JPH07245438A - 一対の反射鏡とこれ等反射鏡を用いた共振器及びこの共振器が組込まれた波長可変レーザ装置 - Google Patents

一対の反射鏡とこれ等反射鏡を用いた共振器及びこの共振器が組込まれた波長可変レーザ装置

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JPH07245438A
JPH07245438A JP3553794A JP3553794A JPH07245438A JP H07245438 A JPH07245438 A JP H07245438A JP 3553794 A JP3553794 A JP 3553794A JP 3553794 A JP3553794 A JP 3553794A JP H07245438 A JPH07245438 A JP H07245438A
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optical thin
thin film
reflecting mirror
optical
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JP3553794A
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Hideharu Ogami
秀晴 大上
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】光学薄膜の膜層数を多く設定しなくてもアイド
ラ光とシグナル光とを共に共振させることが可能な一対
の反射鏡と共振器及びこの共振器が組込まれた波長可変
レーザ装置を提供すること。 【構成】 入力側反射鏡3と出力側反射鏡4の透明基板
の両面に光学薄膜31、32、41、42を設け、各反射鏡の非
対向側に設けられた光学薄膜31、41によりアイドラ光又
はシグナル光の一方の光を共振させるような膜設定を行
うと共に、各反射鏡の対向側に設けられた光学薄膜32、
42により他方の光を共振させるように膜設定したことを
特徴とする。そして、基板の片面側にのみ設けられた光
学薄膜によりシグナル光とアイドラ光を共振させる従来
の方式に較べて光学薄膜の膜層数を低減でき、製膜時に
おける光学薄膜のクラック現象を回避できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、入射されたポンプ光を
シグナル光とアイドラ光に変換させる光パラメトリック
発振による波長可変レーザ装置に係り、特に、この波長
可変レーザ装置に組込まれ上記シグナル光とアイドラ光
とを共に共振させる一対の反射鏡、これ等反射鏡を用い
た共振器、及び、この共振器が組込まれた波長可変レー
ザ装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、盛んに研究が進められている光パ
ラメトリック発振(以下、OPOという。OPO:Opti
cal Parametric Oscillation)によるレーザ波長変換
は、アイセーフレーザ(波長:1.4〜1.8μm)、
分光学的化学分析用近赤外域波長可変レーザ等を可能に
する。
【0003】以下、OPO波長可変レーザ装置の概略構
成図を用いてOPOによる波長変換について簡単に説明
する。
【0004】まず、この波長可変レーザ装置は、例え
ば、図11に示すように波長λpのポンプ光pを出力す
るポンプ光源aと、KTiOPO4あるいはRbTiO
PO4等の非線形光学結晶で構成されその結晶のY軸を
中心にして回転可能(図11の矢印f方向)に配置され
た波長変換素子bと、この波長変換素子bを中心にして
そのポンプ光源側とその反対側に各々配置され共振器を
構成する一対の反射鏡c、dとを備え、上記ポンプ光源
aから波長λpで偏光方向がY軸方向のポンプ光pを波
長変換素子bに入射すると、波長λiで偏光方向がZ軸
方向のアイドラ光iと、波長λsで偏光方向がY軸方向
のシグナル光sとを発振するものである。
【0005】尚、図11は、上記OPO波長可変レーザ
装置を上方よりながめた装置の概略構成図である。ま
た、図11中、ポンプ光p、シグナル光s、及び、アイ
ドラ光iを示す黒二重丸と矢印は各光の偏光方向を意味
している。また、シグナル光とアイドラ光については、
波長の短い方をシグナル光、波長の長い方をアイドラ光
と一般に称している。また、ポンプ光、シグナル光、及
び、アイドラ光の関係は、エネルギ保存の法則から下記
数式(1)で表すことができる。
【0006】
【数1】 そして、このOPO波長可変レーザ装置においては上記
波長変換素子bをY軸を中心にして矢印fで示す方向へ
回転させると、これに対応して波長変換素子bに対する
