JPH07265411A - 血液補助循環装置 - Google Patents

血液補助循環装置

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JPH07265411A
JPH07265411A JP6087689A JP8768994A JPH07265411A JP H07265411 A JPH07265411 A JP H07265411A JP 6087689 A JP6087689 A JP 6087689A JP 8768994 A JP8768994 A JP 8768994A JP H07265411 A JPH07265411 A JP H07265411A
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JP
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balloon
blood
catheter
blood flow
circulation
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JP6087689A
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English (en)
Inventor
Takayuki Tsuji
隆之 辻
Fujio Miyawaki
富士夫 宮脇
Yoshiro Katsura
義郎 桂
Atsuhiko Nogawa
淳彦 野川
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、IABP法とPCPS法を併用
し、かつ両者の利点を維持できる血液補助循環装置を提
供する。 【構成】 血液補助循環装置40は、大動脈内用バルー
ンカテーテル1と、脱血カテーテル11と、カテーテル
1より下流側に位置するように挿入される送血カテーテ
ル12と、カテーテル11よりカテーテル12側に送血
する送血手段71と、制御装置50を有する。バルーン
カテーテル1は、ポンピング用バルーン3、第1および
第2血流阻害用バルーン4、5を有する。制御装置50
は、IABP・PCPS併用モード、IABPモード、
PCPSモードの選択機能と、併用モードにて2つの血
流阻害用バルーンを交互に作動させ、IABPモードに
おいて血流阻害用バルーンによるポンピングを可能とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人体の大動脈内に挿入
され、心臓の働きを補助するために使用される大動脈内
用バルーンカテーテルおよび血液補助循環装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、血液補助循環法としては、動
静脈バイパスを用いる方法、補助人工心臓を用いる方
法、大動脈内バルーンポンピング法(IABP法)など
がある。そして、補助人工心臓を用いる方法が、最も血
流量補助効果が高いが、開胸の必要があり患者に対する
負担も大きく、さらに操作が煩雑である。またIABP
法は、操作が容易であるが、主な効果が大動脈内に挿入
されたバルーンの膨張と収縮による血圧の補助にあり、
増加できる血流量も少なく、補助循環効果が低いもので
あった。
【0003】そして、動静脈バイパス法としては、PC
PS法と呼ばれる経皮的心肺バイパスが行われるように
なってきている。このPCPS法は、補助人工心臓に比
べ、補助循環効果は低いが、開胸の必要がなく、この点
患者に与える負担も少なく、さらに、IABP法より高
い補助循環効果を有している。そして、PCPS法に用
いられる血液補助循環装置では、大腿静脈より挿入され
右心房に先端が留置される脱血側カテーテルを先端に取
り付けた脱血側血液チューブ、血液ポンプ、人工肺およ
び送血側血液チューブを少なくとも備えている。さら
に、血液ポンプとしては、定圧ポンプ(例えば、遠心ポ
ンプ)またはローラーポンプが用いられる。そして、よ
り高い効率にて血液補助循環を行うことにより、上述し
たようなIABP法と動静脈バイパス法を併用すること
が検討されて来ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】IABP法によれば、
バルーンを心拍に同期して膨張・収縮させることによ
り、後負荷(血液拍出時の抵抗)の軽減、大動脈圧を上
昇させ冠血流量を増加できるという効果を有している。
また、PCPS法等のバイパス法によれば、前負荷(心
臓に戻る血流圧)の軽減、体外循環血流量の維持(増
加)という効果を有している。しかし、後負荷が増加す
る、管理が難しいなどの問題点もある。逆に、IABP
法では、上述したように増加できる血液循環量は多くな
く、また前負荷の軽減といった効果を持たない。そこ
で、本発明者は、IABP法とPCPS法を併用するこ
とを検討した。両者を併用すれば、相和効果あるいは相
乗効果が得られると考えたが、逆に以下の点より、問題
があった。問題は、両者を併用した時の非生理的な血行
動態が関与しているものと思われる。
【0005】一般的にPCPS法では、大腿動脈を介し
逆行性に送血される。即ち、胸腹部大動脈付近で不全心
より拍出された血流とぶつかり合う。したがって、PC
PS法による動静脈バイパス量が多ければ、IABPバ
ルーンが収縮した時、胸部大動脈での血流が逆行する可
能性があり、IABP法による収縮性負荷軽減効果(sy
stolic unloading 効果、後負荷軽減効果)が減少す
る。また、バルーンが膨張した時、PCPS法の送血に
対する抵抗が大きくなるため送血量が減少する。同時
に、不全心への前負荷も増加することになり、心筋酸素
消費量を増大させる結果となる。このため、全身の血液
循環を維持し、かつ不全心を休ませ、心臓機能の回復を
はかる状態とはならず、心臓保護の観点からは、かなら
ずしも良好な状態ではなく、むしろ、IABP法とPC
PS法の利点を相殺した状態となる可能性が高い。
【0006】そして、IABP法およびPCPS法の併
用により行われた補助循環は、患者の回復により終了を
迎える。しかし、患者の回復は、段階的なものではな
く、徐々に回復する事が多く、両者を同時に終了する
と、再び心臓機能が低下し、再び補助循環が必要となる
場合もある。さらに、PCPSによる補助循環のみ中止
し、大動脈内用バルーンカテーテルのポンピング用バル
ーンのみによる血液補助循環では、補助循環量が不十分
な場合もある。
【0007】そこで、本発明の目的は、より効率的な血
液補助循環を行うことができる血液補助循環装置を提供
することであり、具体的には、IABP法とPCPS法
を併用し、かつ両者の利点を維持し、かつ上記のような
問題点を解消し、さらに、IABP法とPCPS法の併
用による補助循環、IABP法単独による補助循環、P
CPS法単独による補助循環を選択して行うことがで
き、かつ、IABP法単独による補助循環時には、大動
脈内用バルーンカテーテルによる血液補助循環量を増加
できる血液補助循環装置を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するもの
は、大動脈内用バルーンカテーテルと、大静脈内に挿入
される脱血カテーテルと、前記大動脈内用バルーンカテ
ーテルのバルーンより大動脈内の下流側に送血口が位置
するように挿入される送血カテーテルと、脱血カテーテ
ル側より送血カテーテル側に血液を送血する送血手段
と、補助循環制御装置とを有する血液補助循環装置であ
って、前記大動脈内用バルーンカテーテルは、カテーテ
ル本体と、該カテーテル本体の先端部付近に設けられた
ポンピング用バルーンと、該ポンピング用バルーンより
カテーテル本体の基端側に設けられた第1の血流阻害用
バルーンと、該第1の血流阻害用バルーンよりカテーテ
ル本体の基端側に設けられた第2の血流阻害用バルーン
と、前記ポンピング用バルーンと連通する第1のルーメ
ンと、前記第1の血流阻害用バルーンと連通する第2の
ルーメンと、前記第2の血流阻害用バルーンと連通する
第3のルーメンとを有し、前記制御装置は、前記大動脈
内用バルーンカテーテルによる補助循環と前記送血手段
による補助循環を行う併用補助循環と、前記大動脈内用
バルーンカテーテル単独補助循環と、前記送血手段によ
る補助循環とを選択できる補助循環選択機能と、前記血
流阻害用バルーン制御機能を有し、該血流阻害用バルー
ン制御機能は、前記併用補助循環時には、一方の血流阻
害用バルーンの収縮開始時には他方の血流阻害用バルー
ンが膨張状態となるように前記2つの血流阻害用バルー
ンを交互に膨張および収縮させるように制御する併用循
環時用制御機能と、前記大動脈内用バルーンカテーテル
