JPH07249328A - 酸化物超電導線材およびその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材およびその製造方法

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JPH07249328A
JPH07249328A JP6239891A JP23989194A JPH07249328A JP H07249328 A JPH07249328 A JP H07249328A JP 6239891 A JP6239891 A JP 6239891A JP 23989194 A JP23989194 A JP 23989194A JP H07249328 A JPH07249328 A JP H07249328A
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JP
Japan
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oxide superconducting
superconducting wire
powder
extrusion
less
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JP6239891A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Hayashi
和彦 林
Hideto Mukai
英仁 向井
Kenichi Sato
謙一 佐藤
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Japan Science and Technology Agency
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Research Development Corp of Japan
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い臨界電流密度を有する酸化物超電導線材
およびそれを効率よく製造する方法を提供する。 【構成】 酸化物超電導体からなる複数本のフィラメン
トが、金属からなるマトリクス中に埋め込まれてなる多
芯酸化物超電導線材であって、フィラメントの断面積の
相対偏差が、平均断面積の50%以上であることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、酸化物超電導線材お
よびその製造方法に関するものであり、特に、酸化物超
電導体が金属被覆されてなる、多芯酸化物超電導線材お
よびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、より高い臨界温度を示す超電導材
料として、セラミック系のもの、すなわち酸化物超電導
材料が注目されている。中でも、イットリウム系が90
K、ビスマス系が110K、タリウム系が120K程度
の高い臨界温度を示し、液体窒素を冷媒とした高温超電
導材料として、その実用化が期待されている。
【0003】この酸化物超電導材料を用いて長尺の超電
導多芯線材を製造する方法の一例を、以下に説明する。
【0004】まず、超電導体の粉末またはその原料粉末
を金属容器に充填した後、塑性加工し、これを熱処理す
ることにより原料粉末を超電導体化して、酸化物超電導
素線を作製する。次に、この酸化物超電導素線を、ダイ
スにかけて六角形断面に成形した後、必要本数まとめて
金属容器に充填して多芯ビレットを作製する。続いて、
この多芯ビレットに、伸線加工および圧延加工等の塑性
加工を施した後、熱処理を行なう。
【0005】このようにして、従来、高い臨界電流密度
を有する酸化物超電導多芯線材が得られている。
【0006】また、このような酸化物超電導線材の製造
の際、ビレットに静水圧押出しを適用することにより、
長尺にわたって均一で優れた特性を有する酸化物超電導
線材が得られることが、特願平3−56685号(特開
平4−292811号公報)に開示されている。
【0007】さらに、上述の酸化物超電導多芯線材の製
造において、塑性加工および熱処理を複数回繰返すこと
により、より高い臨界電流密度を有する酸化物超電導線
材が得られることが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような方法により得られた酸化物超電導線材は、臨界
電流密度の点でさらに改善されるべき余地が残されてい
る。酸化物超電導線材をケーブルやマグネットに応用し
ようとするには、高い臨界温度に加えて、さらに高い臨
界電流密度を有していることが必要であるからである。