ポンプ光pの入射角が変化するため、上記シグナル光s
とアイドラ光iの波長λs、波長λiを連続的に変化させ
ることが可能となる。例えば、波長1.06μmのN
d:YAGレーザを用い、かつ、波長変換素子bにKT
iOPO4(以下、KTPと称する)を適用した場合、
ポンプ光が波長変換素子bに有効に入射される範囲内で
波長変換素子bを回転させると、アイドラ光とシグナル
光の波長は概ね1.6〜3.2μmの範囲で変化する。
【0007】ところで、上記OPO波長可変レーザ装置
においてはアイドラ光とシグナル光の一方若しくは双方
を出力光として得るため、従来より共振器を構成する一
対の反射鏡c、dの対向面に高反射率の光学薄膜c1、d1
が設けられている。例えば、出力光としてシグナル光と
アイドラ光の双方を得る場合、ポンプ光源a側に配置さ
れる入力側反射鏡cにおいては光学的透明基板の片面に
その反射率がアイドラ光とシグナル光の双方に対し98
%以上となるよう屈折率が相違する2種類の物質を交互
に膜状に積層して光学薄膜c1を形成し、また、ポンプ光
源aとは反対側に配置される出力側反射鏡dにおいては
光学的透明基板の片面にその反射率がアイドラ光とシグ
ナル光の双方に対し60%〜90%となるよう屈折率が
相違する2種類の物質を交互に膜状に積層して光学薄膜
d1を形成している。また、共振器内に配置される上記波
長変換素子bの両面にはアイドラ光やシグナル光等に対
する反射防止膜b1、b2が設けられ、この反射防止膜b1、
b2により反射に伴うレーザ出力低下の防止をも図られて
いる。
【0008】そして、ポンプ光源aに波長1.06μm
のNd:YAGレーザ、波長変換素子bにKTP、各反
射鏡c、dの光学的透明基板に屈折率1.73のサファ
イヤ基板を適用し、かつ、上記光学薄膜材料に屈折率
1.41のSiO2 層と屈折率1.92のTa25層を
用いると共に、位相整合アングル(ポンプ光、アイドラ
光、シグナル光が位相整合するための角度で、波長変換
素子を構成する非線形光学結晶のZ軸からの角度)θ=
60度〜70度の範囲で、波長約2.5〜3μmのアイ
ドラ光と波長約1.6〜1.9μmのシグナル光を共振
させる場合、常法に従い下記数式(2)〜(4)により
求められる各光学薄膜の必要層数は、サファイヤ基板上
にSiO2 層を設けその上に第二層としてTa25層を
設け以下交互に各層を繰返し積層する例において上記入
力側反射鏡cの光学薄膜c1が81層(以下の表1〜2に
各層の具体的内容を示す)、また、出力側反射鏡dの光
学薄膜d1が29層(以下の表3に各層の具体的内容を示
す)となる。
【0009】
【数2】
【数3】
【数4】 但し、nrはr番目の層の屈折率、drはその物理的膜
厚、noは空気(媒質)の屈折率、nsは光学的透明基板
の屈折率である。また、上記必要層数の計算は、各層の
光学的膜厚nd(n:屈折率、d:物理的膜厚)を徐々
に変化させたり、膜層数を増減させたりして希望の反射
率特性になるような膜層数と各層の膜厚をパーソナルコ
ンピュータを用いてシンプレックス法により求めてい
る。また、各光学薄膜c1、d1の計算に際しては、ポンプ
光が反射しないよう波長1.06μmの反射率が低くな
るように留意している。また、上記数式(2)〜(4)
は波長λのレーザ光が垂直入射した場合を仮定してい
る。尚、図12はこのようにして求められた光学薄膜c1
の計算による分光反射率特性を示し、また、図13は光
学薄膜d1の計算による分光反射率特性を示している。
【0010】
【表1】
【表2】
【表3】
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、基板上に設
けられる積層膜の層数が40層を越えた場合、積層膜は
膜自身の内部応力によりクラックが発生し易くなるた
め、上述したようにその膜層数が81層となる上記光学
薄膜c1は現実的に適用が困難な薄膜であった。
【0012】このため、従来のOPO波長可変レーザ装
置においては、アイドラ光とシグナル光の共振器を1組
の反射鏡で構成する構造に代えて、波長領域が2.5〜
3μmのアイドラ光のみを共振させる一対の反射鏡と、
波長領域が1.6〜1.9μmのシグナル光のみを共振
させるもう一対の反射鏡を別々に2組用意し、これ等2
組の反射鏡が適宜交換部材を介して交互に交換可能に組
込める構造を採っている。すなわち、アイドラ光とシグ
ナル光の一方のみを共振させる一対の反射鏡においては
その光学薄膜の膜層数を少なく設定できるからである。
【0013】しかし、このような構造の波長可変レーザ
装置では出力させる光を代える度に反射鏡の組換え操作
が必要となり、かつ、装置の構成部材として上記交換部
材が必要になるため、近年、強く要求されているレーザ
装置の小型化、製造コストの低減化に対応できなくなる
