JPH0735669A - 炭水化物含有検体の測定装置、化学センサおよび測定方法 - Google Patents

炭水化物含有検体の測定装置、化学センサおよび測定方法

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JPH0735669A
JPH0735669A JP17018894A JP17018894A JPH0735669A JP H0735669 A JPH0735669 A JP H0735669A JP 17018894 A JP17018894 A JP 17018894A JP 17018894 A JP17018894 A JP 17018894A JP H0735669 A JPH0735669 A JP H0735669A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 少量のサンプル中の炭水化物含有検体を測定
する装置等を提供する。 【構成】 装置は、(a)表面に結合した受容体層を有
する圧電表面波サンプルデバイスSであって、サンプル
デバイスとサンプルとの接触によるサンプルデバイス表
面の質量変化のデータを発生する手段を有し、受容体層
は天然に産するか産しないレクチンとレクチンサブユニ
ットとレクチン類似体とから選ばれ炭水化物含有検体に
付随してこれに親和性が有る分子を有する;(b)炭水
化物含有検体に対して実質的に親和性がない受容体層を
有する圧電表面波対照デバイスRであって、対照デバイ
スとサンプルとの接触による干渉に関するデータを発生
する手段を有する;および(c)サンプルデバイスと対
照デバイスからのデータをサンプル中の炭水化物含有検
体の存在および/または量のデータを提供すべく関連付
ける測定機器を包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分析化学に関し、詳し
くは炭水化物を分析するためのデバイスおよび方法に関
する。
【0002】
【技術背景】炭水化物化学の分野においては、炭水化物
分析用の簡易で信頼性の高い技術の開発に対する切実な
要求がある。ガンや急性炎症性疾患などの疾患あるいは
コンディション(codition)の処置に有用な新
規な炭水化物、糖タンパク質その他の糖複合体が開発さ
れてきた。これらの化合物の特定の構造は、炭水化物の
結合能力および受容体能力を理解するのに重要である。
化合物が治療用に使用される場合には、オリゴ糖の微不
均一性も、FDAの目的のために、測定されなければな
らない。発酵系における糖水準、あるいは薬剤,食品ま
たは生物工学(バイオテクノロジ)工業におけるバイオ
リアクタの測定も、重要になる可能性がある。
【0003】糖複合体のキャラクタリゼーション(ch
aracterization)のための現在知られて
いる分析技術は、煩雑であり、X線結晶学やNMRなど
の広範囲の計装化が必要である。他の分析技術は、発色
団あるいは放射性標識化合物などの二次的な“検出”試
薬の使用を必要とする。溶液中の糖を検出するために旋
光などの方法を利用することは、通常は、発酵槽または
バイオリアクタには見られない他の光学的に活性な化合
物および低散乱性媒体のコンディションからの低信号応
答のコンディションを必要とする。
【0004】圧電センサは、微量重量免疫検定デバイス
として利用されてきた(例えば、Anal.Chem.
1983年、2333〜2336頁のジョイ E.ロー
デラとグレン J.バスチアーンズによる“圧電結晶を
使用した微量重量免疫検定”を参照)。これらのセンサ
は、それらの表面に結合された質量の量の変化が共鳴周
波数をシフトさせると言う原理に基づいて作動する。化
学的反応性層の質量が変化するように、検出すべき物質
と優先的に反応する化学的反応性を有する層により、圧
電結晶の表面を被覆することによって、選択的な質量検
出が実現される。このようなデバイスは、センサあるい
はデバイスが浸漬される溶液中で選択された種類の化合
物の濃度を測定することができる化学センサとして機能
する。入力トランスジューサを経てデバイスに結合され
るラジオ(radio)周波エネルギは、表面の幾つか
の波長内に制限される表面音波に変換される。表面音波
の速度は、デバイスの表面の質量負荷に応じて変動す
る。表面音波は、デバイスの表面に沿って伝播して出力
トランスジューサに到達し、そこで表面音波は、ラジオ
周波エネルギに戻される。デバイスの表面の質量負荷に
よる表面音波の速度が変化すると、出力トランスジュー
サによる出力であるラジオ周波数信号の相変化が起こる
結果になる。このことは、デバイスの表面に結合された
物質の質量と関連付けることができる。
【0005】液体中の化合物の濃度を確認するために
は、圧電センサは、表面横波デバイス(STW)あるい
はラブ(Love)波デバイス(全体として“圧電表面
波デバイス”と呼ばれる)であることが好ましい。この
ようなデバイスは、この技術分野で知られており、例え
ば米国特許第5,130,257号、米国特許出願番号
07/792,975、07/876,804、07/
404、721および08/041,662に開示され
ている。
【0006】質量感度(すなわち、分別周波数変化/デ
バイス表面に付着した物質の質量変化)は、圧電表面波
デバイスの質量が減少するにつれて、あるいはこれに対
応してデバイスの厚みが減少するにつれて、増大する。
製造上の困難さのために、約20MHzの共鳴周波数に
対応して、デバイスの厚みの実際的な下限は、約100
μmということになる。その結果として、これらの圧電
表面波デバイスの感度は、制約を受ける。
【0007】他の一つの煩雑さとして、従来技術による
デバイスは、液体サンプル(例えば、水溶液)中で使用
される圧電表面波デバイスにおける共鳴周波数のシフト
は、表面に結合された質量の変化に由来するものである
が、このシフトの全てが質量の増大だけによるものでは
ない。特に、温度、圧力、非特異的結合、イオン強度、
伝導度、質量密度、粘度などの物理的および化学的要因
は全て、共鳴周波数のシフトと相互に関係しており、共
鳴周波数のシフトとデバイスの表面に結合した質量の変
化との直接的な相関関係を干渉する。この干渉は、ある
程度はミニマイズ(minimize)することができ
るが、周波数のシフトと質量との真の相関関係は、成り
立たない。
【0008】従来技術においては、多数の検体を多数回
測定するためには、多量の検体を別々のサンプルに分割
して、それぞれの測定に一つのサンプルが必要であっ
た。特定の医学的な試験あるいは医薬品の用途において
は、極く限られた量の検体で間に合う。単一のサンプル
からの多数の検体の多数回の測定を実施できる能力がな
いならば、実施できる測定の数は制限されることにな
る。特に、幾つかの炭水化物含有化合物の測定は、小量
のサンプルにおいて必要とされる。
【0009】必要なものは、小量のサンプル中の一つま
たはそれ以上の炭水化物含有化合物を、直接に検出する
ことのできる廉価で、高感度で、便利な特定の炭水化物
分析器である。
【0010】
【発明の目的】本発明は、上記の要求に応えるものであ
って、少量しかないサンプル中における少なくとも一つ
の炭水化物含有化合物を直接検出することができ、安価
で、高感度で、かつ簡便な分析装置、化学センサおよび
分析方法を提供することを目的とする。
【0011】
【発明の概要】本発明は、サンプル中の一つまたはそれ
以上の炭水化物含有化合物の量および/または存在を測
定するための測定装置に関する。この測定装置は、デバ
イス表面の基部に近い化学的環境に対応する複数の圧電
表面波デバイス(例えば、STWあるいはラブデバイ
ス)を使用する。特に、測定装置は、圧電表面波サンプ
ルデバイスと圧電表面波対照デバイスの両方を使用す
る。対照デバイスは、測定された炭水化物含有化合物
(すなわち、干渉)の存在に起因するデバイス表面での
質量変化と相関関係がない共鳴周波数のシフトの変化を
解明するための手段を提供する。この干渉は、サンプル
