JPH073327A - 製造時の耐時期割れ性に優れる準安定オーステナイトステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
製造時の耐時期割れ性に優れる準安定オーステナイトステンレス鋼板の製造方法Info
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- JPH073327A JPH073327A JP14780693A JP14780693A JPH073327A JP H073327 A JPH073327 A JP H073327A JP 14780693 A JP14780693 A JP 14780693A JP 14780693 A JP14780693 A JP 14780693A JP H073327 A JPH073327 A JP H073327A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 準安定オーステナイトステンレス鋼板の製造
に際して、冷間圧延後の時期割れを防止するための冷間
圧延後の一定時間内における焼鈍工程を省き得る製造方
法を提供する。 【構成】 冷間での加工によりマルテンサイト相が誘起
されるオーステナイト安定度の低い組成を有するもの
で、重量％で、Ｃ：0.09〜0.30、Si：2.0 以下、Mn：2.
0 以下、Ni：5.0 〜10.0、Cr：10.0〜20.0、Ｎ：0.10以
下を含有し、さらにMo：0.1 〜3.0 、Nb：1.0 以下、T
i：1.0 以下、Ｖ：1.0 以下の一種以上を含み、残部実
質的にFeおよび不可避的な不純物よりなり、かつ、Ni当
量が19.0〜24.0％の範囲にある準安定オーステナイトス
テンレス鋼板の製造方法において、熱間圧延後の鋼板を
1000〜1300℃の温度に均熱保持し、引き続き950 〜550
℃の温度域を冷却速度１〜10℃／min にて冷却する。
に際して、冷間圧延後の時期割れを防止するための冷間
圧延後の一定時間内における焼鈍工程を省き得る製造方
法を提供する。 【構成】 冷間での加工によりマルテンサイト相が誘起
されるオーステナイト安定度の低い組成を有するもの
で、重量％で、Ｃ：0.09〜0.30、Si：2.0 以下、Mn：2.
0 以下、Ni：5.0 〜10.0、Cr：10.0〜20.0、Ｎ：0.10以
下を含有し、さらにMo：0.1 〜3.0 、Nb：1.0 以下、T
i：1.0 以下、Ｖ：1.0 以下の一種以上を含み、残部実
質的にFeおよび不可避的な不純物よりなり、かつ、Ni当
量が19.0〜24.0％の範囲にある準安定オーステナイトス
テンレス鋼板の製造方法において、熱間圧延後の鋼板を
1000〜1300℃の温度に均熱保持し、引き続き950 〜550
℃の温度域を冷却速度１〜10℃／min にて冷却する。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、オーステナイト安定度
が低いためにマルテンサイトが誘起割れを起こしやすい
成分系である準安定オーステナイトステンレス鋼につい
ての製造時の耐時期割れ性改善を図るための技術につい
て提案する。
が低いためにマルテンサイトが誘起割れを起こしやすい
成分系である準安定オーステナイトステンレス鋼につい
ての製造時の耐時期割れ性改善を図るための技術につい
て提案する。
【０００２】
【従来の技術】準安定オーステナイトステンレス鋼につ
いては、製造時、とくに冷間圧延後に自然放置した際
に、誘起マルテンサイトによって時期割れ、時効割れと
言われる一種の遅れ破壊が発生することが知られてい
る。このため、この準安定オーステナイトステンレス鋼
板については、冷間圧延後に、一定時間内に連続焼鈍す
ることによって、応力除去ならびにマルテンサイトの強
度を制御することによって、遅れ破壊の発生を防止する
方法が取られていた。従来、このような連続焼鈍処理を
省いてオーステナイト安定度の低い準安定オーステナイ
トステンレス鋼板帯を製造することは非常に困難とされ
ていたのである。すなわち、従来技術は、冷間圧延後す
ぐに焼鈍することが不可欠であり、このことがこの種の
ステンレス鋼の生産性を著しく制約するという問題点が
あった。
いては、製造時、とくに冷間圧延後に自然放置した際
に、誘起マルテンサイトによって時期割れ、時効割れと