【0009】この発明は、上述の問題点を解決し、高い
臨界電流密度を有する長尺の酸化物超電導線材およびそ
れを効率よく製造する方法を、提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明による酸化物超
電導線材は、酸化物超電導体からなる複数本のフィラメ
ントが、金属からなるマトリクス中に埋め込まれてなる
多芯酸化物超電導線材であって、フィラメントの断面積
の相対偏差が、平均断面積の50%以下であることを特
徴としている。ここで、金属とは、安定化材として用い
られるものをいい、たとえば、銀または銀合金が好まし
い。
【0011】また、この発明による酸化物超電導線材の
製造方法は、酸化物超電導体またはその原料の粉末が金
属被覆されてなる素線を、複数本金属容器に充填して多
芯ビレットを作製し、この多芯ビレットに塑性加工を施
して線材を得、得られた線材を熱処理して、酸化物超電
導体からなる複数本のフィラメントが金属からなるマト
リクス中に埋め込まれてなる多芯酸化物超電導線材を製
造する方法において、塑性加工が静水圧押出しを備え、
かつ、静水圧押出しにおいてフィラメントのソーセージ
ングの発生を抑制することを特徴としている。
【0012】ここで、「ソーセージング」とは、押出し
加工により、長手方向に沿って超電導線材中の超電導体
フィラメントの断面積にばらつきが生じることをいう。
【0013】好ましくは、フィラメントのソーセージン
グの発生を抑制することは、静水圧押出し後のフィラメ
ントの断面積の相対偏差を、平均断面積の50%以下に
することであるとよい。
【0014】また、好ましくは、フィラメントのソーセ
ージングの発生の抑制は、静水圧押出しの際のダイス
角、静水圧押出しの際の温度、静水圧押出しの際の押出
比、素線中に含まれる粉末の相対密度、粉末の粒径およ
び粉末と被覆金属との硬度比からなる群から選ばれる少
なくとも1つの条件を調整することにより行なうとよ
い。
【0015】静水圧押出しの際のダイス角の調整として
は、ダイス角を全角で30°以上90°以下にすること
を特徴とするとよい。
【0016】静水圧押出しの際の温度の調整としては、
ビレット加熱温度を600℃以下にすることを特徴とす
るとよい。
【0017】静水圧押出しの際の押出比の調整として
は、押出比を5以上20以下にすることを特徴とすると
よい。ここで、「押出比」とは、押出し前の線材の断面
積をA、押出し後の線材の断面積をaとするとき、A/
aで表わされる値をいう。
【0018】素線中に含まれる粉末の相対密度の調整と
しては、相対密度を40%以上95%以下にすることを
特徴とするとよい。
【0019】粉末の粒径の調整としては、粒径の平均を
4μm以下にすることを特徴とするとよい。
【0020】粉末と被覆金属との硬度比の調整として
は、硬度比を4以下にすることを特徴とするとよい。
【0021】好ましくは、酸化物超電導体粉末を被覆す
る金属は、金または銀合金であることを特徴とするとよ
い。
【0022】また、好ましくは、酸化物超電導素線を充
填する金属容器は、銀または銀合金であることを特徴と
するとよい。
【0023】さらに、好ましくは、フィラメントのソー
セージングの発生の抑制は、静水圧押出しの際の押出比
を5以上7以下にし、かつ、粉末の粒径の平均を1μm
以下にすることにより行なうとよい。
【0024】
【作用】発明者らは、従来の多芯酸化物超電導線材にお
いて、高い臨界電流密度が得られない原因の1つとし
て、押出し加工によるソーセージングの発生が起因して
いることに着目した。そして、このソーセージングの発
生を抑制することにより、高い臨界電流密度を有する酸
化物超電導線材が得られることを確認した。
【0025】また、従来、たとえば、静水圧押出しによ
って一度に8分の1程度まで線径を縮小しようとする
と、臨界電流密度が大きく低下してしまうという問題が
あった。そこで、一度に線径を縮小する割合を小さくす
れば臨界電流密度の低下を防止できるが、工程が複雑と
なり、生産コストが増大してしまうという問題が生じ
る。すなわち、製造工程の簡素化およびコストの低減を
考慮すると、一度に線径を縮小する割合をできるだけ大
きくすることが好ましい。
【0026】そこで、発明者らは、室温における静水圧
押出しの際の押出比と臨界電流密度との関係について調
べるため、独自の実験を行なった。その結果、酸化物超
電導素線を作製するための酸化物超電導体粉末の粒度
と、静水圧押出しの際の押出比と、得られる酸化物超電
導線材の臨界電流密度との間には、相関関係があること
を見い出した。
【0027】さらに、発明者らは、実験を重ねた結果、
ソーセージングの発生には、静水圧押出しの際のダイス
