JPH07331390A - 高クロムオーステナイト耐熱合金 - Google Patents
高クロムオーステナイト耐熱合金Info
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- JPH07331390A JPH07331390A JP12640794A JP12640794A JPH07331390A JP H07331390 A JPH07331390 A JP H07331390A JP 12640794 A JP12640794 A JP 12640794A JP 12640794 A JP12640794 A JP 12640794A JP H07331390 A JPH07331390 A JP H07331390A
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- Japan
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Abstract
(57)【要約】
【目的】高温強度と耐食性に優れた高Crオーステナイト
耐熱合金の提供。 【構成】C:0.02%を超え0.10%以下、Si:1.0 %以
下、Mn:2.0 %以下、Cr:28〜38%、Ni:35〜60%、T
i:0.2〜1.0 %、N:0.05%以下、Al:0.5 %を超え3
%以下、Nb:0〜1.0 %を含有し、更にB:0.001〜0.01%
とZr:0.01〜0.1%の1種以上、Mo:0.5〜3.0 %とW:1.
0〜6.0 %の1種以上、Mg:0〜0.05%とCa:0〜0.05%
の1種以上を含有する高温強度と耐食性に優れた高Crオ
ーステナイト耐熱合金。 【効果】高い高温クリープ破断強度と時効後シャルピー
衝撃値及び耐食性を有する合金である。
耐熱合金の提供。 【構成】C:0.02%を超え0.10%以下、Si:1.0 %以
下、Mn:2.0 %以下、Cr:28〜38%、Ni:35〜60%、T
i:0.2〜1.0 %、N:0.05%以下、Al:0.5 %を超え3
%以下、Nb:0〜1.0 %を含有し、更にB:0.001〜0.01%
とZr:0.01〜0.1%の1種以上、Mo:0.5〜3.0 %とW:1.
0〜6.0 %の1種以上、Mg:0〜0.05%とCa:0〜0.05%
の1種以上を含有する高温強度と耐食性に優れた高Crオ
ーステナイト耐熱合金。 【効果】高い高温クリープ破断強度と時効後シャルピー
衝撃値及び耐食性を有する合金である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボイラや化学プラント
等の苛酷な高温腐食環境下においても、高温強度と耐食
性に優れる高クロムオーステナイト耐熱合金に関する。
等の苛酷な高温腐食環境下においても、高温強度と耐食
性に優れる高クロムオーステナイト耐熱合金に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、火力発電プラントにおいては熱効
率の改善を目的とする超高温高圧ボイラが注目されてい
る。このボイラでは、従来のボイラと比較して蒸気条件
が高温化、高圧化されているため、過熱器管材料として
は高温強度や耐食性に対する一段と厳しい要求性能が満
たされなければならない。このため、従来多く使用され
ている18−8系ステンレス鋼より高い高温強度を有し、
かつ耐水蒸気酸化特性や耐高温腐食特性にも優れる高強
度高耐食オーステナイト鋼が要求される。
率の改善を目的とする超高温高圧ボイラが注目されてい
る。このボイラでは、従来のボイラと比較して蒸気条件
が高温化、高圧化されているため、過熱器管材料として
は高温強度や耐食性に対する一段と厳しい要求性能が満
たされなければならない。このため、従来多く使用され
ている18−8系ステンレス鋼より高い高温強度を有し、
かつ耐水蒸気酸化特性や耐高温腐食特性にも優れる高強
