JPH0732015A - ロール幅調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 許容圧延反力や許容圧延トルクを小さくする
ことなく、低コストで、十分なロール幅調整量を持つロ
ール幅調整装置を提供する。 【構成】 ロール軸受にて支持したロール軸の外周に、
ロールスリーブを嵌合した中空軸を、ライン中心に対し
てそれぞれ軸対称の位置に、ロール軸に対して軸方向移
動可能に嵌合し、回転方向をすべりキーで連結する。さ
らに、中空軸のロール軸受側にそれぞれ右ねじ、左ねじ
になるように等ピッチのめねじを刻み、ロール軸に回転
方向、軸方向とも緩み勝手に埋設したねじスリーブと噛
み合わせる。ねじスリーブの軸受側外周に、ピニオンを
刻み、駆動装置とクラッチで接続された回転軸に設けた
ギアと噛み合わせる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水平ロールの胴幅を任
意に調整することができる、ロール幅調整装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】Ｈ形鋼の圧延において、異なる寸法のＨ
形鋼を圧延するためにユニバーサルミルやエッジングミ
ルの水平ロールの幅を変更することが必要であり、従
来、圧延するＨ形鋼寸法に対応したロールを準備してお
き圧延していた。しかしこのような方法では、ロール準
備数が多大で、かつ、圧延サイズ毎に組替が必要で多大
の組替時間を要するという欠点があった。

【０００３】このため、ロール準備数の減少を目的に、
従来から各種の構造のロール幅調整装置が提案されてき
た。

【０００４】たとえば、特開昭６２−１５６００７公報
には、ロール軸を中実軸と中空軸に分割し、それぞれの
ロール軸を軸方向に移動可能に嵌合し、回転方向をすべ
りキーで連結するとともに、中空軸の軸受外側端部にロ
ール幅調整スクリューを中実軸の軸受外側軸端に押圧可
能に設けた、ロール幅調整装置が開示されている。

【０００５】また、特開昭６１−１７３１０公報には、
ロール軸を中実軸と中空軸に分割し、それぞれのロール
軸を軸方向に移動可能に嵌合し、回転方向をすべりキー
で連結するとともに、中空軸の軸受外側端部と中実軸の
軸受外側軸端の間にロール幅調整用油圧シリンダーを設
けた、ロール幅調整装置が提案されている。

【０００６】さらに、特開昭６２−１７６６０４公報に
は、ロール軸に、２個のロールスリーブを、１個は軸方
向に移動可能に嵌合し回転方向をすべりキーで連結し、
もう１個を軸方向回転方向ともに固定に嵌合するととも
に、それぞれのロールスリーブ間にロール幅調整スクリ
ューを設けた、ロール幅調整装置が開示されている。

【０００７】また、実開平４−１０８９０２公報には、
ロール軸の外周に中空軸を軸方向に移動可能に嵌合し、
回転方向をすべりキーで連結するとともに、ロール軸の
軸受内側ネック部にて中空軸とロール軸の間にロール幅
調整スクリューを設けた、ロール幅調整装置が開示され
ている。

【０００８】さらに、特開昭６１−９９０６公報には、
ロール軸に、２個のロールスリーブを締嵌めし、ロール
軸と各スリーブ部分の嵌合面に高圧流体導入用通路を設
け、通常時はロール軸と各スリーブ部分間の締嵌めによ
り圧延トルクを伝達させ、ロール幅調整時に、高圧流体
導入用通路に高圧流体を導入し、ロール軸と各スリーブ
部分の嵌合を解除させ、２つのスリーブ間に設けたロー
ル幅調整装置により、ロール幅を調整するロール幅調整
装置が開示されている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】このように、各種の構
造のロール幅調整装置が提案されてはいるが、そのいず
れもが今だ十分な機能や効果を持つものとは言えない面
が多々残っている。

【００１０】たとえば、従来技術の項で挙げた特開昭６
２−１５６００７公報のものでは、中空ロール軸が中実
ロール軸の外周にロール軸受の外側まで延設されている
ため、中実ロール軸のロールネック径が細くなるため、
同一体格の一体ロールの場合に比べ、水平方向の許容圧
延反力が小さくなるという傾向にある。また、ロール軸
受の外側にロール幅調整装置があるため、ロール全長が
長くなり、さらに、内面、外面とも高精度な機械加工を
要する中空ロール軸の軸長が長くなるため、設備コスト
が高くなる。

【００１１】また、特開昭６１−１７３１０公報のもの
も、中空ロール軸が中実ロール軸の外周にロール軸受の
外側まで延設されているため、前述のものと同様、同一
体格の一体ロールの場合に比べ、水平方向の許容圧延反
力が小さくなるという傾向にあり、また、内面、外面と
も高精度な機械加工を要する中空ロール軸の軸長が長く
なり、設備コストが高くなる。