単独補助循環時に前記血流阻害用バルーンによるポンピ
ングを可能とする大動脈内用バルーンカテーテル単独循
環時用制御機能とを有する血液補助循環装置である。
【0009】そして、前記制御装置は、前記大動脈内用
バルーンカテーテル単独循環時用に前記2つの血流阻害
用バルーンのうち、作動させるバルーン数を選択できる
機能を有していることが好ましい。さらに、前記制御装
置は、前記大動脈内用バルーンカテーテル単独循環時に
基端側にあるバルーンより、先端側のバルーンに向かっ
て膨張開始時期を若干ずらして膨張を開始させるバルー
ン膨張順序制御機能を有していることが好ましい。
【0010】そして、前記第1の血流阻害用バルーンお
よび前記第2の血流阻害用バルーンは、膨張時の容積が
前記ポンピング用バルーンの膨張時の容積より小さいこ
とが好ましい。さらに、前記第1の血流阻害用バルーン
および前記第2の血流阻害用バルーンは、膨張時の外径
が、前記ポンピング用バルーンの膨張時の外径より大き
いことが好ましい。
【0011】そこで、本発明の血液補助循環装置を図面
に示した実施例を用いて説明する。この実施例の血液補
助循環装置40は、図3に示すように、大動脈内用バル
ーンカテーテル1と、大静脈内に挿入される脱血カテー
テル11と、大動脈内用バルーンカテーテル1の第2血
流阻害用バルーン5より大動脈内の下流側に送血口16
が位置するように挿入される送血カテーテル12と、脱
血カテーテル11側より送血カテーテル12側に血液を
送血する送血手段71と、人工肺78と、補助循環制御
装置50を有している。
【0012】そして、後述する図5に示すように、この
血液補助循環装置によれば、患者の血流形態は、大動脈
内用バルーンカテーテル1の血流阻害用バルーン4,5
の前後において区分され、上流側は、ポンピング用バル
ーンにより補助循環される上肢側体内血液循環路に、下
流側は、上記の送血手段により補助循環される下肢側体
内血液循環路に区分される。つまり、上肢側が、IAB
P法による補助循環がされ、下肢側は、送血カテーテ
ル、脱血カテーテル、送血手段、人工肺より構成される
PCPS法による補助循環がされることになる。
【0013】大動脈バルーンカテーテル1は、カテーテ
ル本体2、第1のバルーンであるポンピング用バルーン
3(メインバルーン3)、第2のバルーンである血流阻
害用バルーン4(第1血流阻害用バルーン4,サブバル
ーン4),第3のバルーンである血流阻害用バルーン5
(第2血流阻害用バルーン5、サブバルーン5)、ハブ
6、接続チューブ23,24,25とにより構成されて
いる。
【0014】具体的に説明すると、図1に示す実施例の
大動脈バルーンカテーテル1は、図2にも示すように、
カテーテル本体2の外周に3つのバルーン3,4,5を
有しており、カテーテル本体2内には、バルーン3との
み連通する第1のルーメン13,第1血流阻害用バルー
ン4とのみ連通する第2のルーメン14,第2血流阻害
用バルーン5とのみ連通する第3のルーメン15を有し
ている。さらに、図2に示すように、カテーテル本体2
は、その中央部にカテーテル1を血管内に挿入するとき
にガイドワイヤーを挿入するため、および大動脈圧を測
定するための第4のルーメン16を有している。そし
て、第1のルーメン13,第2のルーメン14,第3の
ルーメン15は、それぞれハブ6に接続されたカテーテ
ル側接続チューブ23,24,25と連通している。ま
た接続チューブ23,24,25には、それぞれ後述す
る大動脈内用バルーンカテーテル制御装置側接続チュー
ブと接続するための接続用コネクター27,28,29
が設けられている。
【0015】カテーテル本体2としては、ある程度の可
撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン
(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体
等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリウレタン等の
熱可塑性樹脂、ポリアミドエラストマー、シリコンゴ
ム、ラテックスゴム等が使用でき、好ましくは上記の熱
可塑性樹脂であり、より好ましくはポリウレタンであ
る。そして、カテーテル本体2の長さは、200〜60
0mm、より好ましくは、450〜550mm、外径
は、1.0〜5.0mm、より好ましくは、1.15〜
4,0mm、肉厚は、0.1〜0.4mm、より好まし
くは、0.15〜0.25mmである。
【0016】そして、カテーテル本体2の先端10は、
カテーテル1の誘導部として機能し、また、カテーテル
1の先端部が血管内に挿入中に血管壁に損傷を与えない
ようにするために設けられている。このため、カテーテ
ル本体2の先端部10は、砲弾状、半球状となった曲面
に形成されている。さらに、先端部10は、X線透視下
において位置を容易に確認できることが好ましい。この
ため、先端部の内部に、Pt、Pt合金、W、W合金、
Ag、Ag合金などにより形成された金属部材の埋設、
あるいは金属粉末の混入を行ってもよい。
【0017】ポンピング用バルーン3、血流阻害用バル
ーン4、血流阻害用バルーン5は、膨張・収縮が可能で
あり、また、これらバルーン3,4,5は、収縮時に
は、カテーテル本体の外周に密着あるいは折り畳まれた
状態となることができるように構成されている。バルー
ン3,4,5の材質としては、ある程度の可塑性と駆動
流体圧や血圧による著しい容積変動を抑制できる程度の
硬度を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などの
ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポ
リエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウ
レタンなどの熱可塑性樹脂、ポリアミドエラストマー、
シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。
【0018】さらに、阻害用バルーンの材質としては、
バルーンが膨張し血管に密着したとき血管に過度のスト
レスを加えないように、また収縮した状態が長時間にお
よぶことから、よりコンプライアンスの大きいものが好
ましい。つまり、バルーン3に比べて、柔軟な材料が好
ましい。バルーン3,4,5は、それぞれの両端部がカ
テーテル本体2の外周面に、例えば接着により、固定さ
れている。また、バルーン3,4,5の内部は、カテー
テル本体2の外面に設けられた開口33,34,35に
より、ルーメン13,14,15のそれぞれと連通して
おり、バルーン3,4,5の内部に、膨張用流体が流入
可能となっている。
【0019】バルーン3,4,5の容積は、図1に示す
実施例では、ポンピング用バルーン3が大きく、血流阻
害用バルーン4,5は、ポンピング用バルーンより小さ
く形成されている。このようにすることにより、阻害用
バルーンの膨張・収縮を行う際の駆動流体の送排が容易
であり、阻害用バルーン4,5と連通するルーメン1
4、15を細くすることができ、多室バルーンであって
もカテーテル外径の増加を抑制できる。さらに、過度に
バルーンの総容積を大きくすることなく、十分な補助循
環を行うことができる。また、阻害用バルーンと血管と
の接触面積も小さくできるので、血管へのストレスも少
なく、分岐血管閉塞も抑制できる。このように、ポンピ
ング用バルーンの容積を大きくする場合は、ポンピング
用バルーン容積:血流阻害用バルーン1つの容積=2〜
20:1程度とすることが好ましく、より好ましくは、
5〜20:1であり、特に、10〜20:1が好まし
い。さらに、2つの血流阻害用バルーンの容積も、例え
ば、第1血流阻害用バルーンの容積を第2血流阻害用バ
ルーンの容積より大きくしてもよく、逆に、第2血流阻
害用バルーンの容積を第1血流阻害用バルーンの容積よ
り大きくしてもよい。また、バルーン3,4,5の容積
はすべて同じでもよい。
【0020】具体的には、バルーン3,4,5の大きさ
としては、膨張したときの円筒部分の外径が、12〜1
7mm、好ましくは15〜16mmである。また、メイ
ンバルーンの長さは、180〜300mm、阻害用バル
ーンの長さは、8〜75mm程度が好適である。また、
バルーンの総容量は、20〜40mlが好適である。ま
た、小児用の場合には、バルーン3,4,5の大きさと
しては、膨張したときの円筒部分の外径が、4〜12m
m、好ましくは4〜10mmである。また、メインバル
ーンの長さは、60〜200mm、阻害用バルーンの長
さは、3〜50mm程度が好適である。また、バルーン
の総容量は、1〜10mlが好適である。
