JPH07325435A - 電子写真式製版印刷版の作成方法 - Google Patents

電子写真式製版印刷版の作成方法

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JPH07325435A
JPH07325435A JP10829195A JP10829195A JPH07325435A JP H07325435 A JPH07325435 A JP H07325435A JP 10829195 A JP10829195 A JP 10829195A JP 10829195 A JP10829195 A JP 10829195A JP H07325435 A JPH07325435 A JP H07325435A
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JP
Japan
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group
resin
transfer layer
electrophotographic
polymer
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Application number
JP10829195A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
Atsushi Momota
淳 百田
Hiroyuki Oishi
博幸 大石
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トナー画像を転写層とともに被転写材へ転写
する際の転写性に優れ、特に転写層の膜厚が薄く、転写
条件が低温又は高速度であっても、依然転写層及びトナ
ー画像が完全に被転写材に転写され、良好な画質が得ら
れる。 【構成】 電子写真感光体11の表面に、Tg10〜140℃又
は軟化点35〜180℃の樹脂(A1)とTg45℃以下又は軟化点6
0℃以下で樹脂(A1)より2℃以上Tg又は軟化点の低い樹
脂(A2)とを同一粒子内に含有する樹脂粒子(AL)を電着塗
布して転写層12を形成し、電子写真プロセスで転写層12
上にトナー画像3を形成し、トナー画像3を転写層12ごと
被転写材16に転写し、被転写材16上の転写層12を化学反
応処理で除去して電子写真式製版印刷版を作成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体上に設け
た転写層を利用した平版印刷版の作成方法に関し、更に
詳細には、転写層の転写性に優れた、製版画質及び印刷
画質が良好な電子写真式製版印刷版の作成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版、特に、原稿入力、補正、編
集、割付から頁組まで一貫してコンピューター操作さ
れ、高速通信網や衛生通信により即時遠隔地の末端プロ
ッターに出力できる電子編集システムにおいて、末端プ
ロッターの出力から直接平版印刷版を作成する直接型印
刷版を提供し得る高い光感度を有する感光体として電子
写真感光体が用いられる。電子写真感光体を用いて平版
印刷版を作成する方法として、電子写真プロセスでトナ
ー画像形成後、非画像部を不感脂化処理液で不感脂化
(親水化)して印刷版として用いる方法、トナー画像形
成後、非画像部の光導電層を除去して印刷版とする方式
が知られている。
【0003】しかしながら、感光層を親水化処理し電子
写真感光体そのものの表面を改質して親水性非画像部を
形成する方法あるいは感光層を溶出除去して親水性支持
体表面を露出させる方法では、感光体、特に光導電層に
用いられる光導電性化合物や結着樹脂などに種々の制約
があり、得られる印刷版の画質や耐刷性の点で多くの問
題点があった。
【0004】従来のこのような問題を解決するものとし
て、電子写真感光体の表面に化学反応処理により除去さ
れ得る熱可塑性樹脂からなる転写層を設け、該転写層上
に通常の電子写真プロセスを用いてトナー画像を形成
し、該トナー画像を転写層と共に平版印刷版としての親
水性表面を形成する被転写材に転写した後、転写層を除
去してトナー画像を被転写材上に残すことにより平版印
刷版とする方法が国際公開WO93/16418号に記
載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この転写層を用いた印
刷版の作成方法は、感光体表面を改質して親水性非画像
部を形成するのではなく、感光体とは別の転写層上にト
ナー画像を形成し、親水性表面を有する他の支持体上に
トナー画像を転写層ごと転写させた後、転写層を化学反
応処理により除去するものであるため、従前の光導電層
に要求される種々の制約をうけることなく良好な画質の
印刷版を得ることができる。
【0006】しかしながら、かかる方法においては、ト
ナー画像を転写層ごと完全に被転写材に転写しないと、
良好な製版画質が得られない。特に、転写層の膜厚が薄
く、転写条件が緩和されて、例えば転写温度が低温にな
った場合あるいは転写速度が高速度になっても、依然転
写層及びトナー画像が良好に被転写材に転写されること
が望まれる。本発明は、このような転写層を用いた平版
印刷版の作成方法において、転写性に関する新たな課題
を解決することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、電
子写真感光体の表面に、化学反応処理で除去可能で且つ
剥離可能な転写層を形成し、電子写真プロセスにより該
転写層上にトナー画像を形成し、該トナー画像を転写層
ごと、印刷時に平版印刷可能な親水性表面となる被転写
材に熱転写し、次いで、該転写された被転写材の転写層
を化学反応処理により除去する電子写真式製版印刷版の
作成方法において、該転写層の形成を、ガラス転移点1
0〜140℃又は軟化点35℃〜180℃の樹脂(A1)
の少なくとも一種及びガラス転移点45℃以下又は軟化
点60℃以下の樹脂であって該樹脂(A1)より2℃以上
ガラス転移点又は軟化点の低い樹脂(A2)の少なくとも
一種を同一粒子内に含有してなる熱可塑性樹脂粒子(A
L)を用いて電着塗布法により行うことを特徴とする電
子写真式製版印刷版の作成方法により達成されることが
見出された。
【0008】本発明の電子写真式製版印刷版の作成方法
は、そのプロセスの概要を図1に示すように、少なくと
も支持体1及び感光層2からなる電子写真感光体11の
表面に、上記樹脂(A1)及び樹脂(A2)を少なくとも同
一粒子内に含有する熱可塑性樹脂粒子(AL)を静電的
に付着又は電着して成膜することにより、剥離可能で且
つ化学反応処理で除去可能な転写層12を形成した後、
通常の電子写真プロセスでトナー画像3を形成し、オフ
セット印刷版に供される支持体と同様な支持体である被
転写材16に熱転写によりトナー画像3を転写層12ご
と転写して印刷原版とし、次いで、この被転写材16上
の転写層12を化学反応処理し除去することで印刷版と
するものである。本発明は、上記熱可塑性樹脂粒子(A
L)が、ガラス転移点又は軟化点の異なる少なくとも二
種の樹脂(A1)及び樹脂(A2)を同一粒子内に含有する
ものであることを大きな特徴とする。
【0009】本発明に供される転写層は、電子写真プロ
セスによりトナー画像を形成するまでは電子写真特性
(帯電性、暗中電荷保持率、光感度等)を劣化させず、
良好な複写画像を形成すること、次の熱転写工程では容
易に被転写材に転写する熱可塑性を有しており、転写性
に優れていること、更には、印刷版とするために化学反
応処理により容易に除去され、優れた画質及び耐刷性を
有する印刷版が得られることが特徴である。
【0010】転写層用熱可塑性樹脂において、上記特定
の親水性基を含有する重合体成分(a)を含有すると、
化学反応処理による転写層の除去が簡易且つ迅速に達成
される点で好ましく、また、上記の化学反応で特定の親
水性基を発現する重合体成分(b)を含有すると、樹脂
自身の電気的絶縁性の保持が容易となり、電子写真特性
の低下を生じることがなく、複写画像の再現性が維持さ
れ、更に樹脂自身のガラス転移点を低い温度範囲内に調
整することができる点で好ましい。
【0011】更に、重合体成分(a)及び(b)を適当
に選択することにより、樹脂(A)のガラス転移点及び
電気的絶縁性が満足され、電子写真特性及び転写性が著
しく向上し、印刷版としての非画像部の親水性もトナー
画像も劣化させることなく、迅速且つ完全に除去するこ
とができる。その結果、被転写材に転写された複写画像
の原画に対する再現性は極めて良好となり、また転写の
条件も低温・低圧で容易に剥離転写されることから、転
写装置の小型化が可能となる。また、印刷版として用い
ても、転写層の残存する非画像部が全く見られず、且つ
細線・細文字、網点、階調部分等の高精細なトナー画像
部の欠落も殆んどなく好ましい。
【0012】本発明では、樹脂(A1)及び樹脂(A2)を
同一粒子内に含有する樹脂粒子(AL)を比誘電率3.
5以下の電気絶縁性液体中に分散させて供給することに
より、転写層の膜厚を均一な厚みで薄膜で容易に調整す
ることができる。更に、樹脂粒子(AL)が電子写真感
光体と対向して設置された対向電極の間に供給され、外
部電源より印加された電位勾配に従って電気泳動して電
子写真感光体に付着又は電着させて成膜させることによ
り、より均一な簿層の調整が容易になる。
【0013】以下、本発明の転写層について説明する。
本発明の転写層は、上記の如く、樹脂粒子(AL)の電
着塗布法による成膜で形成され、剥離性表面を有する電
子写真感光体から印刷用の支持体となる被転写材に、ト
ナー画像とともに剥離転写して印刷原版を提供するとと
もに、印刷原版を印刷版とするために、化学反応処理に
より除去される機能を有する層である。従って、本発明
に供される転写層を構成する主成分の樹脂は、熱可塑性
樹脂であり、且つ、化学反応処理により溶出除去される
樹脂である。ここで、転写層に種として用いられる上記
樹脂を一括して樹脂(A)と称する〔樹脂(A1)及び樹
脂(A2)が含まれる〕。
【0014】本発明の転写層は、光透過性のものであ
り、且つ電子写真感光体の分光感度領域の波長光の少な
くとも一部に対して透過性を有するものであれば、特に
限定されるものではなく、着色されていてもよい。通常
無色透明な転写層を用いる。
【0015】本発明の転写層を形成するために用いられ
る樹脂粒子(AL)は、前記の如く、ガラス転移点又は
軟化点の異なる二種の樹脂(A1)及び樹脂(A2)を少な
くとも同一粒子内に含有する。本発明では、ガラス転移
点及び軟化点が本発明の範囲に属する樹脂(A1)及び樹
脂(A2)とを任意に選択して、本発明に供することがで
きる。
【0016】樹脂(A1)は、好ましくはガラス転移点3
0〜120℃又は軟化点38℃〜160℃であり、より
好ましくはガラス転移点35〜90℃又は軟化点40℃
〜120℃であり、樹脂(A2)は、好ましくはガラス転
移点−40℃〜+40℃又は軟化点0℃〜40℃であ
り、より好ましくはガラス転移点−20〜+33℃又は
軟化点5℃〜35℃である。また、樹脂(A1)と樹脂
(A2)のガラス転移点又は軟化点の差は5℃以上、更に
は10℃以上が好ましい。ここで、樹脂(A1)又は樹脂
(A2)が2種以上含有される場合におけるガラス転移点
又は軟化点の差は、樹脂(A1)中の最もガラス転移点又
は軟化点の低いものと、樹脂(A2)中の最もガラス転移
点又は軟化点の高いものとの差をいうものである。
【0017】樹脂(A1)と樹脂(A2)は、樹脂(A1)/
樹脂(A2)が10〜95/90〜5(重量比)の存在割
合で樹脂粒子(AL)内に含有されることにより、転写
性が良好で、転写層の耐久性もよく、且つ優れた耐刷性
の印刷版を得ることができる。より好ましい使用割合
は、樹脂(A1)/樹脂(A2)が30〜90/70〜10
(重量比)である。樹脂(A1)の存在割合が10重量%
より少ないと、トナー画像を形成し、被転写材に転写し
て原版とし、転写層を化学反応処理により除去する迄に
原版を重ね合わせて放置した時に、転写層と重ね合わさ
れた上側の原版の裏側とが密着して転写層のハガレを生
じ、結果としてトナー画像の欠落を生じることがあり
(置き版特性が悪い)、他方、樹脂(A2)の存在割合が
5重量%より少ないと、転写層の転写性が劣化する傾向
があり、好ましくない。
【0018】また、本発明の樹脂粒子(AL)中に含有
される少なくとの二種の樹脂(A1)及び樹脂(A2)は、
粒子内で任意に混在する状態又は樹脂(A1)が主たる部
分と樹脂(A2)が主たる部分とに分離した層構造を形成
する状態(即ち、コア−シェル構造の粒子)のいずれで
もよく、また、コア−シェル構造の場合には、コアとな
る部分が樹脂(A1)であっても樹脂(A2)であっても、
特に限定されるものではない。
【0019】樹脂(A1)及び樹脂(A2)の重量平均分子
量は、それぞれ好ましくは1×103〜5×105、より
好ましくは3×103〜8×104の範囲である。ここで
分子量はGPC法で測定しポリスチレン換算したもので
あり、以下Mwと略記することもある。
【0020】本発明の転写層を形成する樹脂粒子(A
L)は、上述の如く、化学反応処理で除去可能な樹脂か
ら構成される。化学反応処理で除去可能な樹脂(A)
は、化学反応処理により溶解及び/又は膨潤して除去さ
れる樹脂、並びに化学反応処理により親水化されその結
果溶解及び/又は膨潤して除去される樹脂を包含する。
【0021】化学反応処理により除去される樹脂(A)
の1つの代表例は、アルカリ性処理液で除去し得る樹脂
であり、特に有用な樹脂は重合体成分に親水性基を含有
する樹脂である。
【0022】また、他の代表例としては、親水性基を保
護基で保護した形で含有しており、化学反応により親水
性基を発現させ得る樹脂が挙げられる。官能基を親水性
基に変換し得る化学反応は、従来公知の加水分解反応、
加水素分解反応、加酸素分解反応、β−脱離反応、求核
置換反応等を利用した処理液による親水化反応、又は化
学的活性光線の照射を受けて分解反応することによる親
水化反応のいずれでもよい。
【0023】特に、前述の通り、転写層用熱可塑性樹脂
(A1)及び(A2)の各々が、下記の、特定の親水性基を
含有する重合体成分(a)及び化学反応で特定の親水性
基を生成する官能基を含有する重合体成分(b)のうち
の少なくともいずれか一方の重合体成分を含有する共重
合体であることが好ましい。
【0024】重合体成分(a):−CO2H基、−CH
O基、−SO3H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)
1{R1は−OH基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭
化水素基を表わす)基を表わす}基、フェノール性OH
基、酸環状無水物含有基、−CONHCOR3(R3は炭
化水素基を表わす)基及び−CONHSO23基のうち
の少なくとも1つの基を含有する重合体成分。 重合体成分(b):化学反応で−CO2H基、−CHO
基、−SO3H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)R
1{R1は−OH基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭化
水素基を表わす)基を表わす}基及び−OH基のうちの
少なくとも1つの基を生成する官能基を少なくとも1種
含有する重合体成分。
【0025】ここで、−P(=O)(OH)R1は、下記
で表わされる基を示す。
【0026】
【化1】
【0027】上記のR1、R2及びR3で示される炭化水
素基は、具体的には置換されていてもよい炭素数1〜1
8の脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−
メトキシエチル基、3−エトキシプロピル基、アリル
基、クロトニル基、ブテニル基、シクロヘキシル基、ベ
ンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、、
メチルベンジル基、クロロベンジル基、フロロベンジル
基、メトキシベンジル基等)又は置換されていてもよい
アリール基(フェニル基、トリル基、エチルフェニル
基、プロピル−メチル−フェニル基、ジクロロフェニル
基、メトキシフェニル基、シアノフェニル基、アセトア
ミドフェニル基、アセチルフェニル基、ブトキシフェニ
ル基等)等である。
【0028】また、環状酸無水物含有基とは、少なくと
も1つの環状酸無水物を含有する基であり、含有される
環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳
香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。脂肪族ジカルボ
ン酸無水物の例としては、コハク酸無水物、グルタコン
酸無水物環、マレイン酸無水物環、シクロぺンタン−
1,2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキサン−1,
2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキセン−1,2−
ジカルボン酸無水物環、2,3−ビシクロ〔2.2.
2〕オクタンジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これ
らの環は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原
子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のア
ルキル基等が置換されていてもよい。芳香族ジカルボン
酸無水物の例としては、フタル酸無水物環、ナフタレン
ジカルボン酸無水物環、ピリジンジカルボン酸無水物
環、チオフェンジカルボン酸無水物環等が挙げられ、こ
れらの環は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原
子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のア
ルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アル
コキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エ
トキシカルボニル基等)等が置換されていてもよい。
【0029】重合体成分(a)及び(b)の存在量が少
なすぎると、転写層の化学反応処理による除去が難しく
なり、印刷版として印刷すると非画像部の地汚れとなっ
てしまう。他方、多すぎる場合には、樹脂(A)の他の
共重合成分をいかに調整しても樹脂(A)のガラス転移
点又は軟化点が高くなってしまい、結果として転写層の
被転写材への転写性の悪化を生じたり、転写層の電気的
絶縁性が低下し電子写真感光体としての帯電性が劣化
し、複写画像の再現性が悪化するという問題を生じてし
まう。
【0030】従って、樹脂(A)における重合成分
(a)及び重合成分(b)の含有量は以下の通りが好ま
しい。特定の親水性基を含有する重合体成分(a)のみ
を樹脂(A)に含有する場合には、樹脂(A)の全重合
体成分中好ましくは3〜50重量%、より好ましくは5
〜40重量%である。また、化学反応処理で親水性基を
生成する官能基を含有する重合体成分(b)のみを含有
する場合には、樹脂(A)の全重合体成分中好ましくは
3〜100重量%、より好ましくは5〜70重量%であ
る。更には、重合体成分(a)及び重合体成分(b)を
含有する場合には、樹脂(A)の全重合体成分中、重合
体成分(a)は好ましくは0.5〜30重量%、より好
ましくは1〜25重量%であり、重合体成分(b)は好
ましくは3〜99.5重量%、より好ましくは5〜50
重量%である。
【0031】次に、樹脂(A)中に含有され得る各重合
体成分について詳述する。重合体成分(a)は、前記し
た様な特定の親水性基を含有する共重合成分であればよ
く、特に限定されるものではない。親水性基は塩の形を
とってもよい。親水性基含有の共重合成分の具体例は、
かかる親水性基を含有するビニル系化合物であればいず
れでもよく、例えば、高分子学会編「高分子データ・ハ
ンドブック〔基礎編〕」培風館(1986年刊)等に記載さ
れている。具体的には、アクリル酸、α及び/又はβ置
換アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−アセトキ
シメチル体、α−(2−アミノ)エチル体、α−クロロ
体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチルシリ
ル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α
−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体等)、
メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル類、
イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケニルカ
ルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル−2−
ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキセ
ン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレイン酸、
マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド類、ビニ
ルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビ
ニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ジカルボン酸類の
ビニル基又はアリル基の半エステル誘導体及びこれらの
カルボン又はスルホン酸のエステル誘導体、アミド誘導
体の置換基中に親水性基を含有する化合物等が挙げられ
る。
【0032】以下に上記親水性基含有の共重合成分
(a)を例示する。ここで、R4は−H又は−CH3を示
し、R5は−H、−CH3又は−CH2COOCH3を示
し、R6は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7は炭素
数1〜6のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基を示
し、eは1又は2の整数を示し、fは1〜3の整数を示
し、gは2〜11の整数を示し、hは1〜11の整数を
示し、iは2〜4の整数を示し、jは2〜10の整数を
示す。
【0033】
【化2】
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】次に、重合体成分(b)について説明す
る。重合体成分(b)は、化学反応により少なくとも1
個の親水性基を生成する官能基を少なくとも1種含有す
る重合体成分である。化学反応により1つの官能基から
生成する上記親水性基は1個でも2個以上でもよい。
【0041】まず、化学反応により少なくとも1つのカ
ルボキシル基を生成する官能基について説明する。本発
明の1つの好ましい態様によれば、カルボキシル基生成
官能基としては、例えば、下記一般式(I)で示される
官能基が挙げられる。 一般式(I) −COO−L1 〔一般式(I)において、L1は下記の基を表わす。〕
【0042】
【化9】
【0043】ここで、R11及びR12は互いに同じでも異
なっていてもよく、水素原子又は脂肪族基を表わし、X
は芳香族基を表わし、Zは水素原子、ハロゲン原子、ト
リハロメチル基、アルキル基、−CN基、−NO2基、
−SO21(Z1は炭化水素基を示す)基、−COOZ
2(Z2は炭化水素基を示す)基、−OZ3(Z3は炭化水素
基を示す)又は−COZ4(Z4は炭化水素基を示す)基
を表わし、n、mはそれぞれ0、1又は2を表わす。但
し、n及びmが共に0の場合、Zは水素原子を表さな
い。
【0044】A1及びA2は同じでも異なっていてもよ
く、Hammetの置換基定数σ値が正の値を示す電子吸引性
基を表わす。R13は水素原子又は炭化水素基を表わす。
14、R15及びR16並びにR20及びR21は、互いに同じ
でも異なっていてもよく、各々炭化水素基又は−OZ
5(Z5は炭化水素基を示す)基を表わす。Y1は酸素原子
又はイオウ原子を表わし、R17、R18及びR19は同じで
も異なっていてもよく、各々水素原子、炭化水素基又は
−OZ7(Z7は炭化水素基を示す)基を表わし、pは3
又は4の整数を表わす。Y2 は環状イミド基を形成する
有機残基を表わす。
【0045】以下更に詳しく説明する。R11、R12は互
いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原子
又は置換されてもよい炭素数1〜12の直鎖状又は分枝
状アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメ
チル基、トリフルオロメチル基、ブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ヒドロキシエチル基、3−
クロロプロピル基等)を表わし、Xは好ましくは置換さ
れてもよい、フェニル基又はナフチル基(例えばフェニ
ル基、メチルフェニル基、クロロフェニル基、ジメチル
フェニル基、クロロメチルフェニル基、ナフチル基等)
を表わし、Zは好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例
えば塩素原子、フッ素原子等)、トリハロメチル基(例
えばトリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等)、
炭素数1〜12の置換されてもよい直鎖状又は分枝状ア
ルキル基(例えばメチル基、クロロメチル基、ジクロロ
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、テトラフルオロエチル基、オクチル基、シアノエチ
ル基、クロロエチル基等)、−CN基、−NO2基、−
SO21{Z1は脂肪族基(例えば炭素数1〜12の置
換されてもよいアルキル基、具体的にはメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、クロロエチル基、ペンチ
ル基、オクチル基等、炭素数7〜12の置換されてもよ
いアラルキル基、具体的にはベンジル基、フェネチル
基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基、クロロフ
ェネチル基、メチルフェネチル基等)又は芳香族基(例
えば置換基を含有してもよいフェニル基又はナフチル
基、具体的にはフェニル基、クロロフェニル基、ジクロ
ロフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル
基、アセチルフェニル基、アセトアミドフェニル基、メ
トキシカルボニルフェニル基、ナフチル基等)を表わ
す}基、−COOZ2(Z2は上記Z1と同義である)基、
−OZ3(Z3は上記Z1と同義である)基又は−COZ
4(Z4は上記Z1と同義である)基を表わす。n、mは各
々0、1又は2を表わす。但し、n及びmが共に0の場
合、Zは水素原子を表さない。
【0046】R14、R15、R16及びR20、R21は互いに
同じでも異なっていてもよく、好ましくは、炭素数1〜
18の置換されてもよい脂肪族基{脂肪族基はアルキル
基、アルケニル基、アラルキル基又は脂環式基を示し、
置換基としては例えばハロゲン原子、−CN基、−OZ
6(Z6はアルキル基、アラルキル基、脂環式基、アリー
ル基を示す)基等が挙げられる}、炭素数6〜18の置
換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、トリル
基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセトア
ミドフェニル基、ナフチル基等)又は−OZ5(Z5は置
換されてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換され
てもよい炭素数2〜12のアルケニル基、置換されても
よい炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数5〜18の
置換されてもよい脂環式基、炭素数6〜18の置換され
てもよいアリール基を示す)基を表わす。
【0047】A1、A2は互いに同じでも異なっていても
よく、各々少なくとも一方が電子吸引基であり、A1
2のHammetのσp 値の和が0.45以上であればよ
い。ここで言う電子吸引基の例としては、例えばアシル
基、アロイル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル
基、フェノキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、
アロイルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン
原子、ハロゲン化アルキル基、カルバモイル基等が挙げ
られる。Hammetのσp 値は、通常置換基の電子吸引・供
与の度合いを見積もる指標として用いられており、+側
に大きいほど強い電子吸引基として扱われる。各置換基
に対する具体的な数値については、稲本直樹著「ハメッ
ト則―構造と反応性」丸善(1984年刊)等に記載されて
いる。また、この系におけるHammetのσp 値は加成性が
成り立つと考えられ、A1、A2の両方が電子吸引基であ
る必要はない。従って、一方、例えばA1が電子吸引基
である場合、他方のA2の置換基は、A1、A2のσp値の
和が0.45以上になるものであればいずれでもよく、
特に制限されるところはない。
【0048】R13は炭素数1〜8の置換されていてもよ
い炭化水素基を表わし、例えば、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オク
チル基、アリル基、ベンジル基、フェネチル基、2−ヒ
ドロキシエチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキ
シエチル基、3−メトキシプロピル基、2−クロロエチ
ル基等が挙げられる。Y1は酸素原子又はイオウ原子を
表わす。
【0049】R17、R18及びR19は互いに同じでも異な
っていてもよく、好ましくは水素原子、置換されてもよ
い炭素数1〜18の直鎖状又は分枝状アルキル基(例え
ばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシ
ル基、クロロエチル基、メトキシエチル基、メトキシプ
ロピル基等)、置換されてもよい脂環式基(例えばシク
ロペンチル基、シクロヘキシル基等)、置換されてもよ