度高耐食オーステナイト鋼が要求される。
【0003】一般に、耐食性を改善するためには、鋼中
のCr含有量を高めることが有効である。しかし、例えば
25%程度のCrを含有するSUS310 STB 鋼にみられるよ
うに、 600〜700 ℃での高温強度は18−8系ステンレス
鋼よりむしろ低めであり、かつσ相析出による靱性劣化
の問題がある。さらに、25%程度のCr含有量では厳しい
腐食環境下では耐食性が十分でない。
のCr含有量を高めることが有効である。しかし、例えば
25%程度のCrを含有するSUS310 STB 鋼にみられるよ
うに、 600〜700 ℃での高温強度は18−8系ステンレス
鋼よりむしろ低めであり、かつσ相析出による靱性劣化
の問題がある。さらに、25%程度のCr含有量では厳しい
腐食環境下では耐食性が十分でない。
【0004】比較的、耐食性が良好な合金としては、例
えば、特開昭59−153858号公報に開示されるように、Cr
含有量を30%程度に高め、必要に応じてNb、Taを含有さ
せた合金があるが、上述のような厳しい条件下で単管と
して適用するには高温強度が不足する。また、二重管と
して使用する場合には製造コストや信頼性の点で問題が
多い。
えば、特開昭59−153858号公報に開示されるように、Cr
含有量を30%程度に高め、必要に応じてNb、Taを含有さ
せた合金があるが、上述のような厳しい条件下で単管と
して適用するには高温強度が不足する。また、二重管と
して使用する場合には製造コストや信頼性の点で問題が
多い。
【0005】さらに、Cr含有量を30%程度に高める一
方、Mo、W、Zr、Taなどを添加することにより、高温強
度の向上を図ったものとして、特開昭60−100640号公
報、同61−174350号公報、同61−276948号公報および、
同64−55352 号公報などに開示されるような耐熱合金が
あるが、いずれもその強度は超高温高圧ボイラのような
過酷な使用環境下では十分とは言いがたい。
方、Mo、W、Zr、Taなどを添加することにより、高温強
度の向上を図ったものとして、特開昭60−100640号公
報、同61−174350号公報、同61−276948号公報および、
同64−55352 号公報などに開示されるような耐熱合金が
あるが、いずれもその強度は超高温高圧ボイラのような
過酷な使用環境下では十分とは言いがたい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、苛酷
な高温腐食環境下においても、十分な耐食性と優れた高
温強度をもつオーステナイト耐熱合金を提供することに
ある。
な高温腐食環境下においても、十分な耐食性と優れた高
温強度をもつオーステナイト耐熱合金を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の高クロム
オーステナイト耐熱合金を要旨とする。
オーステナイト耐熱合金を要旨とする。
【0008】重量%で、C:0.02%を超え0.10%以下、
Si:1.0 %以下、Mn:2.0 %以下、Cr:28〜38%、Ni:
35〜60%、Ti:0.2〜1.0 %、N:0.05%以下、Al:0.5
%を超え3%以下及びNb:0〜1.0 %を含有し、更にB:
0.001〜0.01%及びZr:0.01〜0.1 %の1種以上、Mo:0.
5〜3.0 %及びW:1.0〜6.0 %の1種以上、Mg:0〜0.0
5%及びCa:0〜0.05%の1種以上を含有し、残部はFe及
び不可避的不純物からなる高温強度と耐食性に優れた高
クロムオーステナイト耐熱合金。
Si:1.0 %以下、Mn:2.0 %以下、Cr:28〜38%、Ni:
35〜60%、Ti:0.2〜1.0 %、N:0.05%以下、Al:0.5
%を超え3%以下及びNb:0〜1.0 %を含有し、更にB:
0.001〜0.01%及びZr:0.01〜0.1 %の1種以上、Mo:0.
