JPH07252777A - 高伸縮布帛の製造方法 - Google Patents

高伸縮布帛の製造方法

Info

Publication number
JPH07252777A
JPH07252777A JP10600694A JP10600694A JPH07252777A JP H07252777 A JPH07252777 A JP H07252777A JP 10600694 A JP10600694 A JP 10600694A JP 10600694 A JP10600694 A JP 10600694A JP H07252777 A JPH07252777 A JP H07252777A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
elastic
yarn
cloth
fabric
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10600694A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihisa Okamoto
佳久 岡本
Kentaro Mitani
健太郎 三谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP10600694A priority Critical patent/JPH07252777A/ja
Publication of JPH07252777A publication Critical patent/JPH07252777A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatment Of Fiber Materials (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自然光等に曝されても伸縮性が低下しにく
く,しかも鮮明色を有する耐光性伸縮布帛の製造方法を
提供する。 【構成】 ポリエーテルエステル系弾性繊維を含む布帛
を染色した後にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を付
与し,しかる後に洗浄する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,自然光下に長期間曝さ
れても伸縮性が低下しにくい鮮明色を有する耐光性高伸
縮布帛の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より,衣料用や産業用等の高伸縮布
帛としては,弾性に富むポリウレタン系繊維を含有する
ものが用いられている。このポリウレタン系繊維を用い
て布帛を形成する際,単独で用いられることは少なく,
一般に次のごとき態様で用いられることが多い。すなわ
ち,ポリウレタン系繊維よりなる糸条とポリアミド繊維
やポリエステル繊維等よりなる糸条とを用い,交編織し
て布帛が形成されたり,ポリウレタン系繊維よりなる糸
条とポリアミド繊維等よりなる糸条とを混繊した混繊糸
条を用い,これを製編織して布帛が形成されたり,ある
いはポリウレタン系繊維よりなる糸条にポリアミド繊
維,ポリエステル繊維,綿,アクリル系繊維等をカバリ
ング加工した被覆糸を用い,これを製編織して布帛が形
成されたりしている。
【0003】従って,例えば,ポリウレタン系繊維とポ
リエステル繊維とで構成される高伸縮布帛を染色加工す
る場合,両繊維の染色性が異なるため,染色加工がしに
くいという問題があった。すなわち,ポリエステル繊維
を良好に染色するために高温高圧下で染色加工すると,
ポリウレタン系繊維を構成するウレタン系重合体が加水
分解を起こし,ポリウレタン系繊維が劣化して布帛の高
伸縮性が極端に低下するという問題があった。また,ポ
リウレタン系繊維を劣化させることなく染色するために
常圧下で染色加工すると,ポリエステル繊維を良好に染
色させることができないという問題があった。
【0004】このため最近では,弾性に富む繊維とし
て,ポリエステル繊維とその染色性が近似しているポリ
エーテルエステル弾性繊維を使用する方法が行われてい
る。ポリエステル繊維とポリエーテルエステル弾性繊維
とで構成される高伸縮布帛の場合には,高温高圧下で染
色加工してもポリエーテルエステル弾性繊維が劣化しに
くく,両繊維とも良好に染色され,従って,この高伸縮
布帛は染色性が良好で,均一に染色されるとともに,ポ