【００１２】さらに、特開昭６２−１７６６０４公報の
ものでは、それぞれのロールスリーブの間にロール幅調
整スクリューを設けているため、調整できる最小ロール
幅が大きくなる傾向にあり、ウェブ高さの低い形鋼の製
造ができないなど、被圧延材料の寸法制約が大きくな
る。

【００１３】また、実開平４−１０８９０２公報のもの
は、ロール軸の軸受内側ネック部にロール幅調整スクリ
ューを設けているため、調整できる最大ロール幅が小さ
くなる傾向にあり、ウェブ高さの高い形鋼の製造ができ
ないなど、被圧延材料の寸法制約が大きくなる。

【００１４】また、特開昭６１−９９０５公報のもので
も、それぞれのロールスリーブの間にロール幅調整装置
を設けているため、調整できる最小ロール幅が大きくな
る傾向にあり、また、被圧延材料の寸法制約が大きくな
り、かつロール幅調整時にロールスリーブとロール軸の
間の嵌合を高圧流体にて解除するため、高圧流体発生装
置ならびにその導入路が必要であるので設備コストが高
くなる上に、ロールスリーブとロール軸の間で伝達しう
るトルクが高圧流体にてロールスリーブ内径を拡げ得る
範囲に限定され、圧延トルクの制約が大きくなる傾向に
ある。

【００１５】このように、いずれの技術においても、被
圧延材料の寸法制約、水平方向の許容圧延反力、設備コ
ストといった面で、今だ十分な機能や効果を持つものと
は言えない。

【００１６】本発明において解決すべき課題は、許容圧
延反力や許容圧延トルクを小さくすることなく、低コス
トで、十分なロール幅調整量を持つロール幅調整装置を
提供することにある。

【００１７】

【課題を解決するための手段】本発明は、ロール軸に中
空軸を軸方向に移動可能に嵌合し、回転方向をすべりキ
ーで連結するとともに、ロール軸と中空軸の嵌合部直近
にロール幅調整スクリューを設けることを特徴とする。

【００１８】

【作用】ロール軸と中空軸の嵌合部直近にロール幅調整
スクリューを設けるので、中空軸をロール軸のロール軸
受の外側まで延設する必要がないため、内側のロール軸
の軸径が同一体格の一体ロール並みに取れるので、水平
方向の許容圧延反力が同一体格の一体ロールの場合と同
等なものとなる。また、ロール全長も同一体格の一体ロ
ール並みですみ、さらに、内面、外面とも高精度な機械
加工を要する中空軸の軸長が短いため、設備コストも安
くてすむ。

【００１９】また、ロール軸と中空軸の嵌合部直近にロ
ール幅調整スクリューを設けるため、それぞれの中空軸
間、中空軸とロール軸受の間に複雑なロール幅調整装置
がないため、調整し得る最小ロール幅、最大ロール幅の
制約が少なく、その結果、ロール幅調整量を大きく取る
ことができる。

【００２０】さらに、ロール軸と中空軸の間をすべりキ
ーで連結しており、圧延トルクがすべりキーで伝達され
るため、ロール幅調整時にロール軸と中空軸の間に高圧
流体を発生させる必要がなく、高価な高圧流体発生装置
が不要でコスト安であり、圧延トルクの制約も小さい。

【００２１】

【実施例】図１は、本発明の実施例の一例を示す図であ
る。ロール軸１は一体ロールのアーバー軸と同様の中実
ロールで、ロール軸受２ａ，２ｂにて支持する。一方、
ロール軸１の外周に中空軸３ａ，３ｂを、ライン中心に
対してそれぞれ軸対称の位置に、ロール軸１に対して軸
方向に移動可能に嵌合し、回転方向をすべりキー４ａ，
４ｂで連結する。中空軸３ａ，３ｂの外周にはそれぞれ
被圧延材に直接接触するロールスリーブ５ａ，５ｂを嵌
合する。さらに、中空軸３ａ，３ｂのロール軸受２ａ，
２ｂ側にめねじを６ａ，６ｂをそれぞれ右ねじ、左ねじ
になるように等ピッチのねじを延設し、ロール軸１に回
転方向軸方向ともに緩み勝手に埋設したねじスリーブ７
ａ，７ｂと噛合せる。ねじスリーブ７ａ，７ｂの軸受２
ａ，２ｂ側の外周にはそれぞれねじスリーブ回転用ピニ
オン８ａ，８ｂを刻設し、軸受箱９ａ，９ｂに設置し、
回転駆動装置１０とクラッチ１１で接続された回転軸１
２に設置した２つのギア１３ａ，１３ｂと噛み合わせ
る。

