JPH0761971B2 - カルボン酸の製造方法 - Google Patents

カルボン酸の製造方法

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JPH0761971B2
JPH0761971B2 JP62169099A JP16909987A JPH0761971B2 JP H0761971 B2 JPH0761971 B2 JP H0761971B2 JP 62169099 A JP62169099 A JP 62169099A JP 16909987 A JP16909987 A JP 16909987A JP H0761971 B2 JPH0761971 B2 JP H0761971B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は新規なカルボン酸の製造方法に関する。さら
に詳しくは、この発明は、硫酸を含む触媒を用いたコッ
ホ反応の反応液から硫酸を有効に分離して再使用するこ
とができるカルボン酸の製造方法に関する。
[従来の技術およびその問題点] コッホ反応(特公昭30−3362号公報参照)は、無機強酸
性触媒を用いて、オレフィンおよびアルコールなどと一
酸化炭素および水とを接触させてカルボン酸を製造する
方法である。この方法でオレフィン類として工業的に実
用価値が高いのは、炭素数3〜20のモノオレフィン類で
ある。また、無機強酸性触媒としては、硫酸、リン酸と
硫酸、三フッ化ホウ酸、フッ化水素、リン酸・三フッ化
ホウ素錯体および硫酸・三フッ化ホウ素錯体等が使用さ
れている。このなかでも硫酸は、三フッ化ホウ素などの
他の触媒成分に比べて、安価であると共に入手も容易で
あり、反応収率も良好であるために工業的に広く使用さ
れている。
しかし、コッホ反応では出発物質であるオレフィン類1
モルに対して少なくとも3モルの硫酸を使用する必要が
ある。このように触媒の使用量が多いために、反応終了
後、触媒として使用した硫酸を回収し触媒として如何に
有効に再使用するかがコッホ反応を利用したカルボン酸
の工業的製造法に関する重要な問題点になっている。
殊に、コッホ反応で製造したカルボン酸の中で炭素数4
〜9のカルボン酸は、硫酸に対して非常に高い溶解性を
示す。したがって、このようなカルボン酸を多量の硫酸
中から硫酸の濃度を低下させることなく、しかも効率よ
く分離することが、硫酸の再使用の点のみならず、反応
収率を向上させるという点からも重要な要素である。特
に農薬や反応開始剤の原料として有用性の高い炭素数5
のカルボン酸であるピバリン酸は硫酸に対する溶解性が
特に高いので、硫酸の濃度を低下させずに効率よく得る
方法の開発が望まれている。
コッホ反応を利用してカルボン酸を製造する方法とし
て、特開昭42−12402号公報には、カルボン酸および硫
酸触媒を含む反応生成物に水を加えて、カルボン酸を遊
離させるか、あるいは水に溶解させた後、カルボン酸が
遊離した場合にはデカンテーションにより、また水に溶
解した場合にはペンタン、ヘキサンおよびヘプタン等の
飽和炭化水素を用いて抽出することによりカルボン酸を
製造する方法に関する発明が開示されている。
しかしながら、この方法は、カルボン酸を分離するため
に硫酸触媒を多量の水で稀釈しなければならない。その
結果、硫酸を触媒として再使用するためには、得られた
多量の希硫酸を濃縮することが必要であるから、この方
法は、エネルギー的な面で工業的でない。さらに、この
濃縮の際に、希硫酸中に含まれる硫酸エステルおよび亜
硫酸エステルなどのコッホ反応の副生成物が分解して亜
硫酸ガスが発生することがあり、また、硫酸の濃縮に伴
なってこれらの化合物が炭化あるいはタール化を起すた
めに、硫酸を触媒として使用する程度(コッホ反応で用
いるためには、硫酸濃度が80重量%以上であることが必
要である。)にまで濃縮することができないことがあ
る。
また、特公昭48−18216号公報には、カルボン酸および
硫酸触媒を含む反応生成物に、コッホ反応により消費し
た一酸化炭素と実質的に等モル量の水を加え、反応生成