リエーテルエステル弾性繊維の劣化も少なく,衣料用等
として好適に使用されるものである。
【0005】しかしながら,この高伸縮布帛を衣料用等
として長期間使用していると,次第に伸縮性が低下して
くるという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは,ポリエ
ステル繊維とポリエーテルエステル弾性繊維とで構成さ
れた高伸縮布帛が,なぜ長期間の使用によって伸縮性の
低下をきたすのかを検討した。その結果,太陽光等の自
然光に高伸縮布帛が曝露されると,ポリエーテルエステ
ル弾性繊維が脆化して伸縮性の低下をきたすことが判明
した。さらに,本発明者らは,自然光のうちでもどの程
度の波長の光がポリエーテルエステル弾性繊維を脆化さ
せるのかを検討した。その結果,紫外線領域の光によっ
てポリエーテルエステル弾性繊維が脆化し,他の波長の
光(例えば,赤外線領域の光)によってはポリエーテル
エステル弾性繊維は脆化しにくいことが判明した。
【0007】本発明者らは,以上の知見に基づいて,ポ
リエーテルエステル弾性繊維を含有している布帛にある
特定の紫外線吸収剤を付与することによって,自然光中
の紫外線をこの吸収剤で吸収し,ポリエーテルエステル
弾性繊維を形成しているブロック共重合体への紫外線の
攻撃を少なくし,もってポリエーテルエステル弾性繊維
の脆化を防止して,布帛の高伸縮性を長期間にわたって
維持させ得る方法を特願平4−297932号で提案し
た。この提案は,染色と同時にベンゾトリアゾール系紫
外線吸収剤をポリエーテルエステル弾性繊維を含む布帛
に付与する方法であるが,この方法の場合,布帛に鮮明
色が得られにくい重大な欠点があることが判明した。
【0008】本発明は,このような現状に鑑みて行われ
たもので,ポリエーテルエステル系弾性糸を含む布帛を
用いて,鮮明色を有し,しかも自然光に曝されても伸縮
性が低下しにくい耐光性伸縮布帛を製造することを目的
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は,上述の目的を
達成するもので,次の構成よりなるものである。すなわ
ち,本発明は,ポリブチレンテレフタレートを主とする
ポリエステルをハードセグメントとし,分子量500〜
5000の直鎖状ポリアルキレングリコールをソフトセ
グメントとするポリエーテルエステル系弾性繊維を含む
布帛を染色した後,ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
を付与し,熱処理し,しかる後に洗浄することを特徴と
する高伸縮布帛の製造方法を要旨とするものである。
【0010】以下,本発明を詳細に説明する。
【0011】まず,本発明で用いられるポリエーテルエ
ステル弾性繊維について説明する。このポリエーテルエ
ステル弾性繊維は,ポリエーテルとポリエステルとのブ
ロック共重合体を溶融紡糸して得られるものである。こ
のポリエーテルエステル弾性繊維は,ブロック共重合体
中においてポリエーテルがソフトセグメントとなってお
り,ポリエステルがハードセグメントとなっているた
め,この両セグメントによって高伸縮性が発揮されるの
である。
【0012】ここで,ポリエステルとしては,ポリエチ
レンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレー
トが使用され,また,これらを主体とするポリエステル
が使用される。ポリエーテルとしては,ポリエチレング
リコールもしくはポリテトラメチレングリコール等の直
鎖状ポリアルキレングリコールまたはこれらを主体とす
るものが使用される。特に,高伸縮性および耐光性を得
るためには,ポリテトラメチレングリコールを用いるの
が最も好ましい。
【0013】ポリエーテルの重量平均分子量は,500
〜5000であるのが好ましい。ポリエーテルの分子量
が500より少ないと,ポリエーテルエステル弾性繊維
の伸縮性や耐光性が低下する傾向が生じる。逆に,ポリ
エーテルの分子量が5000を超えると,ハードセグメ
ントであるポリエステルとのブロック共重合時において
相溶性が低下し,得られるポリエーテルエステル弾性繊
維の均質性が低下し,ひいては伸縮性が低下する傾向が
生じる。
【0014】またブロック共重合体中におけるポリエー
テルとポリエステルとの重量比は,ポリエーテル/ポリ
エステル=0.65〜4.0/1が好ましい。ポリエーテル
のポリエステルに対する重量比が0.65よりも少なくな
ると,得られるポリエーテルエステル弾性繊維の伸縮性
