JPH0733453U - スライディングゲート用コレクターノズル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コレクターノズルを構成する本体耐火物の、
バヨネット金物の下端側に対応する位置などの特定の位
置に加わる応力や衝撃を吸収して亀裂の発生を抑制し、
耐用性、信頼性を向上させる。 【構成】 ノズル本体を構成する本体耐火物１と、該本
体耐火物１を保護するメタルケース２の間にモルタル３
を充填するとともに、本体耐火物１とメタルケース２間
の所定の位置の周方向に、緩衝帯１１としてセラミック
ファイバーなどの軟質材または空隙部を配設する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、溶鋼取鍋やタンディッシュなどにおいて溶融金属の流量を制御す るために用いられるスライディングゲート用コレクターノズルに関する。

【０００２】

【従来の技術及び考案が解決しようとする課題】

溶鋼取鍋やタンディッシュなどにおいて溶融金属の流量を制御するために用い られる従来のスライディングゲート用コレクターノズルとしては、ノズル本体を 構成する本体耐火物を保護するために、外周部をメタルケースで保護した構造の ものが一般に使用されている。

【０００３】 図４，５及び６は、従来のスライディングゲート用コレクターノズルの構造を 示す断面図である。図４に示すコレクターノズルにおいては、本体耐火物１とメ タルケース２の間の全体にモルタル３を充填することにより、メタルケース２が 本体耐火物１にセットされている。また、図５に示すコレクターノズルにおいて は、上部の大径部１ａと下部の小径部１ｂからなる本体耐火物１の外周にモルタ ル３を介してセットされたメタルケース２の一部にその外周を一周するようにセ ラミックファイバー４を貼り付けた構造を有している。さらに、図６に示すコレ クターノズルにおいては、本体耐火物１にメタルケース２を直接にはめ込むこと により、メタルケース２が本体耐火物１にセットされている。

【０００４】 そして、これらの構造を有するスライディングゲート用コレクターノズルは、 通常、図７に示すように、バヨネット金物５に挿入した後、バヨネット金物５の バヨネット部６をハンマーなどでたたいて締め込む（ねじ込む）ことにより装着 され、使用に供される。

【０００５】 ところで、スライディングゲート用コレクターノズルを構成する本体耐火物１ は、上記のように、大径部１ａと小径部１ｂからなり、その境界部に首部（段部 ）７が形成されているため、首部７に応力が集中しやすく、首部７の周方向に亀 裂９（図７）が生じやすいという傾向があるが、この問題点は、本体耐火物１の テーパを大きくするなどの形状変更により応力の集中を防止する方法により、一 応の解決がなされている。

【０００６】 また、バヨネット金物５への装着は、バヨネット部６をハンマーなどでたたい て締め込むことにより行われるため、バヨネット金物５の下端部に対応する首下 直胴部８付近において周方向に亀裂１０が生じやすい。

【０００７】 このうち、首部７の亀裂９は、首部７が形状的に応力の集中しやすい位置であ ることに起因するものであり、テーパを大きくするなどの形状変更などにより亀 裂発生の問題が一応解決されている。

【０００８】 しかし、首下直胴部８は、装着時にバヨネット金物５のバヨネット部６をたた いて締め込む際の衝撃を受けるばかりでなく、ロングノズルを使用する場合にお いて、スライディングプレートとともにロングノズルが動くように構成されてい るときには、さらに、コレクターノズルの軸方向に直角な方向に応力が加わるた め、バヨネット金物５の下端部付近に対応する首下直胴部８付近において亀裂が 発生することを十分に抑制、防止することはできていないのが実情である。

【０００９】 このように、従来のスライディングゲート用コレクターノズルは、亀裂が発生 しやすく、繰り返して使用すると、亀裂の発生及びその進展による漏鋼を招くお それが大きくなるため、毎回の使用の度に点検を行い、亀裂が発生したものを交 換しているのが実情である。Ａ製鉄所の実使用例では、上限として４回程度の使 用に耐える場合もないわけではないが、耐用回数にばらつきが多く、点検や運転 管理に手間がかかり、効率が悪いという問題点がある。

【００１０】 この考案は、上記問題点を解決するものであり、バヨネット金物の下端部に対 応する位置など、本体耐火物の特定の位置に加わる応力や衝撃を吸収して亀裂の 発生を抑制することが可能で、耐用性に優れ、信頼性の高いスライディングゲー ト用コレクターノズルを提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、この考案のスライディングゲート用コレクターノ ズルは、溶鋼取鍋やタンディッシュなどにおいて溶融金属の流量を制御するため に用いられるスライディングゲート用コレクターノズルにおいて、ノズル本体を 構成する本体耐火物と、該本体耐火物を保護するメタルケースの間にモルタルを 充填するとともに、本体耐火物とメタルケース間の所定の位置の周方向に、セラ ミックファイバーなどの軟質材または空隙部を緩衝帯として配設したことを特徴 とする。

【００１２】

【作用】

この考案のスライディングゲート用コレクターノズルにおいては、本体耐火物 を保護するメタルケースの間にモルタルを充填するとともに、本体耐火物とメタ ルケース間の所定の位置の周方向に、緩衝帯としてセラミックファイバーなどの 軟質材または空隙部が配設されているため、装着時にバヨネット金物のバヨネッ ト部をたたいて締め込む際などの衝撃や、使用時に本体耐火物の特定の位置に加 わる局所的な応力を吸収して、亀裂の発生を抑制することが可能になる。