5〜3.0 %及びW:1.0〜6.0 %の1種以上、Mg:0〜0.0
5%及びCa:0〜0.05%の1種以上を含有し、残部はFe及
び不可避的不純物からなる高温強度と耐食性に優れた高
クロムオーステナイト耐熱合金。
【0009】上記成分において、Nb、MgおよびCaはいず
れも無添加でもよい。これらを積極的に添加する場合、
含有量はNbで 0.1〜1.0 %、MgおよびCaでいずれも 0.0
01〜0.05%の範囲とするのが望ましい。
れも無添加でもよい。これらを積極的に添加する場合、
含有量はNbで 0.1〜1.0 %、MgおよびCaでいずれも 0.0
01〜0.05%の範囲とするのが望ましい。
【0010】前述のような苛酷な高温腐食環境下で十分
な耐食性を得るためには、28%以上Crを含有させること
が必要である。このような高CrのCr−Ni−Fe系合金にお
いては、所定のNi含有量の範囲でα−Cr相が析出し、高
温強度向上に寄与する。
な耐食性を得るためには、28%以上Crを含有させること
が必要である。このような高CrのCr−Ni−Fe系合金にお
いては、所定のNi含有量の範囲でα−Cr相が析出し、高
温強度向上に寄与する。
【0011】本発明者らは、前記の従来の高Crオーステ
ナイト鋼のクリープ破断強度の飛躍的向上を目指して研
究を行った結果、次の知見を得た。
ナイト鋼のクリープ破断強度の飛躍的向上を目指して研
究を行った結果、次の知見を得た。
【0012】Ti添加は、クリープ破断強度を著しく向
上させる。これは、Tiがα−Cr相析出を促進することに
よる。
上させる。これは、Tiがα−Cr相析出を促進することに
よる。
【0013】0.5 %を超えるAlの添加は、クリープ破
断強度を大きく向上させる。これはγ′相が析出し、高
温強度向上に寄与するとともに、Alがα−Cr相の固溶限
を狭め、α−Cr相の析出が一層促進されるためである。
断強度を大きく向上させる。これはγ′相が析出し、高
温強度向上に寄与するとともに、Alがα−Cr相の固溶限
を狭め、α−Cr相の析出が一層促進されるためである。
【0014】TiとAlを適正な量で複合添加することに
より、特開昭60−100640号公報などに開示されているよ
うな合金を遙かにしのぐ高温強度を有する高耐食性合金
を得ることができる。
より、特開昭60−100640号公報などに開示されているよ
うな合金を遙かにしのぐ高温強度を有する高耐食性合金
を得ることができる。
【0015】
【作用】以下、本発明の合金を構成する成分の作用効果
と、その適正含有量を前記のように定めた理由について
説明する。
と、その適正含有量を前記のように定めた理由について
説明する。
【0016】C:0.02%を超え0.10%以下 Cは、炭化物を形成して耐熱鋼として必要な引張強さや
クリープ破断強度を向上させるために有効な元素であ
る。しかし、C含有量が0.02%以下では上記の効果が得
られず、一方、0.10%を超えると合金の延性および靱性
の低下が大きくなる。よって、C含有量の範囲は0.02%
を超え0.10%以下とした。
クリープ破断強度を向上させるために有効な元素であ
る。しかし、C含有量が0.02%以下では上記の効果が得
られず、一方、0.10%を超えると合金の延性および靱性
の低下が大きくなる。よって、C含有量の範囲は0.02%
を超え0.10%以下とした。
【0017】Si:1.0 %以下 Siは、脱酸のために必要な元素であり、また耐酸化性改
善にも寄与する元素である。Si含有量が1.0 %を超える
と、溶接性や組織安定性が悪化する。これらの作用を考
慮してSi含有量は1.0 %以下とした。脱酸と耐酸化性改
善の効果を得るための望ましい下限は0.05%である。
善にも寄与する元素である。Si含有量が1.0 %を超える
と、溶接性や組織安定性が悪化する。これらの作用を考
慮してSi含有量は1.0 %以下とした。脱酸と耐酸化性改
善の効果を得るための望ましい下限は0.05%である。
【0018】Mn:2.0 %以下 Mnは脱酸元素として有効な元素であるが、2.0 %を超え
