JPH07272132A - 磁気マーカー - Google Patents

磁気マーカー

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Publication number
JPH07272132A
JPH07272132A JP6488394A JP6488394A JPH07272132A JP H07272132 A JPH07272132 A JP H07272132A JP 6488394 A JP6488394 A JP 6488394A JP 6488394 A JP6488394 A JP 6488394A JP H07272132 A JPH07272132 A JP H07272132A
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JP
Japan
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magnetic
magnetic field
metal plate
wire
coating film
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Application number
JP6488394A
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English (en)
Inventor
Wataru Suenaga
渉 末永
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】繰り返し書き込み可能で、存在の有無のみなら
ずそれらの識別ができる磁気マーカーを提供する。 【構成】結合剤中に磁気的に硬質な磁性粉が分散されて
形成された乾燥塗膜と、磁歪のない金属板或いはワイヤ
との積層物からなり、磁界強度が変動する入射磁界に対
して、前記塗膜が磁化されていない状態では、前記金属
板或いはワイヤが連続の磁界値を発生して不連続の磁界
値の基づく出力信号を発生しないが、前記塗膜が長手方
向を等間隔に多等分に磁化されている状態では、前記金
属板或いはワイヤが恒透磁率性部分と前記恒透磁率部分
とは異なる透磁率部分を有するものとなり、それらの透
磁率の相違に基づいて、不連続の磁界値の基づく出力信
号を発生し、前記入射磁界に対して応答する様にしたこ
とを特徴とする磁気マーカー。 【効果】繰り返し書き込み可能で、存在の有無のみなら
ずそれらの識別ができる磁気マーカーが得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体に関し、
さらに詳しくは、照合データ等の識別情報を読み取る非
接触磁気記録媒体に関するものであり、磁気カードにお
ける偽造防止にも利用できるものである。
【0002】
【従来の技術】磁気カードは銀行のキャッシュカード、
通帳、鉄道の定期券、切符に広く利用されているが、接
触式で読み取るために、機械的な摩耗、損傷等が発生す
る。非接触式で簡易な情報媒体としては、一般的に、バ
ーコードシステムが使用されているが、使用環境の問
題、書き込みができないなどの難点が挙げられる。
【0003】そのため非接触で識別または同定する新し
い試みとして特開平4−163087号公報では大バル
クハウゼン不連続発生磁界値のそれぞれ異なる非晶質金
属細線を少なくとも2種組み合わせたマーカーを適当な
手段で識別すべき物品に添付し、入射磁界に対して応答
するパルス信号の発生位置が該金属細線の組み合わせに
対応して異なっている時系列パルスを認識することが提
案されている。
【0004】しかし、上記時系列パルスを認識するマー
カーにおいては、大バルクハウゼン不連続発生磁界値の
異なる非晶質金属細線を作成するためにはそれぞれの金
属細線に対し製造条件である熱処理条件即ち温度及び張
力等を変えなければならなかった。また磁気カードのよ
うに繰り返しの書き込みはできなかった。
【0005】この様な、繰り返し書き込みができないと
いう欠点を解決したマーカーとして、結合剤中に磁性粉
が分散されて形成された乾燥塗膜と、金属板或いはワイ
ヤが積層された積層物からなり、前記塗膜からのバイア
ス磁界の有無により、入射磁界に対して信号を出力する
場合と出力しない場合とが設定でき、応答可能な磁気マ
ーカーが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たマーカーは、繰り返し書き込みは出来る様にはなった
けれども、上記塗膜全体が、長手方向で見て、N極S極
がひとつずつしか存在しない様に、磁化されて使用され
ている。従って、入射磁界に対して応答して存在の有無
は確認できるものの、マーカーが添付された物品が、数
ある物品の中のどの様な物品であるか否かまでは、入射
磁界に応答してくる出力信号からは認識することが出来
なかった。
【0007】そこで、物品の有無は勿論のこと、マーカ
ーが添付された物品が、数ある物品の中のどの様な物品
であるか否かまで判別できる磁気マーカーが期待されて
いる。本発明が解決しようとする課題は、繰り返しの書
き込みができ、その書き込み信号に対応して、入射磁界
に対して応答して存在の有無は勿論のこと、マーカーが
添付された物品が、数ある物品の中のどの様な物品であ
るか否かまで認識することが可能な磁気マーカーを提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために、鋭意検討の結果、従来の磁気マーカー
の、結合剤中に磁性粉が分散されて形成された乾燥塗膜
を磁化してバイアス磁界を設けるに当たって、その塗膜
