JPH0745416Y2 - 自動二輪車用フロントフォークカバー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、フロントフォークのアウターチューブを車体
フレーム側に取付け、インナーチューブを前輪の車軸側
に取付けた、いわゆる倒立サスペンションタイプの自動
二輪車において、インナーチューブを保護するためのフ
ロントフォークカバーに関するものである。

（従来の技術） 従来、フロントフォークに倒立サスペンション方式を採
用した自動二輪車においては、例えば第11図のように、
インナーチューブ51の前側を覆うカバー52の下端部を、
前輪の車軸53に取付けられてインナーチューブ51を支持
するホルダー54にボルト55を用いて固定していた。そし
てステアリングシャフト56にブラケット57を介して連結
されたアウターチューブ58の下端部にカバーガイド59を
ボルト60を用いて固定し、カバーガイド59にカバー52の
上端部を遊嵌させることによりカバー52を案内していた
（実開昭59-47587号公報参照）。

（考案が解決しようとする課題） 近年、第12図に示すように、左右に張出し部62aを有す
るフロントフェンダー62が採用されつつある。すなわ
ち、フロントフェンダー62の形状は従来仮想線のように
張出し部62aがないのが普通であったが、最近では渦流
の発生を防止して空気抵抗を減少させるために、流体力
学的な配慮から実線のように張出し部62aを設けること
が提案されている。なお第12図において63は前輪のハ
ブ、64は前輪用デイスクブレーキのディスクである。し
かしながらこの場合、従来のようにカバー52をホルダー
54に取付けた構造では、フロントフォークのクッション
作用によりインナーチューブ51がアウターチューブ58内
に入り込んだときに、カバー52の上端がフロントフェン
ダー62と接触しないようにある程度間隙を設ける必要が
あり、そのため、渦流が発生したりする場合があっ
た。。また従来の構造ではカバー52の下端部がホルダー
54に固定されているので、カバー52の下端部とホルダー
54との間隙に泥や塵芥等が堆積し、それが次第に成長し
てついにはインナーチューブ51に傷を付けてしまう恐れ
がある。さらには、カバー52のためにばね下重量が増加
する。

（課題を解決するための手段） 本考案は、ロントフォーク１のアウターチューブ２を車
体フレーム側に取付け、インナーチューブ３を前輪の車
軸側に取付けた自動二輪車において、前記インナーチュ
ーブ３の前側を覆うカバー10を設け、このカバー10の上
端部をクランプ11により前記アウターチューブ２の下端
部に固着し、前記インナーチューブ３の下端部のホルダ
ー６にカバーガイド13を固着し、該カバーガイド13に前
記カバー10の自由端を遊嵌し、前記クランプ11にケーブ
ルガイド12を備えていることを特徴とする自動二輪車用
フロントフォークカバーである。

（作用） フロントフォーク１のクッション作用によりアウターチ
ューブ２が上下動しても、カバー10はアウターチューブ
２に固定されているので、カバー10の上端がフロントフ
ェンダーの張出し部に接触したりするということがな
い。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を第１図〜第10図に基づいて説
明する。

第１図は本考案の一実施例におけるフロントフォークカ
バーを採用した自動二輪車の要部拡大側面図、第２図は
同自動二輪車の要部概略側面図で、フロントフォーク１
は周知のように、アウターチューブ２や、アウターチュ
ーブ２内に所定長さ嵌入自在な例えば鉄製のインナーチ
ューブ３等により構成されている。アウターチューブ２
はステアリングシャフト４に図外のブラケットを介して
連結されており、アウターチューブ２にはフロントフェ
ンダー５が取付けられている。インナーチューブ３の下
端部外周には例えばアルミニウム合金製のホルダー６が
嵌合固定されており、ホルダー６の下端部は前輪７を回
動自在に支持する車軸８に装着されている。インナーチ
ューブ３の前方には例えば合成樹脂製のカバー10が近接
配置されており、カバー10はインナーチューブ３の前側
を上下方向全長にわたって覆っている。カバー10は上端
部を例えば金属製のクランプ11によりアウターチューブ
２の下端部に固定されており、クランプ11には例えば金
属棒等からなるケーブルガイド12が例えば溶接により固
着されている。ホルダー６の上端部にはボス部6aが一体
に形成されており、ボス部6aには例えば合成樹脂製のカ
バーガイド13（第２図には図示せず）の突出部13aの下
端部がボルト14により固定されている。カバーガイド13
の本体部13b（第10図）は筒状であり、カバー10の下端
部が遊嵌している。

カバー10は第３図及び第４図に詳細に示すように、本体
部10aと鍔部10bとにより構成されており、本体部10aは
第５図のように若干凹凸のある板状で、下端部が斜め前
方側に屈曲している。鍔部10bは第６図のように円弧状
で、上端部には半径方向外側へ突出する突出部10cが形
成されている。

カバー10は第７図に詳細に示すように、鍔部10bの内周
がアウターチューブ２の下端部外周の前側部分に当接し
た状態で、鍔部10bの外周にバンド状のクランプ11が嵌
合しており、クランプ11の両端突出部がボルト15により
締結されている。即ち鍔部10bはクランプ11によりアウ
ターチューブ２に締付け固定されており、突出部10cの
下面はクランプ11の上端面に近接対向している。

