JPH07263861A - スルーホール回路の印刷方法および印刷用スクリーン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大口径のスルーホールの内面に沿って導電性
ペーストを薄く付着させることを可能とする。 【構成】 スルーホール回路１０を形成する導電性ペー
スト１３を、基材１１の表面に配置した印刷用スクリー
ン１４を透過させ、該印刷用スクリーン１４に施された
印刷パターン１７に応じた形状で基材１１の表面に付着
させるとともに、スルーホール１２に注入される導電性
ペースト１３を、スルーホール１２の内面に沿って筒状
に流動させることにより、導電性ペースト１３をスルー
ホール１２の内面のみに付着させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、スルーホール回路、
すなわち、スルーホールを有する電気回路をＰＥＴフィ
ルム等の基材に印刷するための印刷方法および印刷用ス
クリーンに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ＰＥＴフィルム等の基材に電気回路を印
刷して製造されるメンブレンスイッチは、一般に、ＰＥ
Ｔフィルムの片面へのスクリーン印刷によって回路形成
が行われる。かかるスクリーン印刷は、電気回路以外の
部分をマスクによって閉塞した印刷用スクリーンをＰＥ
Ｔフィルムの表面に近接状態に配置するとともに、電気
回路を形成することとなる導電性ペーストを該印刷用ス
クリーンを透過させてＰＥＴフィルムの表面に付着させ
ることにより、印刷用スクリーンに設けた印刷パターン
に応じた形状の電気回路を転写するようになっている。

【０００３】ところで、近年における電気製品の小型
化、軽薄化の傾向に伴って、電気製品内部における電気
回路の収納スペースが制限され、メンブレンスイッチに
おいても、ＰＥＴフィルムの片面における電気回路のみ
では、対応できない状況となってきている。これに対処
するために、ＰＥＴフィルムの両面にスクリーン印刷を
実施して、回路形成可能な面積の拡大を図ることとして
いる。この場合、ＰＥＴフィルムには、厚さ方向に貫通
するようにスルーホールを設け、該スルーホールを通じ
てＰＥＴフィルム両面の電気回路を導通させることが行
われる。

【０００４】この場合において、スルーホールは、その
内径寸法が約０．２ｍｍ程度に形成されている。そし
て、ＰＥＴフィルム両面の電気回路の導通は、回路を構
成するためにＰＥＴフィルムに付着される導電性ペース
トの一部を、スルーホール内に流し込んで、スルーホー
ル内に充填することにより行われる。したがって、スル
ーホール内の導電性ペーストは、ＰＥＴフィルム両面の
回路と一体的に形成されるようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする問題点】ところで、スルーホ
ールの内径寸法をこのように細くする場合には、金型の
製作の困難性から、プレス加工を採用することができ
ず、１つ１つドリル等による孔空け加工によって成形し
なければならないという不都合がある。そして、この不
都合を解消するためには、スルーホールの内径寸法を大
きく形成することが必要となる。

【０００６】しかしながら、スルーホールの内径寸法を
大きく形成した場合においては、該スルーホール内に充
填される導電性ペーストの量が増大するために、以下の
不都合が発生することが考えられる。まず、導電性ペー
ストは焼成されるまでの間、柔軟な物質であるために、
図４に鎖線で示すように、自重によって垂れ下がり、ス
ルーホール１の下側に凸状に形成されてしまう。そし
て、そのまま焼成された場合には、ＰＥＴフィルム２の
表面に突起を形成してしまうことになる。

【０００７】また、スルーホール１内に充填されている
導電性ペースト３は、ＰＥＴフィルム２が屈曲されある
いは衝撃を受けることによって、スルーホール１内から
脱落することが考えられる。そして、このような現象が
電気製品内に組み込まれた後に発生した場合には、電気
回路の短絡や、スルーホール１内の断線等の不具合を生
ずることになる。

【０００８】これらの不都合を回避するために、導電性
ペースト３自体の性状を調整し、スルーホール１の内面
に沿って導電性ペースト３を薄く付着させることが考え
られるが、導電性ペースト３に要求される性状は、極め
て厳格に規制されており、これを変更することは困難で
ある。すなわち、一般に、導電性ペーストの粘度は、約
２５０ポワズであるが、これを低粘度のものに変更する
と、印刷パターンに滲みを生じ不鮮明なものとなる。ま
た、導電性ペースト３の種類を変更すると、抵抗値が変
化してしまうことになる。したがって、導電性ペースト
３の性状になんらかの変更を加えることによって、上記
不具合を解消することは困難である。

