JPH073245U - エポキシ樹脂注型品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 界面剥離及びエポキシ樹脂のクラックの発生
を防止したエポキシ樹脂注型品を提供する。 【構成】 内部に金属電極１を埋込んだエポキシ樹脂注
型品において、金属電極１の外側に発泡導電性樹脂３を
介して半導電性ゴム被覆層２を設けたエポキシ樹脂注型
品。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば電力の送配電に供する電力ケーブルの接続部品として多く利 用されている内部に金属電極を埋込んだエポキシ樹脂注型品の改良に関するもの である。

【０００２】

【従来の技術】

図４は内部に金属電極を埋込んだエポキシ樹脂注型品の一例の上半分の縦断面 図である。図面において、１はエポキシ樹脂Ａ中に埋込まれ一体成形された金属 電極である。この金属電極１の表面には、埋込まれた金属電極１とその周囲のエ ポキシ樹脂Ａの熱膨張係数や弾性係数の相違によって、両者の界面に生ずるおそ れがある剥離やクラック等を緩和するために半導電性ゴム被覆層２が設けられて いる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上述した従来のエポキシ樹脂注型品においても、半導電ゴム被覆層の熱膨張係 数が、エポキシ樹脂や金属電極のそれに比べて大きいために、エポキシ樹脂や金 属電極の界面で剥離をおこしたり、あるいは半導電性ゴム被覆層の膨張圧力によ り、エポキシ樹脂にクラックが生じたりして、比較的低い電圧で電気破壊すると いう問題点があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は上述の問題点を解消し、界面剥離やエポキシ樹脂のクラックの発生を 防止したエポキシ樹脂注型品を提供するもので、その第１の特徴は、金属電極の 外側に発泡導電性樹脂を介して半導電性ゴム被覆層を設けたことにある。

【０００５】 そして、本考案の第２の特徴は、金属電極の外側に綿状の金属繊維を介して半 導電性ゴム被覆層を設けたことにあり、さらに、第３の特徴は、金属電極の表面 に発泡導電性ゴム層及び半導電性熱収縮チューブを順次設けたことにある。

【０００６】

【実施例】

図１は本考案のエポキシ樹脂注型品の第１の特徴による具体例の上半分の縦断 面図である。図面に示すように、エポキシ樹脂Ａ中に埋込まれている金属電極１ の外側には発泡導電性樹脂３を介して半導電性ゴム被覆層２が設けられている。 上記発泡導電性樹脂の発泡率（空気層の体積／全体の体積の割合）としては、 5.0％〜45.0％の範囲が望ましい。 このようなエポキシ樹脂注型品においては、導電性ゴム被覆層２の膨張、収縮 を発泡導電性樹脂３で吸収することができ、界面剥離及びエポキシ樹脂のクラッ クの発生を防止することができる。

【０００７】 図２は本考案のエポキシ樹脂注型品の第２の特徴による埋込み金具の具体例の 縦断面図である。図面に示すように、金属電極１の外側には綿状の金属繊維４を 介して半導電性ゴム被覆層２が設けられている。上記綿状の金属繊維４としては 直径0.05mm未満の金属線を用いることが望ましい。 このような埋込み金具を埋込んだエポキシ樹脂注型品においては、導電性ゴム 被覆層２の膨張、収縮を綿状の金属繊維４で吸収することができ、界面剥離及び エポキシ樹脂のクラックの発生を防止することができる。

【０００８】 図３は本考案のエポキシ樹脂注型品の第３の特徴による埋込み金具の具体例の 縦断面図である。図面に示すように、金属電極１の表面には、発泡導電性ゴム層 ５及び導電性熱収縮チューブ６が順次設けられている。 このような埋込み金具を埋込んだエポキシ樹脂注型品においては、導電性ゴム 層５の膨張、収縮は自身の発泡性及び熱収縮チューブ６の収縮力によって吸収す ることができ、界面剥離及びエポキシ樹脂のクラックの発生を防止することがで きる。