デバイスによって測定された化学物質の濃度の著しく正
確な計算値を提供するように、サンプルデバイスから収
集されたデータから、数学的に取り除くことができる。
【0012】一般的に言えば、本発明は、単一または多
数の検体を測定する圧電表面波デバイスの表面の質量変
化と相関関係にない共鳴周波数のシフトを起させる干渉
を解明しながら、サンプル中のこれらの検体を正確に検
出する分析法を提供する。単一の炭水化物含有化合物を
測定するために複数のサンプル装置が使用されるときに
は、ここに開示されている測定装置は、同一の検体濃度
について複数の読みを提供することができ、したがって
測定結果の統計的分析を含む正確で精密な測定装置を提
供する。
【0013】特に、本発明は、一つまたはそれ以上の圧
電表面波デバイスに固定された一つまたはそれ以上のレ
クチンまたはレクチンサブユニット(lectin s
ubunit)を使用する。このような固定されたレク
チンは、測定されるサンプル中に含まれる特定の炭水化
物に対して親和性を有する。
【0014】したがって、そのデバイスの態様の一つに
おいて、本発明は、一つまたはそれ以上の炭水化物含有
検体の量を定量するための測定装置を提供する。この測
定装置は、表面に結合された受容体層を有する一つまた
はそれ以上の圧電表面波サンプルデバイスを使用する。
この受容体層は、天然に産するか、あるいは天然に産し
ないレクチン、レクチンサブユニットまたはレクチン類
似体を含んでおり、これらは、測定される炭水化物含有
検体に付随して検体に親和性を有するために選択されて
きた。サンプルがデバイスに接触しているときには、デ
バイスは、炭水化物含有検体と受容体層上のレクチンと
の相互作用に起因する該デバイスの表面の質量変化に関
するデータを発生する。
【0015】装置は、炭水化物含有検体に対して殆どま
たは全く親和性を有しない受容体層を有する少なくとも
一つの圧電表面波対照デバイスも含んでいる。この対照
デバイスは、デバイスとサンプルとの接触から生ずる干
渉に関するデータを発生する。サンプルデバイスと対照
デバイスからのデータは、測定機器によって相互に関係
付けられて、サンプル中の炭水化物含有検体の存在およ
び/または量に関するデータが提供される。
【0016】その方法の態様の一つにおいては、本発明
は、サンプル中の一つまたはそれ以上の炭水化物含有検
体の量および/または存在を測定するための方法を提供
する。この方法は、サンプルデバイスおよび対照デバイ
スの双方からデータを得るために、前述の測定装置を利
用する。そして、このデータは、サンプル中の炭水化物
含有検体の存在および/または濃度を測定するために利
用される。
【0017】本発明は、単一のサンプル中の複数の炭水
化物含有検体を試験するための化学センサも提供する。
この化学センサは、それぞれ異なった受容体層が結合さ
れた複数の圧電表面波サンプルデバイスを利用する。そ
れぞれの受容体層は、天然に産するか、または天然に産
しない異なるレクチン、レクチンサブユニットまたはレ
クチン類似体であって、複数の炭水化物含有検体の一つ
に付随してこの検体に親和性を有するものを含んでい
る。
【0018】さらに、本発明は、サンプル中の単一の炭
水化物含有検体のための測定装置を提供しており、この
装置は複数の圧電表面波サンプルデバイスを利用し、そ
れぞれのデバイスは、天然に産するか、あるいは天然に
産しないレクチン、レクチンサブユニットまたはレクチ
ン類似体であって、同じ炭水化物含有検体に付随して検
体に親和性を有するものを含む受容体層を有する。した
がって、この装置は、単一のサンプル中の同じ検体の多
数の測定を可能にする。このことにより、測定の精密さ
と精密さと正確さが改善される。
【0019】以下に、サンプル中の炭水化物含有化合物
の正確な測定を提供する測定装置について説明する。こ
の測定装置は、圧電表面横波デバイスあるいはラブ波デ
バイス(全体として“圧電表面波デバイス”と呼ばれ
る)を利用して、対象とする検体の濃度を測定する。
【0020】圧電表面波デバイスは、通常、圧電性基
板、一つまたはそれ以上のトランスジューサ、大抵はイ
ンターデジタル・トランスジューサ(IDT)、および
モードを基板の表面に補足する格子またはプレートを有
する。格子ベース圧電表面波導波管あるいはデバイス
は、STWデバイスとして知られているが、プレートベ
ース圧電表面波導波管あるいはデバイスは、ラブ波デバ
イスとして知られている。さらに、圧電表面波サンプル
デバイスについては、デバイスは、検出される予め選択
された検体と反応する化学的に反応性の層(受容体層)
を有する。このようなデバイスは、米国特許出願番号0
7/251,149(現在の米国特許第5,130,2
57号)および07/792,975に開示されてい
る。そういうものとして、測定装置は、サンプル、特に
液体サンプル中の検体の量および/または存在を測定す
ることができる。
【0021】測定装置の以下の説明において、“炭水化
物”という用語は、一つまたはそれ以上の糖単位(サッ
カリド単位《saccharide unit》)を含
む化合物であることを意味する。糖単位は、化学的に変
性される。“炭水化物含有化合物”という用語は、炭水
化物そのもの、あるいは糖複合体中に含まれる炭水化物
を意味する。
【0022】また、測定装置の以下の説明において、
“検体(アナライト《analyte》)”という用語
は、検体の濃度の測定を可能にするように受容体に特別
に結合する構造(structure)、化合物(co
mpound)、化学物質(chemcal)または組
成物(composition)を意味する。特に、検
体は、どのような炭水化物あるいは炭水化物を含む化合
物、例えば、単糖、オリゴ糖、多糖、糖タンパク質、糖
ペプチド、糖脂質、糖複合体、細胞、細胞フラグメント
(fragment)、細胞成分、バクテリア、酵母、
菌類、原生動物またはウイルスであってもよい。特定の
受容体を認識する検体は、この受容体に付随すると言わ
れる。
【0023】さらに、測定装置の以下の説明において、
“受容体”という用語は、検体の濃度の測定を可能にす
るように検体に特別に結合する任意の化合物を呼ぶ。特
定の検体を認識する受容体は、この検体に付随すると言
われる。
【0024】受容体とこれに付随する検体は、受容体/
検体結合対と呼ばれることがある。受容対/検体結合体
は、この技術分野では公知であり、抗原/抗体対、ビオ
チン/アビジン(biotin/avidin)対、レ
クチン/炭水化物対などを含む。特に好ましい受容対/
検体対は、レクチン/炭水化物対である。
【0025】さらに、測定装置の以下の説明において、
“予め選択された検体”という用語は、圧電表面波サン
プルデバイスの表面に置かれた受容体に付随する検体を
指す。“圧電表面波サンプルデバイス”あるいは“圧電
表面波化学デバイス”という用語は、受容体に付随する
一つまたはそれ以上の検体を選択的に結合することがで
きるように、その表面に直接または間接に結合された一
つまたはそれ以上の異なる受容体を含む圧電表面波デバ
イスを指す。受容体は、大抵は、共有結合によって圧電
表面波サンプルデバイスの表面に結合しているが、他の
種類の結合(例えば、イオン結合など)も可能である。
【0026】このような表面に受容体を結合させる方法
は、この技術分野では公知であり、例えば、有機シラ
ン、アビジンまたはストレプトアビジン、ビオチン、タ
ンパク質、重合体、脂質二重層などの使用を含む。圧電
表面波デバイス表面への結合のための特定の手段は、重
要ではなく、固定表面に受容体を結合させるための公知
のどのような手段でも利用することができる。
【0027】本発明の測定装置は、多様な検体を測定す
るのに有用である。適用の領域は、薬品、試験管内診断
薬、食品および農産物品質保証およびコントロール、研
究および医薬を含むが、これらに限定されるものではな
い。
【0028】レクチンは、糖タンパク質その他の糖複合
体薄膜のプローブとして広く利用された非免疫原形であ