角、静水圧押出しの際の温度、静水圧押出しの際の押出
比、素線中に含まれる粉末の相対密度、粉末の粒径およ
び粉末と被覆金属との硬度比が、相互に関連しながら影
響を及ぼすことを見い出した。
【0028】すなわち、本願発明によれば、フィラメン
トの断面積の相対偏差が50%以下とされる。相対偏差
が50%を超えると、押出し後の伸線または圧延時に、
断線や割れが発生しやすく、臨界電流密度が低下してし
まうからである。50%以下であれば、加工性に優れ、
104 A/cm2 以上(77K、外部磁場ゼロ)の高い
臨界電流密度を有する長尺線材を容易に得ることができ
る。
【0029】また、本願発明によれば、静水圧押出しが
用いられる。そのため、均一な断面を有する線材の作製
が可能となる。また、大きな押出比をとることが可能な
ため、製造工程が簡略化される。
【0030】さらに、本願発明によれば、ダイス角は3
0°以上90°以下とされる。30°より小さいと、ビ
レット先端部が長くなり、歩留りが低下するからであ
る。一方、90°より大きいと、フィラメントの相対偏
差が均一な断面を有する線材の作製が困難で、メタルフ
ローが不均一になりやすいためである。特に、押出比が
8以上と大きい場合には、30°以上60°以下とする
ことが好ましい。
【0031】また、本願発明によれば、ビレット加熱温
度(押出し温度)は600℃以下とされる。一般には、
加熱温度が高いほど、押出し時の圧力が低く抑えられる
ため好ましい。しかしながら、加熱温度が高すぎると、
被覆金属と酸化物粉末との強度差が大きくなり、不均一
変形を起こしやすいからである。さらに好ましくは、2
00℃以下であるとよい。被覆金属に銀を用いる場合、
200℃以下では銀は再結晶せず、温間加工の領域にあ
るため押出し圧力は低下するが、酸化物粉末との間に著
しい強度差を生じないからである。
【0032】また、本願発明によれば、押出比は5以上
20以下とされる。5より小さいと、粉末部分が緻密化
せず、臨界電流密度が低くなり、生産性が劣るからであ
る。一方、20より大きいと、他の条件と組合せても、
相対偏差が大きくなって加工性が劣り、臨界電流密度が
低下してしまうからである。
【0033】さらに、本願発明によれば、素線中の粉末
の相対密度(見掛け充填密度と真密度の比)は、40%
以上95%以下とされる。40%未満では、押出し時の
静水圧に耐えられず、押出し材が破断するなど押出し自
体が困難で、押出せても不均一変形が起こりやすいから
である。なお、通常、タップ充填して伸線すれば、60
%程度には到達するので、伸線加工度の調整や素線の製
作に静水圧押出しを適用することにより、相対密度の制
御が可能である。
【0034】また、本願発明によれば、粉末の平均粒径
は4μm以下とされる。4μmより大きいと、粉末の流
動性が悪くなり、不均一変形しやすいからである。ま
た、平均粒径で考えているので、これよりも大きな粒子
も存在し、その粒子が非超電導層である場合には、最終
的に残存する非超電導層の粒子径も大きくなり、臨界電
流密度が低下してしまうからである。
【0035】さらに、本願発明によれば、粉末と被覆金
属の硬度差は4以下とされる。粉末の密度、被覆金属が
合金であるか否か、被覆金属の加工履歴等とも関連する
が、硬度差と強度差は等価な関係にあり、硬度差が小さ
いほど押出比を大きくしても不均一変形を起こしにくい
からである。
【0036】また、本願発明によれば、被覆金属が銀ま
たは銀合金とされる。銀または銀合金は、粉末と反応し
ないため、臨界電流密度を高く維持できるからである。
また、合金化により粉末との硬度差(強度差)を任意に
制御できるとともに、マトリクス全体、最外周のみ、フ
ィラメント周りのみなど、合金を断面内の任意の場所に
配置することが可能だからである。
【0037】
【実施例】
(実施例1)はじめに、室温における静水圧押出しの際
の押出比と臨界電流密度との関係について調べた実験結
果を示す。
【0038】まず、Bi23 、PbO、SrCO2
CaCO2 、およびCuOを原料粉末として、Bi:P
b:Sr:Ca:Cu=1.80:0.40:2.0
1:2.21:3.02の組成となるようにこれらの原
料の粉末を配合した。次に、この混合粉末を、700℃
で12時間および800℃で8時間の熱処理を行なった
後、850℃で4時間の熱処理を行なった。それぞれの
熱処理の後、粉末をボールミルにより粉砕した。このと
き、ボールミルによる粉砕時間を調整することにより、
種々の粒径の粉末を得た。この粉末を、大気中800℃
で15分間の加熱処理により脱気した後、平均粒径を測
定したところ、平均粒度が0.8μm、1μm、2μm
および3μmの4種の粉末を得た。
【0039】次に、前記4種の粉末をそれぞれ外径24
mm、厚さ2mmの銀パイプに充填し、溝を設けた銀製