ると耐熱特性が劣化する。よって、Mn含有量は2.0 %以
下とした。有効な脱酸と耐熱特性を得るための望ましい
下限は0.05%である。
ると耐熱特性が劣化する。よって、Mn含有量は2.0 %以
下とした。有効な脱酸と耐熱特性を得るための望ましい
下限は0.05%である。
【0019】Cr:28〜38% Crは、耐酸化性、耐水蒸気酸化性または耐高温腐食性等
の耐食性改善に優れた作用を発揮し、さらに高温強度を
担うα−Cr相を形成する重要な元素である。しかし、そ
の含有量が28%未満では上記効果が得られず、一方、38
%を超えると加工性の劣化や組織の不安定を招く。よっ
て、Cr含有量の範囲は28〜38%とした。
の耐食性改善に優れた作用を発揮し、さらに高温強度を
担うα−Cr相を形成する重要な元素である。しかし、そ
の含有量が28%未満では上記効果が得られず、一方、38
%を超えると加工性の劣化や組織の不安定を招く。よっ
て、Cr含有量の範囲は28〜38%とした。
【0020】Ni:35〜60% Niは、安定なオーステナイト組織を得るために必要不可
欠な元素である。さらに、α−Cr相の析出を抑制する作
用を有する元素である。しかし、Ni含有量が35%未満で
あると、オーステナイト組織の確保が不安定になる。一
方、60%を超えるとα−Cr相の析出が抑制され、高温強
度が不足する上に、経済的にも多大な不利を招く。よっ
て、Ni含有量の範囲は35〜60%とした。
欠な元素である。さらに、α−Cr相の析出を抑制する作
用を有する元素である。しかし、Ni含有量が35%未満で
あると、オーステナイト組織の確保が不安定になる。一
方、60%を超えるとα−Cr相の析出が抑制され、高温強
度が不足する上に、経済的にも多大な不利を招く。よっ
て、Ni含有量の範囲は35〜60%とした。
【0021】Ti: 0.2〜1.0 % Tiはα−Cr相析出に大きな影響を及ぼす重要な元素であ
る。Tiを含有させるとα−Cr相の析出は促進される。十
分な高温強度を示すα−Cr相量を確保するには、0.2 %
以上のTi含有量が必要であるが、1.0 %を超えると靱性
が低下する。よって、Ti含有量の範囲は 0.2〜1.0 %と
した。
る。Tiを含有させるとα−Cr相の析出は促進される。十
分な高温強度を示すα−Cr相量を確保するには、0.2 %
以上のTi含有量が必要であるが、1.0 %を超えると靱性
が低下する。よって、Ti含有量の範囲は 0.2〜1.0 %と
した。
【0022】N:0.05%以下 Nは高温強度を改善するとともに、オーステナイト組織
を安定化するため、高価な元素であるNiの一部として代
替するのに有効な元素である。しかし、0.05%を超える
と、高温長時間使用時に窒化物が析出し靱性の低下をも
たらす。よってN含有量は0.05%以下とした。上記効果
を得るための望ましい下限は0.005 %である。
を安定化するため、高価な元素であるNiの一部として代
替するのに有効な元素である。しかし、0.05%を超える
と、高温長時間使用時に窒化物が析出し靱性の低下をも
たらす。よってN含有量は0.05%以下とした。上記効果
を得るための望ましい下限は0.005 %である。
【0023】Al:0.5 %を超え3%以下 Alは、一般的には脱酸元素として含有させるが、0.5 %
を超えて含有させることによりクリープ破断強度が大き
く改善される。これは、γ′相が析出し高温強度向上に
大きく寄与するとともに、α−Cr相の固溶限を狭め、α
−Cr相の析出を促進するためである。しかし、3.0 %を
超えると靱性が著しく低下する。よってAl含有量の範囲
は0.5 %を超え3.0 %以下とした。
を超えて含有させることによりクリープ破断強度が大き
く改善される。これは、γ′相が析出し高温強度向上に
大きく寄与するとともに、α−Cr相の固溶限を狭め、α
−Cr相の析出を促進するためである。しかし、3.0 %を
超えると靱性が著しく低下する。よってAl含有量の範囲
は0.5 %を超え3.0 %以下とした。
【0024】BおよびZr:Bは 0.001〜0.01%、Zrは0.