ケーブルガイド12は第８図および第９図に詳細に示すよ
うに、ほぼループ状に折曲加工されており、下側へ屈曲
した一端部12aがクランプ11に固着されている。ケーブ
ルガイド12はフロントフォーク１付近を通る複数のケー
ブル16（１本しか図示していない）をガイドしている。

カバーガイド13の本体部13bは第10図に詳細に示すよう
に、断面形状がほぼ矩形であり、カバー10の本体部10a
はカバーガイド13の本体部13bを上下方向に貫通してい
る。本体部13bと本体部10aとの間には所定のクリアラン
スが設けられている。

次に動作を説明する。走行中に前の車輌が砂利や泥等を
跳ね上げても、インナーチューブ３の前側はカバー10に
より覆われているので、砂利や泥などがインナーチュー
ブ３に衝突することはなく、インナーチューブ３はカバ
ー10により良好に保護される。またフロントフォーク１
のクッション作用によりアウターチューブ２が上下動し
ても、カバー10はアウターチューブ２に固定されている
ので、カバー10の上端がフロントフェンダー５の張出し
部5aに接触するということがない。またカバー10がアウ
ターチューブ２に固定されているので、カバー10の下端
部とホルダー６との間に泥や塵芥等が堆積してそれが成
長することによりインナーチューブ３に傷を付けるとい
うことがない。またカバー10がアウターチューブ２に固
定されているので、カバー10をホルダー６に固定した場
合と比較して、ばね下重量を軽減できる。また本実施例
のように、カバー10の鍔部10bに突出部10cを設ければ、
クランプ11の抜け出しを良好に防止できる。また本実施
例のように、カバーガイド13を設ければ、フロントフォ
ーク１のクッション作用によりカバー10がアウターチュ
ーブ２と一体に上下動したときに、カバー10がカバーガ
イド13により案内され、良好に回り止めがなされる。ま
た本実施例のように、クランプ11にケーブルガイド12を
取付ければ、ケーブルガイド12の取付けスペースを別途
確保したり、あるいは取付け困難な箇所にケーブルガイ
ド12取付けるための工夫を要したりすることがなく、合
理的である。なおフロントフォーク１のクッション作用
により第１図の仮想線のようにアウターチューブ２が沈
み込んでも、カバー10の下端は車軸８とほぼ同じ高さで
あり、カバー10が路面と接触するというようなことはな
い。

（別の実施例） 上記実施例においては、カバー10を案内するカバーガイ
ド13を設けたが、本考案は必ずしもこのような構成に限
定されるものではなく、カバー10の剛性を確保すること
によりカバーガイド13を省略してもよい。

また上記実施例においては、バンド状のクランプ11を用
いてカバー10をアウターチューブ２に固定したが、本考
案は必ずしもこのような構成に限定されるものではな
く、カバー10をアウターチューブ２に固定するのに他の
各種手段を用いてもよい。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、カバー10の上端部
をアウターチューブ２の下端部に固定したので、フロン
トフォーク１のクッション作用によりアウターチューブ
２が上下動しても、カバー10の上端がフロントフェンダ
ー５の張出し部5aに接触するということがない。またカ
バー10をアウターチューブ２に固定したので、カバー10
の下端部とインナーチューブ３のホルダー６等との間に
泥や塵芥等が堆積するということがない。またカバー10
をアウターチューブに固定したので、カバー10をインナ
ーチューブ３のホルダー６に固定した場合と比較して、
ばね下重量を軽減できる。

又下向きにカバー10を設けたため、カバー10の下方に邪
魔物がなく、フロントフォーク１の必要なストローク量
を確保でき、他部材と干渉する恐れがなくなる。又ケー
ブルガイドの取付けスペースを別途確保したり、あるい
は取付け困難な箇所にケーブルガイドを取付けるための
工夫が不要となり、更に、部品数の低減効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例におけるフロントフォークカ
バーを採用した自動二輪車の要部拡大側面図、第２図は
同自動二輪車の要部概略側面図、第３図はカバーの平面
図、第４図は同側面図、第５図は第４図におけるＶ−Ｖ
矢視断面図、第６図は第４図におけるVI-VI矢視断面
図、第７図は第１図におけるVII-VII矢視断面図、第８
図はケーブルガイド付近の側面図、第９図は第８図にお
けるIX-IX矢視断面図、第10図は第１図におけるＸ−Ｘ
矢視断面図、第11図は従来のフロントフォークカバーを
採用した自動二輪車の要部拡大側面図、第12図は最近の
フロントフェンダーとカバーとの位置関係の説明図であ
る。 １……フロントフォーク、２……アウターチューブ、３
……インナーチューブ、10……カバー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】フロントフォーク（１）のアウターチュー
   ブ（２）を車体フレーム側に取付け、インナーチューブ
   （３）を前輪の車軸側に取付けた自動二輪車において、
   前記インナーチューブ（３）の前側を覆うカバー（10）
   を設け、このカバー（10）の上端部をクランプ（11）に
   より前記アウターチューブ（２）の下端部に固着し、前
   記インナーチューブ（３）の下端部のホルダー（６）に
   カバーガイド（13）を固着し、該カバーガイド（13）に
   前記カバー（10）の自由端を遊嵌し、前記クランプ（1
   1）にケーブルガイド（12）を備えていることを特徴と
   する自動二輪車用フロントフォークカバー。