JPH07314178A - オーステナイト系ステンレス鋼用ガスシールド溶接ワイヤ - Google Patents

オーステナイト系ステンレス鋼用ガスシールド溶接ワイヤ

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JPH07314178A
JPH07314178A JP13674794A JP13674794A JPH07314178A JP H07314178 A JPH07314178 A JP H07314178A JP 13674794 A JP13674794 A JP 13674794A JP 13674794 A JP13674794 A JP 13674794A JP H07314178 A JPH07314178 A JP H07314178A
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welding
austenitic stainless
stainless steel
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cracking
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Shigeru Okita
茂 大北
Takashi Tanaka
隆 田中
Nobutaka Yurioka
信孝 百合岡
Satoyuki Miyake
聰之 三宅
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Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 核融合炉、非磁性構造物等の極低温用途およ
び高速増殖炉、ボイラーの容器など高温用途のオーステ
ナイト系ステンレス鋼、高合金鋼用溶接ワイヤを提供す
る。 【構成】 C、Si、Mn、Cr、Ni、Cu、Nを適
量含有し、Mo、W、Zr、Ti、Nb、Vの1種また
は2種以上を適量含有し、PH=Cr+Ni+Mo+3
0C+18N+1.5Si+0.5Nbが20以上35
以下の範囲にあるオーステナイト系ステンレス鋼用ガス
シールド溶接ワイヤ。 【効果】 溶接金属中にδフェライトを生成させること
なく割れを防止し、低温用においては完全な非磁性を達
成し、高温用においてはクリープ特性を改善する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は核融合炉、非磁性構造物
等の極低温用途および高速増殖炉、ボイラーの容器など
高温用途のオーステナイト系ステンレス鋼、高合金鋼用
溶接ワイヤに関するものである。また、これらの溶接ワ
イヤは、一般構造用、耐食鋼用としても利用できる。
【0002】
【従来の技術】これまでオーステナイト系ステンレス鋼
を溶接する場合には、完全に母材と同一成分で溶接する
と高温割れが発生するため、それを防止するために溶接
金属中にδフェライトを数%生成させるのが通常であっ
た。しかしながら、δフェライトが生成するとδフェラ
イトそのものによる低温靱性の低下、高温使用時に生成
するσ相による脆化、成分元素の分配、偏析により、耐
食性の劣化などの問題があった。したがって、これまで
高温割れに考慮しつつ、有害なδフェライト量をできる
だけ低減して特性の向上を図っているのが現状である。
【0003】たとえば、耐高温割れ性を改善するために
Mnを2〜7%と高くしたり、P,Sを低減したり、あ
るいは希土類元素の添加などの対策を施した溶接ワイヤ
も種々提案されている(特開昭57−156894、同
63−13692、同59−10493)。しかし、こ
れらの技術はいずれもδフェライトの生成を前提として
おり、また溶接金属再熱部の割れに対して配慮がなされ
ていない。また、用途が異なるため、従来技術では本発
明が目的とする極低温用あるいは高温用の厚板溶接に対
しては、その溶接金属の特性が満足できなかった。一
方、完全オーステナイトの溶接金属にて極低温特性の改
善を目的とした溶接材料も開発されている(特開昭58
−97494)が、これは強度、溶接高温割れに対する
十分な考慮がなされていないため、極厚材の溶接施工の
点で十分ではなかった。
【0004】一方、熱膨張率が小さく高温割れ性が低い
Ni基合金(たとえばインコネル625)も、主として
耐熱用に開発されたため、靱性は優れているものの本目
的に対応するに十分な耐力が得られないという課題があ
った(例えば特開昭47−42441、同51−830
31、同56−128696など)。また、高耐食用途
で高温割れ性を考慮したNi基溶接材料として、窒素を
0.1〜0.2%添加した成分のものが開示されている
(特開昭63−212091)が、この材料も板厚の比
較的薄いものには十分な耐高温割れ性を有しているもの
の本発明が目的とする板厚数十mm以上の極厚板構造物
に対しては耐高温割れ性が不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明のうち請求項1
に係わる発明(以下第1発明という)が対象とする構造
物は、主に液体He、液体H2 などの4K,20Kとい
った液化ガス貯蔵容器あるいは超伝導利用機器などの極
低温環境で使用されるものであり、その温度にて高強度
・高靱性を達成するために窒素入りオーステナイト系ス
テンレス鋼が主体に候補にあがっている。しかし、板厚
が極厚化(100−400mm)すること、低温強度改
善のため窒素含有量が多いことなどからその溶接金属で
は非常に溶接高温割れが発生し易い状況にある。本発明
は、極低温における溶接金属の靱性および非磁性特性改
善のために、溶接金属にδフェライトを生成させること
なく高温割れを防止することを第1の目的とする。
【0006】請求項2に係わる発明(以下第2発明とい
う)は主に高温用途のオーステナイト系ステンレス鋼を
対象とするが、第1発明と同様に、その溶接金属におい
て、高温使用時にσ相に変態して脆化の原因となるδフ
ェライトをなくすることにより、これまで溶接金属の特
性により制限されてきた構造物の使用制限を改善するも
のであり、本発明は高温での耐用期間を長時間に、ある
いは使用温度を高温にすることを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、重量%で、C :0.03%以下、
Si:0.1〜1.0%、Mn:5〜20%、Cr:1
2〜20%、Ni:5〜12%、Cu:0.02〜5.
