JPH0747337A - 蒸気洗浄槽に於ける凝縮液の散布装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蒸気を凝縮させた凝縮液を、必要な時にまと
めて被洗浄物に散布することを可能とし、被洗浄物へ必
要な量を確実に散布する。また、その散布を、ポンプ等
を用いる事なく簡易な装置により廉価に行う。 【構成】 被洗浄物の蒸気洗浄を行う蒸気洗浄槽の蒸気
洗浄部に、凝縮室を接続する。この凝縮室に蒸気の凝縮
を行う冷却コイルを挿入するとともにこの凝縮室の下端
に、凝縮液を被洗浄物に散布するための散布口を、凝縮
液の制御弁を介して接続する。そして、凝縮室に凝縮液
を一定量溜めた後に、制御弁を開弁して凝縮液を被洗浄
物に散布する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子部品、機械部品、
医療用機器、プリント基板等の被洗浄物を蒸気洗浄する
場合に、被洗浄物に凝縮液を散布するための装置に係る
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、被洗浄物に溶剤蒸気を接触し
て被洗浄物の表面で蒸気を凝縮させ、この凝縮液化した
洗浄液が、被洗浄物の表面を落下する過程で被洗浄物の
洗浄を行う、蒸気洗浄方法が知られている。

【０００３】この蒸気洗浄に於いては、被洗浄物の温度
と蒸気の温度が近づいた場合は、凝縮を行うことが出来
なくなる。そのため、被洗浄物が熱容量の少ないもので
ある場合は、被洗浄物の温度上昇が早いため、被洗浄物
の表面に蒸気がほとんど凝縮、液化出来ないものとな
る。

【０００４】そこで、従来、このような被洗浄物に対し
ては、冷却コイル等で蒸気を凝縮し、この凝縮液をプー
ルし、ポンプ等で被洗浄物へシャワー散布して仕上げ洗
浄を行っている。

【０００５】また、異なる従来方法としては、冷却コイ
ルを蒸気洗浄槽の上部に設けることにより、その冷却コ
イルによって凝縮された凝縮液を自然落下させて、下方
に位置する被洗浄物に付着させる方法も用いられてい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、凝縮液をプー
ルし、ポンプ等で被洗浄物へシャワー散布する方法に於
いては、ポンプを必要とするため、装置を大型化した
り、高価なものとする欠点を有している。

【０００７】また、冷却コイルを蒸気洗浄槽の上部に設
け、凝縮液を自然落下させる方法にあっては、被洗浄物
へ必要量まとめて凝縮液を散布したり、被洗浄物に均一
に凝縮液を散布することが出来ない欠点を有している。

【０００８】本発明は上述のごとき課題を解決しようと
するものであって、蒸気を凝縮させた凝縮液を、必要な
時にまとめて散布することを可能とし、被洗浄物へ必要
な量を確実に散布するとともに均一な散布を可能にする
ものである。また、その散布を、ポンプ等を用いる事な
く簡易な装置により廉価に行う事が出来るようにしよう
とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上述のごとき課
題を解決するため、被洗浄物の蒸気洗浄を行う蒸気洗浄
槽の蒸気洗浄部に、凝縮室を接続し、この凝縮室に蒸気
の凝縮を行う冷却コイルを挿入するとともにこの凝縮室
の下端に、凝縮液を被洗浄物に散布するための散布口
を、凝縮液の制御弁を介して接続して成るものである。

【００１０】また、凝縮室は、蒸気洗浄槽の上部に固定
的に位置したものであっても良い。

【００１１】また、凝縮室は、蒸気洗浄槽とは別個に形
成し、蒸気洗浄槽内に出入自在に位置したものであって
も良い。

【００１２】また、凝縮室は、蒸気洗浄槽とは別個に形
成し、この蒸気洗浄槽と凝縮室とを、蒸気の導入管と凝
縮液の導出管で接続したものであっても良い。

【００１３】また、凝縮室は、蒸気洗浄槽の上部を被覆
する蓋体の下面に形成し、蓋体の開閉に伴って蒸気洗浄
槽に出入するものであっても良い。

【００１４】

【作用】本発明は上述のごとく構成したものであるか
ら、蒸気洗浄槽内で被洗浄物の蒸気洗浄を行うと、蒸気
洗浄槽内の蒸気は蒸気洗浄槽と接続する凝縮室内に流入
する。そして、この凝縮室に設けた蒸気の凝縮を行う冷
却コイルに接触し、凝縮を生じるものとなる。