物中に含まれるカルボン酸と硫酸とを水相に移行させて
分離し、次いで、この分離した水溶液にハロゲン化炭化
水素を加えて、カルボン酸をハロゲン化炭化水素相に移
行させた後、ハロゲン化炭化水素相を分離することによ
り、理論的に使用した硫酸と同じ濃度の硫酸を水相から
得、そして、ハロゲン化炭化水素相からはカルボン酸を
得る方法が開示されている。
しかしながら、ハロゲン化炭化水素中のカルボン酸は、
相当量が硫酸との錯体の形態でハロゲン化炭化水素中に
存在しているため、カルボン酸と錯体を形成している硫
酸の分だけ回収硫酸の濃度が低下することになる。した
がって、この方法により回収した硫酸を触媒として再使
用した場合には、硫酸の濃度が使用回数の増加につれて
次第に低下するので、充分な繰り返し回数が確報できな
いという問題があることが判明した。
[発明の目的] この発明は、硫酸を含む触媒の存在下に、オレフィン類
と一酸化炭素および水とを接触させてカルボン酸を製造
する方法であって、この際に用いる硫酸触媒を有効に回
収し循環使用する方法を提供することを目的とする。
さらにこの発明は、純度の高いカルボン酸を高い収率で
製造することができる製造方法を提供することをも目的
とする。
[前記目的を達成するための手段] 前記目的を達成するためのこの発明の構成は、 (I)硫酸を含む触媒の存在下に、オレフィン類と一酸
化炭素および水とを接触させる工程、 (II)前記(I)工程で得た反応液にハロゲン化炭化水
素を加え、反応液中の反応生成物の少なくとも一部を前
記ハロゲン化炭化水素相に移行させた後、触媒相と前記
ハロゲン化炭化水素相とを分離する工程、 (III)前記(II)工程で分離したハロゲン化炭化水素
相に、前記(I)工程の反応により消費された水量以下
の量の水を加えて、前記ハロゲン化炭化水素相に含まれ
る硫酸成分の少なくとも一部を硫酸として水相に移行さ
せた後、水相とハロゲン化炭化水素溶液相とを分離し、
次いで、分離したハロゲン化炭化水素相からカルボン酸
を得る工程、および、 (IV)前記(II)で分離した触媒相と(III)工程で分
離した水相とを合わせて、前記(I)工程で用いる硫酸
を含む触媒として再使用する工程、 を含むことを特徴とするカルボン酸の製造方法である。
この発明の第I工程は、硫酸を含む触媒の存在下に、オ
レフィン類と一酸化炭素および水とを接触させる工程で
ある。
この工程における反応は、コッホ反応として知られてい
る。
この発明で用いるオレフィン類としては、オレフィンお
よびアルコールなどを挙げることができる。
このうち、オレフィンは、分子内のいずれの位置に二重
結合を有していてもよい。このようなオレフィンの例と
しては、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブ
チレン、ジイソブチレン、1−ヘキセン、2−ヘキセ
ン、3−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、3−
ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテ
ン、4−オクテン、1−ノネン、2−ノネン、3−ノネ
ン、4−ノネンおよびヘキサデセンなどの直鎖状または
分岐鎖を有するオレフィンならびにメチル基およびエチ
ル基などのアルキル基あるいはビニル基などが置換して
いることのあるシクロヘキセンなどのシクロオレフィン
が挙げられる。さらにまた、ブタジエンなどのジオレフ
ィン、アクリルクロライドおよびメタクリルクロライド
などを使用することができる。
また、この発明においては、ジイソブチレンおよびトリ
イソブチレンを含むイソブチレンオリゴマーを用いるこ
ともできる。イソブチレンオリゴマーは、イソブチレン
分子が、たとえば塩酸、硫酸および三フッ化ホウ素など
のルイス酸触媒等の存在下に、2〜12個程度重合してな
るオリゴマーであり、通常の場合には、末端に二重結合
を有している。ただし、触媒作用により二重結合が逐次
的に分子内部に転位して内部オレフィンに異性化された
ものであっても良い。
この発明において、使用することができるイソブチレン
オリゴマーの例を以下に示す。
