JPH07324005A - 消毒剤組成物及びそれを用いた消毒方法 - Google Patents

消毒剤組成物及びそれを用いた消毒方法

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JPH07324005A
JPH07324005A JP11854094A JP11854094A JPH07324005A JP H07324005 A JPH07324005 A JP H07324005A JP 11854094 A JP11854094 A JP 11854094A JP 11854094 A JP11854094 A JP 11854094A JP H07324005 A JPH07324005 A JP H07324005A
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JP
Japan
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disinfectant composition
disinfectant
bactericide
weight
polymer
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Application number
JP11854094A
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English (en)
Inventor
Atsushi Kawai
厚 河合
Takuo Kato
卓雄 加藤
Kyoko Nagasaka
京子 長坂
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Tomey Technology Corp
Original Assignee
Tomey Technology Corp
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Publication date
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  • Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 消毒効果において、優れた持続性を有し、所
謂院内感染の予防等に好適に用いられ得る消毒剤組成物
及びそれを用いた消毒方法を提供する。 【構成】 2−ヒドロキシエチルメタクリレートの直鎖
状ホモポリマー或いは2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ートと他の親水性及び/又は疎水性モノマーとのコポリ
マーであって、含水率:30〜50%の水不溶性フィル
ムを形成する能力を有する親水性ポリマーの100重量
部と、けん化度が5〜75%のポリビニルアルコールの
1〜100重量部とを、アルコール系溶剤に溶解せし
め、これに、殺菌剤を溶解若しくは分散せしめて、目的
とする消毒剤組成物とする。また、該組成物を用いて、
所定の消毒対象物を処理することにより、その表面に、
前記親水性ポリマーで固定された前記殺菌剤を含む被膜
を形成せしめる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、医療、食品、研究、その他の分
野において好適に用いられ得る消毒剤組成物及びそれを
用いた消毒方法に係り、特に消毒効果において、優れた
持続性を有する消毒剤組成物及びそれを用いた消毒方法
に関するものである。
【0002】
【背景技術】近年、病院等においては、所謂院内感染を
防止するために、院内の設備及びその環境の消毒が、念
入りに行なわれている。そして、通常、この消毒処理に
は、各種殺菌剤の水溶液あるいはアルコール溶液等が用
いられている。しかし、そのような殺菌剤による消毒方
法は、その消毒効果が持続性を欠いているために、長期
に亘って消毒効果を得ようとする場合には、消毒処理を
頻繁に行なう必要があり、それは、面倒で、大きな労力
を要するものであった。
【0003】そこで、このような消毒効果の持続性を改
良しようとする試みの一つとして、特開昭61−233
602号公報には、フィルム形成性の水不溶性コポリマ
ーと殺菌剤との混合物をアルコール等の揮発性溶剤に溶
解してなる液体組成物が、明らかにされている。この組
成物は、フィルム形成性のポリマーを含有しているとこ
ろから、その組成物による消毒処理によって、消毒対象
物の表面上に殺菌剤を含んだフィルムを形成せしめて、