い炭素数7〜12のアラルキル基(例えばベンジル基、
フエネチル基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基
等)、置換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、
ナフチル基、クロロフェニル基、トリル基、メトキシフ
ェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、ジクロロフ
ェニル基等)又は−OZ7(Z7は炭化水素基を表わし、
具体的には上記R17、R18、R19の炭化水素基と同一の
置換基類を示す)を表わす。pは3又は4の整数を表わ
す。
【0050】Y2は、環状イミド基を形成する有機残基
を表わす。好ましくは、一般式(A)又は一般式(B)
で示される有機残基を表わす。
【0051】
【化10】
【0052】式(A)中、R22及びR23は各々同じでも
異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例
えば塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜18の置換さ
れてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2
−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノ
エチル基、3−クロロプロピル基、2−(メタンスルホ
ニル)エチル基、2−(エトキシオキシ)エチル基
等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基
(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロ
ピル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メト
キシベンジル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基
等)、炭素数3〜18の置換されてもよいアルケニル基
(例えばアリル基、3−メチル−2−プロペニル基、2
−ヘキセニル基、4−プロピル−2−ペンテニル基、1
2−オクタデセニル基等)、−SZ8{Z8は前記R22
はR23のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基と同
一の内容を表わす置換基、又は置換されてもよいアリー
ル基(例えばフェニル基、トリル基、クロロフェニル
基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシ
フェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等)を表わ
す}基又は−NHZ9(Z9は前記Z8と同一の内容を表わ
す)基を表わす。また、R22とR23で環を形成する残基
を表わしてもよい{例えば5又は6員環の単環(例えば
シクロベンチル環、シクロヘキシル環)、又は5又は6
員環のビシクロ環(例えばビシクロヘプタン環、ビシク
ロヘプタン環、ビシクロオクタン環、ビシクロオクテン
環等)、更にはこれらの環は置換されていてもよく、置
換基としてはR22、R23で前記した内容と同一のものを
含む}。qは2又は3の整数を表わす。
【0053】
【化11】
【0054】式(B)中、R24、R25は同一でも異なっ
てもよく、前記R22、R23と同一の内容を表わす。更に
は、R24とR25は連続して芳香族環を形成する有機残基
を表わしてもよい(例えばベンゼン環、ナフタレン環
等)。
【0055】更に、本発明の好ましい他の1つの態様と
して、下記一般式(II)で示されるオキサゾロン環を挙
げることができる。
【0056】
【化12】
【0057】一般式(II)において、R26、R27は互い
に同じでも異なっていてもよく、各々水素原子若しくは
炭化水素基を表わすか、又はR26とR27とが一緒に環を
形成する。好ましくは、R26、R27は互いに同じでも異
なってもよく、各々水素原子、置換されていてもよい炭
素数1〜12の直鎖状又は分枝状アルキル基(例えばメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、2−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−
メトキシカルボニルエチル基、3−ヒドロキシプロピル
基等)、置換されていてもよい炭素数7〜12のアラル
キル基(例えばベンジル基、4−クロロベンジル基、4
−アセトアミドベンジル基、フェネチル基、4−メトキ
シベンジル基等)、置換されていてもよい炭素数2〜1
2のアルケニル基(例えばビニル基、アリル基、イソプ
ロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等)、置換され
ていてもよい5〜7員環の脂環式基(例えばシクロペン
チル基、シクロヘキシル基、クロロシクロヘキシル基
等)、置換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、
クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセトアミド
フェニル基、メチルフェニル基、ジクロロフェニル基、
ニトロフェニル基、ナフチル基、ブチルフェニル基、ジ
メチルフェニル基等)を表わすか、又はR26とR27とが
一緒に環(例えばテトラメチレン基、ペンタメチレン
基、ヘキサメチレン基等)を形成してもよい。
【0058】また、化学反応により少なくとも1つのス
ルホ基を生成する官能基としては、例えば下記一般式
(III)又は(IV)で表される官能基が挙げられる。 一般式(III) −SO2−O−L2 一般式(IV) −SO2−S−L2 〔式(III)又は(IV)中、L2は、下記の基を表わ
す。〕
【0059】
【化13】
【0060】〔ここで、R11、R12、X、Z、n、m、
2、R20及びR21はそれぞれ前記と同一の内容を表わ
す。R26′、R27′はそれぞれ水素原子又は炭化水素基
(R26の炭化水素基と同一内容)を表わす。〕
【0061】更に、化学反応により少なくとも1つのス
ルフィン酸基を生成する官能基としては、例えば下記一
般式(V)で表される官能基が挙げられる。
【0062】
【化14】
【0063】〔式(V)中、A1、A2及びR13は、それ
ぞれ前記と同一の内容を表わす。〕
【0064】また、化学反応により−P(=O)(OH)
1基を生成する官能基としては、例えば下記一般式(V
Ia)又は(VIb)で表される官能基が挙げられる。
【0065】
【化15】
【0066】〔式(VIa)又は(VIb)中、L3、L4
同じでも異なってもよく、それぞれ前記L1と同一の内
容を表わす。R1は前記と同一の内容を表わす。〕
【0067】更に、化学反応により−OH基を生成する
官能基としては、例えば下記一般式(VII)で表される官
能基が挙げられる。 一般式(VII) −O−L5 〔式(VII)中、L5は、下記の基を表わす。〕
【0068】
【化16】
【0069】〔ここで、R28は炭化水素基を表わし、具
体的にはR11と同一の内容を表わす。R14〜R19、Y1
及びpはそれぞれ前記と同一の内容を表わす。〕
【0070】更に、化学反応により−OH基を生成する
官能基の他の好ましい態様によれば、ヒドロキシル基生
成官能基は、互いに立体的に近い位置にある少なくとも
2つのヒドロキシル基を1つの保護基で同時に保護した
形で有する官能基である。互いに立体的に近い位置にあ
る少なくとも2つのヒドロキシル基を1つの保護した形
で有する官能基の例としては例えば下記一般式(VIII)、
(IX)及び(X)で表される官能基を挙げることができ
る。
【0071】
【化17】
【0072】〔式(VIII)〜(X)中、R29及びR30は、
互いに同じでも異なっていてもよく、各々水素原子、炭
化水素基又は−OZ10(Z10は炭化水素基を示す)基を
表わし、Uはヘテロ原子を介してもよい炭素―炭素結合
を表わす(但し、酸素原子間の原子数は5個以内であ
る)。〕
【0073】上記官能基について更に詳しく説明する
と、R29、R30は、互いに同じでも異なっていてもよ
く、好ましくは水素原子、炭素数1〜12の置換されて
もよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基、2−メトキシエチル
基、オクチル基等)、炭素数7〜9の置換されてもよい
アラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、メチ
ルベンジル基、メトキシベンジル基、クロロベンジル基
等)、炭素数5〜7の脂環式基(例えば、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等)又は置換されてもよいアリ
ール基(例えばフェニル基、クロロフェニル基、メトキ
シフェニル基、メチルフェニル基、シアノフェニル基
等)又は−OZ10(Z10はR29、R30における炭化水素
基と同義である)基を表わす。Uは、ヘテロ原子を介し
てもよい炭素―炭素結合を表わし、且つ酸素原子間の原
子数は5個以内である。
【0074】以下に前記した一般式(I)〜(X)で表
される各官能基の具体例(b−1)〜(b−67)を例
示する。但し、本発明の内容は、これらに限定されるも
のではない。なお、下記具体例において、各記号は下記
に示す通りである。
【0075】
【化18】
【0076】
【化19】
【0077】
【化20】
【0078】
【化21】
【0079】
【化22】
【0080】
【化23】
【0081】本発明において用いることのできる、化学
反応により−CO2H基、−CHO基、−SO3H基、−
SO2H基、−P(=O)(OH)R1基及び−OH基のう
ちの少なくとも1つの親水性基を生成する官能基を含有
する重合体成分(b)は、特に限定されるものではな
い。好ましくは前記した重合体成分(a)の親水性基が
保護された重合体成分を例として挙げることができる。
【0082】本発明に用いることのできる前記した様な
−CO2H基、−CHO基、−SO3H基、−SO2
基、−P(=O)(OH)R1基及び/又は−OH基を化
学反応で発現する官能基は、これらの親水性基を保護し
た官能基であり、これら保護基の該親水性基への化学結
合による導入の方法は、従来公知の方法によって、容易
に行うことができる。例えば、J. F. W. McOmie「Prote
ctive groups in Organic Chemistry」(Plenum Press.1
973年刊)、T. W. Greene「Protective groups in Orga
nic Synthesis」(Wiley-Interscience 1981年刊)、日
本化学会編「新実験化学講座、第14巻、有機化合物の合
成と反応」(丸善(株)1978年刊)、岩倉義男・栗田恵
輔著「反応性高分子」(講談社)等に記載された各単位
反応が用いられる。
【0083】これらの官能基を樹脂(A)中に導入する
方法としては、−CO2H基、−CHO基、−SO3
基、−PO32基、−SO2H基、−OH基等から選ば
れた少なくとも1種の親水性基を含有する重合体を、反
応によって各々の親水性基を保護した官能基に変換す
る、いわゆる高分子反応による方法、又は前記した一般
式(I)〜(X)で示される官能基を1種又はそれ以上
含有する1種又はそれ以上の単量体を合成した後、これ
と共重合し得る他の任意の単量体との重合反応により重
合体とする方法により得られる。
【0084】重合体中に、本発明に必要な官能基を任意
に調整し得る、あるいは、不純物(高分子反応の場合、
用いる触媒あるいは副生物等)を混入しない等の理由か
ら、後者の方法(予め所望の単量体を得、その後重合反
応を行なう方法)により製造する事が好ましい。例えば
カルボキシル基を生成する官能基を導入する場合、具体
的には重合性二重結合を含むカルボン酸類又はその酸ハ
ライド類を、例えば前記した公知文献等に記載された方
法に従って、そのカルボキシル基を一般式(I)で示さ
れる官能基に変換した後、重合反応を行ない製造する方
法で行なうことができる。
【0085】また、化学反応によりカルボキシル基を生
成する官能基として前記一般式(II)で示されるオキサ
ゾロン環を含有する樹脂は、該オキサゾロン環を含有す
る1種又はそれ以上の単量体の、又は該単量体及びこれ
と共重合し得る他の単量体の重合反応により重合体とす
る方法により得ることができる。このオキサゾロン環を
含有する単量体は、重合性不飽和結合を含有するN−ア
シロイル−α−アミノ酸類の脱水閉環反応により製造す
ることができる。具体的には、岩倉義男・栗田恵輔著
「反応性高分子」第3章(講談社刊)の総説引例の文献
記載の方法によって製造することができる。
【0086】更に樹脂(A)は、上記の重合体成分
(a)及び/又は(b)とともに、樹脂(A)自身の剥
離性を向上させる作用を有する、フッ素原子及び/又は
フッ素原子を含有する置換基を含む重合体成分(c)を
含有してもよい。本発明では、該置換基は、重合体の高
分子主鎖に組み込まれていてもよく、あるいは高分子の
側鎖の置換基として存在していてもよい。好ましくは、
重合体成分(c)は樹脂(A)においてブロックとして
含有される。ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有す
る置換基を含む重合体成分(c)は、樹脂(A)の全重
合体成分中1〜20重量%で含有するものが好ましい。
重合体成分(c)が1重量%未満であると樹脂(A)の
剥離性向上効果が薄れてしまい、また20重量%を越え
ると、樹脂(A)の処理液との濡れ性が低下し、転写層
の除去が不充分となることがある。
【0087】重合体成分(c)の具体的な例は、後述の
樹脂(P)に含有され得るフッ素原子及び/又はケイ素
原子を含有する置換基を含む重合体成分(F)と全く同
様のものを挙げることができる。更に、重合体成分
(c)をブロックで含有する場合のブロック共重合体の
重合パターンの態様及び共重合体の合成方法も、後述の
重合体成分(F)を含有するブロック共重合体の場合と
全く同様である。
【0088】更に、樹脂(A)は、上記特定の重合体成
分(a)及び/又は(b)とともに、電気的絶縁性及び
熱可塑性を保持するために他の重合体成分を含有する。
他の重合体成分としては、その重合体成分のホモ重合体
のガラス転移点が130℃以下のものが好ましい。具体
的には、例えば、下記一般式(U)で示される繰り返し
単位の成分が挙げられる。
【0089】
【化24】
【0090】式(U)において、Vは−COO−、−O
CO−、−O−、−CO−、−C64−、−(CH2)n
COO−又は−(CH2)nOCO−を表わす。但し、n
は1〜4の整数を表わす。R60は炭素数1〜22の炭化
水素基を表わす。b1及びb2は同じでも異なっていても
よく、各々水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、シアノ基、トリフロロメチル基、炭素数1〜7の炭
化水素基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、ベンジ
ル基等)又は−COOZ11(Z11は炭化水素基を表わ
し、具体的には上記炭素数1〜7の炭化水素基の具体的
内容と同じものが挙げられる)を表わす。
【0091】R60は好ましくは、炭素数1〜18の置換
されていてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル
基、テトラデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモ
エチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル
基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2
−ヒドロキシプロピル基等)、炭素数2〜18の置換さ
れてもよいアルケニル基(例えば、ビニル基、アリル
基、イソプロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘ
プテニル基、オクテニル基等)、炭素数7〜12の置換
されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェ
ネチル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、
メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、メチルベン
ジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよいシクロア
ルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基、シクロヘプチル基等)又は炭素数6〜12の置換さ
れてもよいアリール基(例えば、フェニル基、トリル
基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、メトキシフ
ェニル基、エトキシフェニル基、フロロフェニル基、メ
チルクロロフェニル基、ジフロロフェニル基、ブロモフ
ェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、メ
チルカルボニルフェニル基、メトキシカルボニルフェニ
ル基、エトキシカルボニルフェニル基、メタンスルホニ
ルフェニル基、シアノフェニル基等)等が挙げられる。
式(U)で示される重合体成分は一種あるいは二種以上
用いられるが、その含有量は、樹脂(A)中30〜97
重量%であることが好ましい。
【0092】樹脂(A)は、特定の重合体成分及び一般
式(U)で示される重合体成分とともに、これらと共重
合可能な他の共重合成分を更に含有していてもよい。こ
のような他の共重合成分としては、例えば一般式(U)
で説明した以外の置換基を含有するメタクリル酸エステ
ル類、アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類に
加え、α−オレフィン類、カルボン酸ビニル又はアリル
酸エステル類(例えばカルボン酸として、酢酸、プロピ
オン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、ナフタレンカルボン
酸等)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニ
ルエーテル類、イタコン酸エステル類(例えばジメチル
エステル、ジエチルエステル等)、アクリルアミド類、
メタクリルアミド類、スチレン類(例えばスチレン、ビ
ニルトルエン、クロロスチレン、N,N−ジメチルアミ
ノメチルスチレン、メトキシカルボニルスチレン、メタ
ンスルホニルオキシスチレン、ビニルナフタレン等)、
ビニルスルホン含有化合物、ビニルケトン含有化合物、
複素環ビニル類(例えばビニルピロリドン、ビニルピリ
ジン、ビニルイミダゾール、ビニルチオフェン、ビニル
イミダゾリン、ビニルピラゾール、ビニルジオキサン、
ビニルキノリン、ビニルテトラゾール、ビニルオキサジ
ン等)等が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。これら他の共重合成分は、樹脂(A)の転写性を
疎外しない範囲内で任意に用いることができるが、具体
的には樹脂(A)中の20重量%を越えないことが好ま
しい。
【0093】また、転写層には、樹脂(A)とともに、
必要に応じて他の樹脂を併用してもよい。但し、転写層
の溶出除去の性能を低下させないことより、転写層形成
の全樹脂100重量部中本発明に従う重合体成分(a)
及び(b)の存在割合が5重量%以上を満足することが
必要である。併用され得る他の樹脂の例としては、例え
ば塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、オレフィン−
スチレン共重合体、アルカン酸ビニル系樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル系樹脂、メタク
リル系樹脂、セルローズ系樹脂、脂肪酸変性セルローズ
系樹脂等が挙げられる。
【0094】具体的には、例えば、日刊工業新聞社刊
「プラスチック材料講座シリーズ」第1巻〜18巻(1961
年)、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日
刊工業新聞社刊(1988年)、大森英三「機能性アクリル
樹脂」(株)テクノシステム刊(1985年)、滝山栄一郎
「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業社刊(1988
年)、湯木和男編「飽和ポリエステル樹脂ハンドブッ
ク」日刊工業新聞社刊(1989年)、高分子学会編「高分
子データハンドブック<応用編>」第1章培風館(1986
年)、原崎勇次編「最新・バインダー技術便覧」第2章
(株)総合技術センター(1985年)等に例示されてい
る。これら熱可塑性樹脂は、単独又は2種以上併用して
もよい。
【0095】更に転写層には、接着性、成膜性、膜強度
等種々の物理的特性を向上させるために、他の添加剤を
併用してもよい。例えば、接着性調整のためにロジン、
石油樹脂、シリコーンオイル等、感光体へのぬれ性の改
良や溶融粘度を低下させる可塑剤及び軟化剤としてボリ
ブテン、DOP、DBP、低分子スチレン樹脂、低分子
ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワック
ス、パラフインワックス等、また酸化防止剤として高分
子ヒンダード多価フェノール、トリアジン誘導体等を加
えることができる。詳しくは「ホットメルト接着の実
際」(深田寛著、高分子刊行会、1983年発行)29〜107
頁に記載がある。
【0096】転写層の膜厚は全体として、好ましくは
0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜7μmの範
囲である。膜厚が薄すぎると転写不良が起きやすくな
り、厚すぎると電子写真プロセス上の障害を招きやすく
充分な画像濃度が得られなかったり、画質の低下が起き
やすい。
【0097】本発明では、以上述べた様な熱可塑性樹脂
を、特定のガラス転移点を有する樹脂(A1)及び樹脂
(A2)の少なくとも二種を同一粒子内に含有する樹脂粒
子(AL)の状態で、感光体の表面上に電着させ、例え
ば加熱等により均一な薄膜を形成して、転写層とする。
ここで、電着塗布法とは、感光体表面に樹脂粒子(A
L)を静電的に付着又は電着させる方法を意味する。従
って、熱可塑性樹脂粒子(AL)は、正電荷あるいは負
電荷のいずれかの荷電を有していることが必要であり、
その検電性は組み合せる電子写真感光体の帯電性によっ
て任意に決定される。
【0098】樹脂粒子(AL)は、前記した物性を満た
す範囲のものであって、通常その平均粒径は、0.01
μm〜15μmの範囲であり、好ましくは0.05μm
〜5μm、より好ましくは0.1μm〜1μmの範囲で
ある。この粒子は粒子粉体(乾式)、非水系に分散され
た樹脂粒子(湿式)、あるいは常温で固体で加熱により
液体になる電気絶縁性有機物中に分散された樹脂粒子
(疑似湿式)のいずれの状態でもよい。好ましくは、剥
離用転写層の膜厚を均一厚みで薄膜まで調整することが
容易な非水系分散樹脂粒子である。本発明の微小径樹脂
粒子は、従来公知の機械的粉砕方法又は重合造粒方法に
よって製造することができる。これらの製造方法は、乾
式電着あるいは湿式電着のいずれの粒子に適用すること
ができる。
【0099】乾式電着方法で用いられる微小粒子を製造
する場合において、機械的粉砕方法としては、従来公知
の粉砕機で直接粉砕し、微粒子とする方法(例えば、ボ
ールミル、ペイントシェーカー、ジェットミルを使用す
る方法等)が挙げられ、必要に応じて、樹脂粒子とする
材料を混合し、溶融、混練を経て粉砕したり、粉砕後粒
径をそろえるための分級又は粒子の表面を処理する後処
理等を適宜組合わせて行なうことができる。また、スプ
レードライ法も知られている。具体的には、(社)日本
粉体工業技術協会編「造粒ハンドブック」第II編(オー
ム社刊、1991年)、神奈川経営開発センター「最新造粒
技術の実際」(神奈川経営開発センター出版部、1984
年)、荒川正文等編「最新粉体の設計技術」(株)テク
ノシステム社、1988年)等の成書に詳細に記載された方
法を適宜用いて容易に製造することができる。
【0100】重合造粒方法としては、従来公知の、水系
で行なう乳化重合反応、シード重合反応、懸濁重合反
応、非水溶媒系で行なう分散重合反応で製造する方法等
が知られている。具体的には、室井宗一「高分子ラテッ
クスの化学」高分子刊行会(1970年)、奥田平、稲垣寛
「合成樹脂エマルジョン」高分子刊行会(1978年)、室
井宗一「高分子ラテックス入門」工文社(1983年)、I.
Piirma, P. C. Wang「EmulsionPolymerization」、I.
Piirma & J. L. Gardon, ACS symp. Sev. 24、p.34(1
974年)、北原文雄等「分散乳化系の化学」工学図書(1
979年)、室井宗一監修「超微粒子ポリマーの最先端技
術」C.M.C.(1991年)等の成書に記載されている方法で
粒子化した後、上記機械的方法に関する成書に記載の様
な各種の方式で補集し粉末化することで製造することが
できる。
【0101】得られた微粒子粉体を乾式電着する方法
は、従来から公知の静電粉体の塗装方法、又は乾式静電
写真現像剤の現像方法を用いることができる。具体的に
は、J.F. Hughes著(長坂秀雄・緑川真知子訳)「静電
粉体塗装」等に記載の如く、コロナ帯電、摩擦帯電、イ
ンダクション帯電、イオン風帯電、逆イオン化現象利用
等の方法で帯電した微粒子を電着する方法、中村孝一編
「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実
用化」第1章(日本科学情報(株)、1985年)等の成書
に記載の如く、カスケード法、磁着ブラシ法、ファーブ
ラシ法、エレクトロスタチック法、インダクション法、
タッチダウン法、パウダークラウド法等の現像方法等を
用いて適宜行なうことができる。
【0102】湿式電着方法で用いられる、非水系ラテッ
クスを製造する場合も、前記の如く機械的方法と重合造
粒方法のいずれでも製造することができる。例えば、分
散ポリマーを併用して、更に湿式分散機(例えば、ボー
ルミル、ペイントシェーカー、ケデイミル、ダイノミル
等)で分散する方法、樹脂粒子成分となる材料と、分散
補助ポリマー(又は被覆ポリマー)を予め混練して混練
物とした後粉砕し、次に分散ポリマーを共存させて分散
する方法等が挙げられる。具体的には、塗料又は静電写
真用現像剤の製造方法を利用することができ、例えば植
木憲二監訳「塗料の流動と顔料分散」共立出版(1971
年)、D. H. Solomon 「The Chemistry of Organic Fil
m Formers」John Wiles & Sons (1967)、「Paintand Su
rface Coating Theory and Practice」、原崎勇次「コ
ーティング工学」朝倉書店(1971年)、原崎勇次「コー
ティングの基礎科学」朝倉書店(1977年)等の成書に記
載されている。
【0103】また、重合造粒法として、シード重合法を
用いて容易に製造することができ、具体的には、前記し
た「超微粒子ポリマーの最新技術」第2章、「最近の電
子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」第3
章、K. E. J. Barvett「Dispersion Polymerization in
Organic Media」John Wiley(1975年)等の成書に記載
されている従来公知の非水系分散重合方法でまず微粒子
を合成し、次に、この微粒子をシードとして更に上記と
同様にして樹脂(A)に相当する単量体類をフィードし
て重合させることにより製造する方法が好ましい。
【0104】重合造粒法において、樹脂粒子に剥離性向
上のための重合体成分(c)を導入するには、樹脂粒子
となる有機溶媒には可溶で、重合することで不溶化する
単量体とともに、重合体成分(c)に相当する単量体を
共存させて重合反応を行うことで樹脂(A)中に共重合
され、ランダム共重合体の樹脂粒子が容易に得られる。
【0105】更に、重合体成分(c)をブロックで導入
するには、用いる分散安定用樹脂に重合体成分(c)を
ブロックで含有するブロック共重合体を少なくとも用い
る方法、又は重合体成分(c)を主たる繰り返し単位と
して構成する重量平均分子量1×103〜2×104(好
ましくは3×103〜1.5×104)の一官能性マクロ
モノマーを共存させて単量体と共重合させる方法で容易
に行うことができる。また、他の方法としては、重合体
成分(c)を主たる繰り返し単位として含有する高分子
開始剤(アゾビス高分子開始剤又は過酸化物高分子開始
剤)を用いることでも同様にブロック共重合体の樹脂粒
子を得ることができる。
【0106】非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられ
る非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であ
ればいずれでもよく、単独であるいは2種以上を混合し
て用いることができる。かかる有機溶媒の具体例は、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フ
ッ化アルコール、ベンジルアルコール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル
等のカルボン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、トリデカン、シクロヘキサン、シクロオ
クタン等の炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭
化水素類、メチレンクロリド、ジクロロエタン、テトラ
クロロエタン、クロロホルム、メチルクロロホルム、ジ
クロロプロパン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化
水素類等が挙げられる。ただし、以上述べた化合物例に
限定されるものではない。これらの非水溶媒系で分散樹
脂粒子を分散重合法で合成することにより、樹脂粒子の
平均粒子径は容易に1μm以下となり、しかも粒子径の
分布が非常に狭く且つ単分散の粒子とすることができ
る。
【0107】これらの非水系分散樹脂粒子は、湿式静電
写真現像方法又は電界の印圧場で電気泳動させて電着さ
れる方法を行なうことから、電着時に用いられる分散媒
としては、電気抵抗108Ω・cm以上、且つ誘電率3.