【０００９】本発明は、上述した事情に鑑みてなされた
ものであって、導電性ペーストの性状を調整することな
く、内面に沿って導電性ペーストを薄く付着させた大口
径のスルーホールを形成することができるスルーホール
回路の印刷方法および印刷用スクリーンを提供すること
を目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１の発明は、スルーホール回路を形成する導
電性ペーストを、基材の表面に配置した印刷用スクリー
ンを透過させ、該印刷用スクリーンに施された印刷パタ
ーンに応じた形状で基材の表面に付着させる印刷方法で
あって、スルーホールに注入される導電性ペーストを、
スルーホールの内面に沿って筒状に流動させることを特
徴とするスルーホール回路の印刷方法を提案している。

【００１１】また、請求項２の発明は、導電性ペースト
を透過させることにより、基材の表面にスルーホール回
路を形成する印刷パターンを具備し、基材に設けたスル
ーホールの中心位置近傍に配置される印刷パターンに、
スルーホールの断面積よりも小さい面積のマスク部を設
けたスルーホール回路の印刷用スクリーンを提案してい
る。

【００１２】さらに、請求項３の発明は、請求項２の発
明において、マスク部の外周縁を、スルーホールの内周
縁に対して半径方向内方に０．３ｍｍ以下の間隔を空け
て配されるように形成したスルーホール回路の印刷用ス
クリーンを提案している。

【００１３】

【作用】請求項１の発明に係るスルーホール回路の印刷
方法によれば、基材の表面に配置した印刷用スクリーン
を透過させた導電性ペーストが、印刷用スクリーンに施
された印刷パターンに応じた形状で付着させられること
により、基材の表面にスルーホール回路が形成される。
また、これと同時に、基材に形成されているスルーホー
ル内にも印刷用スクリーンを透過させられた導電性ペー
ストの一部が流し込まれることになる。この場合に、導
電性ペーストは、スルーホールの内面に沿って筒状に流
動させられつつスルーホール内に注入されるので、スル
ーホールの全体を導電性ペーストによって埋めることな
く、内面に薄く付着させることが可能となる。

【００１４】また、請求項２の発明に係るスルーホール
回路の印刷用スクリーンによれば、印刷パターンを透過
させられた導電性ペーストは、スルーホール内に充填さ
れる際に、スルーホールの中心位置近傍に設けたマスク
部によって、スルーホールの中心部への注入を制限さ
れ、スルーホールの内周縁とマスク部の外周縁との間か
らスルーホールの内面に沿って注入されることになる。

【００１５】さらに、請求項３の発明に係るスルーホー
ル回路の印刷用スクリーンによれば、マスク部の外周縁
とスルーホールの内周縁との０．３ｍｍ以下の間隔から
スルーホールに注入されるので、スルーホール内が導電
性ペーストによって完全に充填されることが回避される
とともに、スルーホールの内面に沿う導電性ペーストの
層が途切れることなく形成されることになる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明に係るスルーホール回路の印刷
方法および印刷用スクリーンの一実施例について、図１
から図３を参照して説明する。本実施例に係るスルーホ
ール回路１０の印刷方法は、スクリーン印刷によって基
材１１の表面にスルーホール回路１０を印刷する際に、
基材１１に形成されたスルーホール１２内にも導電性ペ
ースト１３を注入する方法である。そして、スルーホー
ル１２内に注入される導電性ペースト１３を、スルーホ
ール１２の内面に沿って筒状に流動させつつ注入するよ
うにしている。このスルーホール回路１０の印刷方法
は、具体的には、図１に示す印刷用スクリーン１４によ
って実施される。

【００１７】本実施例のスルーホール回路１０の印刷用
スクリーン１４は、導電性ペースト１３を透過させるス
クリーン紗１５と、導電性ペースト１３を透過させない
マスク１６とを具備している。スクリーン紗１５は、Ｐ
ＥＴフィルムのような基材１１にスルーホール回路１０
を転写するように、所定の印刷パターン１７を形成して
おり、例えば、図１に示すように、鎖線で示すスルーホ
ール１２を形成する円形部分１５ａと、該スルーホール
１２に接続される直線部分１５ｂとをその一部に有して
いる。前記円形部分１５ａは、スルーホール１２の端部
に、図２および図３に示す鍔部１８を形成するように、
スルーホール１２よりも十分に大きな径寸法に形成され
ている。

