JPH0774140B2 - フッ化物コロイド液 - Google Patents

フッ化物コロイド液

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JPH0774140B2
JPH0774140B2 JP2142117A JP14211790A JPH0774140B2 JP H0774140 B2 JPH0774140 B2 JP H0774140B2 JP 2142117 A JP2142117 A JP 2142117A JP 14211790 A JP14211790 A JP 14211790A JP H0774140 B2 JPH0774140 B2 JP H0774140B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はフッ化物コロイド液及びその製造方法に関す
る。特に飽和水溶液のフッ素イオン濃度として1〜1000
0ppmを与える難溶性フッ化物のコロイド液を提供するも
のであって、本発明のコロイドは、単独又は他の物質と
共に、フッ素含量10〜100000ppmになるように配合した
組成の口腔用組成物としてう蝕予防に用いることができ
る。
〔従来の技術〕
従来より、う蝕予防のための有効成分として、種々の化
合物が提唱されている。この中で、現在最も有効性が高
いと考えられているのは、フッ化ナトリウム、モノフル
オロリン酸ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ化物であ
る。フッ化物の作用は、主にフッ素イオンの歯牙耐酸性
の向上効果と多少脱灰が進行した初期う蝕の再石灰化を
促す効果と考えられる。歯牙耐酸性向上効果は、フッ素
イオンが、歯牙エナメル質の主構成成分であるハイドロ
キシアパタイト結晶格子中に入り込む、即ち、ハイドロ
キシアパタイトを一部フルオロ化する、と同時に格子不
整を修復する事で説明される。又再石灰化は、エナメル
質の脱灰により、短小化、変質、消失したハイドロキシ
アパタイトを、脱灰の逆反応によりもとの状態或いはも
とに近い状態に戻し、う蝕を進行させない反応である。
この反応は、脱灰と共に日常的に起こっているが、フッ
素イオンの存在により著しく促進される。
これらの作用は、フッ素イオンに極めて特徴的であり、
これに代わりうる物質は考えにくい。そこで現在、フッ
化物は、上水道への添加、噛み砕き錠剤、食品への添
加、歯面への塗布、洗口剤、歯磨剤等に利用されている
のである。
ところで、フッ化物が、どの程度のう蝕抑制効果を持つ
かを述べるならば、上水道への添加では50〜65%、歯面
への塗布では30〜40%、洗口剤、歯磨剤では20〜50%の
う蝕抑制率であると報告されている。これは、他のう蝕
予防剤と比較し、極めて高いう蝕抑制効果であると言え
るが、一方で、完全にう蝕を予防出来るのが理想であ
り、その見地からは未だ十分な効果とは考えられない。
中でも、洗口剤、歯磨剤の様に、飲み込むことなく、歯
に直接作用させる方法(局所応用)にあってはう蝕抑制
効果は低く、改善の余地がある。
そこで、フッ化物の効果を高める新たな配合方法、新た
な処置方法或いは新たなフッ素化合物が研究されて来て
いる 特に、局所応用にあっては、フッ素の取込み効率が低
く、無効果のまま吐き出されるフッ素が多いことから、
フッ素の取込み量を高めるための研究が多くなされてい
る。
具体的に、研究の成功している例としては、リン酸酸性
フッ化ナトリウムがある。これは、リン酸を配合して、
フッ素の取込み量を高めている。この薬剤は既に広く使
用されている。
また、近年、通常歯磨剤に1500〜2000ppm(通常の1.5〜
2倍)のフッ素を配合しフッ素の取込みを高めようとす
る検討がなされている。これも効果的であると考えられ
る。