5以下の非水溶媒系に調節される。具体的には、直鎖状
もしくは分枝状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素又は
芳香族炭化水素、及びこれらのハロゲン置換体を用いる
ことができる。例えばオクタン、イソオクタン、デカ
ン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソド
デカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイ
ソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL
(アイソパー;エクソン社の商品名)、シェルゾール7
0、シェルゾール71(シェルゾール;シェルオイル社
の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(ア
ムスコ;アメリカン・ミネラル・スピリッツ社の商品
名)等を単独あるいは混合して用いることができる。従
って、好ましくは、重合造粒時に用いる溶媒として、初
めから、上記絶縁性有機溶媒を用いるが、これら溶媒以
外の溶媒で造粒した後、分散媒の置換をして調節するこ
ともできる。
【0108】分散媒中の分散粒子を電気泳動で電着させ
るためには、粒子は正荷電又は負荷電の検電性粒子でな
ければならない。粒子に検電性を付与することは湿式静
電写真用現像剤の技術を適宜利用することで達成可能で
ある。具体的には、前記の「最近の電子写真現像システ
ムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真
学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロ
ナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44
頁(1977年)等に記載の検電材料及び他の添加剤を用い
ることで行なわれる。例えば、英国特許第893,42
9号、同934,038号、米国特許第1,122,3
97号、同3,900,412号、同4,606,98
9号、特開昭60−179751号、同60−1859
63号、特開平2−13965号等に記載されている。
電着に供せられる非水系ラテックスの構成としては、通
常少なくとも電気絶縁性分散媒1リットル中に、熱可塑
性樹脂を主として含有する粒子が0.1〜20g、分散
安定用樹脂は0.01〜50g、必要に応じて加える荷
電制御剤は、0.0001〜10gの範囲である。
【0109】更に、粒子の分散安定性、荷電安定性の保
持等のために、他の添加剤を添加してもよく、例えば、
ロジン、石油樹脂、高級アルコール類、ポリエーテル
類、シリコーンオイル類、パラフィンワックス類、トリ
アジン誘導体等が挙げられる。しかし、これらに限定さ
れるものではない。これらの添加剤の総量は、電着用ラ
テックスの電気抵抗によってその上限が規制される。即
ち、電気抵抗が108Ω・cmより低くなると熱可塑性樹
脂粒子の付着量が充分得られ難くなるので、各添加剤の
添加量はこの限度内でコントロールされる。
【0110】このようにして微粒子化し荷電を付与して
電気絶縁性液体中に分散した熱可塑性樹脂粒子(AL)
は、電子写真湿式現像剤と同様の挙動を示す。よって例
えば前掲の「電子写真技術の基礎と応用」275〜285頁に
示される現像デバイス、例えばスリット現像電極装置を
用いて感光体表面に電気泳動させることができる。即
ち、熱可塑性樹脂を主として含有する粒子が、電子写真
感光体と対向して設置された対向電極の間に供給され、
外部電源より印加された電位勾配に従って電気泳動して
電子写真感光体に付着又は電着されて成膜される。
【0111】一般的には粒子の荷電が正極性の場合には
感光体の導電性支持体と現像デバイスの現像電極との間
に、感光体側が負電位になるように外部電源から電圧を
印加し、粒子を静電気的に感光体表面へ電着させる。ま
た通常の電子写真プロセスにより湿式トナー現像によっ
て電着させることもできる。即ち前提の「電子写真技術
の基礎と応用」46〜79頁に示されるように、感光体を均
一帯電させた後露光を行なわず、又は不要領域のみに露
光を行なういわゆる焼き落としをし、次いで通常の湿式
トナー現像をする。
【0112】他方、加熱により液化する媒体中に分散し
た樹脂粒子を用いる場合に供される該媒体としては、常
温で固体であり、加熱温度30〜80℃(好ましくは4
0〜70℃)で液体となる電気絶縁性の有機化合物であ
り、これに好適な化合物としては、凝固点30〜80℃
のパラフィン類、ロウ類、凝固点20〜80℃の低分子
量のポリプロピレン、凝固点20〜50℃の牛脂、凝固
点30〜80℃の硬化油等が挙げられ、これらを単独又
は組み合わせて用いることができる。その他必要な特性
は、上記湿式現像法に供される電着樹脂粒子分散物の場
合と同様である。
【0113】更に、この疑似湿式法に供される本発明の
樹脂粒子は、供される媒体の液化する温度では軟化しな
い高ガラス転移点又は高軟化点の樹脂成分が粒子の外殻
を構成する、いわゆるコア−シェル型粒子(コア部にガ
ラス転移点の低い樹脂、シェル部にガラス転移点の高い
樹脂)とすることで分散された樹脂粒子が加熱で融着さ
れることがなく、安定に分散された状態を維持すること
が可能となる。
【0114】感光体上の熱可塑性樹脂粒子の付着量は外
部バイアスの印加電圧、感光体の帯電電位及び現像時間
などにより任意に調節できる。電着後公知のゴムローラ
ー、ギャップローラ、リバースローラなどによるスクイ
ズで現像液を拭い去る。またコロナクイズやエアースク
イズなどの方法も公知である。更に冷風もしくは温風、
あるいは赤外線ランプなどにより乾燥し、好ましくは熱
可塑性樹脂粒子を皮膜化させて転写層とする。
【0115】次に、本発明に供せられる電子写真感光体
について説明する。電子写真感光体としては、従来公知
のいずれのものでも用いることができる。重要なこと
は、感光体表面に設けられる転写層がトナー画像ととも
に後に容易に剥離できるように、感光体表面が転写層形
成時に剥離性を有することである。
【0116】即ち、本発明では、少なくとも樹脂粒子
(AL)の電着塗布法による成膜で転写層が形成される
時に、転写層と隣接することとなる電子写真感光体の表
面のJIS Z0237-1980「粘着テープ・粘着シート試験方
法」における粘着力を、好ましくは100gram・force
(g・f)以下、更に好ましくは80g・f以下とする
ことが望ましい。これにより、感光体と転写層との剥離
性をより良好に発現することができ、被転写材への転写
時に転写層を感光体から容易に剥離させることができ
る。
【0117】上記JIS Z 0237-1980 「粘着テープ・粘着
シート試験方法」による粘着力の測定は、8.3.1 の18
0度引きはがし法に従い、以下の修正を加えて行う。 「試験板」として転写層が形成されるべき電子写真感
光体を用いる。 「試験片」として6mm巾のJIS C 2338-1984 に従って
製造された粘着テープを用いる。 定速緊張形引張試験機を用い、120mm/分の速さで
引きはがす。 即ち、上記試験板に、上記試験片の粘着面を下側にし
て、試験片の上からローラを約300mm/分の速さで一
往復させて圧着する。圧着後20〜40分の間に、定速
緊張形引張試験機を用い、約25mmはがした後、120
mm/分の速さで引きはがす。20mmはがれるごとに力を
読み取り、計4回読み取る。試験は3枚の試験片につい
て行い、3枚の試験片から測定した12個の平均値を求
め、これを10mm巾当たりに比例換算する。
【0118】この転写層に隣接することとなる表面に剥
離性を有する感光体を得る方法としては、表面自身が剥
離性を保持する感光体を用いる方法(第1の方法)、剥
離性を発現する化合物(S)を転写層形成前に感光体の
表面に適用させる方法(第2の方法)、及び、本発明の
樹脂粒子(AL)を絶縁性有機溶媒中に分散させた分散
液中に、剥離性を発現する化合物(S′)を共存させて
電着する方法(第3の方法)が挙げられる。また、これ
らの方法のいずれかを組み合わせて用いることもでき
る。
【0119】第1の方法に用いることができる、感光体
の表面自身が剥離性を有するものとしては、まずアモル
ファスシリコンを光導電体として用いた感光体が挙げら
れる。また、他の光導電体を用いる場合には、感光体を
構成する光導電層の上にオーバーコート層を設け、この
オーバーコート層に剥離性を付与する方法、又は光導電
層(光導電体単一層及び光導電体積層のいずれでもよ
い)の最上層の表面を剥離性が発現する状態に改質する
方法が挙げられる。
【0120】オーバーコート層又は最上の光導電層に剥
離性を付与するには、層の結着樹脂としてケイ素原子及
び/又はフッ素原子含有の重合体を用いるか、又はケイ
素原子及び/又はフッ素原子含有の重合体成分から成る
重合体セグメントを含むブロック共重合体(表面偏在化
型ブロック共重合体)を他の結着樹脂とともに少量用い
る方法がある。かかるケイ素及び/又はフッ素原子含有
の樹脂は樹脂粒子の形で用いることもできる。なかで
も、オ−バ−コ−ト層を設ける場合には、光導電層とオ
ーバーコート層の密着性を充分に保持できることから、
上記の表面偏在化型ブロック共重合体を併用する方法が
好ましい。上記表面偏在化型共重合体は、通常オーバー
コート層全組成物100重量部中0.1〜20重量部の
割合で、他の結着樹脂と併用することが好ましい。
【0121】具体的には、乾式トナーを用いたPPC感
光体において、感光体の繰り返し使用に対する感光体表
面の耐久性を保持する1つの手段として公知となってい
る、感光体上に表面層を設けて保護する方法における該
保護層の内容と類似の方法を利用することができる。例
えばシリコーン系ブロック共重合体を利用した保護層に
関する技術としては、特開昭61−95358号、特開
昭55−83049号、特開昭62−87971号、特
開昭61−189559号、特開昭62−75461
号、特開昭62−75461号、特開昭62−1395
56号、特開昭62−139557号、特開昭62−2
08055号等の各公報に記載のものが挙げられる。ま
た、フッ素系ブロック共重合体を利用した保護層として
は、特開昭61−116362号、特開昭61−117
563号、特開昭61−270768号、特開昭62−
14657号等の各公報に記載のものが挙げられる。更
に、フッ素原子含有重合体成分を含有する樹脂を粒子の
形で併用する保護層として、特開昭63−249152
号及び特開昭63−221355号の各公報に記載のも
のが挙げられる。
【0122】また、最上層の光導電層の表面を剥離性が
発現した状態に改質する方法は、光導電体と結着樹脂と
を少なくとも用いたいわゆる分散型の感光体を用いる場
合に、特に有効に適用される。即ち、光導電層の最上層
を構成する層に、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
の重合体成分を含有する重合体セグメントをブロックで
含有するブロック共重合体の樹脂、並びにフッ素原子及
び/又はケイ素原子含有の重合体成分を含有する樹脂粒
子の少なくともいずれか一方を共存させることにより、
これらの材料が表面に濃縮・移行して偏在するため、剥
離性表面に改質することができる。この共重合体及び樹
脂粒子については特開平5−197169号に記載され
ているものと同様ものを挙げることができる。
【0123】更には、表面偏在化をより強固にするため
に、オーバーコート層や光導電層の結着樹脂として、フ
ッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体セグメント
と、熱及び/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体
セグメントとを少なくとも1種ずつブロックで結合して
成るブロック共重合体を用いることができる。かかる熱
及び/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体セグメ
ントについては、特開平5−197169号に記載され
ているものと同様ものを挙げることができる。あるい
は、光及び/又は熱硬化性樹脂を、本発明に従うフッ素
原子及び/又はケイ素原子含有樹脂とともに併用しても
よい。
【0124】電子写真感光体において、前記した方法に
より感光体表面を改質するのに有効な本発明のフッ素原
子及び/又はケイ素原子を含有する重合体成分を含有す
る重合体は、樹脂〔以下樹脂(P)という〕及び/又は
樹脂粒子〔以下樹脂粒子(L)という〕の形で構成され
る。
【0125】重合体が、ランダム共重合体である場合に
は、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含有する重合体
成分は、全重合体成分中少なくとも60重量%以上であ
ることが好ましく、より好ましくは80重量%以上であ
る。
【0126】より好ましくは、フッ素原子及び/又はケ
イ素原子を含有する重合体成分を50重量%以上含有す
る重合体セグメント(α)とフッ素及び/又はケイ素原
子含有重合体成分を0〜20重量%含有する重合体セグ
メント(β)がブロックで結合して成るブロック共重合
体である。更に好ましくは、ブロック共重合体中のセグ
メント(β)中に光及び/又は熱硬化性官能基を少なく
とも1種含有する重合体成分を少なくとも1種含有する
ブロック共重合体である。これらのブロック共重合体に
おいて、セグメント(β)中には、フッ素原子及び/又
はケイ素原子含有の重合体成分を全く含有しないものが
好ましい。
【0127】上記重合体においては、セグメント(α)
及びセグメント(β)を含有するブロック共重合体(表
面偏在化型共重合体)とすることで、ランダム共重合体
に比べ、表面の剥離性自身の向上、更には、剥離性の維
持が保持される。即ち、上記のフッ素原子及び/又はケ
イ素原子含有の樹脂(P)及び/又は樹脂粒子(L)を
少量共存させて塗膜を形成すると、塗布後の乾燥工程終
了までの間に、容易に樹脂(P)及び樹脂粒子(L)
は、膜の表面部に移行・濃縮され膜表面が剥離性を発現
できる状態に改質されるものである。
【0128】前述の様に、フッ素原子及び/又はケイ素
原子含有の重合体セグメント(α)がブロック化されて
いる場合には、他方の重合体セグメント(β)(フッ素原
子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分を含んでいて
も少ない)が膜形成の結着樹脂との相溶性が良好なこと
から、これと充分な相互作用を行ない、転写層の形成時
において、これらの樹脂は、転写層への更なる移行が抑
制もしくは解消されて、転写層と電子写真感光体との界
面を明確に形成維持することができる(即ち、アンカー
効果)。ブロック共重合体のセグメント(β)中に硬化
性基を含有する重合体を用いて成膜時に重合体間を架橋
することで、更に、感光体と転写層との界面の剥離性が
強固に維持される効果が発揮される。特に、該表面剥離
性感光体を繰り返し使用し且つ液体現像剤と組み合わせ
て用いる場合には、架橋された膜状態であることが好ま
しい。
【0129】該重合体は、前記の如く、樹脂粒子(L)
として用いられてもよい。好ましい樹脂粒子(L)は、
非水溶媒中に分散される樹脂粒子である。かかる樹脂粒
子としては、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重
合体成分を含有する非水溶媒に不溶な重合体セグメント
(α)と、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合
体成分を含有しても20%以下である非水溶媒に可溶性
の重合体セグメント(β)とを結合して成るものが挙げ
られる。樹脂粒子(L)の場合には、不溶化している重
合体部分の作用により、表面への移行・濃縮が行われ、
更に、粒子に結合した非水溶媒に可溶性の重合体部分
が、前記樹脂(P)の場合と同様に、結着樹脂と相互作
用してアンカー効果の作用を行なう。更には硬化性基を
重合体中又は結着樹脂中に含有することで、転写層への
移行が解消されるものである。
【0130】フッ素原子及び/又はケイ素原子を含有す
る置換基、これらを含む重合体成分(F)、ブロック共
重合体の重合パターンの態様及び重合体の合成方法につ
いて具体的に説明する。
【0131】重合体成分(F)は、ケイ素原子及び/又
はフッ素原子を含有する置換基を含む重合体成分であ
る。この置換基は、重合体の高分子主鎖に組み込まれて
いても高分子の側鎖の置換基として含有されていてもよ
い。フッ素原子を含有する置換基としては、例えば、下
記の一価又は二価の有機残基等が挙げられる。
【0132】
【化25】
【0133】
【化26】
【0134】ケイ素原子含有の置換基としては、例えば
下記の一価又は二価の有機残基等が挙げられる。
【0135】
【化27】
【0136】但し、R31、R32、R33、R34及びR
35は、各々同じでも異なってもよく、置換されていても
よい炭化水素基又は−OR36基(R36は置換されてもよ
い炭化水素基を表わす)を表わす。
【0137】R31〜R36の示す炭化水素基としては、具
体的には炭素数1〜18の置換されてもよいアルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキ
サデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル
基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−シアノエ
チル基、3,3,3−トリフルオロプロピルエチル基、
2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基、2−メ
トキシカルボニルエチル基、2,2,2,2′,2′,
2′−ヘキサフルオロイソプロピル基等)、炭素数4〜
18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メ
チル−1−プロペニル、2−ブテニル基、2−ペンテニ
ル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル
基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル
−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換されて
いてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネ
チル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、
2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベン
ジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキ
シベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジ
ル基等)、炭素数5〜8の置換されていてもよい脂環式
基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシル
基、2−シクロペンチルエチル基等)又は炭素数6〜1
2の置換されていてもよい芳香族基(例えば、フェニル
基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェ
ニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデ
シルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニ
ル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、
クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニ
ル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキ
シカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル
基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェ
ニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミ
ドフェニル基等)等が挙げられる。
【0138】また、該フッ素原子及びケイ素原子含有の
有機残基は、組み合わされて構成されてもよく、その場
合には、直接結合してもよいし更には他の連結基を介し
て組み合わされてもよい。連結する基として具体的には
二価の有機残基が挙げられ、−O−、−S−、−N(d
1)−、−CO−、−SO−、−SO2−、−COO−、
−OCO−、−CONHCO−、−NHCONH−、−
CON(d1)−、−SO2N(d1)−等から選ばれた結
合基を介在させてもよい、二価の脂肪族基もしくは二価
の芳香族基、又はこれらの二価の残基の組み合わせによ
り構成された有機残基を表わす。ここで、d1は前記R
31と同一の内容を表わす。
【0139】二価の脂肪族基として、例えば下記で示さ
れる基が挙げられる。
【0140】
【化28】
【0141】ここで、e1及びe2は、互いに同じでも異
なってもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例えば、
塩素原子、臭素原子等)又は炭素数1〜12のアルキル
基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、クロロメ
チル基、ブロモメチル基、ブチル基、ヘキシル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基等)を表わす。Qは−O
−、−S−又は−N(d2)−を表わし、d2は炭素数1
〜4のアルキル基、−CH2Cl又は−CH2Brを表わ
す。
【0142】二価の芳香族基としては、例えばベンゼン
環基、ナフタレン環基及び5又は6員の複素環基(複素
環を構成するヘテロ原子として、酸素原子、イオウ原
子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を少なくとも1種
含有する)が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を
有していてもよく、例えばハロゲン原子(例えばフッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜8のアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基等)、炭素数1〜6のアル
コキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキ
シ基、ブトキシ基等)が置換基の例としてあげられる。
複素環基としては、例えばフラン環、チオフエン環、ピ
リジン環、ピペラジン環、テトラヒドロフラン環、ピロ
ール環、テトラヒドロピラン環、1,3−オキサゾリン
環等が挙げられる。
【0143】次に、以上のようなフッ素原子及び/又は
ケイ素原子を含有する置換基を有する繰り返し単位の具
体例を以下に示す。しかし、本発明の範囲がこれらに限
定されるものではない。以下の(F−1)〜(F−32)
における各具体例において、Rf は下記に示す(1)〜
(11)のいずれかの基を示し、bは水素原子又はメチル
基を表わす。
【0144】
【化29】
【0145】但し、上記(1)〜(11)において、
f′は上記(1)〜(8)で示される基を示し、nは
1〜18の整数を示し、mは1〜18の整数を示し、l
は1〜5の整数を示す。
【0146】
【化30】
【0147】
【化31】
【0148】
【化32】
【0149】
【化33】
【0150】
【化34】
【0151】上記重合体成分(F)は、樹脂(P)中に
ブロックで含有されることが好ましい。樹脂(P)にお
いて好ましい態様であるブロック型共重合体を以下に説
明する。このブロック型共重合体は、フッ素原子及び/
又はケイ素原子含有の重合体成分がブロックで構成され
ていればいずれでもよい。ここでブロックで構成すると
は、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分
を50重量%以上含有する重合体セグメントを重合体中
に有していることをいい、例えば下記に示すようなA−
B型ブロック、A−B−A型ブロック、B−A−B型ブ
ロック、グラフト型ブロックあるいはスター型ブロック
等が挙げられる。
【0152】
【化35】
【0153】これらの各種ブロック共重合体は、従来公
知の重合方法に従って合成することができる。例えば、
W. J. Burlant, A. S. Hoffman「Block and Graft poly
mers」(1986年、Reuhold)、R. J. Cevesa「Block and
Graft Copolymers」(1962年、Butterworths) 、D. C.
Allport, W. H. James「Block Copolymers」(1972年、
Applied Sci)、A. Noshay, J. E. McGrath「Block Copo
lymers」(1977年、Academis Press.)、G. Huvterg, D.
J. Wilson, G. Riess, NATO ASIser. SerE.1985,14
9、V. Perces, Applied. Polymer Sci. 285, 95 (198
5)等の成書、総説に記載されている。
【0154】例えば、有機金属化合物(例えばアルキル
リチウム類、リチウムジイソプロピルアミド、アルカリ
金属アルコラート類、アルキルマグネシウムハライド
類、アルキルアルミニウムハライド類等)等を重合開始
剤とするイオン重合反応については、T. E. Hogeu-Esc
h, J. Smid「Recent Advances in Anion Polymerizatio
n」(1987年、Elsevier New York)、岡本佳男、高分
子、38、912 (1989)、澤本光男、高分子、38、1018(198
9)、成田正、高分子、37、252 (1988)、B. C. Anderson
et al., Macromolecules 14, 1601(1981)、S. Aoshim
a, T. Higasimura, Macromolecules 22, 1009(1989)等
に具体的に記載されている。
【0155】また、ヨウ化水素/ヨウ素系等によるイオ
ン重合反応については、T. Higasimura at al., Makrom
ol. Chem., Macromol. Symp., 1314, 457 (1988)、東
村敏延、沢本光男、高分子論文集 46, 189 (1989)等に
記載されている。グループ移動重合反応については、D.
Y. Sogah et al., Macromolecules, 20,1473(1987)、
O. W. Webster, D. Y. Sogah, 高分子、36、808 (198
7)、M. T.Reetg et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl.
25、9108(1986)、特開昭63−97609号等に記載
されている。
【0156】金属ポルフィリン錯体を用いたリビング重
合反応については、T. Yasuda, T.Aida, S. Inoue, Mac
romolecules, 17, 2217(1984)、M. Kuroki, T. Aida,
S. Inoue, T. Ann. Chem. Soc.109,4737(1987)、M. Kur
oki et al., Macromolecules, 21, 3115(1988)、M. Kur
oki, I. Inoue、有機合成化学、47、1017(1989)等に記
載されている。
【0157】更には、環状化合物の開環重合反応につい
ては、S. Kobayashi, T. Saegusa「Ring Opening Polym
erization」(1984年、Applied Scence Publishers Lt
d.)、W. Seeliger et al., Angew. Chem. Int. Ed. Eng
l. 、875 (1966)、S. Kobayashi et al., Poly. Bul
l.13,447 (1985)、Y. Chujo et al., Macromolecules,
22, 1074(1989)等に記載されている。
【0158】更には、ジチオカーバメイト化合物又はザ
ンテート化合物等を開始剤として用いる光リビング重合
反応については、大津隆行、高分子、37、248 (1988)、
檜森俊一、大津隆一、Polym. Rep. Jap. 37, 3508(198
8)、特開昭64−111号、特開昭64−26619
号、M. Niwa, Macromolecules, 189,、2187(1988)等に
記載されている。
【0159】他方、アゾ基又は過酸化基を含有する高分
子を開始剤とするラジカル重合反応によってブロック共
重合体を合成する方法が、上田明等、高分子論文集、33
931(1976)、上田明、大阪市立工業研究所報告 84(198
9)、O. Nuyken et al., Macromol. Chem., Rapid. Comm
un. 9, 671(1988)、森屋泰夫等「強化プラスチック」2
9, 907、小田良平「科学と工業」61、43(1987)等に記載
されている。
【0160】グラフト型ブロック共重合体の合成につい
ては、前記した成書、総説に加えて、更に、井手文雄
「グラフト重合とその応用」(1977年、高分子刊行
会)、高分子学会編「ポリマー・アロイ」(1981年、東
京化学同人)等に記載されている。例えば、高分子鎖
を、重合開始剤、化学的活線(放射線、電子線等)、機
械的応用化でのメカノケミカル反応等で、グラフト化す
る方法、高分子鎖と高分子鎖の官能基を利用して、化学
結合(いわゆる高分子間反応)しグラフト化する方法、
及びマクロモノマーを用いて重合反応し、グラフト化す
る方法等が知られている。
【0161】高分子を用いてグラフト化する方法とし
て、具体的には、T. Shota et al., J. Appl. Polym. S
ci. 13、2447(1969)、W. H. Buck, Rubber Chemistry a
nd Technology, 50, 109 (1976)、遠藤剛、植沢勉、日
本接着協会誌、24、323 (1988)、遠藤剛、ibid. 25、40
9 (1989)等に記載されている。
【0162】また、マクロモノマーを用いて重合反応し
グラフト化する方法として、具体的には、P. Dreyfuss
& R. P. Quirk, Encycl. Polym. Sci. Eng., , 551
(1987)、P. F. Rempp, E. Franta, Adv. Polym. Sci.,
58, 1(19894) 、V. Percec、Appl. Poly. Sci., 285,
95 (1984)、R. Asami, M. Takari, Macromol. Chem.Sup
pl., 12、163 (1985)、P. Rempp. et al., Macromol. C
hem. Suppl., 8,3(1985)、川上雄資、化学工業、38、5
6(1987)、山下雄也、高分子、31、988 (1982)、小林四
郎、高分子、30、625 (1981)、東村敏延、日本接着協会
誌、18、536 (1982)、伊藤浩一、高分子加工、35、262
(1986)、東貴四郎、津田隆、機能材料、1987、No.10,
5、山下雄也編著「マクロモノマーの化学と工業」(198
9年、アイ・ピーシー(株))、遠藤剛編著「新しい機能
性高分子の分子設計」第4章(1991年、C.M.C.(株))、
Y. Yamashita et al., Polym. Bull. 5, 361(1981)等に
記載されている。
【0163】スター型ブロック共重合体の合成方法は、
例えば、M. T. Reetz, Angew. Chem. Int. Ed. Engl.,
27, 1373(1988)、M. Sgwarc「Carbanions, Living Poly
mersand Electron Transfer Processes」(1968年、Wil
ey. New York)、B. Gordonet al., Polym. Bull. 11, 3
49 (1984)、R. B. Bates et al., J. Org. Chem. 44, 3
800(1979)、Y. Sogah, A. C. S. Polym. Rapr. 1988、N
o.2, 3、J. W. Mays. Polym. Bull.23, 247 (1990)、I.