言われる一種の遅れ破壊が発生することが知られてい
る。このため、この準安定オーステナイトステンレス鋼
板については、冷間圧延後に、一定時間内に連続焼鈍す
ることによって、応力除去ならびにマルテンサイトの強
度を制御することによって、遅れ破壊の発生を防止する
方法が取られていた。従来、このような連続焼鈍処理を
省いてオーステナイト安定度の低い準安定オーステナイ
トステンレス鋼板帯を製造することは非常に困難とされ
ていたのである。すなわち、従来技術は、冷間圧延後す
ぐに焼鈍することが不可欠であり、このことがこの種の
ステンレス鋼の生産性を著しく制約するという問題点が
あった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術が抱えている上述した問題点、すなわち、製造時の
時期割れ防止のための焼鈍が必要となることから生産性
の低下を招くという課題を克服できる技術を提案するこ
とにある。
技術が抱えている上述した問題点、すなわち、製造時の
時期割れ防止のための焼鈍が必要となることから生産性
の低下を招くという課題を克服できる技術を提案するこ
とにある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】上掲の目的を実現するた
めに、本発明では、準安定オーステナイトステンレス鋼
板の製造に当たって、熱間圧延した後に、冷間圧延に先
立って本発明にのみ特有な熱処理をする方法を提案す
る。このことによって、冷間圧延後の時期割れを効果的
に防止することができる。その結果、従来のように冷間
圧延後にすぐに連続焼鈍する必要がなくなり、オーステ
ナイト安定度の低い製造時の耐時期割れ性に優れた準安
定オーステナイトステンレス鋼板を高い生産性を維持し
て製造することができる。
めに、本発明では、準安定オーステナイトステンレス鋼
板の製造に当たって、熱間圧延した後に、冷間圧延に先
立って本発明にのみ特有な熱処理をする方法を提案す
る。このことによって、冷間圧延後の時期割れを効果的
に防止することができる。その結果、従来のように冷間
圧延後にすぐに連続焼鈍する必要がなくなり、オーステ
ナイト安定度の低い製造時の耐時期割れ性に優れた準安
定オーステナイトステンレス鋼板を高い生産性を維持し
て製造することができる。
【０００５】すなわち、本発明は、Ｃ：0.09〜0.30wt
％、Si：2.0 wt％以下、Mn：2.0 wt％以下、Cr：10.0〜
20.0wt％、Ni：5.0 〜10.0wt％、Ｎ：0.10以下を含み、
さらにMo：0.1 〜3.0 wt％、Nb：1.0 wt％以下、Ti：1.
0 wt％以下およびＶ：1.0 wt％以下の内から選ばれたい
ずれか１種または２種以上を含み、かつ、次式で示すNi
当量が19.0〜24.0wt％の範囲にあり、
％、Si：2.0 wt％以下、Mn：2.0 wt％以下、Cr：10.0〜
20.0wt％、Ni：5.0 〜10.0wt％、Ｎ：0.10以下を含み、
さらにMo：0.1 〜3.0 wt％、Nb：1.0 wt％以下、Ti：1.
0 wt％以下およびＶ：1.0 wt％以下の内から選ばれたい
ずれか１種または２種以上を含み、かつ、次式で示すNi
当量が19.0〜24.0wt％の範囲にあり、
【数２】 残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼スラブを熱間
圧延し、その後1000〜1300℃の温度に均熱保持し、次い
で950 〜550 ℃の温度域を１〜10℃／min の冷却速度で
冷却することを特徴とする製造時の耐時期割れ性に優れ
る準安定オーステナイトステンレス鋼の製造方法であ
る。
圧延し、その後1000〜1300℃の温度に均熱保持し、次い
で950 〜550 ℃の温度域を１〜10℃／min の冷却速度で
冷却することを特徴とする製造時の耐時期割れ性に優れ
る準安定オーステナイトステンレス鋼の製造方法であ
る。
【０００６】
【作用】一般に、冷間での加工によりマルテンサイト相
が誘起されるオーステナイト安定度の低い, いわゆる準
安定オーステナイトステンレス鋼は、これを通常の工程
で製造した場合、冷間圧延後に時期割れ、時効割れのよ
うな遅れ破壊が発生することはよく知られている。そし
て、この時期割れの発生には、塑性変形によって誘起さ
れるマルテンサイトが関与しており、誘起されるマルテ
ンサイト量が多いほど、また、このマルテンサイト相の