が低下する傾向が生じる。逆に,ポリエーテルの重量比
が4.0を超えると,ブロック共重合体の融点降下が大き
くなってポリエーテルエステル弾性繊維の熱的特性が低
下し,染色加工時もしくは熱処理時等においてポリエー
テルエステル繊維が脆化もしくは変質する傾向が生じ
る。
【0015】なお,ポリエーテルとポリエステルとのブ
ロック共重合体には,染色性等を改良するために,少量
ならばさらに他の成分が共重合されていてもよい。他の
成分が共重合されるとハードセグメントであるポリエス
テルによる結晶構造が乱れ,伸縮性を発現するための固
定点が消失し,伸縮性に悪影響を及ぼすおそれがあるた
め,他の成分の共重合量は5モル%以下にするのが好ま
しい。
【0016】上記で説明したポリエーテルエステル弾性
繊維の具体的な製造方法としては,例えば,以下のごと
き方法が挙げられる。まずエステル化反応器にテレフタ
ル酸ジメチルと1,4−ブタンジオールをモル比1/1.6
で仕込み,常圧下で160〜230℃の温度で2〜5時
間エステル交換反応を行ってポリエステルを得る。得ら
れたポリエステルを重合缶に移送し,必要量のポリテト
ラメチレングリコールを添加し,次いで,230〜26
0℃の温度で1Torr以下の減圧下で1〜5時間重縮合反
応を行い,ポリエステルとポリエーテルとのブロック共
重合体を得る。
【0017】重縮合反応は,一般に重縮合触媒の存在下
で行われる。重縮合触媒としては,チタン化合物,アン
チモン化合物,錫化合物,カルシウム化合物,マンガン
化合物,ゲルマニウム化合物等が用いられる。特に好ま
しい重縮合触媒は,チタン化合物およびアンチモン化合
物である。また,ポリエーテルエステル製造時におい
て,必要に応じて各種安定剤や顔料等を添加してもよ
い。
【0018】以上のようにして得られたブロック共重合
体を溶融紡糸し,延伸もしくは延伸および熱処理してポ
リエーテルエステル弾性繊維を得る。延伸および熱処理
を施すに際し,延伸後,連続して弛緩熱処理を行えば,
さらに優れた性能を有するポリエーテルエステル弾性繊
維を製造することができる。
【0019】次に,このポリエーテルエステル弾性繊維
を集束した弾性糸条を用いて,製編織して布帛を製造す
る。一般的には,この弾性糸条のみを使用して布帛を得
ることは少なく,この弾性糸条とポリエステル繊維等が
集束された非弾性糸条とを任意の形態で組み合わせて,
製編織して布帛を製造する。例えば,非弾性糸条と弾性
糸条とをエアーにより混繊および交絡して混繊糸条を得
る方法,中空スピンドルにて弾性糸条を芯とし,非弾性
糸条を鞘としてカバリング糸条を得る方法,2フィード
タイプの撚糸機を用いて弾性糸条に張力を付与しながら
非弾性糸条と合撚して合撚糸条を得る方法等により,ま
ず,混用糸条を製造し,この混用糸条を用いて製編織し
て布帛を得るのである。
【0020】製編の場合の編組織としては,シングルニ
ットやダブルニット等の丸編組織,ラッセルやトリコッ
ト等の経編組織等の従来公知の任意の編組織が採用され
る。また,製織の場合の織組織としては,ツイル織組織
やサテン織組織等が採用される。製織の場合には,混繊
糸条を経糸および緯糸の両方に用いてもよいし,片方の
み混繊糸条を用い,他方は任意の糸条を用いてもよい。
【0021】また,非弾性糸条と弾性糸条とを製編時に
組み合わせてもよい。例えば非弾性糸条が表側となり,
弾性糸条が裏側(非弾性糸条による編目の内側)となる
ように添糸編で編地を製編してもよい。添糸編で製編す
ることにより,非弾性糸条が均一に編地の表側に配置さ
れ,弾性糸条が均一に裏側に配置されるため,紫外線が
弾性糸条を構成するポリエーテルエステル弾性繊維をよ
り攻撃しにくくなり,ポリエーテルエステル弾性繊維が
脆化しにくくなる。具体的に添糸編で製編するには,編
機の2穴給糸口に弾性糸条と非弾性糸条とを別個に規則
正しく配列し,糸条の張力や編針に対する糸条の入角度
を均一にして行うのが好ましい。さらに非弾性糸条と弾
性糸条とを単に引き揃えて製編織することも可能であ
る。また,非弾性糸条と弾性糸条とを別個の給糸口に給
糸して,別個の編目を形成するようにして製編すること
も可能である。
【0022】なお, 弾性糸条,非弾性糸条もしくは混繊
糸条等の糸条形態としては,マルチフィラメント糸条又
はこのマルチフィラメント糸条が仮撚加工された仮撚加
工糸条,ニット・デ・ニット加工糸条,エアー処理加工
糸条等の形態が採用される。
【0023】ポリエーテルエステル弾性繊維よりなる弾
性糸条とポリエステル繊維等よりなる非弾性糸条とを用