殺菌効果を発揮させ、更にこの膜に含まれる殺菌剤の溶
出をポリマーの膨潤の抑制にて防止せしめることによ
り、その消毒効果の持続性を改善しようとするものであ
る。しかしながら、かかる液体組成物にあっては、それ
を構成するフィルム形成性コポリマーが、親水性モノマ
ーと疎水性モノマーとを共重合せしめてなるため、消毒
処理の際に形成されるフィルムの含水率が30%より少
なくなるのであり、そのためにフィルムに含有されてい
る消毒剤の効果が充分に発揮され得ない等の問題を有し
ているのである。
【0004】一方、銀系無機殺菌剤を合成繊維に練り込
んで、抗菌性繊維を製造し、抗菌性を付与せしめたガウ
ンやカーテンを得ようとする方法が検討されているが、
かかる方法にて得られた抗菌性の製品にあっては、その
抗菌効果の持続性は優れているものの、消毒効果が充分
ではなく、菌の増殖を抑制するにとどまっているに過ぎ
ない。けだし、銀系無機殺菌剤が繊維全体に分散して、
繊維表面には僅かしか現れておらず、そのため、強い殺
菌性を発揮することが出来ないからである。
【0005】また、通常、殺菌剤を長期連用すると、耐
性菌が出現することがあり、そのような耐性菌の出現
は、殺菌剤の効果を著しく減弱するものであり、医療
上、大きな問題となっている。そのため、耐性菌の出現
が惹起され難い殺菌剤の開発が強く望まれているのであ
る。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景として為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、消毒効果、即ち殺菌効果を長期に亘って保持し
得て、所謂院内感染等に有利に用いられる消毒剤組成物
及びそれを用いた消毒方法を提供することにある。
【0007】
【解決手段】そして、上記した課題を解決するために、
本発明にあっては、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
トの直鎖状ホモポリマー或いは2−ヒドロキシエチルメ
タクリレートと他の親水性モノマー及び/又は疎水性モ
ノマーとのコポリマーであって、含水率:30〜50%
の水不溶性フィルムを形成する能力を有する親水性ポリ
マーの100重量部と、けん化度が5〜75%のポリビ
ニルアルコールの1〜100重量部とを、アルコール系
溶剤に溶解せしめ、これに、殺菌剤を溶解若しくは分散
せしめてなることを特徴とする消毒剤組成物を、その要
旨とするものである。
【0008】なお、本発明に従う消毒剤組成物の好まし
い態様によれば、前記殺菌剤としては、ホルムアルデヒ
ドドナーが用いられる。また、本発明に従う消毒剤組成
物の異なる好ましい態様によれば、前記親水性ポリマー
は、0.05〜5%の濃度において存在せしめられ、更
に、本発明に従う消毒剤組成物の望ましい態様によれ
ば、前記殺菌剤は、全ポリマーに対して1〜100重量
%の割合で含有せしめられることとなる。
【0009】また、本発明にあっては、前記の消毒剤組
成物を用いて、消毒対象物を処理することにより、該消
毒対象物の表面に、前記親水性ポリマーで固定された前
記殺菌剤を含む被膜を形成せしめることを特徴とする消
毒方法をも、その要旨としている。
【0010】
【作用・効果】要するに、本発明に従う消毒剤組成物に
あっては、水不溶性フィルムを形成する能力を有する特
定の親水性ポリマーと、所定のポリビニルアルコールと
を、アルコール系溶剤に溶解せしめてなる溶液に、殺菌
剤が分散せしめられているのであり、それ故に、従来の
消毒剤組成物における諸問題が悉く解決され得ることと
なるのである。
【0011】すなわち、かかる消毒剤組成物にて消毒処
理を行なうと、アルコール系溶剤が蒸発した後に、殺菌
剤を含有する状態において、水不溶性のポリマー被膜が
消毒対象物の表面に形成されることとなり、持続性に優
れた消毒効果(殺菌効果)が得られるのである。
【0012】より具体的には、本発明における消毒剤組
成物には、溶剤として、消毒用エタノール等のアルコー
ル性溶剤が用いられているために、かかる消毒剤組成物
が適用されると、先ず、アルコール性溶剤の有する強力
な殺菌効果が発揮されるのである。次いで、このアルコ
ール性溶剤が蒸発すると、被消毒面に、親水性ポリマー
によって、殺菌剤を含有する水不溶性ポリマー被膜(以
下、ポリマー被膜という)が所定厚さにおいて形成され
る。そして、このポリマー被膜を形成する親水性ポリマ
ーには、親水性で膨潤性が高いことに加え、それによっ
て形成されるポリマー被膜の含水率が30〜50%とい
