JPH07305227A - 高強力ポリ乳酸繊維の製造方法 - Google Patents

高強力ポリ乳酸繊維の製造方法

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JPH07305227A
JPH07305227A JP11749394A JP11749394A JPH07305227A JP H07305227 A JPH07305227 A JP H07305227A JP 11749394 A JP11749394 A JP 11749394A JP 11749394 A JP11749394 A JP 11749394A JP H07305227 A JPH07305227 A JP H07305227A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ポリ乳酸は重合時に重合熱により解重合反応が
あり、分子量が上がりにくい。更に従来の紡糸法では重
合後に一旦ポリマーを固化して取り出し、紡糸時に再度
乾燥、再溶融して紡糸する為に、各工程での分子量低下
が大きく繊維の分子量が上がりにくい。従って本発明で
は、重合ポリマーを一旦固化する事無く溶融状態のまま
直接紡糸機に送液し紡糸を行う。 【構成】L−乳酸、D−乳酸又は/及びそれらの環状二
量体(ラクタイド)99. 9〜85重量%と分子量は3
00以上のポリエチレングリコール0. 1〜15重量%
とを溶融状態で連続的に共重合し、重合ポリマーを固化
チップ化する事無く直接紡糸ヘッドに導き溶融紡糸し、
次いで少なくとも3倍以上の延伸、熱処理を行い分子量
が少なくとも7万を維持し、少なくとも3g/dの繊維
強度を付与する事を特徴とする高強力ポリ乳酸繊維の製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強靱性が改良されたポ
リ乳酸繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】微生物等により分解される生分解性ポリ
マ−は、環境保全の見地から近年注目されている。例え
ば、溶融成形可能な生分解性ポリマ−として、ポリヒド
ロキシブチレ−ト(以下PHBと記す)やポリカプロラ
クトン(以下PCLと記す)が知られている。PHBは
製造コストが高過ぎるだけでなく、微生物による生合成
の為にポリマーの採取や精製に多大のエネルギーを要
し、且つ分子量や結晶性を制御する事が困難な為に成型
の困難さや成型品の物性の制御も困難であり、工業的安
価に用途に応じた性能、成型性を与える事は困難であ
る。PCLは融点が60℃と低すぎる為に使用中にクリ
ープが大きく製品の形態安定性の維持に欠けたり、使用
温度により強度が極端に低下する等実用上の重大な問題
点、障害を有する。
【0003】ポリ乳酸は、比較的コストが安く、融点も
178℃で充分な耐熱性を有する熱可塑性樹脂で、溶融
成型可能で且つ製造上も比較的コストのかからない実用
的な生分解性ポリマ−と期待されている。
【0004】しかし、従来得られているポリ乳酸は、溶
融成型性に劣り、しかも得られる成形品、フィルム、繊
維等は、強靱性が低く、脆く弱いという重大な欠点を有
する。この原因はポリ乳酸の分子量を十分に上げる事が
出来なかった事とポリ乳酸が加熱を受けた時に分子量に
低下があり最終製品の強度等の劣化につながっていた事
による。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】共重合によって構造を
柔軟にすることが考えられるが、一般に共重合すると融
点が大幅に低下し、耐熱性が不充分となる傾向がある。
共重合によって構造を柔軟にし、しかも融点の低下を出
来るだけ防ぐ観点と重合度を高め且つ成型までに重合度
の低下を極力少なくすると言う観点から本発明者等は鋭
意研究し本発明を完成したのである。本発明の目的は、
成型性及び強靱性が改良され、しかも低コストで広範囲
な用途に使用することが可能な強度の大きいポリ乳酸繊
維の製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明方法はL−乳酸、
D−乳酸又は/及びそれらの環状二量体(ラクタイド)
99. 9〜85重量%とポリエチレングリコール0. 1
〜15重量%とを溶融状態で連続的に共重合し、重合物
の分子量が少なくとも7万になった時点で溶融ポリマー
を固化チップ化する事無く直接紡糸ヘッドに導き溶融紡
糸し、次いで少なくとも3倍以上の延伸、熱処理を行い
少なくとも4g/dの繊維強度を付与する事を特徴とす
る。
【0007】ポリL−乳酸(以下PLLAと記す)又は
ポリD−乳酸(以下PDLAと記す)にPEGを反応さ
せることは、特開平1−163135号公報に示されて
いる。同公報には、分子量300〜10000の乳酸の
重合体又は共重合体と、分子量150〜10000のP
EGとを反応させて得られる生体内への薬物除放性基材
が開示されており、反応時のPEGの使用割合はポリ乳
酸の重合体に対してPEGの当量比が0. 3〜5. 0
(30〜500%)と記載されている。しかしながら、
上記公報の発明によって得られる共重合物は、生体内で
