80mm、内径66mm、フランジ幅7mm、高さ35mm、満
注容量85ccの丸型容器を成形した。このときフランジ部
の密度及び結晶化度は、密度勾配管で測定したところ1.
376cm3、36.1%であった。また融解温度は、示差走査熱
量計(D.S.C)により昇温スピード20℃/minで測定した
ところ255℃であった。
次に、炭酸ガスレーザー発振装置(東芝(株)製、1.2K
w炭酸ガスレーザー発振装置、型式:TOSLASERCO12-PSSB,
方式;高速軸流形)を用い、約18mm径のレーザービーム
を焦点距離127mmの集光レンズよりデフォーカスビーム
とし、照射面上でスポット径を約7.5mmφにしたビーム
を得た。更に、前述して丸型容器を周速度60m/minで回
転させ、その1回転に当る時間(約0.22秒間)、出力25
0Wのレーザービームを上記容器フランジ部に対し照射し
た。
この容器フランジ部断面をミクロトームで切り出し、偏
光顕微鏡下で観察した。レーザービームの影響のない部
分は容器成形時での熱結晶化により白化しているのに対
し、レーザー照射部は透明であり照射部の識別は容易で
ある。ここでレーザー照射部と未照射部との違いを明ら
かにするため顕微ラマン分光装置を用い出力約80mWのAr
レーザービームを100倍の対物レンズによりシポット径
1μmのビームに絞り、偏光顕微鏡下で透明に見えた照
射部断面の表層部分ならびに、レーザービームの影響が
なく熱結晶化により白化している部分に照射し、それぞ
れのラマン強度を測定した。更に1730cm-1のカルボニル
基の伸縮振動によるラマン強度が密度と逆比例になる関
係を利用し、前記(2)式より両者の密度を求めた。そ
れぞれの密度ρ(g/cm3)と、この密度を(1)式に代
入し求めた結晶化度Xcvは第1表に示す通りであり、レ
ーザー照射部は低結晶化されているのがわかる。尚、
(2)式により密度を求めるときに用いた切片k1並びに
勾配k2は以下の値を用いた。
k1=114.37 k2=−75.95 更に、偏光顕微鏡下でこのサンプルの断面写真を撮り、
写真からフランジ部樹脂の厚みに対してこのように低結
晶化された部分の厚み比を求めたところ約7%であり、
照射幅は約2mmの円周状リングをなしていた。
また蓋材として、厚さ50μmの軟質アルミニウム箔のブ
ライト面に、オーバーコート材としてエポキシ・ユリア
系塗料を塗布し、230℃で60秒間焼付けを行ったアルミ
ニウム箔のマット面にアクリルジルコニウム系の表面処
理を行った後、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と2核
体成分から成るレゾール型フェノール・ホルムアルデヒ
ド樹脂とを80:20の重量比で含有するエポキシ・フェノ
ール塗料(比重d1=1.20g/cm3、固形分30%)をグラビ
アコーターにて塗布量が約40mg/dm2となるように塗布
し、表面をタックフリーにする目的で120℃で60秒間乾
燥させた。更にその上に共重合ポリエステル溶液を塗布
量が約90mg/dm2になるように塗布し、塗料を硬化させ、
且つ共重合ポリエステル溶液中の溶剤を飛ばす目的で23
0℃で60秒間焼付けを行った。
このようにして作成して塗装材から、開封用つまみ部を
有する直径85mmの丸型の蓋材を打ち抜いた。
次に前記丸型容器内にクリームコーンスープを充填温度
65℃、充填量70ccで100ケ充填し、前記蓋材を第2表に
示す条件でヒートシール時間1秒と2秒のサンプルをそ
れぞれ50ケずつヒートシールした。このときスープ液面
からフランジ面までの間隔を測定したところ約5mmであ
った。このようにして充填シールした容器100ケの密封
性能を調べるため、ヒートシール時間別にそれぞれ15ケ
を用いて、シールした蓋材の上に直径70mm、重さ20Kgの
円柱状のおもりを1分間置き、内容物の漏れの有無を調
べるという方法で耐圧縮試験を行った。15ケずつ(計30
ケ)のサンプルの内1つも内容物が漏洩したものはな
く、密封性は完全であった。また、後10ケずつ(計20
ケ)のサンプルのシール部より、シール部に対し直角に
15mm幅の短冊を1サンプルに対して4点、計40点ずつ切
り出し、短冊の蓋材側を上のチャックに、カップの側壁
を下のチャックに挟み300mm/分の速度で上下に引っ張
り、容器内側からのヒートシール強度を測定し、平均値
を求めた。第2表にしめすようにPETの融点より60℃も
低い200℃のヒートシールでも、容器本体と蓋材とのヒ