【0021】さらに、第1および第2血流阻害用バルー
ン4,5は、ポンピング用バルーン3より膨張時の外径
が大きく形成されている。このように、膨張時の外径を
ポンピング用バルーンより大きくすることにより、血管
と阻害用バルーンとの隙間を流れる血液に抵抗を与え、
後述する送血カテーテル側からの血液がバルーンカテー
テルの先端側に流れることを阻害するとともに、ポンピ
ング用バルーンの作動による血液が送血カテーテルの基
端側に流れることも抑制できる。また、阻害用バルーン
は血管に密着しないものでもよく、この場合には、上肢
側体内循環路と下肢側体内循環路の圧力バランスに過度
の不均衡が生じたり、心臓の回復により上肢の圧力が過
度に上昇した場合に阻害用バルーンと血管との隙間より
血液の流通を許容する。
【0022】さらに、2つの血流阻害用バルーン4,5
は、膨張時に血管内壁に密着し、血管を閉塞できること
が好ましい。このようにすることにより、送血カテーテ
ル側からの血液がバルーンカテーテルの先端側に流れる
ことを確実に阻止でき、ポンピング用バルーンの作動に
よる血液が送血カテーテルの基端側に流れることも確実
に阻止できる。そして、このカテーテルでは、2つの血
流阻害用バルーン4,5を有しているので、これらを上
記のように、膨張時に血管を実質的に閉塞するようなも
のとしても、2つのバルーンを交互に膨張および収縮さ
せることにより、同一血管壁が常時バルーンと密着する
ことを防止できる。このため、血管に過剰なストレスが
かかること、血流阻害用バルーンが位置する付近にもし
大動脈より分岐する血管があっても、それを常時閉塞す
ることがない。
【0023】さらに、血流阻害用バルーンの一方の収縮
開始時には少なくとも他方の血流阻害用のバルーンが膨
張状態となっているように制御することにより、大動脈
内用バルーンカテーテルの移動を抑制することができ
る。血流阻害用バルーンの外径は、ポンピング用バルー
ンの外径より1〜5mm程度大きいことが好適である。
【0024】本発明の血液補助循環装置40に使用する
送血手段71としては、定圧ポンプ手段、ローラポン
プ、ぺリスタルリックポンプなどが使用できる。好まし
くは、定圧ポンプ手段であり、定圧ポンプは、一定の圧
力で流体を送液する。定圧ポンプ手段は、定圧ポンプと
この定圧ポンプを駆動させるためのモータからなり、定
圧ポンプとしては、遠心ポンプ、タービンポンプ、スク
リューポンプなどが使用できる。そして、図3および図
4に示す実施例の装置では、送血手段71は、定圧ポン
プ72とこの定圧ポンプを駆動するためのモータ73に
より構成されている。
【0025】人工肺78としては、どのようなタイプの
人工肺でもよく、好ましくは、膜型人工肺であり、特に
好ましくは、中空糸膜型人工肺である。中空糸膜型人工
肺としては、ハウジングと、ハウジング内に挿入された
血液処理用部材であるガス交換用中空糸膜と、中空糸膜
束の両端部をハウジングの両端部に液密に固定する隔壁
と、ハウジングの両端部付近にそれぞれ設けられ、血液
処理用部材である中空糸膜の外面とハウジングの内面と
隔壁とにより形成される空間(酸素室)に連通する血液
処理用流体であるガスの流入口およびガス流出口と、ハ
ウジングの両端部にそれぞれ取り付けられた血液流入口
を有する血液流入ポートおよび血液流出口を有する血液
流出ポートとを有するものが好適に使用できる。筒状体
のハウジング内に収納されている中空糸束としては、ガ
ス交換用中空糸膜が10,000〜60,000本程度
を束ねたものが使用されており、ガス交換用中空糸膜と
しては、多孔質膜であり、貫通する多数の微細孔を有し
ている。ガス交換用中空糸膜としては、内径100〜1
000μm、好ましくは100〜300μm、肉厚5〜
80μm、好ましくは10〜60μm、空孔率20〜8
0%、好ましくは30〜60%、また微細孔の孔径は
0.01〜5μm、好ましくは0.01〜1μm程度の
ものが好適に使用される。また、中空糸膜に限らず平膜
状のものであってもよい。ガス交換用中空糸膜の材質と
しては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリ
ル、セルロースアセテート等の高分子材料が使用でき、
好ましくは、疎水性高分子であり、特に好ましくは、ポ
リオレフィン系樹脂であり、より好ましくは、ポリプロ
ピレンであり、延伸法または相分離法などにより微細孔
を形成させたポリプロピレンが望ましい。
【0026】脱血側血液チューブ74は、先端側に脱血
カテーテル11を備えており、他端は、定圧ポンプ72
に接続されている。また、送血側血液チューブ75の先
端は、人工肺78に接続されており、後端には、送血カ
テーテル12が取り付けられている。そして、脱血カテ
ーテル11の基端部には、血液チューブ74とのコネク
ター31が、また血液チューブ74にもコネクター31
と接続するためのコネクター76が設けられている。同
様に、送血カテーテル12の基端部にも、血液チューブ
75とのコネクター32が、また血液チューブ75にも
コネクター32と接続するためのコネクター77が設け
られている。脱血カテーテル11、送血カテーテル1
2、脱血側血液チューブ74および送血側血液チューブ
75としては、例えば塩化ビニル樹脂、シリコーンゴム
などの透明性を有する可撓性合成樹脂製管が好適に使用
できる。
【0027】さらに、血液チューブ74、75のいずれ
かに、流量計を取り付けてもよい。これは、定圧ポン
プ、特に遠心ポンプを用いた場合、ポンプの回転数から
流量を確認することが困難であり、流量確認のために設
けることが好ましい。流量計としては、血液に直接接触
することなく、送血管の内部を流れる血液の流量を測定
出来るものが好ましく、例えば、超音波流量計、電磁流
量計などが好適に使用される。
【0028】さらに、本発明の血液補助循環装置40
は、抗凝固剤を用いる事なく血液循環ができることが好
ましい。このために、血液補助循環回路中の血液接触
面、特に、人工肺78、血液チューブ74,75、送血
カテーテル11、脱血カテーテル12、大動脈内用バル
ーンカテーテル1の血液接触面に抗血栓性材料を固定す
ることが好ましい。抗血栓性材料としては、ヘパリン、
ポリアルキルスルホン、エチルセルロース、アクリル酸
エステル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体
(例えば、ポリHEMA[ポリヒドロキシエチルメタク
リレート])、疎水性セグメントと親水性セグメントの
両者を有するブロックまたはグラフト共重合体(例え
ば、HEMA−スチレン−HEMAのブロック共重合
体、HEMA−MMA[メチルメタアクリレート]のブ
ロック共重合体、HEMA−LMA[ラウリルメタアク
リレート]のブロック共重合体、PVP[ポリビニルピ
ロリドン]−MMAのブロック共重合体、HEMA−M
MA/AA[アクリル酸]のブロック共重合体、さらに
このブロック共重合体にアミノ基を有するポリマーを混
合したブレンドポリマー、および含フッ素樹脂などが使
用できる。好ましくは、HEMA−スチレン−HEMA
のブロック共重合体、HEMA−MMA[メチルメタア
クリレート]のブロック共重合体、HEMA−MMA/
AA[アクリル酸]のブロック共重合体などが好まし
い。そして、上記のヘパリンを除く親水性樹脂を血液接
触面に被覆した後、さらにその上にヘパリンを固定する
ことが好ましい。この場合、ヘパリンをこの親水性樹脂
の表面に固定するためには、親水性樹脂は、水酸基、ア
ミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート
基、エポキシ基、チオシアネート基、酸クロリド基、ア
ルデヒド基および炭素−炭素二重結合のうちのいずれか
を有するか、もしくは容易にこれらの基に変換可能な基
を有していることが好ましい。特に好ましくは、上記親
水性樹脂にアミノ基を有するポリマーを混合したブレン
ドポリマーを用いることであり、アミノ基を有するポリ
マーとしては、ポリアミン、特にPEI[ポリエチンイ
ミン]が好ましい。
【0029】ヘパリン固定は、血液補助循環回路の血液
接触面に上記の親水性樹脂を被覆したのち、その表面に
ヘパリン水溶液を接触させた後、グルタールアルデヒ
ド、テレフタルアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのア
ルデヒド類、ジフェニルメタンジイソシアネート、2,
4−トリレンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジ
フェニルメタンジイソシアネート、エピクロルヒドリ
ン、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポ
リエチレングリコールジグリシジルエーテルなどの固定
化剤と接触させることにより、上記の親水性樹脂に共有
結合させ固定することができる。
【0030】次に、本発明の血液補助循環装置に使用さ
れる補助循環制御装置50を図3および図4を用いて説
明する。制御装置50は、3つのルーメン13,14,
15に流体を独立して流通することができるポンプ手段
58と、ポンプ手段58の制御器55を少なくとも備え
ている。具体的には、この制御装置50は、図3および
図4に示すように、制御器55、スイッチパネル56、
表示器57、圧力発生ポンプ(バルーン膨張収縮用ポン
プ)59、ポンピング用バルーン駆動用制御弁60、第
1血流阻害用バルーン駆動用制御弁61、第2血流阻害
用バルーン駆動用制御弁62、モータドライバ54を有
している。そして、圧力発生ポンプ(バルーン膨張収縮
用ポンプ)59、ポンピング用バルーン駆動用制御弁6
0、第1血流阻害用バルーン駆動用制御弁61、第2血
流阻害用バルーン駆動用制御弁62により、ポンプ手段
58が構成されている。さらに、制御弁60には、第1
のカテーテル接続用チューブ63が、制御弁61には、
第2のカテーテル接続用チューブ64が、さらに、制御
弁62には、第3のカテーテル接続用チューブ65が、
接続されており、それらチューブには、カテーテルのコ
ネクタ27,28,29との接続用コネクタ66,6
7,68が取り付けられている。そして、使用時には、
制御装置50に、心電計51、大動脈圧センサ52、流
量センサ53(血流センサ53、血液チューブ74また
は75に取り付けられる)が接続される。これら全体を
制御装置と考えてもよい。
【0031】そして、制御器55は、大動脈内用バルー
ンカテーテルによる補助循環と送血手段による補助循環
を行う併用補助循環(IABP・PCPS併用モード)
と、大動脈内用バルーンカテーテル単独補助循環(IA
BP単独モード)と、送血手段単独補助循環(PCPS
単独モード)とを選択できる補助循環選択機能(モード
選択機能)と、血流阻害用バルーン制御機能を有してい
る。そして、血流阻害用バルーン制御機能は、併用補助
循環時には、一方の血流阻害用バルーンの収縮開始時に
は他方の血流阻害用バルーンが膨張状態となるように2
つの血流阻害用バルーンを交互に膨張および収縮させる
ように制御する併用循環時用制御機能と、大動脈内用バ
ルーンカテーテル単独補助循環時に血流阻害用バルーン
によるポンピングを可能とする大動脈内用バルーンカテ
ーテル単独循環時用制御機能とを有する。さらに、この
併用時制御機能は、一方の血流阻害用バルーンの収縮開
始時には他方のバルーンが膨張状態となっているように
制御する機能を有することが好ましい。さらに、制御装
置は、大動脈内用バルーンカテーテル単独循環時用に、
2つの血流阻害用バルーンのうち作動させるバルーン数
を選択できる機能と、大動脈内用バルーンカテーテル単
独循環時に基端側にあるバルーンより、先端側のバルー
ンに向かって膨張開始時期を若干ずらして膨張を開始さ
せるバルーン膨張順序制御機能を有している。
【0032】さらに、制御装置は、ポンピング用バルー
ンおよび送血手段の作動に対応して、血流阻害用バルー
ンを血流阻害用バルーンとして作動させる血流阻害用バ
ルーン制御機能を有している。つまり、大動脈内用バル
ーンカテーテルによる補助循環と送血手段による補助循
環を行う併用補助循環(IABP・PCPS併用モー
ド)時以外には、血流阻害用バルーン4,5を血流阻害
用バルーンとして作動させないように制御する機能を有
している。
【0033】そして、制御器55は、心電計51より出
力された心電図波形をもとに、算出された信号を、制御
弁60に送り、制御弁の開放・閉塞を行うことにより、
バルーン3の膨張、収縮タイミングを制御する。つま
り、心拍に同期してポンピング用バルーン3の膨張・収
縮を行わせる機能を有している。具体的には、心電計5
1から入力される心拍の電気的分析である心電図波形か
ら、P波、R波、T波を確認することができる。しか
し、電気的に容易に取り出すことができるのは、最も電
気的出力の高いR波である。そして、心臓の動きと上記
各波の関係は、P波付近で大動脈弁が開放し、T波付近
で大動脈弁が閉塞するといわれている。つまり、心臓に
おける血液流は、P波付近にて始まり、T波付近にて終
わり、T波からP波までは、血液が流れない状態となっ
ている。また、R波は、P波より遅れて発生する。
【0034】つまり、冠血流の大半は、心臓の拡張期に
流れるので、大動脈弁が閉塞してるときに大動脈圧を上
げれば、冠動脈に血液を確実に送ることができる。ま
た、逆に、大動脈弁が開放している状態、つまり、左心
室が収縮し、血流を拍出(心臓へ静脈から還流している
血液と区別するため)している状態のとき補助循環によ
る血液を送らないようにすれば、左心室に負担をかける
ことがない。そして、大動脈弁が閉塞している間に、大
動脈内バルーンカテーテル1のバルーンを膨張させれ
ば、さらに、拡張期圧を上昇でき、冠動脈に血液を送る
ことができる。また、逆に、大動脈弁が開放している状
態、つまり、心臓により血流が拍出している状態のとき
バルーンを収縮させれば、心臓が血液を拍出するための
仕事量を軽減することができる。
【0035】ポンピング用バルーンの膨張タイミング
は、T波を検出し、それを出力してもよいが、上述のよ
うに、R波の検出が最も確実であるので、R波に基づい
てT波(疑似T波)を算出することが好適である。具体
的には、R波からT波までの間隔は、心拍数の変動によ
ってもあまり変化しないので、R波検出より所定時間遅
れた信号(疑似T波信号)を膨張開始信号(バルーン内
が陽圧状態となるように制御弁60を作動させる信号)
として出力することにより、ほぼ大動脈弁の閉塞に合わ
せて、バルーンを膨張することができる。また、バルー
ンの収縮タイミングは、所定数(例えば、常に最近の5
回)のR波の発生時期および間隔より平均値を算出し、
R波の発生周期を常時算出し、その算出周期と疑似T波
(開放信号)の発生タイミングより、疑似T波より適度
に遅れた疑似P波を算出し、これをバルーンの収縮開始
信号(バルーン内が負圧状態となるように制御弁60を
作動させる信号)として出力するように構成されてい
る。つまり、この閉塞信号は、ほぼ大動脈弁の開放に合
わせて出力される。また、ポンピング用バルーン3の膨
張は、心拍数と同じ数行わなくてもよく、例えば、疑似
T波信号が数回、例えば、1〜8回入力されるごとに1
回膨張させるようにしてもよい。
【0036】制御装置のモード選択機能について説明す
る。モード選択機能は、上記のように、血液補助循環を
行う手段を3通りの中より選択できる機能であり、これ
は、スイッチパネル54に設けられているIABP・P
CPSモードスイッチ、IABP単独モードスイッチ、
PCPS単独モードスイッチのいずれかをオンすること
により、選択でき、選択されたモードにて制御器55
が、血液補助循環を行う。
【0037】次に、血流阻害用バルーン制御機能につい
て説明する。制御装置50は、ポンピング用バルーンお
よび送血手段の作動に対応して、血流阻害用バルーンを
血流阻害用バルーンとして作動させる血流阻害用バルー
ン制御機能を有している。つまり、この血流阻害用バル
ーン選択機能は、大動脈内用バルーンカテーテルによる
補助循環と送血手段による補助循環を行う併用補助循環
(IABP・PCPS併用モード)時以外には、血流阻
害用バルーン4,5を血流阻害用バルーンとして作動さ
せないように制御する機能を有している。この機能は、
IABPによる補助循環とPCPSによる補助循環の両
者を行っていたときに、何らかの原因(例えば、患者の
様態の急激な変化、装置の不良)により、いずれかの補
助循環を中止する場合にも有効である。このような機能
を持たないと、ポンピング用バルーンのみによる補助循
環時(IABP単独補助循環時)に血流阻害用バルーン
が常時膨張状態となると、血流阻害用バルーンより下流
側に血液が実質的に流れなくなり、また、逆に、PCP
S単独の補助循環時に、血流阻害用バルーンが常時膨張
状態となると、血流阻害用バルーンより上流側から心臓
により拍出される血流が実質的に遮断され、かつ、PC
PSによる血流の血流阻害用バルーンより上流側に流れ
ることも遮断される。
【0038】さらに、血流阻害用バルーン制御機能は、
併用補助循環時に一方の血流阻害用バルーン(例えば、
バルーン4)の収縮開始時には他方の血流阻害用バルー
ン(例えば、バルーン5)が膨張状態となるように2つ
の血流阻害用バルーンを交互に膨張および収縮させるよ
うに制御する。具体的には、この機能では、ポンプ59
と制御弁61,62を以下のように制御する。制御器5
5は、ポンピング用バルーンの膨張タイミングとは関係