ただし、上記式中mは0〜10の整数を表わす。
ただし、上記式中nは0〜10の整数を表わす。
この発明の製造方法は、オレフィン類としてイソブチレ
ンのような分岐鎖を有するオレフィンを用いた分岐鎖を
有するカルボン酸の製造に適している。特にピバリン酸
をはじめとする炭素数7以下の分岐状カルボン酸の製造
法として好適である。
この発明の第I工程においては、上記のオレフィンの代
わりに、オレフィン類としてアルコールを用いることも
できる。
この場合におけるアルコールとしては、たとえば、炭素
数2〜22のアルコールであって、直鎖状のものあるいは
分岐鎖を有するものを挙げることができる。
なお、この発明の第I工程においては、オレフィン類と
して上記のオレフィンおよびアルコールの他に、コッホ
反応で通常用いられている他の化合物も使用することが
できる。
この発明の第I工程において、オレフィン類は、単独で
使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用
することもできる。さらに、一種類のオレフィン類など
を精製して用いる必要はなく、通常は、複数のオレフィ
ン類などの混合物あるいは異性体混合物の状態で使用す
る。ただし、得られるカルボン酸の純度の向上の為に
は、精製したオレフィン類を使用するのが好ましい。た
とえば、ピバリン酸を高濃度で製造するためには、イソ
ブチレンの濃度を90重量%(好ましくは95重量%)以上
にし、n−ブテンの含有率を抑える方法が有効である。
このようにすることにより、n−ブテンとイソブテンと
の重合物から誘導される炭素数9のカルボン酸の生成を
有効に制御することができる。
この発明において、一酸化炭素は、純粋のものが最も好
ましいが、水性ガス、発生炉ガスあるいはコークス炉ガ
スなどから得られる一酸化炭素含有ガスも使用すること
ができる。
また、水は、純粋のものが最も好ましく、通常は、蒸留
水あるいはイオン交換水などを使用するが、少量の塩素
化合物や金属化合物は、コッホ反応の進行の障害にはな
らないので、水道水あるいは工業用水などの使用も可能
である。さらに、反応系に直接水加える方法を採らず
に、後述のように触媒として用いる硫酸の濃度調節のた
めに用いた水を原料として利用することもできる。
この発明において使用する触媒は、硫酸を含む触媒であ
る。そして、この発明における触媒である硫酸の濃度
は、通常は80〜90重量%(好ましくは、82〜88重量%)
の範囲内にある。濃度が80重量%よりも低い硫酸を用い
た場合には、コッホ反応が円滑に進行しないことがあ
り、90重量%より高い濃度の硫酸を使用した場合には、
第II工程におけるカルボン酸の抽出率が低下することが
ある。
この発明においては、通常は、上記の硫酸を単独で使用
する。ただし、上記の硫酸と共に、コッホ反応で通常使
用されている硫酸以外の無機強酸性触媒を使用すること
もできる。硫酸以外の無機強酸性触媒としては、硫酸と
リン酸との組み合わせ、三フッ化ホウ素と水との組み合
わせ、フッ化水素、リン酸・三フッ化ホウ素錯体および
硫酸・三フッ化ホウ素錯体を挙げることができる。
硫酸を含む複数の触媒成分を組み合わせてコッホ反応を
行なう場合の触媒中における硫酸の含有率、たとえば、
硫酸とリン酸とからなる触媒を用いた場合の触媒中にお
ける硫酸の含有率は、通常は、30重量%以上(好ましく
は40重量%以上)である。触媒中における硫酸の含有率
が30重量%より低いとコッホ反応が円滑に進行しないこ
とがある。
また、触媒として、上記の硫酸などの無機強酸性触媒と
共に、金属化合物を用いることもできる。この場合に用
いる金属化合物としては、たとえば、酸化第−銅、酸化
銀、硫酸銀および酸化金などの金属酸化物、金属銅のよ
うな金属ならびに二価の銅化合物と金属銅との混合物の
ような金属混合物を挙げることができる。金属化合物を
用いる場合には、酸化第一銅あるいは酸化銀が好まし
い。
硫酸を含む触媒の酸強度(ハメットの酸度関数H0)が、
−9.2〜−6(好ましくは−9.0〜−6.5)の範囲内にな
るように各成分の含有率を調整することが望ましい。触