【００１５】この凝縮した凝縮液は、凝縮室内に溜めら
れ、必要量貯留された後に、凝縮室の下端方向に設けた
凝縮液の制御弁を開弁することにより、凝縮室の下端に
設けた散布口から放出する事が出来る。

【００１６】この散布口から放出する凝縮液を、被洗浄
物に散布することにより、被洗浄物の熱容量が少なく蒸
気の凝縮が十分に行えない場合にも、被洗浄物に十分な
量の凝縮液を散布することが可能となり、被洗浄物の仕
上げ洗浄を確実に行うことが出来る。

【００１７】また、凝縮室を、蒸気槽内に固定的に位置
するものとすれば、装置の構成を簡易とし、廉価な装置
を得ることができる。

【００１８】また、凝縮室を、蒸気洗浄槽とは別個に形
成し、蒸気洗浄槽内に出入自在に位置するものとすれ
ば、蒸気の凝縮を重点的に行う場合には、蒸気量の多い
洗浄槽の中心部方向に凝縮室を移動して凝縮を行ない、
効率良く凝縮液を得ることができる。また、被洗浄物に
凝縮液を散布して仕上げ洗浄を行おうとする場合には、
蒸気洗浄槽の上部に凝縮室を移動して、被洗浄物に凝縮
液を散布する事が可能となる。

【００１９】また、凝縮室を、蒸気洗浄槽とは別個に形
成し、この蒸気洗浄槽と凝縮室とを、蒸気の導入管と凝
縮液の導出管とで接続するものとすれば、凝縮室を蒸気
洗浄槽とは全く別個に成形し、蒸気洗浄槽内に凝縮室を
挿入せずに蒸気洗浄槽内を広く使用する事ができる。

【００２０】

【実施例】以下本発明の一実施例を図１に於いて説明す
れば、(１)は蒸気洗浄槽で、被洗浄物(２)の蒸気洗浄を
行う蒸気洗浄部(３)に、蒸気管(４)を介して蒸気発生槽
(５)を接続するとともに下端に接続した凝縮液の還流管
(６)を蒸気発生槽(５)に接続している。この蒸気発生槽
(５)は蒸気の発生源となる溶剤を充填し、この溶剤中に
加熱用のヒーター(７)を挿入している。

【００２１】また、蒸気洗浄槽(１)は、蒸気洗浄部(３)
に凝縮室(８)を接続している。この凝縮室(８)は、蒸気
洗浄槽(１)の上部を被覆する蓋体(１０)の下面に固定形
成し、蓋体(１０)の開閉に伴って蒸気洗浄槽(１)に出入
するもので、蓋体(１０)方向に蒸気の導入口(１１)を形
成する。また、凝縮室(８)内には、蒸気の凝縮を行う冷
却コイル(１２)を挿入する。また、凝縮室(８)の下端
に、凝縮液を被洗浄物(２)に散布するための散布口(１
３)を、凝縮液の制御弁(１４)を介して接続している。

【００２２】また、蒸気洗浄槽(１)は、排気管(１５)を
介して真空ポンプ(図示せず)に接続すれば、蒸気洗浄槽
(１)内を減圧し、溶剤の本来の沸点よりも低い温度で蒸
気を発生できる。そのため、樹脂等の高温では変形、変
質等を生じ易い材質で形成した被洗浄物(２)を、高沸点
溶剤蒸気で洗浄することができるものとなる。