う適当な値となるものが選択されているところから、こ
のポリマー被膜が適当量の水を含有することとなり、以
て被膜中に分散せしめられている殺菌剤成分の殺菌効果
が有利に発揮されるのである。しかも、けん化度が5〜
75%のポリビニルアルコールが、親水性ポリマー10
0重量部に対して1〜100重量部の割合において、添
加せしめられているところから、形成されるポリマー被
膜は均一性に優れたものとなるのである。それ故に、形
成されるポリマー被膜は、丈夫で剥がれ難いものとな
り、そこに殺菌剤成分が長期に亘って保持されることと
なるため、殺菌効果の持続性が有利に達成され得るので
ある。
【0013】また、本発明において、有利には、殺菌剤
として、ホルムアルデヒドドナーが採用されるのであ
り、かかるホルムアルデヒドドナーは、殺菌剤として用
いられる場合、ホルムアルデヒドを放出し、その発生し
たホルムアルデヒドにより殺菌作用を発揮するものであ
る。しかも、ホルムアルデヒドは、耐性菌を生じ難いと
ころから、従来の消毒剤組成物を用いた場合のような連
用による耐性菌の出現という問題も惹起されることがな
いのである。
【0014】このように、かかる本発明に従う消毒剤組
成物は、ガウン、カーテン、ベッドシーツ等の繊維製
品、或いはスリッパ、靴等の履物、また、ベッド類、そ
の他病院等で使用される各種備品、壁、柱、エレベータ
ー、トイレ等の院内環境の消毒に好適に用いられ得るも
のであり、しかも、従来の消毒剤が有していた問題を解
消し得て、その消毒効果において、優れた持続性を発揮
し得ることとなったのである。
【0015】また、本発明に従う消毒方法によれば、前
述した消毒剤組成物をスプレー、塗布等して、消毒対象
物を処理するものであるところから、最初は、アルコー
ル性溶剤の有している強い殺菌効果が発揮され、次いで
アルコール性溶剤が蒸発した後は、前記消毒対象物の表
面に形成された、殺菌剤成分を含有した水不溶性のポリ
マー被膜により、優れた殺菌効果が発揮されるのであ
る。そして、ここで形成されたポリマー被膜は、剥がれ
難い丈夫なものであるところから、長期に亘り、殺菌効
果が維持されるのであり、それ故に、本発明に従う消毒
方法によれば、何度も消毒処理を行なうという、従来の
消毒方法における煩わしさも有利に解消され得るのであ
る。更に、本発明の好ましい態様によれば、殺菌剤とし
て、ホルムアルデヒドドナーが採用され、連用による耐
性菌の出現という問題も有利に解決され得るのである。
【0016】
【具体的構成】ところで、この本発明に従う消毒剤組成
物を構成している親水性ポリマーは、消毒処理の後に、
消毒剤組成物に含まれる殺菌剤を固定化する目的で用い
られるのであるが、このような親水性ポリマーとして
は、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの直鎖状ホモ
ポリマー或いは2−ヒドロキシエチルメタクリレートと
他の親水性モノマー及び/又は疎水性モノマーとの共重
合体で、含水率が30〜50%の水不溶性フィルムを形
成する能力を有する親水性ポリマーが用いられる。更
に、かかる親水性ポリマーは、メタノール、エタノー
ル、またはそれらにイソプロパノールや水を添加せしめ
たもの等のアルコール性溶剤、特に好ましくは消毒用エ
タノールに可溶なものが用いられる。なお、前記他の親
水性モノマーとしては、アクリルアミド、N,N′−ジ
メチルアクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸等を
挙げることが出来、また、疎水性モノマーとしては、ア
ルキルメタクリレート、アルキルアクリレート、スチレ
ン等を挙げることが出来る。更に、酢酸ビニルを共重合
モノマーとして用いることも可能である。
【0017】また、かかる親水性ポリマーにより形成さ
れるポリマー被膜の含水率は、殺菌剤成分を含有してい
ない状態において、30〜50%の範囲内でなければな
らなず、好ましくは33〜40%とされる。けだし、含
水率が30%未満である場合には、殺菌効果が充分に発
揮され得ず、また、含水率が50%を越えている場合に
は、被膜の膨潤が過大となり、その耐久性が低下するか
らである。
【0018】なお、この含水率の測定方法としては、以
下の方法が用いられる。即ち、ポリマーが3重量%含ま
れるメタノール溶液を調製し、これをシャーレに注ぎ、
溶剤を蒸発させて、フィルムを形成せしめる。そして、
このフィルムを20℃の蒸留水中に12時間以上浸漬し
た後、ピンセットで取り出し、濾紙で素早く表面の水分
を拭き取った後、秤量し、この時の重量を含水重量とし