を長手方向に等間隔に多等分する様に磁化することによ
って上記課題が解決されることを見い出し本発明を完成
するに至った。
【0009】すなわち、本発明は上記課題を解決するた
めに、結合剤中に磁気的に硬質な磁性粉が分散されて形
成された乾燥塗膜(A)と、磁歪のない金属板或いはワ
イヤ(B)との積層物からなり、磁界強度が変動する入
射磁界に対して、前記塗膜(A)が磁化されていない状
態では、前記金属板或いはワイヤ(B)が連続の磁界値
を発生して不連続の磁界値の基づく出力信号を発生しな
いが、前記塗膜(A)が長手方向を等間隔に多等分に磁
化されている状態では、前記金属板或いはワイヤ(B)
が恒透磁率性部分と前記恒透磁率部分とは異なる透磁率
部分を有するものとなり、それらの透磁率の相違に基づ
いて、不連続の磁界値の基づく出力信号を発生し、前記
入射磁界に対して応答する様にしたことを特徴とする磁
気マーカーを提供するものである。
【0010】また、本発明は上記課題を解決するため
に、結合剤中に磁気的に硬質な磁性粉が分散されて形成
された乾燥塗膜(A)と、磁歪のない金属板或いはワイ
ヤ(B)との積層物からなり、磁界強度が変動する入射
磁界に対して、前記塗膜(A)が磁化されていない状態
では、前記金属板或いはワイヤ(B)は、磁界H−磁束
密度B座標上のヒステリシスループに連続の磁界値を発
生して不連続の磁界値の基づく出力信号を発生しない
が、前記塗膜(A)が長手方向を等間隔に多等分に磁化
されている状態では、前記金属板或いはワイヤ(B)は
恒透磁率性を示し、前記金属板或いはワイヤ(B)の磁
界H−磁束密度B座標上のヒステリシスループに少なく
とも2つ以上の変曲点を有することにより不連続の磁界
値の基づく出力信号を発生し、前記入射磁界に対して応
答する様にしたことを特徴とする磁気マーカーを提供す
る。
【0011】さらに、本発明は上記課題を解決するため
に、非磁性支持体片面上に結合剤中に磁気的に硬質な磁
性粉が分散されて形成された乾燥塗膜(A)を設け、も
う一方の面に粘着層を設け、その粘着層で磁歪のない金
属板或いはワイヤ(B)を固定した積層物からなり、磁
界強度が変動する入射磁界に対して、前記塗膜(A)が
磁化されていない状態では、前記金属板或いはワイヤ
(B)は、磁界H−磁束密度B座標上のヒステリシスル
ープに連続の磁界値を発生して不連続の磁界値の基づく
出力信号を発生しないが、前記塗膜(A)が長手方向を
等間隔に多等分に磁化されている状態では、前記金属板
或いはワイヤ(B)が恒透磁率性を示し、前記金属板或
いはワイヤ(B)の磁界H−磁束密度B座標上のヒステ
リシスループに少なくとも2つ以上の変曲点を有するこ
とにより不連続の磁界値の基づく出力信号を発生し、前
記入射磁界に対して応答する様にしたことを特徴とする
磁気マーカーを提供する。
【0012】まず、本発明において、多用される用語等
について具体的に説明する。
【0013】本発明において、「恒透磁率性」とは、ヒ
ステリシスループにおいて磁束密度Bが磁界Hに対して
直線的であり、透磁率が入射磁界の大きさに強く依存せ
ず一定である(=恒透磁率)という性質を意味する。
【0014】あらゆる磁化しうる物質は、それに固有な
磁気的特性を有しており、所定の磁界を与えると、それ
に対応して磁束密度が変化する。横軸に磁界Hを取り、
また縦軸に磁束密度Bを取り、磁界H−磁束密度Bの座
標系を設けて、前記磁界の変化に対する磁束密度の変化
をプロットしたものが、「ヒステリシスループ」である
(以下、磁界H−磁束密度Bの座標は、H−B座標とい
う。)。磁化すると1サイクルごとに、このループを一
周する。この履歴現象が「ヒステリシス」である。従っ
て、このヒステリシスループは、金属板又はワイヤの固
有の性質を示すものである。
【0015】「等間隔に多等分に磁化されている状態」
とは、全体長が2以上に分割されて磁化されており、そ
して分割された各磁化区域の長さがいずれも等しい間隔
となっている状態を言う。本発明において、「多等分」
の多は、2以上の自然数を意味するものとする。
【0016】「磁気的に硬質な磁性粉」とは、硬質磁性
材料からなる磁性粉を意味するもので、通常300〜5
000エルステッドの抗磁力を有するものが挙げられ
る。
【0017】「磁歪のない」とは、実質的に磁気歪が無
いことを意味し、範囲を例示するとすれば、例えば0〜
1PPM(ゼロを含む)である。
【0018】本発明のマーカーは、要するに「硬質磁性
塗膜を長手方向に等間隔に多等分に磁化する」という技
術的構成と、「磁歪のない金属板或いはワイヤを使用す
る」という技術的構成とを組み合わせた点に特徴があ
る。長手方向に等間隔に多等分に磁化された塗膜(A)
は、バイアス磁界の発生源であり、それは、後述する磁
歪のない金属板或いはワイヤ(B)に向けて、一軸異方
性をもたせることを目的としたバイアス磁界を発生す
る。
【0019】本発明の上記技術的構成により得られたマ
ーカーが、磁界強度が変動する入射磁界に対して、ヒス
テリシスから生ずる不連続の発生磁界値の発生して応答
するメカニズムについて説明する。
【0020】本発明の磁気マーカーは、例えば図5に示
す様なヒステリシスループを示す。以下、その原理につ
いて図1〜4を用いて具体的に説明する。バイアス磁界
は、後述する入射磁界よりもその強度を小さなものとす
るのが良い。
【0021】一般的に磁化された磁性体の主要なエネル
ギーは磁化のエネルギー、異方性エネルギー、磁気歪に
よる弾性エネルギー及び磁壁エネルギーよりなる。図1
に示されるような、等間隔に多等分に磁化された磁性塗
膜からなる磁気層1よりバイアス磁界を受けている、磁
歪の大きさが0〜1PPMである高透磁率の金属板2を考