なく(つまり、ポンピング用バルーンの膨張タイミング
と異なるタイミングで)、ポンピング用バルーンの膨張
・収縮周期より長い周期で、2つの血流阻害用バルーン
4,5の交互の膨張・収縮を繰り返させる。血流阻害用
バルーン4,5の膨張・収縮周期としては、最短で心拍
に同期〜最長で300秒程度が好適である。さらにこの
機能は、少なくとも、いずれかの血流阻害用バルーン
が、膨張状態となっているように制御する機能を有する
ことが好ましい。具体的には一方の血流阻害用バルーン
4が、膨張し所定時間経過後、収縮を開始する前に、他
方の血流阻害用バルーン5が、膨張を開始し、かつ膨張
状態となっているように制御し、同様に、バルーン5
が、膨張し所定時間経過後、収縮を開始する前に、バル
ーン4が、膨張を開始し、かつ膨張状態となっているよ
うに、交互の膨張・収縮と常時いずれかが膨張状態とな
っているように制御する。このように、血流阻害用バル
ーンの一方の収縮開始時には少なくとも他方血流阻害用
のバルーンが膨張状態となっているように制御すること
により、大動脈内用バルーンカテーテルの移動を抑制す
ることができる。
【0039】また、血流阻害用バルーン制御機能は、大
動脈内用バルーンカテーテル単独補助循環時に血流阻害
用バルーンによるポンピングを可能とする大動脈内用バ
ルーンカテーテル単独循環時用制御機能を有している。
さらに、この機能と関連して、制御器は、2つの血流阻
害用バルーンのうち作動させるバルーン数を選択できる
機能と、先端側のバルーンに向かって膨張開始時期を若
干ずらして膨張を開始させるバルーン膨張順序制御機能
を有している。
【0040】具体的には、制御器55は、この血液補助
循環装置がIABP単独による補助循環装置として使用
される場合(スイッチパネルのIABP単独モードスイ
ッチがオンされた場合)には、血流阻害用バルーン4,
5をポンピング用バルーンと同期して膨張・収縮させ、
第2,第3のIABP用バルーンとして作動させる機能
を有している。このように血流阻害用バルーンをIAB
P用バルーンとしても作動させることができれば、IA
BPによる補助効果は多くなる。そして、ポンピング用
バルーンとして使用する血流阻害用バルーンの数は、ス
イッチパネルにあるトリプルバルーンスイッチがオンさ
れることにより3つのバルーンすべてがポンピング用と
して作動し、スイッチパネルにあるダブルバルーンスイ
ッチがオンされることにより2つのバルーン(メインバ
ルーン3とサブバルーン4)がポンピング用として作動
する。そして、上記のトリプル、ダブルバルーンスイッ
チがオンされることなく、IABPスタートスイッチが
オンされると、メインバルーン3のみによるポンピング
が行われる。
【0041】このように、任意の個数のバルーンを選択
してポンピングを行うことができるので、段階的なバル
ーンポンピングの終了を行うことができる。また、例え
ば、1つのサブバルーンの膨張・収縮を停止させ、バル
ーンポンピングによる補助循環量を減少させることによ
り、患者の心臓機能の回復状態を確認することもでき
る。具体的には、患者の大動脈内圧、血流などを考慮し
た患者の状態より心臓機能の回復が見られた場合に、本
発明の制御装置では、段階的終了を行うことができる。
例えば、バルーンポンピングが、3つのバルーンすべて
を作動させるトリプルバルーンモードにより行われてい
たものを、例えば、第2血流阻害用バルーンの作動を停
止させ、メインバルーン3と第1血流阻害用バルーン4
により、バルーンポンピングを行う。これによっても、
患者の状態が安定している場合は、それを継続させる
か、さらに、第2血流阻害用バルーン5の作動を停止さ
せるか検討する。第2サブバルーン5を停止させてもよ
いと考えられる場合には、メインバルーン3のみによる
バルーンポンピングを行う。そして、これによっても、
患者の状態が安定している場合は、それを継続させる
か、バルーン4および5またはそのいずれかのみを作動
させるか、さらに、バルーンポンピングを終了するか検
討し、可能であれば、バルーンポンピングを終了する。
【0042】次に、バルーン膨張順序制御機能について
説明する。制御器55は、バルーン3,4,5のすべて
を用いてバルーンポンピングを行う場合(トリプルバル
ーンモード)には、最も基端側にある第2血流阻害用バ
ルーン5が最初に膨張を開始し、この第2血流阻害用バ
ルーン5の膨張開始より若干遅れて第1血流阻害用バル
ーン4が膨張を開始し、さらに、この第1血流阻害用バ
ルーン4の膨張開始より若干遅れてポンピング用バルー
ン3が膨張を開始するように、ポンプおよび制御弁6
0,61,62を制御する。また、制御器55は、バル
ーン3,4のみを用いてバルーンポンピングを行う場合
(ダブルバルーンモード)には、第1血流阻害用バルー
ン4が膨張を開始し、この第1血流阻害用バルーン4の
膨張開始より若干遅れてバルーン3が膨張を開始するよ
うに、バルーンの膨張順序を制御する。このように、複
数のバルーンを用いてバルーンポンピングを行う場合
に、制御器55は、上述のように基端側のバルーンより
膨張を開始するように制御するために、血液流を心臓側
に確実に送ることができ、逆流を生じさせることが少な
い。
【0043】そして、バルーン膨張開始タイミングの具
体的方法としては、上述したように、心電図波形より算
出される膨張開始信号(疑似T波信号)により、最初に
膨張させるバルーン(例えば、トリプルバルーンモード
の場合には、第2血流阻害用バルーン5)を膨張させ、
つまり、疑似T波信号を基端側バルーン(第2血流阻害
用バルーン)の膨張開始信号として用い、そして、この
疑似T波信号より、例えば、10〜200ms遅れて、
第2の膨張開始信号を送り、第1血流阻害用バルーン4
の膨張を開始させる。そして、第2の膨張開始信号よ
り、10〜200ms遅れて、第3の膨張開始信号を送
り、メインバルーン3の膨張を開始させる。また、第3
の膨張開始信号は、疑似T波信号を基準として、それよ
り20〜40ms後に発生するものとしてもよい。そし
て、これら膨張開始信号が制御弁60,61,62に入
力されると、ポンプ59の送気がバルーン内部に流入し
バルーン内部が陽圧となるように、制御弁60,61,
62内に設けられている2つの電磁弁が作動する。そし
て、制御器55は、上述したように、心電図波形より算
出される収縮開始信号(疑似P波信号)により、すべて
のバルーン3,4,5を収縮させるように作動する。こ
れら収縮開始信号が、制御弁60,61,62に入力さ
れると、ポンプ59によりバルーン内部に流入した気体
が排気され、内部が陰圧となるように、制御弁60,6
1,62内に設けられている2つの電磁弁が作動する。
【0044】また、収縮開始信号も上述した膨張開始信
号と同様に、個々のバルーンに対して、時間差を設けて
出力するようにしてもよい。この場合、最初に、メイン
バルーン3の収縮を開始させ、続いて、第1サブバルー
ン4、さらに、第2サブバルーン5が収縮するように制
御する。このようにすることにより、心臓拍出時の後負
荷軽減効果が増加する。さらに、制御器55は、心機能
回復確認機能を備えている。この心機能回復機能は、P
CPSスタートスイッチがオフされることにより作動す
る。PCPSスタートスイッチがオフされると、制御器
55は徐々に遠心ポンプによる血液量を低下させるとと
もに、阻害用バルーンを収縮させた状態とする。そし
て、大動脈圧を確認し、変化がない場合には、回復して
いると判断し、遠心ポンプの作動を完全に停止する。ま
た、大動脈圧が低下した場合には、心機能が回復してい
ないものと判断し、自動的にPCPSスタートスイッチ
をオンにし、遠心ポンプ駆動用モータが作動し、かつ阻
害用バルーンも作動を再開始する。
【0045】そして、スイッチパネル56には、電源ス
イッチ、IABP・PCPS併用モードスイッチ、IA
BP単独モードスイッチ、PCPS単独モードスイッ
チ、トリプルバルーンスイッチ、ダブルバルーンスイッ
チ、IABPスタートスイッチ、PCPSスタートスイ
ッチ、PCPS流量入力スイッチ、ポンピング用バルー
ン膨張圧力入力スイッチ、血流阻害用バルーン膨張圧力
入力スイッチなどが設けられている。また、制御装置5
5は、異常時に鳴動するアラーム69を有している。こ
のアラームは、例えば、制御器55により、心電計51
より入力される心電図波形の異常、流量センサにより検
知された流量の許容範囲以上の変化(例えば、急激な低
下)、大動脈圧センサにより検知された大動脈圧の許容
範囲以上の変化(例えば、、急激な低下)、制御器、ポ
ンプ、制御弁、ドライバなどの異常を検知したときに鳴
動する。
【0046】制御弁60,61,62としては、それぞ
れ内部に2つの電磁弁を持ち、その2つの電磁弁の作動