る。糖質へのレクチンの結合は、糖質部分の結合部位の
形態的および構造的完成度に依存している。レクチンの
分子は全て、二つまたはそれ以上の炭水化物結合部位を
有している。すなわち、レクチンは、非共有結合で結合
されたサブユニットよりなるマルチマ(multime
ric《重合体》)である。この特性は、レクチンが細
胞を凝集させるか、複合炭水化物を沈澱させる能力に不
可欠のものである。レクチンは、バクテリア、スライム
モールド(slime mold《粘液菌》)および低
級脊椎動物から単離されてきた。最も特徴的なレクチン
は、植物から取出される。この出願の目的のために、
“レクチン”という用語は、天然に産するか、あるいは
天然に産しないレクチン、レクチンサブユニットまたは
レクチン類似体を含むことを意味する。
【0029】本発明の一つの好ましい実施態様は、別個
の単糖、多糖あるいはオリゴ糖を選択的に検出する手段
として圧電表面波デバイス上に固定されたレクチンを利
用する。これらのサッカリド(糖質)は、サンプル中に
それ自体として含まれているか、またはサンプル溶液中
に糖複合体として、あるいは細胞膜またウイルス上に受
容体として含まれている。
【0030】前述のように、圧電表面波デバイスは、質
量に敏感な音響デバイスである。デバイスの表面の固定
されたレクチンによって特定の炭水化物部分を結合する
と、発生された波の伝播速度を低下させる。このこと
は、相変化として電子的に測定される周波数のシフトを
もたらす。測定は、測定される特定の炭水化物に特有の
レクチンによって誘導体化されていない対照デバイスに
よっても行なわれる。
【0031】それぞれのレクチンは、一つまたは複数の
特定の炭水化物構造に対して特異性を有するので、異な
る糖組成を有する類似のオリゴ糖を区別するか、あるい
は分離することができる。この区別は、結合部位の完成
度だけではなく、立体的な要因とグリコシド結合の性質
による影響にも基づいている。レクチンの特異性は、レ
クチンが引起す凝集あるいは沈澱の最も有効な阻害剤で
ある糖類によって規定される。しかしながら、糖複合体
に対するレクチンの結合は、単糖に対する結合よりも複
雑であることが少なくない。レクチンのあるものは、マ
ンノース残基またはグルコース残基で構造に結合する
が、他のレクチンは、ガラクトース残基で結合する。他
のレクチンは、末端の非還元位置に特定の糖があること
を必要とするが、他のレクチンは、オリゴ糖鎖内の内部
に配置されている糖に結合することができる。あるレク
チンは、β−アノマ構造(anomeric stru
cture)からα−アノマ構造を区別することができ
ないのに対して、他のレクチンは、結合のために正確な
アノマ構造の他に特定の配列(シーケンス《seque
nce》)の糖を必要とする。様々のレクチンの結合親
和性も、受容体あるいは糖タンパク質の炭水化物構造に
おける細かい変化に応じて異なる。したがって、本発明
の受容体分子としてレクチンを使用すると、極めて特異
な炭水化物構造の測定が可能になる。
【0032】以下に、糖に対するレクチンの特異性の幾
つかの例を示す。その他は、表1の1〜表1の10に示
す。レクチンの特異性の広範な列挙は、ウー(Wu)等
の819〜847(1988年)版、複合炭水化物の分
子免疫学の“レクチンの炭水化物特異性についての指
針”に見出すことができる。本発明の圧電表面音波デバ
イスに対する公知の特異性を有するレクチンを固定する
と、サンプル中の特定の炭水化物または炭水化物を含む
化合物の存在および/または量を検出することが可能に
なる。
【0033】コンカナバリンA(Con A)は、通常
存在する糖構造、α−結合マンノースおよびD−グルコ
ースを認識する。
【0034】エリスリナ・クリスタガリ(Erythr
ina cristagalli)(ECL)は、ガラ
クトースに対して特異性を有し、ガラクトシル(β−
1,4)N−アセチルグルコサミンに対して高い結合活
性度を有する。
【0035】ジヤカリン(Jacalin)は、O−グ
リコシド結合によって結合されたオリゴ糖だけに結合
し、ガラクトシル(β−1,3)N−アセチルガラクト
サミンを好む。
【0036】レンズ・クリナリス凝集素(Lens C
ulinaris Agglutinin)(LCA,
LcH)は、α−結合マンノース残基を含む配列を認識
する。これは、Con Aよりも限定された特異性を有
し、コア・オリゴ糖のN−アセチルキトビオース部分に
結合したα−結合フコース(fucose)残基を認識
することができる。
【0037】リシナス・コンムニス凝集素(Ricin
us Communis Agglutinin)(R
CA,RCA I)は、ガラクトースを末端に有するオ
リゴ糖に好んで結合するが、N−アセチルガラクトサミ
ンとも相互に作用する。
【0038】
【表1の1】
【0039】
【表1の2】
【0040】
【表1の3】
【0041】
【表1の4】
【0042】
【表1の5】
【0043】
【表1の6】
【0044】
【表1の7】
【0045】
【表1の8】
【0046】
【表1の9】
【0047】
【表1の10】
【0048】レクチンは、細胞分離に使用されてきた。
異なる細胞および細胞の種類は、それらの表面に異なる
糖類を現わすので、表面に現われた特定の糖類に特異性
を有するレクチンによって結合される。したがって、本
発明は、測定されるサンプル中に含まれる様々の細胞、
細胞フラグメントまたは細胞成分の種類および量を測定
するために、圧電表面波デバイス上に固定されたレクチ
ンを利用する。
【0049】細胞分離のために利用されるレクチンの幾
つかの例を表2の1〜表2の2に示す。
【0050】
【表2の1】
【0051】
【表2の2】
【0052】異なる微生物は異なる表面成分を有するの
で、レクチンは診断微生物学において利用されてきた。
レクチンは、一次的な単離媒体から生物体を区別し、確
認するために利用されてきた。本発明に記載されたよう
に、レクチンを使用することによって、サンプル中にど
のような微生物が存在するかを、生物体を培養すること
なく、大きな特異性を有して、かつ極めて短時間に、測
定することができる。
【0053】診断微生物学におけるレクチンの応用を表
3に示す。微生物的用途に利用されるレクチンの例を表
4の1〜表4の2に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4の1】
【0056】
【表4の2】
【0057】既知の特異性を有する異なるレクチンで被
覆された圧電表面波センサの配列が、完全なまたはある
程度消化された炭水化物化合物を含むサンプル中に存在
する糖部分を特徴付けるために利用される。したがっ
て、本発明のデバイスは、溶液中の、あるいは細胞、細
胞フラグメント、細胞成分、バクテリア、酵母、菌類、
原生動物またはウイルスに存在する単糖、オリゴ糖また
は多糖;溶液中の、あるいは細胞、細胞フラグメント、
細胞成分、バクテリア、酵母、菌類、原生動物またはウ
イルスに存在する糖タンパク質、糖ペプチド、糖脂質ま
たは他の糖複合体;の測定を可能にし、またサンプル中
に存在する細胞、細胞フラグメント、細胞成分、バクテ
リア、酵母、菌類、原生動物またはウイルスの識別を可
能にする。
【0058】単糖程度の小さい分子が、圧電表面波デバ
イスを利用して検出されることは、予想外である。本発
明のデバイスを利用すると、検出可能な分子の範囲が分
子量約150まで拡張される。
【0059】一つの好ましい実施態様において、そして
例としてのみ、反応性表面層が、3段階法において形成
される。この方法は、第1ステップとして、圧電表面波
デバイスの表面にSiOをスパッタ蒸着(厚さ約10
0Å〜約1000Å、好ましくは約500Å)すること
を含み、その結果として表面に多数の反応性水酸基を生
成させる。第2ステップにおいては、水酸基をオルガノ
シランカップリング剤で処理して、反応性表面層をさら
に官能化させる。
【0060】このことに関しては、オルガノシランカッ
プリング剤は、RSiX(4−n)なる式で示される