えた場合、バイアス磁界が金属板2の抗磁力より十分大
きければ、弾性エネルギー及び磁壁エネルギーは0とな
り、金属板2の磁気エネルギーは磁化のエネルギー及び
異方性エネルギーより成る。
【0022】図1に示される構成物に矢印の方向から外
部磁界Hexを加えた場合、外部磁界Hexの大きさが、バ
イアス磁界の大きさより充分小さいときは、図2に示さ
れるように磁化のエネルギー及び異方性エネルギーがバ
ランスを保った状態にあり外部磁界Hexの変化に対しエ
ネルギー変化は少なく、金属板2の磁気モーメントm即
ち磁束密度等の変化は少ないと考えられる。
【0023】次に外部磁界Hexの大きさがバイアス磁界
の大きさより大きいときは、金属板2のバイアス磁界を
受けている部分の磁気モーメントmがそろって外部磁界
方向に回転していくと考えられる。
【0024】その結果、図3に示されるように、磁気層
1からバイアス磁界を加えられた金属板2は、見かけ
上、バイアス磁界方向に一軸異方性をもち、外部磁界H
exが加えられていないとき磁化容易方向に磁気モーメン
トmは向いており、その方向に異方性磁界HA がある。
更に、本発明では金属板2が、等間隔に多等分となる様
にバイアス磁界が加えられているため、図4に示される
ように金属板2全体としてみた場合、異方性磁界HA の
ベクトル和は、見かけ上、外部磁界に対して90゜の方
向に向いている。この場合、金属板2の磁気モーメント
mの方向に拘らず、磁化率は一定で、外部磁界の変化に
対して恒透磁率であるヒステリシス曲線が得られる。
【0025】尚、本発明においては、磁界Hを受けてい
ない時〔即ち、バイアス磁界を受けていない時〕におけ
る、磁歪のない金属板或いはワイヤ(B)のヒステリシ
スループの波形形状は重要ではないが、その状態におい
ては、一般的には通常の角型のヒステリシスループを有
していることが多い。
【0026】本発明のマーカーにおいて、塗膜(A)か
らのバイアス磁界を受けている状態で、上記した磁歪の
ない金属板或いはワイヤ(B)は、見かけ上、図5に示
されるモデルのヒステリシスループを示す。つまり、磁
歪のない金属板或いはワイヤ(B)は、バイアス磁界を
受けた時、図5の通り、そのヒステリシスループには恒
透磁率部分と、前記恒透磁率部分とは異なる透磁率を有
する部分とを有する様になり、それらの境界が変曲点と
なって現れる。本発明では、この変曲点をマーカーの応
答に利用するのである。
【0027】本発明においては、この変曲点の発生する
磁界値を不連続発生磁界値と呼ぶ。従って、磁界強度が
変動する入射磁界に対して、本発明のマーカーは、磁束
の変化において不連続の発生磁界値を生じ応答する。
【0028】尚、図5に示したモデルは、ヒステリシス
ループのヒステリシス損がゼロである場合における一例
を示したものであり、それと同一のヒステリシスループ
が得られ無くとも、塗膜(A)からのバイアス磁界を受
けたとき、磁歪のない金属板或いはワイヤ(B)のヒス
テリシスループのヒステリシス損が、実質的にゼロと見
なせることが出来る程度のものであって、そのヒステリ
シスループが恒透磁率部分と、前記恒透磁率部分とは異
なる透磁率を有する部分をも有していれば、上記したモ
デルと同様に、磁界強度が変動する入射磁界内では、マ
ーカーの磁束の変化において不連続の発生磁界値を生じ
応答する。
【0029】塗膜(A)からのバイアス磁界を受けたと
きの金属板或いはワイヤ(B)において、そのヒステリ
シスループのヒステリシス損は、通常0ではないが、後
述する入射磁界1〜60Hz、磁界強度±20エルステ
ッドの条件において、実質的に0と見なせる範囲として
は、例えば0を越えて50J/m3の範囲内である。
【0030】本発明者は、磁界強度が変動する入射磁界
に対して、前記塗膜(A)が磁化されていない状態で
は、磁歪のない金属板或いはワイヤ(B)が、連続の磁
界値を発生して不連続の磁界値の基づく出力信号を発生
しないが、前記塗膜(A)が長手方向を等間隔に多等分
に磁化されている状態では、前記金属板或いはワイヤ
(B)が恒透磁率部分とそれと異なる透磁率部分とを有
するという知見を得たことに基づいて、それらの変曲点
に当たる不連続の磁界値の基づく出力信号を発生する現
象をマーカーの検出に応用したのである。
【0031】より具体的には、塗膜(A)が磁化されて
いない状態〔即ち、バイアス磁界が塗膜(A)から金属
板或いはワイヤ(B)に向かって与えられていない状
態〕では、磁歪のない金属板或いはワイヤ(B)は、そ
れが有する本来のヒステリシスループを与え、前記金属
板或いはワイヤ(B)の磁界H−磁束密度B座標上のヒ
ステリシスループに、連続の磁界値を発生して不連続の
磁界値に基づく出力信号を発生しないが、前記塗膜
(A)が長手方向を等間隔に多等分に磁化されている状
態〔即ち、バイアス磁界が塗膜(A)から金属板或いは
ワイヤ(B)に向かって与えられている状態〕では、前
記金属板或いはワイヤ(B)の磁界H−磁束密度B座標
上のヒステリシスループに恒透磁率部分とそれと異なる
透磁率部分とがあり、それらの境界が変曲点として現れ
ること、そして、それらが、少なくとも2つ以上現れる
ということを発見して、この変曲点に相当する不連続の
磁界値の基づく出力信号を発生する現象をマーカーの検
出に応用したのである。
【0032】本発明のマーカーは、結合剤中に磁気的に
硬質な磁性粉が分散されて形成されたバイアス磁界を発
生しうる乾燥塗膜(A)と、磁歪のない金属板或いはワ
イヤ(B)とを必須の構成とした積層物からなる。具体
的には、例えば非磁性支持体片面上に、結合剤中に磁気
的に硬質な磁性粉が分散されて形成されたバイアス磁界
を発生しうる乾燥塗膜(A)を設け、もう一方の面に粘