M. Khan et al., Macromolecules, 21、2684(1988)、
A. Morikawa, Macromolecules, 24、3469(1991)、上田
明、永井透、高分子、39、202 (1990)、T. Otsu, Poly
m. Bull. 11、135 (1984)等に記載されている。しかし
ながら、ブロック共重合体の合成法はこれらの方法に限
定されるものではない。
【0164】上記樹脂(P)及び樹脂粒子(L)におい
て、いわゆる表面偏在化型共重合体である場合を説明す
る。ケイ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分
を含有するセグメント(α)において、重合体成分
(F)は、セグメント(α)全体の総量のうち、少なく
とも50重量%を含み、好ましくは70重量%以上、よ
り好ましくは80重量%以上である。また、セグメント
(β)においては、フッ素原子及び/又はケイ素原子含
有の重合体成分(F)はセグメント(β)全体総量の内
20重量%以下であり、好ましくは0重量%である。
【0165】セグメント(α)とセグメント(β)の重
量比は、好ましくは1〜95対5〜99、より好ましく
は5〜90対10〜95である。この範囲を外れると、
樹脂(P)及び樹脂粒子(L)ともに、最上層部表面へ
の濃縮効果及びアンカー効果が低下する。
【0166】また、樹脂(P)の重量平均分子量は、好
ましくは5×103〜1×106、より好ましくは1×1
4〜5×105である。一方、樹脂(P)におけるセグ
メント(α)部の重量平均分子量は、少なくとも1×1
3以上であることが好ましい。樹脂粒子(L)は、そ
の平均粒径が好ましくは0.001〜1μm、より好ま
しくは0.05〜0.5μmである。
【0167】次に樹脂粒子(L)についての好ましい態
様について説明する。前記の如く、樹脂粒子(L)は、
好ましくは、非水溶媒に不溶なフッ素原子及び/又はケ
イ素原子含有のセグメント(α)と、この溶媒に可溶性
の、フッ素原子及び/又はケイ素原子を殆ど含有しない
セグメント(β)とから成るものである。更には、樹脂
粒子(L)の不溶性部分を構成するセグメント(α)部
は、架橋構造を形成していてもよい。
【0168】樹脂粒子(L)を製造する好ましい方法と
しては、後に非水系分散樹脂粒子の製造に関して述べる
非水系分散重合方法が挙げられる。非水溶媒系分散樹脂
粒子の製造に用いられる非水溶媒としては、沸点200
℃以下の有機溶媒であればいずれでもよく、単独で又は
2種以上を混合して用いることができる。
【0169】この有機溶媒の具体例は、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、フッ化アルコー
ル、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルケト
ン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エ
ステル類、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ト
リデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の炭素数
6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチレ
ンクロリド、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、ク
ロロホルム、メチルクロロホルム、ジクロロプロパン、
トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が挙げら
れる。ただし、以上述べた化合物例に限定されるもので
はない。これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散重合
法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は容易
に1μm以下となり、しかも粒子径の分布が非常に狭く
且つ単分散の粒子とすることができる。
【0170】具体的には、セグメント(α)を構成する
重合体成分に相当する単量体(a)、セグメント(β)
を構成する重合体成分に相当する単量体(b)とを、単
量体(a)は溶解するが重合すると不溶となる非水溶媒
を用いて、過酸化物(例えば過酸化ベンゾイル、過酸化
ラウロイル等)、アゾビス化合物(例えばアゾビスイソ
ブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)、有
機金属化合物(例えば、ブチルリチウム等)等の重合開
始剤の存在下に加熱重合させればよい。又は、上記単量
体(a)、セグメント(β)から成る重合体(Pβ)と
を、上記と同様にして重合させればよい。
【0171】更には、樹脂粒子(L)の不溶化した重合
体粒子の内部が架橋構造を有していてもよい。これらの
架橋構造を形成させるには、従来公知の方法のいずれを
も用いることができる。即ち、セグメント(α)を含
有する重合体を種々の架橋剤あるいは硬化剤によって架
橋する方法、セグメント(α)に相当する単量体
(a)を少なくとも含有させて重合反応を行う際に、重
合性官能基を2個以上含有する多官能性単量体又は多官
能性オリゴマーを共存させることにより、分子間に網目
構造を形成する方法、及びセグメント(α)と反応性
基を含有する成分を含む重合体類とを重合反応あるいは
高分子反応によって架橋させる方法等によって行うこと
ができる。
【0172】上記の方法の架橋剤としては、通常架橋
剤として用いられる化合物を挙げることができる。具体
的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」
大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子データハン
ドブック、基礎編」培風館(1986年)等に記載されてい
る化合物を用いることができる。例えば、有機シラン系
化合物(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシラン
カップリング剤等)、ポリイソシアナート系化合物(例
えば、トルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタン
ジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナ
ート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、ヘキ
サメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナ
ート、高分子ポリイソシアナート等)、ポリオール系化
合物(例えば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシプ
ロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、
1,1,1−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン
系化合物(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシ
プロピル化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、
変性脂肪族ポリアミン類等)、チタネートカップリング
系化合物(例えばテトラブトキシチタネート、テトラプ
ロポキシチタネート、イソプロピルトリステアロイルチ
タネート等)、アルミニウムカップリング系化合物(例
えばアルミニウムブチレート、アルミニウムアセチルア
セテート、アルミニウムオキシドオクテート、アルミニ
ウムトリス(アセチルアセテート)等)、ポリエポキシ
基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば、垣内弘編著
「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著
「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載
された化合物類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、
松永英夫編著「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社
(1969年刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)
クリレート系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東
村敏延編「オリゴマー」講談社(1976年刊)、大森英三
「機能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)
等に記載された化合物類)が挙げられる。
【0173】また、上記の方法で共存させる重合性官
能基を2個以上含有する多官能性単量体〔以下多官能性
単量体(d)とも称する〕又は多官能性オリゴマーの重
合性官能基としては、具体的には、CH2=CHCH
2−、CH2=CHCOO−、CH2=CH−、CH2=C
(CH3)−COO−、CH(CH3)=CHCOO−、C
2=CHCONH−、CH2=C(CH3)−CONH
−、CH(CH3)=CHCONH−、CH2=CHOC
O−、CH2=C(CH3)−OCO−、CH2=CHCH
2OCO−、CH2=CHNHCO−、CH2=CHCH2
NHCO−、CH2=CHSO2−、CH2=CHCO
−、CH2=CHO−、CH2=CHS−等を挙げること
ができる。これらの重合性官能基の同一のものあるいは
異なったものを2個以上有する単量体あるいはオリゴマ
ーであればよい。
【0174】重合性官能基を2個以上有する単量体の具
体例は、例えば同一の重合性官能基を有する単量体ある
いはオリゴマーとして、ジビニルベンゼン、トリビニル
ベンゼン等のスチレン誘導体:多価アルコール(例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール#20
0、#400、#600、1,3−ブチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールな
ど)、又はポリヒドロキシフェノール(例えばヒドロキ
ノン、レゾルシン、カテコールおよびそれらの誘導体)
のメタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル
類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類:二塩基酸
(例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸
等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルア
ミド類又はアリルアミド類:ポリアミン(例えばエチレ
ンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブ
チレンジアミン等)とビニル基を含有するカルボン酸
(例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ア
リル酢酸等)との縮合体などが挙げられる。
【0175】また、異なる重合性官能基を有する単量体
あるいはオリゴマーとしては、例えば、ビニル基を含有
するカルボン酸(例えばメタクリル酸、アクリル酸、メ
タクリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイル
プロピオン酸、アルリロイルプロピオン酸、イタコニロ
イル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無
水物等)とアルコール又はアミンの反応体等のビニル基
を含有するエステル誘導体又はアミド誘導体(例えばメ
タクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビニ
ル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン
酸アルリ、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイル
プロピオン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸アリ
ル、アクリル酸ビニルオキシカルボキシルメチルエステ
ル、アクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシカ
ルボニルエチレンエステル、N−アリルアクリルアミ
ド、N−アリルメタクリルアミド、N−アリルイタコン
酸アミド、メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド
等)又はアミノアルコール類(例えばアミノエタノー
ル、1−アミノプロパノール、1−アミノブタノール、
1−アミノヘキサノール、2−アミノブタノール等)と
ビニル基を含有するカルボン酸との縮合体などが挙げら
れる。本発明に用いられる2個以上の重合性官能基を有
する単量体又はオリゴマーは、単量体(a)及び共存す
る他の単量体との総量に対して10モル%以下、好まし
くは5モル%以下用いて重合し、樹脂を形成する。
【0176】更には、上記の方法の高分子間の反応性
基同志の反応により化学結合を形成し高分子間の橋架け
を行う場合には、通常の有機低分子化合物の反応と同様
に行うことができる。分散重合において、粒子の粒径が
揃った単分散性の粒子が得られること及び0.5μm以
下の微小粒子が得られ易いこと等から、網目構造形成の
方法としては多官能性単量体を用いるの方法が好まし
い。即ち、前記した単量体(a)、単量体(b)及び/
又は重合体(Pβ)に更に、多官能性単量体(d)を共
存させて重合造粒反応を行なうことで合成することがで
きる。更に、上記したセグメント(β)で構成される重
合体(Pβ)を用いる場合は、重合体(Pβ)の高分子
主鎖中の側鎖あるいは主鎖の片末端に、単量体(a)と
共重合可能な重合性二重結合基を有して成る重合体(P
β′)が好ましい。
【0177】重合性二重結合基としては、上記の様に単
量体(a)と共重合性を有すればいずれでもよいが、具
体的な例としては、CH2=C(Q)−COO−、C
(CH3)H=CH−COO−、CH2=C(CH2COO
H)−COO−、CH2=C(Q)−CONH−、CH2
=C(Q)−CONHCOO−、CH2=C(Q)−C
ONHCONH−、C(CH3)H=CHCONH−、C
2=CHCO−、CH2=CH(CH2)g−OCO−
(gは0又は1〜3の整数)、CH2=CHO−、CH2
=CHC64−等が挙げられる(ここでQは−H又は−
CH3を表わす)。
【0178】これらの重合性基は、高分子鎖に直接結合
してもよいし、他の二価の有機残基を介して結合しても
よい。これら重合体の具体的態様については、例えば特
開昭61−43757号、特開平1−257969号、
同2−74956号、同1−282566号、同2−1
73667号、同3−15862号、特開平4−706
69号等の各公報に記載されている。重合性化合物の総
量は非水溶媒100重量部に対して5〜80重量部程度
であり、好ましくは10〜50重量部である。重合開始
剤の量は、重合性化合物の総量の0.1〜5重量%であ
る。また、重合温度は30〜180℃程度であり、好ま
しくは40〜120℃である。反応時間は1〜15時間
が好ましい。
【0179】次に、光及び/又は熱硬化性基を、樹脂
(P)中に重合体成分として含有する場合、又は光及び
/又は熱硬化性基含有樹脂を樹脂(P)と併用する場合
を説明する。
【0180】樹脂(P)中に含有され得る、光及び/又
は熱硬化性基を少なくとも1種含有して成る重合体成分
としては、前記の如き公知文献に記載のものを挙げるこ
とができ、より具体的には例えば前記重合性官能基とし
て記載したものと同様のものが挙げられる。これらの重
合体において含有され得る、光及び/又は硬化性基を少
なくとも1種含有する重合体成分の含有量は、ブロック
共重合体である樹脂(P)の重合体セグメント(β)1
00重量部中好ましくは1〜95重量部、より好ましく
は10〜70重量部である。更には、樹脂(P)全体の
重合体成分の全量100重量部において5〜40重量部
含有していることが好ましい。上記含有量の下限以下に
なると、光導電層の成膜後の硬化が充分に進行しなくな
り、転写層塗膜時に電子写真感光体表面との膜界面の保
持効果が減少する。一方、上記含有量の上限以上になる
と、光導電層の結着樹脂としての電子写真特性が劣化
し、複写画像の原稿再現性の低下、非画像部の地カブリ
の発生等を生じてしまう場合が生じる。これらの光及び
/又は熱硬化性基を含有する樹脂(P)は、全結着樹脂
100重量部中40重量部以下使用することが好まし
い。樹脂(P)が40重量部を越えると電子写真特性の
劣化が生じることがある。
【0181】また、フッ素原子及び/又はケイ素原子含
有樹脂とともに光及び/又は熱硬化性樹脂(D)を併用
してもよい。光及び/又は熱硬化性樹脂(D)として
は、従来公知の硬化性樹脂のいずれでもよく、例えば、
上記ブロック共重合体で説明した如き硬化性基を含有す
る樹脂が挙げられる。更に従来公知の樹脂を併用でき
る。後述の感光体に用いられ得る結着樹脂で具体的に記
載された各樹脂を例として挙げることができる。
【0182】以上の如く、本発明の予め剥離性を有する
感光体の一つの態様として、感光体の最上層、例えばオ
ーバーコート層又は光導電層は、ケイ素原子及び/又は
フッ素原子を含有する樹脂、及び必要により、他の結着
樹脂を含有するが、更には、膜の硬化を向上させるため
に光及び/又は熱硬化性樹脂(D)及び/又は架橋剤を
少量共存させるのが好ましい。その使用量は、全結着樹
脂中0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重
量%である。その使用量が0.01重量%未満では、膜
の硬膜化向上の効果が薄れてしまう。一方、20重量%
を越えると電子写真特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0183】また、架橋剤を併用することが好ましく、
通常架橋剤として用いられる化合物を使用することがで
きる。具体的には、山下普三、金子東助編「架橋剤ハン
ドブック」大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子
データハンドブック基礎編」培風館(1986年)等に記載
されてきいる化合物を用いることができる。具体的に
は、前記の架橋剤として記載した化合物が挙げられ、更
に、多官能重合性基含有の単量体(例えばビニルメタク
リレート、アクリルメタクリレート、エチレングリコー
ルジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレ
ート、ジビニルコハク酸エステル、ジビニルアジピン酸
エステル、ジアクリルコハク酸エステル、2−メチルビ
ニルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタ
クリレート、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトール
ポリアクリレート等)等が挙げられる。
【0184】感光体の最上層(転写層と隣接する層)
は、成膜後に硬化されることが好ましい。本発明に供せ
られる結着樹脂(B)、表面偏在型共重合体(P)、硬
化性樹脂(D)及び架橋剤は、高分子間が化学結合しや
すい官能基同志の組合せで用いることが好ましい。例え
ば官能基の組合せによる高分子反応として通常よく知ら
れたものが挙げられ、具体的には下基表−Aに示す様な
A群の官能基とB群の官能基の組合せが例示される。但
し、これに限定されるものではない。
【0185】
【表1】
【0186】本発明では、感光層膜中での架橋反応を促
進させるために、必要に応じて反応促進剤を添加しても
よい。架橋反応が官能基間の化学結合を形成する反応様
式の場合には、例えば有機酸類(酢酸、プロピオン酸、
酪酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸
等)、フェノール類(フェノール、クロロフェノール、
ニトロフェノール、シアノフェノール、ブロモフェノー
ル、ナフトール、ジクロロフェノール等)、有機金属化
合物(アセチルアセトナートジルコニウム塩、アセチル
アセトンジルコニウム塩、アセチルアセトコバルト塩、
ジラウリン酸ジブトキシスズ等)、ジチオカルバミン酸
化合物(ジエチルジチオカルバミン酸塩等)、チウラム
ジスルフィド化合物(テトラメチルチウラムジスルフィ
ド等)、カルボン酸無水物(無水フタル酸、無水マレイ
ン酸、無水コハク酸、ブチルコハク酸無水物、3,
3′,4,4′−テトラカルボン酸ベンゾフェノンジ無
水物、トリメリット酸無水物等)等が挙げられる。架橋
反応が重合性反応様式の場合には、重合開始剤(過酸化
物、アゾビス系化合物等が挙げられる。
【0187】本発明の結着樹脂は、感光層形成物を塗布
した後、光及び/又は熱硬化されることが好ましい。熱
硬化を行なうためには、例えば、乾燥条件を従来の感光
体作製時の乾燥条件より厳しくする。例えば、乾燥条件
を高温度及び/又は長時間とすればよい。あるいは塗布
溶剤の乾燥後更に加熱処理することが好ましい。例えば
60℃〜150℃で5〜120分間処理する。上述の反
応促進剤を併用すると、より穏やかな条件で処理するこ
とができる。
【0188】本発明の樹脂中の特定の官能基を光照射で
硬化するには、化学的活性光線で光照射する工程を入れ
る様にすればよい。本発明に用いられる化学的活性光線
としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X
線、γ線、α線などいずれでもよいが、好ましくは紫外
線が挙げられる。より好ましくは波長310nmから波長
500nmの範囲の光線である。一般には低圧、高圧又は
超高圧の水銀ランプ、ハロゲンランプ等が用いられる。
光照射の処理は通常5cm〜50cmの距離から10秒〜1
0分間の照射で充分に行うことができる。
【0189】次に、剥離性表面を有する感光体を得る第
2の方法である、転写層形成の前に、通常の電子写真感
光体の表面に剥離性を発現する化合物(S)を吸着又は
付着させて感光体表面に剥離性を付与する方法について
説明する。
【0190】化合物(S)としては、フッ素原子及び/
又はケイ素原子を少なくとも含有する化合物が挙げら
れ、電子写真感光体表面の剥離性を改善するものであれ
ば、その構造は特に限定されるものではなく、低分子化
合物、オリゴマー、ポリマーのいずれでもよい。オリゴ
マー又はポリマーの場合、フッ素原子及び/又はケイ素
原子を含有する置換基は、重合体の主鎖に組み込まれて
いてもよく、あるいは重合体の側鎖の置換基として存在
していてもよい。好ましくは、オリゴマー又はポリマー
において、この置換基を含有する繰り返し単位をブロッ
クで含有するものが挙げられ、電子写真感光体表面への
吸着性及び剥離性を特に有効に発現する。
【0191】これらのフッ素原子及び/又はケイ素原子
を含有する置換基例は、前記感光体において用いられ得
る樹脂(P)に関連して述べたものと同様である。
【0192】本発明で用いられるフッ素原子及び/又は
ケイ素原子含有の化合物(S)としては、具体的には、
吉田時行等編「新版・界面活性剤ハンドブック」工学図
書(株)刊(1987年)、刈米孝夫監修「最新・界面活性
剤応用技術」(株)シーエムシー(1990年)、伊藤邦雄
編「シリコーン・ハンドブック」日刊工業新聞社刊(19
90年)、刈米孝夫監修「特殊機能界面活性剤」(株)C.
M.C.(1986年)、A. M. Schwartz et al.「Surface Act
ive Agents and Detergents vol.II」等に記載のフッ素
系及び/又はケイ素系有機化合物が挙げられる。更に
は、石川延男「フッ素化合物の合成と機能」(株)C.M.
C.(1987年)、平野二郎等編「含フッ素有機化合物−そ
の合成と応用−」(株)技術情報協会(1991年)、石川
満夫監修「有機ケイ素戦略資料」第3章(株)サイエン
スフォーラム(1991年)等の文献に記載の合成方法を利
用して、化合物(S)を合成することができる。
【0193】また、オリゴマー又はポリマーとしてフッ
素原子及び/又はケイ素原子を含有する置換基を含む重
合体成分の具体例としては、前記樹脂(P)に記載され
た重合体成分(F)を挙げることができる。
【0194】上記化合物(S)がいわゆるブロック共重
合体である場合については、フッ素原子及び/又はケイ
素原子含有の重合体成分がブロックで構成されていれば
よい。ここでブロックで構成するとは、フッ素原子及び
/又はケイ素原子を有する重合体成分を70重量%以上
含有する重合体セグメントを重合体中に有していること
をいう。例えば前記樹脂(P)で述べたと同様の、A−
B型ブロック、A−B−A型ブロック、B−A−B型ブ
ロック、グラフト型ブロックあるいはスター型ブロック
等が挙げられる。これらは前記と同様の方法で合成する
ことができる。
【0195】電子写真感光体の表面に化合物(S)を適
用することにより、その表面は所望の剥離性を有する様
に改質される。電子写真感光体の表面に化合物(S)を
適用するとは、化合物(S)を電子写真感光体表面に供
給して感光体表面に化合物(S)が吸着又は付着した状
態を形成することをいう。
【0196】以上の様な化合物(S)を電子写真感光体
表面に適用するには、従来公知のいずれの方法を用いて
よい。例えば、原崎勇次「コーティング工学」(株)朝
倉書店(1971年刊)、原崎勇次「コーティング方式」槇
書店(1979年刊)、深田寛「ホットメルト接着の実際」
(株)高分子刊行会(1979年刊)等に記載のエアドクタ
ーコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、スク
イズコーター、含浸コーター、リバースロールコータ
ー、トランスファーロールコーター、グラビアコータ
ー、キスロールコーター、スプレイコーター、カーテン
コーター、カレンダーコーター等の各方式が挙げられ
る。
【0197】また、化合物(S)を含浸させた布、紙、
フェルト等を感光体に密接させる方法、化合物(S)を
含浸させた硬化性樹脂を感光体に圧接させる方法、化合
物(S)を溶解した非水溶媒で感光体を濡らした後、溶
媒を乾燥させる方法、化合物(S)を分散させた非水溶
媒を前述の電着塗布法と同様にして電気泳動させて感光
体に付着させる方法等も挙げられる。
【0198】更には、インキジェット方式により化合物
(S)の非水溶液を感光体表面に一様に供給した後、乾
燥させることにより吸着又は付着させることができる。
インキジェット方式による方法は、例えば大野信編集
「ノンインパクトプリンティング」(株)C.M.C.(1986
年刊)記載の原理及び手段によって達成される。例えば
連続噴射型のSweet方式、Hertz方式、間欠噴射型のWins
ton方式、インクオンデマンド型のパルスジェット方
式、バブルジェット方式、インキミスト型のミスト方式
などが挙げられる。
【0199】いずれもインキの代わりに化合物(S)を
直接あるいは溶媒に希釈して、インキタンク及び/又は
インキヘッドカートリッジ部に充填して用いる。通常液
の粘度は1〜10cP、表面張力は30〜60dyne/cm
で、必要により界面活性剤等を加えても良く、また液を
加熱しても良い。従来のインキジェットプリンターは、
文字描画精細化のためにヘッドのオリフィス系を30〜
100μm程度としており、飛翔インキの粒径も同程度
となっているが、本発明においてはこれよりも大きくと
も良い。この場合には液の吐出量が多くなるので、塗布
にかかる時間を短縮できる。更にマルチノズル化するこ
とも塗布時間短縮のために極めて有効である。
【0200】一方、化合物(S)としてシリコーンゴム
を用いることもできる。好ましくは金属芯ローラーに巻
いてシリコーンゴムローラーとし、これを直接感光体表
面に押し当てても良い。ニップ圧は0.5〜10kgf/cm
2、接触時間は1秒〜30分間で良い。又この時感光体
及び/又はシリコーンゴムローラーは150℃以下に加
熱されていても良い。押圧によりシリコーンゴム内の低
分子量成分の一部が、ローラー表面から感光体表面へ転
移するものと思われる。また、シリコーンゴムはシリコ
ーンオイルで膨潤されたものでも良い。シリコーンゴム
はスポンジ状であっても、そのスポンジローラーに更に
シリコーンオイル、シリコーン界面活性剤溶液等を含浸
させてあってもよい。
【0201】本発明では、これらの方法は特に限定され
るものでなく、用いる化合物(S)の状態(液体、ワッ
クス状体、固体)によって各種方式が選択され、必要な
らば加熱媒体を併用して、用いる化合物(S)の流動性
を調整することもできる。化合物(S)の適用は、用い
る感光体及び化合物(S)の吸着もしくは付着による剥
離性を保持できる能力及びその手段の組合せに従って適
宜行えばよい。化合物(S)の適用は本発明に用いられ
る電子写真装置内に容易に組み込まれる態様で行うのが
好ましい。
【0202】化合物(S)を感光体表面へ適用する量は
特に規定されるものではなく、感光体の電子写真特性へ
の悪影響が実用上問題とならない範囲で行えばよい。通
常塗膜膜厚で1μm以下で充分であり、本発明の剥離性
付与のためには「Weakboundary Layer」(Bikerman "The
Science of Adhesive Joints" Academic Press(1961年
刊) により定義)の状態で充分である。即ち、転写層の
形成時に、化合物(S)が電子写真感光体上に吸着又は
付着してその表面に剥離性を付与し、好ましくは表面の
粘着力が100g・f以下となればよく、本発明の方法
において、常にこの工程を繰り返す必要はない。
【0203】本発明において、感光体に剥離性を付与す
る第3の方法は、転写層を電着塗布法で形成する場合に
用いる本発明の樹脂粒子(AL)を含有する分散液中
に、剥離性を発現する化合物(S′)を共存させて処理
するものである。即ち、従来公知の電子写真感光体に、
化合物(S′)を含有する電着用分散液を電着塗布する
ことで、感光体表面が剥離性を発現するものである。
【0204】具体的には、比誘電率が3.5以下の電気
絶縁性有機溶媒中に、剥離性を発現する化合物(S′)
を少なくとも1種含有し、且つ本発明の樹脂粒子(A
L)を分散した電着用分散液を用いて、樹脂粒子(A
L)を電気泳動により電子写真感光体表面に電着又は付
着させて成膜することにより、感光体への剥離性付与と
剥離可能な転写層の形成とを行うことができる。上記転
写層形成用の電着用分散液中に含有される化合物
(S′)は、分散樹脂粒子(AL)が電気泳動して感光
体表面に電着される前に感光体に吸着又は付着するた
め、結果的に転写層の形成前に剥離性を有する感光体と
なるものである。
【0205】化合物(S′)としては、前記第2の方法
で用いられる化合物(S)と同様のものが挙げられ、よ
り具体的には、樹脂粒子(AL)を分散してなる分散溶
媒1リットル中に0.05g以上溶解するものであれば
よい。好ましくは、分散溶媒1リットル中に0.1g以
上溶解するものである。化合物(S′)の電気絶縁性有
機溶媒中の添加量は、使用される化合物(S′)及び電
気絶縁性有機溶媒により異なるが、樹脂粒子の電気泳動
に悪影響(液抵抗の低下、粘度の上昇等)を及ぼさない
範囲で添加される。好ましくは、0.05g/リットル
〜20g/リットル程度である。
【0206】本発明に供せられる電子写真感光体の構成
及び材料は、従来公知のいずれでもよく、限定されるも
のではない。例えば、R. M. Schaffert,「Electrophoto
graphy」Focal Press London(1980)、S. W. Ing, M. D.