の使用を主目的としており、その軟化点(熱板上でガラ
ス棒で曳糸し始める温度)は、実施例によれば−10〜
60℃程度と極めて低く、本発明の目的とは全くかけ離
れたものである。又、分子量の記載はないが上記軟化点
の記載、反応原料の配合比及び得られたものはペースト
状(実施例3)又はワックス状であると記載されている
ことからも、分子量は高々10000〜20000程度
と推定され、本発明の目的とする汎用性及び強靱性に優
れる成型品は到底得られない。
【0008】また、特開昭63−69825号公報に
は、ポリ乳酸セグメント(A)70〜97重量%とポリ
オキシエチレンジカルボン酸セグメント(B)3〜30
重量%とからなるブロック共重合体が開示されている。
同公報によれば、乳酸の環状二量体(以下ラクタイドと
記す)の重合時にPEGを反応させようとすると、PE
Gの末端のヒドロキシル基が重合を阻害し、重合度の低
いものしか得られず、そこでポリオキシエチレンジカル
ボン酸エステルを用いたと記載されている。しかしポリ
オキシエチレンジカルボン酸エステルを用いても、同公
報実施例では高々分子量31000、フィルムの引張強
度もわずか2. 8kg/mm2 (本発明品の1/10以
下)のものしか得られていない。原料のオキシエチレン
ジカルボン酸は、精製が困難であり、それも高重合度の
ものが得難い原因と推測される。更にポリオキシエチレ
ンカルボン酸は、PEGに較べてかなりコスト高であ
り、実用性の見地からも好ましくはない。
【0009】本発明方法はポリ乳酸/PEG共重合物の
分子量を上記従来の共重合物に比較して格段に分子量が
高くする事が第一の特徴であり、更に繊維形成過程での
分子量の低下を極力防止した事が第二の特長である。分
子量が高い程、製造する繊維の強度が優れた物になる。
平均分子量は、通常7万以上、好ましくは8万以上、更
に好ましくは10万以上、特に好ましくは12万以上で
ある。
【0010】平均分子量が過度に大きいと重合時間が長
くなり、その為に逆反応が進行し副生成物の増加や着色
等及び溶融時の流動性や成型品が低下する。その観点か
ら分子量は高々50万、好ましくは40万以下、特に好
ましくは30万以下である。
【0011】従来、高重合度のポリ乳酸/PEG共重合
体が得られていない原因の一つは、重合をバッチ式で長
時間行っていることである。例えば特開平1−1631
35号公報には、重合時間は1〜10時間と記載され、
実施例1では215℃×5時間、同2では195℃×8
時間、同3では210℃×6時間という長時間を要して
いる。又、特開平5−247245号公報等には乳酸か
らラクチドを経ないでの直接重合法する方法が提案され
ている。しかし提案の方法では実施例に見られる様に重
合時間が40〜160時間と極めて長く、且つ重合時に
溶剤を使用し、又重合時に発生する水を除去する為に溶
剤と共に蒸留し、再度モレキュラーシーブ等のポリマー
重合には極めて特殊な装置を使用して蒸留溶剤中の水分
を除去後再び重合漕に戻す事が必要である。この為に本
発明では到底考えられない様な極めて膨大な溶剤回収、
生成装置や巨大な重合装置が必要である。これは生産性
の低下のみでなく、ポリマーの着色や触媒及び各種安定
剤の寿命の消滅等による種々の問題も生じる。つまり重
合反応が長い事は、分解物が生じかえって重合度が低下
したり着色等の原因になるばかりでなく、極めて大がか
りな装置を要する為に工業的に安価に製造する事も出来
ないと本発明者らは推定する。
【0012】ポリ乳酸の重合速度を極限まで早める為に
本発明者等は、例えばベント付2軸混練押出機又はそれ
に類似する攪拌及び送り機能を有する装置を用い、原料
及びポリマーを溶融状態で攪拌、混合、移動、脱気しつ
つ反応させた後連続的に取出し、ポリマーを固化・チッ
プ化する事なく直接紡糸する事により、大幅な重合時間
短縮と逆反応の防止及びチップの乾燥、再溶融時の重合
度の低下を極力防ぐ事を可能にした。
【0013】重合装置としては図1,2に示す2軸混練
押出機(以下2軸混練機と記す)や図3,4に示す2軸
攪拌機付反応容器等の反応機により行うのが好ましい。
【0014】2軸混練押出機(以下2軸混練機と記す)
は、並行して設け同方向又は逆方向に回転する軸に、互
いに噛み合うスクリュー(送り部)、同じく噛み合う2
翼又は3翼状の攪拌素子を複数(多数)取付けたもの
で、更にシリンダー(筒状部)には必要に応じて原料や
添加剤の供給や脱気、減圧下での反応のための排気等を
行なうベント孔等を1個又は複数個設けることが出来
る。2軸混練機により、重合原料又は重合中及び重合後
のポリマーは、極めて効果的に攪拌、混合、移動され、
反応速度が相当早められる。しかも、ポリマーが停滞し
たり付着するデッドスペースが殆どない。2つの軸の攪
拌素子、スクリューは互いに噛み合っており、ポリマー
等は常時相互にかき取られている(セルフクリーニング
作用)。同様に、シリンダーの内面も攪拌素子やスクリ
ューによって、ポリマー等が常時かき取られ、長時間付
着することを防いでいる。このため、劣化の少ない均一
で優れたポリマーが得られる。
【0015】図1に、2軸混練機の横断面の例を示す。
図において、2本の駆動軸1、2によって同方向又は逆