着層を設け、その粘着層で、磁歪のない金属板或いはワ
イヤ(B)を固定した積層物という層構成のものが挙げ
られる。この構成のものは、監視が必要な物品に直接貼
りつけて、その物品の識別をすることができる。
【0033】図6に、本発明の磁気マーカーの一例を示
した。このマーカーは、例えば、乾燥塗膜からなる磁気
層1を有した非磁性支持体Aに、磁歪の大きさが0〜1
PPMである金属板2、粘着層3、および剥離紙4を積層
することによって作製することができる。
【0034】非磁性支持体Aとして使用できる材料は、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンナフタレート、
ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチ
レン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニル共
重合体等からなるプラスチックフィルムまたはシート;
若しくはアルミニウムなどの非磁性金属;紙、含浸紙;
これらの各材料からなる複合体が挙げられ、これら以外
の材料であっても、必要な強度、構成等を備えていれ
ば、特に制限なく使用できる。
【0035】乾燥塗膜(A)に相当する磁気層1として
は、例えば結合剤中に硬質磁性材料からなる磁性粉を分
散して形成される磁気層を用いることができる。
【0036】本発明で用いられる磁性粉としては、例え
ば、酸化鉄系強磁性粉末として酸化第二鉄、四三酸化
鉄、Co被着の酸化鉄、バリウムフェライト、ストロン
チウムフェライト、六方晶系酸化鉄等が挙げられる。化
合物系強磁性粉末としては、例えば、炭化鉄、窒化鉄等
が挙げられる。また、強磁性金属粉末としては、例えば
強磁性粉末中の金属分が75重量%以上であり、かつ、
金属分の80重量%以上が少なくとも1種類の強磁性金
属または合金(例えば、Fe、Co、Ni、Fe−C
o、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe)であ
り、この金属分の20重量%以下の範囲内で他の成分
(例えば、Al、Si、Pb、Se、Ti、V、Cr、
Mn、Cu、B、Y、Mo、Rh、Rd、Ag、Sn、
Sb、P、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、S、B
i、La、Ce、Pr、Nd、Zn、Te)を含有する
合金が挙げられる。前記強磁性金属分が、小量の水、水
酸化物または酸化物を含んでもよい。これらの強磁性粉
末の製造法は公知であり、本発明では、公知の方法に従
って製造したものを用いることができる。中でも、飽和
磁束密度が70emu/g以上の磁気的に硬質な磁性粉を
用いることが好ましい。
【0037】磁気層1に使用する結合剤としては、例え
ば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルおよ
び酢酸ビニルとビニルアルコール、無水マレイン酸また
はアクリル酸との共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニリデ
ン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、
スルホン酸基またはアミノ基等の極性基を有する塩化ビ
ニル系共重合体の如き塩化ビニル系共重合体;ニトロセ
ルロースの如きセルロース誘導体;ポリビニルアセター
ル樹脂;アクリル樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;エ
ポキシ樹脂;フェノキシ樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリ
エステルポリウレタン樹脂;スルホン酸基等の極性基を
有するポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタ
ン系樹脂等が挙げられる。
【0038】前記結合剤として用いる樹脂は単独で使用
することもできるが、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン
系樹脂、セルロース誘導体とポリウレタン系樹脂のよう
に、2種類以上の樹脂を組み合わせて使用することもで
きる。
【0039】前記結合剤の使用量は、磁性粉100重量
部当たり15〜30重量部の範囲が好ましい。
【0040】また、磁気層1を形成する際に用いる分散
剤としては、例えば、レシチン、高級アルコール、界面
活性剤等が挙げられる。分散剤の使用量は、磁性粉10
0重量部当たり0.5〜3.0重量部の範囲が好まし
い。
【0041】上述の磁性粉、結合剤、および分散剤を、
各種の混練・分散機を用いて、分散して磁性塗料を作製
する。混練・分散にあたっては、二本ロール、三本ロー
ル等のロール型混練機、ボール型回転ミル等の分散機
に、上述の各成分を、すべて同時に、または個々順次投
入する。
【0042】このようにして作製された磁性塗料を、非
磁性支持体に塗布し、乾燥すれば塗膜(A)に相当する
磁気層1が得られるが、磁性塗料を塗布の後、1000
〜10000ガウスの磁場強度をもつ永久磁石またはソ
レノイド磁石によって磁場配向処理後、乾燥させること
によって磁気層を形成するのが、金属板或いはワイヤ
(B)に加えられる磁界が一軸異方性となりやすいの点
で好ましい。このとき、磁気層をカレンダー処理しても
よい。
【0043】前記磁性塗料の塗布方法としては、例え
ば、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコ
ート、押し出しコート、エアーナイフコート、スクイズ
コート、含侵コート、リバースロールコート、トランス
ファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キ
ャストコート、スプレイコート等が挙げられる。
【0044】塗膜(A)に相当する磁気層1の厚さは、
バイアス磁界に比例しており、更に異方性定数の大きさ
に関係するため、5〜100μmの範囲を利用すること
ができ、単位面積当たりの残留磁束密度は1〜25Mx/
cmの範囲を利用することが、最適なバイアス磁界を発生
することができる点で好ましい。
【0045】磁性塗料を非磁性支持体上に塗布する方法
により磁気層の厚みを増大するには限界があり、厚さ4
0μm以上の磁気層を得るには、例えば、図7に示した
ように、非磁性支持体A上に、通常の方法により磁気層
1を設け、さらに、この磁性層1の上に接着剤層5を設
け、別に製造した磁気層1’を設けた非磁性支持体A’
を重ね合わせて二つの磁気層1および1’を複合させる
ことにより、磁気層の厚みを大きくすることができる。
【0046】接着剤層5に使用する接着剤としては、例
えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸共重合
体、ゴム系樹脂、シアノアクリレート樹脂、セルロース
系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポ
リウレタン樹脂等が挙げられ、通常、0.1〜0.5μ
mの厚さに形成する。
【0047】貼り合わせる方法としては、例えば、磁気
層を設けた非磁性支持体を加熱および加圧して、接着さ
せる。具体的には、金属ロールまたはゴムロールの一対
を対向させて設置し、一方のロールを加熱しておいて、
一方の非磁性支持体B側に接触させ、ロール間の圧力と
ロールの熱により、加熱および加圧を行うか、若しくは
熱プレスを用いて行うことができる。
【0048】前記加熱および加圧の条件は使用する材料
によっても異なるが、一例を挙げると、温度は100〜
300℃、圧力は熱ロール方式では約10kg/cm2 、熱
プレス方式では10kg/cm2前後、速度としては50m
/分くらいが適当である。
【0049】図示はしていないが磁気層の上に保護層を
設けてもよく、保護層に使用する樹脂としては、例え
ば、エチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース
誘導体、ポリスチレン等のスチレン樹脂またはスチレン
共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル
酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチ
ル等のアクリル樹脂またはメタクリル樹脂の単独あるい
は共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル、ビニルトルエン樹脂、
塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。
【0050】上述の樹脂中に、耐摩耗性向上のためにα
−Al23等の高硬度の添加剤やポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)等の微粒の樹脂ビーズを分散させた
媒体を使用してもよい。
【0051】保護層の形成方法としては公知の塗工方法
を用いてよく、例えば、エアードクターコート、ブレー
ドコート、ロッドコート、押し出しコート、エアーナイ
フコート、スクイズコート、含侵コート、リバースロー
ルコート、トランスファーロールコート、グラビアコー
ト、キスコート、キャストコート、スプレイコート等が
挙げられる。
【0052】また、保護層上に印刷層を設けてもよく、
塗膜(A)に相当する磁気層1の着磁後に生じるヒステ
リシスループにおける不連続の発生磁界値である出力信
号の種別またはマーカーが貼付される物品の種類を該印
刷層に表示してもよい。
【0053】粘着層に使用する材料としては、例えば、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸共重合体、ゴム
系樹脂、シアノアクリレート樹脂、セルロース系樹脂、
アイオノマー樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタ
ン樹脂等が挙げられ、通常、10〜30μmの厚さに形
成する。
【0054】磁歪の大きさが0〜1PPMの金属として
は、公知慣用のものがいずれも使用できるが、高透磁
率、例えば透磁率が103〜106μのもの、具体的な市
販品としては、Co−Fe−Si−B系のアモルファス
金属繊維「センシィ」〔ユニチカ(株)製〕、「メトグ
ラス2714A」、「メトグラス2705M」(アライ
ド・シグナル社製)等が好ましく使用できる。磁歪が完
全にゼロである金属は一般に極めて得にくく、上記した
市販品は、いずれも0を越えて1PPMの範囲内の数値
を示すものである。
【0055】図6に示した磁歪の大きさが0〜1PPM
の金属2の形状は、板状であるが、それに限定されるも
のではなく、ワイヤー状であってもよい。
【0056】塗膜(A)と金属板又はワイヤ(B)との
好適な組み合わせとしては、残留磁束密度1〜25Mx
/cmの塗膜と、103〜106μの透磁率を有する金属
板又はワイヤ、との組み合わせが挙げられる。
【0057】バイアス磁界を発生させるために本発明で
使用する磁気層を着磁させる方法としては、例えば、本
発明で使用する塗膜(A)に相当する磁気層1を有する
