JPH0740064A - 圧延接合によるバーの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 中合金鋼又は高合金鋼のチップを備えたクラ
ッド鋼のバーの圧延接合による工業生産を可能にする。 【構成】 燒結高速度鋼のコア４を軟鋼の外皮５により
包み込んだチップ１とこのチップ１に並置した軟鋼のカ
ウンタ−チップ６とを軟鋼の基板２上に配置し溶接条片
３によりそれぞれ仮に接合する。このアセンブリを約 1
100-1150℃まで加熱した後、圧延機に適宜回数通過させ
て圧延接合する。次に外皮５の一部を機械加工により除
去して燒結高速度鋼のコア４を露出させて鋭利にし、焼
きなましを行い刃とする。これにより、チップ１と基板
２との接合面における酸化物の発生を防止することがで
き、又、工業生産が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、これまで産業規模で達
成できなかった、中合金鋼又は高合金鋼と軟鋼との圧延
接合を行う方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】公知の圧延接合方法においては、高級
な、従って高価な鋼のチップを低合金、従って安価な鋼
の基板上に約1150℃の温度で鍛造により接合していた。
この方法により、チップバーとして知られるバイメタル
バー、又は複合鋼のバー、又はクラッド鋼のバーが生産
されている。この圧延接合技術は、現在主に、例えば圧
延機のスライドのような摩耗面の製造、又は、例えば紙
用のギロチンカッタの刃のような、木用皮むき機又は薄
切り機の工業用刃及びナイフの製造に採用されている。

【０００３】しかしながら、圧延接合は低合金鋼には非
常に良い結果をもたらすのであるが、中合金鋼又は高合
金鋼には満足が得られないことがわかっている。

【０００４】この記載において、低合金鋼とは、シリコ
ン(Si)、モリブデン(Mo)、タングステン(W) 、及び／又
はクロム(Cr)のような合金要素を最大２％含有する、例
えば、グレード80WC20、110WC10 、90MCW5又は60WC20の
ような鋼のことである。又、中合金鋼又は高合金鋼と
は、合金要素を２％以上含有する鋼で、例えば、Z160CD
V12 であり、又はいわゆる高速度鋼のタイプ18-0-1又は
6-5-2 で、これらは高合金鋼の特定のケースである。

【０００５】中合金鋼又は高合金鋼と軟鋼の圧延接合が
これまで産業規模で採用されていない理由は、合金要素
(Si,Mo,W,V,Cr)のために過剰な酸化物が現出し、このた
め、チップとその基板の接合が非常に不安定になること
と、この結果、製品の不合格率が高くなることである。

【０００６】このため、現在商業的に使用できる高速度
鋼のチップを有する工業用刃は、銅を使用したはんだ付
けによって製造されているが、これは軟鋼基板と高速度
鋼の間の銅が溶融及び冷却後の効果的接合を確実にする
からである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、中合
金鋼又は高合金鋼のチップを備えたクラッド鋼のバーを
圧延接合により工業生産することを可能にすることであ
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】及び

【作用】このために、本発明により、チップは、固化形
態の粉末冶金により得られる合金鋼で形成される。

【０００９】本発明は、事実上、固化後の燒結鋼インゴ
ットを完全に覆い、基板及びカウンタ−チップの軟鋼に
実質的に接合される層を形成する軟鋼のギャング（外
皮）を使用することにある。

【００１０】粉末冶金による鋼及び合金の製造は公知の
方法であり、これは、極小の小球からなる粉末形態で冷
却された極小の飛沫状態で溶融金属を噴出するものであ
る。合金のバーは、合金粉末を含有する軟鋼カプセルを
固化することにより得ることができる。この固化作業は
非常に高圧で行われる。このようにして得られた小イン
ゴットは燒結鋼のコアにより構成され、このコアに固化
前に粉末を包含したカプセルにより形成された軟鋼の外
皮表面が密に接合される。つぎに、小インゴットはバー
に圧延される。これらのバーは軟鋼の外皮の一部を除去
するため機械加工される。

【００１１】一方、本発明による方法においては、圧延
接合時に、チップとその基板の接合に有害な酸化物が部
分的に現出しないので、上記の外皮は維持される。

【００１２】

【実施例】図１は、ギロチンカッタ用刃の製造の第１ス
テップを示したものである。軟鋼の密な外皮を具備する
燒結高速度鋼のチップ１が、溶接条片３により軟鋼基板
２上に取付けられている。チップ１は、溶接条片３によ
り、基板２にしっかりと固定された軟鋼のカウンタ−チ
ップ６に隣接している。この大ざっぱに形成された溶接
アセンブリの意図する機能は、圧延接合の作業時に部品
１，２，３をそれらの位置に支持し、又、圧延接合作業
の直前に約 1100-1150℃まで加熱する時の接合面の酸化
をできるだけ防止し、一方、溶接条片３はシールビーズ
の機能を果たしている。