ートシール強度はヒートシール時間2秒で平均2.3Kg/15
mmであり、容易にピール剥離が可能であった。また、残
り50ケについて120℃で30分間レトルト殺菌処理を行っ
た後、15ケ(計30ケ)については前記と同様の耐圧縮試
験を、あと10ケ(計20ケ)については容器本体と蓋材と
のヒートシール強度を同様な方法て測定した。ヒートシ
ール強度はヒートシール時間2秒で平均1.9Kg/15mmであ
り、開封部のつまみ部から蓋材を開封したところ、容易
にピール剥離が可能であった。
また、比較例1としてヒートシール部の結晶化度Xcv=3
7.2%で本発明で得られるような低結晶化部を持たせな
い容器100ケにおいて、前記と同様の蓋材でヒートシー
ルを試み同様な試験を試みた。レトルト処理前において
もほとんどのサンプルから内容物の漏洩が認められ、ヒ
ートシール強度も200℃、2秒で1.0Kg/15mm程度の非常
に低いものであった。更にレトルト処理後においては全
てにおいて漏洩が認められ、密封性を確保することはで
きなかった。
次に比較例2として比較例1で用いた容器に対し、蓋材
をPETの融点以上でヒートシールしすぐに表面温度を10
℃に設定した冷却バーをシール部に押し当て急冷すると
いう試験を試みた。この場合ヒートシール時のフランジ
部の変形並びに、フランジ表面の発泡が激しくシール強
度は得られるのだが、ばらつきが激しく、また内容物の
漏洩も数個にわたって見られた。更にレトルト処理後に
おいても漏洩は見られ、密封性を確保することはできな
かった。
更に比較例3として、ヒートシール部の結晶化度が3.3
%という熱結晶化されていない容器に対しても前述の条
件と同様のヒートシールを試みたが、シール強度は得ら
れるが、シール時にフランジ部の変形が激しい上にレト
ルト殺菌時に容器の変形も激しく容器の実用性並びに、
耐熱性に欠くものであった。これら比較例1,2,3のヒー
トシール強度の結果も併せて第2表に示す。
実施例2、比較例4 両面にクロメート表面処理層を有する75μmの圧延鋼箔
の片面に25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート
フィルム(密度1.40g/cm3,結晶化度56.3%、融解温度2
55℃)を、エポキシ/フェノール塗料を介したラミネー
ト板を用い、そのもう一方の面に黄色に着色されたエポ
キシフェノール系塗料を塗布した後、205℃−10分間オ
ーブン中で塗料を硬化させた。次のその鋼箔を、ブラン
ク径φ140mmのブランクに打ち抜き、弾性体パンチを用
いた絞り成形法によりフィルムが容器内面側となるよう
に、高さ30mm、外径78mm、内径65mm、コーナーR1mmで、
満注容量が85ccであるフランジ部が外側にカールされた
丸型容器を形成した。このときフランジ部の密度及び結
晶化度は、ラミネート前のフィルムのそれとほとんど同
じであった。
次に実施例1と同様の条件で炭酸ガスレーザーを容器フ
ランジ部に対し照射を行った。この照射部断面における
表層部の密度をレーザーラマン法で測定したところ、密
度は1.349g/cm3,結晶化度は12.6%であった。この時に
用いた切片k1,並びに勾配k2は実施例1に用いた値を使
用した。また、フランジ部のフィルム厚に対する非晶質
化された部分の厚み比を測定したところ約8%であり、
照射幅は約2mmの円周状リングを成していた。
更に、前記丸型容器100ケにクリームコーンスープを充
填し、実施例1で用いた蓋材を第3表に示す条件でヒー
トシールを行い実施例1と同様な評価法でヒートシール
強度を測定した。ヒートシール時間2秒でヒートシール
強度は1.8kg/15mmであり、内容品の漏洩は1ケもなかっ
た。また、レトルト殺菌処理を行い処理後の容器本体と
蓋材とのヒートシール強度を測定したところ、2.5kg/15
mmであり、開封用つまみ部から蓋材を開封したところ、
容易にピール剥離が可能であった。また、この時も漏洩
は1ケもなかった。
比較例4としてレーザー照射を行っていない容器に対し
てのヒートシール強度も測定したが、シール強度は1.0K
g/15mmにも満たず、レトルト処理時或いは処理後の密封
性を保持することはできなかった。
実施例3、比較例5 両面にクロメート表面処理層を有する75μmの圧延鋼箔
の片面に黄色に着色されたエポキシフェノール系塗料を
塗布し205℃で10分間オーブン中にて塗料を硬化させた
塗装板のもう一方の面に25μmの二軸延伸ポリエチレン
テレフタレートフィルム(密度1.40g/cm3、結晶化度56.