0%、N :0.1〜0.3%、を含有し、Mo:0.
5〜5.0%、W :05〜5.0%、Zr:0.02
〜0.5%、Ti:0.02〜0.5%、Nb:0.0
4〜1.0%、V :0.08〜2.0%、の1種また
は2種以上を含有し、P :0.01%以下、S :
0.01%以下、に規制し、さらに(1)式に示すPH
が20以上35以下の範囲にあり、残部が不可避的不純
物および鉄からなることを特徴とするオーステナイト系
ステンレス鋼用ガスシールド溶接ワイヤである。 PH=Cr+Ni+Mo+30C+18N+1.5Si+0.5Nb ・・・ ・・・・・・・・(1)
【0008】またさらに、重量%で、C :0.02%
以下、Si:0.01〜1.0%、Mn:5〜20、P
:0.005〜0.02%、Cr:12〜20%、N
i:6〜10%、Cu:0.02〜5.0%、Mo:
0.5〜3.0%、N :0.05〜0.2%、を含有
し、W :0.1〜1.0%、Zr:0.01〜0.1
%、Ti:0.01〜0.1%、Nb:0.02〜0.
2%、V :0.04〜0.4%、の1種または2種以
上を含有し、S :0.01%以下、に規制し、さらに
前記(1)式に示すPHが20以上35以下の範囲にあ
り、残部が不可避的不純物および鉄からなることを特徴
とするオーステナイト系ステンレス鋼用ガスシールド溶
接ワイヤである。
【0009】
【作用】完全オーステナイト系ステンレス鋼の溶接金属
において発生する割れには、凝固時の割れと多層溶接時
の再熱部の割れの2種類があり、溶接時にはその両者を
防止する必要がある。そこで、本発明者らは凝固割れ性
の検討と多層溶接部の再熱割れの検討を行い次の知見を
得た。
【0010】まず、凝固時の割れ防止には凝固が終了す
る時にδフェライトを多くすることができれば偏析、局
部的な凝固収縮量も少なく割れにくくすることができ
る。本発明者らは溶接金属のMnを除くNi等量とCr
等量の和を制限しかつMnを適正量添加することによ
り、凝固時のδ量を増加させかつ冷却時にオーステナイ
トを安定化してδフェライトを消滅させることができる
ことを見いだした。
【0011】次に、再熱部の割れについて溶接ワイヤの
成分を種々変えて検討した結果、過剰の窒素、炭素など
が結晶粒界に集積して析出することが割れの原因である
ことを見いだした。しかし、低温および高温での強度向
上にはNは必須の元素であることからさらに検討を行っ
た結果、Ti,Nb,Wなどの炭窒化物形成元素を添加
することにより粒内の析出物を生成させ粒界析出物を低
減すれば、大幅に窒素を低減することなく割れを防止で
きることがわかった。
【0012】以下に本発明の第1発明の成分限定理由に
ついて述べる。まず、Cはオーステナイト系ステンレス
鋼溶接金属中において固溶して強度(耐力)を向上させ
る元素であるが、Cr,MoあるいはNbなどと結合し
て粒界に炭化物として析出し延性、靱性を阻害し、ま
た、高温割れ性にも有害であることから0.03%を上
限とし、通常の範囲内において低いほど望ましい。
【0013】Siはワイヤの脱酸元素として0.1%以
上添加されるが、多量の添加はFe−Cr−Mo系の金
属間化合物σ相、あるいはNb,Moなどとの炭化物の
生成を助長して延性、靱性、耐高温割れ性に有害であ
る。したがって上限を1.0%とした。
【0014】Mnは本発明の主旨である高温割れ防止に
主要な役割を果す元素である。Mnの相安定性におよぼ
す効果を詳細に検討すると、凝固時にδフェライトを増
加させる効果を持つことがわかった。凝固時の溶接金属
中のδフェライト量が増加すると凝固割れには有利であ
る。この効果はMnを5%以上添加すると顕著になる。
また、Mnは常温および低温域ではオーステナイトを安
定化させる方向に働く元素である。しかしながら、過剰
の添加は溶接作業性、ヒュームの問題など不都合が生じ
るため、上限を20%とする。
【0015】Crは耐食性の確保、低温加工後のオース
テナイトの安定化、Nの固溶を目的として12%以上添
加するが、過剰になると凝固温度から室温までの冷却時
にδ相を安定化して、低温でのMnによるγ相安定化の
効果が失われるため本発明においては上限を20%とす