これらの高効果の理由は、次の様に説明される。即ち、
フッ化物の局所応用は、極めて短時間の作用に過ぎない
ので、直接歯をフルオロ化するのは僅かであり、他のフ
ッ素は、歯の一部を分解してフッ化カルシウムを生成
し、後に唾液に溶け、このフッ素イオンが歯をフルオロ
化するが、リン酸酸性フッ化ナトリウムや、高濃度フッ
化物の処理では、このフッ化カルシウムを多く生成す
る。このことにより、間接的に歯を強化する。
しかし、リン酸酸性フッ化ナトリウムや、高濃度フッ化
物処理にあっては、歯牙の一部を分解する必要があり、
長期使用したとき問題が起こらないとは言えない。更
に、フッ素の急性毒性は決して低くはなく、誤飲などを
考えたとき、フッ素濃度を上げることは望ましい方法で
はない。
そこで、他のフッ素取込み促進処方として期待されるの
が、種々の金属イオンをフッ化物と共に配合する方法で
ある。例えば、アルミニウムイオン、カルシウムイオン
(九州歯会誌,4(1),247〜259)、ランタン(小児歯
科学雑誌,25(1),1〜11)にフッ素取込み促進効果が
認められている これらの作用機作は、形成された不溶性のフッ化物が、
アパタイトに吸着することと考えられていて、金属イオ
ンがカルシウムであるときには、不溶性のフッ化物とは
正にフッ化カルシウムであり、原理的に高濃度フッ化物
処理と似ている。しかし、高濃度フッ化物処理の様にエ
ナメル質が破壊されることはない。
更に、金属イオンを配合することによる、フッ素取込み
促進とは別の副次的効果が知られている。
例えば、カルシウムイオンは再石灰化促進効果が知られ
ているイオンであり、フッ素剤と組み合わせて用いるこ
とは効果的と認められている。この例としては、ビーチ
ャム社の特開昭47−039642やプロクター&ギャンブル社
の特開昭51−091339があり、市販品もある。
また、チタン、スズなどにはコーティング効果による耐
酸性向上効果が知られている。
これらの点から、フッ素イオンと金属イオンを組み合わ
せて成る処方は、極めて有用と予想される。
〔発明が解決しようとする課題〕
併しながら、フッ素イオンと金属イオンを組み合わせて
成る処方は、実使用に際しては種々の解決すべき問題が
ある。
即ち、う蝕予防効果が評価されているカルシウム、マグ
ネシウム、ストロンチウム、ランタン代表されるランタ
ノイド、モリブデン、マンガン、アルミニウム、インジ
ウム等のフッ化物は水に不溶性又は難溶性であり、溶液
を調製してしばらくすると沈澱して、全くと言っていい
ほど反応性を失い、高いフッ素取込みどころか、通常の
フッ化物程度の効果も見出されなくなる。
そこで、これらのフッ化物の高い効果を保ちうる処方の
検討がなされている。
具体例としては、油層と水層にアルミニウムとフッ素を
隔てて保持させ、使用時に混合が起こる様にするコルゲ
ート社の特開昭57−212112に示される方法、或いはプロ
クター&ギャンブル社によるカルシウムイオンの殆どを
キレーションにより保護する特開昭58−219107の方法、
或いは同社のpHを極端に下げることを特徴とする特開昭
50−091339の方法などがある。
しかし、これらの方法は夫々欠点がある。即ち、乳化系
はテクスチャーが特殊で、例えば歯磨剤としては使用感
が悪く成らざるを得ないし、カルシウムイオンのキレー
ションは、効果を犠牲にせざるを得ない。また、低pH
は、処方が制限される上、歯にも良くはない。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、難
溶性のフッ化物沈澱をコロイド化することにより、歯の
エナメル質へのフッ素取込みを向上させ、その誤、取り
込まれたフッ素を長時間徐放させ、通常より遥かに高い
効果を、保存安定性良く、煩雑でなく、もたらす組成物
を与え、このコロイド液を用いた口腔用組成物によりう
蝕予防を効果的に実現することに成功し、本発明を完成