媒の酸強度が−6よりも高いと、オレフィン類の重合や
異性化が起こる傾向が生じやすくなり、−9.2よりも低
いと、カルボキシル化反応は起こり易くなるが、触媒中
からのカルボン酸の抽出率が低下する傾向がある。
この発明の第I工程における最初の触媒の調製方法につ
いては、特に制限はなく、通常の方法を採用することが
できる。
この発明の第I工程は、回分式、半回分式および連続式
のいずれの形式でも行なうことができる。
また、他の反応条件は、通常の条件に設定することがで
きる。
たとえば、反応温度は、反応速度および硫酸スラッジの
発生量を考慮すると、0〜50℃(好ましくは15〜40℃)
にするのが良い。
反応圧力は、通常は、0〜150kg/cm2G(好ましくは、2
〜100kg/cm2G)の範囲内に設定される。この反応圧力
は、通常は、反応容器内に導入する一酸化炭素の導入圧
力を調節することによって調整される。
原料であるオレフィン類は、0.5〜5時間(好ましくは
1〜4時間)かけて徐々に反応容器内に供給するのが良
い。このオレフィン類の供給は、通常は撹拌下に行なわ
れる。オレフィン類を短時間で供給すると、重合反応が
支配的になることがある。
オレフィン類の供給後、反応を即座に中止してもよい
が、通常は、供給後さらに3時間(好ましくは、2時
間)の範囲内で撹拌を続け、反応を進行させる。
この発明の第II工程は、前記第I工程における反応液に
ハロゲン化炭化水素を加え、反応液中の反応生成物の少
なくとも一部をハロゲン化炭化水素相に移行させた後、
触媒相とハロゲン化炭化水素相とを分離する工程であ
る。
硫酸を含む触媒を用いたコッホ反応においては、触媒と
して使用した硫酸は、大部分が硫酸として反応液中に存
在し、一部がカルボン酸と錯体を形成している。そこ
で、ハロゲン化炭化水素を加えることにより、反応液中
のカルボン酸およびカルボン酸と硫酸との錯体などをハ
ロゲン化炭化水素相に移行させ、カルボン酸を精製しな
がら触媒として使用した硫酸を分離回収する。ここで、
ハロゲン化炭化水素を用いるのは、ハロゲン化炭化水素
コッホ反応により得られるカルボン酸に対して非常に高
い抽出性を示すからである。従って、ハロゲン化炭化水
素を用いることにより、飽和脂肪族炭化水素あるいは芳
香族炭化水素などを用いた場合に抽出効率が低かったピ
バリン酸のような炭素数が少なく、硫酸に対して非常に
高い溶解性を示すカルボン酸(およびこれらのカルボン
酸と硫酸との錯化合物)を有効に抽出することができ
る。また、最初にハロゲン化炭化水素を加えてカルボン
酸およびこれらのカルボン酸と硫酸との錯化合物をハロ
ゲン化炭化水素相に移行させることにより、この発明の
第III工程で水を加えた際に、硫酸成分の水相への移行
が容易になり、硫酸の回収率が非常に向上する。
なお、カルボン酸と硫酸との錯体は、たとえば、ピバリ
ン酸をジクロロメタンで抽出した場合には、ピバリン酸
1モルと、硫酸0.4〜0.5モルとにより形成されている。
この工程で用いるハロゲン化炭化水素としては、少なく
とも一原子のハロゲン原子が置換した炭素数1〜20の脂
肪族炭化水素あるいは、芳香族炭化水素である。このよ
うなハロゲン化炭化水素の例としては、モノハロゲン化
メチル、モノハロゲン化エチル、モノハロゲン化プロピ
ル、モノハロゲン化ブチルおよびモノハロゲン化アミル
などのモノハロゲン化脂肪族炭化水素、ジハロゲン化メ
チレン、ジハロゲン化エチレン、ジハロゲン化エチリデ
ン、ジハロゲン化トリメチレン、ジハロゲン化プロピリ
デン、ジハロゲン化プロピル、ジハロゲン化テトラメチ
レン、ジハロゲン化ブチリデンおよびジハロゲン化ブチ
レン等のジハロゲン化脂肪族炭化水素、ハロホルム、四
塩化炭素、トリハロゲン化エタン、トリハロゲン化エチ
レン、テトラハロゲン化エタン、ペンタハロゲン化エタ
ンおよびヘキサハロゲン化エタン等のポリハロゲン化脂
肪族炭化水素、モノハロゲン化ベンゼン、モノハロゲン
化トルエンおよびモノハロゲ化キシレン等のモノハロゲ
ン化芳香族炭化水素、ジハロゲン化ベンゼン、ジハロゲ
ン化トルエンおよびジハロゲン化キシレン等のジハロゲ
ン化芳香族炭化水素ならびにトリハロゲン化ベンゼン、