る。
【0016】Niはオーステナイトマトリックスの安定
化元素であり延性および靱性確保の点から5%以上添加
するが、過剰になると凝固時にδフェライトが生成せず
高温割れ性を低下させることから、12%以下とする。
【0017】CuはNiと同様オーステナイトマトリッ
クスの安定化元素である。通常、0.02%程度は不純
物として混入する。オーステナイト安定化のために添加
する場合もあるが過剰になると、凝固時にδフェライト
が生成せず耐高温割れ性を低下させる危険があることか
ら5.0%を上限とする。
【0018】NはCと同様にマトリックスに固溶して低
温および高温での強度を向上させるがCよりも固溶量が
多く析出し難い元素である。本発明の主目的の強度確保
のためには、0.1%以上必要となる。しかし、凝固時
のオーステナイト安定化元素であるため溶接金属の高温
割れの面から0.3%以下に制限する。ただし、Nb,
Ti,V,Moなどの窒素固定元素が添加されない場合
には粒界に析出物を生じ易いため0.25%を超えない
ことが望ましい。
【0019】Mo,W,Zr,Ti,Nb,Vは、いず
れも炭窒化物形成元素であることから、炭素、窒素の粒
界析出を防止し再熱割れを防止することを主目的に1種
または2種以上添加する。また、マトリックスに固溶し
あるいはC,Nと析出物を形成して強度を向上させる効
果を合わせ持つ元素でもある。しかし、過剰添加は析出
物と金属間化合物の粗大化により、靱性の劣化を生じ
る。したがって、各元素の添加量の範囲を、Mo:0.
5〜5.0%、W:0.5〜5.0%、Zr:0.02
〜0.5%、Ti:0.02〜0.5%、Nb:0.0
4〜1.0%およびV:0.08〜2.0%とする。
【0020】PおよびSは、不可避の不純物であり溶接
高温割れを助長するため、少ないほど望ましく、それぞ
れ0.01%以下とする。
【0021】上記成分および残部としての鉄以外に、脱
酸材として添加されるAl,Ca,REM(希土類元
素)などおよび酸素などが不可避的不純物として残存す
るが、脱酸材は溶接作業性を低下させることから合計が
0.1%以下、また酸素は介在物源となり靱性を低下さ
せることから0.01%以下であることが好ましい。
【0022】PHはMn添加による高温割れ防止効果お
よびオーステナイト安定化効果が顕著である範囲を規定
するものである。すなわち、このPH値が小さいとMn
を添加しても加工、外力に対するオーステナイト相の安
定が得られにくく、反対に大きくなりすぎるとMnを添
加しても高温割れ性の改善ができない。したがって、P
Hの範囲を20〜35とする。
【0023】なお、第1発明の対象とする母材は、低温
で高耐力を得るために窒素を0.02%以上添加し、か
つ凝固割れ、再熱割れが問題となるような板厚数十mm
以上のオーステナイト系ステンレス鋼であるが、通常の
ステンレス鋼板にも適用可能である。また、溶接方法
は、本発明ワイヤが極低温用であることから、酸素量が
低く靱性に優れたTIG溶接法を対象とするが、高温割
れ防止のみを主目的とするならばMIGなどの一般のガ
スシールド溶接にも適用できる。
【0024】次に、第2発明について成分限定理由を述
べる。Cはオーステナイト系ステンレス鋼溶接金属中に
おいて、固溶、析出して強度(耐力)を向上させる元素
であるが、溶解度が小さいため多く添加すると時効(使
用時)中にCr,MoあるいはNbなどと結合して粒界
に炭化物として析出し、延性、靱性を阻害し、また、高
温割れ性にも有害である。したがって、上限は0.02
%とし、通常の範囲内において低いほど望ましい。
【0025】Siはワイヤの脱酸元素として0.01%
以上添加されるが、多量の添加はFe−Cr−Mo系の
金属間化合物σ相、あるいはNb,Moとの炭化物の生
成を助長して、延性、靱性、耐高温割れ性に有害であ
る。したがって、上限を1.0%とした。
【0026】Mnは本発明の主旨である高温割れ防止に
主要な役割を果す元素である。Mnの相安定性におよぼ
す効果を詳細に検討すると、凝固時にδフェライトを増
加させる効果を持つことがわかった。凝固時の溶接金属
中のδフェライト量が増加すると凝固割れには有利であ