ものであることが好ましく、この式において、Xは加水
分解可能な基、例えばアルコキシ基、アシロキシ基、ア
ミン基、塩素などであり、Rはカップリング剤が有機樹
脂および重合体その他と結合することができる官能性を
有する非加水分解性の有機基を示し、nは1、2または
3に等しい整数である。このようなオルガノシランカッ
プリング剤の一つは、3−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン(GOPS)であり、この段階についての
化学はこの技術分野でよく知られている。オルガノシラ
ンカップリング剤のもう一つの例は、(γ−アミノプロ
ピル)トリエトキシシランである。他の好適なカップリ
ング剤は、この技術分野でよく知られている。
【0061】第3ステップにおいては、オルガノシラン
カップリング剤(圧電基板の表面に共有結合した)が、
圧電表面波デバイスの表面に反応性表面を提供するよう
に直接にあるいは誘導体化の後に結合される。この後者
の実施態様の一つの例として、オルガノシランカップリ
ング剤がエポキシ基を有するならば、これらの基は、デ
バイスにアミン基との反応性の表面層を提供するよう
に、通常の方法(例えば、過ヨウ素酸ナトリウムとの反
応)によって反応性アルデヒド基に変換することができ
る。
【0062】それから、配位子結合層を形成するよう
に、配位子結合反応剤を反応性表面層に強力に結合させ
る条件の下で、反応性表面層に配位子結合反応剤を接触
させることによって、配位子結合層が結合される。好適
な配位子結合反応剤は、この技術分野においてよく知ら
れているが、唯一つの必要条件は、配位子結合反応剤が
反応性表面層と受容体の両方に結合するように、十分な
官能性を有することである。
【0063】好ましい結合反応剤としては、アビジン、
ストレプトアビジン、レクチンなどがある。一つの実施
態様においては、配位子結合反応剤はアビジンであっ
て、反応性表面層はアミン基によってアビジンに共有結
合してイミン(すなわち、シッフ塩基)を生成するアル
デヒド基を有する。イミンを適当なpHにおいてシアノ
水素化ホウ素ナトリウムなどの適当な還元剤によって還
元すると、アミン誘導体が生成し、そして圧電表面波デ
バイスの表面層にアビジンが共有結合する結果になる。
【0064】そうでなければ、圧電デバイスの反応性表
面層がアミン官能基を有するならば、この層は、アビジ
ンのカルボキシル基と直接反応してアビジンとアミド共
有結合を形成することができる。この実施態様において
は、アミン官能基との反応の前に、アジビンのカルボキ
シル基を活性化させることが望ましい。
【0065】いずれにせよ、配位子結合層の生成後に
は、受容体または配位子を有する層が生成する。この層
は、予め選択された検体に対して選択的であって、配位
子結合層に結合するのに適した他の官能基を有する受容
体分子を、配位子結合層に接触させることによって、容
易に生成する。受容体分子の配位子結合層へのカップリ
ングは、この技術分野では公知である。好ましい受容体
分子としては、レクチン、レクチンサブユニット、およ
びレクチン類似体であって、官能基としてアミノ基およ
びカルボキシル基を有し、かつ予め選択された検体に対
する活性損失が最も少ない配位置結合層にこれらの基を
組合させるものが挙げられる。他の好ましい受容体分子
は、ビオチニル化レクチン、レクチンサブユニット、ま
たはレクチン類似体であって、ビオチン/アビジンの堅
密な結合によって好ましいアビジン配位子結合層に結合
し、かつ予め選択された検体に対して全く選択性を有し
ないものである。
【0066】明らかなことであるが、同じ受容体または
異なる受容体を圧電表面波デバイスの表面に結合させる
ことができる。同じ受容体が使用されるときには、得ら
れた個々のデバイスは、予め選択された検体の存在と濃
度の両方を検出することができる。異なる受容体が使用
されるときには、得られた個々のデバイスは、予め選択
された検体の一つの存在だけしか検出することができ
ず、どの検体が存在するのか、あるいはそれらの濃度を
測定することはできない。
【0067】さらに、以上のように受容体層を圧電表面
波デバイスの表面に結合させるための一つの方法が開示
されているが、例えば、表面に対する受容体の直接的な
カップリングを含む他の方法は、この技術分野では公知
である。
【0068】“圧電表面波対照デバイス”という用語
は、圧電表面波サンプルデバイスと同様の方法で表面が
誘導体化されているが、圧電表面波サンプルデバイスの
表面にある受容体に付随した検体に対して殆ど、あるい
は全く親和性を示さない受容層を有するような圧電表面
波デバイスを示す。圧電表面波対照デバイスは、予め選
択された検体に対して圧電表面波サンプルデバイスの結
合親和性よりも、少なくとも10だけ小さい結合親和
性を有することが好ましく、少なくとも10だけ小さ
い結合親和性を有することがより好ましく、10だけ
小さい結合親和性を有することがさらに好ましい。
【0069】検体に対して殆どあるいは全く親和性を有
しない受容体は、この技術分野では公知であり、そして
予め選択された検体に付随しないレクチンまたはレクチ
ンサブユニットの使用を含む多様な機構によって容易に
得ることができる。同様に、レクチンまたはレクチンサ
ブユニットをこれに付随する検体に結合することができ
ないように化学的に変化させることは、標準的な化学的
手法によって容易に実現できる。固定された受容体と大
きさは似ているが、測定される検体には付随しないとい
う理由で、予め選択されたBSAなどのタンパク質や他
の分子も、対照デバイスに使用される。
【0070】予め選択された検体に対して殆ど、あるい
は全く親和性を有しない受容体層を有する圧電表面波対
照デバイスは、圧電表面波デバイスの表面における質量
変化に起因しない共鳴周波数のシフトを説明することに
よって、サンプルデバイスによって起される検体濃度測
定における物理的(温度、圧力など)および化学的な
(非特異的結合、イオン強度/伝導度/質量密度および
粘度)干渉を減少させるのに効果的である。
【0071】〔測定装置〕ここに記載されている測定機
器は、圧電表面波サンプルデバイスおよび対照デバイス
からの共鳴周波数のシフトまたは位相のディレイを測定
するために、データを取得する手段を提供する。ここに
記載されている測定装置は、単一のチャンネルであって
も複数のチャンネルであってもよい。単一チャンネル測
定装置は、同じ基板の上に圧電表面波サンプルデバイス
を対照デバイスと直列に結合して備えたものである(例
えば、図6(B))。多チャンネル測定装置の一つの例
は、図4(A)に示す。
【0072】その代りに、好ましい2チャンネル測定構
造は、増幅前に圧電表面波サンプルデバイスおよび対照
デバイスの出力信号を混合することであろう。これらの
曝露サイクルを同期化し、サンプリング干渉を減少させ
るためには、液体は、サンプルデバイスおよび対照デバ
イスの上方に平行に流す。例えば、この構造において
は、明確な対照校正は、もはや必要がない。検出能力と
対照デバイス能力の両方を有する混成装置を利用しても
よい。
【0073】装置は、非特異的効果に対して圧電表面波
サンプルデバイスの応答を評価し、補正するための手段
を提供する。例えば、装置は、既知の粘度および伝導度
の溶液によって、検査し、補正することができる。この
ような溶液は、予見された信号応答と許容信号応答の範
囲を生み出さなければならない。例えば、サンプルデバ
イスがこのような溶液に曝露されると、サンプルを導入
する前の流体の流路および動力の条件が決定される。
【0074】対象とする検体を含まない溶液に対する装
置の安定性が一旦査定されると、サンプル溶液、標準溶
液あるいは内標準を有する溶液が導入される。標準的な
手法が利用されて、圧電表面波サンプルデバイスおよび
対照デバイスに、サンプルが導入される。サンプルは、
サンプルデバイスに直接に導入される。
【0075】以下に論議するように測定装置はまた、位
相のディレイあるいは圧電表面波サンプルデバイスおよ