冶具で蓋をした後、2×10-5Torrで10時間真空
引きした後、両端を電子ビーム溶接した。直径6.54
mmに伸線加工した後、対辺の長さが5.50mmの正
六角形状のダイスで伸線加工し、銀被覆された酸化物超
電導素線を作製した。
【0040】このようにして得られたそれぞれの超電導
素線61本を、外径68mm、内径57mm、長さ27
0mmの銀容器に充填し、蓋をした。
【0041】図6に、この銀容器の断面図を示す。な
お、図6には、この銀容器の寸法(単位はmm)を示
す。
【0042】次に、超電導素線が充填された銀容器を、
2×10-5Torrで10時間真空引きした後、両端を
電子ビーム溶接し、多芯ビレットを作製した。
【0043】このようにして、銀ビレット6本を作製
し、押出し力が400トンの静水圧押出し機を用いて、
室温で表1〜表4に示すように6通りの直径に押出し
た。表1〜表4に、算出した押出比を併わせて示す。全
試料ともに、伸直度は5mm/m以下で、外観の異常も
なく良好に押出すことができた。
【0044】なお、伸直度とは、図7を参照して、試料
の最大変位を長さで割った値、すなわち、Xmax /Lで
ある。
【0045】また、全試料の横断面について、個々の超
電導体フィラメントの断面積を画像処理により測定し、
フィラメント断面積の偏差を平均フィラメント断面積で
割った値(以下、「相対偏差」という)を算出した。そ
の結果を表1〜表4に併わせて示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】図2は、試料番号4の押出し後の多芯ビレ
ットの横断面を示す断面図である。
【0051】また、図3は、図2に示す試料番号4の押
出し後の多芯ビレットを長手方向に沿って4分の1に切
ったときの断面を示す図であり、図の上端は多芯ビレッ
トの中心部であり、図の下端は多芯ビレットの外周部で
ある。
【0052】図2を参照して、この押出し後の多芯ビレ
ットにおいては、銀1中に埋込まれた超電導体フィラメ
ント2は、六角形状の断面を維持したまま、規則正しく
配置されていることがわかる。
【0053】また、図3を参照して、この多芯ビレット
においては、長手方向に沿って銀1中に埋込まれた超電
導体フィラメント2の断面積にばらつきが生じておら
ず、ソーセージングしていないことがわかる。
【0054】一方、図4は、試料番号6の押出し後の多
芯ビレットの横断面を示す図である。
【0055】また、図5は、図4に示す試料番号6の押
出し後の多芯ビレットを長手方向に沿って4分の1に切
ったときの断面を示す図であり、図の上端は多芯ビレッ
トの中心部であり、図の下端は多芯ビレットの外周部で
ある。
【0056】図4を参照して、この押出し後の多芯ビレ
ットにおいては、銀1中に埋込まれた超電導体フィラメ
ント2は、六角形状の断面がくずれ、各フィラメントの
断面積にばらつきが生じていることがわかる。
【0057】また、図5を参照して、この多芯ビレット
においては、長手方向に沿って銀1中に埋込まれた超電
導体フィラメント2の断面積にばらつきが生じており、
ソーセージングしていることがわかる。
【0058】次に、上述の段階までで得られた押出し後
の多芯ビレットについて、大気中、800℃で10時間
の熱処理を施して、超電導素線の銀と銀ビレットとを拡
散接合させた。その後、1回の断面減少率約20.7%
で直径1.02mmまで伸線加工を実施した。その際、
途中断線することはなく、加工性は良好であった。
【0059】続いて、伸線された線材を、1回の平ロー
ル圧延作業で0.255mm厚さのテープ状に加工した
後、大気中、845℃で50時間の熱処理を実施した。
その後、さらに1回の平ロール圧延作業で0.222m
m厚さのテープ状に加工した。テープ状線材の幅は、
2.70mmであった。その後、大気中、840℃で5
0時間の熱処理を実施した後、液体窒素に浸漬した状態
で全長の臨界電流を測定するとともに、得られた試料を
エポキシ樹脂に埋込んで超電導体の断面積を画像処理に
より測定し、超電導線材の臨界電流密度Jc(比抵抗1
-13 Ω・m定義)を算出した。このようにして算出さ
れた臨界電流密度Jcの値を、表1〜表4に示す。
【0060】以上の実験により得られた、超電導体粉末
の各平均粒径における押出比と臨界電流密度との関係
を、図1に示す。図1において、横軸は静水圧押出しの
際の押出比を示し、縦軸は得られた超電導線材の臨界電
流密度Jc(104 A/cm2)を示している。
【0061】図1より明らかなように、平均粒径が小さ
くなるに従い、臨界電流密度Jcがピークをとる押出比
の値が高押出比側にシフトし、押出し後の伸線工程が簡
素化されることがわかる。特に、平均粒径が1μm以下