る。この効果はMnを5%以上添加すると顕著になる。
また、Mnは通常および低温域ではオーステナイトを安
定化させる方向に働く元素である。しかしながら過剰の
添加は溶接作業性、ヒュームの問題など不都合が生じる
ため、上限を20%とする。
【0027】PはSと同様、高温割れを助長する元素で
あるが、同時にクリープ強度改善作用を持つことから、
0.005%〜0.02%の範囲で添加する。
【0028】Crは耐食性の確保、低温加工後のオース
テナイトの安定化、Nの固溶を目的として12%以上添
加するが、過剰になると凝固から常温への冷却時にδ相
を安定化して、低温でのMnによるオーステナイト相安
定化の効果が失われるために上限を20%とする。
【0029】Niはオーステナイトマトリックスの安定
化元素であり延性および靱性確保の点から6%以上添加
するが、過剰になると凝固時にδフェライトが生成せず
耐高温割れ性を低下させることから、10%以下とす
る。
【0030】CuはNiと同様オーステナイトマトリッ
クスの安定化元素である。通常、0.02%程度は不純
物として混入する。オーステナイト安定化のために添加
する場合もあるが過剰になると、凝固時にδフエライト
が生成せず高温割れ性を低下させる危険があることか
ら、5.0%を上限とする。
【0031】Moはマトリックスに固溶しあるいはC,
Nと析出物を形成して強度を向上させる効果を持つ元素
である。本発明においては、高温クリープ強度の改善の
ため0.5%以上添加する。しかし、過剰になると高温
使用中に脆いLAVES相などの金属間化合物を生成し
靱性劣化とクリープ破断強度の低下をきたすため、3.
0%を上限とする。
【0032】NはCと同様にマトリックスに固溶あるい
は析出して高温での強度を向上させる。また、Nはオー
ステナイト安定化元素でありかつCよりも固溶量が多い
ため種々の用途に有効に活用できる元素である。本発明
においては高温強度、クリープ強度改善のために0.0
5%以上添加するが、時効析出による靱性低下、クリー
プ延性低下などの制約から0.2%以下とする。
【0033】W,Zr,Ti.NbおよびVはいずれも
炭窒化物形成元素であることから、炭素、窒素の粒界析
出を防止し再熱割れを防止することを主目的に1種また
は2種以上添加する。また、固溶、析出により、いずれ
も強度を向上させる効果も持つ。しかし、析出物と金属
間化合物の粗大化による靱性の劣化防止のため、各元素
の添加量の範囲を、W:0.1〜1.0%、Zr:0.
01〜0.1%、Ti:0.01〜0.1%、Nb:
0.02〜0.2%、およびV:0.04〜0.4%と
する。
【0034】Sは不可避の不純物であり溶接高温割れを
助長するため、少ないほど望ましく、0.01%以下と
する。
【0035】上記成分および残部としての鉄以外に、脱
酸材として添加されるAl,Ca,REMなどおよび酸
素などが不可避的不純物として残存するが、脱酸材は溶
接作業性を低下させることから合計が0.1%以下、ま
た酸素は介在物源となることから0.01%以下である
ことが好ましい。
【0036】PHはMn添加による高温割れ防止効果お
よびオーステナイト安定化効果が顕著である範囲を規定
するものである。すなわち、このPH値が小さいとMn
を添加しても加工、外力に対するオーステナイト相の安
定が得られにくく、反対に大きくなりすぎるとMnを添
加しても高温割れ性の改善ができない。したがって、P
Hの範囲を20〜35とする。
【0037】なお、第2発明の対象とする母材は、高温
クリープ強度を得るために窒素、Moなどを添加し、か
つ凝固割れ、再熱割れが問題となるような板厚数十mm
以上のオーステナイト系ステンレス鋼であるが、通常の
ステンレス鋼板にも適用可能である。また、溶接方法
は、本発明ワイヤの対象が高速増殖炉などの重要構造物
であることから、酸素量が低く靱性に優れたTIG溶接
法を対象とするが、高温割れ防止のみを目的とするなら
ばMIGなどの一般のガスシールド溶接にも適用でき
る。
【0038】
【実施例】
実施例1 まず第1発明の実施例について説明する。表1に示す1
9種のオーステナイト系ステンレス鋼溶接ワイヤ(1.