問題点があった。
【0014】本発明はこのような問題点に着目してなさ
れたもので、その課題とするところは、レーザ装置の小
型化、製造コストの低減化に対応できる波長可変レーザ
装置用の共振器を提供することにあり、より具体的に
は、アイドラ光とシグナル光とを共振させ得る一対の反
射鏡とこれを用いた共振器並びにこの共振器が組込まれ
た波長可変レーザ装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に係
る発明は、非線形光学結晶から成りその結晶のY軸を中
心にして回転可能に設けられると共に入射されたポンプ
光をシグナル光とアイドラ光に変換させる波長変換素子
を中心にしてそのポンプ光源側とその反対側に各々配置
され、上記シグナル光とアイドラ光の共振器を構成する
波長可変レーザ装置用の一対の反射鏡を前提とし、ポン
プ光源側に配置される入力側反射鏡が、光学的透明基板
と、この基板のポンプ光入射面に設けられ上記シグナル
光とアイドラ光の一方の光に対して高反射機能を有する
非対向側光学薄膜と、この基板の反対面に設けられ上記
一方の光に対して反射防止機能を有すると共に他方の光
に対して高反射機能を有する対向側光学薄膜とで構成さ
れ、かつ、ポンプ光源とは反対側に配置される出力側反
射鏡が、光学的透明基板と、この基板の上記入力側反射
鏡との対向面に設けられ上記一方の光に対して反射防止
機能を有すると共に上記他方の光に対して高反射機能を
有する対向側光学薄膜と、この基板の反対面に設けられ
上記一方の光に対して高反射機能を有すると共に上記他
方の光に対して反射防止機能を有する非対向側光学薄膜
とで構成されることを特徴とするものである。
【0016】そして、請求項1記載の発明に係る一対の
反射鏡においては、入力側反射鏡と出力側反射鏡の各光
学的透明基板の両面に光学薄膜を設け、かつ、上記入力
側反射鏡における非対向側光学薄膜の高反射機能と出力
側反射鏡における非対向側光学薄膜の高反射機能を利用
してシグナル光とアイドラ光の一方の光のみを共振させ
ると共に、入力側反射鏡における対向側光学薄膜の高反
射機能と出力側反射鏡における対向側光学薄膜の高反射
機能とで上記シグナル光とアイドラ光の他方の光のみを
共振させているため、1組の反射鏡でシグナル光とアイ
ドラ光双方の共振器を構成させているにも拘らず各光学
薄膜の膜層数を低減させることが可能となる。
【0017】尚、上記入力側反射鏡の対向側光学薄膜と
出力側反射鏡の対向側光学薄膜によりシグナル光とアイ
ドラ光の上記一方の光が反射された場合、入力側反射鏡
の非対向側光学薄膜と出力側反射鏡の非対向側光学薄膜
により上記一方の光を共振させることが困難になるた
め、上記入力側反射鏡の対向側光学薄膜と出力側反射鏡
の対向側光学薄膜については上記一方の光に対して反射
防止機能を具備させることを要する。また、上記入力側
反射鏡の対向側光学薄膜と出力側反射鏡の対向側光学薄
膜により共振された上記他方の光が出力側反射鏡の非対
向側光学薄膜により反射された場合、上記他方の光が出
力光として利用できなくなるため、上記出力側反射鏡の
非対向側光学薄膜については上記他方の光に対して反射
防止機能を具備させることを要する。
【0018】ここで、請求項1に係る発明においては、
図7(A)に示すように入力側反射鏡3の対向側光学薄
膜32と出力側反射鏡4の対向側光学薄膜42とでシグ
ナル光sを共振させかつ入力側反射鏡3の非対向側光学
薄膜31と出力側反射鏡4の非対向側光学薄膜41とで
アイドラ光iを共振させる構成を採ってもよいし、図7
(B)に示すように入力側反射鏡3の対向側光学薄膜3
2と出力側反射鏡4の対向側光学薄膜42とでアイドラ
光iを共振させかつ入力側反射鏡3の非対向側光学薄膜
31と出力側反射鏡4の非対向側光学薄膜41とでシグ
ナル光sを共振させる構成を採ってもよい。しかし、請
求項1に係る発明と同様の効果を得るためには、図8
(A)に示すように入力側反射鏡3の対向側光学薄膜3
2と出力側反射鏡4の非対向側光学薄膜41とでシグナ
ル光sを共振させかつ入力側反射鏡3の非対向側光学薄
膜31と出力側反射鏡4の対向側光学薄膜42とでアイ
ドラ光iを共振させる構成を採ることも可能であり、図
8(B)に示すように入力側反射鏡3の対向側光学薄膜
32と出力側反射鏡4の非対向側光学薄膜41とでアイ
ドラ光iを共振させかつ入力側反射鏡3の非対向側光学
薄膜31と出力側反射鏡4の対向側光学薄膜42とでシ
グナル光sを共振させる構成を採ることも可能である。
請求項2に係る発明はこのような技術的理由によりなさ
れている。
【0019】すなわち、請求項2に係る発明は、非線形
光学結晶から成りその結晶のY軸を中心にして回転可能
に設けられると共に入射されたポンプ光をシグナル光と