した。
即ち本発明は、飽和水溶液においてフッ素イオン濃度と
して1〜10000ppmを与える難溶性フッ化物が、ポリオー
ルリン酸、ポリオール硫酸、ポリオールカルボン酸及び
それらの塩よりなる群から選ばれた解膠剤によってコロ
イドド化され、粒径0.005〜1μのコロイド微粒子を形
成した状態で分散してなるフッ化物コロイド液を提供す
るものである。
尚、本発明において、コロイド生成の確認は、例えば次
のような方法で判断した。
(1) 試料溶液を孔径0.8μのミリポアフィルターで
濾過し、瀘液8〜9ml(10PCボトル)を超遠心分離装置
(日立製SCP70H,ローター:SRP70AT,50000rpm,20hr,15
℃)にかけたとき沈澱物を認める。
(2) 試料溶液をミリポアフィルターで濾過し、瀘液
の動的光散乱を測定したとき、0.005〜1μの粒子が検
出される(大塚電子製DLS−700)。
(3) 試料溶液を透過型電子顕微鏡(日立H−7000)
で観察するとき0.005〜1μの粒子が観察される。尚、
観察試料としては、試料溶液をミリポアフィルターで濾
過し、あらかじめ親水処理(日本電子JFC−1100)した
カーボン支持膜に試料をのせ水分を除去したものを用い
た。
(4) 試料溶液と試料溶液から解膠剤を除いた溶液
(対照液)の沈澱量又は濁度を比較したとき、前者は後
者より少ない。尚、本発明における解膠剤とは難溶性の
フッ化物形成の前、同時或いは後に加えてコロイドを生
成するもので、ポリオールリン酸、ポリオール硫酸、ポ
リオールカルボン酸及びそれらの塩よりなる群から選ば
れる。
本発明は、本来沈澱形成が起こる化合物をコロイド状態
で安定に保持しているが、口腔中に投与されると言うよ
うな変化を受けるとそのバランスを崩してコロイド粒子
は沈澱を始め、例えば口腔中にあっては、歯牙に吸着す
る。この時、コロイド粒子中にフッ素が含まれているこ
とにより、この吸着物はフッ素徐放剤と成りうる。コロ
イド液全体のフッ素量にしめるコロイド粒子中のフッ素
量が、経験的に10wt%以上が効果的である。
コロイド粒子中のフッ素量は実験的に100%まで認めて
いる。
コロイド液全体のフッ素濃度は、実験的に10〜100000pp
mが可能である。
これらの理由は明らかでないが、コロイドの生成メカニ
ズムとの関係が予想される。
このようなコロイドは、特定の難溶性フッ化物、即ち飽
和水溶液においてフッ素イオン濃度として1〜10000ppm
を与える難溶性フッ化物の選択により得られる。
具体的には、フッ化物が、フッ化カルシウム、フッ化ア
ルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フ
ッ化チタン、フッ化ストロンチウム、フッ化インジウ
ム、フッ化ランタン等のフッ化ランタノイドであるか、
又は、構造中にこれらの成分を含有する化合物が望まし
い。
また、解膠剤を用いることは、コロイドの安定化と対象
物、例えば歯への吸着性を保つために特に効果的であ
る。
解膠剤としては、グルコース−1−リン酸、グルコース
−6−リン酸等のポリオールリン酸、ショ糖硫酸等のポ
リオール硫酸、グルコン酸等のポリオールカルボン酸の
構造を持つ化合物又はそれらの塩であることが望まし
い。
特に糖リン酸エステルを用いた時のコロイド溶液の分散
性は高く、フッ素として100000ppmまでのコロイド溶液
が得られることがわかった。
コロイド粒子中のフッ素量が全コロイド溶液に対し100
%までのコロイド溶液が得られることを確認するために
以下のような試験を行った。
即ち、4.87gのグルコース−1−リン酸カルシウム(4
水塩)及び1.1gのフッ化ナトリウムを取り水を加えて50
mlにした溶液と、1.44gの塩化カルシウムに水を加えて5
0mlにした溶液とを混合し、1日後、19F−NMR(日本電