方向に回転する2翼形(長円形)の攪拌素子3、4は、
互いに相手の表面やシリンダー5の内面に付着する反応
物をかき落として、ポリマー等が一定の場所に滞留する
のを防ぐ。同時にその優れた攪拌能力によって、スペー
ス6の中を通過して行く反応物の反応速度を早め且つそ
の均一性を著しく高める。7は加熱ブロックで、その中
に熱媒用通路8を設け、必要に応じてシリンダーを加熱
又は冷却する。シリンダー5の加熱は、熱媒の代わりに
電熱とすることも出来、冷却は空冷とすることも出来
る。図においてdは、シリンダー5の内径を示す。
【0016】図2は、2軸混練機の縦断面(但し混練装
置は側面図)である。図において、駆動軸上には、互い
に噛み合うスクリューが取り付けられ送液部10を形成
し、同様に互いに噛み合う攪拌素子が取り付けられ混練
部11を形成している。供給部9から送りまれた原料
は、3個の送液部及び3個の混練部で加熱、混合されて
シリンダー中を反応しつつ移動し取出口14より送り出
される。シリンダー5には2つのベント12、13が設
けてあり、不活性気体の供給、排気、真空ポンプによる
減圧、原料の追加供給、添加剤の供給等を行なうことが
出来る。1軸のスクリュー押出機も、本発明の連続重合
に用いられることが出来るが、上記のように優れた特性
を有する2軸混練機が最も望ましい。
【0017】上記の混練機型重合機以外にも2つの回転
軸上に、円板状又はそれに類似の攪拌素子を、互いに重
なり合うように多数配した、断面が円形、長円形、それ
らに類似した形の横型又は縦型のタンク状の反応容器
も、デッドスペースがすくなく、セルフクリーニング作
用があり、減圧可能であるため本発明の連続重合に用い
ることが出来る。
【0018】図3に、2軸攪拌機付反応容器の例を示
す。図は横断面説明図で、2つの駆動軸16、17に取
り付けられた回転板18、19によって、反応物21は
攪拌、混合され更に回転板18、19に付着した反応物
やポリマーは空間22の中を通過しその時低沸点の反応
生成物(水、アルコール等)や残存モノマーが蒸発し排
気孔より系外へ排出される。この型の反応機の特長は、
反応物の蒸発面積を大きくすること及び大容量化が容易
である点である。回転板は平面でもよく、凹凸や突起を
付けてもよく、多葉(多翼)形やそれに傾斜をつけてス
クリュー型とすることも出来る。図4に、同反応器の平
面説明図を示す。2つの駆動軸16、17に取り付けら
れた多数の回転板18、19が互いに重なり合うように
配置されていることが明らかであろう。反応物やポリマ
ーは右の入口24から送液ポンプ等で送り込まれ、左方
の出口25から必要に応じポンプ等で送り出される。液
面を一定にするために液面計の信号によって送り込み量
を制御することは容易である。図の反応容器は駆動軸を
水平に設けた横型であり、容器中の反応物は重力によっ
て、入口から出口へ移動する。攪拌軸を垂直に設けた縦
型は、同様な攪拌効果はあるが、蒸発面積を大きくする
ことが困難である。2軸混練機及び2軸攪拌機付反応容
器の軸の回転方向は、同方向でもよく逆方向でもよい
が、同方向の方が攪拌効果及びせん断応力が大きい。図
3では、回転板18、19と容器20との間隔(クリア
ランス)がやや大きい例を示したが、この間隔を狭くし
たり、断面の中央部に図1と同様にくびれ部を設けた
り、上部空間22を大きくする、添加物の供給孔を設け
る、容器20の加熱を電熱又は熱媒で行なう等、色々の
応用が可能である。
【0019】本発明の連続重合においては、上記の1軸
押出機、2軸混練機及び2軸攪拌反応機を複数個、多段
的に組み合わせて用いることが出来る。例えば粉末又は
フレーク状の重合原料(乳酸、ラクタイド、PEG、酸
化防止剤、触媒、添加剤等)を溶融、混合、脱水及び初
期重合するために第1の2軸混練機を用い、それに連結
して重合中期及び後期に第2第3の2軸混練機又は2軸
攪拌反応機を用いることや、一部に1軸押出機を用いる
ことも出来る。重合原料は、あらかじめ別々に溶融し、
それぞれ計量ポンプで重合装置へ供給することも出来
る。所定の分子量に達した重合ポリマーは、そのまま直
ちに紡糸する。
【0020】勿論、重合速度と紡糸速度のバランスを取
る為にポリマーの循環ラインや抜き出し装置を付ける事
も必要に応じて行う事が出来る。又好ましくは、重合機
から紡糸機に至る間にモノマーの除去装置をつける。例
えば、ギヤポンプにて重合機から送りだしたポリマー融
液の圧力を一旦開放する膨張槽や薄膜式の蒸発装置を経
て紡糸機に導く事により、実際の安定した生産や品質に
問題ない程度まで残存モノマーや分解にて生じた低沸点
物や水分を除去できる。
【0021】本発明方法に使用するPEGはポリマーに
対して0. 1〜15重量%、より好ましくは0. 3〜1
0重量%、最も好ましくは0. 5〜8重量%共重合す
る。これによりポリマーの熱流動性が著しく改善され、
重合操作特に混合、脱気、送液等が容易となり、均一で
品質に優れたポリマーが得られる。
【0022】本発明で使用するPEGの分子量は300
以上が必要である。高重合度で且つ高融点の共重合体を
得るには、PEGの分子量は高い方が好ましい。PEG
分子量は1000以上が好ましく、4000以上がさら