01〜0.1 % これらの元素は、主として合金の粒界強化に有効な元素
であり、1種だけを選んで添加してもよいし、2種複合
添加してもよい。B含有量が0.001 %未満、Zr含有量が
0.01%未満では、上記効果が得られない。一方、B含有
量は0.01%、Zr含有量は0.1 %を超えると、クリープ破
断強度も低下し、溶接性も劣化する。よって、含有量の
範囲は、Bで 0.001〜0.01%、Zrで0.01〜0.1 %とし
た。
01〜0.1 % これらの元素は、主として合金の粒界強化に有効な元素
であり、1種だけを選んで添加してもよいし、2種複合
添加してもよい。B含有量が0.001 %未満、Zr含有量が
0.01%未満では、上記効果が得られない。一方、B含有
量は0.01%、Zr含有量は0.1 %を超えると、クリープ破
断強度も低下し、溶接性も劣化する。よって、含有量の
範囲は、Bで 0.001〜0.01%、Zrで0.01〜0.1 %とし
た。
【0025】MoおよびW:Moは 0.5〜3.0 %、Wは 1.0
〜6.0 % MoおよびWは、主として固溶強化元素として有効な元素
であり、クリープ破断強度を向上させる。これらの元素
は1種だけを選んで添加してもよいし、2種複合添加し
てもよい。Mo含有量が0.5 %未満、W含有量が1.0 %未
満では、上記効果が得られない。一方、Mo含有量は3.0
%、W含有量は6.0 %を超えると、耐食性および加工性
を劣化させる。よって、Mo含有量の範囲は 0.5〜3.0
%、W含有量の範囲は 1.0〜6.0 %とした。
〜6.0 % MoおよびWは、主として固溶強化元素として有効な元素
であり、クリープ破断強度を向上させる。これらの元素
は1種だけを選んで添加してもよいし、2種複合添加し
てもよい。Mo含有量が0.5 %未満、W含有量が1.0 %未
満では、上記効果が得られない。一方、Mo含有量は3.0
%、W含有量は6.0 %を超えると、耐食性および加工性
を劣化させる。よって、Mo含有量の範囲は 0.5〜3.0
%、W含有量の範囲は 1.0〜6.0 %とした。
【0026】ただし、これらを2種併用する場合には、
合計含有量をMo+ (1/2)Wで 3.0%以下に抑えるのが望
ましい。
合計含有量をMo+ (1/2)Wで 3.0%以下に抑えるのが望
ましい。
【0027】本発明合金は、前述の成分の他に、さらに
以下に述べる成分を含有させることができる。
以下に述べる成分を含有させることができる。
【0028】Nb:上限1.0 % Nbは結晶粒を微細化し、延性を向上させる。さらにオー
ステナイト相中やCr炭化物中に固溶してクリープ破断強
度の向上に寄与する。このため、必要に応じて用いるの
がよい。上記効果を得るために積極的に添加する場合
は、0.1 %以上とするのが望ましい。しかし、Nb含有量
が1.0 %を超えると靱性の劣化を招くのでその上限は1.
0 %とした。
ステナイト相中やCr炭化物中に固溶してクリープ破断強
度の向上に寄与する。このため、必要に応じて用いるの
がよい。上記効果を得るために積極的に添加する場合
は、0.1 %以上とするのが望ましい。しかし、Nb含有量
が1.0 %を超えると靱性の劣化を招くのでその上限は1.
0 %とした。
【0029】MgおよびCa:Mgは上限0.05%、Caは上限0.
