JPH07310171A - 耐摩耗性に優れた硬質皮膜、硬質皮膜被覆工具及び硬質皮膜被覆部材 - Google Patents
耐摩耗性に優れた硬質皮膜、硬質皮膜被覆工具及び硬質皮膜被覆部材Info
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- JPH07310171A JPH07310171A JP10015394A JP10015394A JPH07310171A JP H07310171 A JPH07310171 A JP H07310171A JP 10015394 A JP10015394 A JP 10015394A JP 10015394 A JP10015394 A JP 10015394A JP H07310171 A JPH07310171 A JP H07310171A
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Abstract
なく、(Al,Ti)(B,N)より耐酸化性に優れし
かも高硬度を有して優れた耐摩耗性を発揮する硬質皮膜
を提供する。 【構成】 基材表面に形成される皮膜であって、 (Alx Ti1-x-y Siy )(Bz N1-z ) 但し、0.05≦x≦0.75 0.01≦y≦0.1 0.01≦z≦0.12 で示される化学組成からなる。尚上記硬質皮膜の厚さは
0.1〜20μmにすることが好ましく、また上記硬質
皮膜を、アーク放電方式イオンプレーティング法により
基材表面に形成すれば耐摩耗性に優れた硬質皮膜被覆工
具及び硬質皮膜被覆部材を得ることができる。
Description
工,穿孔加工等の加工に使用される切削工具の表面被覆
材、或は金型,軸受け,ダイス,ロールなど高硬度が要
求される耐摩耗部材の表面被覆材、もしくは成形機用ス
クリューやシリンダ等の耐熱・耐食部材の表面被覆材と
して有用な硬質皮膜、及び該硬質皮膜を被覆することに
よって優れた耐摩耗性を発揮する硬質皮膜被覆工具及び
硬質皮膜被覆部材に関するものである。
耗性が要求される切削工具は、工具の基材表面にTiN
やTiC等の硬質皮膜を形成することにより耐摩耗性の
向上が図られている。上記TiNとTiCの耐摩耗性を
比較すると、TiNは高温域における耐酸化性の点でT
iCより優れており、切削時の加工熱や摩擦熱によって
生じる工具すくい面のクレータ摩耗に対して耐摩耗性を
発揮する。しかもTiNは母材との密着性にも優れてい
る。一方TiCはTiNより硬度が高く、被削材と接す
る逃げ面のフランク摩耗に対して高い耐久性を有してい
る。しかしながら耐酸化性に優れたTiNであっても酸
化開始温度は600℃程度であり、また高い硬度を有す
るTiCであってもそのビッカース硬さは2000程度
であり、耐摩耗性の一層の改善が望まれていた。
は、TiNやTiCの耐酸化性や硬度の向上を目的とし
て、Tiの一部をAlに置換したAl,Tiの複合窒化
物や複合炭窒化物が開示されており、酸化開始温度は約
800℃、ビッカース硬さは約2500kg/mm2 と
いう特性を示す硬質皮膜が開発されている。
の耐酸化性を生かしつつBを添加することにより硬度を
高めた(Al,Ti)(B,N)が提案されており、ビ
ッカース硬さは最大で約3400kg/mm2 まで改善
されているが、酸化開始温度はやはり800℃程度であ
る。そこで一層の高能率化が要求されている切削加工な
どの分野では、より優れた耐摩耗性を有する硬質皮膜の
開発が期待されていた。
に着目してなされたものであって、TiN皮膜の有する
母材密着性を損なうことなく、(Al,Ti)(B,
N)より耐酸化性に優れしかも高硬度を有して優れた耐
摩耗性を発揮する硬質皮膜を提供することを目的とする
ものである。
発明に係る耐摩耗性に優れた硬質皮膜とは、基材表面に
形成される皮膜であって、 (Alx Ti1-x-y Siy )(Bz N1-z ) 但し、0.05≦x≦0.75 0.01≦y≦0.1 0.01≦z≦0.12 で示される化学組成からなることを要旨とするものであ
る。
にすることが好ましく、また上記硬質皮膜を、アーク放
電方式イオンプレーティング法により基材表面に形成す
れば耐摩耗性に優れた硬質皮膜被覆工具及び硬質皮膜被
覆部材を得ることができる。
耗性をより一層向上させることを目的として、耐摩耗性
向上に有効な添加元素を検索した結果、(Al,Ti)
(B,N)にSiを微量含有させた硼・窒化物は硬度が
高く、しかも酸化開始温度も高くなることを見出し、硬
質皮膜の組成が(Alx Ti1-x-y Siy)(BzN1-z)
で示される化学式において0.05≦x≦0.75,
0.01≦y≦0.1,0.01≦z≦0.12を満足
する場合は、高硬度で耐酸化性の良好な硬質皮膜となり