いて布帛を得る場合,布帛中におけるポリエーテルエス
テル弾性繊維の割合は,布帛重量に対して2〜60重量
%の範囲であるのが好ましく特に5〜20重量%の範囲
であるのが最も好ましい。ポリエーテルエステル弾性繊
維の割合が2重量%未満であると,布帛の伸縮性が低下
する傾向が生じる。ポリエーテルエステル弾性繊維の割
合が60重量%を超えると,布帛を熱処理する際の収縮
率が大きくなりすぎたり,布帛重量が重くなりすぎた
り,あるいは布帛表面にいらつきが生じたりする傾向が
ある。
【0024】本発明では,以上のようにして得た布帛を
染色した後,ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を付与
することを大きな特徴としている。このような手段を講
ずることにより,染色と同時にベンゾトリアゾール系紫
外線吸収剤を付与する従来の方法では得られなかった鮮
明色を可能にしたのである。
【0025】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は,チバテックスLF(チバガイギー社製),チバテッ
クスLFN(チバガイギー社製)等が使用される。本発
明で使用するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は,サ
ルチル酸エステル系,ベンゾフェノン系,ベンゾエート
系等に比較して波長290〜400nmの紫外線を吸収す
る能力が極めて優れており,それをポリエーテルエステ
ル弾性繊維に付与しても,ポリエーテルエステル弾性繊
維の高伸縮性が阻害されることが少なく,かつポリエー
テルエステル弾性繊維を損傷することも少ない。ベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤以外の前述の紫外線吸収剤
を使用すると,ポリエーテルエステル弾性繊維の高伸縮
性が阻害されたり,あるいはポリエーテルエステル弾性
繊維が損傷されたりするので好ましくない。
【0026】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は,布
帛重量に対して0.1〜8.0重量%付与するのが好まし
く,特に0.5〜5.0重量%付与するのが最も好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の付与量が0.1重量
%未満であると,紫外線によってポリエーテルエステル
弾性繊維が脆化しやすくなる傾向が生じる。逆に,ベン
ゾトリアゾール系紫外線吸収剤の付与量が8.0重量%を
超えると,ポリエーテルエステル弾性繊維の高伸縮性が
阻害されやすくなる。
【0027】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の付与
方法としては,その紫外線吸収剤が分散された分散液に
染色された布帛を浸漬し,マングル等で絞液する方法
や,ノズル等で上記分散液を布帛に噴霧して付与する方
法等を挙げることができる。
【0028】布帛にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
を付与した後,熱処理を施す。この熱処理は,ベンゾト
リアゾール系紫外線吸収剤をポリエーテルエステル弾性
繊維またはポリエステル繊維等に強固に固着させ,洗濯
等の耐久性を高めるために行われる。
【0029】熱処理は,乾熱あるいは湿熱で行う。乾熱
の場合には,140〜170℃の温度範囲で5〜300
秒間処理する。ここで温度が140℃未満であれば,ベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の固着が弱くなり,耐
久性の劣るものになり,また温度が170℃を超える
と,ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は強固に固着さ
れるが,ポリエーテルエステル系弾性繊維の強度低下が
大きくなるので好ましくない。熱処理が湿熱の場合に
は,80〜140℃の温度範囲で5〜300秒間処理す
る。ここで温度が80℃未満であれば,ベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤の固着が弱くなり,耐久性の劣るも
のになり,また温度が140℃を超えると,ベンゾトリ
アゾール系紫外線吸収剤は強固に固着されるが,ポリエ
ーテルエステル系弾性繊維の強度低下が大きくなるので
好ましくない。