に好ましく、6000〜20000が最も好ましい。
【0023】PEGの共重合比率が高いほど、共重合物
は柔軟になり融点が低下し、重合度が上がりにくくなる
傾向がある。重合度及び融点の低下は、上記のようにP
EG分子量が大きいほどわずかである。従って低分子量
PEGでは、共重合比率をあまり高くすることは好まし
くない。例えばPEGの平均分子量が1000の場合、
共重合比率は0. 3〜3. 9重量%、PEG分子量が3
000の場合、0. 3〜6. 8重量%、分子量6000
の場合、0. 3〜9. 4重量%、分子量10000の場
合、0. 3〜12重量%が好ましい。
【0024】本発明方法で更に好ましくは、重合系に酸
化防止剤を10〜3000ppm程度、特に50〜10
00ppmを添加することにより、PEGの酸化分解を
抑えてアルデヒドの発生を防ぐことが出来る。しかし酸
化防止剤をあまり多量に使用すると重合を阻害すること
があり、重合時は使用量を必要最小限とすることが望ま
しい。
【0025】得られるポリマーの熱安定性を高める為
に、重合が進行した時点で酸化防止剤を、例えば0. 1
〜3重量%程度追加混合することが出来る。酸化防止剤
としては、ヒンダートフェノール、ヒンダートアミン、
その他公知のものが用いられる。添加率は10〜300
00ppm程度、特に50〜10000ppmが好適で
ある。
【0026】重合中又は重合後に添加する酸化防止剤の
例として、ヒンダートフェノール系ではチバガイキー社
の「イルガノックス」シリーズ、ヒンダードアミン系で
は同社「チヌビン」シリーズ、紫外線吸収剤としてはベ
ンゾトリアゾール系の同社「チヌビン」シリーズ、また
それらとフォスファイト系安定剤の混合物の「イルガフ
ォス」シリーズ等がある。同様に、住友化学(株)のフ
ェノール系酸化防止剤として「スミライザー」シリー
ズ、光安定剤として「スミソーブ」等が挙げられる。上
記以外の酸化防止剤としては、チオエーテル系等が挙げ
られ、又上記の安定剤の2種以上の併用も好ましいこと
が多い。更に、耐熱性の観点から分子量が大きく、沸点
や昇華温度の高いものが好ましい。例えば分子量は50
0以上が好ましく、700以上が最も好ましい。前述の
イルガノックス1010(分子量1178)は、最も好
ましい例である。また、酸化防止剤や紫外線吸収剤とし
ては、毒性や皮膚刺激性のない安全なものが好ましい。
【0027】従来、ポリ乳酸/PEG共重合物で、高重
合度のものが得られない他の原因は、カルボン酸と水酸
基のモルバランスへの配慮が欠けていることである。乳
酸又はポリ乳酸は両末端がカルボキシル基と水酸基であ
る。それに両末端が水酸基のPEGを加えれば、水酸基
が過剰となり、カルボキシル基がすべて反応してしまえ
ば、そこで反応が停止する。PEGの添加量が大きいほ
ど、又PEGの平均分子量が小さいほどカルボキシル基
と水酸基のモルバランスが崩れ、低重合度のものしか得
られない。このアンバランスは、PEGに水酸基と実質
的に等モルのジカルボン酸成分を重合反応系に添加する
ことによって解消出来る。すなわち実質的等モルとは、
モル比で0. 8〜1. 2、特に0. 9〜1. 1の範囲で
ある。勿論モル比0. 8以下でもそれ相当の効果はあ
り、添加しないよりは高重合度のものが得られる。
【0028】ジカルボン酸成分としては、例えばアジピ
ン酸、セバチン酸、デカンジカルボン酸等炭素原子数4
〜12程度の脂肪族ジカルボン酸;イソフタル酸、テレ
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボ
ン酸;それらの酸無水物;フタル酸クロライドのような
ジカルボン酸ハロゲン化物及びそれらのメタノールエス
テル、エチレングリコールエステル等の低分子アルコー
ルエステルが利用可能である。例えば、重合が或程度進
んだ段階(中期又は末期)で、適当量の無水フタル酸を
添加、混合して、2つの分子鎖末端の水酸基と反応せし
めて、分子量を効果的に増大させることが出来る。例え
ばアジピン酸は分子量146であるから、分子量150
00のPEGに対して1重量%の添加でバランスする。
分子量15000のPEGをポリ乳酸に対し3%共重合
するとすれば、バランス剤としてのアジピン酸は、全体
のわずか0. 03%で充分である。しかし、分子量30
0のPEGを使うとすると、バランスするにはそのほぼ
半量のアジピン酸が必要となる。
【0029】PEGとジカルボン酸は、別々に反応系に
加えてもよいが、それらをあらかじめ反応(重合)せし
めてポリエーテルエステルとした後、乳酸、ラクタイド
又は/及びポリ乳酸と反応せしめることが出来る。この
方法も、ジカルボン酸成分を重合系に添加、反応せしめ
る有用なものである。同じくジカルボン酸をジオールに
対し過剰に配合して反応させた、カルボキシル基の多い
ポリエステルのオリゴマー、例えばヘキサンジオール/
アジピン酸のモル比が1/2、2/3、3/4等で調製
したヘキサメチレンアジペートのオリゴマーも利用出来
る。
【0030】ポリ乳酸には、PLLAとPDLA及びそ
れらの(L/D)共重合体がある。本発明の目的には、
それらのいずれも用い得る。耐熱性の見地からPLL
A、PDLAのホモポリマーが好ましいが、それらに少