アイドラ光に変換させる波長変換素子を中心にしてその
ポンプ光源側とその反対側に各々配置され、上記シグナ
ル光とアイドラ光の共振器を構成する波長可変レーザ装
置用の一対の反射鏡を前提とし、ポンプ光源側に配置さ
れる入力側反射鏡が、光学的透明基板と、この基板のポ
ンプ光入射面に設けられ上記シグナル光とアイドラ光の
一方の光に対して高反射機能を有する非対向側光学薄膜
と、この基板の反対面に設けられ上記一方の光に対して
反射防止機能を有すると共に他方の光に対して高反射機
能を有する対向側光学薄膜とで構成され、かつ、ポンプ
光源とは反対側に配置される出力側反射鏡が、光学的透
明基板と、この基板の上記入力側反射鏡との対向面に設
けられ上記他方の光に対して反射防止機能を有すると共
に上記一方の光に対して高反射機能を有する対向側光学
薄膜と、この基板の反対面に設けられ上記他方の光に対
して高反射機能を有すると共に上記一方の光に対して反
射防止機能を有する非対向側光学薄膜とで構成されるこ
とを特徴とするものである。
【0020】そして、請求項2記載の発明に係る一対の
反射鏡においても、入力側反射鏡と出力側反射鏡の各光
学的透明基板の両面に光学薄膜を設け、かつ、上記入力
側反射鏡における非対向側光学薄膜の高反射機能と出力
側反射鏡における対向側光学薄膜の高反射機能を利用し
てシグナル光とアイドラ光の一方の光のみを共振させる
と共に、入力側反射鏡における対向側光学薄膜の高反射
機能と出力側反射鏡における非対向側光学薄膜の高反射
機能とで上記シグナル光とアイドラ光の他方の光のみを
共振させているため、請求項1に係る発明と同様に、1
組の反射鏡でシグナル光とアイドラ光双方の共振器を構
成させているにも拘らず各光学薄膜の膜層数を低減させ
ることが可能となる。
【0021】尚、上記入力側反射鏡の対向側光学薄膜に
よりシグナル光とアイドラ光の上記一方の光が反射され
た場合、入力側反射鏡の非対向側光学薄膜と出力側反射
鏡の対向側光学薄膜により上記一方の光を共振させるこ
とが困難になるため、上記入力側反射鏡の対向側光学薄
膜については一方の光に対して反射防止機能を具備させ
ることを要する。同様に、出力側反射鏡の対向側光学薄
膜によりシグナル光とアイドラ光の上記他方の光が反射
された場合、入力側反射鏡の対向側光学薄膜と出力側反
射鏡の非対向側光学薄膜により上記他方の光を共振させ
ることが困難になるため、上記出力側反射鏡の対向側光
学薄膜については他方の光に対して反射防止機能を具備
させることを要する。また、上記入力側反射鏡の非対向
側光学薄膜と出力側反射鏡の対向側光学薄膜により共振
された上記一方の光が出力側反射鏡の非対向側光学薄膜
により反射された場合、上記一方の光が出力光として利
用できなくなるため、上記出力側反射鏡の非対向側光学
薄膜については上記一方の光に対して反射防止機能を具
備させることを要する。
【0022】ここで、上記図8(A)において示された
一対の反射鏡3、4は、図7(A)における反射鏡3と
図7(B)における反射鏡4を組合わせたものであり、
また、図8(B)において示された一対の反射鏡3、4
は、図7(B)における反射鏡3と図7(A)における
反射鏡4を組合わせたものである。
【0023】次に、各光学的透明基板の両面に設けられ
る非対向側光学薄膜と対向側光学薄膜については、通
常、低屈折率の光学的透明体と高屈折率の光学的透明体
とを膜状に交互に積層して形成する。その際、必要とす
る積層数や膜厚については前記数式(2)〜(4)を用
いてコンピュータにより算出する。そして、得られた結
果に従い、例えば、電子ビーム真空蒸着法、スパッタリ
ング法等の適宜製膜手段により膜形成を行う。膜形成の
際、蒸着等の製膜速度、光学的透明基板の加熱温度、導
入酸素分圧等は積層膜の膜内応力値を変えるので、蒸着
等の製膜条件を選定し各積層膜の内部応力を弱くする
か、あるいは総合的に応力が打消されるように適宜調整
する。そして、上記低屈折率の光学的透明体と高屈折率
の光学的透明体として、例えば、SiO2 とTa25
適用された場合には、膜形成後、常法に従い酸素あるい
は大気中で10〜20時間、200〜300℃の条件で
アニーリング処理を行う。このアニーリング処理は、蒸
着直後における光学薄膜の茶色の着色を無色にするため
の処理である。尚、光学薄膜の茶色の着色は、製膜時に
おけるTa25層の酸素不足により発生したものであ
る。
【0024】ここで、図9(A)に示すように光学的透
明基板10の表裏に光学薄膜11、12を形成すると
き、一方の面に蒸着した後、真空から大気に戻し膜材料
をセットし直してから再度、加熱しながら真空引きを行
うと、膜材料、蒸着条件、基板加熱温度によっては初め
に蒸着した光学薄膜にクラックが発生する場合がある。
このような場合には反射鏡を1枚の光学的透明基板で構