非磁性支持体を、磁歪のない金属板或いはワイヤ(B)
の上に、等間隔で複数条の短冊状に配列させた後、磁気
層1を永久磁石等で着磁させる方法を用いてもよいが、
該金属板又はワイヤと同一の長さの該磁気層1を有する
非磁性支持体を重ねた後、図8に示した着磁器、図9に
示した磁気ヘッドを用いたエンコーダーを利用してもよ
い。
【0058】金属板或いはワイヤ(B)に塗膜(A)か
らバイアス磁界が与えられた本発明のマーカーは、特開
昭61−153799号公報等に記載されているよう
な、電源および通常のコイルを有する磁界発生器、ピッ
クアップコイル、および信号検出器からなる電子物品監
視装置またはシステムによって容易に検出できる。尚、
この磁界発生器が、塗膜(A)のバイアス磁界とは別
の、入射磁界(外部磁界)を発生する。
【0059】このような装置またはシステムにおいて
は、例えば磁界発生器によって所定周波数の交流磁界が
発生せられ、それが検出しようとする領域に印加され、
入射磁界が設けられる。塗膜(A)から金属板或いはワ
イヤ(B)に向けてバイアス磁界が発せられている本発
明のマーカーは、入射磁界に入ると、上記した原理によ
り出力信号を発生するので、応答出力信号をピックアッ
プコイルによって捉えて信号検出器により出力信号を検
出することにより、マーカーに付随する監視が必要な物
品群の各種の識別が可能となる。
【0060】本発明のマーカーの検出に用いる入射磁界
は、通常交流磁界、具体的には、1〜60Hzの範囲の周
波数の交流磁界であり、検出領域の弱いところで約20
エルステッド以上の出来るだけ大きな振幅を有する様
に、具体的な一定値の所定周波数を選択する。この振幅
が大きい程、マーカーの存在を明確に把握することが可
能である。尚、交流磁界としては、例えば正弦波或いは
三角波が用いられる。
【0061】マーカーの検出をするに当たっては、その
選択した所定周波数で設けた入射磁界の強度を変化させ
る。この強度を変化させるに当たっては、上記した出来
るだけ大きな振幅を有する所定周波数の、正の振幅強度
値と負のそれとの間で、周波数の強度を変化させて、マ
ーカーの存在を把握する。1〜60Hzの範囲の周波数の
交流磁界を用い、最大振幅が20エルステッドの場合に
は、−20〜+20エルステッドの範囲で正から負に向
かって、或いは負から正に向かって強度を変化させる様
にすれば良い。
【0062】本発明において、最も好適な磁気マーカー
及びその検出装置の組み合わせ(システム)は、残留磁
束密度1〜25Mx/cmの乾燥塗膜を用い、かつ磁歪が0
を越えて1PPMの範囲内であり、103以上の透磁率
を有する、金属板或いはワイヤと組み合わせて積層し
て、前記塗膜が磁化された時に恒透磁率部分とそれと異
なる透磁率部分を発現する磁気マーカーを構成し、1〜
60Hzから選択される所定周波数の、バイアス磁界より
も大きい、−20〜+20エルステッドの範囲で強度が
変動する入射交流磁界を予め設けておき、恒透磁率部分
とそれと異なる透磁率部分との変曲点を不連続磁界値と
して検出するというものである。
【0063】ところで、本発明のマーカーは、塗膜
(A)が等間隔に多等分に磁化されているので、めいめ
いのマーカーの塗膜を磁化する際に、等分する数(分割
数)を例えば2〜20の範囲で変えてやれば、その等分
数に応じた種種の異なる特定の、2以上の不連続発生磁
界値に基づく出力信号を発生するので、それらマーカー
の取り付けられている物品が識別出来る。
【0064】
【実施例】以下、実施例を用いて、本発明をさらに詳細
に説明する。
【0065】(磁性塗料の調製例)保磁力1550エル
ステッド(Oe)、飽和磁束密度120emu/gのメタ
ル磁性粉「HJ−8」〔同和鉱業(株)製〕100重量
部、レシチン3重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニ
ルアルコール共重合体「VAGH」(米国ユニオンカー
バイト社製)10重量部、ポリウレタンエラストマー
「T−5206」(大日本インキ化学工業(株)製)1
0重量部をニーダーにて混練し、得られた混練物に、メ
チルエチルケトン、トルエン、およびシクロヘキサノン
の等重量混合液300重量部を加え、ボールミルにて分
散して磁性塗料を得た。
【0066】(実施例1)磁性塗料の調製例で得られた
磁性塗料を、厚さ24μmのポリエステルフィルム面上
に乾燥後の塗布膜厚が15μmとなるように塗布し、5
000ガウスの磁場配向を加えて乾燥させて、磁気層を
有する非磁性支持体を得た。この磁気層を有する非磁性
支持体2枚を磁気層を内側にして厚さ0.5μmの接着
剤層(大日本インキ化学工業(株)製ポリウレタンエラ
ストマー「T−5206」)を介して貼り合わせた後、
幅10mm、長さ100mmのストライプ状に配向方向に沿
って切り出し、厚さ合計30μmの磁気層を有する全体
で78.5μmの基材を得た。
【0067】そして、この基材の磁気層を通常の磁気エ
ンコーダーを用いて、図9に示したように、長手方向の
100mmを4等分に分割する様(即ち25mm間隔)に磁
化・書き込みを行い着磁させた。
【0068】また、図1に示したような、磁歪の大きさ
が0〜1PPM(カタログ値)の金属板を得るため、
「メトグラス2714A」(厚み25ミクロン)を幅2
mm、長さ100mmのストライプ状に切り出し、それと、
上記磁気層を有する基材と重ね合わせ固定し、本発明の
マーカーを作製した。
【0069】さらに、実施例1のマーカーを、図1に示
したように着磁した場合に対して、磁界強度20エルス
テッド、周波数30Hzの交流磁界を加えたときのヒステ
リシス曲線の測定を行い、不連続の発生磁界値を求め