になると、押出比の増加に対する臨界電流密度の増加傾
向が大きくなり、簡素な工程で特性の優れた酸化物超電
導線材が得られることがわかる。
【0062】以上の実験により、室温における押出比と
臨界電流密度との関係が明らかとなったが、さらに、室
温以外の温度での実験結果を、以下に示す。
【0063】(実施例2)Bi23 、PbO、SrC
3 、CaCO3 、CuOを用いて、Bi:Pb:S
r:Ca:Cu:O=1.8:0.4:2:2:3の組
成比の粉末を混合した。この粉末を、700℃で12時
間および800℃で8時間熱処理を行なった後、850
℃で8時間の熱処理を行なった。それぞれの熱処理の
後、粉末をボールミルで粉砕した。この粉末を、800
℃で15分間の加熱処理により脱気することにより、充
填粉末を調整した。また、ボールミルの粉砕時間を変化
させることにより、粉末の粒度を調整した。
【0064】次に、前記粉末を銀パイプに充填し、溝を
設けた銀製冶具で蓋をした後、2×10-5Torrで1
0時間真空引きした後、電子ビーム溶接し、対辺の長さ
が5.5mmの正六角形形状に伸線加工し、銀被覆され
た酸化物超電導素線を作製した。素線中に含まれる粉末
の相対密度は、充填するパイプサイズを変え、伸線加工
度により調整した。このようにして得られた超電導素線
61本を、外径68mm、内径57mm、長さ270m
mの銀容器に充填し、蓋をした。
【0065】次に、超電導素線が銀被覆された銀容器
を、2×10-5Torrで10時間真空引きした後、電
子ビーム溶接し、多芯ビレットを作製した。
【0066】このビレットを、表5に示す条件で静水圧
押出しし、全試料のフィラメント断面積の相対偏差を測
定した。結果を表5に示す。
【0067】
【表5】
【0068】また、押出し材を直径1.15mmまで伸
線し、圧延により厚さ0.24mmまで加工した後、大
気中で840℃、50時間の熱処理を施した後、液体窒
素に浸漬した状態で100m長臨界電流を測定し、試料
のフィラメント部の断面積を測定して臨界電流密度を算
出した。結果を表6に示す。
【0069】
【表6】
【0070】(実施例3)実施例2で作製した平均粒径
3μmの粉末を用い、直径24mm、肉厚2mmのAg
−10%Au合金パイプに粉末を充填して、実施例2と
同様の多芯ビレットを作製した。このとき、多芯のため
の容器もAg−10%Au合金を用いた。このとき、金
属部と粉末部の硬度差は、金属部:粉末部=1:2であ
った。なお、このときのビッカース硬度は、金属部で9
0kg/mm2 ,粉末部で180kg/mm2 であっ
た。
【0071】この多芯ビレットを、ダイス角60°、押
出し温度100℃、押出比15の条件で静水圧押出しし
たところ、フィラメントの相対偏差は5%であった。さ
らに、押出し材を実施例2と同じ条件で伸線、圧延した
ところ、無断線で割れもなく、加工性は良好であった。
また、臨界電流密度も、33,000A/cm2 と高い
値が得られた。
【0072】なお、以上の実施例に関する開示は、本発
明の単なる具体例にすぎず、本発明の技術的範囲を何ら
制限するものではない。すなわち、本発明の適用はビス
マス系酸化物超電導線材の製造に限られるものではな
く、タリウム系およびイットリウム系酸化物超電導線材
の製造に関しても適用できる。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、長尺にわたって特性が均一で高い臨界電流密度を有
する酸化物超電導多芯線材を、効率よく製造することが
できる。
【0074】したがって、この発明によって得られた酸
化物超電導線材は、電力ケーブル、マグネット、ブスバ
ーおよび電流リード等に有利に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】超電導体粉末の各平均粒径における押出比と臨
界電流密度との関係を示す図である。
【図2】この発明の一実施例による多芯ビレットの横断
面を示す図である。
【図3】図2に示す多芯ビレットを長手方向に沿って4
分の1に切ったときの断面を示す図である。
【図4】この発明の他の実施例による多芯ビレットの横
断面を示す図である。
【図5】図4に示す多芯ビレットを長手方向に沿って4
分の1に切ったときの断面を示す図である。
【図6】この発明の一実施例において用いられる銀容器
を示す断面図である。
【図7】伸直度を説明するための図である。
【符号の説明】
1 銀 2 超電導体フィラメント なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 謙一 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物超電導体からなる複数本のフィラ