び対照デバイスの周波数などの関連するパラメータを測
定するための手段を提供する。以下に記載される多重エ
レクトロニクスは、それぞれのデバイスにより音波を発
生する手段、位相を調節、混合および増幅する手段を含
んでいる。さらにこの装置は、データ取得のソフトウェ
アのための手段を提供する。圧電表面波対照デバイスの
応答を説明するための信号処理は、以下の記述から容易
に理解されるような方法で実施される。
【0076】標準/通常の手段は、圧電表面波サンプル
デバイスおよ対照デバイスにサンプルを導入するため、
およびサンプルの体積を想定するために、利用すること
ができる。ある構造においては、このデバイスは、反応
剤の流れを導く流れ学システムと、実際的な測定が静的
であるか動的である場合にサンプルがサンプルデバイス
および対照デバイスに接触する速度を変化させる手段を
含んでいてもよい。この機器は、フローカセットおよび
カセットをサンプルデバイスおよび対照デバイスにシー
ルする手段を可能にする。したがって、この装置は、サ
ンプル中の検体の濃度を測定するために、相対的な位相
のディレイあるいはこの位相ディレイの変化速度を測定
することができる。
【0077】圧電表面波サンプルデバイスは、一度利用
されるか、繰返し利用されるか、あるいは周期的な再生
を伴って繰返し利用される。周期的な再生によれば、サ
ンプルデバイスは、検体に対する官能的な(機能的な)
応答を取戻すことができるように再生されるようになっ
ている。
【0078】装置の補正は、圧電表面波サンプルデバイ
スが一度だけ使用されるか、あるいは繰返し使用される
かに応じて変化する。もしサンプルデバイスが一度だけ
使用されるときには、このデバイスに対する補正は、そ
れと同等のもう一つのデバイスを基準にして行なわれ
る。この変形は、サンプルデバイスを最高の感度で機能
させることを可能にする。しかしなから、1回の分析当
りのコストは、少なくともそれぞれのサンプルデバイス
のコストと同等である。したがって、このアプローチ
は、サンプルデバイスのコストが重要な問題でないと
き、およびインタ・サンプル(inter−sampl
e)デバイスの繰返し精度が比較的高いときに、最も役
に立つ。
【0079】ある事情の下では、圧電表面波サンプルデ
バイスの再利用は有利であろう。このようにして所定の
検体または1セットの検体に対する累積的な応答を測定
することができる。事前の曝露中の受容体のどのような
飽和も正確性を阻害するが、サンプル当りのコストは低
下する。このアプローチは、受容体の結合濃度が低い
か、曝露時間が短かいサンプルの場合のように、事前の
サンプルの表面負荷が比較的小さいときに最も効果的で
ある。単一のサンプルデバイスについての多数の測定サ
イクルが、正確さの最小限の損失で、可能になる。
【0080】当初の応答を実質的に取戻すために、各測
定の後に、圧電表面波サンプルデバイスは、機能を回復
させる、すなわち再生することができる。この変更態様
においては、サンプルの分析に利用される同じサンプル
デバイスを補正することができるので、正確さが改善さ
れる。このアプローチはまた、累積的サンプリングより
も機能の低下を少なくして、各サンプルデバイスによっ
て複数のサンプルの測定を可能にする。したがって、こ
の装置は、圧電表面波サンプルデバイスの表面に予め結
合された検体を解離させることによって装置を再生する
ための手段を提供する。
【0081】検体は、水素イオン、水酸イオン、無機塩
類、有機塩類、タンパク質分解酵素、タンパク質、変生
原などの化学物質の導入;誘電性の変化;熱、光、超音
波または電圧などの形態でのエネルギの付与;あるいは
これらの組合わせを含む多様な方法によって解離され
る。測定装置は、曝露パラメータ、例えば、曝露時間、
流量、洗浄、そして場合によってはエネルギ強度を、コ
ントロールし、最適にすることもできる。
【0082】前述のように、測定装置で利用される圧電
表面波サンプルデバイスは、補正される。サンプルデバ
イスが1回だけしか使用されない場合には、個別のサン
プル(補正)デバイスに関して補正が行なわれる。累積
応答モードのときのように、サンプルデバイスが1回よ
りも多く使用される場合には、測定装置は、利用者が圧
電表面波サンプルデバイスを所望の正確さを提供するの
に十分な一つまたはそれ以上の標準溶液に曝すことがで
きる。標準溶液に対する応答は、デバイスの感度および
性能寿命を低下させる可能性があると認められる。した
がって、分析されるサンプル溶液中の標準溶液の総数
は、このアプローチにおいては限定される。
【0083】圧電表面波デバイスが再生される場合に
は、サンプルデバイスに関して直接補正を行なうことが
できる。この装置は、利用者が補正デバイスまたはサン
プルデバイスに所望の正確さを提供するのに十分な数の
標準溶液に曝す手段を提供する。サンプルデバイスは、
それぞれの標準溶液に曝された後で再生することができ
るので、利用者は、標準溶液の濃度範囲あるいは数の選
択に制約されない。データは、引続くサンプル分析のた
めに貯蔵される。再生のアプローチの一つの例は、サン
プルデバイスを各曝露(STD/R,STD/R,
STD/R・・・STD/R)の間で一つまたは複
数の標準溶液(STD)および/または再生(R)に
曝した後、所望の数のサンプル(S),(S/R,
/R,S/R・・・S/R)の測定を行ない、
断続的に補正(STD/R,STD(n+1)/R・
・・)を確認し、所望の数のサンプルの測定を行なうこ
となどである。装置は、標準溶液の添加および非特異的
効果を減少させ正確さを改善するために、通常利用され
る補正法も提供する。
【0084】本発明において利用される特に好ましい測
定機器を、図1〜6に示す。詳しくは、図1は、サンプ
ルデバイスまたは対照デバイスとして本発明の化学的分
析器において使用される圧電表面波デバイス(ラブデバ
イス)を示している。このデバイスは、圧電基板11、
入力トランスジューサ13、表面波プレート15および
出力トランスジューサ17より構成されている。入力ト
ランスジューサ、表面波プレートおよび出力トランスジ
ューサは全て、前述の化学結合層で被覆されている。要
するに、圧電表面波サンプルデバイスが問題の検体を含
む液体サンプル中に浸漬されるときには、このような検
体はデバイスの表面に結合し、このことによって上面の
質量負荷を増大させる。入力トランスジューサによって
デバイスに結合されたラジオ周波(RF)エネルギは表
面の幾つかの波長に限定された表面音波に変換され、表
面音波の速度はデバイスの上面の質量負荷によって変動
する。表面音波は、デバイスの表面に沿って伝播して、
出力トランスジューサに出遭い、このトランスジューサ
は、表面音波を再びRFエネルギに変換する。装置の表
面の質量負荷による表面音波の速度の変化は、出力トラ
ンスジューサによってラジオ周波信号の相の変化に変換
される。
【0085】質量の変化に敏感である以外は、図1の圧
電表面波デバイスは、例えば、サンプルの粘度を含む外
的な影響を受け易い。最終的な測定からこのような外的
影響を取除くために、化学的分析器は、サンプルデバイ
スと協同して圧電表面波対照デバイスを使用するが、こ
れらの両方のデバイスは、実質的に同じ外的影響を受け
る。図2を参照すると、ラジオ周波源21からのエネル
ギは、パワースプリッタ(power splitte
r)23中で均等に分割されて、サンプルデバイスSお
よび対照デバイスRに入力される。両方のデバイスは、
表面質量の変化がデバイスの出力トランスジューサによ
って信号出力の位相を変化させるという特性を有する。
しかしながら、二つのデバイスの表面化学は、サンプル
デバイスだけが問題の特定の検体に対する顕著な親和性
を有するようにコントロールされる。他の全ての点で、
デバイスは、実質的に同じ影響を受ける。したがって、
サンプルデバイスによる信号出力と対照デバイスによる
信号出力との間の位相差△φは、化学サンプル中の検体
の量に直接関連している。デバイスからの信号は、増幅