【００１８】前記マスク１６は、前記スクリーン紗１５
の外方を閉塞して、スクリーン紗１５の部分のみを導電
性ペースト１３が透過し得るようにするマスク部１６ａ
と、前記円形部分１５ａの内側に同心に設けられ、円形
部分１５ａのスクリーン紗１５を円環状に形成するマス
ク部１６ｂとからなる。特に、本実施例の印刷用スクリ
ーン１４においては、上記マスク部１６ｂに特徴があ
る。すなわち、このマスク部１６ｂは、基材１１のスル
ーホール１２よりも小さい径寸法の円形に形成されてい
る。そして、印刷用スクリーン１４が基材１１の表面に
配置され、スクリーン紗の円形部分１５ａが図１に鎖線
で示すようにスルーホール１２に対して同心に配される
と、マスク部１６ｂは、スルーホール１２の半径方向内
方に間隔を空けて同心に配置されるようになっている。

【００１９】具体的には、スルーホール１２の直径寸法
を１ｍｍとすると、マスク部１６ｂの直径寸法は、０．
６ｍｍに形成されており、スルーホール１２の内周縁
と、マスク部１６ｂの外周縁との間隔寸法は、０．２ｍ
ｍに形成されるようになっている。

【００２０】このように形成された印刷用スクリーン１
４を用いて、スルーホール回路１０の印刷を実施するに
は、図３に示すように、スルーホール１２を有する基材
１１の表面に印刷用スクリーン１４を配置する。この際
に、スクリーン紗１５の円形部分１５ａおよびマスク部
１６ｂと、スルーホール１２とが同心となるように印刷
用スクリーン１４を配置する。そして、印刷用スクリー
ン１４の上方から導電性ペースト１３を供給し、スクリ
ーン紗１５を透過させることにより、基材１１の表面
に、スクリーン紗１５の形状に応じたスルーホール回路
１０が、図２に示すように転写されることになる。図中
破線は、スルーホール１２を示している。

【００２１】この場合において、スクリーン紗１５に
は、マスク部１６ｂが設けられているので、導電性ペー
スト１３は、該マスク部１６ｂの外周縁とスルーホール
１２の内周縁との間隙からスルーホール１２内に流し込
まれることになる。したがって、導電性ペースト１３の
注入量は、マスク部１６ｂを設けない場合と比較して、
マスク部１６ｂによって閉塞された面積分だけ制限され
る。しかも、導電性ペースト１３は、スルーホール１２
の内面に沿って円筒状に流動させられつつスルーホール
１２内に注入されるので、スルーホールの内面には、マ
スク部の外周縁とスルーホールの内周縁との間隙寸法に
応じた厚さの円筒状に、導電性ペースト１３が付着させ
られる。

【００２２】また、この後に、基材１１を反転して、上
記と同様のマスク部１６ｂを有する印刷用スクリーン１
４によって、基材１１の他の面への印刷パターン１７の
転写を実施する。これによって、基材１１の両面にスル
ーホール回路１０が転写され、スルーホール１２内面に
薄く付着した円筒状の導電性ペースト１３によって、基
材１１両面のスルーホール回路１０が導通させられるこ
とになる。

【００２３】その結果、スルーホール１２内が導電性ペ
ースト１３によって完全に充填されることが回避され、
余剰の導電性ペースト１３がスルーホール１２から垂れ
下がる等の不具合の発生が防止されることになる。しか
も、スルーホール１２の内周縁とマスク部１６ｂの外周
縁との間隙寸法が０．２ｍｍに形成されているので、ス
ルーホール１２内に筒状に流動させられつつ注入される
導電性ペースト１３は、途切れることなくスルーホール
１２の内面全体に付着させられることになる。さらに、
０．２ｍｍという間隙寸法は、スルーホール１２の内面
全体に導電性ペースト１３を付着させるのに十分な寸法
であり、印刷工程における基材１１と印刷用スクリーン
１４との位置ずれをある程度許容して、位置合わせ作業
を容易なものとすることができるという利点を有する。

【００２４】このように、本実施例に係るスルーホール
回路１０の印刷方法および印刷用スクリーン１４によれ
ば、スルーホール１２の内面のみに円筒状の導電性ペー
スト１３の層を形成するので、スルーホール１２全体に
導電性ペースト１３を注入することによる導電性ペース
ト１３の垂れ下がりや欠落等の不具合を回避して、スル
ーホール１２を大口径のものとすることができる。これ
により、スルーホール１２をプレス加工等によって容易
に成形することが可能となり、生産性の向上を図ること
ができる。