05% MgおよびCaは加工性改善に有効な元素であり、必要に応
じて用いる。積極的に添加する場合、1種だけを選んで
添加してもよいし、2種複合添加してもよい。
05% MgおよびCaは加工性改善に有効な元素であり、必要に応
じて用いる。積極的に添加する場合、1種だけを選んで
添加してもよいし、2種複合添加してもよい。
【0030】その際加工性の改善効果を得るには、下限
はMg、Caともに0.001 %とするのが望ましい。
はMg、Caともに0.001 %とするのが望ましい。
【0031】しかし、いずれも0.05%を超えると逆に加
工性を劣化させるので、ともに含有量の上限は0.05%と
した。ただし、MgとCaを2種併用する場合には、合計含
有量の範囲も 0.001〜0.05%とするのが望ましい。
工性を劣化させるので、ともに含有量の上限は0.05%と
した。ただし、MgとCaを2種併用する場合には、合計含
有量の範囲も 0.001〜0.05%とするのが望ましい。
【0032】
【実施例】表1および表2に示す化学組成の合金を高周
波真空溶解炉で溶製して得た20kgインゴットを鍛造、冷
間圧延し、さらに1200℃で固溶化熱処理を施した供試材
から、各試験片を作製し、クリープ破断強度と時効後の
シャルピー衝撃値の測定試験を行った。
波真空溶解炉で溶製して得た20kgインゴットを鍛造、冷
間圧延し、さらに1200℃で固溶化熱処理を施した供試材
から、各試験片を作製し、クリープ破断強度と時効後の
シャルピー衝撃値の測定試験を行った。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】No.1〜28は本発明例、A〜Jは比較例であ
る。なお、比較例E、Fは特開昭60-100640号公報に開
示される従来合金、比較例G、Hは特開昭61−174350号
公報に開示される従来合金、比較例Iは特開昭64−5535
2 号公報に開示される従来合金、比較例Jは特開昭61−
276948号公報に開示される従来合金である。
る。なお、比較例E、Fは特開昭60-100640号公報に開
示される従来合金、比較例G、Hは特開昭61−174350号
公報に開示される従来合金、比較例Iは特開昭64−5535
2 号公報に開示される従来合金、比較例Jは特開昭61−
276948号公報に開示される従来合金である。
【0036】クリープ破断試験は、外径6mm、標点間距
離30mmの試験片を用いて、700 ℃で行い、103 時間のク
リープ破断強度を求めた。時効後のシャルピー衝撃試験
は、700 ℃、100 時間の条件で時効処理した供試材から
作製した厚さ5mm×幅10mm×長さ55mmの2mmVノッチ形
成試験片を用いて、0℃で行った。
離30mmの試験片を用いて、700 ℃で行い、103 時間のク
リープ破断強度を求めた。時効後のシャルピー衝撃試験
は、700 ℃、100 時間の条件で時効処理した供試材から
作製した厚さ5mm×幅10mm×長さ55mmの2mmVノッチ形
成試験片を用いて、0℃で行った。
【0037】表3および表4に、クリープ破断強度と時
効後のシャルピー衝撃値を示す。
効後のシャルピー衝撃値を示す。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】図1は、クリープ破断強度に及ぼすAl含有
量の影響を示す図である。図2は、時効後シャルピー衝
撃値(靱性)に及ぼすAl含有量の影響を示す図である。
図3は、表3および表4の結果から、本発明例と比較例
の合金についてクリープ破断強度を比較した例を示す図
である。
量の影響を示す図である。図2は、時効後シャルピー衝
撃値(靱性)に及ぼすAl含有量の影響を示す図である。
図3は、表3および表4の結果から、本発明例と比較例
の合金についてクリープ破断強度を比較した例を示す図
である。
【0041】図1から、0.5 %を超えるAl添加によっ
て、クリープ破断強度の改善効果が顕著になることがわ
かる。しかし、Al含有量が3%を超えると、クリープ破
断強度の向上は飽和し、Al含有量が本発明範囲内の合金
と差がなくなる。その上、図2に示すとおり、靱性が大
きく低下する。
て、クリープ破断強度の改善効果が顕著になることがわ
かる。しかし、Al含有量が3%を超えると、クリープ破
断強度の向上は飽和し、Al含有量が本発明範囲内の合金
と差がなくなる。その上、図2に示すとおり、靱性が大
きく低下する。
【0042】図3に示すとおり、本発明例合金は、Al含
有量が 0.5%を超えるがTi含有量が0.2 %未満である比