【0030】熱処理後,本発明では,最後に洗浄処理を
行う。この洗浄処理は,ベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤を染色された布帛に付与する際に併用した分散剤を
除去するために行うものである。この洗浄処理を行わな
ければ,布帛に残留する分散剤のために湿潤時の染色堅
牢度低下を生じるので,洗浄処理は本発明における必須
要件である。
【0031】洗浄処理は,30〜100℃の温度範囲
で,連続式あるいはバッチ式にて行えばよい。また,界
面活性剤0.1〜5.0g/リットルの濃度の浴中で1〜2
0分間処理した後,水洗する方法を行えばより一層効果
的である。
【0032】本発明は,以上の構成を有するものであ
る。
【0033】
【作 用】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を染色時
に同浴で布帛に処理する従来法によれば,繊維への染料
の吸着が阻害されて鮮明色が得られにくかったが,本発
明のごとく紫外線吸収剤の付与前に布帛を染色すると,
染色の際に紫外線吸収剤の影響を受けることがないの
で,鮮明色に染色することができ,このような状態で布
帛にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を付与し,熱処
理で固着した後に洗浄を行うと,布帛に残留する分散剤
が除去されて,湿潤時の染色堅牢度が良好となり,付与
された紫外線吸収剤の作用により,自然光下に長期間曝
されても伸縮性が低下しにくい耐光性高伸縮布帛が得ら
れるようになる。
【0034】
【実施例】次に,本発明を実施例によってさらに具体的
に説明するが,実施例における試料の性能の測定,評価
は,下記の方法で行った。 (1)伸長率および回復率 JIS L−1018の定速伸長法により測定した。 (2)強度および伸度 オリエンティック社製テンシロンUTM−4−100型
を用い,長さ10cmの弾性糸条を引張速度10cm/分に
て10回測定し,その平均値を算出した。。 (3)極限粘度 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒とし
て,温度20℃で測定した。 (4)弾性回復率 オンエンティック社製テンシロンUTM−4−100型
を用い,長さ10cmの弾性糸条を引張速度10cm/分で
100%伸長する。伸長した後,同速度で弾性糸条を元
の長さに戻す。そして再度伸長し,応力が観測された時
点における弾性糸条の伸びの長さを求め,次式によって
弾性回復率を求めた。なお,この弾性回復率は,10回
測定した平均値を示している。 弾性回復率=〔(E0−E1)/E0〕×100 ただし,E0 は,弾性糸条を100%延ばしたときの伸
びの長さであり,弾性糸条が10cmの場合には10とな
る。また,E1 は,再度伸長した際,応力が観測された
時点における弾性糸条の伸びの長さである。 (5)熱水収縮率 糸条の一端を固定し,他方の端に1/10g/dの初荷
重を与え,正しく500mmを計って,2点に印をつけ
る。この後,初荷重を取って沸騰水中に30分間浸漬し
た後,取り出して軽く吸取紙または布で水を切り,水平
状態で自然乾燥する。その後,再び初荷重をかけて前記
2点間の長さL(mm)を計る。以上のL(mm)の測定を
各10回行い,下記式にて収縮率を算出し,その平均値
を熱水収縮率(%)とする。 熱水収縮率=〔(500−L)/500〕×100
【0035】実施例1 まず,次のようにしてポリエーテルエステル弾性繊維を
得た。エステル化反応器にテレフタル酸ジメチル19.4
kgおよび1,4−ブタンジオール9.0kgを仕込んで,テト
ラブチルチタネート10gを触媒として,常圧下210
℃で2時間30分エステル交換反応を行った。得られた
ポリブチレンテレフタレートを重合缶に移送し,ポリテ
トラメチレングリコール(重量平均分子量2000)3
3kgと酸化防止剤(チバガイギー社製品のイルガノック
ス1010)50gを添加して,250℃の温度で3時
間,減圧下で重縮合反応を行った。このようにして得ら
れたポリエステルとポリエーテルのブロック共重合体の
極限粘度〔η〕は2.25であった。このブロック共重合
体を減圧乾燥後,溶融紡糸機にて紡糸温度230℃及び
吐出量40g/分で溶融紡糸した後,紡出糸条にシリコ
ーン系油剤をローラ給油方式で付着させ,1000m/
分の速度で引き取り未延伸糸を巻き取った。次に,この
未延伸糸を延伸熱処理機に導入し,延伸速度200m/