【００２３】上述のごとく構成したものに於いて、被洗
浄物(２)の蒸気洗浄を行うには、蒸気発生槽(５)のヒー
ター(７)を作動して、発生した蒸気を蒸気管(４)により
蒸気洗浄槽(１)内に導入する。

【００２４】そして、蒸気洗浄槽(１)に流入した蒸気
は、被洗浄物(２)に接触して凝縮し、この凝縮液は被洗
浄物(２)の表面を流下するから、被洗浄物(２)の仕上げ
洗浄が可能となる。また、蒸気洗浄槽(１)に流入した蒸
気は、被洗浄物(２)に接触するとともに凝縮室(８)にも
流入し、冷却コイル(１２)と接触して凝縮される。この
凝縮液は凝縮室(８)内に貯留される。

【００２５】そして、被洗浄物(２)が昇温し蒸気の凝縮
が困難となった時には、凝縮室(８)の制御弁(１４)を開
弁し、凝縮液を被洗浄物(２)に散布する。この散布は、
凝縮室(８)を被洗浄物(２)の上部に位置して行うから、
ポンプ等の動力を不要とする。また、散布は、散布口
(１３)から貯留した凝縮液を任意の量行うことができる
から、被洗浄物(２)の全体に凝縮液を均一に散布するこ
とが可能となる。

【００２６】また、上記実施例においては、凝縮室(８)
を開閉可能な蓋体(１０)に設置し、この蓋体(１０)の開
閉に伴って凝縮室(８)を蒸気洗浄槽(１)から出入するも
のとした。しかし、他の異なる実施例に於いて凝縮室
(８)は、蒸気洗浄槽(１)に固定したものであっても良
い。この場合は、上記の蓋体(１０)を蒸気洗浄槽(１)の
上端に開閉不能に固定し、この蓋体(１０)に凝縮室(８)
を固定する。このように固定したときは、被洗浄物(２)
の出入のための出入口は、蒸気洗浄槽(１)に別個に形成
する。

【００２７】このように、凝縮室(８)を蒸気洗浄槽(１)
に一体に形成することにより、凝縮室(８)を安定良く蒸
気洗浄槽(１)に設置できるとともに機構を簡略化し、廉
価な装置とすることができる。

【００２８】また、上記実施例においては凝縮室(８)
を、蒸気洗浄槽(１)に形成した。しかし、他の異なる実
施例に於いて凝縮室(８)は、図２に示すごとく、蒸気洗
浄槽(１)とは別個に形成し、蒸気洗浄槽(１)内に出入自
在に位置したものであっても良い。また、この実施例に
於いては、蒸気洗浄槽(１)内に溶剤とヒーター(７)を位
置し、この蒸気洗浄槽(１)内で洗浄用の蒸気を発生させ
ている。

【００２９】この実施例では、円筒状に形成した凝縮室
(８)に、上下動用の取っ手(１６)を固定し、この取っ手
(１６)の上端を蒸気洗浄槽(１)の開口部(１７)に係合す
る引掛部(１８)としている。また、凝縮室(８)内には、
蒸気洗浄槽(１)の外部と連通する冷却コイル(１２)を挿
入するとともに下端に、円錐状の弁座(２０)を設け、こ
の弁座(２０)に制御弁(１４)を接触することにより、内
部に貯留した凝縮液の散布を可能としている。また、制
御弁(１４)の開閉は、制御弁(１４)に連結した連結棒
(２１)を凝縮室(８)の上端に設けた係合坂(２２)に固定
し、この係合坂(２２)を上下動することにより行う。

【００３０】上述のごとく校正することにより、蒸気の
凝縮を重点的に行う場合には、蒸気量の多い蒸気洗浄槽
(１)の中心部方向に凝縮室(８)を移動して凝縮を行な
い、効率良く凝縮液を得ることができる。この場合は、
取っ手(１６)の引掛部(１８)を、蒸気洗浄槽(１)の開口
部(１７)に引っかけて行うと良い。そして、この凝縮作
業は、被洗浄物(２)の蒸気洗浄と同時に行っても良い
し、全く別個に凝縮のみを行うことも可能である。