強度が高いほど時期割れ感受性が高くなることが知られ
ている。そこで、本発明は、所定の成分組成の鋼材を熱
間圧延した後、すぐに連続焼鈍や冷間圧延をするのでは
なく、このときに本発明に特有な熱処理を施すことによ
り、塑性変形により誘起されるマルテンサイト相の強度
を制御し、このことにより、冷間圧延後一定時間内に焼
鈍をしなくとも鋼板に発生する時期割れを防止するよう
にしたものである。
が誘起されるオーステナイト安定度の低い, いわゆる準
安定オーステナイトステンレス鋼は、これを通常の工程
で製造した場合、冷間圧延後に時期割れ、時効割れのよ
うな遅れ破壊が発生することはよく知られている。そし
て、この時期割れの発生には、塑性変形によって誘起さ
れるマルテンサイトが関与しており、誘起されるマルテ
ンサイト量が多いほど、また、このマルテンサイト相の
強度が高いほど時期割れ感受性が高くなることが知られ
ている。そこで、本発明は、所定の成分組成の鋼材を熱
間圧延した後、すぐに連続焼鈍や冷間圧延をするのでは
なく、このときに本発明に特有な熱処理を施すことによ
り、塑性変形により誘起されるマルテンサイト相の強度
を制御し、このことにより、冷間圧延後一定時間内に焼
鈍をしなくとも鋼板に発生する時期割れを防止するよう
にしたものである。
【０００７】以下に、本発明において特有な熱処理を通
じて、製造時の耐時期割れ性に優れる準安定オーステナ
イトステンレス鋼を製造ために必要な、鋼の成分組成お
よび該熱処理条件について説明する。
じて、製造時の耐時期割れ性に優れる準安定オーステナ
イトステンレス鋼を製造ために必要な、鋼の成分組成お
よび該熱処理条件について説明する。
【０００８】Ｃ：0.09〜0.30wt％ Ｃは、加工により誘起されるマルテンサイト相の強度を
向上させる元素である。ただし、このＣ量が0.09wt％未
満では、加工誘起されるマルテンサイトの強度が低いた
めに時期割れの問題が起こらず、本発明の対象外であ
る。一方、0.30wt％を越えると、粗大な未固溶炭化物が
多量に残留し、冷間加工性を著しく劣化させる。したが
って、Ｃ含有量は0.10〜030 wt％の範囲に限定される。
向上させる元素である。ただし、このＣ量が0.09wt％未
満では、加工誘起されるマルテンサイトの強度が低いた
めに時期割れの問題が起こらず、本発明の対象外であ
る。一方、0.30wt％を越えると、粗大な未固溶炭化物が
多量に残留し、冷間加工性を著しく劣化させる。したが
って、Ｃ含有量は0.10〜030 wt％の範囲に限定される。
【０００９】Si：2.0 wt％以下 Siは、製鋼時の脱酸および強度上昇に有効な元素である
が、2.0 wt％を越えて含有すると製造性に支障をきた
す。したがって、Si含有量は2.0 wt％以下とする。
が、2.0 wt％を越えて含有すると製造性に支障をきた
す。したがって、Si含有量は2.0 wt％以下とする。
【００１０】Mn：2.0 wt％以下 Mnは、製鋼時の脱酸剤および脱硫剤として有効な元素で
あるが、2.0 wt％を越えて含有すると熱間加工性および
焼鈍時の表面酸化が著しくなる。したがって、Mn含有量
は2.0 wt％以下とする。
あるが、2.0 wt％を越えて含有すると熱間加工性および
焼鈍時の表面酸化が著しくなる。したがって、Mn含有量
は2.0 wt％以下とする。
【００１１】Ni：5.0 〜10.0wt％ Niは、強力なオーステナイト安定化元素であり、5.0 wt
％未満では焼鈍によってマルテンサイトが生じるため圧
延が困難となる。10.0wt％を越えて含有すると冷間加工
時のマルテンサイト変態が阻害され、時期割れの発生が
なくなる。よって、Ni含有量はを5.0 〜10.0wt％の範囲
とする。
％未満では焼鈍によってマルテンサイトが生じるため圧
延が困難となる。10.0wt％を越えて含有すると冷間加工
時のマルテンサイト変態が阻害され、時期割れの発生が
なくなる。よって、Ni含有量はを5.0 〜10.0wt％の範囲
とする。
【００１２】Cr：10.0〜 20.0 wt％ Crは、ステンレス鋼に必須の成分であり、10.0wt％未満
では耐食性か著しく劣化する。20.0wt％を越えて含有す
ると、δフェライト量が急増して熱間加工性が劣化され
る。よって、Cr含有量は10.0〜20.0wt％の範囲とする。
では耐食性か著しく劣化する。20.0wt％を越えて含有す