【００２２】通常時は、クラッチ１１が断続の状態で圧
延する。水平圧延反力はロールスリーブ５ａ，５ｂから
中空軸３ａ，３ｂを通り、中空軸３ａ，３ｂとロール軸
１の嵌合面を通して、ロール軸１からロール軸受２ａ，
２ｂ、さらに軸受箱９ａ，９ｂに伝達される。軸方向圧
延反力は、水平圧延反力はロールスリーブ５ａ，５ｂか
ら中空軸３ａ，３ｂを通り、中空軸３ａ，３ｂとねじス
リーブ７ａ，７ｂの間のねじを通して、ねじスリーブ７
ａ，７ｂへ、さらにねじスリーブ７ａ，７ｂとロール軸
１の軸方向接触面を通し、ロール軸１からロール軸受２
ｃ、軸受箱９ａへと伝達される。圧延トルクは、ロール
軸１から、ロール軸１と中空軸３ａ，３ｂの間のすべり
キー４ａ，４ｂを通して、中空軸３ａ，３ｂ、ロールス
リーブ５ａ，５ｂに伝達される。この時、ねじスリーブ
７ａ，７ｂは、軸方向圧延反力によりロール軸１に軸方
向接触面に押し付けられており、摩擦力によりロール軸
１と同調して回転しており、また、中空軸３ａ，３ｂも
すべりキー４ａ，４ｂによりロール軸１と同調して回転
しているため、結局、ねじスリーブ７ａ，７ｂと中空軸
３ａ，３ｂは同調して回転していることになり、回転方
向の相対的な速度差がないため、ロール幅は一定に保た
れる。また、回転軸１２はギア１３ａ，１３ｂとピニオ
ン８ａ，８ｂを介してねじスリーブ７ａ，７ｂと同調し
て回転するが、クラッチ１１が断続の状態であるので回
転駆動装置１０に回転が伝達されることがないため、ロ
ール幅は一定に保たれる。

【００２３】ロール幅調整時には、クラッチ１１を接続
させ、回転駆動装置１０を起動させて回転軸１２を回転
させ、ギア１３ａ，１３ｂとピニオン８ａ，８ｂを介し
てねじスリーブ７ａ，７ｂを回転させる。この時は圧延
を行っていないため軸方向圧延反力が発生しておらず、
そのため、ねじスリーブ７ａ，７ｂはロール軸１に拘束
されていないため、ねじスリーブ７ａ，７ｂはロール軸
１とは別個に独立して回転する。また中空軸３ａ，３ｂ
はすべりキー４ａ，４ｂによりロール軸１と連結されて
いるため、ロール軸１に対して独立して回転することは
ない。その結果、ねじスリーブ７ａ，７ｂは中空軸３
ａ，３ｂに対して相対的な速度差をもって回転すること
になり、中空軸３ａ，３ｂとねじスリーブ７ａ，７ｂの
間にはねじが刻設してあるため、中空軸３ａ，３ｂはね
じスリーブ７ａ，７ｂに対して軸方向に移動する。ねじ
スリーブ７ａ，７ｂはロール軸１に埋設されており、ロ
ール軸１に対して軸方向に移動できないため、中空軸３
ａ，３ｂはロール軸１に対して軸方向に移動する。中空
軸３ａ，３ｂに刻設されたねじはそれぞれ等ピッチの右
ねじ、左ねじであるので、それぞれ、ライン中心に均等
振り分けでロール幅調整ができる。

【００２４】なお、図１の実施例では、ねじスリーブ７
ａ，７ｂをロール軸１に回転方向軸方向ともに緩み勝手
に埋設した実施例を示したが、図２に示すように、ねじ
スリーブ７ａ，７ｂを、ロール軸１にねじスリーブ７
ａ，７ｂが緩まない程度に締まり嵌めを行い、ロール軸
１とねじスリーブ７ａ，７ｂの間に高圧流体導入用通路
を設け、通常時はロール軸１とねじスリーブ７ａ，７ｂ
間の締嵌めによりねじスリーブ７ａ，７ｂがロール軸１
と同調回転するようにし、ロール幅調整時に、高圧流体
導入用通路に高圧流体を導入し、スリーブ７ａ，７ｂの
内径が膨張させることにより、ロール軸１とねじスリー
ブ７ａ，７ｂ間の嵌合を解除させ、ねじスリーブ７ａ，
７ｂがロール軸１に対し回転自由にするような構成にし
てもよい。このときのロール軸１とねじスリーブ７ａ，
７ｂ間の嵌合は、ねじスリーブ７ａ，７ｂの慣性モーメ
ントに相当するトルクで伝達できる程度の締め代でよ
く、圧延トルクを伝達する程のトルクを必要としないた
め、高圧流体の圧力は比較的低圧なものでよく、特別な
高圧発生装置を必要としないため、コスト安で済む。ま
た、圧延トルクは、ロール軸１から、ロール軸１と中空
軸３ａ，３ｂの間のすべたキー４ａ，４ｂを通して、中
空軸３ａ，３ｂ、ロールスリーブ５ａ，５ｂに伝達され
るため、ロール軸１とねじスリーブ７ａ，７ｂ間の嵌合
に影響されることなく高い許容圧延トルクを持つことは
言うまでもない。