器25および26中で増幅され、ミキサ27に入力され
る。ミキサの目的は、サンプルデバイス信号と対照デバ
イス信号との間の位相差を示す信号を発生することであ
る。ミキサは、cos(△φ)に比例した電圧を生ず
る。対照デバイスの出力と増幅器26の入力との間に
は、説明のために、調節可能なディレイライン29が取
付けられている。要するに、図2のデバイスは、干渉計
を構成し、サンプルデバイスは干渉計の一つのアーム中
に置かれ、対照デバイスは他のアーム中に置かれる。
【0086】図3を参照すると、ミキサの出力は、最大
振幅Kφを有する余弦波である。△φ=0では、余弦波
は0の傾斜を有する。この点の近辺に干渉計を操作する
と、感度が悪い結果になる。これに反して△φ=90°
のときには、V/radとして測定される傾斜Mは、最
大値を有する。したがって、化学的分析器をこの点の近
辺で操作すると、最高の感度が得られる。数字的にはM
=Kφとして示される。ゼロ点付近の小さい動作範囲に
ついては、V=Kφ△φなる関係が成立つ。操作のとき
には、化学的分析器は、先ず、ミキサからの最大出力を
得るために、ディレイラインを調節することによって補
正され、最大出力はKφに等しい。次いで、ディレイラ
インは、ミキサからゼロの出力を生ずるように調節さ
れ、サンプルデバイス信号と対照デバイス信号からの信
号を、互いに直角位相の関係に置く。そして、化学分析
器は、選択された操作点の近辺での化学的分析器の高い
感度のために、正確な測定を行なう準備ができる。
【0087】図2の配列において、化学サンプル中の検
体の存在以外の影響に起因する干渉のキャンセルが、ミ
キサ27によって直ちにしかも自動的に行なわれる。し
かしながら、即時的で自動的なキャンセルは、余り厳密
に行なわれる必要はない。その上、図2に示す化学的分
析器は、単一のサンプルに由来する複数の検体の複数の
測定を行なうことはできない。複数の測定を行なうため
には、図2のエレクトロニクスが所望の回数だけ繰返さ
れる。しかしながら、得られたデバイスは、極めて複雑
で高価なものになるだろう。
【0088】図4(A)を参照すると、コンピュータ制
御多重エレクトロニクスを利用して、化学的分析器は、
単一のサンプルからの複数の検体の複数の測定を実施す
ることができるように構成されている。干渉計の対照ア
ーム中に配置された対照デバイスRについては、図2に
おけるものと同じ基本的干渉技法が利用される。しかし
ながら、干渉計のサンプルアーム中に固定された単一の
サンプルデバイスSの代りに、複数のサンプルデバイス
がスイッチ41および43を使用してサンプルアームの
内および外に切換えられる。スイッチは、両方のスイッ
チが同時に同じサンプルデバイスSに接続されるように
コンピュータ45によって協同関係で制御される。異な
るサンプルデバイスは、それぞれ可変ディレイライン2
9のそれ自身の補正設定を必要とする。図2の配列は、
機械的に可変のディレイラインを使用することができる
が、図4(A)においては、ディレイをスイッチと迅速
に同期させて変化させるためには、バラクタ(vara
ctor)ダイオードをベースにした電子的に可変のデ
ィレイラインが使用される。スイッチが切換えられる
と、コンピュータは、補正値の表から活性デバイスに対
応する補正値を取戻し、補正値をD/A変換機47に送
る。D/A変換機は、補正値を選択されたデバイスに対
する適当なディレイを生ずるように、可変ディレイライ
ンを制御するために利用されるアナログ値に変換する。
【0089】図4(B)に示されるもう一つの実施態様
においては、補正値の表が外部自動検査表46、例え
ば、不揮発性RAM(NVRAM)に記憶される。スイ
ッチを制御するために使用される同じ信号が自動検査表
に対する指揮値として使用される。
【0090】点線で示された対照デバイスRは、干渉計
の対照アーム中に残っている必要はなく、むしろ干渉計
のサンプル側のサンプルデバイスSとともに配置され
る。それから干渉のキャンセルは、もはや自動的でも即
時的でもなくて、コンピュータ45によって算数的に行
なわれなければならない。ミキサ27の順次的な出力
は、A/D変換機49によってデジタル値に変換され、
引続く操作のためにコンピュータ45に記憶される。特
に、対照デバイスが干渉計のデバイスアームに接続され
ている間に得られた対照値は、他のデバイスのそれぞれ
を使用して得られた数値から差引かれる。
【0091】ノンリアルタイム(non−real t
ime)に干渉のキャンセルをデジタル的に行なう能力
は、化学的分析器の融通性を著しく向上させる。図5を
参照すると、従来技術の化学的分析器は、大抵は、化学
的分析器を流過するサンプルを別個の部分に分割し、一
方の部分はサンプルデバイスを流過させ、他方の部分は
対照デバイスを流過させる。複数の検体の複数の測定を
行なうためには、このようなアプローチは、非常に大き
なサンプル体積が必要になる。サンプルの体積が大きい
ことは、不便であるばかりではなくて、多くの場合には
全く入手できない。
【0092】本発明の化学的分析器においては、複数の
検体の複数の測定は、一つの対照デバイスと複数のサン
プルデバイスを直列に配列することによって単一のサン
プルから行い、図6(A)(単一のサンプルデバイス
S、単一の対照デバイスR)および図6(B)(複数の
サンプルデバイスS、単一の対照デバイスR)に示すよ
うに、それぞれのデバイスに単一のサンプルを流過させ
る。そして、フローのディレイは、サンプルデバイスの
それぞれからの信号と対照デバイスからの信号とが、共
通の時間ベースに対して対照されることを要求する。例
えば、直列に配列された第1のデバイスが、サンプルフ
ローに応答して時間Tにおいて出力信号を発生する。次
に、第1のデバイスを通過するサンプルの容量は、時間
T+△Tまで(△Tは、第1のデバイスの第2のデ
バイスとの間のフローディレイ)、次のデバイスに到達
しない。同様に第1のデバイスに対する他のそれぞれの
デバイスのフローディレイは、△T,△T,・・・
△Tとして示される。第1のデバイスに対するそれぞ
れのデバイスのフローディレイは、例えば、分析器に送
り込まれる溶液の粘度の急激な変化を発生させ、そして
それぞれのデバイスにおいて、粘度のこの変化が示され
るのにどれだけの時間がかかるかを測定することによっ
て測定される。このようなフローのディレイは、コンピ
ュータ45に記憶され、それぞれのサンプルデバイスS
からの信号の時間ベースを、対照デバイスRの時間ベー
スでデジタル的に調節するために利用される。
【0093】例えば、最初のサンプルデバイスの場合、
次に対照デバイス、そして第2のサンプルデバイスにつ
いて測定される。第1のサンプルデバイスから対照デバ
イスへのフローディレイは△Tとして示され、対照デ
バイスから第2のサンプル装置へのフローディレイは△
として示される。対照デバイスからの信号が第1の
サンプルデバイスからの信号から差引かれるときには、
時間T+△Tにおける対照信号の数値は、時間Tにお
ける最初のサンプルデバイス信号の数値から差引かれ
る。同様に、対照デバイスからの信号が第2の対照デバ
イスからの信号から差引かれるときには、時間tにおけ
る対照信号の数値は、時間T+△Tにおける第2のサ
ンプルデバイス信号の数値から差引かれる。したがっ
て、それぞれのサンプル信号は、フローディレイにもか
かわらず、対照信号と時間調整される。
【0094】図6(A)および(B)の配列が、異なる
サンプルデバイス間で専ら取られる。すなわち、特定の
サンプルデバイスの上流のどのサンプルデバイスも、特
定のサンプルデバイスによって検出される検体の化学物
質サンプル中の量に著しい影響を及ぼすことはない。
【0095】図6(A)および(B)の配列におけるデ
バイスは全て、単一の圧電性基板上に形成されることが
好ましい。このような構造は、便利で経済的である以外
に、全てのデバイスが実質的に均一な特徴を有するとい
う結果になる。デバイスの一つは、対照デバイスRとし
て示され、試験される検体に対する極く僅かの親和性し