子製JNMGX−270)を測定し(図1)、コロイド粒子中の
フッ素と溶液中のフツ素イオンの含量比をピークの積分
値により求めた。この時のケミカルシフトは90%CF3COO
H(溶媒CDCl3):−76.5ppmを外部基準にした。その結
果、コロイド粒子中のフッ素(−108ppm)とフッ素イオ
ン(−121ppm)の含量比はコロイド粒子中のフッ素:フ
ッ素イオン=100:0であり、加えたフッ素すべてがコロ
イド粒子中に含まれていることがわかる。
尚、4.87gのグルコース−1−リン酸カルシウム(4水
塩)と1.1gのフッ化ナトリウムを取り、水を加えて100m
lにした溶液の1日後の19F−NMR(日本電子製JNMGX−27
0)を測定したところ、図2に示す如くコロイド粒子中
のフッ素(−108ppm)とフッ素イオン(−121ppm)のピ
ークが確認された。
従来、高濃度では高い効果が期待できたが、フッ化ナト
リウムの溶解度はフッ素として20000ppmであるから、上
記のコロイドはこれに優った。
本発明の目的とするフッ化物のコロイド液を生成するた
めには、例えば、次の様な方法を用いるのが望ましい。
i)フッ化ナトリウム等の可溶性フッ化物と塩化カルシ
ウム等の可溶性カチオン塩とを、水を加えた時にフッ化
物の沈澱を生じる量及び配合比で混合し、これに適当量
の水を加え、沈澱を生じたところで、同時に解膠剤を加
え、攪拌する。或いは超音波洗浄器にかける。
ii)フッ化ナトリウム等の可溶性フッ化物と塩化アルミ
ニウム等の可溶性カチオン塩の夫々の水溶液を作り、少
なくともどちらかの水溶液には解膠剤を加え溶解してお
く。次いでこれらの溶液を混合、攪拌する。或いは、超
音波洗浄器にかける。
iii)ここで言う解膠剤、例えばグリセロリン酸の塩、
例えばカルシウム塩と可溶性フッ化物を混合し、水を加
え、攪拌する。或いは、超音波洗浄器にかける。
iv)既に出来たコロイドは、例えば超遠心分離、減圧乾
燥、アルコール添加等により固体として得ることができ
る。この乾燥コロイドを再度水に溶解して、ゾル状のコ
ロイド液を得る。
これらの方法により得られた難溶性フッ化物のコロイド
液は、粒径0.005〜1μのコロイド微粒子が分散してお
り、物理的、化学的に同じ性質を持ち、製法による差異
は認められない。即ち、粘度、電気伝導度、光散乱、元
素分析結果等の物性に差異がない。
そして、ここにあげた製法は例示にすぎないから、不溶
性或いは難溶性のフッ化物を生じさせ、これの前もしく
はこれと同時或いは後から解膠剤を同じ系に存在させて
コロイド液を生成させるのであれば、如何なる生成方法
が用いられてもかまわない。
また、製造温度としては、室温又は40℃程度まで加熱す
るのが良いようであるが、異なる条件でも差し支えな
い。
尚、本発明のコロイド液中のコロイド微粒子の最小粒径
が0.005μであることを確認するため以下のような試験
を行った。
即ち、グルコース−1−リン酸カルシウム(4水塩)と
フッ化ナトリウムをモル比が1:2で、また総フッ素濃度
が5000ppmになるように混合溶解し、1日後の動的光散
乱を測定した。その結果を図3に示す。
図3から明らかなように、粒径約0.005μの粒子が確認
できた。
本発明で用いられる難溶性フッ化物は、その溶解性以外
に何ら制限を受けるものではない。飽和水溶液としたと
きフッ素イオン濃度として1〜10000ppm、好ましくは1
〜4000ppmを与える難溶性フッ化物であることが必要で
あるのは、可溶性では沈澱を生じず、解膠によるコロイ
ド化が出来ないし、一方でいくらかは溶解し、適度のフ
ッ素イオンを放出することは、例えば口腔用組成物とし
て用いた時の歯牙強化の為には不可欠だからである。
本発明で言う難溶性のフッ化物を得る目的で使用される
可溶性のフッ化物は、フッ素イオンを提供するものであ
れば、何ら制限を受けない。しかし、口腔用に用いるこ