優れた耐摩耗性を発揮することを突き止め、本発明を完
成させた。
する優れた基材密着性も損なうことがないので、金型や
工具および耐摩耗部材等の基材表面に適用した場合も剥
離の問題が生じず、皮膜の耐摩耗性を十分発揮する硬質
皮膜被覆工具及び硬質皮膜被覆部材を得ることができ
る。
優れた耐摩耗性を発揮する理由としては十分に解明され
たわけではないが、Siを第3の金属元素として含有さ
せることにより高温時におこるTiの酸化を抑制した
り、Al酸化物からなる保護皮膜を著しく緻密化するか
らであると考えられる。
成は、(Alx Ti1-x-y Siy )においてx,yが夫
々0.05≦x≦0.75,0.01≦y≦0.1とい
う条件式を満足することが必要である。xの値が0.0
5未満であるか、またはyの値が0.01未満では十分
な耐酸化性の向上効果を得ることができない。またxの
値が0.75を超えるか、またはyの値が0.1を超え
ると皮膜の結晶構造が立方晶から六方晶へ変化してしま
い、皮膜硬さが低下して十分な耐摩耗性が得られない。
なお、xの下限値としては0.25が好ましく、0.5
6以上であることがより望ましい。xの上限値としては
0.75が好ましく、0.7以下であることがより望ま
しい。yの下限値としては0.01が好ましく、0.0
2以上であることがより望ましい。yの上限値としては
0.08が好ましく、0.05以下であることがより望
ましい。
N1-z で0.01≦z≦0.12を満足することが必要
であり、zの値が0.01未満の場合は硼素添加による
硬度向上効果が十分に発揮されず、一方0.12を超え
るとNaCl構造からなる結晶構造が一部非晶質とな
り、かえって硬度が低下してしまい望ましくない。尚Z
のより好ましい下限値は0.02であり、より好ましい
上限値は0.08である。
ては、0.1μm以上20μm以下であることが好まし
い。0.1μm未満であると耐摩耗性が十分発揮でき
ず、一方20μmを超えると衝撃力によって硬質皮膜に
クラックが入ることがあり、望ましくない。なお、切削
工具に適用する場合、工具基材本来の切れ刃の特性を生
かし且つ優れた耐摩耗性を得るには、硬質皮膜の厚さを
好ましくは1μm以上、更に好ましくは2μm以上、ま
た上限について12μm以下、更に好ましくは、8μm
以下が望まれる。また本発明は硬質皮膜を形成する基材
の材質を限定するものではないが、基材表面に密着性よ
く被覆し、優れた耐摩耗性を発揮させるためには超硬合
金や高速度工具鋼、ダイス鋼、サーメット、セラミック
等の硬質物質が適している。
する方法としては、イオンプレーティング法やスパッタ
リング法等に代表されるPVD法が挙げられるが、例え
ばアーク放電式イオンプレーティング法を採用する場合
には以下に例示する方法を用いればよい。即ち、アーク
放電により蒸発源であるカソードからイオン化させたA
l,TiおよびSiの金属成分とBを、N2 雰囲気中ま
たはN2 −Ar雰囲気中でイオンプレーティングするこ
とによって得ることができ、目的とする皮膜組成と同一
金属組成のターゲットを使用すれば、安定した組成の皮
膜が得られ易い。また基板にバイアス電位を印加する
と、皮膜の密着性を一段と高めることができるので好ま
しい。尚、本発明はイオンプレーティング時のガス圧も
特に限定するものではないが、1×10-3〜5×10-2
Torr程度が好ましく、この範囲内であれば耐摩耗性
の一段と優れた高結晶性の緻密な硬質皮膜が得られ易
い。
下記の実施例に限定されるものではなく、前・後記の趣
旨に徴して適宜変更することは本発明の技術的範囲に含
まれる。
白金箔からなる基材をアーク放電方式イオンプレーティ
ング装置に装着して400℃に加熱し、表1に示す種々
の組成のカソードから金属元素を蒸発させると共に、反
応ガスとしてN 2 ガスを導入して7×10-3Torrの
雰囲気とし、且つ基材に−150Vの電位を印加するこ
とによって表1に示す種々の組成の皮膜を5μmの厚さ
で被覆した試験片を作製した。
びオージェ電子分光法により皮膜の組成を求めると共
に、下記条件で酸化試験を行った。結果は表1に示す。 (酸化試験の条件) 温度範囲:室温〜1300℃ 昇温速度:10℃/min 雰囲気 :乾燥空気、大気圧 空気流量:150cc/min
l,Ti)(B,N)皮膜(No.1)は、810℃で酸
化が開始するのに対し、本発明に係る硬質皮膜(No.3
〜5)の酸化開始温度はいずれも890℃以上であり、
耐酸化性が向上している。No.2はSi量が少ない場合
の比較例であり、酸化開始温度が低く耐酸化性の向上が
認められない。
する以外は、実施例1と同じ方法で試験片を作製した。
試験片に形成された皮膜のマイクロビッカース硬さを荷
重100gで測定したところ、表1に併記する結果が得
られた。