た。また、この含水状態のフィルムを、乾燥機を用い
て、60℃で、12時間以上乾燥せしめた後、秤量し
て、この時の重量を乾燥重量とした。そして、次式によ
り、含水率を算出するのである。 含水率(%)={(含水重量−乾燥重量)/含水重量
}×100
【0019】ところで、本発明に用いる親水性ポリマー
として、特に好ましいのは、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレートの直鎖状ホモポリマーであるが、その含水率
は30〜40%の範囲内となる。そして、かかるホモポ
リマーを用いた場合、殺菌効果が高く、耐洗濯性に優
れ、また被消毒面に形成される被膜はさらっとした感触
を与える。更に、繊維製品に適用した場合、湿気を帯び
ると柔軟になるので、シーツ、ガウン等の消毒に極めて
適しているのである。
【0020】また、本発明に従う消毒剤組成物には、ポ
リビニールアルコールが用いられ、それによって親水性
ポリマーにて形成されるポリマー被膜が均一なものとな
るのであるが、このポリビニールアルコールのけん化度
は、通常、5〜75%とされ、好ましくは10〜50%
とされる。なお、けん化度が5%未満であると、形成さ
れるポリマー被膜の均一性を高める効果が不充分となる
からであり、75%を越えると、形成されるポリマー被
膜の耐水性が著しく低下するからである。
【0021】一方、本発明に係る消毒剤組成物を構成す
る殺菌剤としては、クロルヘキシジングルコネート、ポ
リヘキサメチレンビグアニド、塩化ベンザルコニウム、
セチルピリジニウムクロライド、ジアルキルジメチルア
ンモニウムクロライド、アルキルポリアミノエチルグリ
シンハイドロクロライド、チアベンダゾール、パラオキ
シ安息香酸エステル、ヘキサクロロフェン、及びホルム
アルデヒドドナー等を挙げることができ、これらの中か
ら1種または2種以上が組み合わせて用いられるのであ
る。
【0022】そして、本発明において、有利にはホルム
アルデヒドドナーが用いられることとなるが、かかるア
ルデヒドドナーとして、具体的には、2−ブロモ−2−
ニトロプロパン−1,3−ジオール(ブロノポール:株
式会社ミドリ十字製)、1−(3−クロルアリル)−
3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロ
リド(ダウシル200:ダウケミカル株式会社製)、ジ
メチロール−5,5−ジメチルヒダントイン(グライダ
ント:株式会社ロンザ製)、1−ヒドロキシメチル−
5,5−ジメチルヒダントイン、3−ヒドロキシメチル
−5,5−ジメチルヒダントイン、N,N′−メチレン
ビス[N′−[1−(ヒドロキシメチル)−2,5−ジ
オキソ−4−イミダゾリジニル]ウレア](ジャーマル
115:SUTTON LABO.INC.製)、ヘキ
サヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチ
ル)−s−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−ト
リエチル−s−トリアジン等が挙げられる。
【0023】また、銀系無機殺菌剤、即ち銀を担持した
無機殺菌剤も、本発明に従う消毒剤組成物において、殺
菌剤として用いることが出来る。なお、ここで言う銀系
無機殺菌剤には、銀、または銀と共に銅、亜鉛等を担持
させたものも含まれる。具体的には、銀系無機殺菌剤と
して、ゼオライトにイオン交換により銀イオンを担持さ
せたもの(品川燃料株式会社製)、リン酸カルシウムに
銀を吸着させたもの(株式会社サンギ製)、リン酸ジル
コニウムにイオン交換により銀イオンを担持させたもの
(東亞合成化学株式会社)、酸化ケイ素(SiO2 )に
銀錯体を吸着させたもの(松下電器産業株式会社)、ガ
ラス成分に酸化銀を溶解させたもの(石塚硝子株式会
社)、チタニア系担体に銀イオンを吸着させたもの等を
挙げることが出来る。
【0024】さらに、上述した銀系無機殺菌剤だけでは
効果が得られない、スタフィロコッカス( Staphylococ
cus )属等の多くのグラム陽性菌の殺菌を行なう場合に
は、塩酸クロルヘキシジンを併用してもよい。
【0025】また、前記水溶性ポリマーを溶解するため
の溶剤としては、エタノール、メタノール、またはそれ
らにイソプロパノールや水を添加せしめたもの等のアル
コール性溶剤が用いられる。そして、殺菌効果の点か
ら、好ましくはエタノール、より好ましくはエタノール
濃度が70〜85重量%の消毒用エタノールが、有利に
用いられるのである。また、これらアルコール性溶剤