量の、例えば5重量%以下、好ましくは2重量%以下、
最も好ましくは重量1%以下の光学異性体が共重合され
たものでもよい。PLLAとPDLAとは、いずれも本
発明の目的に好ましく用いられるが、原料の乳酸を発酵
法で製造する場合は、L−乳酸を製造する方が能率的
(低コスト)であり、従ってPLLA又はそれを主成分
とする共重合体が好ましい。
【0031】重合反応に用いる触媒は、乳酸及びラクタ
イドの重合用及びポリエステル重合用に用いられるもの
を用いることが出来る。例えば、エステル交換触媒とし
ては、Na、Mgの各種アルコールとのアルコラート化
物、Zn、Cd、Mn、Co、Ca、Ba等の脂肪酸塩
や炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、Mg、Pb、Zu、S
b、Ge等の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物等がある
が、触媒機能はもちろん生成物に着色や副反応或いは凝
集異物を形成しない等を考慮して選定する。触媒の量と
しては、エステルの量に対して通常10-3〜10-6モル
/モルであるが、温度や反応系より適宜選定する。ポリ
エステル重合触媒としては三酸化アンチモン及び酸化ゲ
ルマニウム等通常の触媒を使用することが出来る。又、
乳酸からラクタイドを得る反応では酸化亜鉛、三酸化ア
ンチモン等、ラクタイドの重合反応ではテトラフェニル
錫、塩化第1錫、ジエチル亜鉛、オクチル酸錫等がよく
知られている。もちろん上記以外のものでも、反応速度
が大きく、着色や副反応の少ない優れたものであれば利
用可能である。
【0032】一般にラクタイドを溶融重合する場合、ラ
クタイド(モノマー)の1部が末反応で重合系中に残存
する傾向がある。この残存モノマーや低分子量オリゴマ
ーが最終製品(成形品、フィルム、繊維等)に存在する
と、1種の可塑剤として作用し、製品に柔軟性を与える
好ましい面もある。しかし、残存低分子物が過度に多い
と製品の品質を損なったり、製造工程や使用中に浸出し
てトラブルの原因となる。このため重合終了時の残存低
分子物(分子量500以下)は通常10重量%以下、好
ましくは7重量%以下、更に好ましくは5重量%以下、
特に好ましく3重量%以下とする。残存モノマーや低分
子物を減少するためには、重合の中〜後期に真空度を高
くしてそれらを除去することや、重合開始剤(エチレン
グリコール、グリセロール、プロピレングリコールやP
EG、ポリプロピレングリコ−ル等のアルコール類も開
始剤として働く)や重合触媒を追加、混合することも効
果がある。
【0033】上記のように、連続溶融重合、水酸基とカ
ルボキシル基のバランス、酸化防止剤の添加の3方法の
少なくとも1つ、好ましくは2つ以上を併用することに
より、従来困難であった平均分子量7万以上のもの、特
に8万以上のものが容易に得られる。
【0034】本発明方法で提案した重合方法により、品
質の良い高分子量のポリ乳酸共重合体を得る事が出来る
が、ポリ乳酸や少量の共重合モノマーにより変性したポ
リ乳酸共重合体は耐熱性が不良であり、融点より遙かに
低い温度での加熱においても容易に分子量の低下が生じ
る。又、分子量の低下と共に解重合によると思われる低
分子量の昇華物が多量に発生する。この為に、成型品で
の耐熱性や強度、色等の品質や性能を維持する事が困難
となっていた。
【0035】従って、本発明で提案する重合後のポリ乳
酸共重合体を従来の重合チップの製造法の様に水冷や空
冷により一旦固体のポリマーとして取り出すのではな
く、紡糸機に導入し直ちに紡糸する事が必要である。一
旦固体のポリマーとして取り出す場合は、冷却過程での
酸化による劣化や水分乾燥時での劣化、分子量低下が避
けられない。ポリ乳酸の場合、例えば重合時に10万の
分子量の物でも乾燥後には約8万程度まで低下し、それ
を紡糸する為に再溶融すると更に約6万程度まで低下す
る。従って、従来の方法では到底高分子量を有し、高強
力の繊維は得られなかった。最終の製品の分子量を上げ
る為に、重合度を上げる事は製品の品質(着色、解重合
物等)や操業性の点で実用的ではなかった。本発明によ
り初めてポリ乳酸を用いた極めて高分子量で高強力の繊
維を実用的に安価に製造する事が出来る様になった。
【0036】重合後のポリ乳酸共重合体を直接に紡糸機
に導入するが、共重合体の分子量としては7万以上は必
要であり、好ましくは8万以上、更に好ましくは10万
以上で残存モノマーが5%以下、特に好ましくは12万
以上で残存モノマーが3%以下である。分子量が7万未
満では、繊維の紡糸・延伸操業性が十分ではなく、繊維
強度も3g/dに容易には達しない。重合ポリマーの分
子量が8万以上では十分な紡糸・延伸操業性を有し、し
かも繊維強度も4g/dに達する物もある。
【0037】しかし、分子量が50万を越えると紡糸・
延伸性がやや低下し、十分な生産速度を得る事が困難と
なる。従って、最も好ましくは分子量が12万以上30
万以下である。
【0038】重合ポリマー中に残存する少量のモノマー
は前述した方法でも除去できるが、尚残留する少量のモ
ノマー等は紡糸口金の出口よりポリマーを紡出する際に
昇華するが、紡出糸の冷却を予て冷却空気にてその昇華