た。この測定結果を、図10及び表1に示した。
【0070】さらに、実施例1のマーカーに対して、磁
界強度20エルステッド、周波数30Hzの交流磁界を付
与し、時間変化に対するヒステリシスループにおける不
連続の発生磁界値の生ずる特有の出力電圧を測定し、そ
の結果を図11に示した。
【0071】(実施例2)実施例1において、通常の磁
気エンコーダーを用いて、長手方向の100mmを7等分
に分割する様(即ち14.285mm間隔)に、磁化・書
き込みを行い着磁させる以外は、実施例1と同様にして
本発明のマーカーを作製し、測定した結果を表1及び図
12、図13にしめした。
【0072】(実施例3)実施例1において、通常の磁
気エンコーダーを用いて、長手方向の100mmを16等
分に分割する様(即ち6.25mm間隔)に、書き込みを
行い着磁させる以外は、実施例1と同様にして本発明の
マーカーを作製し、測定した結果を表1及び図14、図
15にしめした。
【0073】(実施例4)実施例1において、磁性塗料
の調製例で得られた磁性塗料を厚さ24μmのポリエス
テルフィルム上に乾燥後の膜厚が6μmとなるように塗
布し、実施例1と同様にして厚さ合計12μmの磁気層
を有する全体で60.5μmの基材を得た後、実施例1
と同様にして本発明のマーカーを作製し、測定した結果
を表1及び図16にしめした。
【0074】(実施例5)実施例1において、磁性塗料
の調製例で得られた磁性塗料を厚さ24μmのポリエス
テルフィルム上に乾燥後の膜厚が20μmとなるように
塗布し、実施例1と同様にして厚さ合計40μmの磁気
層を有する全体で88.5μmの基材を得た後、実施例
1と同様にして本発明のマーカーを作製し、測定した結
果を表1及び図17にしめした。
【0075】
【表1】
【0076】表1において、上段の第1不連続発生磁界
値、第2不連続発生磁界値は、図5におけるヒステリシ
ス曲線の変曲点を示した。また、分割数は図9に示した
ように、基材の100mmの長さの磁気層をいくつに等
間隔に磁化し分割したか、即ち分割により得られる等間
隔に着磁した数を意味する。
【0077】尚、実施例1〜5の各マーカーは、いずれ
も繰り返し書き込みができた。
【0078】表1を更に分かりやすくするために、表1
における実施例1〜3の分割数と磁気層30μの厚さに
おける第1及び第2不連続発生磁界値との関係を図18
に示した。また、実施例1、4、5の磁気層の厚さと4
分割における第1及び第2不連続発生磁界値の関係を図
19に示した。
【0079】図18及び図19から次のようなことが判
る。即ち、磁気層の記録の分割数を大きくするに従い、
第1及び第2不連続発生磁界値は比例して大きくなり、
更に磁気層の膜厚を厚くするに従い、第1及び第2不連
続発生磁界値は比例して大きくなる。従って、磁気層の
膜厚及び磁気層の記録の分割数を決めてやることによ
り、めいめいの磁気マーカー特有の第1及び第2不連続
発生磁界値が得られる。
【0080】これに対して、従来の磁気マーカーは、バ
イアス磁界を与えるための磁気層が、多等分に磁化され
ていないので、マーカーの取り付けられた物品の存在有
無は検出できるが、その種類等の識別は出来ない。
【0081】本発明のマーカーでは、塗布型の磁気層を
用いるので、加工性に高く、マーカーに粘着性をもたせ
たものは、検出されるべき物品にそのまま添付すること
ができる。また、マーカーに加える外部磁界がバイアス
磁界の大きさより充分小さいときは、外部磁界変化に対
しエネルギー変化は少ない。本発明で用いる金属板或い
はワイヤはバイアス磁界が無い場合、外部交流磁界に対
して高調波の発生或いは大バルクハウゼン効果のパルス
信号が発生することを考え合わせると、いわゆる万引き
防止マーカーの失活方法にも応用できる。
【0082】
【発明の効果】本発明の磁気マーカーは、結合剤中に硬
質磁性材料からなる磁性粉が分散されて形成された乾燥
塗膜と、磁歪のない金属板或いはワイヤとを積層した構
造のマーカーであって、その塗膜が長手方向に等間隔に
多等分されているので、監視しようとする物品の存在有
無のみならず、数ある物品の個々の識別ができるという
格別顕著な効果を奏する。
【0083】
【図面の簡単な説明】
【図1】等間隔に磁化された磁気層よりバイアス磁界を
受けている磁歪の大きさが0〜1PPMである高透磁率
の金属ストライプの模式断面図である。
【図2】本発明の構成物において、加えられる外部磁界
の大きさがバイアス磁界より小さいときの金属ストライ
プの磁気モーメントを説明した模式図である。
【図3】本発明の構成物において、加えられる外部磁界
の大きさがバイアス磁界より大きいときの金属ストライ
プの磁気モーメントを説明した模式図である。
【図4】本発明の構成物において、加えられる外部磁界
の大きさがバイアス磁界より大きいときの金属ストライ
プ全体としてみた場合の磁気モーメントを説明した模式
図である。
【図5】本発明のマーカーの低周波数の交流磁界に対し
て生ずるヒステリシス曲線の一例である。
【図6】本発明のマーカーの一例を示す模式断面図であ
る。
【図7】本発明で使用する積層体における磁気層の厚さ
を大きくする場合を説明した模式図である。
【図8】本発明のマーカーを着磁させる方法を示した模
式図の一例である。
【図9】本発明のマーカーを着磁させる方法を示した模
式図の一例である。
【図10】実施例1におけるヒステリシス曲線を測定し
た結果を示すグラフである。
【図11】実施例1における時間変化に対する不連続の
発生磁界値の生ずる特有の出力電圧を測定した結果を示
すグラフである。
【図12】実施例2におけるヒステリシス曲線を測定し
た結果を示すグラフである。
【図13】実施例2における時間変化に対する不連続の