に、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の
アルコール以外の溶剤が添加されたものを用いても、何
等差し支えない。
【0026】そして、かかるアルコール性溶剤に、前記
親水性ポリマーが溶解せしめられ、更に前記殺菌剤が混
合、分散せしめられることによって、本発明に従う消毒
剤組成物が調製されるのである。勿論、親水性ポリマー
と殺菌剤とが同時にアルコール性溶剤に加えられ、溶解
又は分散せしめられたり、溶剤中で重合した親水性ポリ
マー溶液に殺菌剤とアルコールを加えたりすることによ
って、目的とする消毒剤組成物が調製されても、何等差
し支えないことは、言うまでもないところである。
【0027】なお、上記の如くして調製される本発明に
従う消毒剤組成物において、その組成物中の親水性ポリ
マー濃度は、通常、0.05〜5重量%とされ、好まし
くは0.15〜3重量%とされる。けだし、ポリマー濃
度が0.05重量%未満である場合には、殺菌剤の固着
効果が不充分となるからであり、一方5重量%を越える
場合には、消毒剤組成物の粘度が高くなり、消毒処理を
行ない難くなるからである。また、ポリビニールアルコ
ールは、前記親水性ポリマーの100重量部に対して、
1〜100重量部とされる。なお、ポリビニールアルコ
ールが1重量部未満である場合は、形成されるポリマー
被膜の均一性を高める効果が充分に発揮され得ず、また
100重量部を越える場合は、形成されるポリマー被膜
の耐水性が低下する。更に、本発明に従う消毒剤組成物
中に含有せしめられる殺菌剤の濃度は、0.01〜5重
量%とされ、好ましくは0.05〜3重量%とされる。
そして、消毒剤組成物中に含まれる親水性のポリマーと
殺菌剤との割合は、親水性ポリマー100重量部に対し
て、殺菌剤は1〜100重量部程度とされ、好ましくは
3〜50重量部とされる。けだし、殺菌剤の割合が低過
ぎる場合は、殺菌効果が充分に得られないからであり、
また殺菌剤の割合が高過ぎる場合には、消毒された面の
殺菌剤が過大となり、殺菌剤の固着が不充分となる等の
問題が生じるからである。
【0028】
【実施例】以下に、本発明を更に具体的に明らかにする
ために、本発明の幾つかの実施例を示すこととするが、
本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制
約をも受けるものでないことは、言うまでもないところ
である。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更
には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱し
ない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変
更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解さ
れるべきである。
【0029】実施例 1 先ず、500mLの三つ口丸底フラスコに攪拌機及びジ
ムロートをセットし、内部を充分に窒素置換した後、窒
素気流下にて、2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(和光純薬工業株式会社製):50.01g、メタノー
ル(和光純薬工業株式会社製):200mL、及び2,
2′−アゾビス(イソブチロニトリル):0.63gを
装入し、60℃の温度にて、3時間、攪拌しながら重合
を行なった。そして、その得られた重合反応物溶液を冷
却した後、更にメタノール:100mLを加えて、希釈
した。次いで、このようにして得られた直鎖状2−ヒド
ロキシエチルメタクリレートポリマーのメタノール溶液
を、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製):10Lに
徐々に添加しながら、直鎖状2−ヒドロキシエチルメタ
クリレートポリマーを再沈させた。そして、かかる沈殿
を濾過した後、減圧下にて乾燥して、35.5gの直鎖
状の2−ヒドロキシエチルメタクリレートホモポリマー
を得た。また、かくして得られたポリマーの含水率を測
定したところ、38%であった。
【0030】次に、この得られた直鎖状2−ヒドロキシ
エチルメタクリレートホモポリマー:0.25gと、け
ん化度38.3モル%のポリビニルアルコール(LM−
10HD:クラレ株式会社製):0.05gと、殺菌剤
としての2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジ
オール(ブロノポール:株式会社ミドリ十字製):0.