【００１３】つぎに、図２に概略示されている圧延接合
作業が行われる。この作業時において、図１に示すよう
に形成され、予熱されたブロックは、約４−５のドロー
イングパスの減少比を得るため、少なくとも１回、好ま
しくは数回ほど圧延機を通される。

【００１４】上述のように、チップ１が軟鋼の外皮を保
持する燒結鋼のバーから形成されるという事実により、
鍛造の質はチップ１、カウンタ−チップ６と基板２との
間の物理−化学的接合を確実に非常に良好なものとして
いる。

【００１５】図３の断面図において示すように、チップ
１の燒結高速度鋼のコア４は軟鋼の外皮５により完全に
囲まれている。圧延接合作業は上記チップとカウンタ−
チップ６を基板２上に強制的に圧接する効果があるの
で、３部品間に確実な接合を形成することができる。

【００１６】最終製品、即ち図４に示すカッタブレード
を得るために、次にバーは熱処理され機械加工される。
Ｘ−Ｘ’、Ｙ−Ｙ’線に沿った圧延と研削により、外皮
の5aと5bの部分が除去される。このために露出された燒
結高速度鋼のコアを鋭利にすることにより、ブレードの
刃先を効果的に形成することができる。焼きなましの
後、工具を固定するための孔及び／又は細孔が、軟鋼部
分が焼きなましされていないので、この部分、即ちカウ
ンタチップ及び基板に穿設及び／又はフライス加工によ
り形成される。

【００１７】本発明は、明らかに上述のようにギロチン
カッタ用刃の製造に限定せず、軟鋼の外皮を保持する燒
結金属のチップの圧延接合により得られるクラッド鋼／
合金のあらゆるバーを含み、又、このタイプのバーから
製造されるあらゆる工具を含むものである。

【００１８】

【発明の効果】本発明により、中合金鋼又は高合金鋼の
圧延接合方法の採用が可能となったことにより、燒結鋼
の使用によるコストの追加にかかわらず、はんだ付けに
よる現在の製品に比較して太刀打ちできる価格のレベル
を保持することができる。更に、燒結鋼の使用により得
られる工具の品質は、市場に出回っている現在の工具の
品質より良好である。

【図面の簡単な説明】

【図１】燒結高速度鋼のチップと軟鋼のカウンターチッ
プとに取り付けられた軟鋼のバーを示す概略斜視図であ
る。

【図２】圧延接合作業を示す概略斜視図である。

【図３】図１の III-III線についての拡大概略断面図で
ある。

【図４】本発明の方法により得られたギロチンカッタの
刃を示す部分斜視図である。

【符号の説明】

１ チップ ２ 軟鋼基板 ３ 溶接条片 ４ 燒結高速度鋼のコア ５ 外皮 ６ カウンタ−チップ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軟鋼の表面外皮内に閉じ込められた金属
   チップを軟鋼の基板上に直接配置することから開始し、
   前記チップは、粉末冶金により得られた中合金鋼又は高
   合金鋼により形成され、前記基板上に位置決めされる前
   に燒結され、固化された前記外皮を保持し、又、前記チ
   ップは、接合前に、溶接により前記基板にろう付けさ
   れ、次にこれらのアセンブリは、前記チップと前記基板
   の強制的接合を行うため圧延機を通過させられ、そして
   完全なアセンブリに機械加工を行うことを特徴とする圧
   延接合によるバーの製造方法
2. 【請求項２】 鋼の前記チップは、２％以上の、シリコ
   ン(Si)、モリブデン(Mo)、タングステン(W) 、及び／又
   はクロム(Cr)のような合金要素から構成されることを特
   徴とする含有することを特徴とする請求項１の方法。
3. 【請求項３】 前記鋼は、Z160CDV12 のグレードに対応
   することを特徴とする請求項２の方法。
4. 【請求項４】 前記鋼は、タイプ18-0-1又は 6-5-2のい
   わゆる高速度鋼であることを特徴とする請求項２の方
   法。
5. 【請求項５】 前記圧延接合作業前に、前記カウンタ−
   チップは前記基板上の前記チップに並置され、又、前記
   基板と前記チップに溶接条片により確実に固定されてい
   ることを特徴とする請求項１の方法。
6. 【請求項６】 軟鋼の基板と、中合金鋼又は高合金鋼の
   刃先とからなり、請求項１の方法により得られた燒結鋼
   のフラットバーから製造されたことを特徴とする工具。