分,延伸倍率は延伸域で2.50倍および弛緩熱処理域で
0.70倍,熱処理板温度140℃,巻取張力1gの条件
でポリエーテルエステル弾性繊維よりなる弾性糸条を得
た。この弾性糸条は,50デニール/3フィラメントで
あり,弾性回復率は96%であった。また,このポリエ
ーテルエステル繊維の熱水収縮率は33%であった。
【0036】一方,非弾性糸条としては,通常のポリエ
ステル繊維75デニール/36フィラメントのマルチフ
ィラメント糸条を仮撚加工した仮撚加工糸条を準備し
た。この非弾性糸条の熱水収縮率は5%であった。
【0037】上記した弾性糸条と非弾性糸条とを用い,
図1に示す編組織で製編した。図1に示した編組織図
は,8給糸口が1リピートとして繰り返され,編地表面
が無地調で,裏面が凹凸のある鹿の子調となる。図1
中,(ac)および(bc)は各々バット位置が異なる
2種のシリンダー針を示し,(ad)および(bd)は
各々バット位置が異なる2種のダイヤル針を示す。そし
て,弾性糸条を点線で示し,非弾性糸条を実線で示し
た。図2は,添糸編に用いる給糸口の概略図であり,
(α)(β)は各々給糸穴を示し,(A)は弾性糸条,
(B)は非弾性糸条を示す。(N)は編針を示す。
【0038】図1の編組織図における弾性糸条と非弾性
糸条の給糸と製編方法をさらに詳しく述べると,次のと
おりである。すなわち,第1給糸口(以下,給糸口のこ
とを「F」と表現する。)で,シリンダー(ac)針の
タック編およびダイヤル(ad)(bd)針のニット編
により編地の表裏を結節する。第3Fは,第1Fと同作
用で,第5Fおよび第7Fでは,シリンダー(bc)針
のタック編およびダイヤル(ad)(bd)針のニット
編を行う。前述の各給糸口には,非弾性糸条を給糸し
た。一方,第2F,第4F,第6Fおよび第8Fにおい
ては,図2に示す給糸口を用い,β穴に弾性糸条を,α
穴に非弾性糸条を給糸し,シリンダー(ac)および
(bc)針でニット編を行う。以上の編組織および編成
法で,福原精機製ダブルニット機LPJ−H型を用い,
釜径33″,ゲージ28Gで編成して編地(布帛)を得
た。
【0039】以上のようにして得られた編地に,株式会
社日阪製作所製のサーキュラー液流染色機を用い,日華
化学株式会社製の界面活性剤「サンモールFL」を1g
/リットル含む水溶液で80℃で10分間の条件でリラ
ックス精練を施し,脱水,乾燥した。この後,下記処方
1の組成の分散染料液を使用し,株式会社日阪製作所製
のサーキュラー液流染色機を用いて,温度130℃で時
間30分間の条件で染色加工を施した。 処方1 Kayalon Polyester Brill. Red FB−S 1.0%o.w.f. (日本化薬株式会社製,分散染料) ニッカサンソルト SN−130 0.5g/リットル (日華化学株式会社製,均染剤) 酢 酸(48%) 0.2cc/リットル
【0040】染色後,チバテックスLFN(チバガイギ
ー社製,ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)3%水溶
液に浸漬し,マングルにて絞り率100%で絞液した
後,温度100℃で3分間の乾燥を行い,続いて,株式
会社市金工業製のヒートセッターを用いて,160℃で
30秒間の熱セットを行った。引き続き,株式会社日阪
製作所製のサーキュラー液流染色機を用いて,日華化学
株式会社製の界面活性剤「サンモールFL」1g/リッ
トルを含む水溶液で80℃,10分間の洗浄処理を施
し,水洗,脱水後,温度130℃で2分間の乾燥を行っ
た。
【0041】以上のようにして得られた高伸縮布帛は,
幅130cm,目付390g/m2 の鮮明ピンク色を呈し
ていた。
【0042】本発明との比較のため,本実施例において
チバテックスLFNによる単独処理を省き,処方1に代
えてチバテックスLFNを含む下記処方2を用いるほか
は,本実施例とまったく同一の方法により比較用の高伸
縮布帛(比較例1)を得た。 処方2 Kayalon Polyester Brill. Red FB−S 1.0%o.w.f. (日本化薬株式会社製,分散染料) ニッカサンソルト SN−130 0.5g/リットル (日華化学株式会社製,均染剤) 酢 酸(48%) 0.2cc/リットル チバテックスLFN 3.0%o.w.f. (チバガイギー社製,ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)
【0043】また,本実施例との比較のため,本実施例
においてチバテックスLFNによる処理工程を省くほか