ると、δフェライト量が急増して熱間加工性が劣化され
る。よって、Cr含有量は10.0〜20.0wt％の範囲とする。
【００１３】Ｎ：0.10wt％以下 鋼素材中にNb, Ti, Ｖなどの強化成分を含む場合、0.10
wt％を越えるＮを含有するとこれらの元素と粗大な窒化
物をつくり表面疵の原因となる。したがって、Ｎ含有量
は0.10wt％以下とする。
wt％を越えるＮを含有するとこれらの元素と粗大な窒化
物をつくり表面疵の原因となる。したがって、Ｎ含有量
は0.10wt％以下とする。
【００１４】Mo：0.1 〜3.0 wt％ Moは、耐食性を向上させるために有効な元素である。そ
の含有量が0.1 wt％未満では十分な効果が得られず、一
方3.0 wt％を越えて含有してもその添加量の割に効果が
小さい上に、凝固偏析しやすい元素であるためにδフェ
ライトの残留による熱間加工性の劣化が生じる。したが
って、Mo含有量は0.1 〜3.0 wt％とする。
の含有量が0.1 wt％未満では十分な効果が得られず、一
方3.0 wt％を越えて含有してもその添加量の割に効果が
小さい上に、凝固偏析しやすい元素であるためにδフェ
ライトの残留による熱間加工性の劣化が生じる。したが
って、Mo含有量は0.1 〜3.0 wt％とする。
【００１５】Nb：1.0 wt％以下、Ti：1.0 wt％以下、
Ｖ：1.0 wt％以下 Nb，Ti，Ｖは、いずれもＣおよびＮと結合して安定な炭
窒化物を形成し、結晶粒内に分散して結晶粒の微細化お
よび分散強化により機械的強度の向上に寄与する成分元
素である。これらの元素を1.0 wt％以上含有すると炭窒
化物の粗大化およびδフェライトの生成により製造性が
劣化する。よって、これらの成分は1.0wt％以下の範囲
内とする。
Ｖ：1.0 wt％以下 Nb，Ti，Ｖは、いずれもＣおよびＮと結合して安定な炭
窒化物を形成し、結晶粒内に分散して結晶粒の微細化お
よび分散強化により機械的強度の向上に寄与する成分元
素である。これらの元素を1.0 wt％以上含有すると炭窒
化物の粗大化およびδフェライトの生成により製造性が
劣化する。よって、これらの成分は1.0wt％以下の範囲
内とする。
【００１６】Ni当量：19.0〜24.0wt％ Ni当量は、オーステナイト安定化の指標であり、一般に
次式で与えられる。
次式で与えられる。
【数３】 本発明において、このNi当量の範囲を限定する理由は、
19.0wt％未満では焼鈍後にマルテンサイトが多量に存在
し冷間加工が困難となるからであり、一方、24.0wt％を
越えると冷間加工によるマルテンサイト変態が抑制さ
れ、時期割れが発生しなくなる。
19.0wt％未満では焼鈍後にマルテンサイトが多量に存在
し冷間加工が困難となるからであり、一方、24.0wt％を
越えると冷間加工によるマルテンサイト変態が抑制さ
れ、時期割れが発生しなくなる。
【００１７】次に、本発明においては、熱間圧延後、熱
延鋼板を1000〜1300℃の温度に均熱する。この均熱処理
により、熱間圧延後に存在するCr炭化物、Nb, Ti, Ｖの
炭窒化物を母相に再固溶させることができる。この均熱
の温度が1000℃未満では、Cr炭化物、Nb, Ti, Ｖの炭窒
化物の再固溶が十分ではなく、一方、1300℃を越えると
鋼板の強度が低下するためにその形状に悪影響を及ぼ
す。したがって、かかる均熱処理の温度は、1000〜1300
℃の範囲となるようにする必要がある。
延鋼板を1000〜1300℃の温度に均熱する。この均熱処理
により、熱間圧延後に存在するCr炭化物、Nb, Ti, Ｖの
炭窒化物を母相に再固溶させることができる。この均熱
の温度が1000℃未満では、Cr炭化物、Nb, Ti, Ｖの炭窒
化物の再固溶が十分ではなく、一方、1300℃を越えると
鋼板の強度が低下するためにその形状に悪影響を及ぼ
す。したがって、かかる均熱処理の温度は、1000〜1300
℃の範囲となるようにする必要がある。
【００１８】次に、上述した熱延鋼板は均熱処理の後、
950 〜550 ℃の温度域を冷却速度：１〜10℃／min で制
御冷却を行う。このような冷却を行う理由は、Cr炭化
物、Nb, Ti, Ｖの炭窒化物の析出を制御するためであ
る。とくに、950 〜550 ℃の温度範囲は、Cr炭化物、N
b, Ti, Ｖの炭窒化物を析出する温度範囲であり、この
温度域についての冷却速度が１℃／min 未満の場合、Cr