物を吸引し回収する。回収したモノマー他は分離・生成
し再度重合用の原料として再利用する。
【0039】紡糸温度は重合温度と同一の温度でも良
く、又ポリマーの粘度に応じて幾分上下させても良い。
しかし、通常はポリマーの融点から高々50℃程度まで
の温度範囲で行う。好ましくはポリマーの融点+10℃
〜+30℃程度の温度である。
【0040】紡糸口金は通常の溶融紡糸に使用される口
金でよく、フィラメント用では高々200ホール、ステ
ープル用では30000ホール以上の物も使用する。口
金の紡出孔の大きさも通常使用される物でよい。紡糸口
金の形状も特に限定されない。例えば、円形、中空円
形、四角形、等々現状使用されている口金を使用でき
る。
【0041】紡糸条件、例えば紡糸の巻き取り速度、オ
イリング、必要ならばインターレース等も通常の条件の
範囲でよい。紡糸ドラフト(巻き取り速度÷紡出速度の
比)は通常30以上、好ましくは40〜50である。
【0042】紡糸後、延伸を行う。延伸は一段延伸・熱
処理、二段延伸・熱処理、等種々の方法にて行う事が出
来る。延伸温度は、通常50〜100℃、好ましくは6
0〜90℃、更に好ましくは65〜80℃で行う。引き
続き二段目の延伸を行う場合は、延伸温度は通常一段目
の延伸温度〜延伸温度+20℃の範囲で行う。熱処理は
繊維の目的により適宜選択する事が出来る。即ち、高い
収縮率を保持する為には熱処理温度は低い方が或いは熱
処理は無くても良い。逆に、繊維の収縮率をなるべく低
下させ安定した繊維を得る為には、熱処理温度はなるべ
く高くする。通常、少なくとも延伸温度+20℃、好ま
しくは延伸温度+20〜50℃で勝つポリ乳酸共重合体
の融点以下である。延伸倍率は高いほど、繊維の強度は
高くなる。通常、延伸倍率は少なくとも2.5倍、好ま
しくは3.0〜6倍、更に好ましくは3.5〜5倍であ
る。
【0043】二段延伸以上での延伸の場合も基本的には
同様の条件で行うが、通常一段目の延伸倍率より二段目
の延伸倍率を低くする。
【0044】延伸後の繊維は、繊維強度が従来の生分解
繊維よりはるかに大きく、通常3g/d以上、好ましく
は3.5g/d以上、更に好ましくは4g/d以上、特
に好ましくは5g/d以上である。
【0045】繊維の結晶配向度もかなり大きいものであ
る。結晶配向度は通常使用される広角X線回折の回折角
の半値巾から求める。本発明の高強力繊維の場合は、結
晶配向度が通常70%以上、好ましくは75%以上、更
に好ましくは80%以上である。
【0046】延伸後の繊維は、110℃以上の融点を有
する。融点は高いほど耐熱性の見地からは好ましい。食
品容器等の成型品は、100℃の沸騰水による殺菌処理
が出来ることが必要であり、そのためには融点は110
℃以上必要で、130℃以上が特に好ましい。同様に繊
維も100℃での染色や殺菌に耐えることが必要で、そ
の見地から融点は110℃以上必要で、特に130℃以
上が好ましい。更に、高度の殺菌(130℃高圧水蒸
気)や高圧染色(130℃の高圧水浴)に耐えることが
最も好ましく、そのためは融点は150℃以上が最も好
ましい。
【0047】又、結晶化度も大きい程、繊維の安定性は
高くなるが、生分解性がやや低下する傾向がある。本発
明繊維では、繊維の良好な力学的安定性と生分解性の為
に、融点における融解熱が通常5.0cal/g以上、
好ましくは7.0cal/g〜12.0cal/gであ
る。
【0048】本発明の共重合体には、主成分である、乳
酸及びPEG成分の他、第3の成分を共重合させること
が出来る。PEGの水酸基とバランスさせるためのジカ
ルボン酸成分を共重合することはすでに上記した。その
他に例えば生分解性の向上は低減、染色性の改良等のた
めに第3成分を共重合することが出来る。例えば、スル
ホン基を有する化合物、例えばスルホイソフタル酸(又
はその金属塩)を共重合することにより、塩基性染料で
染色可能とすることが出来、アミノ基又はアミド基を有
する化合物、例えばアミノ酸を共重合することにより、
酸性染料で染色可能とすることが出来る。これらの第3
成分の共重合は、共重合物の融点の低下をもたらす傾向
があるから、融点を110℃以上に保つように注意しつ
つ行なうことが必要である。
【0049】その他の特徴として本発明方法により得ら
れるポリマーは、強度、白度、紡糸性及び延伸性に優れ
ていることも見出された。特にホモポリマーよりも著し
く溶融流動性に優れ、上述した紡糸方法のみでなく、紡
糸速度3000m/min以上の高速紡糸による部分配
向糸(POY)、紡糸速度4000m/min以上での
高配向糸(HOY)、紡糸と延伸を連続して行なうスピ
ンドロー方式(SPD)、紡糸と不織布化を同時又は連
続して行なうスパンボンド不織布等の工程への適応性に
優れている。繊維の製造と同様に各種容器、各種部品の
射出成型性、フィルム製造時の成膜性、延伸性において
も、本発明の共重合体は、ホモポリマーより格段に優れ
ている。
【0050】本発明の共重合体は、ポリ乳酸ホモポリマ
ーに比べて、PEGの共重合比率が高いほど親水性、ア
ルカリ加水分解速度、生分解速度が大きくなり、ヤング
率等の剛性率や融点等の耐熱性が低下する傾向がある。