Tabak, W. E. Haas,「Electrophotography Fourth Int
ernational Conference」SPSE(1983)、篠原功、土田英
俊、草川英昭編「記録材料と感光性樹脂」(株)学会出
版センター刊(1979年)、小門宏、化学と工業、39(3),
161 (1986年)、総合技術資料集感光体「最近の光導電
材料と感光体の開発・実用化」日本科学情報(株)出版
部(1985年)、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と
応用」コロナ社(株)(1988年)、電子写真学会編「電子
写真用有機感光体の現状シンポジウム」予稿集(1985
年)等の成書、総説に記載の各種感光体が挙げられる。
即ち、光導電性化合物自身から成る単独層、又は、光導
電性化合物を結着樹脂中に分散した光導電層が挙げら
れ、分散された光導電層は、単一層型でもよいし、積層
型でもよい。
【0207】また、本発明において用いられる光導電性
化合物は無機化合物あるいは有機化合物のいずれでもよ
い。本発明の光導電性化合物として用いられる無機化合
物としては、例えばアモルファスシリコン、酸化亜鉛、
酸化チタン、硫化亜鉛、硫化カドミウム、セレン、セレ
ン−テルル、硫化鉛等従来公知の無機光導電性化合物が
挙げられる。これらは結着成樹脂とともに光導電層を形
成してもよいし、また、蒸着又はスパッタリング等によ
り単独で光導電層を形成してもよい。光導電性化合物と
して、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機光導電性化合物を
用いる場合は、無機光導電性化合物100重量部に対し
て、結着樹脂を10〜100重量部なる割合、好ましく
は15〜40重量部なる割合で使用する。
【0208】一方、有機化合物を用いた光導電層として
は、従来公知のいずれでもよく、具体的には、特公昭3
7−17162号、同62−51462号、特開昭52
−2437号、54−19803号、同56−1072
46号、同57−161863号各公報などに記載のよ
うな、有機光導電性化合物、増感染料、結合樹脂を主体
とする光導電層、第二は、特開昭56−146145
号、同60−17751号、同60−17752号、同
60−17760号、同60−254142号、同62
−54266号各公報などに記載のような電荷発生剤、
電荷輸送剤、結合樹脂を主体とする光導電層、及び特開
昭60−230147号、同60−230148号、同
60−238853号各公報などに記載のような電荷発
生剤と電荷輸送剤とをそれぞれ別の層に含有した二層構
成の光導電層が挙げられる。本発明の電子写真感光体は
光導電層のいずれの形態をとっていてもよい。
【0209】本発明における有機光導電性化合物として
は、(a) 米国特許第3,112,197号明細書等に記
載のトリアゾール誘導体、(b) 米国特許第3,189,
447号明細書等に記載のオキサジアゾール誘導体、
(c) 特公昭37−16096号公報に記載のイミダゾー
ル誘導体、(d) 米国特許第3,615,402号、同
3,820,989号、同3,542,544号各明細
書、特公昭45−555号、同51−10983号各公
報、特開昭51−93224号、同55−108667
号、同55−156953号、同56−36656号各
公報等に記載のポリアリールアルカン誘導体、(e) 米国
特許第3,180,729号、同4,278,746号
各明細書、特開昭55−88064号、同55−880
65号、同49−105537号、同55−51086
号、同56−80051号、同56−88141号、同
57−45545号、同54−112637号、同55
−74546号各公報等に記載のピラゾリン誘導体及び
ピラゾロン誘導体、(f) 米国特許第3,615,404
号明細書、特公昭51−10105号、同46−371
2号、同47−28336号各公報、特開昭54−83
435号、同54−110836号、同54−1199
25号各公報等に記載のフェニレンジアミン誘導体、
【0210】(g) 米国特許第3,567,450号、同
3,180,703号、同3,240,597号、同
3,658,520号、同4,232,103号、同
4,175,961号、同4,012,376号各明細
書、特公昭49−35702号公報、***国特許(DA
S)第1,110,518号明細書、特公昭39−27
577号、特開昭55−144250号、同56−11
9132号、同56−22437号各公報などに記載さ
れているアリールアミン誘導体、(h) 米国特許第3,5
26,501号明細書等に記載のアミノ置換カルコン誘
導体、(i) 米国特許第3,542,546号明細書など
に記載のN,N−ビカルバジル誘導体、(j) 米国特許第
3,257,203号明細書などに記載のオキサゾール
誘導体、(k) 特開昭56−46234号公報等に記載の
スチリルアントラセン誘導体、(l) 特開昭54−110
837公報等に記載のフルオレノン誘導体、(m) 米国特
許第3,717,462号明細書、特開昭54−591
43号公報(米国特許第4,150,987号明細書に
対応)、特開昭55−52063号、同55−5206
4号、同55−46760号、同55−85495号、
同57−11350号、同57−148749号、同5
7−104144号各公報等に記載されているヒドラゾ
ン誘導体、
【0211】(n) 米国特許第4,047,948号、同
4,047,949号、同4,265,990号、同
4,273,846号、同4,299,897号、同
4,306,008号各明細書などに記載のベンジジン
誘導体、(o) 特開昭58−190953号、同59−9
5540号、同59−97148号、同59−1956
58号、同62−36674号各公報などに記載されて
いるスチルベン誘導体、(p) 特公昭34−10966号
公報記載のポリビニルカルバゾール及びその誘導体、
(q) 特公昭43−18674号、同43−19192号
各公報記載のポリビニルピレン、ポリビニルアントラセ
ン、ポリ−2−ビニル−4−(4′−ジメチルアミノフ
ェニル)−5−フェニル−オキサゾール、ポリ−3−ビ
ニル−Nエチルカルバゾール等のビニル重合体、(r) 特
公昭43−19193号公報記載のポリアセナフチレ
ン、ポリインデン、アセナフチレンとスチレンの共重合
体等の重合体、(s) 特公昭56−13940号公報など
に記載のピレン−ホルムアルデヒド樹脂、ブロムピレン
−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−ホルム
アルデヒド樹脂等の縮合樹脂、(t) 特開昭56−908
33号、同56−161550号各公報に記載の各種の
トリフェニルメタンポリマー、などがある。なお本発明
において、有機光導電性化合物は、(a)〜(t)に挙げられ
た化合物に限定されず、これまで公知の全ての有機光導
電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電
性化合物は場合により2種類以上併用することができ
る。
【0212】光導電層に含有される増感色素としては、
電子写真感光体に使用される従来公知の増感色素が使用
可能である。これらは、「電子写真」12、9 (1973)、
「有機合成化学」24(11)、1010(1966)等に記載されてい
る。例えば、米国特許第3141770号、同4283
475号各明細書、特開昭48−25658号公報、特
開昭62−71965号公報等に記載のピリリウム系染
料、Applied Optics Supplement 3, 50 (1969)、特開昭
50−39548号公報等に記載のトリアリールメタン
系染料、米国特許第3,597,196号明細書等に記
載のシアニン系染料、特開昭60−163047号、同
59−164588号、同60−252517号各公報
等に記載のスチリル系染料などが有利に使用される。
【0213】光導電層に含有される電荷発生剤として
は、電子写真感光体において従来公知の有機及び無機の
各種の電荷発生剤が使用できる。例えば、セレン、セレ
ン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、及び以下(1)
〜(9)に示す有機顔料を使用することができる。
【0214】(1) 米国特許第4,436,800号、同
4,439,506号各明細書、特開昭47−3754
3号、同58−123541号、同58−192042
号、同58−219263号、同59−78356号、
同60−179746号、同61−148453号、同
61−238063号各公報、特公昭60−5941
号、同60−45664号各公報等に記載されたモノア
ゾ、ビスアゾ、トリスアゾ顔料などのアゾ顔料、(2) 米
国特許第3,397,086号、同4,666,802
号各明細書、特開昭51−90827号、同52−55
643号各公報に記載の無金属あるいは金属フタロシア
ニン等のフタロシアニン顔料、(3) 米国特許第3,37
1,884号明細書、特開昭47−30330号公報等
に記載のペリレン系顔料、(4) 英国特許第2,237,
680号明細書、特開昭47−30331号公報等に記
載のインジゴ、チオインジゴ誘導体、(5) 英国特許第
2,237,679号明細書、特開昭47−30332
号公報等に記載のキナクリンドン系顔料
【0215】(6) 英国特許第2,237,678号明細
書、特開昭59−184348号、同62−28738
号、同47−18544号各公報等に記載の多環キノン
系顔料、(7) 特開昭47−30331号、同47−18
543号各公報等に記載のビスベンズイミダゾール系顔
料、(8) 米国特許第4,396,610号、同4,64
4,082号各明細書等に記載のスクアリウム塩系顔
料、(9) 特開昭59−53850号、同61−2125
42号各公報等に記載のアズレニウム塩系顔料、などで
ある。これらは単独もしくは2種以上を併用して用いる
こともできる。
【0216】また、有機光導電性化合物と結合樹脂の混
合比は、有機光導電性化合物と結合樹脂との相溶性によ
って有機光導電性化合物の含有率の上限が決まり、これ
を上回る量を添加すると有機光導電性化合物の結晶化が
起こり好ましくない。有機光導電性化合物の含有量が少
ないほど電子写真感度は低下するので、有機光導電性化
合物の結晶化が起こらない範囲で、できるだけ多くの有
機光導電性化合物を含有させるのが好ましい。有機光導
電性化合物の含有率としては、結合樹脂100重量部に
対し、有機光導電性化合物5〜120重量部、好ましく
は10〜100重量部である。
【0217】本発明の感光体に用いることのできる前記
特定の樹脂以外の結着樹脂〔樹脂(B)と称することも
ある〕は、従来公知の電子写真感光体に用いられる樹脂
のいずれでもよく、重量平均分子量は好ましくは5×1
3〜1×106、より好ましくは2×104〜5×105
のものである。また、結着樹脂のガラス転移点は好まし
くは−40℃〜200℃、より好ましくは−10℃〜1
40℃である。これら従来公知の電子写真感光層用の結
着樹脂としては、例えば、柴田隆治、石渡次郎、高分
子、第17巻、第278頁(1968年)、宮本晴視、武井秀
彦、イメージング、1973(No.8)、中村孝一編「記録材料
用バインダーの実際技術」第10章、C.M.C.出版(1985
年)、電子写真学会編「電子写真用有機感光体の現状シ
ンポジウム」予稿集(1985年)、小門宏編「最近の光導
電材料と感光体の開発・実用化」日本科学情報(株)(19
86年)、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」
第5章、コロナ社(株)(1988年)、D. Tatt, S. C.Heid
ecker, Tappi, 49(No.10), 439(1966)、E. S. Baltazz
i, R. G. Blanclotteet al., Phot. Sci. Eng. 16(No.
5), 354(1972)、グエン・チャン・ケー、清水勇、井上
英一、電子写真学会誌18(No.2), 22(1980)等の成書・総
説に記載の化合物等が挙げられる。
【0218】具体的には、オレフィン重合体及び共重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体の重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキ
シル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル
共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒
素原子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環
として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオ
フェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン
環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジ
オキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0219】更に具体的には、遠藤剛「熱硬化性高分子
の精密化」(C.M.C.(株) 1986年刊)、原崎勇次「最新バ
インダー技術便覧」第II−1章(総合技術センター1985
年刊)、大津隆行「アクリル樹脂の合成・設計と新用途
開発」(中部経営開発センター出版部1985年刊)、大森
英三「機能性アクリル系樹脂」(テクノシステム1985年
刊)等の総説に引例された従来公知の樹脂が用いられ
る。
【0220】特に、光導電体の結着樹脂(B)として、
カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基等の酸性基を含
有する比較的低分子量(103〜104程度)の樹脂を併
用することで、静電特性を良化することができる。例え
ば、特開昭63−217354号に記載の酸性基含有重
合成分が重合体主鎖にランダムに存在する樹脂、特開昭
64−70761号に記載の重合体主鎖の片末端に酸性
基を結合してなる樹脂、特開平2−67563号、同2
−236561号、同2−238458号、同2−23
6562号及び同2−247656号等に記載の、酸性
基をグラフト型共重合体の主鎖末端に結合してなる樹脂
又は酸性基をグラフト型共重合体のグラフト部に含有す
る樹脂、特開平3−181948号に記載の酸性基をブ
ロックで含有するAB型ブロック共重合体が挙げられ
る。
【0221】更に、これらの低分子量の樹脂のみでは不
充分な光導電層の機械的強度を充分ならしめるために、
中〜高分子量の他の樹脂を併用することが好ましい。例
えば、特開平2−68561号に記載のポリマー間に架
橋構造を形成する熱硬化性樹脂、特開平2−68562
号に記載の一部が架橋構造を有する樹脂、特開平2−6
9759号に記載の酸性基をグラフト型共重合体の主鎖
末端に結合してなる樹脂等が挙げられる。また、特定の
中〜高分子量の樹脂を用いることで、環境が著しく変動
した場合でも安定した性能を維持することができ、例え
ば、特開平3−29954号、同3−77954号、同
3−92861号及び同3−53257号に記載の酸性
基をグラフト型共重合体のグラフト部の末端に結合する
樹脂又は酸性基をグラフト型共重合体のグラフト部に含
有する樹脂、特開平3−206464号及び同3−22
3762号記載の酸性基含有のAブロックと酸性基非含
有のBブロックとからなるABブロック型共重合体をグ
ラフト部に含有するグラフト型共重合体を挙げることが
できる。これらの特定の樹脂を用いることで、光導電体
を均一に分散させ、平滑性良好な光導電層を形成するこ
とができ、また環境の変化や半導体レーザー光を用いた
スキャニング露光方式を用いた場合においても、優れた
静電特性を維持することができる。
【0222】光導電層の厚さは1〜100μm、特には
10〜50μmが好適である。また、電荷発生層と電荷
輸送層の積層型感光体の電荷発生層として光導電層を使
用する場合は電荷発生層の厚さは0.01〜5μm、特
には、0.05〜2μmが好適である。
【0223】本発明では、可視光の露光又は半導体レー
ザー光の露光等光源の種類によって必要に応じて各種の
色素を分光増感剤として併用することができる。例え
ば、宮本晴視、武井秀彦;イメージング1973(No.8)第12
頁、C. J. Young 等:RCA Review 15, 469頁(1954
年)、清田航平等:電気通信学会論文誌、J63-C (No.
2)、97頁(1980年)、原崎勇次等、工業化学雑誌、66
78及び188頁(1963年)、谷忠昭、日本写真学会誌 3
5、208頁(1972年)等の総説引例のカーボニウム系色
素、ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、
キサンテン系色素、フタレイン系色素、ポリメチン色素
(例えば、オキソノール色素、メロシアニン色素、シア
ニン色素、ロダシアニン色素、スチリル色素等)、フタ
ロシアニン色素(金属を含有してもよい)等が挙げられ
る。
【0224】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、フタレイ
ン系色素を中心に用いたものとして、特公昭51−45
2号、特開昭50−90334号、同50−11422
7号、同53−39130号、同53−82353号各
公報、米国特許第3,052,540号、同4,05
4,450号各明細書、特開昭57−16456号公報
等に記載のものが挙げられる。
【0225】オキソノール色素、メロシアニン色素、シ
アニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素とし
ては、F. M. Hamer「The Cyanine Dyes and Related Co
mpounds」等に記載の色素類が使用可能であり、更に具
体的には、米国特許第3,047,384号、同3,1
10,591号、同3,121,008号、同3,12
5,447号、同3,128,179号、同3,13
2,942号、同3,622,317号各明細書、英国
特許第1,226,892号、同1,309,274
号、同1,405,898号各明細書、特公昭48−7
814号、同55−18892号各公報等に記載の色素
が挙げられる。更に、700nm以上の長波長の近赤外〜
赤外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭
47−840号、同47−44180号、特公昭51−
41061号、特開昭49−5034号、同49−45
122号、同57−46245号、同56−35141
号、同57−157254号、同61−26044号、
同61−27551号各公報、米国特許第3,619,
154号、同4,175,956号各明細書、「Resear
ch Disclosure」1982年、216、第117〜118頁等に記載の
ものが挙げられる。本発明の感光体は、種々の増感色素
を併用させてもその性能が増感色素により変動しにくい
点においても優れている。
【0226】更には、必要に応じて、従来知られている
種々の電子写真感光体用添加剤を併用することができ
る。これらの添加剤としては、電子写真感度を改良する
ための化学増感剤、皮膜性を改良するための各種の可塑
剤、界面活性剤などが含まれる。化学増感剤としては、
例えばハロゲン、ベンゾキノン、クロラニル、フルオラ
ニル、ブロマニル、ジニトロベンゼン、アントラキノ
ン、2,5−ジクロロベンゾキノン、ニトロフェノー
ル、無水テトラクロロフタル酸、無水フタル酸、無水マ
レイン酸、N−ヒドロキシマレイミド、N−ヒドロキシ
フタルイミド、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベ
ンゾキノン、ジニトロフルオレノン、トリニトロフルオ
レノン、テトラシアノエチレン、ニトロ安息香酸、ジニ
トロ安息香酸等の電子吸引性化合物、小門宏等「最近の
光導電材料と感光体の開発・実用化」第4章〜第6章:
日本科学情報(株)出版部(1986年)の総説引例のポリ
アリールアルカン化合物、ヒンダートフェノール化合
物、p−フェニレンジアミン化合物等が挙げられる。ま
た、特開昭58−65439号、同58−102239
号、同58−129439号、同62−71965号各
公報等に記載の化合物等も挙げることができる。
【0227】可塑剤としては、例えばジメチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフ
ェニルフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイ
ソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセ
バケート、ラウリン酸ブチル、メチルフタリールグリコ
レート、ジメチルグリコールフタレートなどを光導電層
の可撓性を向上するために添加できる。これらの可塑剤
は光導電層の静電特性を劣化させない範囲で含有させる
ことができる。これら各種添加剤の添加量は、特に限定
的ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.
001〜2.0重量部である。
【0228】光導電層は、従来公知の支持体上に設ける
ことができる。一般的に電子写真感光層の支持体は導電
性であることが好ましく、導電性支持体としては、従来
と全く同様、例えば金属、紙、プラスチックシート等の
基体に低抵抗性物質を含浸させるなどして導電処理した
もの、基体の裏面(感光層を設ける面と反対面)に導電
性を付与し、更にはカール防止を図る等の目的で少なく
とも1層以上をコートしたもの、前記支持体の表面に耐
水性接着層を設けたもの、前記支持体の表面層に必要に
応じて少なくとも1層以上のプレコート層を設けたも
の、アルミニウム等を蒸着した基体導電化プラスチック
を紙にラミネートしたもの等が使用できる。具体的に、
導電性基体あるいは導電化材料の例として、坂本幸男、
電子写真、14(No.1)、2〜11頁(1975年刊)、森賀弘之
「入門特殊紙の化学」高分子刊行会(1975年刊)、M.
F. Hoover, J. Macromol. Sci. Chem, A-4(6), 1327〜1
417頁(1970年刊)等に記載されているもの等を用いる
ことができる。
【0229】本発明では、前記の如くして剥離性表面を
発現させた感光体上に、本発明に従うガラス転移点の異
なる少なくとも二種の樹脂を同一粒子内に含有する樹脂
粒子(AL)を電着塗布法により電着又は付着させて成
膜することで転写層を形成した後、通常の電子写真プロ
セスを経て、トナー画像を形成する。即ち、帯電−露光
−現像−定着の各プロセスを従来公知の方法によって行
う。転写層の形成と、電子写真プロセスとは、同一の装
置内で行っても別個の装置で行ってもよい。本発明で
は、電子写真プロセスによってトナー画像を形成するに
は従来公知の方法及び装置を適宜用いることができる。
【0230】本発明に供される現像剤は、従来公知の静
電写真用現像剤を使用することができ、静電写真用乾式
現像剤及び液体現像剤のいずれでもよい。例えば、前述
の「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁、中村孝一
監修「トナー材料の開発・実用化」第3章(日本科学情
報社刊、1985年)、町田元「記録用材料と感光性樹脂」
107〜127頁(1983年刊)、(株)学会出版センター、電
子写真学会「イメージング No.2〜5 電子写真の現像
・定着・帯電・転写」等に具体的な態様が示されてい
る。乾式現像剤としては、一成分磁性トナー、二成分ト
ナー、一成分非磁性トナーあるいはカプセルトナー等が
実用されており、これらのいずれも利用することができ
る。
【0231】具体的な液体現像剤の基本構成としては、
電気絶縁性有機溶媒{例えばイソパラフィン系脂肪族炭
化水素:アンソパーH、アイソパーG(エッソ社製)シ
ェルゾール70、シェルゾール71(シェルオイル社
製)、IP−ソルベント1620(出光石油化学製)
等}を分散媒として、着色剤である無機又は有機の顔料
あるいは染料とアルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリエ
ステル樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ロジン等の分散
安定性、定着性、荷電性を付与するための樹脂とを分散
し、且つ、荷電特性の強化あるいは画像特性の改良等の
ために所望により種々の添加剤を加えて成るものであ
る。
【0232】上記着色剤としては、公知の染料・顔料が
任意に選択されるが、例えば、ベンジジン系、アゾ系、
アゾメチン系、キサンテン系、アントラキノン系、フタ
ロシアニン系(含金属を含む)、チタンホワイト、ニグ
ロシン、アニリンブラック、カーボンブラック等の染料
あるいは顔料等である。また、他の添加剤としては、例
えば原崎勇次「電子写真」第16巻、第2号、44頁に具体
的に記載されているものが用いられる。例えば、ジ−2
−エチルヘキシルスルホコハク酸金属塩、ナフテン酸金
属塩、高級脂肪酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸
金属塩、アルキルリン酸金属塩、レシチン、ポリ(ビニ
ルピロリドン)、半マレイン酸アミド成分を含む共重合
体、クマロンインデン樹脂、高級アルコール類、ポリエ
ーテル類、ポリシロキサン、ワックス類等が挙げられ
る。しかし、これらに限定されるものではない。
【0233】これら液体現像剤の主要な各組成分の量に
ついては通常下記の通りである。樹脂(及び所望により
用いられる着色剤)を主成分として成るトナー粒子は、
担体液体1000重量部に対して0.5重量部〜50重
量部が好ましい。0.5重量部未満であると画像濃度が
不足し、50重量部を超えると非画像部へのカブリを生
じ易い。さらに、前記の分散安定用の担体液体可溶性樹
脂も必要に応じて使用され、担体液体1000重量部に
対して0.5重量部〜100重量部程度加えることがで
きる。上述の様な荷電調節剤は、担体液体1000重量
部に対して0.001重量部〜1.0重量部が好まし
い。更に所望により各種添加剤を加えても良く、それら
添加物の総量は、現像剤の電気抵抗によってその上限が
規制される。即ち、トナー粒子を除去した状態の液体現
像剤の電気抵抗が109Ω・cmより低くなると良質の連
続階調像が得られ難くなるので、各添加物の各添加量
は、この限度内でコントロールされている。
【0234】また、液体現像剤の製造方法の具体例とし
ては、着色剤及び樹脂をサンドミル、ボールミル、ジェ
ットミル、アトライター等の分散機を用いて機械的に分
散して着色粒子を製造する方法が、例えば特公昭35−
5511号、同35−13424号、同50−4001
7号、同49−98634号、同58−129438
号、特開昭61−180248号等に記載されている。
【0235】他の着色粒子の製造方法としては、例えば
分散樹脂粒子を微小粒径で単分散性の良好なものとして
得る非水系分散重合方法を用いて製造し、該樹脂粒子を
着色する方法が挙げられる。着色の方法の1つとして
は、特開昭57−48738号などに記載されている如
く、分散樹脂を好ましい染料で染色する方法がある。ま
た、他の方法として、特開昭53−54029号に開示
されている如く、分散樹脂と染料を化学的に結合させる
方法、又は、特公昭44−22955号等に記載されて
いる如く、重合造粒法で製造する際に、予め色素を含有
した単量体を用い、色素含有の共重合体とする方法等が
ある。
【0236】デジタル情報に基づいて露光するレーザー
光によるスキャニング露光方式及び液体現像剤を用いる
現像方式の組合せが、高精細な画像を形成できることか
ら有効なプロセスである。その一例を以下に示す。ま
ず、感光材料をフラットベット上にレジスターピン方式
による位置決めを行った後背面よりエアーサクションに
より吸引して固定する。次いで、例えば「電子写真技術
の基礎と応用」(電子写真学会編、コロナ社、昭和63年
6月15日発行)212頁以降に記載の帯電デバイスにより、
感光材料を帯電する。コロトロン又はスコトロン方式が
一般的である。この時感光材料の帯電電位検出手段から
の情報に基づき、常に所定の範囲の表面電位となるよ
う、フィードバックをかけ、帯電条件をコントロールす
ることも好ましい。その後例えば同じく上記引用資料の
254頁以降に記載の方式を用いてレーザー光源による走
査露光を行う。
【0237】次いで液体現像剤を用いてトナー現像を行
う。フラットベット上で帯電、露光した感光材料は、そ
こからはずして同上引用資料の275頁以降に示された直
接法の湿式現像法を用いることができる。この時の露光
モードは、トナー画像現像モードに対応して行われ、例
えば反転現像の場合はネガ画像、即ち画像部にレーザー
光を照射し、感光材料を帯電した時の電荷極性と同じ電
荷極性を持つトナーを用い、現像バイアス電圧を印加し
て、露光部にトナーが電着するようにする。原理の詳細
は同上引用資料の157頁以降に説明がある。現像後に余
剰の現像液を除くために、同資料283頁に示されるよう