か有しないで、他のデバイスの応答と似た応答をする化
学物質層で被覆されている。
【0096】前述の構造による化学的分析器は、単一の
サンプルから複数の検体の複数の測定を迅速にしかも容
易に行なうことができる。補正中には、緩衝溶液が化学
的分析器を流過させられ、Kφと位相設定値が得られ
て、それぞれのデバイスについて記憶される。次いで、
分析されるサンプルが化学的分析器を流過させられる。
サンプルがそれぞれのデバイスを流過するときに、個別
の測定が得られる。複数のデバイスは、それぞれのデバ
イスが異なる検体を測定するために利用されるか、ある
いは全てのデバイスが同じ検体を測定するために利用さ
れて、統計的により大きな信頼性を提供する。そして、
デバイスを更新して、これらのデバイスを引続く測定に
備えるために、再循環剤が化学的分析器を流過させられ
る。このようにして、少量の化学物質サンプルから大量
の情報が迅速に得られる。
【0097】一つよりも多いサンプルデバイスを利用す
ることができるが、ここに記載されている測定装置は、
せいぜい約20個のサンプルデバイスと、せいぜい約3
個の対照デバイスを利用することが好ましい。装置が約
2〜6個のサンプルデバイスと1個の対照デバイスを利
用することがさらに好ましい。
【0098】
【実施例】以下の実施例は、説明のために提供されるも
のであって、いかなる場合にも本発明を限定するものと
考えられるべきではない。
【0099】〔実施例1〕レクチン、エリスリナ・クリ
スタガリ(ECL)は、α−アミノプロピルトリエトキ
シシランによって−NH2(アミノ基)を導入すること
によって、圧電表面波デバイスのSiO被覆面に固定
することができる。それから、アミノ基は、臭化シアン
の存在下で反応し、グアニジン結合によってECLを結
合する。
【0100】〔実施例2〕圧電表面波デバイスのSiO
被覆表面にグリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(GOPS)によってエポキシド官能基が付与されて、
タンパク質アビジンが表面に共有結合によって結合され
る。そして、アビジン被覆デバイス上にECLを固定す
るために、ビオチン−アビジン結合が利用される。ガラ
クトース残基を有する化合物と接触される際に、ECL
−サッカリド結合が生成する。ビオチン−アビジン複合
体の解離恒数が高いためにビオチン−アビジン結合に影
響を与えないで、レクチン−サッカリド結合を解離させ
るために酸あるいは熱が利用される。このようにしてE
CLは、装置上に固定された状態を保ち、新たなサンプ
ルを分析するために利用される。
【0101】本発明の装置は、圧電表面波デバイス上に
固定されたレクチン、レクチンサブユニットまたはレク
チン類似体を使用して、炭水化物を含む化合物を測定す
るための広範に適用できる技術を提供する。本発明は、
複雑かあるいは労力のかかる分離ステップをなくして、
正確な測定を提供する。また、サンプルあるいは関連反
応剤溶液を発色性、放射性、けい光性あるいは化学発光
性の標識を使用して誘導体化する必要もない。
【0102】以上のように、特定の好ましい実施態様に
ついて説明してきたが、本発明は、これらの実施態様に
よって限定されるものでないことは理解されるだろう。
開示された実施態様に対して様々の変更態様が実施され
得ること、そしてこのような変更態様は本発明の範囲内
に入ると考えられること、および本発明の範囲は特許請
求の範囲によってのみ限定されることは、この技術分野
の通常の熟練者には考えられるであろう。
【0103】以上のように、本発明は、〔1〕サンプル
中の少なくとも一つの炭水化物含有検体の量を定量する
ための測定装置に関し、(a)表面に結合された受容体
層を有する少なくとも一つの圧電表面波サンプルデバイ
スであって、サンプルデバイスとサンプルとの接触によ
って生ずるサンプルデバイスの表面の質量変化に関する
データを発生させる手段を有し、前記受容体層は天然に
産するか、または天然に産しないレクチン、レクチンサ
ブユニットおよびレクチン類似体よりなる群から選ば
れ、前記炭水化物を含む検体に付随してこれに親和性を
有する少なくとも一つの分子を含有している前記サンプ
ルデバイス;(b)前記炭水化物を含む検体に対して実
質的に親和性がない受容体層を有する少なくとも一つの
圧電表面波対照デバイスであって、対照デバイスとサン
プルとの接触によって生ずる干渉に関するデータを発生
させる手段を有する前記対照デバイス;および(c)前
記サンプルデバイスおよび対照デバイスからの前記デー
タを前記サンプル中の炭水化物含有検体の存在および/
または量に関してデータを提供するように関連付けるた
めの測定機器を包含することを特徴とし、次のような好
ましい実施態様を有する。
【0104】〔2〕上記〔1〕において、炭水化物含有
検体が、単糖、オリゴ糖および多糖を含む。
【0105】〔3〕上記〔1〕において、炭水化物含有
検体が、糖タンパク質、糖ペプチド、糖脂質および糖複
合体を含む。
【0106】〔4〕上記〔1〕において、炭水化物含有
検体が、細胞、細胞フラグメント、細胞成分、バクテリ
ア、酵母、菌類、原生動物およびウイルスを含む。
【0107】〔5〕上記〔1〕において、サンプルデバ
イスと対照デバイスが、さらに表面層を有する。
【0108】〔6〕上記〔5〕において、表面層が、S
iOである。
【0109】〔7〕上記〔6〕において、表面層が、さ
らに前記表面層に結合された反応性表面層を有し、該反
応性表面層が有機シラン、アビジン、ストレプトアビジ
ン、タンパク質、脂質および合成被膜よりなる群から選
ばれる。
【0110】また、本発明は、〔8〕サンプル中に少な
くとも一つの炭水化物含有検体の量および/または存在
を測定するための方法に関し、(a)サンプル中に炭水
化物を含む検体の量を測定するための測定装置にサンプ
ルを接触させる工程であって、前記装置が、(1)表面
に結合された受容体層を有する少なくとも一つの圧電表
面波サンプルデバイスであって、サンプルデバイスとサ
ンプルとの接触によって生ずるサンプルデバイスの表面
の質量変化に関するデータを発生させる手段を有し、前
記受容体層は天然に産するか、または天然に産しないレ
クチン、レクチンサブユニットおよびレクチン類似体よ
りなる群から選ばれ、前記炭水化物を含む検体に付随し
てこれに親和性を有する少なくとも一つの分子を含有し
ているサンプルデバイス;(2)前記炭水化物を含む検
体に対して実質的に親和性がない受容体層を有する少な
くとも一つの圧電表面波対照デバイスであって、対照デ
バイスとサンプルとの接触によって生ずる干渉に関する
データを発生させる手段を有する対照デバイス;および
(3)前記サンプルからの前記データと対照デバイスと
をサンプル中の前記炭水化物を含む検体の存在および/
または量に関してデータを提供するように関連付けるた
めの測定機器とを包含する;(b)前記サンプルデバイ
スと対照デバイスからデータを取得する工程;および
(c)前記サンプル中の前記炭水化物を含む検体の存在
および/または濃度を測定する工程を包含することを特
徴とする。
【0111】さらに、本発明は、
〔9〕サンプル中の複
数の炭水化物を含む検体を試験するための化学センサに
関し、(a)圧電性基板;および(b)前記圧電性基板
上に形成された複数の圧電表面波サンプルデバイスであ
って、前記圧電表面波サンプルデバイスのそれぞれがそ
の表面に結合された異なる受容体層を有し、それぞれの
受容体層が天然に産するか、または天然に産しないレク
チン、レクチンサブユニットおよびレクチン類似体より
なる群から選ばれ、前記複数の炭水化物を含む検体に付
随してこれに親和性を有する受容体分子を含有している
前記サンプルデバイスを包含することを特徴とする。
【0112】加えて、本発明は、〔10〕サンプル中に
炭水化物を含む検体を試験するための測定装置に関し、
(a)それぞれがその表面に結合された受容体層を有す
る複数の圧電表面波サンプルデバイスであって、サンプ