成する方法に変えて、図9(B)に示すように光学接着
剤50を介し貼合わされた2枚の透明基板51、52で
これを構成させることにより回避することが可能とな
る。請求項3に係る発明はこのような技術的理由により
なされている。
【0025】すなわち、請求項3に係る発明は、請求項
1又は2記載の発明に係る一対の反射鏡を前提とし、入
力側反射鏡及び出力側反射鏡が、片面に非対向側光学薄
膜が設けられた光学的第一透明基板と、片面に対向側光
学薄膜が設けられた光学的第二透明基板と、これ等透明
基板とその屈折率が等しく各透明基板の反対面同士を貼
合わせる光学接着剤とを備えることを特徴とするもので
ある。
【0026】そして、この請求項3記載の発明に係る一
対の反射鏡によれば、上記非対向側光学薄膜と対向側光
学薄膜とがそれぞれ別個の基板である光学的第一透明基
板と光学的第二透明基板に別々に形成された構造を有し
ており、それぞれの光学薄膜が別々に製膜された光学的
第一透明基板と光学的第二透明基板とを光学接着剤を介
して貼合わせることにより上記入力側反射鏡と出力側反
射鏡を製造できるため、1枚の光学的透明基板の両面に
光学薄膜を製膜する場合に発生し易い光学薄膜のクラッ
ク現象を回避することが可能となる。
【0027】尚、請求項3に係る発明において光学的第
一透明基板と光学的第二透明基板とを貼合わせる光学接
着剤の屈折率は上記各透明基板の屈折率と等しいことが
前提となる。この屈折率が相違すると各透明基板と光学
接着剤との界面においてアイドラ光及びシグナル光の反
射が生じてしまうからである。このような場合には、図
9(C)に示すように各透明基板51、52と光学接着
剤50との界面に、この光学接着剤の屈折率に対する反
射防止膜61、62を設けることにより回避することが
可能となる。請求項4に係る発明はこのような技術的理
由よりなされている。
【0028】すなわち、請求項4に係る発明は、請求項
1又は2記載の発明に係る一対の反射鏡を前提とし、入
力側反射鏡及び出力側反射鏡が、片面に非対向側光学薄
膜が設けられた光学的第一透明基板と、片面に対向側光
学薄膜が設けられた光学的第二透明基板と、これ等透明
基板とその屈折率が異なり各透明基板の反対面同士を貼
合わせる光学接着剤とを備え、かつ、各透明基板の貼合
わせ面に上記光学接着剤の屈折率に対する反射防止膜が
各々設けられていることを特徴とするものである。
【0029】ここで、請求項1〜4に係る発明において
上記透明基板が平面ではない場合、各反射鏡の外側(す
なわち非対向側)の面と内側(すなわち対向側)の面で
は共振器長が異なることを考慮して反射鏡の外側の面と
内側の面の曲率半径を変えてもよい。
【0030】次に、請求項5と請求項6に係る発明は、
請求項1〜4記載の発明に係る一対の反射鏡により構成
された共振器とこの共振器が組込まれた波長可変レーザ
装置の発明に関する。
【0031】すなわち、請求項5に係る発明は、非線形
光学結晶から成りその結晶のY軸を中心にして回転可能
に設けられると共に入射されたポンプ光をシグナル光と
アイドラ光に変換させる波長変換素子を中心にしてその
ポンプ光源側とその反対側に各々配置された一対の反射
鏡により構成される波長可変レーザ装置用の共振器を前
提とし、上記一対の反射鏡として請求項1、2、3又は
4記載の一対の反射鏡が組込まれていることを特徴とす
るものであり、請求項6に係る発明は、ポンプ光源と、
非線形光学結晶から成りその結晶のY軸を中心にして回
転可能に設けられると共に入射されたポンプ光をシグナ
ル光とアイドラ光に変換させる波長変換素子と、この波
長変換素子を中心にしてそのポンプ光源側とその反対側
に各々配置された一対の反射鏡により構成される共振器
とを備える波長可変レーザ装置を前提とし、上記共振器
として請求項5記載の共振器が組込まれていることを特
徴とするものである。
【0032】尚、請求項6に係る発明において上記波長
変換素子を構成する非線形光学結晶としては、従来と同
様に、KTiOPO4、RbTiOPO4等が適用され
る。
【0033】
【作用】請求項1記載の発明に係る一対の反射鏡によれ
ば、ポンプ光源側に配置される入力側反射鏡が、光学的
透明基板と、この基板のポンプ光入射面に設けられ上記
シグナル光とアイドラ光の一方の光に対して高反射機能
を有する非対向側光学薄膜と、この基板の反対面に設け
られ上記一方の光に対して反射防止機能を有すると共に
他方の光に対して高反射機能を有する対向側光学薄膜と
で構成され、かつ、ポンプ光源とは反対側に配置される
出力側反射鏡が、光学的透明基板と、この基板の上記入
力側反射鏡との対向面に設けられ上記一方の光に対して
反射防止機能を有すると共に上記他方の光に対して高反
射機能を有する対向側光学薄膜と、この基板の反対面に