    メントが、金属からなるマトリクス中に埋め込まれてな
    る多芯酸化物超電導線材であって、 前記フィラメントの断面積の相対偏差が、平均断面積の
    50%以下であることを特徴とする、酸化物超電導線
    材。
  2. 【請求項2】 酸化物超電導体またはその原料の粉末が
    金属被覆されてなる素線を、複数本金属容器に充填して
    多芯ビレットを作製し、この多芯ビレットに塑性加工を
    施して線材を得、得られた線材を熱処理して、酸化物超
    電導体からなる複数本のフィラメントが金属からなるマ
    トリクス中に埋め込まれてなる多芯酸化物超電導線材を
    製造する方法において、 前記塑性加工が静水圧押出しを備え、 かつ、前記静水圧押出しにおいて前記フィラメントのソ
    ーセージングの発生を抑制することを特徴とする、酸化
    物超電導線材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記フィラメントのソーセージングの発
    生を抑制することは、前記静水圧押出し後のフィラメン
    トの断面積の相対偏差を、平均断面積の50%以下にす
    ることである、請求項2記載の酸化物超電導線材の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記フィラメントのソーセージングの発
    生の抑制は、 前記静水圧押出しの際のダイス角、 前記静水圧押出しの際の温度、 前記静水圧押出しの際の押出比、 前記素線中に含まれる前記粉末の相対密度、 前記粉末の粒径、および、 前記粉末と前記被覆金属との硬度比からなる群から選ば
    れる少なくとも1つの条件を調整することにより行な
    う、請求項2または請求項3記載の酸化物超電導線材の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記静水圧押出しの際のダイス角の調整
    は、 前記ダイス角を全角で30°以上90°以下にすること
    を特徴とする、請求項4記載の酸化物超電導線材の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記静水圧押出しの際の温度の調整は、 ビレット加熱温度を600℃以下にすることを特徴とす
    る、請求項4または請求項5記載の酸化物超電導線材の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記静水圧押出しの際の押出比の調整
    は、 前記押出比を5以上20以下にすることを特徴とする、
    請求項4〜請求項6のいずれかに記載の酸化物超電導線
    材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記素線中に含まれる前記粉末の相対密
    度の調整は、 前記相対密度を40%以上95%以下にすることを特徴
    とする、請求項4〜請求項7のいずれかに記載の酸化物
    超電導線材の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記粉末の粒径の調整は、 前記粒径の平均を4μm以下にすることを特徴とする、
    請求項4〜請求項8のいずれかに記載の酸化物超電導線
    材の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記粉末と前記被覆金属との硬度比の
    調整は、 前記硬度比を4以下にすることを特徴とする、請求項4
    〜請求項9のいずれかに記載の酸化物超電導線材の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 前記酸化物超電導体粉末を被覆する金
    属は、銀または銀合金であることを特徴とする、請求項
    2〜請求項10のいずれかに記載の酸化物超電導線材の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 前記酸化物超電導素線を充填する金属
    容器は、金または銀合金であることを特徴とする、請求
    項2〜請求項11のいずれかに記載の酸化物超電導線材
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記フィラメントのソーセージングの
    発生の抑制は、 前記静水圧押出しの際の押出比を5以上7以下にし、 かつ、前記粉末の粒径の平均を1μm以下にすることに
    より行なう、請求項2記載の酸化物超電導線材の製造方
    法。
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