とを考えれば、味の悪くないコロイド溶液を与えるフッ
化ナトリウム、フッ化カリウムが最適である。
また本発明の難溶性のフッ化物を得る目的で使用される
可溶性カチオン塩としては何ら制限を受けないが、カル
シウム、アルミニウム、マグネシウム、ストロンチウム
等の水溶性の塩類、例えば塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩など
が使用できる。尚、解膠剤として使用されるグリセロリ
ン酸塩、グルコース−1−リン酸塩、グルコース−6−
リン酸塩等が水溶性をもつ場合は、これを可溶性カチオ
ン塩と兼ねさせることもできる。
〔実施例〕
さて、次に本発明のコロイド溶液を歯に作用させた時の
効果について実施例に基づいて述べる。
本発明は、従来技術が水不溶性又は難溶性の沈澱を作ら
せない様に努力したことは全く逆の方法論に基づくもの
である。つまり、水不溶性又は難溶性の沈澱を作らせて
も、それらが微粒子であれば、フッ素イオンの効果を維
持できるとの発想に基づくものである。事実、本発明の
微粒子溶液、例えばフッ化カルシウムのコロイド溶液で
は、通常の溶解度以上のカルシウムイオン、フッ素イオ
ンが検出された。また、水で希釈した時、通常のフッ化
カルシウムと比較し、遥かに速い溶解速度を持って溶解
し、フッ素イオンを放出したのである。実施例1とし
て、その一例を示した。
実施例1 しかも、驚くべき発見として、このコロイド粒子は、歯
の構成成分であるハイドロキシアパタイト吸着性のコロ
イドであった。従って、口腔中に組成物が存在する僅か
の時間だけフッ素の効果が認められるのでなく、長時間
にわたり口中に残存し、口腔中のフッ素濃度を保つこと
ができることがわかった。。
更に、解膠剤を加えることにより、コロイド液の安定性
が飛躍的に高まった。
実施例2は、下記の方法で室温6ケ月間保存試験を行っ
た後のコロイド液の状態とフッ素取込み効果の一例につ
いてまとめた結果である。
また、この安定性は、通常口腔用組成物に配合される塩
類や活性剤に対しても保たれる。
<試験方法> グルコース−1−リン酸・二ナトリウム(4水塩)と塩
化カルシウムとフッ化ナトリウムとをモル比1:1:2で混
合後、蒸留水を加えてフッ素イオンとして2000ppmとな
るように薬液を調製した。
この薬液10mlで1gハイドロキシアパタイト粉末を1分間
処置し、40mlの蒸留水で2回洗浄し、その後、この処置
後アパタイトを濃塩酸3mlを加えて溶解し、適切に希釈
したものについてフッ素イオン選択電極(オリオン社)
を用いて取り込まれたフッ素量を測定した。その結果を
次表に示す。
実施例2 室温6ケ月の状態とフッ素取込み効果に対す
るグルコース−1−リン酸・二ナトリウムの効果 実際の歯牙でのう蝕抑制効果は別に確かめた。
実験方法としては、う蝕のない人の抜去歯牙を縦に3分
割し、表面を研磨した後、その各々を油性塗料でコーテ
ィングして歯牙が酸で侵されないようにし、エナメル質
部分だけにはおよそ1mm四方の露出窓を作成した。その
後これらの歯牙サンプルを1個ずつ、総フッ素濃度が10
0ppmのフッ化物コロイド溶液(製法は実施例2に準ず
る)、及び総フッ素濃度が同じく100ppmのフッ化ナトリ
ウム溶液、更に対照として脱イオン水に別々に室温で1
分間浸漬することにより、露出したエナメル質表面を薬
剤処置した。その後、0.1M乳酸緩衝液(pH5.0)に室温
で12時間浸漬しエナメル質の露出部分を脱灰した。この
薬剤処置及び脱灰操作を連続して6回繰り返し、その後
油性塗料を除去して脱灰部分に形成された白斑(う蝕の
初期状態)を観察した。即ち、脱灰が起こると歯牙が白
濁することから、露出部の白斑形成の程度により、う蝕
抑制効果を判断した。その結果、フッ化物コロイド溶液
処置後の酸露出した部分には殆ど白斑が認められなかっ