ルデバイスとサンプルとの接触によって生ずるサンプル
デバイスの表面の質量変化に関するデータを発生するた
めの手段を有し、それぞれの受容体層は天然に産する
か、または天然に産しないレクチン、レクチンサブユニ
ットおよび類似体よりなる群から選ばれ、同じ炭水化物
を含む検体に付随してこれに親和性を有する受容体分子
を含有する前記サンプルデバイス;(b)前記炭水化物
を含む検体に対して実質的に親和性がない受容体層を有
する少なくとも一つの圧電表面波対照デバイスであっ
て、対照デバイスとサンプルとの接触によって生ずる干
渉に関するデータを発生させる手段を有する前記対照デ
バイス;および(c)前記複数のサンプルデバイスと前
記少なくとも一つの対照デバイスからのデータを関連付
けるための測定機器であって、前記複数の圧電表面サン
プルデバイスからのデータを前記サンプル中の前記炭水
化物を含む検体の存在および/または量に関してデータ
を提出するように統計的に評価するための手段を有する
測定機器を包含することを特徴とし、次のような好まし
い実施態様を有する。
【0113】〔11〕上記〔10〕において、複数の圧
電表面波サンプルデバイスが、単一の圧電性基板上に形
成される。
【0114】
【発明の効果】本発明の装置および方法によれば、少量
しかないサンプル中の炭水化物含有化合物を、直接、か
つ高感度で検出することができ、しかもこれら装置およ
び方法は、安価で、かつ簡便であるため、各種の薬剤、
医薬品、あるいは治療患者等から取得したサンプルの炭
水化物の測定において、極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧電表面波サンプルデバイスを説明するための
図である。
【図2】単一の圧電表面波サンプルデバイスと単一の圧
電表面波対照デバイスを有する化学的分析器の電気的ブ
ロック線図である。
【図3】図2のデバイスの出力信号の波形図である。
【図4】(A)および(B)とも、単一のラジオ周波
源、多重圧電表面波サンプルデバイス、および単一の圧
電表面波対照デバイスを有する化学的分析器の電気的ブ
ロック線図である。
【図5】通常の化学的分析器における流体フローを示す
線図である。
【図6】(A)および(B)とも、本発明による流体フ
ローを示す線図である。
【符号の説明】
11 圧電基板 13 入力トランスジューサ 15 表面波プレート 17 出力トランスジューサ 21 ラジオ周波源 23 パワースプリッタ 25,26 増幅器 27 ミキサ 29 ディレイライン 41,43 スイッチ 45 コンピュータ 47 D/A変換機 49 A/D変換機

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サンプル中の少なくとも一つの炭水化物
    含有検体の量を定量するための測定装置において、 (a)表面に結合された受容体層を有する少なくとも一
    つの圧電表面波サンプルデバイスであって、 サンプルデバイスとサンプルとの接触によって生ずるサ
    ンプルデバイスの表面の質量変化に関するデータを発生
    させる手段を有し、 前記受容体層は天然に産するか、または天然に産しない
    レクチン、レクチンサブユニットおよびレクチン類似体
    よりなる群から選ばれ、前記炭水化物含有検体に付随し
    てこれに親和性を有する少なくとも一つの分子を含有し
    ている前記サンプルデバイス; (b)前記炭水化物含有検体に対して実質的に親和性が
    ない受容体層を有する少なくとも一つの圧電表面波対照
    デバイスであって、 対照デバイスとサンプルとの接触によって生ずる干渉に
    関するデータを発生させる手段を有する前記対照デバイ
    ス;および (c)前記サンプルデバイスおよび対照デバイスからの
    前記データを前記サンプル中の炭水化物含有検体の存在
    および/または量に関してデータを提供するように関連
    付けるための測定機器を包含することを特徴とする炭水
    化物含有検体の測定装置。
  2. 【請求項2】 サンプル中の少なくとも一つの炭水化物
    含有検体の量および/または存在を測定するための方法
    において、 (a)サンプル中の炭水化物含有検体の量を測定するた
    めの測定装置にサンプルを接触させる工程であって、 前記装置が、 (1)表面に結合された受容体層を有する少なくとも一
    つの圧電表面波サンプルデバイスであって、サンプルデ
    バイスとサンプルとの接触によって生ずるサンプルデバ
    イスの表面の質量変化に関するデータを発生させる手段
    を有し、 前記受容体層は天然に産するか、または天然に産しない
    レクチン、レクチンサブユニットおよびレクチン類似体
    よりなる群から選ばれ、前記炭水化物含有検体に付随し
    てこれに親和性を有する少なくとも一つの分子を含有し
    ているサンプルデバイス; (2)前記炭水化物含有検体に対して実質的に親和性が
    ない受容体層を有する少なくとも一つの圧電表面波対照
    デバイスであって、対照デバイスとサンプルとの接触に
    よって生ずる干渉に関するデータを発生させる手段を有
    する対照デバイス;および (3)前記サンプルからの前記データと対照デバイスと
    をサンプル中の前記炭水化物含有検体の存在および/ま
    たは量に関してデータを提供するように関連付けるため
    の測定機器とを包含し; (b)前記サンプルデバイスと対照デバイスからデータ
    を取得する工程;および (c)前記サンプル中の前記炭水化物含有検体の存在お
    よび/または濃度を測定する工程を包含することを特徴
    とする炭水化物含有検体の測定方法。
  3. 【請求項3】 サンプル中の複数の炭水化物含有検体を
    試験するための化学センサにおいて、 (a)圧電性基板;および (b)前記圧電性基板上に形成された複数の圧電表面波
    サンプルデバイスであって、 前記圧電表面波サンプルデバイスのそれぞれがその表面
    に結合された異なる受容体層を有し、 それぞれの受容体層が天然に産するか、または天然に産
    しないレクチン、レクチンサブユニットおよびレクチン
    類似体よりなる群から選ばれ、前記複数の炭水化物含有
    検体に付随してこれに親和性を有する受容体分子を含有
    している前記サンプルデバイスを包含することを特徴と
    する化学センサ。
  4. 【請求項4】 サンプル中の炭水化物含有検体を試験す
    るための測定装置において、 (a)それぞれがその表面に結合された受容体層を有す
    る複数の圧電表面波サンプルデバイスであって、 サンプルデバイスとサンプルとの接触によって生ずるサ
    ンプルデバイスの表面の質量変化に関するデータを発生
    するための手段を有し、 それぞれの受容体層は天然に産するか、または天然に産
    しないレクチン、レクチンサブユニットおよび類似体よ
    りなる群から選ばれ、同じ炭水化物含有検体に付随して
    これに親和性を有する受容体分子を含有する前記サンプ
    ルデバイス; (b)前記炭水化物含有検体に対して実質的に親和性が
    ない受容体層を有する少なくとも一つの圧電表面波対照
    デバイスであって、 対照デバイスとサンプルとの接触によって生ずる干渉に
    関するデータを発生させる手段を有する前記対照デバイ
    ス;および (c)前記複数のサンプルデバイスと前記少なくとも一
    つの対照デバイスからのデータを関連付けるための測定
    機器であって、 前記複数の圧電表面サンプルデバイスからのデータを前
    記サンプル中の前記炭水化物含有検体の存在および/ま
    たは量に関してデータを提出するように統計的に評価す
    るための手段を有する測定機器を包含することを特徴と
    する炭化水素含有検体の測定装置。
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