使用目的に沿って、適切なPEG分子量や共重合比率を
選ぶことが好ましい。PEGは、分子量の異なるものを
2種以上混用することが出来、その場合の平均分子量は
数平均とする。
【0051】本発明の重合体には必要に応じて酸化防止
剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、着色剤、帯電防止剤そ
の他周知の添加剤や充填剤を配合、混合することが出来
る。
【0052】本発明において、ポリ乳酸及びそれを主成
分とする共重合物の平均分子量は、試料のクロロホルム
0. 1重量%溶液のGPC(ポリスチレン標準試料によ
りキャリブレーションした)分析の、高分子物(分子量
500以下のものを除く)の分散の、数平均値とする。
【0053】本発明において、重合物の融点は、紡糸、
延伸、熱処理して充分配向、結晶化させた繊維を示差熱
量分析(DSC)法で測定(昇温速度10℃/min)
したときの、主たる結晶の溶融吸熱のピーク値とする。
【0054】本発明において、部及び%は特に断らない
限り重量部、重量%である。重合物の溶液粘度(相対粘
度)は、試料1gを、フェノール/テトラクロルエタン
=6/4(重量比)の混合溶剤100mlに溶解し、オ
ストワルド粘度計にて20℃で測定したものである。
【0055】
【実施例】
実施例1 充分に乾燥(水分率90ppm以下)し、あらかじめ溶
融した光学純度99.7%のL−ラクタイドと、同じく
乾燥溶融したヒンダートフェノール系の酸化防止剤チバ
ガイキー社イルガノックス1010を0. 1%添加した
数平均分子量8200(日本油脂#6000)のPEG
とを98/2の比率で2軸混練機の原料供給部へ供給し
た。同時に、重合触媒として、ラクタイドに対し0. 3
%のジオクチル酸錫を添加した。2軸混練機は、図1及
び2に示したもので、直径30mmの送りスクリュウと
2翼形で厚さ7mmの攪拌素子を多数組み合わせたもの
であり、原料供給部及び2つのベント孔部には送りスク
リュウ、その他の部分は攪拌素子が取り付けられてい
る。シリンダーの断面は、中央部がくびれた長円形で、
温度は190℃とし、第1ベント孔より窒素ガスを供給
し、第2ベント孔より排気する。2本の回転軸は同方向
回転で、回転速度は、60回/minである。
【0056】2軸混練機から出たポリマーを、連結され
た直径40mmで2つのベント孔を有する第2の2軸混
練機に供給した。シリンダーの温度190℃、回転は同
方向回転で、速度は40回/min、第1ベントより窒
素ガスを少量供給し、第2ベントは真空ポンプに接続
し、真空度を約0. 5Torrに保つと共に、溶融した
前記酸化防止剤をポリマーに対し0. 1%添加した。第
1の2軸混練機内のポリマーの平均滞留(反応)時間
は、5分30秒であり、第2の2軸混練機内の滞留時間
は16分であり、合計の平均重合時間は21分30秒で
あった。
【0057】2番目の2軸混練機から出たポリマーは、
ギアポンプで加圧送液し20μmのフィルターで濾過し
た後、190℃の温度に保持されている紡糸ヘッドに送
液される。紡糸ヘッドには直径0.25mmの小孔を2
4ケ有する口金を2ケ装着している。紡出状態は良好で
十分に冷却固化された糸状は1000m/分の速度で未
延伸糸として巻き取られる。紡糸ヘッドに入るポリ乳酸
の分子量は9万であった。
【0058】延伸は、延伸温度70℃、延伸倍率3.8
倍、延伸後の熱処理を120℃にて連続して実施した。
延伸は糸切れもなく良好に行う事が出来、強度4.2g
/d、伸度33.2%、繊維の融点173℃、融解熱1
0.8cal/gを有する極めて良好な繊維を得る事が
出来た。
【0059】比較のため、重合後のポリ乳酸を通常の方
法で水中に押し出して直径3mm長さ3mmのチップと
し再溶融し紡糸した。紡糸する為に、このチップを遠心
脱水後、90℃の真空乾燥機にて48時間乾燥させて、
チップ中の水分率を100ppm以下にした。この一貫
の工程中で重合時に9万あった分子量がチップ化の時点
で8.5万に乾燥後に7.0万に又紡糸時の溶融時に5
万迄低下し、紡糸段階で糸切れが発生した。延伸後の強
度は2.9g/dであった。
【0060】実施例2 実施例1とほぼ同様にしてラクチドに対して種々の分子
量のPEGを各種の共重合比率で共重合し、重合後直接
に紡糸した。紡糸・延伸は実施例1と同条件にて実施し
た。得られた繊維の諸物性を表1に示す。
【0061】尚、実験No9は実験No4を従来の紡糸
法で紡糸した比較例の結果であるが、紡糸段階で分子量
が低下し糸切れが発生した。同一の条件にて延伸したが
高強力糸は得られなかった。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明方法によって、従来よりも格段と
工程の数が少なくより安価に強度又は/及び耐熱性の優
れた生分解性ポリエステル繊維が得られる。特に重合、
紡糸工程を直結した事によりポリ乳酸の分子量を殆ど低
下させないと言う極めて画期的な事を達成する事が出来
た。本発明方法により得られた高強力の繊維は、強靱
性、耐熱性及び生分解性に優れ通常の衣料用は勿論、非
衣料用、医療用、衛生材料用、農業用、釣糸、魚網、一
般資材用、工業資材用等の用途に、編物、織物、不織