3%、融解温度255℃)をウレタン系接着剤を介してラミ
ネートし、50℃で3日間接着剤をキュアさせラミネート
板を作成した。そのラミネート板を、ブランク径φ140m
mのブランクに打ち抜き、弾性体パンチを用いた絞り成
形法によりフィルムが容器内面側となるように、高さ30
mm、外径78mm、内径65mm、コーナーR1mmで、満注容量が
85ccであるフランジ部が外側にカールされた丸型容器を
形成した。この時のフランジ部の密度及び結晶化度は、
ラミネート前のフィルムのそれとほとんど同じであっ
た。
次に実施例1と同様の条件で炭酸ガスレーザーを容器フ
ランジ部に対し照射を行った。この照射部断面における
表層部の密度をレーザーラマン法で測定したところ、密
度は1.349g/cm3,結晶化度は12.6%であった。この時に
用いた切片k1,並びに勾配k2は実施例1に用いた値を使
用した。また、フランジ部のフィルム厚に対する非晶質
化された部分の厚み比を測定したところ、約8%であ
り、照射幅は約2mmの円周状リングを成していた。
更に、前記丸型容器100ケにクリームコーンスープを充
填し、実施例1で用いた蓋材を第4表に示す条件でヒー
トシールを行い実施例1と同様な評価法でヒートシール
強度を測定した。ヒートシール時間2秒でヒートシール
強度は1.8kg/15mmであり、内容品の漏洩は1ケもなかっ
た。また、レトルト殺菌処理を行い処理後の容器本体と
蓋材とのヒートシール強度を測定したところ、2.4kg/15
mmであり、開封用つまみ部から蓋材を開封したところ、
容易にピール剥離が可能であった。また、この時も漏洩
は1ケもなかった。
比較例5としてレーザー照射を行っていない容器に対し
てのヒートシール強度も測定したが、シール強度は1.0K
g/15mmにも満たず、レトルト処理時或いは処理後の密封
性を保持することはできなかった。
実施例4 実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートから成る
丸型密封容器のフランジ部に発振周波数400KHz、発振出
力5KWの高周波発振器を用い、発振時間0.3sec,加圧力5.
3Kg/cm2、加圧後の押圧冷却時間0.3sec、電圧110Vとい
う条件で、テフロンコートを施した0.24mmのスチール板
を誘導加熱し、熱伝導により前記容器フランジ部の改質
を行った。この改質部断面における表層部の密度をレー
ザーラマン法で測定したところ密度は1.352g/cm3,結晶
化度は15.2%であった。この時に用いた切片k1,並びに
勾配k2は実施例1に用いた値を使用した。また、フラン
ジ部樹脂の厚みに対してこのように低結晶化された部分
の厚み比を測定したところ、約5%であった。
更に、前記丸型容器100ケにクリームコーンスープを充
填し、実施例1で用いた蓋材を第5表に示す条件でヒー
トシールを行い実施例1と同様な評価法でヒートシール
強度を測定した。ヒートシール時間2秒でヒートシール
強度は2.3kg/15mmであり、内容品の漏洩は1ケもなかっ
た。また、レトルト殺菌処理を行い処理後の容器本体と
蓋材とのヒートシール強度を測定したところ、2.1kg/15
mmであり、開封用つまみ部から蓋材を開封したところ、
容易にピール剥離が可能であった。また、この時も漏洩
は1ケもなかった。
実施例5〜10、比較例6 実施例1において、炭酸ガスレーザーの照射出力を変え
ることで、非晶質部分の厚みを第6表に示すように変化
させたサンプルを各々作成した。
このサンプルのフランジ部断面をミクロトームで切り出
し非晶質部を偏光顕微鏡で観察した。比較例5に示すよ
うに出力200W未満では、非晶質部の観察は困難であり実
施例1で用いたのと同様な蓋材で容器本体とのヒートシ
ールを試みたところ、シール強度は非常に弱く密封性を
確保することはできなかった。
また逆に、出力350W以上では実施例8〜10に示すように
非晶質部の厚み比はフランジ部熱結晶化樹脂層の厚みに
対し13%以上の厚み比を有しているが、表面層で発泡現
象が起こってくる。そのため、ヒートシール後の剥離強
度が不安定となり好ましくない。