【００１３】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図に基づいて説明する。図１は、この考案の一実施 例にかかるスライディングゲート用コレクターノズルを示す正面断面図、図２は 平面断面図、図３はこの考案の一実施例にかかるスライディングゲート用コレク ターノズルの要部を示す拡大断面図である。

【００１４】 この実施例のコレクターノズルは、上部の大径部１ａと下部の小径部１ｂから なる本体耐火物１と、その外側を覆うようにセットされる、本体耐火物１に対応 した形状を有するメタルケース２の間にモルタル３を充填するとともに、本体耐 火物１とメタルケース２間の所定の位置（この実施例では、バヨネット部６を有 するバヨネット金物５の下端部に対応する位置）の周方向に、緩衝帯としてセラ ミックファイバー１１を配設することにより形成されている。なお、この実施例 では、セラミックファイバー（緩衝帯）１１は、メタルケース２をはめ込む際に モルタル３とともに挿入した。

【００１５】 この実施例のスライディングゲート用コレクターノズルの各部の寸法は、 モルタルの厚みＴ₁ ： ２mm メタルケースの厚みＴ₂ ： ２mm 緩衝帯の厚みＴ₃ ： ２mm 緩衝帯の幅Ｗ ： ３０mm である。

【００１６】 上記のように構成されたこの実施例のコレクターノズルをＡ製鉄所の溶鋼取鍋 のスライディングゲート用コレクターノズルとして使用したところ、確実に４回 以上の使用に耐えることが確認された。

【００１７】 また、４回の使用後に、コレクターノズルを切断して観察したところ、首下直 胴部８に周方向の亀裂（横亀裂）は発生していたが、その程度は軽微であり、従 来のコレクターノズルに比べて耐久性が明らかに向上していることが確認された 。

【００１８】 なお、上記実施例では、緩衝帯として、セラミックファイバーを配設した場合 について説明したが、緩衝帯を形成する方法は、セラミックファイバーを配設す る方法に限られるものではなく、セラミックファイバー以外の他の軟質材（例え ば紙などの材料からなるテープ類や、発泡スチロールなどの樹脂）を所定の位置 に配設して緩衝帯を形成することも可能であり、その場合にも上記実施例と同様 の効果を得ることが可能である。

【００１９】 さらに、緩衝帯として空隙部を帯状に形成するようにしてもよく、その場合に も上記実施例と同様の効果を得ることができる。

【００２０】 また、上記実施例では、緩衝帯を、本体耐火物のバヨネット金物の下端部に対 応する位置に配設した場合について説明したが、緩衝帯の配設位置はこれに限定 されるものではなく、スライディングゲート用コレクターノズルの装着態様や使 用態様などを考慮して、衝撃を吸収するのに効果的な任意の位置に緩衝帯を配設 することが可能である。

【００２１】 この考案のスライディングゲート用コレクターノズルは、さらにその他の点に おいても上記実施例に限定されるものではなく、本体耐火物やメタルケースの各 部の寸法や具体的形状などに関し、考案の要旨の範囲内において種々の応用、変 形を加えることが可能である。

【００２２】

【考案の効果】

上述のように、この考案のスライディングゲート用コレクターノズルは、ノズ ル本体を構成する本体耐火物と、該本体耐火物を保護するメタルケースの間にモ ルタルを充填するとともに、本体耐火物とメタルケース間の所定の位置の周方向 に、セラミックファイバーなどの軟質材または空隙部を緩衝帯として配設してい るので、装着時にバヨネット金物のバヨネット部をたたいて締め込む際などの衝 撃や、使用時に本体耐火物の特定の位置に加わる局所的な応力を吸収して、亀裂 の発生を抑制することが可能になる。

【００２３】 したがって、溶鋼取鍋やタンディッシュにおけるスライディングゲート用コレ クターノズルの使用上の安全性向上と、寿命（耐用回数）の延長を図ることが可 能になり、原単価の低減と信頼性の向上に寄与することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例にかかるスライディングゲ
ート用コレクターノズルを示す正面断面図である。

【図２】この考案の一実施例にかかるスライディングゲ
ート用コレクターノズルを示す平面断面図である。

【図３】この考案の一実施例にかかるスライディングゲ
ート用コレクターノズルの要部を示す拡大断面図であ
る。

【図４】従来のスライディングゲート用コレクターノズ
ルを示す断面図である。

【図５】従来の他のスライディングゲート用コレクター
ノズルを示す断面図である。

【図６】従来のさらに他のスライディングゲート用コレ
クターノズルを示す断面図である。

【図７】従来のスライディングゲート用コレクターノズ
ルをバヨネット金物に締め込み装着した状態を示す断面
図である。

【符号の説明】

１ 本体耐火物 ２ メタルケース ３ モルタル ５ バヨネット金物 ６ バヨネット部 ７ 首部（段部） ８ 首下直胴部 １１ セラミックファイバー（緩衝帯） Ｔ₁ モルタルの厚み Ｔ₂ メタルケースの厚み Ｔ₃ 緩衝帯の厚み Ｗ 緩衝帯の幅

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶鋼取鍋やタンディッシュなどにおいて
   溶融金属の流量を制御するために用いられるスライディ
   ングゲート用コレクターノズルにおいて、ノズル本体を
   構成する本体耐火物と、該本体耐火物を保護するメタル
   ケースの間にモルタルを充填するとともに、本体耐火物
   とメタルケース間の所定の位置の周方向に、セラミック
   ファイバーなどの軟質材または空隙部を緩衝帯として配
   設したことを特徴とするスライディングゲート用コレク
   ターノズル。