ベンゾトリハライド、トリハロゲン化トルエンおよびキ
シレントリハライドなどのポリハロゲン化芳香族炭化水
素を挙げることができる。なお、ここでハロゲン原子
は、フッ素原子、塩素原子およびヨウ素原子などを表わ
すが、この発明においては、塩素原子が好ましい。
特にこの発明においては、ジクロロメタン、クロロホル
ムおよびトリクロロエチレンのうちの一種類のハロゲン
化脂肪族炭化水素もしくはこれらの混合物を用いるのが
好ましい。これらのハロゲン化脂肪族炭化水素はコッホ
反応により得られるカルボン酸に対して特に良好な溶媒
作用を有すると共に、沸点が低いので除去が容易だから
である。
反応液に加えるハロゲン化炭化水素の量は、カルボン酸
の溶解性を考慮して適宜に設定することができる。ただ
し、カルボン酸の抽出効率およびカルボン酸を得る際の
ハロゲン化炭化水素の除去効率を考慮すると、反応液と
ハロゲン化炭化水素との合計量に対してハロゲン化炭化
水素の含有率が、30〜70重量%の範囲内(さらに好まし
くは40〜60重量%の範囲内)になるようにするのがよ
い。30重量%より少ないと触媒相中におけるカルボン酸
等の抽出率が充分に高くならないことがあり、70重量%
より多く用いても抽出率はそれほど向上しない。
なお、この発明においては、ハロゲン化炭化水素の抽出
性能などを損なわない範囲内で他の種類の溶剤を併せて
使用することができる。
このようにハロゲン化炭化水素を用いることにより、触
媒を反復使用するときの定常状態時には生成したカルボ
ン酸の90重量%以上がハロゲン化炭化水素相に移行す
る。
ハロゲン化炭化水素を加えて反応液から反応生成物であ
るカルボン酸などをハロゲン化炭化水素相に移行させた
のち、このハロゲン化炭化水素相を分離する。
他方、ハロゲン化炭化水素相が分離された相は、主に触
媒として使用した硫酸を含む相であり、この相は、第IV
工程の処理を施して第I工程で用いる触媒として使用す
る。
この発明の第III工程は、前記第II工程で分離したハロ
ゲン化炭化水素相に、前記第I工程の反応により消費さ
れた水量以下の量の水を加えて、前記ハロゲン化炭化水
素相に含まれる硫酸成分の少なくとも一部を硫酸として
水相に移行させた後、前記水相のハロゲン化炭化水素相
とを分離すると共に、分離したハロゲン化炭化水素溶液
からカルボン酸を得る工程である。
すなわち、上記の第II工程で分離した反応生成物のハロ
ゲン化炭化水素相に特定量以下の水を加えて、カルボン
酸と硫酸とから形成される錯化合物を分解し、カルボン
酸をハロゲン化炭化水素相に残留させたまま、硫酸成分
を水相に移行させる。
ここで加える水の量は、第I工程で消費した水の量以下
にする。
これは、回収した硫酸を、第I工程で使用するために濃
度を維持する必要があるからである。
すなわち、加える水の量は、次式で得られる水の量
(A)以下である。
ただし、上記式において、Aは加える水の量を表わし、
Bは用いたオレフィン類のモル数を表わし、そしてCは
カルボン酸の収率を表わす。なお、Cのカルボン酸の収
率としては、同一条件による数回の製造の平均値を用い
ることができる。
特に、この発明においては、この工程で分離する水相と
第II工程で分離した触媒として使用した触媒相とを合わ
せ、さらに、操作による損失量に相当する硫酸を加えて
再生触媒中の硫酸濃度が80〜90重量%になるように加え
る水の量を設定するのが好ましい。
カルボン酸・硫酸錯体を分解して、硫酸を水相に移行さ
せるためには、ハロゲン化炭化水素溶液と水とを接触さ
せた状態で激しく震盪すれば良い。震盪することによ
り、ハロゲン化炭化水素相に含まれる硫酸成分の60重量
%以上(好ましくは75重量%以上)が水相に移行する。
水を加えて硫酸成分を水相に移行させた後、水相とハロ
ゲン化炭化水素相とを分離することにより、カルボン酸
のハロゲン化炭化水素溶液を得ることができる。
このようにして得たカルボン酸のハロゲン化炭化水素溶
液からハロゲン化炭化水素を除去することにより、粗製
カルボン酸を得ることができ、この粗製カルボン酸を常
圧あるいは減圧下で蒸留することによりこの発明の目的
物であるカルボン酸を得ることができる。