【００２５】さらに、上記実施例では、ロール幅調整時
に、回転駆動装置１０を起動させ、回転軸１２を回転さ
せ、ギア１３ａ，１３ｂとピニオン８ａ，８ｂを介して
ねじスリーブ７ａ，７ｂを回転させる例を示したが、回
転軸１２を固定させ、ギア１３ａ，１３ｂとピニオン８
ａ，８ｂを介してねじスリーブ７ａ，７ｂを固定し、ロ
ール軸１を回転させてすべりキー４ａ，４ｂを介して中
空軸３ａ，３ｂを回転させることによっても、ロール幅
調整が可能である。この時のねじスリーブ７ａ，７ｂを
固定する方法としては、ピニオン８ａ，８ｂを直接外部
からクランプする方法であってもかまわない。

【００２６】また、上記実施例では、ロール改削による
ランニングコストの低減を狙い、中空軸３ａ，３ｂの外
周にそれぞれ被圧延材に直接接触するロールスリーブ５
ａ，５ｂを嵌合する方式を示したが、中空軸３ａ，３ｂ
とロールスリーブ５ａ，５ｂが一体のものであっても、
本発明の実施になんら差支えない。

【００２７】

【発明の効果】本発明は、ロール軸に中空軸を軸方向に
移動可能に嵌合し、回転方向をすべりキーで連結すると
ともに、ロール軸と中空軸の嵌合部直近にロール幅調整
スクリューを設けてあるため、許容圧延反力や許容圧延
トルクを小さくすることなく、低コストで、十分なロー
ル幅調整量を持つことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のロール幅調整装置の実施例を示す断面
図。

【図２】本発明のロール幅調整装置の別の実施例を示す
断面図。

【図３】（ａ），（ｂ）は従来技術のロール幅調整装置
で、ロール軸を中実軸と中空軸に分割し、それぞれのロ
ール軸を軸方向に移動可能に嵌合し、回転方向をすべり
キーで連結するとともに、中空軸の軸受外側端部にロー
ル幅調整スクリューを中実軸の軸受外側軸端に押圧可能
に設けたものの側面及び平面説明図。

【図４】従来技術のロール幅調整装置で、ロール軸を中
実軸と中空軸に分割し、それぞれのロール軸を軸方向に
移動可能に嵌合し、回転方向をすべりキーで連結すると
ともに、中空軸の軸受外側端部と中実軸の軸受外側軸端
の間にロール幅調整用油圧シリンダーを設けたものの説
明図。

【図５】従来技術のロール幅調整装置で、２個のロール
スリーブを、１個は軸方向に移動可能に嵌合し回転方向
をすべりキーで連結し、もう１個をロール軸に軸方向回
転方向ともに固定に嵌合するとともに、それぞれのロー
ルスリーブ間にロール幅調整スクリューを設けたものの
説明図。

【図６】従来技術のロール幅調整装置で、ロール軸の外
周に中空軸を軸方向に移動可能に嵌合し、回転方向をす
べりキーで連結するとともに、ロール軸の軸受内側ネッ
ク部にて中空軸とロール軸の間にロール幅調整スクリュ
ーを設けたものの説明図。

【図７】従来技術のロール幅調整装置で、ロール軸に、
２個のロールスリーブを締嵌めし、ロール軸と各スリー
ブ部分の嵌合面に高圧流体導入用通路を設け、通常時は
ロール軸と各スリーブ部分間の締嵌めにより圧延トルク
を伝達させ、ロール幅調整時に、高圧流体導入用通路に
高圧流体を導入し、ロール軸と各スリーブ部分の嵌合を
解除させ、２つのスリーブ間に設けたロール幅調整装置
により、ロール幅を調整するものの説明図。

【符号の説明】

１…ロール軸 ２ａ，２ｂ…ロ
ール軸受 ３ａ，３ｂ…中空軸 ４ａ，４ｂ…す
べりキー ５ａ，５ｂ…ロールスリーブ ６ａ，６ｂ…め
ねじ ７ａ，７ｂ…ねじスリーブ ８ａ，８ｂ…ス
リーブ回転用ピニオン ９ａ，９ｂ…軸受箱 １０…回転駆動
装置 １１…クラッチ １２…回転軸 １３ａ，１３ｂ…ギア

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロール軸に中空軸を軸方向に移動可能に
   嵌合し、回転方向をすべりキーで連結するとともに、ロ
   ール軸と中空軸の嵌合部直近のロール軸受側の位置にロ
   ール幅調整スクリューを設けることを特徴とするロール
   幅調整装置。