なスクイーズを行った後乾燥する。スクイーズ前に現像
剤の担体液体のみでリンスをすることも好ましい。
【0238】次に、感光体上のトナー画像を転写層ごと
被転写材に熱転写する。転写層の被転写材への熱転写
は、上記転写層形成工程及び電子写真工程と同一装置内
で行っても別個の装置で行ってもいずれでもよい。例え
ば、加熱手段内蔵の一対のゴム被覆金属ローラー間に所
定のニップ圧力を印加しながら駆動することにより、容
易に転写層をトナー画像ごと被転写材上に熱転写するこ
とができる。
【0239】この時のローラーの表面温度は好ましくは
30〜150℃、より好ましくは40〜120℃、ロー
ラー間のニップ圧力は好ましくは0.2〜20kgf/c
m2、より好ましくは0.5〜10kgf/cm2、搬送スピー
ドは好ましくは0.1〜300mm/秒、より好ましくは
50〜200mm/秒の範囲である。これらの条件設定は
使用している感光材料、即ち剥離層、感光層、支持体の
材料の物性により最適化することは当然である。ローラ
ーの表面温度は公知の表面温度検出手段及び温度コント
ローラーによって所定の範囲内に保つことが好ましい。
更に加熱ローラー部前に感光材料の予熱手段、後に冷却
手段を設けることもできる。また、ローラー間加圧手段
としては少なくとも一方のローラーの、軸の両端にスプ
リング又は圧縮空気を用いるエアーシリンダーを使うこ
とができる。
【0240】本発明に用いられる被転写材は、従来オフ
セット印刷版に供される支持体をそのまま用いることが
できる。具体的には、プラスチックシート又は特に耐刷
性を施した紙、アルミニウム、板、亜鉛板、銅−アルミ
ニウム板、銅−ステンレス板、クロム−銅板等のバイメ
タル板、クロム−銅−アルミニウム板、クロム−鉛−鉄
板、クロム−銅−ステンレス板等のトライメタル板等の
親水性表面を有する基板が用いられ、その厚さは0.1
〜3mmが好ましく、特に0.1〜1mmが好ましい。
【0241】アルミニウムの表面を有する支持体の場合
には、砂目立て処理、ケイ酸ナトリウム、フッ化ジルコ
ニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、又
は陽極酸化処理等の表面処理がなされていることが好ま
しい。また、米国特許第2,714,066号明細書に
記載されている如く、砂目立てしたのちにケイ酸ナトリ
ウム水溶液に浸漬処理されたアルミニウム板、特公昭4
7−5125号公報に記載されているように、アルミニ
ウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属ケイ酸
塩の水溶液に浸漬処理したものも好適に使用される。
【0242】上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロ
ム酸、硫酸、ほう酸等の無機酸、もしくはシュウ酸、ス
ルファミン酸等の有機酸又はこれらの塩の水溶液又は非
水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でア
ルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施さ
れる。また、米国特許第3,658,662号明細書に
記載されているようなシリケート電着も有効である。西
独特許公開第1,621,478号に記載のポリビニル
スルホン酸による処理も適当である。
【0243】これらの親水化処理は、支持体の表面を親
水性とするために施される以外は、その上に設けられる
トナ−画像との密着性の向上のために施されるものであ
る。また、支持体とトナー画像を形成した転写層との間
との接着性を調節するために、支持体表面に表面層を設
けて特性を改良することもできる。プラスチックシート
又は紙を支持体とする場合には、当然のことながら、ト
ナー画像部層以外が親水性でなければならないことか
ら、親水性を有する表面層を設けたものが供される。具
体的には、公知の直描型平版印刷用原版又は該原版の画
像受理層と同様の内容を有する被転写材を用いることが
できる。
【0244】本発明においては、以上のようにして得ら
れた被転写材上の転写層を化学反応処理して、転写層を
完全に除去することで、オフセット用印刷版を作成する
ことができる。転写層を除去するためには、処理液によ
る反応の他に化学的光学活線による脱保護反応を用いて
もよく、また併用してもよい。
【0245】処理液は、所定のpHに調整された水溶性
溶液を用いる。pHの調整は、公知のpH調整剤を用い
ることができる。適用されるpH域は酸性〜中性〜アル
カリ性のいずれでもよいが、処理液の防錆性又は転写層
の溶出除去性を勘案すると、pH8以上のアルカリ性領
域で用いることが好ましい。アルカリ性処理液とする化
合物としては、従来公知の無機化合物又は行き化合物の
いずれでもよく、例えば、炭酸塩、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、
有機アミン化合物等いずれでもよく、また、単独又は混
合して用いることができる。
【0246】更には、親水性反応を迅速化するために併
用できる化合物として、パーソン(Pearson)等の求核定
数n〔R. G. Pearson, H. Sobel, J. Amer. Chem. So
c., 90, 319 (1968)〕が5.5以上の値を有する置換基
を含有し、且つ蒸留水100重量部中に1重量部以上溶
解する親水性化合物が挙げられる。具体的な化合物とし
ては、例えばヒドラジン、ヒドロキシルアミン、亜硫酸
塩(アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛
塩等)、チオ硫酸塩等が挙げられ、また、分子内にヒド
ロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、
アミノ基から選ばれた少なくとも1つの極性基を含有す
るメルカプト化合物、ヒドラジド化合物、スルフィン酸
化合物、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物等が
挙げられる。
【0247】例えばメルカプト化合物として、2−メル
カプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、N−
メチル−2−メルカプトエチルアミン、N−(2−ヒド
ロキシエチル)−2−メルカプトエチルアミン、チオグ
リコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、メルカプ
トベンゼンカルボン酸、2−メルカプトエンスルホン
酸、2−メルカプトエチルホスホン酸、メルカプトベン
ゼンスルホン酸、2−メルカプトプロピオニルアミノ酢
酸、2−メルカプト−1−アミノ酢酸、1−メルカプト
プロピオニルアミノ酢酸、1,2−ジメルカプトプロピ
オニルアミノ酢酸、2,3−ジヒドロキシプロピルメル
カプタン、2−メチル−2−メルカプト−1−アミノ酢
酸等を、スルフィン酸化合物として、2−ヒドロキシエ
チルスルフィン酸、3−ヒドロキシプロパンスルフィン
酸、4−ヒドロキシブタンスルフィン酸、カルボキシベ
ンゼンスルフィン酸、ジカルボキシベンゼンスルフィン
酸等を、ヒドラジド化合物として、2−ヒドラジノエタ
ノールスルホン酸、4−ヒドラジノブタンスルホン酸、
ヒドラジノベンゼンスルホン酸、ヒドラジノベンゼンス
ルホン酸、ヒドラジノ安息香酸、ヒドラジノベンゼンカ
ルボン酸等を、第1級又は第2級アミン化合物として、
例えばN−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−
ジ(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジ(2−
ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、トリ(2−ヒド
ロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、N,N−ジ(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、2−アミノプロピオン酸、
アミノ安息香酸、アミノピリジン、アミノベンゼンジカ
ルボン酸、2−ヒドロキシエチルモルホリン、2−カル
ボキシエチルモルホリン、3−カルボキシピペラジン等
を挙げることができる。これら処理液中の求核性化合物
の存在量は0.05〜10モル/リットル、好ましくは
0.1〜5モル/リットルである。また、処理液のpH
は8以上が好ましい。
【0248】処理液は、上記した求核性化合物及びpH
調整剤以外に、他の化合物を含有してもよい。例えば、
水に可溶性の有機溶媒を、水100重量部中に1〜50
重量部含有してもよい。このような水に可溶性の有機溶
媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタ
ノール、プロパノール、プロパギルアルコール、ベンジ
ルアルコール、フェネチルアルコール等)、ケトン類
(アセトン、メチルエチルテトン、シクロヘキサノン、
アセトフェノン等)、エーテル類(ジオキサン、トリオ
キサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメ
チルエ−テル、プロピレングリコールジエチルエ−テ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロピラン
等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ピロリドン、
N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等)、エ
ステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチル、スル
ホラン、テトラメチル尿素等)等が挙げられ、これらは
単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0249】また、界面活性剤を水100重量部中に
0.1〜20重量部含有してもよい。界面活性剤として
は、従来公知のアニオン性、カチオン性又はノニオン性
の各界面活性剤が挙げられる。例えば、堀口博「新界面
活性剤」(1975年刊)三共出版(株)、小田良平、寺村
一広「界面活性剤の合成とその応用」(1980年刊)槇書
店等に記載される化合物を用いることができる。更に、
該処理液の保存時の防腐性、防黴性向上の為に、従来公
知の防腐性化合物、防黴性化合物を併用してもよい。処
理の条件は温度15〜60℃で浸漬時間は10秒〜5分
間が好ましい。更に処理時に、超音波下に行う又は機械
的な摺動(ブラシ等でこする等)等の物理的操作を併用
してもよい。
【0250】他方、化学的活性光線の照射により脱保護
反応する場合に用いられる光線としては、可視光線、紫
外線、遠紫外線、電子線、X線、γ線、α線等いずれで
もよいが、好ましくは紫外線が挙げられる。より好まし
くは波長310nm〜波長500nmの範囲での光線であ
る。一般には高圧又は超高圧の水銀ランプ等が用いられ
る。光照射の処理は通常5cm〜50cmの距離から10秒
〜10分間の照射で充分に行うことができる。この様に
して光照射した後、上記の様な水溶性溶液中に浸漬する
ことで容易に転写層を除去することができる。
【0251】以下に本発明の電子写真式製版印刷版の作
成方法を添付図面をもって詳細に説明する。図2は本発
明の方法を実施するための好適態様である、転写層の形
成、電子写真プロセス及び転写層の熱転写を同一装置内
で行うことのできる、電子写真式製版印刷原版作成装置
の概略図である。
【0252】前述のように、表面が剥離性に改質された
電子写真感光体11を用いる場合には、そのまま感光体
11上に転写層12を形成する。また、感光体11表面
の剥離性が不十分な場合には、前述のように、転写層1
2の形成前に前記化合物(S)を吸着又は付着させる装
置を設ける(第2の方法)か、又は本発明の転写層形成
用樹脂粒子(AL)を含有する電着分散液の中に前記化
合物(S′)を含有させる(第3の方法)ことにより、
感光体11表面に剥離性を付与することができる。第2
の方法の場合には、前記した具体的態様のいずれかの方
式を用いた化合物(S)供給装置20を適宜設けること
により、感光体11表面に化合物(S)を供給する。化
合物(S)を感光体11表面に適用する供給装置20は
固定及び可動式のいずれでもよい。
【0253】熱可塑性樹脂粒子(AL)の分散液12a
は可動式の液体現像ユニットセット14内にある電着ユ
ニット13に供給されている。まず電着ユニット13を
感光体表面11に接近させ、電着ユニット13の現像電
極との距離が1mmとなるように固定する。このギャップ
間に粒子分散液12aを供給し、図示していない外部電
源から電圧を印加しながら回転させ、感光体表面11の
画像形成領域全面に粒子(AL)が電着するようにす
る。電着ユニット13に内蔵してあるスクイズ装置で感
光体表面11に付着している粒子分散液12aを除き、
次いで吸排気ユニット15下を通過させ乾燥し、予熱手
段17aにより熱可塑性樹脂粒子(AL)を熱溶融させ
て皮膜化した熱可塑性樹脂転写層12を得る。その後必
要に応じて図示していない吸排気ユニットに類似の冷却
装置にて感光体外側からか又は感光体ドラム内部から、
所定の温度まで冷却する。
【0254】電着ユニット13を降下させたのち液体現
像ユニットセット14が移動される。このユニットセッ
ト14は湿式現像剤を含む液体現像ユニット14Lを含
む。各々には必要に応じて非画像部の汚れを防止する意
味でもプレバス、リンス、スクイズ手段を備えておいて
も良い。プレバス及びリンス液には通常湿式現像剤のキ
ャリヤー液体を用いる。
【0255】熱可塑性樹脂からなる転写層12が形成さ
れた感光体11は、次いで電子写真プロセスに入る。感
光体11はコロナ帯電装置18で、例えばプラスに一様
帯電された後、露光装置(例えば半導体レーザー等)1
9で画像情報に基づき画像露光されると、露光部の電位
が低減され、未露光部との間に電位コントラストが得ら
れる。プラスの静電荷を有する電気絶縁性分散媒中に分
散している液体現像剤を含む液体現像ユニット14Lを
感光体表面11に接近させギャップを1mmにして固定す
る。
【0256】まず感光体11は現像ユニットに具備され
たプレバス手段によりプレバスされ、次いで図には示さ
れていないバイアス電源及び電気結線により感光体と現
像電極の間に現像バイアス電圧を印加しながら液体現像
剤を感光体表面に供給する。この時のバイアス電圧は現
像電極側を正に、感光体側を負になるように接続し、印
加電圧は未露光部の表面電位よりもやや低くする。印加
電圧が低すぎると充分なトナー画像濃度が得られない。
【0257】その後現像ユニットセット14に内蔵して
あるリンス手段により感光体表面に付着した現像液を洗
い落とし、続いてスクイズ手段により感光体表面に付着
したリンス液を除いてから、吸排気ユニット15下を通
過させることにより乾燥させる。この間熱転写手段17
は感光体表面より離して置く。
【0258】トナー画像3を感光体11の転写層12上
に形成した後、被転写材16へ熱転写する。即ち、トナ
ー画像3を保持する転写層12は、熱転写のための予熱
手段17aにより所定の予熱をし、ついで被転写材16
を介して温度制御手段を有した発熱体を内蔵するゴムロ
ーラー17bを圧接しさらに冷却ローラー17c下を通
過させて冷却して、感光体11表面のトナー3を転写層
12ごと被転写材16へ熱転写し一連の印刷原版作成工
程を終了する。
【0259】転写層12を被転写材16へ熱転写するた
めの転写手段17は、予熱手段17a、発熱体内蔵のゴ
ムで被覆した金属の加熱ローラー17b及び冷却ローラ
ー17cよりなる。予熱手段17aは非接触の例えば赤
外線ラインヒーター又はフラッシュヒーター等を用い、
加熱ローラー17bによって得られる感光層表面温度以
上にならない範囲で予備加熱する。加熱ローラー17b
による感光層の加熱表面温度は好ましくは30〜150
℃、より好ましくは40〜120℃である。
【0260】冷却ローラー17cの材質は例えばアルミ
ニウム、銅等の熱良導体金属にシリコーンゴム被覆を施
し、ローラー内部もしくは被転写材に接しない外周部に
冷却手段を用いて放熱する事が望ましい。冷却手段はク
ーリングファン、冷媒循環又は電子冷却素子などを用
い、温度コントローラーと組合せて所定の温度範囲に保
つことが好ましい。
【0261】これらのローラーのニップ圧力は0.2〜
20kgf/cm2、より好ましくは0.5〜10kgf/cm2であ
り、図には示していないがローラー加圧手段としてはロ
ーラー軸の両端にスプリングもしくは圧縮空気を用いる
エアーシリンダーを使うことができる。搬送スピードは
0.1〜300mm/秒、より好ましくは50〜200mm
/秒の範囲であり、電子写真工程と熱転写工程で異なっ
ていてもよい。また、転写層12を形成した状態で装置
を停止することにより、次の装置稼働時にはすぐ電子写
真プロセスからスタートでき、感光層表面を保護し外的
環境からの影響による特性劣化を防止することができ
る。
【0262】以上の条件設定は、使用している感光体、
転写層、さらに被転写材の物性により最適化することは
当然である。特に熱転写工程における予熱、ローラー加
熱、冷却条件は転写層のガラス転移点、軟化温度、流動
性、粘着性、皮膜性、膜厚などの要因を加味して決定す
ることが重要である。即ち予熱手段である程度軟化した
転写層が加熱ローラー下を通過することにより粘着性が
増し被転写材に密着する。次いで冷却ローラー下を通過
した後では、温度が下がり、流動性や粘着性が低減して
皮膜のままトナーごと感光層表面から剥離するように条
件を設定すべきである。
【0263】
【実施例】以下に実施例を示し、更に詳しく本発明の内
容を説明するが、これによって本発明が限定を受けるも
のではない。
【0264】〔転写層用樹脂粒子の製造例〕 転写層用樹脂粒子(AL)の製造例1:(AL−1) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−1)20g、メチルメタ
クリレート30g、メチルアクリレート55g、アクリル酸
15g、3−メルカプトプロピオン酸メチル1.3g及びア
イソパーH 542gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら
温度60℃に加温した。重合開始剤として2, 2′−アゾビ
ス(イソバレロニトリル)(略称A.I.V.N.)0.8gを加
え、2時間反応した。開始剤を添加して20分後に白濁を
生じ、反応温度は88℃まで上昇した。開始剤を0.5g加
え、2時間反応した後、更に開始剤0.3gを加え、3時
間反応した。冷却後、200メッシュのナイロン布を通し
得られた白色分散物は重合率99%で平均粒径0.18μmの
単分散性のラテックスであった(粒径はCAPA−50
0(堀場製作所(株)製)で測定した)。
【0265】
【化36】
【0266】上記樹脂粒子分散物(即ちシード粒子)650
g及び分散安定用樹脂(Q−1)10gの混合溶液を窒素
気流下攪拌しながら温度60℃に加温した。これに、ベン
ジルメタクリレート85g、アクリル酸15g、3−メルカ
プトプロピオン酸1.0g、A.I.V.N. 0.8g及びアイソパ
ーH 200gの混合物を2時間で滴下し、そのまま更に2
時間反応した。次に、開始剤を0.8g加え、温度70℃に
して2時間反応し、更に開始剤を0.6g加え3時間反応
した。冷却後、200メッシュナイロン布を通し、得られ
た白色分散物の重合率は98%で平均粒径0.25μmの単分
散性良好なラテックスであった。
【0267】次に、得られた樹脂粒子が単独の粒子とし
て形成されたか否かを走査型電子顕微鏡(SEM)を用
いてその状態を観察することで調べた。PETフィルム
上に樹脂粒子が分散した状態になる様に調製して作製し
たフィルムを、温度50℃及び80℃に5分間加熱処理した
後、各サンプルをJSL−T330型Scanning Microsc
ope(JEOL社製)を用いて、2万倍で観察した所、温
度50℃のサンプルは粒子状態が観察されたが、温度80℃
では粒子が観察されなかった。即ち、粒子が加熱により
融解していた。
【0268】同様にして、本発明の粒子を構成する二種
の樹脂(共重合体)の各々からなる樹脂粒子{それぞれ
後述の比較用樹脂粒子(RAL−1)及び(RAL−
2)}及びこれら二種の樹脂粒子を1/1重量比で混合
した分散樹脂粒子について調べた。 樹脂粒子(RAL
−1)から成るサンプルは、加熱しないサンプルは粒子
状態であったが、温度50℃で粒子状態が観察されなかっ
た。樹脂粒子(RAL−2)のサンプルは温度50℃で粒
子状態であったが、温度80℃で粒子が見えなくなった。
更に、混合粒子からなるサンプルについて、加熱しない
サンプルと温度50℃のサンプルを調べた所、未加熱サン
プルと比べて、温度50℃のものは粒子が見えなくなって
いる所が確認された。以上の様に、粒子の熱挙動を目視
観察した結果、上記の様にして製造した本発明の樹脂粒
子(AL)は、二種類の樹脂粒子の混合されたものでな
く、一つの粒子中に二種の樹脂が含有されており、この
場合には、高Tgの樹脂が外層に低Tgの樹脂が内層に
各々分配したコア−シェル粒子であることが確認され
た。
【0269】転写層用樹脂粒子(AL)の製造例2:
(AL−2) 分散安定用樹脂(Q−2)の合成 ドデシルメタクリレート99.5g、ジビニルベンゼン0.5
g及びトルエン200gの混合溶液を窒素気流下攪拌しな
がら温度80℃に加温した。2, 2′−アゾビス(イソブチ
ロニトリル)(略称A.I.B.N.)2gを加え、3時間反応
し、更にA.I.B.N. 0.5gを加えて4時間反応した。得ら
れた重合体の固形分は33.3%(重量)で、Mw4×104
であった。
【0270】粒子の合成 上記樹脂(Q−2)18g(固形分量として)、酢酸ビニ
ル72g、クロトン酸8g、プロピオン酸ビニル20g及び
アイソパーH 382gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しな
がら温度80℃に加温した。A.I.V.N. 1.6gを加え1.5時
間反応し、A.I.V.N. 0.8gを加え2時間、更にA.I.V.N.
0.5gを加え3時間反応した。次に、温度を100℃に上
げ2時間攪拌し、未反応のビニルエステルモノマーを留
去した後、冷却して200メッシュのナイロン布を通し、
白色分散物を重合率87%で得た。平均粒径0.17μmの単
分散ラテックスであった。
【0271】上記樹脂粒子分散物(即ちシード粒子)480
g及び分散安定用樹脂粒子(Q−2)20gの混合溶液を
窒素気流下攪拌しながら、温度60℃に加温した。これ
に、メチルメタクリレート50g、2−ブトキシエチルメ
タクリレート35g、アクリル酸15g、3−メルカプトプ
ロピオン酸メチル2.6g、A.I.V.N. 0.8g及びアイソパ
ーH 200gの混合物を2時間で滴下し、そのまま1時間
反応した。次に開始剤を0.8g加え、温度75℃にして2
時間反応し、更に開始剤を0.6g加え3時間反応した。
冷却後、200メッシュのナイロン布を通し、得られた白
色分散物は、重合率98%で平均粒径0.23μmの単分散性
良好なラテックスであった。
【0272】転写層用樹脂粒子(AL)の製造例3:
(AL−3) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−3)25g及びアイソパ
ーH 546gの混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度
60℃とした。この溶液に、ベンジルメタクリレート50
g、アクリル酸8g、下記構造の単量体(b−1)42
g、2−メルカプトエタノール1.8g、A.I.V.N. 1.0g
及びアイソパーH 200gの混合溶液を1時間で滴下し、
そのまま1時間反応した。次にA.I.V.N. 0.8gを加えて
2時間反応後、A.I.V.N. 0.5gを加えて温度80℃にて2
時間反応し、更にA.I.B.N. 0.5gを加え3時間反応し
た。冷却後、200メッシュのナイロン布を通して得られ
た白色分散物は、重合率98%で平均粒径0.17μmの単分
散性良好なラテックスであった。
【0273】
【化37】
【0274】上記分散物に、分散安定用樹脂(Q−3)
15gを加えた混合溶液を窒素気流下に攪拌しながら、温
度60℃とした。これに、メチルメタクリレート52g、メ
チルアクリレート35g、アクリル酸13g、3−メルカプ
トプロピオン酸2g、A.I.V.N. 0.8g及びアイソパーH
564gの混合物を2時間で滴下し、そのまま更に2時間
滴下した。次に、開始剤としてA.I.B.N. 0.8gを加え、
温度80℃にして2時間反応し、更に開始剤を0.6g加え
3時間反応した。冷却後、200メッシュのナイロン布を
通し、得られた白色分散物は、重合率98%で平均粒径0.
24μmの単分散性良好なラテックスであった。
【0275】転写層用樹脂粒子(AL)の製造例4:
(AL−4) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−4)25g、アイソパー
H 300g及び酢酸エチル100gの混合溶液を窒素気流下
に撹拌しながら温度60℃とした。この溶液中に2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート8g、フェネチルメタクリ
レート65g、下記構造の単量体(b−2)27g、チオグ
リコール酸1.5g、A.I.V.N. 0.6g及びアイソパーH 19
9.5g及び酢酸エチル66.5gの混合溶液を1時間で滴下
した。そのまま1時間反応し後、A.I.V.N. 0.3gを加え
て2時間、更にA.I.V.N. 0.3gを加えて3時間反応し
た。次に、減圧度30mmHgで酢酸エチルを留去し、留去し
た分量と同量のアイソパーHを加えた後、冷却し、200
メッシュのナイロン布で濾過して白色分散物を得た。重
合率93%、平均粒径0.20μmの単分散ラテックスであっ
た。
【0276】
【化38】
【0277】上記樹脂粒子分散物(即ちシード粒子)37
2g及び分散安定用樹脂(Q−1)16gの混合溶液を窒
素気流下攪拌しながら温度75℃に加温した。これに、酢
酸ビニル70g、下記構造の単量体(b−3)25g、クロ
トン酸5g、アイソパーH 400g及びA.I.V.N. 0.9gの
混合物を2時間で滴下し、そのまま更に2時間反応し
た。開始剤を0.8g加え、温度85℃にして2時間反応
し、更に開始剤としてA.I.B.N.を0.6g加え3時間反応
した。冷却後、200メッシュナイロン布を通し、得られ
た白色分散物の重合率は98%で平均粒径0.26μmの単分
散性良好なラテックスであった。
【0278】
【化39】
【0279】転写層用樹脂粒子(AL)の製造例5〜1
1:(AL−5)〜(AL−11) 上記転写層用樹脂粒子(AL)の製造例1において、下
記表−Bに記載の各単量体を用いた他は、上記製造例1
と全く同様に操作して本発明の粒子(AL−5)〜(A
L−11)を製造した。得られた各ラテックス粒子の重合
率は95〜99%であり、平均粒径は0.20〜0.30μmの範囲
で各々単分散性は良好であった。
【0280】
【表2】
【0281】
【表3】
【0282】転写層用樹脂粒子(AL)の製造例12〜2
1:(AL−12)〜(AL−21) 上記転写層用樹脂粒子の製造例3において、単量体(b
−1)の代わりに、下記表−Cに記載の各単量体を用い
た他は、上記製造例3と全く同様に操作して本発明の粒
子(AL−12)〜(AL−21)を製造した。得られた各
ラテックス粒子の重合率は95〜99%であり、平均粒径は
0.18〜0.28μmの範囲で各々単分散性は良好であった。
【0283】
【表4】
【0284】
【表5】
【0285】転写層用樹脂粒子(AL)の製造例22:
(AL−22) 分散安定用樹脂(Q−4)15g、メチルメタクリレート
48g、2, 3−ジプロピオニルオキシプロピルメタクリレ
ート40g、アクリル酸12g、3−メルカプトプロピオン
酸メチル2.0g及びアイソパーH 549gの混合溶液を窒
素気流下撹拌しながら温度60℃に加温した。重合開始剤
としてA.I.V.N. 0.8gを加え、2時間反応した。開始剤
を添加して20分後に白濁を生じ、反応温度は88℃まで上
昇した。開始剤を0.5g加え、2時間反応した後、更に
開始剤0.3gを加え、3時間反応した。冷却後、200メッ
シュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合率
98%で平均粒径0.18μmの単分散性のラテックスであっ
た。
【0286】上記樹脂粒子分散物(即ちシード粒子)260
g、分散安定用樹脂(Q−1)14g、下記構造のマクロ
モノマー(m−1)10g及びアイソパーH 553gの混合
溶液を窒素気流下攪拌しながら温度55℃に加温した。こ
れに、ベンジルメタクリレート75g、アクリル酸10g、
単量体(b−11)15g、3−メルカプトプロピオン酸2
g、2, 2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニ
トリル)(略称:A.C.P.P.)1.0g及びアイソパーH 200g
の混合溶液を1時間で滴下した。そのまま1時間攪拌
後、A.C.P.P. 0.8gを加え2時間反応した。更にA.I.B.
