JPH072724Y2 - 特殊車に装備された除雪用のショベル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、主に除雪用に使用される例えばショベルロー
ダやブルドーザーなどの特殊車に装備しているシャベル
の改良に関する。

〔従来の技術〕

周知のように降雪地方では、冬期間においてショベルロ
ーダやブルドーザーなどの特殊車を運行させて道路上に
降り積もった雪を除き、道路の安全且つ円滑な交通の確
保に支障をきたさないようにしている。

ところで、ショベルローダやブルドーザーなどには、雪
を処理するシャベル（バケットや土工板などのようなも
の）が装備されており、このシャベルには通常ペンキが
塗装されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、シャベルに塗装されたペンキは、冬期間
の厳しい気象条件下で反復使用を繰り返しているうちに
剥がれ落ち、このペンキがとれた箇所に雪が付着し、シ
ャベルで雪を掬い上げて捨てる作業や雪を路肩にずらす
作業がスムーズにはかどらないばかりか、シャベルの寿
命を短くしてしまうという問題点があった。また、一年
も経過しないうちにペンキを塗り直すことも大へんな手
数と経費の掛かるものであった。

そこで本考案は前記事情に基づいてなされたものであ
り、長期間にわたって雪が付着することなく除雪作業が
でき、その作業能率を向上させると共に、シャベルの寿
命を高めることができ得る特殊車に装備された除雪用の
シャベルを提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために本考案に係る特殊車に装備さ
れた除雪用のシャベルは、シャベルの少なくとも内面全
域に、溶剤を混入せずに塗装したポリウレタン樹脂から
成る膜厚が2mm〜5mmの塗膜層を固着することによって構
成される。

〔実施例〕

以下、本考案による特殊車の除雪用のシャベルの実施例
について図面を参照しながら具体的に説明する。

第１図において１で示すのは、例えばショベルローダ２
に備えられているシャベルの一形態であるバケットで、
このバケット１の構造は従来のバケットのそれと基本的
には代わりはないが、本考案の場合、バケット１の内面
全域に、従来のペンキの塗膜層に代わって、溶剤を混入
せずに塗着したポリウレタン樹脂から成る塗膜層３を、
膜厚が2mm〜5mmの厚さで設けられている点が最大の特徴
となっている。

また第２図は前記実施例の類例であってショベルローダ
２に備えられているシャベルの一形態である土工板（排
土板ともいう）４の凹曲面全域に、従来のペンキの塗膜
層に代わって、前記バケット１の場合と同様な塗膜層３
を同様の膜厚で設けたものである。

前記した溶剤を混入せずに塗着したポリウレタン樹脂と
して、塗料液と硬化剤との容量比を3:1で配合した二液
型無溶剤ポリウレタン樹脂塗料を使用し、塗料液の組成
成分はポリオール樹脂（55％）、着色顔料（33％）、体
質顔料（３％）、添加剤（９％）から成り、また硬化剤
の組成は変性イソシアネート樹脂（100％）から成って
おり、実際に市販されている商品名ミゼロンＳ−100/A
−1000（三井金属塗料化学株式会社製造）を用いた。

次に、ショベルローダに備えたバケット１や土工板４に
塗膜層３を塗着する場合には以下のような施工工程によ
って行なう。

下地処理 まず、バケットの内面または土工板の凹曲面における金
属表面に砂を噴出させて、その金属表面を粗面にする、
いわゆるブラスト処理を行なう。これは金属面と塗膜層
の密着性を良好にするためである。

清掃 ブラスト処理後、金属面に付いている埃や金属粉及び砂
を除去し、充分に清掃する。

下塗り ミゼロンＲプライマー（商品名；三井金属塗料化学株式
会社製造）を、清掃した金属面に0.10kg/m²の割合にて
エアレス塗装又は刷毛塗りで塗布する。これは金属と上
塗り塗料（塗膜層）を強力且つ緊密に固着させるためで
ある。

尚、ミゼロンＲプライマーは二液型ポリウレタン樹脂塗
料であって、塗料液の組成成分はエポキシ変性ポリオー
ル樹脂、顔料、添加剤、芳香族系ケトン系溶剤から成
り、また硬化剤は変性イソシアネート樹脂から成り、こ
れらを適宜配合して混合したものである。

上塗り 下塗りした後に、三井金属塗料化学株式会社製造に係る
商品名「ミゼロンＳ−100/A−1000」を専用塗装機で膜
厚が略２〜5mmの間で均一な厚さで吹付け、塗膜層を形
成する。尚、この際の膜厚管理は、塗料の使用量及びウ
ェット膜厚計にて計測しながら塗装し管理する。