実施例5〜7のような照射条件で容器フランジ部に5〜
10%程度の厚み比を持った非晶質部を作成すれば、表面
層の発泡もなく更に蓋材とのヒートシール強度も2.3Kg/
15mmと安定しており、耐レトルト性並びに、その後のピ
ール剥離も可能であった。また、レトルト処理前の照射
部断面における表層部の密度ρ(g/cm3)を実施例1と
同様にレーザーラマン法で測定したところ各サンプルと
の多少のばらつきはあるがρ=1.351g/cm3であり、結晶
化度Xcvは×cv=14.4%であった。
実施例11 厚さ16μmと25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム(両者とも密度1.40g/cm3,結晶化度56.3
%、融解温度255℃)を、ウレタン系接着剤を用いて20
μmのアルミニウム箔の両側にラミネートした。
シールすべき部分は厚さ25μmのポリエチレンテレフタ
レートであるがその部分に実施例1と同様の条件で炭酸
ガスレーザーの照射を行った。この照射部断面における
表層部の密度をレーザーラマン法で測定したところ、密
度は1.349g/cm3,結晶化度は12.6%であった。この時に
用いた切片k1,並びに勾配k2は実施例1に用いた値を使
用した。また、フィルム厚に対する低結晶化された部分
の厚み比を測定したところ、約8%であった。
次に照射した部分を向かい合わせ第7表に示す条件で外
周部3辺をそれぞれヒートシール時間別に50袋ずつ、計
100袋ヒートシールし袋状容器(パウチ)130mm×170mm
を作成した。このパウチ100袋にクリームコーンスープ
を実施例1と同じ条件で充填し、開口端を外周部3辺を
ヒートシールしたときの条件と同じ条件でヒートシール
した。その後、15袋ずつ(計30袋)実施例1と同様な耐
圧縮試験を行い、内容物の漏れを調べたが漏洩に至った
ものは1袋もなかった。更に後10袋(計20袋)から1袋
につき4点、計40点、15mm幅の短冊を切り出し、Tピー
ル法により引張速度300mm/分でヒートシール強度を測定
し平均値を求め結果を第7表に示した。
さらに、残り50袋のパウチを120℃で30分間レトルト殺
菌処理を行い前記と同様の耐圧縮試験並びに、ヒートシ
ール強度を測定し、結果を併せて第7表に示した。また
レトルト処理後、シール部の破損は全く認められず、密
封性は完全であった。
また、低結晶部分を持たない積層シートでパウチを作成
しようとしたが、融解温度以下ではポリエチレンテレフ
タレート同士の接着は非常に弱く、パウチの作成が困難
であり、レトルト処理前後において耐圧縮試験並びに、
ヒートシール強度の測定は不可能であった。
【図面の簡単な説明】
第1−A図及び第1−B図はそれぞれ本発明の容器のカ
ップ状形状のもの及びトレイ形状のものを示す斜視図で
あり、 第2図はヒートシール用フランジ部を拡大して示す断面
図であり、 第3図は多層容器の一例を示す断面図であり、 第4図は多層容器の他の例を示す断面図である。 1は容器または容器本体、2は胴部、3は底部、4はヒ
ートシール用フランジ、5はヒートシール面、6は非晶
質化乃至低結晶化樹脂部分、7は配向結晶化乃至熱結晶
化部分、8は内面、9はガスバリヤー性中間層、10a,10
bは内外層、12はヒートシール蓋を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対となった包装材料をそれらの対向する両
    面でヒートシールして成るヒートシール密封包装容器に
    おいて、 前記包装材料の少なくとも一方は、結晶状態での融解温
    度が200℃以上である熱可塑性樹脂から成り且つ配向結
    晶化され或いは熱結晶化された内面層を有し、且つ前記
    内面層のヒートシール部分ではヒートシール面から内面
    層の厚み方向の途中に至る微小厚さで実質上非晶質化乃
    至低結晶化された熱可塑性樹脂部分を有することを特徴
    とする低温ヒートシール性のヒートシール密封包装容
    器。
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