JPH0735849U - 遊星歯車装置の環状摺動部材の回り止め装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 遊星歯車式減速装置の遊星歯車とキャリヤと
の間に介装したスラストワッシャと、キャリヤとの相対
回転を防止し、キャリヤの磨耗を防止する。 【構成】 スラストワッシャ２０を介し、遊星歯車１０
をピン１２で回転自在に装着したキャリヤ１３の座面１
４に溝１５を設け、スラストワッシャ２０に突起部２１
を設けて溝１５と係合させる。遊星歯車１０が回転した
場合、遊星歯車１０とスラストワッシャ２０とは相対回
転するが、スラストワッシャ２０とキャリヤ１３とは相
対回転せず、キャリヤ１３は磨耗しない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、遊星歯車式減速装置の遊星歯車とキャリヤとの間に介装する環状摺 動部材の回り止め装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図１は遊星歯車式減速機の一例を示す断面図であり、支軸１にはベアリング２ を介してスプロケット３が回転自在に装着されており、支軸１の先端には内歯歯 車４が固着されている。 太陽歯車５と内歯歯車４とに噛合する遊星歯車１０は、軸受け１１を介してピ ン１２によりキャリヤ１３に装着されている。遊星歯車１０の端面とキャリヤ１ ３の座面１４との間には、環状摺動部材であるスラストワッシャ３０が介装され ている。 キャリヤ１３はスプロケット３に固着されており、太陽歯車５が図示しない源 動機により回転されると、遊星歯車１０は回転し、内歯歯車４に沿って公転する 。したがって、キャリヤ１３およびスプロケット３は減速されて回転する。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記構成によれば、遊星歯車１０とキャリヤ１３の座面１４との間にはスラス トワッシャ３０が介装されており、スラストワッシャ３０は平板であるため遊星 歯車１０が回転した場合、遊星歯車１０の端面との間で相対回転するとともに、 座面１４との間でも相対回転が行われる。そのため、座面１４を図７のＡ部に示 すように磨耗させる。

【０００４】 上記の問題を解決するため、実開平２−１２４３５６号、あるいは実開平４− ４８４５１号が提案されている。この提案によれば、スラストワッシャの一部を 折り曲げ、キャリヤ１３に係合させてスラストワッシャとキャリヤとの相対回転 を防止するようにしている。 しかしながら、上記構成によると遊星歯車が回転した場合、折り曲げ部に荷重 が加わり、折り曲げ部が変形し、やがて損傷するという問題がある。

【０００５】 本考案は上記の問題点に着目してなされたもので、スラストワッシャとキャリ ヤとの間で相対回転することがなく、スラストワッシャが破損する恐れもない遊 星歯車装置の環状摺動部材の回り止め装置を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的達成のため、本考案に係る遊星歯車装置の環状摺動部材の回り止め装 置においては、太陽歯車および内歯車に噛合する遊星歯車の端面と、前記遊星歯 車がピンを介して装着されたキャリヤの座面との間に環状摺動部材を介装してな る遊星歯車式減速装置において、前記キャリヤの座面に凹部を設け、前記環状摺 動部材に前記キャリヤに設けられた凹部に係合する突起部を設けたことを特徴と している。

【０００７】

【作用】

上記構成によれば、環状摺動部材と接触するキャリヤの座面に凹部を設け、環 状摺動部材に設けた突起部を係合させるようにしたため、キャリヤと環状摺動部 材との間には相対回転は発生せず、したがってキャリヤは磨耗しない。

【０００８】

【実施例】

以下に本考案に係る遊星歯車装置の環状摺動部材の回り止め装置の実施例につ いて、図面を参照して説明する。 図２は遊星歯車装着部の側面図であり、遊星歯車１０はキャリヤ１３にピン１ ２により回転自在に装着されており、キャリヤ１３の座面１４と遊星歯車１０と の間には環状摺動部材であるスラストワッシャ２０が介装されている。 キャリヤ１３の座面１４には図２、および、図３の座面１４部の斜視図に示す ように、凹部である溝１５が設けられている。

【０００９】 図４はスラストワッシャの第１実施例の側面図および下面図を示す。 スラストワッシャ２０には図４に示すように半径方向に長い突起部２１が形成 されている 組み立てる際には、図２に示すように、スラストワッシャ２０の突起部２１を キャリヤ１３の溝１５に係合させる。 したがって、遊星歯車１０が回転する場合、遊星歯車１０とスラストワッシャ ２０との間では相対回転するが、スラストワッシャ２０とキャリヤ１３との間で は相対回転はしない。

【００１０】 図５はスラストワッシャの第２実施例を示し、スラストワッシャ２０には半球 形の突起部２２を形成してある。 図６はスラストワッシャの第３実施例を示し、スラストワッシャ２０には円形 の突起部２３を形成してある。 いずれも、組み立て時には突起部２２、２３をキャリヤ１３の溝１５に係合さ せる。

【００１１】 なお、キャリヤ１３の座面１４に設けた凹部の溝１５はスラストワッシャ２０ の突起部に係合する穴であっても差し支えない。

【００１２】

【考案の効果】

以上説明したごとく、本考案は、遊星歯車式減速装置の遊星歯車と、遊星歯車 を装着するキャリヤの座面との間に介装する環状摺動部材に突起部を設け、キャ リヤの座面に設けた溝に係合するようにした。そのため、遊星歯車が回転した場 合、遊星歯車と環状摺動部材との間では相対回転するが、環状摺動部材とキャリ ヤの座面との間では相対回転は発生せず、したがって、キャリヤの座面が磨耗す ることはなく、環状摺動部材が破損する恐れもない遊星歯車装置の環状摺動部材 の回り止め装置が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】遊星歯車式減速機の側面断面図である。

【図２】本考案の遊星歯車装着部分の側面図である。

【図３】本考案のキャリヤの座面に設けた溝を示す斜視
図である。

【図４】本考案のスラストワッシャの第１実施例を示す
図面である。

【図５】本考案のスラストワッシャの第２実施例を示す
図面である。

【図６】本考案のスラストワッシャの第３実施例を示す
図面である。

【図７】従来の遊星歯車装着部分の側面断面図である。

【符号の説明】

１０ 遊星歯車 １３ キャリヤ １４ 座面 １５ 溝 ２０ スラストワッシャ ２１、２２、２３ 突起部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 太陽歯車および内歯車に噛合する遊星歯
   車の端面と、前記遊星歯車がピンにより装着されたキャ
   リヤの座面との間に環状摺動部材を介装してなる遊星歯
   車式減速装置において、前記キャリヤの座面に凹部を設
   け、前記環状摺動部材に前記キャリヤに設けられた凹部
   に係合する突起部を設けたことを特徴とする遊星歯車装
   置の環状摺動部材の回り止め装置。