N. 0.5gを加え、温度を80℃に設定し、3時間反応し
た。冷却後、200メッシュナイロン布を通し得られた白
色分散物の重合率は97%で平均粒径0.24μmの単分散性
良好なラテックスであった。
【0287】
【化40】
【0288】転写層用樹脂粒子(AL)の製造例23〜2
8:(AL−23)〜(AL−28) 樹脂粒子(AL)の製造例22において、マクロモノマー
(m−1)10gの代わりに下記表−Dの各マクロモノマ
ー(m)(Mwは8×103〜1×104の範囲)を用いた他は
該製造例22と同様にして各樹脂粒子を合成した。各粒子
の重合率は98〜99%、粒子の平均粒径は0.20〜0.25μm
の範囲内で、粒子の粒度分布も狭く、単分散性が良好で
あった。
【0289】
【表6】
【0290】
【表7】
【0291】熱可塑性樹脂粒子(AL)の製造例29:
(AL−29) 下記構造の樹脂(A−1)20g及び下記構造の樹脂(A
−2)30gをテトラヒドロフラン100gを用いて温度40
℃で加熱溶解した後、溶媒を留去し、減圧乾燥した。次
にこの固形物を、トリオブレンダー(トリオサイエンス
(株)製)を用いて粗粉砕した後、この粉砕物20g、下
記構造の分散安定用樹脂(Q−5)5g及びアイソパー
G 80gからなる混合物をダイノミルにて分散した。得
られた粒子分散物は、平均粒径0.45μmのラテックスで
あった。
【0292】
【化41】
【0293】比較用樹脂粒子の製造例1:(ARL−
1) 前記分散安定用樹脂(Q−1)10g、メチルメタクリレ
ート15g、メチルアクリレート27.5g、アクリル酸7.5
g、3−メルカプトプロピオン酸メチル0.65g及びアイ
ソパーH 329gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温
度60℃に加温した。重合開始剤として、A.I.V.N. 0.4g
を加え2時間反応した。開始剤を添加して20分後に白濁
を生じ、反応温度は88℃まで上昇した。開始剤を0.2g
加え、2時間反応した後、更に開始剤0.3gを加え、3
時間反応した。冷却後200メッシュのナイロン布を通
し、得られた白色分散物は重合率99%で平均粒径0.25μ
mの単分散性のラテックスであった。上記分散物の一部
を遠心沈降機を用いて粒子分を沈降させた後、沈降成分
を取り出し、減圧乾燥で乾燥させた。得られた樹脂分の
ガラス転移点を測定したところ、38℃であった。
【0294】比較用樹脂粒子の製造例2:(ARL−
2) 前記分散安定用樹脂(Q−1)10g、ベンジルメタクリ
レート42.5g、アクリル酸7.5g、3−メルカプトプロ
ピオン酸0.5g及びアイソパーH 326gの混合溶液を、
比較用樹脂粒子の製造例1(ARL−1)と同様の方法
に従って反応し樹脂粒子を合成した。得られた白色分散
物は重合率98%で平均粒径0.24μmの単分散性のラテッ
クスであった。また、樹脂分のガラス転移点は65℃であ
った。
【0295】〔樹脂(P)の合成例〕 樹脂(P)の合成例1:(P−1) メチルメタクリレート80g、ジメチルシロキサンのマク
ロモノマー(FM-0725)(チッソ(株)製、Mw1×104)
20g及びトルエン200gの混合溶液を、窒素気流下温度7
5℃に加温した。これに2, 2′−アゾビス(イソブチロ
ニトリル)(略称:A.I.B.N.)1.0gを加え4時間反応
し、更にA.I.B.N. 0.7gを加えて4時間反応した。得ら
れた共重合体の重量平均分子量(略称:Mw)は5.8×1
04であった(G.P.C.法測定値)。
【0296】
【化42】
【0297】樹脂(P)の合成例2〜9:(P−2)〜
(P−9) 樹脂(P)の合成例1において、メチルメタクリレート
及びマクロモノマー(FM-0725)の代わりに、下記表−E
に記載の重合体成分に相当する各単量体を用いた他は、
該合成例1と同様にして、各重合体を合成した。得られ
た各重合体のMwは、4.5×104〜6×104の範囲であっ
た。
【0298】
【表8】
【0299】
【表9】
【0300】樹脂(P)の合成例10:(P−10) 2, 2, 3, 4, 4, 4−ヘキサフルオロブチルメタクリレー
ト60g、メチルメタクリレートのマクロモノマー(AA
−6)(東亜合成化学(株)製、Mw1×104)40g及びベ
ンゾトリフルオリド200gの混合溶液を窒素気流下に温
度75℃に加温した。これにA.I.B.N. 1.0gを加え4時間
反応し、更にA.I.B.N. 0.5gを加えて、4時間反応し
た。得られた共重合体のMwは6.5×104であった。
【0301】
【化43】
【0302】樹脂(P)の合成例11〜15:(P−11)〜
(P−15) 樹脂(P)の合成例10において用いた単量体及びマクロ
モノマー(AA−6)の代わりに、下記表一Fに記載の
重合体成分に相当する各単量体及び各マクロモノマーを
用いた他は、該合成例10と同様にして、各共重合体を合
成した。得られた共重合体のMwは4.5×104〜6.5×104
の範囲であった。
【0303】
【表10】
【0304】
【表11】
【0305】
【表12】
【0306】樹脂(P)の合成例16:(P−16) メチルメタクリレート67g、メチルアクリレート22g、
メタクリル酸1g及びトルエン200gの混合溶液を、窒
素気流下に温度80℃に加温した。これに下記構造の高分
子アゾビス開始剤(PI−1)10gを加えて8時間反応
した。反応終了後、メタノール1.5リットル中に再沈
し、得られた沈澱物を補集・乾燥して、収量75gでMw
3×104の共重合体を得た。
【0307】
【化44】
【0308】樹脂(P)の合成例17:(P−17) メチルメタクリレート70g及びテトラヒドロフラン200
gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気し、−20℃に冷
却した。1, 1−ジフェニルブチルリチウム0.8gを加え1
2時間反応した。更に、この混合溶液に、下記単量体
(M−1)30g及びテトラヒドロフラン60gの混合溶液
を、窒素気流下に充分に脱気した後添加し、更に8時間
反応した。この混合物を0℃にした後、メタノール10ml
を加え30分間反応し、重合を停止させた。得られた重合
体溶液を攪拌下にて温度30℃とし、これに30%塩化水素
エタノール溶液3mlを加え1時間攪拌した。次に、減圧
下に反応混合物を全体量が半分になるまで溶媒を留去し
た後、石油エーテル1リットル中に再沈した。沈澱物を
補集し、減圧乾燥して得られた重合体のMw6.8×104
収量76gであった。
【0309】
【化45】
【0310】樹脂(P)の合成例18:(P−18) メチルメタクリレート52.5g、メチルアクリレート22.5
g、(テトラフェニルポルフィナート)アルミニウムメ
チル0.5g及び塩化メチレン200gの混合溶液を窒素気流
下にて温度30℃とした。これに300W−キセノンランプ
光をガラスフィルターを通して25cmの距離から光照射
し、20時間反応した。この混合物に更に下記単量体(M
−2)25gを加え、同様に12時間光照射した後、この反
応混合物にメタノール3gを加えて30分間攪拌し反応を
停止させた。次にこの反応混合物をメタノール1.5リッ
トル中に再沈し、沈澱物を捕集し乾燥した。得られた重
合体は収量78gでMw7×104であった。
【0311】
【化46】
【0312】樹脂(P)の合成例19:(P−19) エチルメタクリレート50g、グリシジルメタクリレート
10g及びベンジル N,N−ジエチルジチオカーバメート4.
8gの混合物を、窒素気流下に容器に密閉し、温度50g
に加温した。これに、400Wの高圧水銀灯で10cmの距離
からガラスフィルターを通して、6時間光照射し光重合
した。これをテトラヒドロフラン100gに溶解し、更
に、下記単量体(M−3)40gを加えた後、窒素置換し
再び10時間光照射した。得られた反応物をメタノール1
リットルに再沈、捕集し乾燥した。得られた重合体は、
収量73gでMw4.8×104であった。
【0313】
【化47】
【0314】樹脂(P)の合成例20:(P−20) メチルメタクリレート50g、エチルメタクリレート25g
及びベンジルイソプロピルザンテート1.0gの混合物
を、窒素気流下に容器に密閉し、温度50℃に加温した。
これに400Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィ
ルターを通して6時間光照射し光重合した。これに前記
単量体(M−1)25gを加えて窒素置換し再び10時間光
照射した。得られた反応物を、メタノール2リットル中
に再沈し捕集、乾燥し得られた重合体は収量63gでMw
6×104であった。
【0315】
【化48】
【0316】樹脂(P)の合成例21〜27:(P−21)〜
(P−27) 樹脂(P)の合成例19と同様にして、下記表−Gの各共
重合体を合成した。得られた重合体のMwは3.5×104
6×104の範囲であった。
【0317】
【表13】
【0318】
【表14】
【0319】樹脂(P)の合成例28:(P−28) 樹脂(P)の合成例19において、ベンジル N, N−ジエ
チルジチオカーバメイトの代わりに、下記構造の化合物
(I−1)18gを用いた他は該合成例19と同様に反応さ
せて、Mw4.5×104の共重合体を得た。
【0320】
【化49】
【0321】樹脂(P)の合成例29:(P−29) 樹脂(P)の合成例20において、ベンジルイソプロピル
ザンテートの代わりに下記構造の開始剤(I−2)0.8
gを用いた他は、該合成例20と同様に反応し、Mw2.5
×104の共重合体を得た。
【0322】
【化50】
【0323】樹脂(P)の合成例30:(P−30) メチルメタクリレート68g、メチルアクリレート22g、
グリシジルメタクリレート10g及び下記構造の開始剤
(I−3)17.5g及びテトラヒドロフラン150gの混合
溶液を窒素気流下に温度50℃に加温した。この溶液に40
0Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィルターを
通して10時間光照射し光重合した。得られた反応物をメ
タノール1リットル中に再沈し、沈澱物を捕集し乾燥し
て、収量72gでMw4.0×104の重合体を得た。この重合
体70g、単量体(M−2)30g及びテトラヒドロフラン
100gの混合溶液を、窒素気流下に温度50℃とし、上記
と同条件で13時間光照射した。次にこの反応物をメタノ
ール1.5リットル中に再沈し、沈澱物を捕集・乾燥して
収量78gでMw6×104の共重合体を得た。
【0324】
【化51】
【0325】樹脂(P)の合成例31〜38:(P−31)〜
(P−38) 樹脂(P)の合成例30において、開始剤(I−3)17.5
gの代わりに、下記表−Hの開始剤(I)0.031モルを
用いた他は、該合成例30と同様の条件で操作した。得ら
れた各重合体の収量は70〜80gでMw4×104〜6×104
であった。
【0326】
【表15】
【0327】
【表16】
【0328】
【表17】
【0329】〔樹脂粒子(L)の合成例〕 樹脂粒子(L)の合成例1:(L−1) 下記構造の単量体(LM−1)40g、エチレングリコー
ルジメタクリレート2g、下記構造の分散安定用樹脂
(LP−1)4.0g及びメチルエチルケトン180gの混合
溶液を窒素気流下、攪拌しながら温度60℃に加温した。
2, 2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称A.I.V.
N.)0.3gを加え3時間反応した。更に、A.I.V.N. 0.1
gを加えて4時間反応した。冷却後、200メッシュのナ
イロン布を通して白色分散物を得た平均粒子径0.25μm
のラテックスであった(粒径は、CAPA−500(堀
場製作所(株)製)で測定)。
【0330】
【化52】
【0331】樹脂粒子(L)の合成例2:(L−2) 分散安定用樹脂として樹脂(AB−6)(東亜合成(株)
製:ブチルアクリレート単位から成る一官能性マクロモ
ノマー)5g及びメチルエチルケトン140gの混合溶液
を、窒素気流下、攪拌しながら温度60℃に加温した。こ
れに、下記構造の単量体(LM−2)40g、エチレング
リコールジアクリレート1.5g、A.I.V.N.0.2g及びメチ
ルエチルケトン40gの混合溶液を1時間で滴下した。そ
のまま2時間反応後、更にA.I.V.N. 0.1gを加え3時間
反応して、白色分散物を得た。冷却後、200メッシュの
ナイロン布を通して得られた分散物の平均粒径は0.35μ
mであった。
【0332】
【化53】
【0333】樹脂粒子(L)の合成例3〜11:(L−
3)〜(L−11) 樹脂粒子(L)の合成例1において、単量体(LM−
1)、エチレングリコールジメタクリレート及びメチル
エチルケトンの代わりに下記表−Iの各化合物に代えた
他は、該合成例1と同様にして樹脂粒子を製造した。得
られた各樹脂粒子の平均粒径は0.15〜0.30μmの範囲で
あった。
【0334】
【表18】
【0335】
【表19】
【0336】樹脂粒子(L)の合成例12〜17:(L−1
2)〜(L−17) 樹脂粒子(L)の合成例2において、分散安定用樹脂
(AB−6)5gの代わりに下記表−Jの樹脂(LP)
に代えた他は、該合成例2と同様にて各樹脂粒子を合成
した。得られた各粒子の平均粒径は0.10〜0.25μmの範
囲であった。
【0337】
【表20】
【0338】
【表21】
【0339】樹脂粒子(L)の合成例18〜23:(L−1
8)〜(L−23) 樹脂粒子(L)の合成例2において、単量体(LM−
2)40gの代わりに下記表−Kの各単量体、分散安定
用樹脂(AB−6)5gの代わりに下記構造の樹脂(L
P−8)6gを用いた他は、該合成例2と同様にして、
各樹脂粒子を合成した。得られた各粒子の平均粒径は0.
05〜0.20μmの範囲であった。
【0340】
【化54】
【0341】
【表22】
【0342】
【表23】
【0343】実施例1 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)2
g、下記構造の結着樹脂(B−1)8g、下記構造の化
合物(A)0.15g及びテトラヒドロフラン80gの混合物
を500mlのガラス容器にガラスビーズと共に入れ、ペイ
ントシェーカー(東洋精機製作所製)で60分間分散し、
更にこれに樹脂(P−2)2.0g、無水フタル酸0.03g
及びo−クロロフェノール0.002gを加えて2分間分散
した後、ガラスビーズを濾別して感光層分散液とした。
【0344】
【化55】
【0345】次いでこの分散液を導電性処理および耐溶
剤処理を施した0.2mm厚の紙版マスター用原紙の上にワ
イヤーバーで塗布し、指触乾燥した後、110℃循環式オ
ーブンで20秒間加熱し、更に140℃で1時間加熱した。
得られた感光層の膜厚は8μmであった。感光体表面を
JIS Z-0237-1980の「粘着テープ・粘着シート試験方
法」により粘着力を測定した所、3g・fであった。
【0346】次に、この感光体を図2に示す装置に装填
し、まず転写層を形成した。即ち、感光体表面温度を60
℃とし且つ、感光体ドラムを周速度10mm/秒で回転させ
感光体表面にスリット電着装置を用いて下記内容の正荷
電樹脂粒子分散液〔L−1〕を供給しながら、感光体側
を接地しスリット電着装置の電極側に150Vの電圧を印
加して樹脂粒子を電着・定着した。この時の膜厚は2.5
μmであった。 ・樹脂粒子分散液〔L−1〕 樹脂粒子(AL−1) 8 g(固形分量として) 正荷電用調節剤(CD−1) 0.02g オクタデシルビニルエーテル/N−ヘキサデシルマレイン酸 半アミド(1/1モル比)共重合体 をアイソパーGで全量1.0リットルになる様に調整し
た。
【0347】次に、この感光体を用いて、以下の様にし
てトナー画像の形成、被転写材への転写、印刷版の作成
及び印刷を行った。感光材料を+450Vにコロナ帯電し
たのち、あらかじめ原稿からカラースキャナーにより読
み取り、デジタル画像データとしてシステム内のハード
ディスクに記憶させてあった情報をもとに、5mW出力の
ガリウム−アルミニウム−ヒ素半導体レーザー(発振波
長780nm)を用いて、感光材料表面上で30erg/cm2の照射
量下で、ピッチ25μm及びスキャン速度300cm/秒のスピ
ードで露光した。
【0348】次に、下記方法で製造した液体現像剤〔L
D−1〕を用い、現像電極に+400Vのバイアス電圧を
印加し、露光部にトナーが電着するようにした反転現像
を行ない、ついでアイソパーH単独浴中でリンスをして
非画像部の汚れを除いた。
【0349】液体現像剤〔LD−1〕の調製 ・トナー粒子の合成 メチルメタクリレート70g、メチルアクリレート30g、
下記構造の分散ポリマー20g及びアイソパーH 680gの
混合溶液を窒素気流下に、攪拌しながら温度65℃に加温
した。これに、2, 2′−アゾビス(イソバレロニトリ
ル)(A.I.V.N.)1.2gを加え2時間反応し、更にA.I.V.N.
0.5gを加えて2時間反応し、更にA.I.V.N. 0.5gを加
えて2時間反応した。次に、反応温度を90℃に上げて、
30mmHgの減圧下に1時間攪拌し、未反応単量体を除去し
た。室温に冷却後、200メッシュのナイロン布を通して
濾過し、白色分散物を得た。得られた分散物の単量体の
反応率は95重量%で樹脂粒子の平均粒径は0.25μmで且
つ単分散性良好なものであった(粒径はCAPA-500:堀場
製作所製を使用して測定)。
【0350】
【化56】
【0351】・着色粒子の製造 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合比;95/5重量比)10g、ニグロシン10g及び
アイソパーG 30gをガラスビーズと共にペイントシェ
ーカー(東京精機(株)製)に入れ、4時間分散し、ニ
グロシンの微小な分散物を得た。
【0352】・液体現像剤の製造 上記トナー粒子の樹脂分散物45g、上記ニグロシン分散
物25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシルアミ
ド共重合体0.6g及びFOC-1800(日産化学(株)製)15
gをアイソパーG1リットルに希釈することにより静電
写真用液体現像剤を作製した。
【0353】以上の様にして得られた製版後の感光材料
をヒートロールの定着方法で画像を定着した。
【0354】次に、Fuji PS-プレートFPD(富士写真フィ
ルム(株)製)に用いられるアルミ支持体と上記現像後
の感光材料とを重ね合わせ、4kgf/cm2の圧力で接して
いる表面温度が90℃に常にコントロールされた一対のゴ
ムローラーの間を、100mm/秒のスピードで通過させ
た。その後重ねたままで室温まで冷やしてからアルミ支
持体と感光材料を引き剥がし、得られたアルミ支持体上
に形成された画像(カブリ、画像の画質)を目視評価し
た。
【0355】感光材料上のトナーは転写層ごと全てアル
ミ支持体側に熱転写され、地カブリのない鮮明な画像が
得られ、原稿と比較し、画像品質の劣化は殆んど見られ
なかった。以上のことは、光導電層中に共存させたケイ
素原子含有の共重合体が光導電層形成時に、表面部に濃
縮移行し、更に結着樹脂(B)と樹脂(P)とが架橋剤
により相互に充分高分子間で化学結合し、硬化膜が形成
されたことにより、剥離性良好な界面が明確に形成され
たことによると考えられる。
【0356】他方、比較として、上記感光体において、
樹脂(P−2)2.0gを用いない他は全く同様にして電
子写真感光体を作成したところ、表面の粘着力は380g
・fであった。実施例1と同様に転写層を付与して転写
させたところ、全く剥離性を示さなかった。
【0357】次に、アルミ支持体に転写層を転写した版
(印刷原版)を不感脂化処理(即ち転写層除去)して、
印刷版としての印刷性能を調べた。上記の印刷原版を、
温度25℃の下記処方の不感脂化処理液〔E−1〕中に30
秒間浸漬して転写層を除去し、充分水洗した後、ガム引
きし、オフセット用印刷版を作成した。 ・不感脂化処理液〔E−1〕 メルカプトエタンスルホン酸 10g ネオソープ(松本油脂(株)製) 8g N,N−ジメチルアセトアミド 20g を蒸留水で希釈し、全量を1.0リットルにした後、水酸
化ナトリウムでpH12.5に調整したもの。
【0358】この様にして得た印刷版を200倍の光学顕
微鏡を用いて非画像部及びトナー画像部を目視観察した
ところ、非画像部には転写層の残存は認められず、且つ
画像部の細線・細文字等の高解像度域の欠落は認められ
なかった。
【0359】この版を浸し水としてPS版用浸し水SG
−23(東京インキ(株)製)を蒸留水で130倍に希釈し
た水溶液(pH7.0)を用い、印刷機としてオリバー94型
〔(株)桜井製作所製〕を用い、印刷紙として中性紙を
使用して、各種オフセット印刷用色インキで印刷し、地
汚れの発生しない鮮明な画像の得られる印刷枚数を調べ
た。その結果、色インキの種類にかかわらず、いずれの
場合も6万枚以上の耐刷枚数が得られた。更に、本発明
の印刷版による印刷を行った後、通常の操作のまま、次
にPS版を印刷したところ、何の問題も生じなかった。
即ち、印刷機を同一にして、PS版等の他のオフセット
印刷版と容易に共用できることが確認された。
【0360】他方、比較として、以下の比較例1〜3の
各転写層に変えた感光体を用いた場合を調べた。
【0361】比較例1 実施例1の転写層用樹脂分散液〔L−1〕における樹脂
粒子(AL−1)の代わりに、比較用樹脂粒子(RAL
−1)を用いた他は、分散液〔L−1〕の場合と同様に
して転写層膜厚2.5μmとなる様にして感光体上に転写
層を形成した。それ以外は、上記実施例1 と全く同様に
操作して印刷版を作成し、印刷を行った。
【0362】比較例2 実施例1の転写層用樹脂分散液〔L−1〕における樹脂
粒子(AL−1)の代わりに、比較用樹脂粒子(RAL
−2)を用いた他は、分散液〔L−1〕の場合と同様に
して転写層膜厚2.5μmとなる様にして感光体上に転写
層を形成した。それ以外は、上記実施例1と全く同様に
操作して印刷版を作成し、印刷を行った。
【0363】比較例3 実施例1の転写層用樹脂分散液〔L−1〕における樹脂
粒子(AL−1)の代わりに、比較用樹脂粒子(RAL
−1)及び(RAL−2)を1/1重量比で用いた他
は、分散液〔L−1〕の場合と同様にして転写層膜厚2.