補修 上塗りした後、外観検査により発見された塗膜層の欠陥
個所は、ミゼロンＢ−500/A−5000（商品名；三井金属
塗料化学株式会社製造）を刷毛又はヘラにて補修する。

次いで、上塗り塗料を吹付ける専用塗装機について第３
図を参照しながら説明する。

第３図は塗料供給系統を示すもので、11で示すのは塗料
液Ｐを入れるドラムで、このドラム11にはハンドヒータ
ー12が取付けられており、また13で示すのは硬化液Ｑを
入れるドラムである。14で示すのは、ドラム11に収容さ
れている塗料液Ｐを計量ポンプ15,15に送り込む圧送ポ
ンプであり、16で示すのは、ドラム13に収容されている
硬化液Ｑを計量ポンプ17に送り込む同じく圧送ポンプで
あって、各圧送ポンプ14及び16と各計量ポンプ15,15及
び17との間には、フィルター18,18とヒーター19,19が介
在して配されている。このヒーター19,19は塗料の最適
温度である45℃〜50℃に昇温させるためのものである。
このヒーティングによって、塗料の粘度を下げ霧化し易
くすると同時に、反応硬化を促進し塗膜のダレを防ぐ効
果がある。

計量ポンプ15,15から定量的に吐出される塗料液Ｐと、
計量ポンプ17から定量的に吐出される硬化液Ｑは、別々
の耐圧加温ホース20で加熱されながらミキサーマニホー
ルド21に送られ、さらに一本の塗装ホース22を介してス
タティックミキサー23に送られて、ここで塗料液Ｐと硬
化液Ｑが均一に混合された後、スプレーガン24によって
混合液が霧化されて吹付けられる。

25,25で示すのは循環回路であり、元の塗料温度が低
く、塗料の最適温度まで昇温できない場合に循環回路を
通して30℃〜40℃に加温するものである。また、26で示
すのは、溶剤Ｒを入れるタンク27と洗浄ポンプ28とから
成っている洗浄システムであり、ミキサーマニホールド
21から先の混合された塗料を洗い流すためのものであ
る。

尚、圧送ポンプ14及び16と洗浄ポンプ28には、いずれも
コンプレッサー29からエアが供給されている。

以上説明した専用塗装機を使用して二液型無溶剤ポリウ
レタン樹脂塗料（商品名ミゼロン）をバケットあるいは
土工板の各内面側の金属表面に吹付ければ、一回の吹付
けで所望する膜厚に塗着することができると共に、溶剤
が含まれていないので、ダレやピンホールが発生するこ
となく速やかに乾燥硬化し、塗膜の密着性が緊密で可撓
性に富み然も塗膜仕上面が平滑で摩擦抵抗が小さいの
で、耐摩耗性及び耐衝撃性に優れていると共に、雪の非
付着性にも優れた塗膜層３を形成することが可能とな
る。殊に、この塗膜層３は低温でも柔軟性に富み優れた
耐摩耗性及び耐衝撃性能を発揮するので、除雪用の塗装
としては最適である。

前記実施例及びその類例では、シャベルを装備するショ
ベルローダという代表的な特殊車について説明したが、
本考案は除雪用に使用される他の特殊車のシャベル、例
えばラッセル車の排雪板にも応用できるものである。ま
た、実施例ではシャベルの内面側だけに塗膜層を形成し
たが、シャベルの内外全周面にわたって塗膜層を設けて
もよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、特殊車のシャベル
の少なくとも内面全域の金属面に溶剤を混入しないで塗
装したポリウレタン樹脂による膜厚が2mm〜5mmという超
厚膜の塗膜層を固着するように構成したので、そのシャ
ベル面は平滑性に富む強靱な塗膜によって保護されてお
り、従って除雪の作業時には雪が付着することなく、そ
の作業能率を飛躍的に高めることができると共に、冬季
の低温でも柔軟性に富んで摩耗や衝撃に対しても強く、
シャベル面との緊密な密着性とも相まって、シャベルの
塗装間隔を期間的に著しく延ばすことが可能となり、し
かも膜厚の厚い強靱な保護塗膜によってシャベル自体の
寿命を向上させることができる等、優れた効果を有する
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を一部切欠して示す斜視図、
第２図は本考案の実施例の類例を一部切欠して示す斜視
図、第３図は塗膜層を形成するに際して使用する専用塗
装機における塗料供給系統を示す説明図である。 １……バケット（シャベル）、３……塗膜層、４……土
工板（シャベル）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シャベルの少なくとも内面全域に、溶剤を
   混入せずに塗装したポリウレタン樹脂から成る膜厚が2m
   m〜5mmの塗膜層を固着してなることを特徴とする特殊車
   に装備された除雪用のシャベル