により、圧力発生ポンプからの圧力を陽圧、陰圧に切り
替えることができるものが使用される。また、このよう
なものに限らず、少なくとも、圧力発生ポンプからの圧
力を陽圧、陰圧に切り替えることができるものであれば
どのようなものでもよい。
【0047】また、モータドライバ54は、制御器55
より出力させる信号に基づいて、ポンプ用モーター73
を回転させる。このモーター73の回転は、遠心ポンプ
72に伝達され、遠心ポンプ内のロータが回転し、脱血
カテーテル側より送血カテーテル側に血液を送血する。
制御器55には、血流センサ53により検知される血流
値が入力される。制御器55は、スイッチパネル56に
設けられたPCPS流量入力スイッチにより入力された
流量と血流センサ53により検知された流量検知信号を
考慮して演算された演算値より、モータードライバ54
にポンプ用モーターの回転信号を出力する機能を備えて
いてもよい。このようにすれば、血流計53により検知
される血流量を考慮して、PCPSによる補助循環量を
自動制御することができる。血流センサとしては、超音
波流量センサ、電磁流量センサなどが使用できる。モー
ターは、ACモーター、DCモーターなどいずれでもよ
いが、可変速モーターが好適である。さらに、流量の制
御が容易なものが好ましく、例えば、ACモーターであ
るステッピングモーターが好適である。そして、モータ
ードライバは、使用されるモーターにより相違するが、
電圧、電流、パルスを可変に出力できるものである。具
体的には、モーターが、ステッピングモーターであれ
ば、モータードライバとしては、所定時内のパルス数を
可変に出力できるものが使用される。
【0048】また、大動脈圧センサ52より検知される
大動脈圧は、制御器55に入力される。制御器55は、
スイッチパネル56に設けられたポンピング用バルーン
膨張圧力入力スイッチにより入力された圧力値と検知さ
れた大動脈圧を考慮して演算された演算値より、適宜ポ
ンピング用バルーン膨張圧を調整する機能を備えていて
もよい。このようにすれば、大動脈センサにより検知さ
れる血圧を考慮して、最適なポンピング圧にてIABP
による補助循環を行うことができる。大動脈圧センサと
しては、半導体圧力センサ(例えば、拡散型半導体圧力
センサ)が使用できる。
【0049】圧力発生ポンプとしては、圧力、例えば、
気体または液体の吐出または吸引ができるようなもので
あれば、公知のものが使用できる。例えば、エアーコン
プレッサーである。具体的には、エアーコンプレッサー
または真空ポンプなどが使用できる。表示器57には、
ポンピング用バルーン作動圧力表示部、血流阻害用バル
ーン作動圧力表示部、流量センサにより検知された流量
表示部、大動脈圧センサにより検知された大動脈圧表示
部、PCPSによる補助循環量表示部などが設けられて
いる。
【0050】
【作用】本発明の血液補助循環装置の作用を、図3〜図
12を用いて説明する。まず、図5に示すように、大動
脈内用バルーンカテーテル1を大動脈内に挿入し、制御
装置50と接続する。そして、脱血カテーテル11を大
腿静脈より挿入し、右心房付近に留置させる。さらに、
送血カテーテル12を大動脈内に挿入しその血液流出口
を大動脈内用バルーンカテーテル1の血流阻害用バルー
ン5よりも下流側に位置させる。図3に示すように、そ
れぞれのカテーテル11,12をチューブ74,75に
接続する。この状態にて、制御装置50のスイッチパネ
ル56に設けられた電源スイッチ(図示せず)をオンに
する。これにより、心電計51より心電図波形が制御装
置50の制御器55に入力され、制御器50は心電図波
形に基づき、バルーン膨張開始信号(疑似T波信号)お
よび収縮開始信号(疑似P波信号)を出力する。また、
表示器57には、大動脈内圧センサ52および流量セン
サ53により検知されたデータが表示される。
【0051】そして、図6のフローチャートに示すよう
に、IABP・PCPS併用モードスイッチがオンされ
ると、あらかじめ記憶されているポンピング用バルーン
の膨張圧に変更があるか(スイッチパネル56に設けら
れているポンピング用バルーン膨張圧変更スイッチが押
され、テンキーより新たな設定圧が入力されたか)を判
断し、設定圧に変更があれば入力された設定圧を制御器
55が記憶するとともに表示器57に表示し、この設定
圧によりポンピング用バルーンの膨張を行う。そして、
あらかじめ記憶されている血流阻害用バルーンの膨張圧
に変更があるか(スイッチパネル56に設けられている
血流阻害用バルーン膨張圧変更スイッチが押され、テン
キーより新たな設定圧が入力されたか)を判断し、設定
圧に変更があれば入力された設定圧を制御器55が記憶
するとともに表示器57に表示される、また、PCPS
流量に変更があるか(スイッチパネル56に設けられて
いるPCPS流量変更スイッチが押され、テンキーより
新たな流量が入力されたか)を判断し、流量に変更があ
れば入力された流量を制御器55が記憶するとともに表
示器57に表示し、これら設定圧および設定流量にて後
述する血液補助循環が行われる。
【0052】そして、スイッチパネル56にあるIAB
Pスタートスイッチがオンされると、ポンプ59が作動
し、制御器55は、ポンピング用バルーン3の膨張・収
縮を反復して行うように制御弁60を制御する。そし
て、このIABPスタートスイッチがオンされたのみで
は、血流阻害用バルーンは膨張しない。そして、PCP
Sスタートスタートがオンされると、制御器55は、制
御弁61を制御して、血流阻害用バルーン4を膨張させ
るとともに、モータードライバ54に信号を送り、この
信号に対応したモーター駆動信号がドライバ54よりポ
ンプモーター73に送られ、モーター73が回転し、こ
の回転がポンプ72に伝達され、脱血カテーテルより送
血カテーテル側に血液が送られる。送られた血液は、送
血カテーテルより流出し、大動脈内に流入する。流入し
た血液は、血流阻害用バルーンにより、大動脈の上流側
(ポンピング用バルーン側)に実質的に流れることが阻
害され、大動脈の下流側、つまり、下肢側に確実に流れ
る。また、ポンピング用バルーンの作動により作られた
血液流は、血流阻害用バルーンにより、大動脈の下流側
に流れることが実質的に阻害され、大動脈の上流側、つ
まり上肢側に確実に流れる。そして、このように、ポン
ピング用バルーン(IABP)による血液流とポンプ
(PCPS)による血液流とは、血流阻害用バルーンに
おいて、区分され、両者の血液流がぶつかることも、混
合することも実質的にない。このため、IABP法によ
る、後負荷(血液拍出時の抵抗)の軽減、大動脈圧を上
昇させ冠血流量を増加できるという効果を保持し、さら
に、PCPS法による、前負荷(心臓に戻る血流圧)の
軽減、体外循環血流量の維持(増加)という効果も保持
でき、両者の利点をそのまま備えた血液補助循環を行う
ことができる。
【0053】また、遠心ポンプ72の作動により血液
は、脱血側チューブ74を通り、遠心ポンプ72、人工
肺78に送られ、この人工肺78にて血液への酸素付加
および二酸化炭素の除去が行われた後、送血側チューブ
75および送血カテーテル12を通り、大動脈内用バル
ーンカテーテル1の最も基端側にあるバルーン5(第2
血流阻害用バルーン)よりも、下流側でありかつ血流阻
害用バルーン5付近に流入する。そして、ポンピング用
バルーン、血流阻害用バルーン、遠心ポンプの作動中、
異常がないか判断する。異常は例えば、大動脈内圧の低
下、血流の低下、制御器のエラー等を判断する。異常が
あると判断した場合には、アラームが鳴動し、異常処理
を行う。そして、患者の回復状態を考慮して、PCPS
スタートスイッチをオフすることにより、血流阻害用バ
ルーンおよび遠心ポンプの作動が停止する。なお、PC
PSスタートスイッチがオフされると、制御器は、徐々
に遠心ポンプによる血液量を低下させるとともに、阻害
用バルーンを収縮させた状態とする心機能回復確認機能
を備えている。これにより、阻害用バルーンを収縮させ
て、ポンプ流量を低下させると、それにともない心臓か
らの脱血も少なくなるため、前負荷が増加する。もし心
機能が回復していれば、この負荷に打ち勝って拍出でき
るため、上肢の動脈圧は維持され、生体の血液循環動態
は維持される。もし、心機能が回復していないと、拍出
能力が低いため、上肢の動脈圧は低下し、PCPS補助
を終了できる時機でないことがわかる。このために、制
御器は、心機能回復確認機能を備えており、PCPSス
タートスイッチがオフされると、心機能回復確認モード
となり、上記のように徐々に遠心ポンプによる血液量を
低下させるとともに、阻害用バルーンを収縮させた状態
として、大動脈圧を確認し、変化がない場合(回復して
いる場合)には、遠心ポンプの作動を完全に停止する。