【０００９】

【実験例１】 金属電極としてアルミを用い、図１のように金属電極の外側に発泡導電性樹脂 を介して半導電性ゴム被覆層を設けた埋込み金具（本考案品）と、図４のように 、金属電極の表面に直接半導電性ゴム被覆層を設けた埋込み金具（従来品）を作 成し、これらの金具の周囲にエポキシ樹脂（チバガイギー社製ＣＴ−２００） 100重量部及び硬化剤（チバガイギー社製ＨＴ−９０３）を充填し、加熱硬化さ せて２種類のエポキシ樹脂注型品を作成した。なお、本考案品の発泡導電性樹脂 の発泡率は10％であった。

【００１０】 上記エポキシ樹脂注型品の各５個を 100℃60分、０℃60分の条件で、各３サイ クルのヒートショックテストを行った結果、本考案品ではクラックの発生は認め られなかったが、従来品では５個中３個にクラックが発生し、本考案品の効果が 確認された。

【００１１】 次に、本考案品について、発泡導電性樹脂の発泡率を種々変更して同様の試験 を行った。結果を表１に示す。 この結果より、発泡導電性樹脂は発泡率 5.0％〜45.0％のものを用いることで 、信頼性の高い製品が得られることがわかった。なお、発泡率の上限45.0％につ いては、45.0％以上では充分な導電性が得られないためである。

【００１２】

【表１】

【００１３】

【実験例２】 図２に示す埋込み金具（本考案品）と、図４に示す埋込み金具（従来品）を用 いて前記同様２種類のエポキシ樹脂注型品を作成し、前記同様のヒートサイクル テストを実施した結果、本考案品は供試品５個についてクラックの発生は認めら れなかったが、従来品は供試品５個中、３個にクラックの発生が認められた。

【００１４】 次に本考案品について、綿状の金属繊維の線種を変更して同様の試験を行った 。結果を表２に示す。なお、中荒、極荒の２種類については気孔率が高すぎて、 安定して作成できないので断念した。 この結果より、綿状の金属繊維として、極細線、中細線、細線を用いることで 、信頼性の高い製品が得られることがわかった。

【００１５】

【実験例３】 図３に示す埋込み金具（本考案品）と、図４に示す埋込み金具（従来品）を用 いて前記同様２種類のエポキシ樹脂注型品を作成し、前記同様のヒートサイクル テストを実施した結果、本考案品は供試品５個についてクラックの発生は認めら れなかったが、従来品は供試品５個中、３個にクラックが発生し、本考案品の考 案が確認された。

【００１６】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案のエポキシ樹脂注型品によれば、エポキシ樹脂と 金属電極間の界面剥離及びエポキシ樹脂のクラックの発生を防止することができ 、信頼性の高いエポキシ樹脂注型品が得られる。従って、電力ケーブルの接続部 等に利用するとき、その効果は大きい。

【表２】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のエポキシ樹脂注型品の具体例の上半分
の縦断面図である。

【図２】本考案のエポキシ樹脂注型品の第２の特徴によ
る埋込み金具の具体例の縦断面図である。

【図３】本考案のエポキシ樹脂注型品の第３の特徴によ
る埋込み金具の具体例の縦断面図である。

【図４】従来のエポキシ樹脂注型品の一例の上半分の縦
断面図である。

【符号の説明】

１ 金属電極 ２ 半導電性ゴム被覆層 ３ 発泡導電性樹脂 ４ 綿状の金属繊維 ５ 発泡半導電性ゴム層 ６ 熱収縮チューブ Ａ エポキシ樹脂

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に金属電極を埋込んだエポキシ樹脂
   注型品において、金属電極の外側に発泡導電性樹脂を介
   して半導電性ゴム被覆層を設けたことを特徴とするエポ
   キシ樹脂注型品。
2. 【請求項２】 内部に金属電極を埋込んだエポキシ樹脂
   注型品において、金属電極の外側に綿状の金属繊維を介
   して半導電性ゴム被覆層を設けたことを特徴とするエポ
   キシ樹脂注型品。
3. 【請求項３】 内部に金属電極を埋込んだエポキシ樹脂
   注型品において、金属電極の表面に発泡導電性ゴム層及
   び半導電性熱収縮チューブを順次設けたことを特徴とす
   るエポキシ樹脂注型品。