較例E、Fや、Ti含有量が 0.2%以上であるがAl含有量
が0.5 %未満である比較例G〜Jに対して、非常に高い
クリープ破断強度を示すことが明らかである。これは、
本発明で定める組成においては、適正なTi含有量がα−
Cr相の析出を促進していること、また適正なAl含有量に
よりγ′相が析出して高温強度向上に大きく寄与してい
ること、このAlがさらにα−Cr相の固溶限を狭め、α−
Cr相の析出を一層促進していることによる。
有量が 0.5%を超えるがTi含有量が0.2 %未満である比
較例E、Fや、Ti含有量が 0.2%以上であるがAl含有量
が0.5 %未満である比較例G〜Jに対して、非常に高い
クリープ破断強度を示すことが明らかである。これは、
本発明で定める組成においては、適正なTi含有量がα−
Cr相の析出を促進していること、また適正なAl含有量に
よりγ′相が析出して高温強度向上に大きく寄与してい
ること、このAlがさらにα−Cr相の固溶限を狭め、α−
Cr相の析出を一層促進していることによる。
【0043】
【発明の効果】本発明の高クロムオーステナイト耐熱合
金は、苛酷な高温環境下においても優れたクリープ破断
強度を有する合金である。本合金は高クロムでもあるの
で、苛酷な高温腐食環境下での耐食性にも優れている。
この合金製単管は、従来合金製の二重管よりもコスト的
に有利で、しかも信頼性の高いものとなる。
金は、苛酷な高温環境下においても優れたクリープ破断
強度を有する合金である。本合金は高クロムでもあるの
で、苛酷な高温腐食環境下での耐食性にも優れている。
この合金製単管は、従来合金製の二重管よりもコスト的
に有利で、しかも信頼性の高いものとなる。
【図1】クリープ破断強度に及ぼすAl含有量の影響を示
す図である。
す図である。
【図2】時効後のシャルピー衝撃値に及ぼすAl含有量の
影響を示す図である。
影響を示す図である。
【図3】実施例に示す各鋼種のクリープ破断強度を比較
した例を示す図である。
した例を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】重量%で、C:0.02%を超え0.10%以下、
Si:1.0 %以下、Mn:2.0 %以下、Cr:28〜38%、Ni:
35〜60%、Ti:0.2〜1.0 %、N:0.05%以下、Al:0.5
%を超え3%以下及びNb:0〜1.0 %を含有し、さらに
B:0.001〜0.01%及びZr:0.01〜0.1 %の1種以上、M
o:0.5〜3.0 %及びW:1.0〜6.0 %の1種以上、Mg:0
〜0.05%及びCa:0〜0.05%の1種以上を含有し、残部は
Fe及び不可避的不純物からなる高温強度と耐食性に優れ
た高クロムオーステナイト耐熱合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12640794A JPH07331390A (ja) | 1994-06-08 | 1994-06-08 | 高クロムオーステナイト耐熱合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12640794A JPH07331390A (ja) | 1994-06-08 | 1994-06-08 | 高クロムオーステナイト耐熱合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07331390A true JPH07331390A (ja) | 1995-12-19 |
Family
ID=14934396
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12640794A Pending JPH07331390A (ja) | 1994-06-08 | 1994-06-08 | 高クロムオーステナイト耐熱合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07331390A (ja) |
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-
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- 1994-06-08 JP JP12640794A patent/JPH07331390A/ja active Pending
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