なお、この粗製カルボン酸は、通常、少量のカルボン酸
と硫酸との錯体化合物(未抽出分)、原料オレフィン類
と硫酸との反応生成物および原料オレフィン類と亜硫酸
との反応生成物などを含むため、これらの反応生成物を
除去するために、この粗製カルボン酸をアルカリ洗浄す
るか、もしくは、この粗製カルボン酸組成物中に含まれ
るカルボン酸のアルカリ金属塩および/またはアルカリ
土類金属塩の存在下に蒸留するのが好ましい。
アルカリ洗浄の場合には、水酸化ナトリウムなどのカセ
イアルカリの水溶液(濃度;通常、1〜60重量%)を調
製し、この水溶液を用いて粗製カルボン酸を洗浄する方
法を利用することができる。
また、カルボン酸のアルカリ金属塩および/またはアル
カリ土類金属塩の存在下に蒸留する方法としては、たと
えば、カルボン酸がピバリン酸の場合には、ピバリン酸
リチウム、ピバリン酸カリウムおよびピバリン酸ナトリ
ウム、ピバリン酸カルシウムおよびピバリン酸マグネシ
ウムなどの存在下に粗製カルボン酸を蒸留する方法を利
用することができる。具体的には、水酸化リチウム、水
酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムお
よび水酸化マグネシウムなどを蒸留系に投入することに
より系内でカルボン酸塩を形成させることができるし、
また予め上記のカルボン酸塩を調製し、これを投入する
こともできる。なお、この場合のカルボン酸塩の使用量
は、通常は、硫黄化合物1当量に対して1.0当量以上
(好ましくは、1.1〜2.0当量の範囲内)である。このよ
うにカルボン酸のアルカリ金属塩あるいはアルカリ土類
金属塩の存在下に蒸留により精製したカルボン酸中の硫
黄含有率は、通常は、10ppm以下になる。
この発明の第IV工程は前記第II工程で分離した触媒相と
前記第III工程で分離した水相とを合わせて、前記第I
工程で用いる硫酸を含む触媒として再使用する工程であ
る。
すなわち、第II工程で分離した触媒相には、触媒として
使用した硫酸、未反応のオレフィン類、カルボン酸など
が含まれている。このうちの硫酸は、コッホ反応の際に
水が消費されるので、反応開始前の濃度よりも濃度が高
くなっている。
他方、第III工程で分離した水相は希硫酸溶液である。
そして、この希硫酸中の水の量は、第I工程で消費され
た水の量よりも少ない。
そこで、両者を混合することにより、第II工程で分離さ
れた硫酸が第III工程で得た希硫酸によって稀釈される
ことになる。こうして稀釈された結果、混合液の硫酸濃
度は、ほぼ反応前の濃度になる。
したがって、このようにして得られた混合液を第I工程
における硫酸を含む触媒として使用することができる。
なお、上記の混合液は、そのまま第I工程の触媒として
使用することができるが、通常、有機反応においては、
操作による触媒の損失があるので、この発明において
は、通常、上記の混合液に操作による触媒の損失量に相
当する硫酸を加えることができる。そして、この添加さ
れる硫酸は、混合液の硫酸濃度を好適な範囲内に調整す
るとの作用を有している。
この発明において、回収することができる硫酸の回収率
は、通常は、90重量%以上(好ましくは95重量%以上)
である。さらに、好適な条件で回収を行なった場合に
は、回収率を99重量%以上にすることができる。
このようにして得られた再生硫酸触媒は、新たに調製し
た硫酸と殆ど変らない触媒活性を有しており、この発明
者の確認した範囲においては、少なくとも40回の連続使
用によってカルボン酸の収率の著しい低下は見られず、
さらに繰り返し使用が可能であった。
[発明の効果] この発明は、硫酸を含む触媒の存在下に、オレフィン類
と一酸化炭素および水とを接触させる、所謂コッホ反応
を利用したカルボン酸の製造方法で、第II工程で分離さ
れた触媒液を第III工程で得た特定量の水を含む希硫酸
で稀釈するとにより硫酸濃度を調製して第I工程で用い
る硫酸を含む触媒を再生することができる。
この再生硫酸触媒は、再生物であるにもかかわらず、新
たに調製した触媒と同等の触媒活性を有しており、少な
くとも40回の繰り返し使用が可能であり、従来の方法で