たのに対し、脱イオン水処置後の酸露出した部分にはか
なりの白斑を生じ、又フッ化ナトリウム溶液処置後の酸
露出した部分にもいくらか白斑を生じ、本発明のフッ化
物コロイド溶液処置に極めて高い効果が認められた。
尚、0.1M乳酸緩衝液は次のように調製した。即ち、1%
カーボポール907(ポリアクリル酸)を10N NaOHでpH4.0
に調整し、この液40mlに乳酸2gを加え、蒸留水で200ml
にし、10N NaOHでpH5.0に調整した。これをアパタイト
未飽和液とした。この内、110mlにハイドロキシアパタ
イト0.22gを加え1N塩酸でpH5.0に調整し、その後、遠沈
して、上澄みを1.0μミリポアフィルターで濾過し、ア
パタイト飽和液とした。このアパタイト飽和液とアパタ
イト未飽和液を等量混ぜ、0.1M乳酸緩衝液とした。
以上、本発明のフッ化物コロイド液の一例を示したが、
本発明に係る他のフッ化物、他の解膠剤によって得られ
たコロイド液についても同様の効果が認められる。その
主なものについて、コロイド液の溶状と保存安定性、フ
ッ素取込み効果について実施例3として次表にまとめ
た。
試験溶液の製法は前記ii)の方法で行った。即ち、解膠
剤とカチオン(塩化物)とフッ化ナトリウムとのモル比
が1:1:2でかつ溶液中のフッ素濃度が2000ppmとなるよう
に、解膠剤を含むカチオン(塩化物)の水溶液とフッ化
ナトリウム水溶液を混合、攪拌した。
コロイドの確認、コロイド溶液中の全フッ素に対するコ
ロイド粒子中フッ素(コロイド粒子のフッ素含量)及び
アパタイトへのフッ素取り込みは試験溶液調製1日後の
溶液につき評価した。
実施例3 主なフッ化物コロイド液の溶状と保存安定
性、フッ素取込み (註) コロイドの確認は、前記(1)の方法で評価した結果を
示した。コロイド粒子中のフッ素含量は溶液中の全フッ
素よりコロイド溶液中のフッ素イオン量(フッ素イオン
電極で測定)を差し引いて算出した。
アパタイトへのフッ素取り込み量は、実施例2の試験法
に準じた。
点線より下に記載した組合せは、本件で述べるコロイド
とは異なる。
亜鉛、錫を用いた例ではコロイドを生じていない。
マンガンを用いた例ではコロイドを生成したが、フッ素
取込み効果はコントロールと変わらなかった。
現状のフッ素剤に優ると言い得るコロイドは、コロイド
粒子中フッ素含量が10%以上である場合に限られた。
実施例3においては、ストロンチウムを用いたコロイド
がコロイド粒子中フッ素含量18%であるが、フッ素取込
み量がコントロールの6倍であり、現状のフッ素剤に優
ると言い得る。
ポリリン酸は、解膠剤として働くが、歯牙吸着性を持た
ない様である。
これらのフッ素取込み量は本発明のコロイド液と比較し
て極めて少ない。
本発明のコロイド液は、単独又は他の物質と共に、フッ
素含量10〜100000ppmに成るように生成し、或いは生成
後他の担体に配合した組成物を口腔用組成物として用い
ることができ、この組成物はう蝕予防に用いることがで
きる。
以下に本発明のコロイド液を用いた応用例を示す。
応用例1(洗口剤) グリセリン 20.0重量% ソルビトール 24.0 〃 プロピレングリコール 3.0 〃 ポリオキシエチレンポリオ キシプロピレングリコール 1.0 〃 パラヒドロキシ安息香酸メチル 0.1 〃 サッカリンナトリウム 1.0重量% 着香料 0.9 〃 コロイド溶液(注1) 50.0 〃 100.0 〃 注1) 塩化カルシウム及び塩化ストロンチウムの内何
れかの3mMの溶液を作り、これに等量のフッ化ナトリウ
ム6mMを加え、同時にグリセロリン酸二ナトリウムまた
はリボース−5−リン酸二ナトリウム1Mスラリーを滴下
する。透明になったところで1時間放置し、配合に用い
る。