は,本実施例とまったく同一の方法により比較用の高伸
縮布帛(比較例2)を得た。
【0044】本発明および比較用の高伸縮布帛の伸縮
性,すなわち,伸長率および回復率を自然光に曝露する
前後において測定し,その結果を表1に示した。また,
カーボンアークフェードメーターに照射する前後におけ
る高伸縮布帛を解編してポリエーテルエステル弾性繊維
よりなる弾性糸条を取り出し,この弾性糸条の強力およ
び伸度を測定した。また,得られた高伸縮布帛に繰り返
し洗濯を施し,その後,高伸縮布帛を解編してポリエー
テルエステル弾性繊維よりなる弾性糸条を取り出し,こ
の弾性糸条の強力および伸度を測定した。これらの結果
も併せて表1に示した。
【0045】なお,表1中の試料の各項目は,以下のと
おりである。 1)未処理の高伸縮布帛 得られた高伸縮布帛を自然光に曝露することなくそのま
ま使用したものである。 2)自然光に曝露後の高伸縮布帛 得られた高伸縮布帛をダイレクト曝露台にとりつけて,
曝露面を南側に向け,仰角45°で30日間放置した後
のものである。 3)未処理の高伸縮布帛から解編した弾性糸条 得られた高伸縮布帛を自然光に曝露する前に解編して取
り出した弾性糸条である。 4)カーボンアーク照射後の高伸縮布帛から解編した弾
性糸条 JISL−0842で用いるカーボンアークフェードメ
ーターを用いて,得られた高伸縮布帛を温度63℃で時
間40時間の条件で照射処理した後,解編して取り出し
た弾性糸条である。 5)繰り返し洗濯後の高伸縮布帛から解編した弾性糸条 家庭用洗濯機を用いて,合成洗剤(液体)を0.9g/リ
ットル使用し,浴比1:40,水温40℃の条件で,得
られた高伸縮布帛に次のサイクルの洗濯を10分間施し
た。洗濯のサイクルは,給水→洗剤投入→洗濯→排水→
脱水→給水→すすぎ→排水→給水→すすぎ・排水→給水
→すすぎ→排水→脱水である。このサイクルを100回
繰り返した後の高伸縮布帛を解編し,取り出した弾性糸
条である。
【0046】
【表1】
【0047】表1において,本発明に係る高伸縮布帛と
比較例に係る高伸縮布帛とを比較すれば明らかなよう
に,自然光やカーボンアークに曝露する前においては,
高伸縮布帛およびこれを構成する弾性糸条は,両者とも
に同等の伸長率,回復率,強度および伸度を有している
のに対して,自然光やカーボンアークに曝露した後にお
いては,本発明に係る高伸縮布帛もしくはこれを構成す
る弾性糸条は,その伸長率,回復率,強度および伸度が
低下しにくく,鮮明色であるのに対し,比較例に係る高
伸縮布帛等は,比較例1では鮮明色が得られず,そし
て,比較例2は伸長率等が大幅に低下している。従って
本発明に係る高伸縮布帛は,鮮明色を有し,自然光等に
曝されてもその伸縮性が低下しにくく,長期間にわたっ
て良好な伸縮性を維持することが分かる。また,本発明
に係る高伸縮布帛は,洗濯を繰り返した後においてもそ
の布帛を構成する弾性糸条の強伸度の低下が少なく,実
用的にも問題が少ないことが分かる。
【0048】
【発明の効果】本発明方法によれば,得られた高伸縮布
帛は,自然光等によって伸縮性が低下しにくく,長期間
にわたって耐光性に優れた伸縮性を維持し,しかも鮮明
色を有している。このような性能を有する本発明による
布帛は,衣料用や産業用等に好適に使用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる布帛を得る際の編組織の一例を
示した図である。
【図2】本発明に用いる布帛を得るための製編法の一例
を示した図である。
【符号の説明】
ad ダイヤル針 bd ダイヤル針 ac シリンダー針 bc シリンダー針 A 弾性糸条 B 非弾性糸条 N 編 針 α 給糸孔 β 給糸孔

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリブチレンテレフタレートを主とする
    ポリエステルをハードセグメントとし,分子量500〜
    5000の直鎖状ポリアルキレングリコールをソフトセ
    グメントとするポリエーテルエステル系弾性繊維を含む
    布帛を染色した後,ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
    を付与し,熱処理し,しかる後に洗浄することを特徴と
    する高伸縮布帛の製造方法。