再生した硫酸触媒よりも飛躍的に繰り返し使用回数が増
加する。
さらに、第III工程でハロゲン化炭化水素相を特定量の
水で洗浄することにより、ハロゲン化炭化水素相中の硫
黄化合物の含有率が低下するので、得られるカルボン酸
の純度が向上する。
[実施例] 次にこの発明の実施例および比較例を示す。
(実施例1) 電磁回転撹拌機を備えた内容量1のステンレス製オー
トクレーブに85重量%硫酸270gを充填した後、反応容器
内の空気を充分に一酸化炭素で置換し、さらに、ゲージ
圧が50kg/cm2になるまで一酸化炭素を圧入した。
次いで、激しく撹拌しながら、イスブチレン16.8gを3
時間にわたり、25℃で圧入した。この間、オートクレー
ブ内の圧力を50kg/cm2Gに保った。原料圧入後、さらに
1時間撹拌を続けた(第I工程)。
反応終了後、脱圧し、次いで、ジクロロメタン200mlを
オートクレーブ中に加えた。1分間撹拌後、10分間静置
し、上相のジクロロメタン相を下相の触媒相から分離し
た(第II工程)。
分離したジクロロメタン抽出液に5.0mlの水を加え、強
く震盪することにより、錯体を形成する硫酸の80重量%
以上を希硫酸として回収した。
水相を分離したのち、ジクロロメタン相に微量に含まれ
る硫酸、未分解の錯体をアルカリ洗浄によって完全に除
去し、次いで蒸留することによりピバリン酸を得た(第
III工程)。
第III工程で得られた希硫酸と第II工程で得た触媒相と
を合わせ、さらに反応操作による損失分として85重量%
硫酸2.8gを加えて第I工程で用いる触媒を再生した(第
IV工程)。
上記の操作を40回繰り返して、カルボン酸収率および生
成液組成を測定した。
結果を第1表に記載する。
(比較例1) 実施例1において、第I工程終了後、脱圧してジクロロ
メタン200mlを反応容器に加え、1分間撹拌したのち、1
0分間静置して上相のジクロロメタン相と下相の触媒相
を分離した。
分離した下相の触媒相をそのまま用いて、実施例1の第
I工程の操作によりカルボン酸を製造した。
上記操作を繰り返し製造を行なった結果、カルボン酸の
収率は、反応繰り返し回数が5回目以降から急激に低下
した。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(I)硫酸を含む触媒の存在下に、オレフ
    ィン類と一酸化炭素および水とを接触させる工程、 (II)前記(I)工程で得た反応液にハロゲン化炭化水
    素を加え、反応液中の反応生成物の少なくとも一部を前
    記ハロゲン化炭化水素相に移行させた後、触媒相と前記
    ハロゲン化炭化水素相とを分離する工程、 (III)前記(II)工程で分離したハロゲン化炭化水素
    相に、前記(I)工程における反応により消費された水
    量以下の量の水を加えて、前記ハロゲン化炭化水素相に
    含まれる硫酸成分の少なくとも一部を硫酸として水相に
    移行させた後、水相とハロゲン化炭化水素溶液相とを分
    離し、次いで、分離したハロゲン化炭化水素相からカル
    ボン酸を得る工程、および、 (IV)前記(II)で分離した触媒相と(III)工程で分
    離した水相とを合わせて、前記(I)工程で用いる硫酸
    を含む触媒として再使用する工程、 を含むことを特徴とするカルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】硫酸を含む触媒が、濃度80〜90重量%の硫
    酸を含むものである特許請求の範囲第1項に記載のカル
    ボン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】前記(III)工程で加える水の量が、次式
    で得られる水の量(A)以下である特許請求の範囲第1
    項に記載のカルボン酸の製造方法; (ただし、上記式において、Aは加える水の量を表わ
    し、Bは用いたオレフィンのモル数を表わし、そしてC
    はカルボン酸の収率を表わす。)。
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