応用例2(洗口用錠剤)(注1) フッ化物乾燥ゲル(注2) 25.0重量% 食塩 68.0 〃 ヒドロキシエチルセルロース 1.0 〃 サッカリンナトリウム 5.0 〃 着香料 1.0 〃 100.0 〃 注1) 5gの錠剤とし、100mlの水またはお湯に溶かし
た後、洗口に用いる。
注2) フッ化ナトリウム4.2gに塩化アルミニウム12
g、グルコース−1−リン酸二ナトリウム4水和物18gを
加え、これに水100mlを加えて混合攪拌する。透明にな
ったところで、遠心分離機にかけ、20万G 10時間沈降さ
せ、得られた沈澱を乾燥、粉砕する。
応用例3(歯磨剤) 研磨剤(注1) 40.0重量% グリセリン 20.0 〃 ソルビトール 24.0 〃 プロピレングリコール 3.0 〃 ヒドロキシエチルセルロース 1.0 〃 ラウリル硫酸ナトリウム 1.0 〃 パラヒドロキシ安息香酸メチル 0.1 〃 サッカリンナトリウム 1.0 〃 着香料 0.9 〃 フッ化物乾燥ゲル(注2) 1.0 〃 100.0 〃 注1) リン酸水素カルシウム二水和物又はピロリン酸
カルシウムの何れかを使用する。
注2) 応用例2の注2)に示した乾燥ゲルと同じ。
【図面の簡単な説明】 図1はコロイド粒子中のフッ素量が全コロイド液に対し
100%である本発明のフッ化物コロイド液の19F−NMRス
ペクトル図、図2はコロイド液中にコロイド粒子中のフ
ッ素とフッ素イオンとを含有する本発明のフッ化物コロ
イド液の19F−NMRスペクトル図、図3は本発明のフッ化
物コロイド液の動的光散乱の測定結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠崎 孝夫 栃木県芳賀郡市貝町大字市塙4594 (72)発明者 新井 陽一 栃木県芳賀郡市貝町大字市塙4594 (72)発明者 橋本 政幸 栃木県宇都宮市御幸ケ原町91―12 (56)参考文献 特開 昭62−19506(JP,A)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】飽和水溶液においてフッ素イオン濃度とし
    て1〜10000ppmを与える難溶性フッ化物が、ポリオール
    リン酸、ポリオール硫酸、ポリオールカルボン酸及びそ
    れらの塩よりなる群から選ばれた解膠剤によってコロイ
    ド化され、粒径0.005〜1μのコロイド微粒子を形成し
    た状態で分散してなる、う蝕予防用フッ化物コロイド
    液。
  2. 【請求項2】コロイド粒子中のフッ素量がコロイド液全
    体として1〜100000ppmの範囲であり、全コロイド液中
    のフッ素量の10〜100%を占めるものである請求項1記
    載のフッ化物コロイド液。
  3. 【請求項3】可溶性フッ化物と可溶性カチオン塩とを水
    の存在下に混合して沈澱を生ぜしめる時、これにポリオ
    ールリン酸、ポリオール硫酸、ポリオールカルボン酸及
    びそれらの塩よりなる群から選ばれた解膠剤を加えて粒
    径0.005〜1μのコロイド微粒子が分散したフッ化物の
    コロイド液を生成せしめることを特徴とする、請求項1
    記載のフッ化物コロイド液の製造方法。
  4. 【請求項4】可溶性フッ化物の水溶液と可溶性カチオン
    塩の水溶液とを、それらの水溶液の少なくとも一方には
    ポリオールリン酸、ポリオール硫酸、ポリオールカルボ
    ン酸及びそれらの塩よりなる群から選ばれた解膠剤を含
    有せしめて混合し、粒径0.005〜1μのコロイド微粒子
    が分散したフッ化物のコロイド液を生成せしめることを
    特徴とする、請求項1記載のフッ化物コロイド液の製造
    方法。
  5. 【請求項5】請求項1記載のフッ化物コロイド液から水
    分を除去して得られる乾燥コロイド粒子。
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