5μmとなる様にして感光体上に転写層を形成した。そ
れ以外は、上記実施例1と全く同様に操作して印刷版を
作成し、印刷を行った。
【0364】本発明の実施例1の転写層を形成する樹脂
粒子(AL−1)を構成する二種の樹脂のそれぞれ単独
から成る、樹脂粒子(RAL−1)の転写層である比較
例1及び樹脂粒子(RAL−2)の転写層である比較例
2のいずれの感光体も、実施例1と同様の転写条件で
は、転写層の転写が不充分で、感光体上に転写残りが発
生し、印刷原版上のトナー画像部の著しい転写不良によ
る欠落が生じた。
【0365】また、上記樹脂粒子(RAL−1)と樹脂
粒子(RAL−2)とを1/1重量比で混合した転写層
から成る比較例3は、各々単独で含有する比較例1及び
2と比べれば転写性は良好であるが、完全に転写するま
でには至らなかった。一方、比較的転写性良好であった
比較例3で用いた二種の樹脂粒子の混合から成る転写層
が完全に転写する条件を調べてみたところ、転写層の膜
厚が5μm以上で且つ転写スピードが10mm/秒程度の遅
い転写スピードで、初めて完全に転写層の転写が認めら
れた。
【0366】以上のように、電着される樹脂粒子が、熱
可塑性温度の異なる少なくとも二種の樹脂を同一粒子内
に含有してなる本発明の転写層のみが、薄層でありなが
ら穏和な転写条件で迅速に転写された。従って、本発明
によって供されるオフセット印刷版は、半導体レーザー
光スキャニング露光方式によって得られる画像再現性が
極めて良好で且つそれが印刷物に良好に再現されるこ
と、色インキ適性が充分で、インキ選択性がほとんど見
られず、フルカラー印刷が高耐刷性で得られること、他
のオフセット印刷版と任意に共用できること等、極めて
優れた性能を示すことが確認された。
【0367】実施例2〜15 実施例1において、転写層に用いた樹脂粒子(AL−
1)の代わりに、下記表−Lの各樹脂粒子(総量8g)
を用いて、転写層膜厚2.5μmとなる様に転写層形成を
行った他は、実施例1と全く同様に操作して、印刷版を
作成し、オフセット印刷を行った。その結果、いずれ
も、実施例1と同様に、地汚れのない鮮明な印刷画像の
印刷物が6万枚以上得られた。
【0368】
【表24】
【0369】実施例16 アモルファスシリコン電子写真感光体(京セラ(株)
製)を下記の表面剥離性付与化合物(S−1)1gをア
イソパーG1リットル中に溶解した溶液中に10秒間浸漬
し、その後アイソパーG中でリンスした後、乾燥した。
これにより粘着力200g・fであったアモルファスシリ
コン感光体の表面が粘着力3g・fの剥離性表面に改質
された。
【0370】
【化57】
【0371】上記感光体を図2に示す装置に装填し、転
写層を形成した。即ち、感光体表面温度を50℃とし且
つ、感光体ドラムの周速度を10mm/秒で回転させ感光体
表面にスリット電着装置を用いて下記内容の正荷電樹脂
粒子分散液〔L−2〕を供給しながら、感光体側を接地
しスリット電着装置の電極側に180Vの電圧を印加して
樹脂粒子を電着・定着した。この時の膜厚は2.5μmで
あった。
【0372】 ・樹脂粒子分散液〔L−2〕 樹脂粒子(AL−6) 7 g(固形分量として) 正荷電用調節剤(CD−2) 0.018g 1−ヘキサデセン/N−デシルマレイン酸 半アミド(1/1モル比)共重合体 分枝テトラデシルアルコール FOC-1400 15 g {日産化学(株)製} をアイソパーGで全量1.0リットルになる様に調整し
た。
【0373】次に、この感光体を用いて、以下の様にし
てトナー画像の形成、被転写材への転写、印刷版の作成
及び印刷を行った。感光材料を+700Vにコロナ帯電し
たのち、あらかじめ原稿からカラースキャナーにより読
み取り、デジタル画像データとしてシステム内のハード
ディスクに記憶させてあった情報をもとに、5mW出力の
ガリウム−アルミニウム−ヒ素半導体レーザー(発振波
長780nm)を用いて、感光材料表面上で30erg/cm2の照射
量下で、ピッチ25μm及びスキャン速度300cm/秒のスピ
ードで露光した。露光部の残留電位は+120Vであっ
た。続いて下記内容の液体現像剤〔LD−2〕を用い
て、現像電極に300Vのバイアス電圧を印加し、未露光
部にトナーが電着するようにした現像を行ない、ついで
アイソパーH単独浴中でリンスをして非画像部の汚れを
除いた。トナー画像を加熱定着した。
【0374】・液体現像剤〔LD−2〕 被覆用樹脂:ポリ〔オクタデシルメタクリレート/メチ
ルメタクリレート(9/1)モル比〕共重合体及びカー
ボンブラック#40(三菱化成(株)製)を重量比にして
2:1にて充分に混合した後、140℃に加熱した三本ロ
ールミルにて、溶融混練した。この混練物12g、スチレ
ン−ブタジエン共重合体(ソルプレン1205 旭化成
(株)製)4g及びアイソパーG 76gよりなる混合物
をダイノミルにて分散した。これによって得たトナー濃
厚液を固形分濃度が6g/リットルとなるようにアイソ
パーGにて希釈し、更にジオクチルスルホコハク酸ソー
ダを1×10-4モル/リットルとなるように添加し、現像
剤とした。
【0375】被転写材として、OKマスターPS型(王
子化工(株)製)の画像受理側と、上記製版後の感光材
料とを重ね合わせ、4kgf/cm2の圧力で接している表面
温度が105℃に常にコントロールされた一対のゴムロー
ラーの間を100mm/秒のスピードで通過させた。その後重
ねたままで室温まで冷却してから感光体とOKマスター
を分離したところ、感光材料上のトナーは転写層ごと全
てOKマスター側に熱転写され、製版画質との画像品質
の差は非常に小さかった。
【0376】次に、PS版処理剤DP−4(富士写真フ
イルム(株)製)1リットルにジメチルエタノールアミ
ン50gを加えて調液した水溶液を50倍に希釈した溶液を
不感脂化処理液〔E−2〕として用いて、温度25℃で20
秒間ゆるくこすりながら転写層の除去を行った。この様
にして得た印刷版を200倍の光学顕微鏡を用いて非画像
部及びトナー画像部を目視観察したところ、非画像部に
は転写層の残存は認められず、且つ画像部の細線・細文
字等の高解像度域の欠落は認められなかった。
【0377】この版を浸し水としてPS版用浸し水SG
−23(東京インキ(株)製)を蒸留水で130倍に希釈し
た水溶液(pH 7.0)を用い、印刷機としてリョービ3
200MCD型(リョービ(株)製)を用い、印刷紙と
して中性紙を使用して、各種オフセット印刷用色インキ
で印刷し、地汚れの発生しない鮮明な画像の得られる印
刷枚数を調べた。その結果、色インキの種類にかかわら
ず、いずれの場合も3千枚以上の耐刷枚数が得られた。
【0378】実施例17 アモルファスシリコン電子写真感光体を、図2に示す装
置に装填した。該感光体表面への離型性付与と転写層の
形成は、下記内容の樹脂粒子分散液〔L−3〕を用いる
ことで同時に行なう方法で行った。 ・樹脂粒子分散液〔L−3〕 樹脂粒子(AL−8) 8 g(固形分量として) 正荷電用調節剤(CD−1) 0.015g 下記構造の化合物(S−2) 0.8 g をアイソパーGで全量1リットルになるように調整し
た。
【0379】
【化58】
【0380】上記感光体を用いて、実施例1と同様にし
てトナー画像の形成及びPS版用プレート(FPD)へ
の転写層ごとのトナー画像の転写を行なった。PS版用
プレート上の製版画像を目視観察したところ、転写層ご
と完全に感光体から転写しており、トナー画像の欠落も
みられず良好であった。即ち、本発明のように、特定の
離型性付与剤を転写層形成用電着分散液に含有させて処
理することにより、感光体表面が電着液に濡れると同時
に分散液中に溶解していた離型性付与剤が感光体表面に
選択的に吸着し、その後電気泳動してきた樹脂粒子(A
L)が付着又は吸着することによるものと推定される。
【0381】次に、得られた版を更にフラッシュ定着処
理し、トナー画像部の定着をより充分に行った。この版
を、温度30℃の下記処方の不感脂化処理液〔E−3〕中
に20秒間浸漬し、且つその間ゆるくこすりながら、転写
層を除去し、充分水洗した後、ガム引きし、オフセット
用印刷版を作成した。 ・不感脂化処理液〔E−3〕 PS版処理剤DP−4(富士写真フイルム(株)製) 143 g N,N−ジメチルエタノールアミン 100 g を蒸留水で希釈し、全量を1リットルにしたもの(pH 1
3.1)
【0382】この様にして得た印刷版を、200倍の光学
顕微鏡を用いて非画像部の転写層の有無及びトナー画像
部の欠落の有無を目視観察した。本発明の転写層を設け
た感光材料を用いた場合の撮像性は良好であった。転写
層の転写性も、良好で完全に転写層ごと転写した。ま
た、印刷版としての性能を調べてみたところ、不感脂化
処理性は良好で、転写層は完全に除去され、地汚れは見
られなかった。且つ画像部の細文字、細線及び網点連続
階調の中間部等の高精細な画像部においても、トナー画
像の欠落は認められず、画像部レジスト性は良好であっ
た。実際に印刷しても、各種色インキを用いても、6万
枚以上の印刷が可能であった。
【0383】実施例18〜27 実施例17において、転写層用樹脂粒子(AL−8)の
代わりに、下記表−Mの各樹脂粒子(総量8g)を用い
た他は、実施例17と全く同様にして印刷版作成及びオ
フセット印刷を行った。各印刷版とも、得られた印刷物
は地汚れのない鮮明な画像のものが、6万枚以上得ら
れ、実施例17と同等の良好な性能であった。
【0384】
【表25】
【0385】実施例28 光導電性酸化亜鉛100g、下記構造の結着樹脂(B−
2)20g、樹脂(P−6)3g、ウラニン0.01g、ロー
ズベンガル0.02g、ブロムフェノールブルー0.01g、無
水マレイン酸0.15g及びトルエン150gの混合物をホモ
ジナイザー(日本精機(株)製)に入れ、回転数9×10
3r.p.m.で10分間分散した。この分散物に、無水フタル
酸0.02g及びo−クロロフェノール0.001gを加えて、
更に回転数1×103r.p.m.で1分間分散した。
【0386】
【化59】
【0387】次いでこの分散液を導電性処理及び耐溶剤
処理を施した0.2mm厚の紙版マスター用原紙の上に塗布
量25g/m2となる様にワイヤーバーで塗布し、指触乾燥
した後、120℃で循環式オーブンで1時間加熱した。こ
の様にして得られた感光体表面の粘着力を測定したとこ
ろ、4g・fであった。
【0388】樹脂(P−6)を用いた感光層の上に転写
層を形成するために、実施例1で用いた樹脂粒子分散物
〔L−1〕を供給しながら、200Vの電圧を印加するこ
とで、樹脂粒子(AL−1)を電着させ、80℃で1分間
乾燥した。得られた転写層(2.5μm)付電子写真感光体
を(25℃、60%RH)の条件下に1晩静置した。この感光
体を、ELP−404V製版機(富士写真フイルム
(株)製)で現像部のバイアス電圧を100Vに設定し、
また、液体トナーとしてELP−TX(富士写真フィル
ム(株)製)を用いて複写画像を形成し、その後アイソ
パーGのリンス浴を通してリンスを行った。得られた転
写層上に形成された複写画像は、文字・細線・網点から
なる連続階調部等の高精細な画像部も鮮明で良好なもの
であり、非画像部の地汚れも認められなかった。
【0389】次に、以上の様に製版された感光体を、シ
リコーンゴムで被覆した中空ローラーの内部に赤外線ラ
ンプヒーターを組み込んだ一対の加熱ローラーの間に、
ストレートマスター(三菱製紙(株)製)と重ねて通過
させた。この時のローラーの表面温度は上下とも90℃、
ローラー間のニップ圧力は3kgf/cm2、搬送スピードは1
00mm/秒に設定した。通過後、コート紙と重ねたまま室
温まで冷却してから感光体とストレートマスターを分離
した。この時ストレートマスターに転写した転写層の状
態を目視評価した所、転写前の感光体上の複写画像と殆
ど変わりなく、画像の劣化は認められなかった。また、
転写後の感光体の表面上には、転写層の残存は全く認め
られず、転写性は極めて良好であった。
【0390】他方、比較として、上記感光体において、
樹脂(P−6)3gを用いない他は全く同様にして電子
写真感光体を作成したところ、表面の粘着力は400g・
f以上であった。転写層を付与して転写させたところ、
感光体表面と転写層との界面での剥離性を全く示さなか
った。
【0391】次に、ストレートマスター支持体に転写層
を転写した印刷原版を、不感脂化処理(即ち、転写層除
去)して、印刷版としての印刷性能を調べた。上記の印
刷原版を温度25℃にてPS版処理剤DP−4(富士写真
フイルム(株)製)を蒸留水で7倍に希釈した不感脂化
処理液〔E−2〕(pH 13.1)中に1分間浸漬し、ゆるく
こすりながら転写層を除去し、充分水洗した。この様に
して得られた印刷版を200倍の光学顕微鏡を用いて非画
像部及びトナー画像部を目視観察したところ、非画像部
には転写層の残存は認められず、且つ画像部の細線・細
文字等の高解像度域の欠落は認められなかった。
【0392】この版を浸し水としてPS版用浸し水SG
−23(東京インキ(株)製)を蒸留水で130倍に希釈し
た水溶液(pH 7.0)を用い、印刷機としてリョービ 320
0MCD型(リョービ(株)製)を用い、印刷紙として中性
紙を使用して、各種オフセット印刷用色インキで印刷
し、地汚れの発生しない鮮明な画像の得られる印刷枚数
を調べた。その結果、色インキの種類にかかわらず、い
ずれの場合も1千枚以上の耐刷枚数が得られた。
【0393】他方、酸化亜鉛を用いた電子写真感光体
を、酸性条件下でキレート化剤を主剤とする不感脂化液
で不感脂化して平版印刷版とする公知のシステムでは、
中性紙を印刷用紙として使用すると、耐刷枚数が数百枚
で、非画像部に地汚れの発生が生じ、また墨以外のオフ
セット印刷用色インキを用いるとやはり耐刷枚数が数百
枚程度で地汚れの発生を生じた。以上のように、本発明
のオフセット印刷用原版の作成方法では、同じ酸化亜鉛
感光体を利用しながらも、従来の方式とは異なり、極め
て良好な印刷性能を有することが判った。
【0394】実施例29 図2に示される装置に、電子写真感光体としてアモルフ
ァスシリコン感光体を装着した。この感光体表面の粘着
力は200g・fであった。この感光体への剥離性付与
は、同一装置内で本発明の化合物(S)を溶解した溶液
に浸漬させる(浸漬方法)ことで行なった。即ち、下記
化合物(S−3)1.0gをアイソパーG1リットル中に
溶解した溶液を入れた浴に上記感光体を周速10mm/秒の
回転速度で回転し7秒間触れる様にして処理し、エアー
スクイズで乾燥した。この様にして得られた感光体表面
の粘着力を測定した所、3g・fと低下し、良好な剥離
性を示した。
【0395】
【化60】
【0396】次に、感光体表面温度を50℃とし且つ、感
光体ドラムの周速度を10mm/秒で回転させ感光体表面に
スリット電着装置を用いて下記内容の正荷電樹脂粒子分
散液〔L−4〕を供給しながら、感光体側を接地しスリ
ット電着装置の電極側に130Vの電圧を印加して樹脂粒
子を電着・定着し、膜厚2.0μmの転写層を形成した。
【0397】 ・樹脂粒子分散液〔L−4〕 樹脂粒子(AL−7) 10 g(固形分量として) 正荷電用調節剤(CD−1) 0.02g 分枝ヘキサデシルアルコール FOC-1600 10 g {日産化学(株)製} をアイソパーGで全量1.0リットルになる様に調整し
た。
【0398】感光体を700Vにコロナ帯電をした後、デ
ジタル画像データを用い、その情報をもとに半導体レー
ザーを用いて780nmの光で版面露光量が25erg/cm2になる
ように露光した。露光部の残留電位は120Vであった。
続いて前記液体現像剤〔LD−2〕を用いて、現像電極
に300Vのバイアス電圧を印加し、未露光部にトナーが
電着するようにした現像を行ない、ついでアイソパーH
単独浴中でリンスをして非画像部の汚れを除いた。
【0399】トナー画像を加熱定着後、感光体表面に4
kgf/cm2の圧力で接している、表面温度100℃に常にコン
トロールされた一対のゴムローラーの間を100mm/秒の
スピードで被転写材(PSプレートFPD用アルミニウ
ム支持体)を通過させ、アルミニウム支持体を感光体か
ら引き剥がし、転写層ごとトナー画像をアルミニウム支
持体上に転写させた。
【0400】このようにして得られた印刷原版を、80
℃のオーブン中で1分間加熱し、トナー部を定着した。
200倍の光学顕微鏡を用いて目視観察したところ、画像
部の細線・細文字等の高解像度域の欠落は認められなか
った。即ち、上記のような加熱転写プロセスで容易に転
写層ごとトナー画像が被転写材に転写し、且つ転写後更
に加熱操作しても、トナー画像部の乱れを全く生じるこ
とがなかった。
【0401】この印刷原版を、実施例17で用いた不感
脂化処理液〔E−3〕中に浸漬して、かるくこすりなが
ら30℃で30秒間処理して転写層を除去し、充分水洗した
後、ガム引きし、オフセット用印刷版を作成した。この
版を浸し水としてPS版用浸し水SG−23(東京インキ
(株)製)を蒸留水で130倍に希釈した水溶液(pH7.
0)を用い、印刷機としてオリバー94型((株)桜井製作所
製)を用い、印刷紙として中性紙を使用して、各種オフ
セット印刷用色インキで印刷し、地汚れの発生しない鮮
明な画像の得られる印刷枚数を調べた。その結果、色イ
ンキの種類にかかわらず、いずれの場合も6万枚以上の
耐刷枚数が得られた。
【0402】以上のように、トナー画像形成用に用いる
液体現像剤〔LD〕の種類によっては、トナー画像部と
被転写材との充分な密着性を保持させ、印刷時のトナー
画像強度を維持するために、転写層ごと転写した後に密
着性向上手段を組み合わせてもよい。本実施例の定着態
様の他の手段として、フラッシュ定着による方法、ヒー
トロール定着による方法においても、同様の効果が得ら
れた。
【0403】実施例30 実施例29において、感光体の剥離性付与手段として、
下記の内容に代えた他は、実施例29と同様に操作して
印刷版を作成した。下記構造のカルボキシル変性シリコ
ンオイル(TSF 4770東芝シリコン(株)製)化合物(S
−4)のオイルを入れた浴に接したシリコンゴム層を表
面に有するメタリングロールを感光体に接触させ、周速
15mm/秒の回転スピードで両ドラムを20秒間回転させ
た。この処理により感光体表面の粘着力は5g・fとな
った。
【0404】
【化61】
【0405】また、シリコンオイル浴に浸されたメータ
リングロールと感光体の間にスチレン−ブタジエンゴム
層を表面に有するトランスファーロールを介して処理し
ても、上記と同様の結果が得られた。更には、上記メー
タリングロール/トランスファーロールを用いる方法に
おいて、図3に示す様にメータリングロール22とトラ
ンスファーロール21の間に上記化合物(S−4)23
を供給する方法でも、同様に良好な結果が得られた。以
上の印刷版を用いて実施例29と同様に印刷したとこ
ろ、実施例29と同様の良好な結果が得られた。
【0406】実施例31 実施例29において、感光体の剥離性付与手段として下
記の内容に代えた他は、実施例29と同様に操作して印
刷版を作成し、オフセット印刷を行った。ジメチルシリ
コンオイル(KF-96L-2.0信越シリコーン(株)製)化合
物(S−5)2gを均一に含浸させたAW処理フェルト
〔(厚み15mm×巾20mm)のウール材質〕を感光体に押圧
200gで圧接し、該感光体を周速20mm/秒の回転速度で3
0秒間回転した。処理後の感光体表面の粘着力は6g・
fとなった。得られた印刷結果は、実施例29と同様の
性能を示した。
【0407】実施例32 実施例29において、感光体の剥離性付与手段として、
下記の内容に代えた他は、実施例1と同様に操作して印
刷版を作成し、オフセット印刷を行った。加熱手段を内
蔵したゴムローラーに、フッ素系界面活性剤(サーフロ
ン S-141旭硝子(株)製)化合物(S−6)を含浸させ
た布を巻きつけたローラーを、表面温度60℃に加熱した
後感光体と接触させ、両ドラムを周速20mm/秒の回転速
度で30秒間回転した。感光体表面の粘着力は4g・fに
なった。得られた印刷結果は、実施例29と同様の性能
を示した。
【0408】実施例33 実施例29において、感光体の剥離性付与手段として下
記の内容に代えた他は、実施例29と同様に操作して印
刷版を作成し、オフセット印刷を行った。金属芯ローラ
ーにシリコンゴムを巻いたシリゴムローラー((株)金陽
社製)を、感光体表面にニップ圧800g・f/cm2で当接
し、周速15mm/秒の回転速度で10秒間回転した。これ
により感光体表面の粘着力は20・fに低下した。得ら
れた印刷結果は、実施例29と同様の性能を示した。
【0409】実施例34〜53 実施例1において、樹脂(P−2)2.0gの代わりに下
記表−Nの樹脂(P)及び/又は樹脂粒子(L)を各々
用いた他は実施例1と同様にして電子写真感光体及び印
刷版を作成し、印刷を行った。各印刷版から得られた印
刷物の画質及び耐刷性は、実施例1と同様に良好であっ
た。
【0410】
【表26】
【0411】実施例54〜64 実施例1において、樹脂(P−2)、無水フタル酸及び
o−クロロフェノールの代わりに、下記表−Oの各化合
物を各々用いた他は、実施例1と同様に操作して、印刷
版を作成し、印刷を行った。各印刷版から得られた印刷
物の画質及び耐刷性は、実施例1と同様に良好であっ
た。
【0412】
【表27】
【0413】実施例65 有機光導電性物質として、4,4′−ビス(ジエチルア
ミノ)−2,2′−ジメチルトリフェニルメタン5g、
下記構造の結着樹脂(B−3)4g、樹脂(P−27)0.
4g、下記構造式の色素(D−1)40mg、化学増感剤と
して下記構造式のアニリド化合物(B)0.2gを、メチ
レンクロライド30mlとエチレンクロライド30mlとの混合
物に溶解し、感光層分散液とした。
【0414】
【化62】
【0415】この感光層分散液を、ワイヤーラウンドロ
ッドを用いて導電性透明支持体(厚さ100μmのポリ
エチレンテレフタレート支持体上に、酸化インジウムの
蒸着膜を有する。表面抵抗103Ω)上に塗布して約4μ
mで感光層を有する有機薄膜を得た。感光体表面の粘着
力は8g・fであった。この感光体を、実施例1で用い
た感光体の代わりに用いた他は実施例1と同様に操作し
て印刷版を形成、印刷した。得られた印刷物上の印刷画
像は地カブリのない鮮明なもので、且つ、耐刷性も同様
の良好な結果を得た。
【0416】実施例66 実施例16において、電子写真感光体として、下記のよ
うにアモルファスシリコン感光体上に膜厚1.5μmの剥
離性表面層を設けた感光体を用いた他は、実施例16と
同様に操作して印刷版を作成した。得られた印刷版を用
いて、実施例16と同様に印刷したところ、実施例16
と同等の良好な性能が得られた。
【0417】・剥離性表面層の形成 下記構造のシリコン樹脂10g、下記構造の架橋剤1g及
び架橋用触媒として白金0.1gをn−ヘキサン100g中に
含有する塗布物をワイヤーラウンドロッドを用いて膜厚
1.5μmになるように塗布し、指触乾燥後、120℃で10分
間加熱した。得られた表面の粘着力は1g・f以下であ
った。
【0418】
【化63】
【0419】実施例67 下記構造のビスアゾ顔料5g、テトラヒドロフラン95g
及びポリエステル樹脂バイロン 200(東洋紡績(株)
製)5gの混合物をボールミル中で充分に粉砕した。次
いで、この混合物を取り出し、攪拌下、テトラヒドロフ
ラン520gを加えた。この分散物をワイヤーラウンド
ロッドを用いて実施例65で用いた導電性透明支持体上
に塗布して約0.7μmの電荷発生層を形成した。
【0420】
【化64】
【0421】次に、下記構造式のヒドラゾン化合物20
g、ポリカーボネート樹脂(GE社製、商品名レキサン
121)20g及びテトラヒドロフラン160gの混合溶液を
ワイヤラウンドロッドを用いて上記電荷発生層の上に塗
布し、60℃で30秒間乾燥し更に温度100℃で20秒間加熱
して約18μmの電荷輸送層を形成し、二層から成る感光
層を有する電子写真感光体を得た。
【0422】
【化65】
【0423】更に、この感光層の上に剥離性を付与する
ための表面層を形成するために、下記樹脂(P−39)13
g、無水フタル酸0.2g、o−クロロフェノール0.002g
及びトルエン100gの混合溶液を、ワイヤーラウンドロ
ッドを用いて、膜厚1μmになる様に塗布し、指触乾燥
後、120℃で1時間加熱した。得られた感光体の表面の
粘着力は5g・fであった。
【0424】
【化66】
【0425】この感光材料を、暗所で表面電位+500V
に帯電させた後、He−Neレーザーを用いて633nmの
光で、版面での露光量が30erg/cm2になるように露光し
た他は、実施例1と同様に操作して印刷版を作成し、オ
フセット印刷を行った。得られた結果は、実施例1と同
等の良好な性能を示した。
【0426】実施例68 実施例16において、被転写材として用いたOKマスタ
ーPS型の代わりに、ストレートマスター(三菱製紙
(株)製)を用いた他は、実施例16と同様にして印刷
版を作成した。ストレートマスター上に形成された画像
(カブリ、画像の画質)を目視で評価したところ、完全
に転写され、地カブリのない鮮明な画像が得られた。こ
の版を用いてオフセット印刷を行ったところ、地汚れの
ない鮮明な画像の印刷物が1500枚得られた。
【0427】実施例69〜80 実施例1〜68で作成した被転写材に転写後の版(印刷
原版)を用いて、不感脂化処理を下記の様に操作してオ
フセット印刷版を作成した。下記表−Pの求核性化合物
0.2モル、有機溶媒100g及びニューコールB4SN(日
本乳化剤(株)製)2gに蒸留水を加え1リットルとし
た後、pHを12.5に調節し処理液を調製した。各印刷原
版を処理液中に温度35℃で1分間浸漬し、ゆるくこすり
ながら、不感脂化処理を行った。得られた印刷版を用い
原実施例と同様の印刷条件で印刷した。原実施例と同等
の良好な結果が得られた。
【0428】
【表28】
【0429】実施例81〜86 実施例29において、化合物(S−3)1.0g/リット
ルの代わりに、下記表ーQの各化合物(S)を用いた他
は、実施例29と全く同様にして印刷物を得た。得られ
た結果は、実施例29と全く同等の性能を示した。即
ち、これらの化合物(S)を用いることで、感光体表面
の剥離性が有効に発現した。
【0430】
【表29】
【0431】
【表30】
【0432】
【発明の効果】本発明の転写層を利用した電子写真式製
版印刷版の作成方法によれば、転写層の転写性が極めて
良好であり、製版画質及び印刷画質が良好で、長期間且
つ連続して処理しても、安定した性能の印刷版を得るこ
とができる。またレーザー等の走査露光による画像形成
に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を説明するための概略図である。
【図2】本発明の方法を実施するための電子写真式製版
印刷原版作成装置例を示す図である。
【図3】本発明に用いることのできる化合物(S)供給
装置例を示す図である。
【符号の説明】
1 感光体の支持体 2 感光層 3 トナー画像 11 感光体 12 転写層 12a 熱可塑性樹脂粒子の分散液 13 電着ユニット 14 液体現像ユニットセット 14L 液体現像ユニット 15 吸排気ユニット 15a 吸気部 15b 排気部 16 被転写材 17 熱転写手段 17a 予熱手段 17b 加熱ローラー 17c 冷却ローラー 18 コロナ帯電装置 19 露光装置 20 化合物(S)供給装置 21 トランスファーロール 22 メータリングロール 23 化合物(S)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子写真感光体の表面に、化学反応処理
    で除去可能で且つ剥離可能な転写層を形成し、電子写真
    プロセスにより該転写層上にトナー画像を形成し、該ト
    ナー画像を転写層ごと、印刷時に平版印刷可能な親水性
    表面となる被転写材に熱転写し、次いで、転写された被
    転写材の転写層を化学反応処理により除去する電子写真
    式製版印刷版の作成方法において、該転写層の形成を、
    ガラス転移点10〜140℃又は軟化点35℃〜180
    ℃の樹脂(A1)の少なくとも一種及びガラス転移点45
    ℃以下又は軟化点60℃以下の樹脂であって該樹脂(A
    1)より2℃以上ガラス転移点又は軟化点の低い樹脂(A
    2)の少なくとも一種を同一粒子内に含有してなる熱可塑
    性樹脂粒子(AL)を用いて電着塗布法により行うこと
    を特徴とする電子写真式製版印刷版の作成方法。
  2. 【請求項2】 樹脂(A1)及び樹脂(A2)が、それぞれ
    下記の重合体成分(a)及び重合体成分(b)のうちの
    少なくともいずれか一方を含有することを特徴とする請
    求項1記載の電子写真式製版印刷版の作成方法。 重合体成分(a):−CO2H基、−CHO基、−SO3
    H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)R1{R1は−
    OH基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭化水素基を表
    わす)基を表わす}基、フェノール性OH基、酸環状無
    水物含有基、−CONHCOR3(R3は炭化水素基を表
    わす)基及び−CONHSO23基のうちの少なくとも
    1つの基を含有する重合体成分 重合体成分(b):化学反応処理で−CO2H基、−C
    HO基、−SO3H基、−SO2H基、−P(=O)(O
    H)R1{R1は−OH基、炭化水素基又は−OR2(R2
    は炭化水素基を表わす)基を表わす}基及び−OH基の
    うちの少なくとも1つの基を生成する官能基を少なくと
    も1種含有する重合体成分
  3. 【請求項3】 該樹脂粒子(AL)が、比誘電率3.5
    以下の電気絶縁性液体中に分散されて供給されることを
    特徴とする請求項1又は2記載の電子写真式製版印刷版
    の作成方法。
  4. 【請求項4】 該樹脂粒子(AL)が、電子写真感光体
    と対向して設置された対向電極の間に供給され、外部電
    源より印加された電位勾配に従って電気泳動して電子写
    真感光体に付着又は電着されて成膜されることを特徴と
    する請求項3記載の電子写真式製版印刷版の作成方法。
  5. 【請求項5】 電子写真感光体の表面が、少なくとも樹
    脂粒子(AL)の電着による成膜で転写層が形成される
    時には、JIS Z0237-1980の「粘着テープ・粘着シート試
    験方法」による粘着力が、100gram・force(g・f)
    以下の表面剥離性を有することを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の電子写真式製版印刷版の作成方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015060353A1 (ja) * 2013-10-23 2015-04-30 ダイキン工業株式会社 含フッ素重合体および処理剤

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