布、紙、フェルト、糸、紐、ロープその他の形態で好適
に使用し得る。通常の衣料分野においても、ヤング率や
伸長回復弾性率がナイロン並である為にこれまで使用に
抵抗のあったインナー、ストッキング用途にも使用でき
る物と思う。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生分解性ポリエステル共重合体を製造
するに好適な連続重合機の2軸混練機の横断面図を示
す。
【図2】本発明の生分解性ポリエステル共重合体を製造
するに好適な連続重合機の2軸混練機の縦断面図を示
す。
【図3】本発明の生分解性ポリエステル共重合体を製造
するに好適な2軸撹拌反応機の横断面説明図を示す。
【図4】本発明の生分解性ポリエステル共重合体を製造
するに好適な2軸撹拌反応機の平面図を示す。
【符号の説明】
1 駆動軸 2 駆動軸 3 撹拌素子 4 撹拌素子 5 シリンダー 6 撹拌素子とシリンダーの間のスペース 7 加熱ブロック 8 加熱ブロックを加熱するための熱媒の通路 9 原料供給部 10 送液部 11 混練部 12 ベント 13 ベント 14 取出し口 15 駆動部 16 駆動軸 17 駆動軸 18 回転板 19 回転板 20 反応容器 21 反応物 22 回転板と容器との間の空間 23 排気孔 24 反応物入口 25 反応物出口 dシリンダー内径
フロントページの続き (72)発明者 藤井 康宏 京都市中京区西ノ京桑原町1番地 株式会 社島津製作所三条工場内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−乳酸、D−乳酸又は/及びそれらの
    環状二量体(ラクタイド)99. 9〜85重量%と分子
    量は300以上のポリエチレングリコール0. 1〜15
    重量%とを溶融状態で連続的に共重合し、重合ポリマー
    を固化チップ化する事無く直接紡糸ヘッドに導き溶融紡
    糸し、次いで少なくとも3倍以上の延伸、熱処理を行い
    分子量が少なくとも7万を維持し、少なくとも3g/d
    の繊維強度を付与する事を特徴とする高強力ポリ乳酸繊
    維の製造方法。
  2. 【請求項2】 重合物の分子量が少なくとも7万になっ
    た時点で溶融ポリマーを紡糸ヘッドに導く請求項1に記
    載の製造方法。
  3. 【請求項3】 重合物の分子量が少なくとも10万にな
    り、且つ残存モノマーが高々7%になった時点で溶融ポ
    リマーを紡糸ヘッドに導く請求項1〜2に記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 重合物の分子量が少なくとも12万にな
    り、且つ残存モノマーが高々5%になった時点で溶融ポ
    リマーを紡糸ヘッドに導く請求項1〜3に記載の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 重合を相互に噛み合う又は重なり合う複
    数の撹拌素子及び送液機能を有する装置によって行なう
    請求項1に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 重合を1時間未満の時間内に完了させる
    請求項1〜5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 重合系に10ppm以上のヒンダートフ
    ェノール又は/及びヒンダートアミンを添加する請求項
    1〜6に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 L−乳酸、D−乳酸又は/及びそれらの
    環状二量体(ラクタイド)とポリエチレングリコールと
    を共重合するに際し、反応系にポリエチレングリコール
    と実質的に等モル以下の量の有機ジカルボン酸成分を添
    加し反応せしめる請求項1〜7のいずれかに記載の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 分子量1000以上のポリエチレングリ
    コール成分が0. 3〜10重量%共重合されてなり、平
    均分子量が7万以上且つ融点が110℃以上である請求
    項1に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 繊維の融点が130℃以上である請求
    項1及び9に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 繊維の強度が少なくとも4g/dであ
    り、ヤング率が少なくとも500Kg/mm2 である請
    求項1及び9〜10に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 繊維の分子量が少なくとも8万で且つ
    融点が少なくとも130℃、結晶配向度(X線の半値巾
    より求める)が少なくとも70%以上である請求項1及
    び9〜11に記載の製造方法。
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