10gとを、80重量%濃度の消毒用エタノール(日本
薬局方:甘糟化学産業株式会社製):100gに溶解し
て、目的とする消毒剤組成物を調製した。次いで、この
消毒剤組成物溶液をスライドガラス3枚の両面にそれぞ
れ3回ずつ塗布して、一晩、風乾した。なお、この時、
スライドガラス上に形成されたポリマー被膜を観察した
ところ、均一であった。
【0031】そして、シャーレ(直径90mm)に、1
50mm×150mmの大きさに切ったポリ塩化ビニル
製のラップを敷き、この上に、前記スライドガラスを置
き、更にその上に Staphylococcus aureus IFO 13276
の菌液(7.6×105 /mL):0.2mLずつを、
殺菌処理したそれぞれのスライドガラスに載せた。次い
で、菌液がスライドガラスに均一に接触するように、前
記ラップでスライドガラスを包んでから、シャーレの蓋
を閉めた。これを、23℃で、6時間置いた後、4.8
mLの生理食塩水でスライドガラス及びラップを洗い流
し、これをトリプトソイ寒天培地で培養し、スライドガ
ラス1枚当たりの生菌数を測定したところ、3枚とも生
菌数は0であり、充分な殺菌効果(消毒効果)が得られ
ることが分かった。
【0032】比較例 1 実施例1と同様にして得られた直鎖状2−ヒドロキシエ
チルメタクリレートホモポリマー:0.25gと、殺菌
剤としての2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−
ジオール(ブロノポール:株式会社ミドリ十字製):
0.10gとを、80重量%濃度の消毒用エタノール:
100gに溶解して、目的とする比較例の組成物を調製
した。これをスライドガラス3枚の両面に3回ずつ塗布
した後、一晩、風乾した。なお、この時、スライドガラ
ス上に形成されたポリマー被膜を観察したところ、それ
は極めて不均一であった。そして、それらスライドガラ
スのそれぞれに Staphylococcus aureus IFO 13276 の
菌液(7.6×105 /mL):0.2mLずつを載
せ、以下実施例1と同様にして生菌数を調べたところ、
それぞれ、スライドガラス1枚当たり、30、100、
24となり、殺菌効果が不充分であるという結果が得ら
れた。
【0033】比較例 2、3 実施例1と同様に調製して得られた直鎖状2−ヒドロキ
シエチルメタクリレートホモポリマー:0.2gと、殺
菌剤としてのジメチロール−5,5′−ジメチルヒダン
トイン(グライダント:ロンザ株式会社製):0.1g
とを、80重量%濃度の消毒用エタノール:22.5g
に溶解して、比較例2の組成物を調製した。次いで、か
かる組成物をスライドガラスの両面に1回ずつ塗布し、
これを一晩、風乾した後、スライドガラス上に形成され
たポリマー被膜を観察したところ、それらは極めて不均
一であった。また、比較例3としてジメチロール−5,
5′−ジメチルヒダントインを添加せず、前記親水性ポ
リマーのみを80重量%濃度の消毒用エタノールに溶解
して、比較例3の組成物を調製した。そして、それを上
記と同様にスライドガラスに塗布した。なお、サンプル
は、比較例2、3共に、それぞれ5枚ずつ用意した。そ
して、実施例1と同様に、該スライドガラスに Staphyl
ococcus aureus IFO 13276 の菌液を0.2mLずつ載
せ、以下、実施例1と同様にして、6時間後の生菌数を
調べ、その結果を、下記表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】実施例 2〜6 実施例1と同様にして得られた直鎖状2−ヒドロキシエ
チルメタクリレートホモポリマー:0.5gと、けん化
度43.6モル%のポリビニルアルコール(LM−10
H:クラレ株式会社製):0.03gと、所定の殺菌
剤:0.5gとを、80重量%濃度の消毒用アルコー
ル:100gに溶解して、目的とする消毒剤組成物を得
た。そして、以下、実施例1と同様に、殺菌効果試験を
行ない、その結果を、表2に示した。なお、殺菌剤とし
ては、実施例2ではポリヘキサメチレンビグアニド(コ
スモシルCQ:株式会社ゼネカ製)を、実施例3では2
−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(ブ
ロノポール:株式会社ミドリ十字製)を、実施例4では
ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン(グライ
ダント:株式会社ロンザ製)を、実施例5では塩酸クロ