また、大動脈圧が低下した場合には、自動的にPCPS
スタートスイッチがオンとなり、遠心ポンプ駆動用モー
タが作動し、かつ阻害用バルーンも作動を再開する。
【0054】そして、制御器の心機能回復確認機能によ
り回復が確認され、遠心ポンプの作動が停止した状態に
て、図7のAに示すように、トリプルバルーンスイッチ
が自動的にオンされ、血流阻害用バルーン4、5がポン
ピング用バルーンとして作動を開始し、バルーン3は作
動を継続する。また、このトリプルバルーンスイッチが
オフされかダブルバルーンスイッチがオンされると、血
流阻害用バルーン5のみ作動を停止する。スイッチパネ
ル56にある自動作動頻度制御スイッチがオンされるこ
とにより、制御装置50は、心拍数に対するバルーン作
動頻度を、1:1より徐々に少なくし、8:1まで減少
させる。なお、上記のスイッチのオンまたはオフされる
ことにより、それぞれのモードにて、上述と同様に心機
能回復確認機能が作動し、大動脈圧を確認し、変化がな
い場合(回復している場合)には、選択されたモードを
継続する。また、大動脈圧が低下した場合には、自動的
に以前のモードに復帰する。例えば、自動作動頻度制御
スイッチがオンされたときに、大動脈圧を確認し、変化
がない場合(回復している場合)には、作動頻度制御器
モードを継続し、また、大動脈圧が低下した場合には、
自動的にバルーン3による通常の補助モードに復帰す
る。そして、IABPスタートスイッチがオフされるこ
とにより、ポンピング用バルーンの作動が停止し、血流
補助循環作業を終了し、患者よりバルーンカテーテル
1、脱血カテーテル11、送血カテーテル12を抜去し
て、手技を終了する。
【0055】また、図6における併用モードスイッチが
オンされない場合は、図8のに移行し、IABP単独
モードスイッチがオンされるとIABP単独モードに移
行する。この場合にも、図8のフローチャートに示すよ
うに、ポンピング用バルーンの膨張圧に変更があるかを
判断し、設定圧に変更があれば入力された設定圧を制御
器55が記憶するとともに表示器57に表示し、また、
血流阻害用バルーンの膨張圧に変更があるかを判断し、
設定圧に変更があれば入力された設定圧を制御器55が
記憶するとともに表示器57に表示される。そして、ト
リプルバルーンスイッチがオンされると、トリプルバル
ーンIABPモード(ポンピング用バルーンと2つの血
流阻害用バルーンの3つのバルーンを用いてポンピング
を行うモード)に移行し、IABPスタートスイッチが
オンされると、ポンプが作動し、ポンピング用バルーン
(メインバルーン)および血流阻害用バルーン4,5
(サブバルーン4,5)がポンピング作動(膨張・収
縮)を開始する。また、トリプルバルーンスイッチがオ
ンされることなく、ダブルバルーンスイッチがオンされ
ると、ダブルバルーンIABPモード(ポンピング用バ
ルーンと血流阻害用バルーン4の2つのバルーンを用い
てポンピングを行うモード)に移行し、IABPスター
トスイッチがオンされると、ポンプが作動し、ポンピン
グ用バルーン(メインバルーン)および血流阻害用バル
ーン4(サブバルーン4)がポンピング作動(膨張・収
縮)を開始する。
【0056】そして、作動中上述したように異常がある
かどうかを判断し、異常がある場合は、アラームが鳴動
する。そして、患者の回復により、血流阻害用バルーン
の停止(補助循環血液量の減少)を考える場合には、ト
リプルバルーンスイッチをオフにするかダブルバルーン
スイッチをオンにする。これにより、上述した心機能回
復確認機能が作動し、大動脈圧を確認し、変化がない場
合(回復している場合)には、選択されたモードを継続
する。また、大動脈圧が低下した場合には、自動的に以
前にモードに復帰する。この場合では、トリプルバルー
ンIABPモードに復帰する。そして、心機能回復確認
が行われると、血流阻害用バルーン5の作動が停止し、
ダブルバルーンモードに移行する。そして、図9のBに
示すように、患者の回復により、血流阻害用バルーンの
停止(補助のさらなる減少)を考える場合には、ダブル
バルーンスイッチをオフにする。これにより、血流阻害
用バルーン4の作動が停止し、ポンピング用バルーン3
のみに作動となる。なお、この場合においても、上述し
た心機能回復確認が行われる。そして、スイッチパネル
56にある自動作動頻度制御スイッチがオンされること
により、制御装置50は、心拍数に対するバルーン作動
頻度を、1:1より徐々に少なくし、8:1まで減少さ
せる。この場合にも、上述した心機能回復確認が行われ
る。そして、IABPスタートスイッチをオフすること
により、ポンプおよびポンピング用バルーンの作動が停
止し、血流補助作業を終了し、患者よりバルーンカテー
テル1、脱血カテーテル11、送血カテーテル12を抜
去して、手技を終了する。
【0057】また、図8に示すように、トリプルバルー
ンスイッチがオンされることなく、ダブルバルーンスイ
ッチがオンされると、図10のに示すように、IAB
Pダブルバルーンモードに移行し、IABPスタートス
イッチがオンされると、バルーン3、4がポンピング作
動を開始する。そして、作動中上述したように異常があ
るかどうかを判断し、異常がある場合は、アラームが鳴
動する。そして、患者の状態により、作動バルーンを増
加する場合には、トリプルバルーンスイッチをオンにす
る。トリプルバルーンスイッチがオンされると、血流阻
害用バルーン4,5によるポンピングが作動し、トリプ
ルバルーンモードとなり、補助が増加し、図8のに移
行する。また、トリプルバルーンスイッチがオンされる
ことなく、ダブルバルーンスイッチがオフされると、上
述した心機能回復確認機能が作動し、回復を確認する
と、血流阻害用バルーン4(サブバルーン)によるポン
ピングが作動し、シングルバルーンモードとなり、図9
のに移行する。
【0058】また、図6、図8および図10に示すよう
に、トリプルバルーンスイッチおよびダブルバルーンス
イッチがオンされることなく、IABPスタートスイッ
チがオンされると、図11のに示すように、IABP
単独モードに移行し、ポンピング用バルーン3のみがポ
ンピング作動を開始する。そして、作動中上述したよう
に異常があるかどうかを判断し、異常がある場合は、ア
ラームが鳴動する。そして、患者の状態により、作動バ
ルーンを増加する場合には、トリプルバルーンスイッチ
またはダブルバルーンスイッチをオンにする。トリプル
バルーンスイッチがオンされると、血流阻害用バルーン
4,5によるポンピングが作動し、トリプルバルーンモ
ードとなり、補助量が増加し、図8のに移行する。ま
た、トリプルバルーンスイッチがオンされることなく、
ダブルバルーンスイッチがオンされると、血流阻害用バ
ルーン4(サブバルーン)によるポンピングが作動し、
ダブルバルーンモードとなり、図10のに移行する。
【0059】また、併用モードスイッチおよびIABP
単独モードスイッチがオンされることなく、PCPS単
独モードスイッチがオンされると、図12のに示すよ
うに、PCPS単独モードに移行する。PCPS単独モ
ードに移行すると、併用モードにて説明したように、P
CPS流量に変更があるかを判断し、流量に変更があれ
ば入力された流量を制御器55が記憶するとともに表示
器57に表示し、これら設定圧および設定流量にて後述
する血流補助が行われる。そして、PCPSスタートス
イッチがオンされると、モータが作動し、PCPSによ
る血流補助が開始される。そして、モータの作動中に、
IABP・PCPS併用モードスイッチがオンされる
と、モータが停止し、図6に示す11より併用モードに移
行する。また、IABP単独モードスイッチがオンされ
ると、モータが停止するとともに、図8に示す12より、
IABP単独モードに移行する。また、PCPS単独モ
ードにおいてモータ作動中は、上述したように異常があ
るかどうかを判断し、異常がある場合は、アラームが鳴
動する。そして、患者の回復により、モータの停止を考
える場合には、PCPSスタートスイッチをオフするこ
とにより、モータが停止し、血流補助循環作業を終了
し、患者より、脱血カテーテル11、送血カテーテル1
2を抜去して、手技を終了する。
【0060】
【発明の効果】本発明の補助循環装置は、大動脈内用バ
ルーンカテーテルと、大静脈内に挿入される脱血カテー
テルと、前記大動脈内用バルーンカテーテルのバルーン
より大動脈内の下流側に送血口が位置するように挿入さ
れる送血カテーテルと、脱血カテーテル側より送血カテ
ーテル側に血液を送血する送血手段と、補助循環制御装
置とを有する血液補助循環装置であって、前記大動脈内
用バルーンカテーテルは、カテーテル本体と、該カテー
テル本体の先端部付近に設けられたポンピング用バルー
ンと、該ポンピング用バルーンよりカテーテル本体の基