設けられ上記一方の光に対して高反射機能を有すると共
に上記他方の光に対して反射防止機能を有する非対向側
光学薄膜とで構成されており、上記入力側反射鏡におけ
る非対向側光学薄膜の高反射機能と出力側反射鏡におけ
る非対向側光学薄膜の高反射機能を利用してシグナル光
とアイドラ光の一方の光のみを共振させると共に、入力
側反射鏡における対向側光学薄膜の高反射機能と出力側
反射鏡における対向側光学薄膜の高反射機能とで上記シ
グナル光とアイドラ光の他方の光のみを共振させている
ため、1組の反射鏡でシグナル光とアイドラ光双方の共
振器を構成させているにも拘らず各光学薄膜の膜層数を
低減させることが可能となる。
【0034】また、請求項2記載の発明に係る一対の反
射鏡によれば、ポンプ光源側に配置される入力側反射鏡
が、光学的透明基板と、この基板のポンプ光入射面に設
けられ上記シグナル光とアイドラ光の一方の光に対して
高反射機能を有する非対向側光学薄膜と、この基板の反
対面に設けられ上記一方の光に対して反射防止機能を有
すると共に他方の光に対して高反射機能を有する対向側
光学薄膜とで構成され、かつ、ポンプ光源とは反対側に
配置される出力側反射鏡が、光学的透明基板と、この基
板の上記入力側反射鏡との対向面に設けられ上記他方の
光に対して反射防止機能を有すると共に上記一方の光に
対して高反射機能を有する対向側光学薄膜と、この基板
の反対面に設けられ上記他方の光に対して高反射機能を
有すると共に上記一方の光に対して反射防止機能を有す
る非対向側光学薄膜とで構成されており、上記入力側反
射鏡における非対向側光学薄膜の高反射機能と出力側反
射鏡における対向側光学薄膜の高反射機能を利用してシ
グナル光とアイドラ光の一方の光のみを共振させると共
に、入力側反射鏡における対向側光学薄膜の高反射機能
と出力側反射鏡における非対向側光学薄膜の高反射機能
とで上記シグナル光とアイドラ光の他方の光のみを共振
させているため、請求項1に係る発明と同様に、1組の
反射鏡でシグナル光とアイドラ光双方の共振器を構成さ
せているにも拘らず各光学薄膜の膜層数を低減させるこ
とが可能となる。
【0035】次に、請求項3記載の発明に係る一対の反
射鏡によれば、入力側反射鏡及び出力側反射鏡が、片面
に非対向側光学薄膜が設けられた光学的第一透明基板
と、片面に対向側光学薄膜が設けられた光学的第二透明
基板と、これ等透明基板とその屈折率が等しく各透明基
板の反対面同士を貼合わせる光学接着剤とを備える構造
を有しており、それぞれの光学薄膜が別々に製膜された
光学的第一透明基板と光学的第二透明基板とを光学接着
剤を介して貼合わせることにより上記入力側反射鏡と出
力側反射鏡を製造できるため、1枚の光学的透明基板の
両面に光学薄膜を製膜する場合に発生し易い光学薄膜の
クラック現象を回避することが可能となる。
【0036】また、請求項4記載の発明に係る一対の反
射鏡によれば、入力側反射鏡及び出力側反射鏡が、片面
に非対向側光学薄膜が設けられた光学的第一透明基板
と、片面に対向側光学薄膜が設けられた光学的第二透明
基板と、これ等透明基板とその屈折率が異なり各透明基
板の反対面同士を貼合わせる光学接着剤とを備え、か
つ、各透明基板の貼合わせ面に上記光学接着剤の屈折率
に対する反射防止膜が各々設けられているため、各透明
基板とその屈折率が異なる光学接着剤を適用しているに
も拘らず上記各透明基板と光学接着剤との界面における
アイドラ光とシグナル光の反射現象を防止することが可
能となる。
【0037】一方、請求項5記載の発明に係る共振器に
よれば、波長変換素子を中心にしてそのポンプ光源側と
その反対側に配置される一対の反射鏡が請求項1、2、
3又は4記載の発明に係る一対の反射鏡で構成されてい
るため、アイドラ光とシグナル光双方の光についてこの
1つの共振器で共振させることが可能となる。
【0038】また、請求項6記載の発明に係る波長可変
レーザ装置によれば、アイドラ光とシグナル光双方の光
に対し1組の反射鏡でこれ等を共振させる請求項5記載
の発明に係る共振器が組込まれているため、レーザ装置
の小型化、製造コストの低減化が図れる。
【0039】
【実施例】それぞれ別の光学的透明基板に対向側光学薄
膜と非対向側光学薄膜を製膜した後、光学接着剤を介し
接着して作製された反射鏡を例に挙げて本発明の実施例
を詳細に説明する。
【0040】まず、ポンプ光源1に波長1.06μmの
Nd:YAGレーザを用い、波長変換素子2としてKT
Pを用いた場合、位相整合アングルθと発生するアイド
ラ光iの波長λiとシグナル光sの波長λsとの関係は図
10に示される(IEEE JOURNAL OF QUANTUM ELECTRONIC
S,VOL.27,NO.5,P.1137,MAY 1991参照)。この図10に