炭化物、Nb, Ti, Ｖの炭窒化物が粒界に多量に析出する
ために、粒界近傍のCrが欠乏し、マルテンサイトとなっ
てしまう。このようになると伸びが著しく低下し、冷間
圧延が困難となる。一方、この冷却速度が10℃／min を
越えるとCr炭化物、Nb, Ti, Ｖの炭窒化物の析出が小さ
くなり、母相に固溶されるＣの量が多くなる。これを冷
間圧延すると誘起されるマルテンサイト相の強度が著し
く高くなり、時期割れの感受性が高くなってしまう。し
たがって、950 〜550 ℃の温度での冷却速度は、１〜10
℃／minとする。
950 〜550 ℃の温度域を冷却速度：１〜10℃／min で制
御冷却を行う。このような冷却を行う理由は、Cr炭化
物、Nb, Ti, Ｖの炭窒化物の析出を制御するためであ
る。とくに、950 〜550 ℃の温度範囲は、Cr炭化物、N
b, Ti, Ｖの炭窒化物を析出する温度範囲であり、この
温度域についての冷却速度が１℃／min 未満の場合、Cr
炭化物、Nb, Ti, Ｖの炭窒化物が粒界に多量に析出する
ために、粒界近傍のCrが欠乏し、マルテンサイトとなっ
てしまう。このようになると伸びが著しく低下し、冷間
圧延が困難となる。一方、この冷却速度が10℃／min を
越えるとCr炭化物、Nb, Ti, Ｖの炭窒化物の析出が小さ
くなり、母相に固溶されるＣの量が多くなる。これを冷
間圧延すると誘起されるマルテンサイト相の強度が著し
く高くなり、時期割れの感受性が高くなってしまう。し
たがって、950 〜550 ℃の温度での冷却速度は、１〜10
℃／minとする。
【００１９】
【実施例】表１に示した各成分組成を有する鋼Ａ〜Ｃを
60トン溶解し、連続鋳造し、熱間圧延を施すことによっ
て板厚５mmの熱延鋼板を製造した。これらの熱延鋼板に
対し、本発明に従う熱処理を施すか、あるいは連続焼鈍
を施し、その後冷間で圧延率50％の冷間圧延をした（板
厚2.5mm ）。これら鋼板について、冷間圧延前の引張試
験による伸びと硬度、および冷間圧延後の硬度と冷間圧
延後48時間後までの時期割れ発生の有無について評価し
た。なお、引張試験片はJIS13B号を使用し、硬度試験は
ビッカース硬度計を使用した。時期割れ発生の評価は、
冷間圧延後24時間未満で発生した場合を×、24〜48時間
で発生した場合をΔ、48時間後に発生していなかった場
合を○とした。連続焼鈍した結果を表２に、熱処理を施
したものの結果を表３に示す。
60トン溶解し、連続鋳造し、熱間圧延を施すことによっ
て板厚５mmの熱延鋼板を製造した。これらの熱延鋼板に
対し、本発明に従う熱処理を施すか、あるいは連続焼鈍
を施し、その後冷間で圧延率50％の冷間圧延をした（板
厚2.5mm ）。これら鋼板について、冷間圧延前の引張試
験による伸びと硬度、および冷間圧延後の硬度と冷間圧
延後48時間後までの時期割れ発生の有無について評価し
た。なお、引張試験片はJIS13B号を使用し、硬度試験は
ビッカース硬度計を使用した。時期割れ発生の評価は、
冷間圧延後24時間未満で発生した場合を×、24〜48時間
で発生した場合をΔ、48時間後に発生していなかった場
合を○とした。連続焼鈍した結果を表２に、熱処理を施
したものの結果を表３に示す。
【００２０】
【表１】
【００２１】
【表２】
【００２２】
【表３】
【００２３】表２, 表３に示す結果から明らかなよう
に、従来法に従って連続焼鈍を行ったＡ−６，Ｂ−５，
Ｃ−５は、冷間圧延後に時期割れが発生した。これに対
して、熱間圧延後に熱処理した本発明法に従ったもので
も、保持温度が本発明の範囲を外れて1100℃未満のもの
では、時期割れが発生した。また、冷却速度が、10℃／
min を越えると、50％冷却圧延後の硬度が高くなり、時
期割れが発生した。これに対し、本発明方法に完全に適
合する例では、冷間圧延後に熱処理を行うまでもなく、
オーステナイト安定性の低いステンレス鋼板を製造する
ことができた。
に、従来法に従って連続焼鈍を行ったＡ−６，Ｂ−５，
Ｃ−５は、冷間圧延後に時期割れが発生した。これに対
して、熱間圧延後に熱処理した本発明法に従ったもので
も、保持温度が本発明の範囲を外れて1100℃未満のもの
では、時期割れが発生した。また、冷却速度が、10℃／
min を越えると、50％冷却圧延後の硬度が高くなり、時
期割れが発生した。これに対し、本発明方法に完全に適