端側に設けられた第1の血流阻害用バルーンと、該第1
の血流阻害用バルーンよりカテーテル本体の基端側に設
けられた第2の血流阻害用バルーンと、前記ポンピング
用バルーンと連通する第1のルーメンと、前記第1の血
流阻害用バルーンと連通する第2のルーメンと、前記第
2の血流阻害用バルーンと連通する第3のルーメンとを
有し、前記制御装置は、前記大動脈内用バルーンカテー
テルによる補助循環と前記送血手段による補助循環を行
う併用補助循環と、前記大動脈内用バルーンカテーテル
単独補助循環と、前記送血手段補助循環とを選択的でき
る補助循環選択機能と、血流阻害用バルーン制御機能を
有し、該血流阻害用バルーン制御機能は、前記併用補助
循環時には、一方の血流阻害用バルーンの収縮開始時に
は他方の血流阻害用バルーンが膨張状態となるように前
記2つの血流阻害用バルーンを交互に膨張および収縮さ
せるように制御する併用循環時用制御機能と、前記大動
脈内用バルーンカテーテル単独補助循環時に前記血流阻
害用バルーンによるポンピングを可能とする大動脈内用
バルーンカテーテル単独循環時用制御機能とを有する。
このため、これら血液補助循環装置では、ポンピング用
バルーン(IABP)により補助されていた心拍出血流
とポンプ(PCPS)による血液流とは、血流阻害用バ
ルーンによって、区分され、両者の血液流がぶつかるこ
とも、混合することも実質的にない。このため、IAB
P法による、後負荷(血液拍出時の抵抗)の軽減、大動
脈圧を上昇させ冠血流量を増加できるという効果を保持
し、さらに、PCPS法による、前負荷(心臓に戻る血
流圧)の軽減、体外循環血流量の維持(増加)という効
果も保持でき、両者の利点をそのまま備えた血液補助循
環を行うことができる。さらに、2つの血流阻害用バル
ーンを有しているので、これら2つのバルーンを交互に
膨張および収縮させることにより、同一血管壁が常時バ
ルーンと密着することを防止できる。このため、血管に
過剰なストレスがかかること、血流阻害用バルーンが位
置する付近にもし大動脈より分岐する血管があっても、
それを常時閉塞することがない。さらに、IABP法単
独、PCPS法単独による血液補助循環も行うことがで
きる。また、IABPによる段階的な補助を行うことが
できるため、補助効果の急激な減少がなく、心機能の回
復にあわせた補助を行うことができ、IABPからの離
脱も容易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の大動脈内用バルーンカテーテ
ルの一実施例の側面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は、本発明の血液補助循環装置の一実施例
の概略図である。
【図4】図4は、本発明の血液補助循環装置に使用され
る血液補助循環制御装置の一例のブロック図である。
【図5】図5は、本発明の血液補助循環装置の作用を説
明するための説明図である。
【図6】図6は、本発明の血液補助循環装置の作用を説
明するためのフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の血液補助循環装置の作用を説
明するためのフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の血液補助循環装置の作用を説
明するためのフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の血液補助循環装置の作用を説
明するためのフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の血液補助循環装置の作用
を説明するためのフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の血液補助循環装置の作用
を説明するためのフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の血液補助循環装置の作用
を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 大動脈内用バルーンカテーテル 2 カテーテル本体 3 ポンピング用バルーン(第1のバルーン) 4 第1血流阻害用バルーン(第2のバルーン) 5 第2血流阻害用バルーン(第3のバルーン) 11 脱血カテーテル 12 送血カテーテル 13 第1のルーメン 14 第2のルーメン 15 第3のルーメン 20 大動脈内用バルーンカテーテル 40 血液補助循環装置 50 血液補助循環制御装置 55 制御器 58 ポンプ手段 51 心電計 52 大動脈圧センサ 53 流量センサ(血流センサ) 54 モータードライバ 56 スイッチパネル 57 表示器 59 圧力発生ポンプ(バルーン膨張収縮用ポンプ) 60 ポンピング用バルーン駆動用制御弁 61 第1血流阻害用バルーン駆動用制御弁 62 第2血流阻害用バルーン駆動用制御弁 71 送血手段 72 定圧ポンプ 73 ポンプ用モーター 74 脱血カテーテル側血液チューブ 75 脱血カテーテル側血液チューブ 78 人工肺
フロントページの続き (72)発明者 野川 淳彦 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大動脈内用バルーンカテーテルと、大静
    脈内に挿入される脱血カテーテルと、前記大動脈内用バ
    ルーンカテーテルのバルーンより大動脈内の下流側に送
    血口が位置するように挿入される送血カテーテルと、脱
    血カテーテル側より送血カテーテル側に血液を送血する
    送血手段と、補助循環制御装置とを有する血液補助循環
    装置であって、前記大動脈内用バルーンカテーテルは、
    カテーテル本体と、該カテーテル本体の先端部付近に設
    けられたポンピング用バルーンと、該ポンピング用バル
    ーンよりカテーテル本体の基端側に設けられた第1の血
    流阻害用バルーンと、該第1の血流阻害用バルーンより
    カテーテル本体の基端側に設けられた第2の血流阻害用
    バルーンと、前記ポンピング用バルーンと連通する第1
    のルーメンと、前記第1の血流阻害用バルーンと連通す
    る第2のルーメンと、前記第2の血流阻害用バルーンと
    連通する第3のルーメンとを有し、前記制御装置は、前
    記大動脈内用バルーンカテーテルによる補助循環と前記
    送血手段による補助循環を行う併用補助循環と、前記大
    動脈内用バルーンカテーテル単独補助循環と、前記送血
    手段による補助循環とを選択できる補助循環選択機能
    と、血流阻害用バルーン制御機能を有し、該血流阻害用
    バルーン制御機能は、前記併用補助循環時には、一方の
    血流阻害用バルーンの収縮開始時には他方の血流阻害用
    バルーンが膨張状態となるように前記2つの血流阻害用
    バルーンを交互に膨張および収縮させるように制御する
    併用循環時用制御機能と、前記大動脈内用バルーンカテ
    ーテル単独補助循環時に前記血流阻害用バルーンによる
    ポンピングを可能とする大動脈内用バルーンカテーテル
    単独循環時用制御機能とを有することを特徴とする血液
    補助循環装置。
  2. 【請求項2】 前記制御装置は、前記大動脈内用バルー
    ンカテーテル単独循環時に前記2つの血流阻害用バルー
    ンのうち作動させるバルーン数を選択できる機能を有し
    ている請求項1に記載の血液補助循環装置。
  3. 【請求項3】 前記制御装置は、前記大動脈内用バルー
    ンカテーテル単独循環時に基端側にあるバルーンより、
    先端側のバルーンに向かって膨張開始時期を若干ずらし
    て膨張を開始させるバルーン膨張順序制御機能を有して
    いる請求項1または2に記載の血液補助循環装置。
  4. 【請求項4】 前記第1の血流阻害用バルーンおよび前
    記第2の血流阻害用バルーンは、膨張時の容積が前記ポ
    ンピング用バルーンの膨張時の容積より小さいものであ
    る請求項1ないし3のいずれかに記載の血液補助循環装
    置。
  5. 【請求項5】 前記第1の血流阻害用バルーンおよび前
    記第2の血流阻害用バルーンは、膨張時の外径が、前記
    ポンピング用バルーンの膨張時の外径より大きいもので
    ある請求項1ないし4のいずれかに記載の血液補助循環
    装置。
JP6087689A 1994-03-31 1994-03-31 血液補助循環装置 Pending JPH07265411A (ja)

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