ルヘキシジン(東京化成工業株式会社製)を、実施例6
では10重量%濃度の塩化ベンザルコニウム(和光純薬
工業株式会社製)を、それぞれ用いた。
【0036】比較例 4 前記の実施例において、殺菌剤を入れないこと以外は、
上記実施例2〜6と同様の条件で、比較例の組成物を調
製し、同様に殺菌効果試験を行ない、その結果を、下記
表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】実施例 7〜9 実施例1と同様にして得られた直鎖状2−ヒドロキシエ
チルメタクリレートホモポリマー:1.0gと、けん化
度38.3モル%のポリビニルアルコール(LM−10
HD:クラレ株式会社製):0.05gと、所定の殺菌
剤とを、80重量%濃度の消毒用エタノール:100g
に溶解して、目的とする消毒剤組成物を調製した。そし
て、実施例1と同様に殺菌効果を調べ、その結果を、下
記表3に示した。なお、殺菌剤としては、実施例7では
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール
(ブロノポール:株式会社ミドリ十字製):0.75g
を、実施例8では2−ブロモ−2−ニトロプロパン−
1,3−ジオール:0.10gを、実施例9ではポリヘ
キサメチレンビグアニド(コスモシルCQ:株式会社ゼ
ネカ製):0.10gを、それぞれ用いた。
【0039】比較例 5 殺菌剤を加えないこと以外は、上記実施例7〜9と同様
にして、目的とする組成物を調製し、その殺菌効果を調
べ、その結果を、下記表3に示した。
【0040】
【表3】
【0041】実施例 10〜15及び比較例 6〜12 下記表4に示す組成(重量基準)の消毒剤組成物を、8
0重量%濃度の消毒用エタノールを溶剤として、それぞ
れ調製した。次いで、これをポンプ式スプレー容器に入
れ、これを用いて、スライドガラス及びポリメチルメタ
クリレート樹脂板にスプレーした。そして、それらを風
乾した後、形成された殺菌剤を含有するポリマー被膜の
状態及びその湿潤耐磨耗性(耐水性)について調べ、そ
の結果を、下記表4に併せ示した。なお、被膜の状態
は、その均一性について調べ、四段階評価して、◎:
優、○:良、×:不可として示した。また、ポリマー被
膜の湿潤摩耗性は、消毒処理後、風乾したスライドガラ
ス或いはポリメチルメタクリレート樹脂板を水中に2分
間浸漬して、その後に指で擦ったとき、強く擦っても全
く剥がれなかったものを◎、強く擦っても殆ど剥がれな
かったものを○、少し強く擦ると剥がれたものを△、簡
単に剥がれたものを×として評価した。
【0042】
【表4】 PHEMA :ポリヒドロキシエチルメタクリレート PVA :ポリビニルアルコール ブロノポール:2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,
3−ジオール

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2−ヒドロキシエチルメタクリレートの
    直鎖状ホモポリマー或いは2−ヒドロキシエチルメタク
    リレートと他の親水性モノマー及び/又は疎水性モノマ
    ーとのコポリマーであって、含水率:30〜50%の水
    不溶性フィルムを形成する能力を有する親水性ポリマー
    の100重量部と、けん化度が5〜75%のポリビニル
    アルコールの1〜100重量部とを、アルコール系溶剤
    に溶解せしめ、これに、殺菌剤を溶解若しくは分散せし
    めてなることを特徴とする消毒剤組成物。
  2. 【請求項2】 前記殺菌剤が、ホルムアルデヒドドナー
    である請求項1に記載の消毒剤組成物。
  3. 【請求項3】 前記親水性ポリマーが、0.05〜5%
    の濃度において存在せしめられる請求項1又は請求項2
    に記載の消毒剤組成物。
  4. 【請求項4】 前記殺菌剤が、全ポリマーに対して1〜
    100重量%の割合で含有せしめられる請求項1乃至請
    求項3の何れかに記載の消毒剤組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の
    消毒剤組成物を用いて、消毒対象物を処理することによ
    り、該消毒対象物の表面に、前記親水性ポリマーで固定
    された前記殺菌剤を含む被膜を形成せしめることを特徴
    とする消毒方法。
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