よれば、位相整合アングルθを60〜70度の範囲で変
化させると、波長約2.5〜3μmのアイドラ光iと、
波長約1.6〜1.9μmのシグナル光sが発振するこ
とを示している。そして、この実施例においては上記ア
イドラ光とシグナル光とを共に1つの共振器内で共振さ
せる一対の反射鏡を作製する。
【0041】このためには、各反射鏡3、4の対向面
に、波長約2.5〜3μmのアイドラ光iに対して反射
防止機能を有しかつ波長1.6〜1.9μmのシグナル
光sに対して高反射機能を有する対向側光学薄膜32、
42を形成し、入力側反射鏡3の非対向側面に上記アイ
ドラ光iに対し高反射機能を有する非対向側光学薄膜3
1を形成すると共に、出力側反射鏡4の非対向面に上記
シグナル光sに対し反射防止機能を有しかつ上記アイド
ラ光iに対し高反射機能を有する非対向側光学薄膜41
を形成すればよい(図1並びに図7A参照)。この実施
例においては、入力側反射鏡3に設けられた各光学薄膜
31、32のアイドラ光とシグナル光に対する反射率が
98%以上、出力側反射鏡4に設けられた各光学薄膜4
1、42のアイドラ光とシグナル光に対する反射率が約
90±2%となるものを求める。
【0042】『光学薄膜の設計』そこで、薄膜材料とし
てSiO2 とTa25を適用すると共に光学的透明基板
としてサファイヤ製の平行平板を用い、かつ、各光学薄
膜31〜42が以下の条件を満たすように前記数式
(2)〜(4)に基づきパーソナルコンピュータを用い
てシンプレックス法により各層の光学的膜厚nd(n:
屈折率、d:物理的膜厚)を徐々に変化させたり、膜層
数を増減させたりして膜層数と各層の膜厚を求めた。計
算に際しては各光学薄膜にレーザ光が垂直に入射すると
仮定した。
【0043】 a.入力側反射鏡3の対向側光学薄膜32 波長約1.6〜1.9μmに対する反射率 98%以上 波長約2.5〜3μmに対する反射率 2%以下 b.入力側反射鏡3の非対向側光学薄膜31 波長約2.5〜3μmに対する反射率 98%以上 c.出力側反射鏡4の対向側光学薄膜42 波長約1.6〜1.9μmに対する反射率 90±2% 波長約2.5〜3μmに対する反射率 2%以下 d.出力側反射鏡4の非対向側光学薄膜41 波長約2.5〜3μmに対する反射率 90±2% 波長約1.6〜1.9μmに対する反射率 2%以下 そして、これ等4種類の光学薄膜の膜設計の一例を、表
4(入力側反射鏡3の対向側光学薄膜32)、表5(入
力側反射鏡3の非対向側光学薄膜31)、表6(出力側
反射鏡4の対向側光学薄膜42)、及び、表7(出力側
反射鏡4の非対向側光学薄膜41)にそれぞれ示す。ま
た、上記表4〜表7に示された膜構成における光学薄膜
の分光反射率計算値のグラフ図を図2(入力側反射鏡3
の対向側光学薄膜32)、図3(入力側反射鏡3の非対
向側光学薄膜31)、図4(出力側反射鏡4の対向側光
学薄膜42)、及び、図5(出力側反射鏡4の非対向側
光学薄膜41)にそれぞれ示す。
【0044】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】 『光学薄膜の製膜』次に、上記計算結果に基づき各光学
薄膜を製膜した。製膜には電子ビーム真空蒸着装置を用
い、初めにサファイヤ製の光学的透明基板を300℃ま
で加熱しながら5.0×10-6Torrまで排気した。そし
て、SiO2 蒸着時においてはその蒸着速度が0.7n
m/min.になるように制御した。一方、Ta25
着時には酸素を1.0×10-4Torrに保たれるように導
入し、蒸着速度を0.2nm/min.になるように制
御した。蒸着時の膜厚の制御には光学干渉式膜厚モニタ
ーを、また、蒸着速度の制御には水晶振動式モニターを
用いた。尚、この蒸着条件は製膜される光学薄膜にクラ
ックが発生しないように求めたものである。
【0045】これ等の蒸着条件は、真空蒸着装置の蒸着
源から光学的透明基板までの距離、酸素を導入している
位置、及び、酸素分圧を測定している位置、排気速度な
どにより異なることがあるため絶対的なものではない。
【0046】このようにして上記入力側反射鏡3の一部
を構成する光学的第二透明基板52の一面にaに示され
た光学特性を有する対向側光学薄膜32を製膜した(図
1B参照)後、真空破壊して上記光学的第二透明基板5
2を取出した。次に、上記入力側反射鏡3の一部を構成
する光学的第一透明基板51の一面にbに示された光学
特性を有する非対向側光学薄膜31を製膜(図1B参
照)し、以下、同様の操作を繰返して出力側反射鏡4の
一部を構成する光学的第二透明基板の一面にcで示され
た光学特性を有する対向側光学薄膜42を製膜し、ま
た、光学的第一透明基板の一面にdで示された光学特性
を有する非対向側光学薄膜41をそれぞれ製膜した。
【0047】『光学接着剤による貼合わせ』次に、波長