JP10600694A 1994-01-27 1994-04-20 高伸縮布帛の製造方法 Pending JPH07252777A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10600694A JPH07252777A (ja) 1994-01-27 1994-04-20 高伸縮布帛の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6-26065 1994-01-27
JP2606594 1994-01-27
JP10600694A JPH07252777A (ja) 1994-01-27 1994-04-20 高伸縮布帛の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07252777A true JPH07252777A (ja) 1995-10-03

Family

ID=26363803

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10600694A Pending JPH07252777A (ja) 1994-01-27 1994-04-20 高伸縮布帛の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07252777A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6855175B2 (en) * 2001-11-13 2005-02-15 Invista North America Sarl. Heat-setting method
JP2006176897A (ja) * 2004-12-21 2006-07-06 Teijin Fibers Ltd ポリエーテルエステル弾性繊維およびその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6855175B2 (en) * 2001-11-13 2005-02-15 Invista North America Sarl. Heat-setting method
JP2006176897A (ja) * 2004-12-21 2006-07-06 Teijin Fibers Ltd ポリエーテルエステル弾性繊維およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Broadbent Basic principles of textile coloration
WO2018216572A1 (ja) 多層構造布帛および繊維製品
CN1473218A (zh) 含有聚酯双组分纤维的编织物的处理方法
JPH0931781A (ja) 中空状撚糸とその製造方法及び布帛
JPWO2017126223A1 (ja) 編地および繊維製品
JP6933707B2 (ja) 布帛および繊維製品
JPH03174076A (ja) ポリエステル繊維とポリウレタン繊維との混用布帛染色製品およびその製造方法
JP2007023442A (ja) ポリエステル先染め糸およびその製造方法
JP2000129560A (ja) 長短複合紡績糸使用編物の製造方法
JPH07252777A (ja) 高伸縮布帛の製造方法
JP4085316B2 (ja) 着用快適性に優れた布帛
JP5815450B2 (ja) ポリエステル潜在捲縮マルチフィラメント糸とその製造方法、および濃染性布帛とその製造方法
JPH06123072A (ja) 耐光性高伸縮布帛の製造方法
JPH1161563A (ja) 共重合ポリエステル繊維およびその混用布帛
JPH07238477A (ja) 高伸縮布帛の製造方法
EP0431499A2 (en) Process for producing a woven or knitted fabric having a high elasticity
JPH0881854A (ja) 織物の製造方法
JP3123027B2 (ja) 高伸縮性ピーチ調布帛の製造方法
JP6734437B2 (ja) 捲縮糸、極細濃染加工糸、極細濃染加工糸を含むセーム調織物、及び捲縮糸の製造方法
KR960010623B1 (ko) 신축성 직, 편물의 제조방법
JP2012021245A (ja) 遮熱性編物および繊維製品
JP3946042B2 (ja) ポリエステル複合加工糸
TW202424297A (zh) 合成纖維
WO2024043287A1 (ja) 合成繊維
JP3818743B2 (ja) 易染性ポリエステル繊維およびその混用布帛染色物