【００３１】また、被洗浄物(２)に凝縮液を散布して仕
上げ洗浄を行おうとする場合には、取っ手(１６)をもっ
て、蒸気洗浄槽(１)の上部に凝縮室(８)を移動して、被
洗浄物(２)に凝縮液を散布する事が可能となる。この場
合は、取っ手(１６)により凝縮室(８)を適宜移動し、被
洗浄物(２)への凝縮液の散布を調整しても良い。

【００３２】また、更に異なる実施例では図４に示すご
とく、凝縮室(８)を、蒸気洗浄槽(１)とは別個に形成
し、この蒸気洗浄槽(１)と凝縮室(８)とを、蒸気の導入
管(２３)と凝縮液の導出管(２４)で接続したものであっ
ても良い。

【００３３】この場合は、蓋体(１０)の上面外部に凝縮
室(８)を位置し、蒸気洗浄槽(１)内には散布口(１３)の
みを位置することができるから、蒸気洗浄槽(１)を広く
することができ、被洗浄物(２)の効率的な洗浄を可能と
する。また、蒸気の導入管(２３)は、伸縮ホースで形成
すれば、凝縮室(８)を適宜移動し、蒸気洗浄槽(１)の開
口部(１７)を完全に開放し、被洗浄物(２)の蒸気洗浄槽
(１)への出入が容易なものとなる。そのため、蒸気洗浄
槽(１)への被洗浄物(２)の出入を自動化する場合には特
に好都合なものである。

【００３４】

【発明の効果】本発明は上述のごとく構成したものであ
るから、蒸気を凝縮させた凝縮液を、必要な時にまとめ
て散布することを可能とし、被洗浄物へ必要な量を確実
に散布するとともに均一な散布を可能にする。

【００３５】また、その散布を、ポンプ等を用いる事な
く簡易な装置により廉価に行う事が出来るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】蒸気洗浄槽の蓋体に凝縮室を設けた場合の実施
例を示す断面図である。

【図２】蒸気洗浄槽に出入自在に凝縮室を設けた実施例
の断面図である。

【図３】図２に於ける凝縮室の拡大断面図である。

【図４】蒸気洗浄槽と凝縮室とを蒸気導入管で接続した
実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

(１) 蒸気洗浄槽 (２) 被洗浄物 (３) 蒸気洗浄部 (８) 凝縮室 (１０) 蓋体 (１２) 冷却コイル (１４) 散布口 (２３) 導入管 (２４) 導出管

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被洗浄物の蒸気洗浄を行う蒸気洗浄槽の
   蒸気洗浄部に、凝縮室を接続し、この凝縮室に蒸気の凝
   縮を行う冷却コイルを挿入するとともにこの凝縮室の下
   端に、凝縮液を被洗浄物に散布するための散布口を、凝
   縮液の制御弁を介して接続したことを特徴とする蒸気洗
   浄槽に於ける凝縮液の散布装置。
2. 【請求項２】 凝縮室は、蒸気洗浄槽の上部に固定的に
   位置したものである事を特徴とする請求項１の蒸気洗浄
   槽に於ける凝縮液の散布装置。
3. 【請求項３】 凝縮室は、蒸気洗浄槽とは別個に形成
   し、蒸気洗浄槽内に出入自在に位置したものである事を
   特徴とする請求項１の蒸気洗浄槽に於ける凝縮液の散布
   装置。
4. 【請求項４】 凝縮室は、蒸気洗浄槽とは別個に形成
   し、この蒸気洗浄槽と凝縮室とを、蒸気の導入管と凝縮
   液の導出管で接続したものである事を特徴とする請求項
   １の蒸気洗浄槽に於ける凝縮液の散布装置。
5. 【請求項５】 凝縮室は、蒸気洗浄槽の上部を被覆する
   蓋体の下面に形成し、蓋体の開閉に伴って蒸気洗浄槽に
   出入するものであることを特徴とする請求項１の蒸気洗
   浄槽に於ける凝縮液の散布装置。