【００２５】なお、本発明に係るスルーホール回路１０
の印刷方法および印刷用スクリーン１４においては、ス
ルーホール１２の直径寸法を１．０ｍｍとしたがこれに
限定されるものではない。そして、マスク部１６ｂの直
径寸法も、０．６ｍｍに限定されるものではない。すな
わち、多量の導電性ペースト１３がスルーホール１２内
に注入されないように制限するためには、スルーホール
１２の直径寸法に関わらず、スルーホール１２の内周縁
とマスク部１６ｂの外周縁との間隙寸法が０．３ｍｍ以
下となるように形成することが好ましい。また、マスク
部１６ｂとスルーホール１２との位置ズレによりスルー
ホール１２内の導電性ペースト１３の導通不良を回避す
るためには、上記間隙寸法を０．１５ｍｍから０．２ｍ
ｍに設定することが、さらに好ましい。

【００２６】また、本実施例の印刷方法および印刷用ス
クリーン１４によってスルーホール回路１０の印刷を行
う基材１１として、メンブレンスイッチに使用されるＰ
ＥＴフィルムを例示したが、これに代えて、他の基板等
を採用することとしてもよい。さらに、スルーホール１
２の断面形状も円形に限定されるものではなく、他の断
面形状のスルーホール１２としてもよい。

【００２７】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係るスル
ーホール回路の印刷方法は、スルーホールに注入される
導電性ペーストを、スルーホールの内面に沿って筒状に
流動させるので、導電性ペーストをスルーホールの内面
のみに付着させることが可能となり、スルーホールの大
口径化を容易に図ることができる。その結果、スルーホ
ールの穿孔をプレス加工によって実施することが可能と
なり、生産性を増大することができるという効果を奏す
る。

【００２８】また、本発明に係るスルーホール回路の印
刷用スクリーンは、基材に設けたスルーホールの中心位
置近傍に配置される印刷パターンに、スルーホールの断
面積よりも小さい面積のマスク部を設けたので、スルー
ホールに注入される導電性ペーストの量を制限して、ス
ルーホールの内面に沿って筒状に流動させることができ
る。これにより、導電性ペーストをスルーホール内部に
完全に充填することなく、スルーホールの内面のみに付
着させることができるという効果を奏する。

【００２９】さらに、上記印刷用スクリーンにおいて、
マスク部の外周縁を、スルーホールの内周縁に対して半
径方向内方に０．３ｍｍ以下の間隔を空けて配されるよ
うに形成することとすれば、上記効果に加えて、スルー
ホール内に注入される導電性ペーストの量を制限できる
とともに、スルーホールの内面全体を被覆するように注
入することができるという効果を奏する。また、この場
合には、マスク部とスルーホールとの厳密な位置決めを
不要なものとして、位置決め作業に要する作業工数の削
減を図り、生産性をさらに向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るスルーホール回路の印刷用スク
リーンの一実施例を示す平面図である。

【図２】 図１の印刷用スクリーンにより基材に転写さ
れた、スルーホール回路を示す平面図である。

【図３】 図２の縦断面図である。

【図４】 スルーホール内部全体に導電性ペーストが充
填された状態を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１０・・・・スルーホール回路、１１・・・・基材、１２・・・・ス
ルーホール、１３・・・・導電性ペースト、１４・・・・印刷用
スクリーン、１６ｂ・・・・マスク部、１７・・・・印刷パター
ン

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スルーホール回路（１０）を形成する導
   電性ペースト（１３）を、基材（１１）の表面に配置し
   た印刷用スクリーン（１４）を透過させ、該印刷用スク
   リーンに施された印刷パターン（１７）に応じた形状で
   基材の表面に付着させる印刷方法であって、 スルーホール（１２）に注入される導電性ペーストを、
   スルーホールの内面に沿って筒状に流動させることを特
   徴とするスルーホール回路の印刷方法。
2. 【請求項２】 導電性ペーストを透過させることによ
   り、基材の表面にスルーホール回路を形成する印刷パタ
   ーンを具備し、 基材に設けたスルーホールの中心位置近傍に配置される
   印刷パターンに、スルーホールの断面積よりも小さい面
   積のマスク部（１６ｂ）を設けたことを特徴とするスル
   ーホール回路の印刷用スクリーン。
3. 【請求項３】 マスク部の外周縁を、スルーホールの内
   周縁に対して半径方向内方に０．３ｍｍ以下の間隔を空
   けて配されるように形成したことを特徴とする請求項２
   記載のスルーホール回路の印刷用スクリーン。