発生磁界値の生ずる特有の出力電圧を測定した結果を示
すグラフである。
【図14】実施例3におけるヒステリシス曲線を測定し
た結果を示すグラフである。
【図15】実施例3における時間変化に対する不連続の
発生磁界値の生ずる特有の出力電圧を測定した結果を示
すグラフである。
【図16】実施例4におけるヒステリシス曲線を測定し
た結果を示すグラフである。
【図17】実施例5におけるヒステリシス曲線を測定し
た結果を示すグラフである。
【図18】表1における実施例1〜3の分割数と磁気層
30μの厚さにおける第1及び第2不連続発生磁界値と
の関係を示した図である。
【図19】実施例1、4、5の磁気層の厚さと4分割に
おける第1及び第2不連続発生磁界値の関係を示した図
である。
【符号の説明】
A 非磁性支持体 1 磁気層 2 磁歪の大きさが0〜1PPMである高透磁率の金属
ストライプ或いはワイヤ 3 粘着剤層 4 剥離紙 5 接着剤層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結合剤中に磁気的に硬質な磁性粉が分散さ
    れて形成された乾燥塗膜(A)と、磁歪のない金属板或
    いはワイヤ(B)との積層物からなり、磁界強度が変動
    する入射磁界に対して、前記塗膜(A)が磁化されてい
    ない状態では、前記金属板或いはワイヤ(B)が連続の
    磁界値を発生して不連続の磁界値の基づく出力信号を発
    生しないが、前記塗膜(A)が長手方向を等間隔に多等
    分に磁化されている状態では、前記金属板或いはワイヤ
    (B)が恒透磁率性部分と前記恒透磁率部分とは異なる
    透磁率部分を有するものとなり、それらの透磁率の相違
    に基づいて、不連続の磁界値の基づく出力信号を発生
    し、前記入射磁界に対して応答する様にしたことを特徴
    とする磁気マーカー。
  2. 【請求項2】塗膜(A)が磁化されている状態における
    金属板或いはワイヤ(B)が、そのヒステリシスループ
    において磁束密度Bが磁界Hに対して直線的で、透磁率
    が入射磁界Hの大きさに強く依存せず一定である性質を
    示す金属板或いはワイヤである請求項1記載のマーカ
    ー。
  3. 【請求項3】乾燥塗膜(A)が、残留磁束密度1〜25
    Mx/cmであり、かつ、金属板或いはワイヤ(B)が、0
    を越えて1PPMの磁歪を有する金属板或いはワイヤで
    ある請求項1記載のマーカー。
  4. 【請求項4】乾燥塗膜(A)が、残留磁束密度1〜25
    Mx/cmであり、かつ、金属板或いはワイヤ(B)が、磁
    歪が0を越えて1PPMの範囲内のものであり、塗膜
    (A)が磁化されている状態における金属板或いはワイ
    ヤ(B)のヒステリシスループにおいて、磁束密度Bが
    磁界Hに対して直線的で、その透磁率が予め設けられた
    1〜60Hzの所定周波数の−20〜+20エルステッド
    の強度の入射交流磁界において、そのヒステリシス損が
    0を越えて50J/m3の範囲内の値である請求項1記
    載のマーカー。
  5. 【請求項5】結合剤中に磁気的に硬質な磁性粉が分散さ
    れて形成された乾燥塗膜(A)と、磁歪のない金属板或
    いはワイヤ(B)との積層物からなり、磁界強度が変動
    する入射磁界に対して、前記塗膜(A)が磁化されてい
    ない状態では、前記金属板或いはワイヤ(B)は、磁界
    H−磁束密度B座標上のヒステリシスループに連続の磁
    界値を発生して不連続の磁界値の基づく出力信号を発生
    しないが、前記塗膜(A)が長手方向を等間隔に多等分
    に磁化されている状態では、前記金属板或いはワイヤ
    (B)は恒透磁率性を示し、前記金属板或いはワイヤ
    (B)の磁界H−磁束密度B座標上のヒステリシスルー
    プに少なくとも2つ以上の変曲点を有することにより不
    連続の磁界値の基づく出力信号を発生し、前記入射磁界
    に対して応答する様にしたことを特徴とする磁気マーカ
    ー。
  6. 【請求項6】非磁性支持体片面上に結合剤中に磁気的に
    硬質な磁性粉が分散されて形成された乾燥塗膜(A)を
    設け、もう一方の面に粘着層を設け、その粘着層で磁歪
    のない金属板或いはワイヤ(B)を固定した積層物から
    なり、磁界強度が変動する入射磁界に対して、前記塗膜
    (A)が磁化されていない状態では、前記金属板或いは
    ワイヤ(B)は、磁界H−磁束密度B座標上のヒステリ
    シスループに連続の磁界値を発生して不連続の磁界値の
    基づく出力信号を発生しないが、前記塗膜(A)が長手
    方向を等間隔に多等分に磁化されている状態では、前記
    金属板或いはワイヤ(B)が恒透磁率性を示し、前記金
    属板或いはワイヤ(B)の磁界H−磁束密度B座標上の
    ヒステリシスループに少なくとも2つ以上の変曲点を有
    することにより不連続の磁界値の基づく出力信号を発生
    し、前記入射磁界に対して応答する様にしたことを特徴
    とする磁気マーカー。
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JP2005209010A (ja) * 2004-01-23 2005-08-04 Fuji Xerox Co Ltd 磁性タグを用いた媒体識別方法および磁性タグが付与された媒体

Cited By (2)

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