2mm径)を作成した。表中No.1〜10は本発明ワ
イヤであり、No.11〜19は比較のための溶接ワイ
ヤである。
【0039】
【表1】
【0040】母材は表2に示す成分の板厚200mmの
ステンレス鋼板を用いた。溶接はTIG溶接法を用い、
片側8.5°の角度で加工し、ルートギャップを10m
mとして突き合わせた台形型の開先内に、250A,1
0V,12cpmの条件にて積層を行った。ワイヤの送
給速度は12gr/minとした。
【0041】
【表2】
【0042】各検討ワイヤの溶接性および77Kでの引
張試験の結果を表3に示した。本発明ワイヤでは、割れ
の無い良好な溶接部が得られ、かつ低温での耐力、引張
強さおよび靱性も十分大きい値が得られている。
【0043】
【表3】
【0044】実施例2 次に第2発明の実施例について本発明を説明する。表4
に示す16種のオーステナイト系ステンレス鋼溶接ワイ
ヤ(1.2mm径)を作成した。表中No.1〜9は本
発明ワイヤであり、No.10〜16は比較のための溶
接ワイヤである。
【0045】
【表4】
【0046】母材は表5に示す成分の板厚50mmのス
テンレス鋼板を用いた。溶接は深さ50mmの鋼板に片
側から幅12mm深さ25mmのU溝を加工し、250
A,10V,12cpmの条件にて1層1パスで積層を
行った。ワイヤの送給速度は10gr/minとした。
【0047】
【表5】
【0048】各検討ワイヤの溶接性および時効後の靱性
の評価の結果を表6に示した。本発明ワイヤでは、割れ
の無い良好な溶接部が得られ、かつ高温での時効後靱
性、クリープ破断強度も十分大きい値が得られている。
【0049】
【表6】
【0050】
【発明の効果】以上の実施例からもわかるように、極厚
の極低温構造物の溶接およびクリープ強度を要する構造
物の溶接に関して、δフェライトの生成無しに溶接が可
能となった。これにより、それぞれ、極低温における強
度・靱性に優れた溶接金属および高温におけるクリープ
強度・時効後靱性に優れた溶接金属が得られるようにな
った。また、本発明は、極低温および高温用途に限らず
オーステナイト系鋼材の溶接すべてに適用可能でありそ
の効果は非常に大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三宅 聰之 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、 C :0.03%以下、 Si:0.1〜1.0%、 Mn:5〜20%、 Cr:12〜20%、 Ni:5〜12%、 Cu:0.02〜5.0%、 N :0.1〜0.3%、 を含有し、 Mo:0.5〜5.0%、 W :0.5〜5.0%、 Zr:0.02〜0.5%、 Ti:0.02〜0.5%、 Nb:0.04〜1.0%、 V :0.08〜2.0%、 の1種または2種以上を含有し、 P :0.01%以下、 S :0.01%以下、 に規制し、さらに(1)式に示すPHが20以上35以
    下の範囲にあり、残部が不可避的不純物および鉄からな
    ることを特徴とするオーステナイト系ステンレス鋼用ガ
    スシールド溶接ワイヤ。 PH=Cr+Ni+Mo+30C+18N+1.5Si+0.5Nb ・・・ ・・・・・・・・(1)
  2. 【請求項2】重量%で、 C :0.02%以下、 Si:0.01〜1.0%、 Mn:5〜20%、 P :0.005〜0.02%、 Cr:12〜20%、 Ni:6〜10%、 Cu:0.02〜5.0%、 Mo:0.5〜3.0%、 N :0.05〜0.2%、 を含有し、 W :0.1〜1.0%、 Zr:0.01〜0.1%、 Ti:0.01〜0.1%、 Nb:0.02〜0.2%、 V :0.04〜0.4%、 の1種または2種以上を含有し、 S :0.01%以下、 に規制し、さらに(1)式に示すPHが20以上35以
    下の範囲にあり、残部が不可避的不純物および鉄からな
    ることを特徴とするオーステナイト系ステンレス鋼用ガ
    スシールド溶接ワイヤ。 PH=Cr+Ni+Mo+30C+18N+1.5Si+0.5Nb ・・・ ・・・・・・・・・・・・・(1)
JP13674794A 1994-05-27 1994-05-27 オーステナイト系ステンレス鋼用ガスシールド溶接ワイヤ Withdrawn JPH07314178A (ja)

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