合する例では、冷間圧延後に熱処理を行うまでもなく、
オーステナイト安定性の低いステンレス鋼板を製造する
ことができた。
【００２４】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
耐時期割れ性に優れる準安定オーステナイト鋼を簡便な
手段にて製造することができる。
耐時期割れ性に優れる準安定オーステナイト鋼を簡便な
手段にて製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 茂 神奈川県川崎市川崎区小島町４番２号 日 本冶金工業株式会社研究開発本部技術研究 所内
Claims (1)
- 【請求項１】Ｃ：0.09〜0.30wt％、Si：2.0 wt％以下、 Mn：2.0 wt％以下、Cr：10.0〜20.0wt％、 Ni：5.0 〜10.0wt％、Ｎ：0.10以下を含み、さらに Mo：0.1 〜3.0 wt％、Nb：1.0 wt％以下、 Ti：1.0 wt％以下およびＶ：1.0 wt％以下の内から選ば
れたいずれか１種または２種以上を含み、かつ、次式で
示すNi当量が19.0〜24.0wt％の範囲にあり、 【数１】 残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼スラブを熱間
圧延し、その後1000〜1300℃の温度に均熱保持し、次い
で950 〜550 ℃の温度域を１〜10℃／min の冷却速度で
冷却することを特徴とする製造時の耐時期割れ性に優れ
る準安定オーステナイトステンレス鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14780693A JP3354211B2 (ja) | 1993-06-18 | 1993-06-18 | 製造時の耐時期割れ性に優れる準安定オーステナイトステンレス鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14780693A JP3354211B2 (ja) | 1993-06-18 | 1993-06-18 | 製造時の耐時期割れ性に優れる準安定オーステナイトステンレス鋼板の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH073327A true JPH073327A (ja) | 1995-01-06 |
| JP3354211B2 JP3354211B2 (ja) | 2002-12-09 |
Family
ID=15438640
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP14780693A Expired - Lifetime JP3354211B2 (ja) | 1993-06-18 | 1993-06-18 | 製造時の耐時期割れ性に優れる準安定オーステナイトステンレス鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3354211B2 (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100570894B1 (ko) * | 2001-12-17 | 2006-04-12 | 주식회사 포스코 | 나이오븀 첨가 오스테나이트계 347 스테인레스강 열연강재의 제조방법 |
| CN104152804A (zh) * | 2014-08-01 | 2014-11-19 | 山西太钢不锈钢股份有限公司 | 一种无镍亚稳奥氏体不锈钢材料及其制备方法 |
| CN104831183A (zh) * | 2015-05-29 | 2015-08-12 | 武钢集团昆明钢铁股份有限公司 | 一种1080MPa级高强度耐腐蚀预应力结构用螺纹钢筋及制备方法 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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1993
- 1993-06-18 JP JP14780693A patent/JP3354211B2/ja not_active Expired - Lifetime
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