膜(No.3〜5)は従来例である(Al,Ti)(B,
N)皮膜(No.1)と比較してより高い硬度を示して
いる。一方、No.6はSi量が多過ぎる場合の比較例
であり、皮膜の結晶構造が立方晶から六方晶へ変化して
いる為、皮膜硬さが著しく低下している。
を作製し、夫々のエンドミルの刃部表面に表2に示す組
成の硬質皮膜を4μmの厚さで形成した。硬質皮膜の形
成方法としては、No.2だけはるつぼ蒸着方式のイオ
ンプレーティング法を用い、それ以外の硬質皮膜はアー
ク放電方式イオンプレーティング法により形成した。ア
ーク放電方式の成膜条件としてはいずれも、基板温度を
400℃とし、バイアス電圧を−150V印加し、反応
ガスは7×10-3Torrで成膜した。
て、下記条件の切削試験を行ない、エンドミル切れ刃逃
げ面の摩耗量を測定した。結果は表2および図1に示
す。 (切削条件) 切削方法:側面切削ダウンカット 被削材 :SKD11(硬さHB219) 切込み :Rd 1mm×Ad 10mm 切削速度:60m/min 送り :0.07mm/tooth(270mm/m
in) 切削油 :エアーブロー 切削長 :20m
係る硬質皮膜被覆エンドミル(No.3〜5)は、従来例
(No.1,2)と比較して逃げ面摩耗量が少なくフラ
ンク摩耗に対する耐摩耗性が優れている。No.6はS
i量が多過ぎる場合の比較例であり、逃げ面摩耗量が多
く、耐摩耗性が十分でない。
外径10mmのJIS規格ドリルを作製し、実施例3と
同じ方法でドリル刃部表面に表3に組成を示す硬質皮膜
を形成した。
記条件の切削試験を行ない切削寿命を調べた。結果は表
3に示す。 (切削条件) 切削方法:穴明け加工、各5本切削 被削材 :S55C(硬さHB220) 切削速度:30m/min 送り :0.15mm/rev 切削長さ:30mm(貫通穴) 切削油 :水溶性エマルジョン型切削油
係る硬質皮膜被覆ドリル(No.3〜5)は、従来例
(No.1,2)と比較して平均穴明け個数が多く切削
寿命が長い。No.6はSi量が多過ぎる場合の比較例
であり、平均穴明け個数が少なく、切削寿命が短い。
来のTiN皮膜や(Ti,Al)(B,N)皮膜と比較
しても優れた耐摩耗性及び耐酸化性を示す硬質皮膜が得
られることとなり、さらに上記硬質皮膜を部材表面に被
覆することにより優れた耐摩耗性及び耐酸化性を発揮す
る高硬度部材が提供できることとなった。
Claims (3)
- 【請求項1】 基材表面に形成される皮膜であって、 (Alx Ti1-x-y Siy )(Bz N1-z ) 但し、0.05≦x≦0.75 0.01≦y≦0.1 0.01≦z≦0.12 で示される化学組成からなることを特徴とする耐摩耗性
に優れた硬質皮膜。 - 【請求項2】 皮膜の厚さが0.1〜20μmである請
求項1記載の硬質皮膜。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の硬質皮膜を、ア
ーク放電方式イオンプレーティング法により基材表面に
形成してなることを特徴とする耐摩耗性に優れた硬質皮
膜被覆工具及び硬質皮膜被覆部材。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP10015394A JP2840541B2 (ja) | 1994-05-13 | 1994-05-13 | 耐摩耗性に優れた硬質皮膜、硬質皮膜被覆工具及び硬質皮膜被覆部材 |
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Publications (2)
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---|---|
JPH07310171A true JPH07310171A (ja) | 1995-11-28 |
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ID=14266381
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Cited By (8)
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CN103370438A (zh) * | 2011-02-04 | 2013-10-23 | 欧瑞康贸易股份公司(特吕巴赫) | 具有Cr-Si-N涂层的热金属板材成型或冲压工具 |
-
1994
- 1994-05-13 JP JP10015394A patent/JP2840541B2/ja not_active Expired - Lifetime
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