約2.5〜3μmのレーザ光に対する屈折率1.73の
サファイヤ製の光学的透明基板の貼合わせに、同じ波長
に対する屈折率が1.52と上記光学的透明基板と屈折
率が相違する光学接着剤を用いるため、上記光学的第一
透明基板51と光学的第二透明基板52の貼合わせ面に
反射防止膜61、62を設けた。また、出力側反射鏡4
を構成する光学的第一透明基板と光学的第二透明基板の
貼合わせ面にも同様の反射防止膜を形成した。尚、これ
等反射防止膜にはその一例として屈折率1.58でその
光学的膜厚が0.343λo(λoは設計中心波長で、λ
o=2.0μm)のAl23から成る単一層が適用され
ている。また、この反射防止膜の分光反射率計算値のグ
ラフ図を図6に示す。
【0048】上記反射防止膜を製膜した後、各光学的透
明基板を大気中で20時間、250℃でアニーリング処
理を施した。このアニーリング条件も作製した光学薄膜
により異なることがあるため、適宜最適な条件を選定す
ることが望ましい。
【0049】最後に、入力側反射鏡を構成する光学的第
一透明基板51と光学的第二透明基板52を上記光学接
着剤を介して貼合わせて入力側反射鏡3を作製すると共
に、同様の方法により出力側反射鏡4も作製した。尚、
この光学接着剤の屈折率が光学的透明基板の屈折率と等
しければ各透明基板の貼合わせ面に上記反射防止膜を設
ける必要はない。
【0050】『上記反射鏡が組込まれた波長可変レーザ
装置の評価』次に、このようにして得られた入力側反射
鏡3と出力側反射鏡4を、波長変換素子2としてKTP
が適用された図1(A)の波長可変レーザ装置に組込み
この装置の性能を評価した。
【0051】ポンプ光源1として波長1.06μmのN
d:YAGレーザを用い、KTPから成る波長変換素子
2の位相整合アングルθが60〜70度となる範囲で上
記波長変換素子2を回転させ、波長約2.5〜3μmの
アイドラ光iと波長約1.6〜1.9μmのシグナル光
sとを共振させて出力側反射鏡4から出射されるレーザ
光を分光器により検出した。
【0052】その結果、このレーザ装置で出射されるレ
ーザ光の波長は、従来、複数組の反射鏡を交互に交換す
る構造のレーザ装置から出射されるレーザ光と同様に変
化していることが確認された。また、出射光の強度も従
来のものと遜色ないものであった。
【0053】尚、この実施例においては、入力側反射鏡
3と出力側反射鏡4の対向側光学薄膜と非対向側光学薄
膜を構成する薄膜材料としてSiO2 とTa25が適用
されているが、低屈折率物質としてMgF2 、Ca
2 、AlF2 、Al23等を用い、高屈折率物質とし
てHfF2 、Y23、ZrO2 、HfO2 、TiO2
を用い、かつ、これ等を適宜組合わせて適用してもよ
い。
【0054】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、入力側反
射鏡における非対向側光学薄膜の高反射機能と出力側反
射鏡における非対向側光学薄膜の高反射機能を利用して
シグナル光とアイドラ光の一方の光のみを共振させると
共に、入力側反射鏡における対向側光学薄膜の高反射機
能と出力側反射鏡における対向側光学薄膜の高反射機能
とで上記シグナル光とアイドラ光の他方の光のみを共振
させているため、1組の反射鏡でシグナル光とアイドラ
光双方の共振器を構成させているにも拘らず各光学薄膜
の膜層数を低減できる効果を有している。
【0055】また、請求項2に係る発明によれば、入力
側反射鏡における非対向側光学薄膜の高反射機能と出力
側反射鏡における対向側光学薄膜の高反射機能を利用し
てシグナル光とアイドラ光の一方の光のみを共振させる
と共に、入力側反射鏡における対向側光学薄膜の高反射
機能と出力側反射鏡における非対向側光学薄膜の高反射
機能とで上記シグナル光とアイドラ光の他方の光のみを
共振させているため、請求項1に係る発明と同様に、1
組の反射鏡でシグナル光とアイドラ光双方の共振器を構
成させているにも拘らず各光学薄膜の膜層数を低減でき
る効果を有している。
【0056】次に、請求項3に係る発明によれば、それ
ぞれの光学薄膜が別々に製膜された光学的第一透明基板
と光学的第二透明基板とを光学接着剤を介して貼合わせ
ることにより入力側反射鏡と出力側反射鏡を製造できる
ため、1枚の光学的透明基板の両面に光学薄膜を製膜す
る場合に較べて光学薄膜のクラック現象を回避できる効
果を有している。
【0057】また、請求項4に係る発明によれば、光学
的第一透明基板と光学的第二透明基板との貼合わせ面に
光学接着剤の屈折率に対する反射防止膜が各々設けられ
ているため、各透明基板とその屈折率が異なる光学接着
剤を適用しているにも拘らず各透明基板と光学接着剤と
の界面におけるアイドラ光とシグナル光の反射現象を防
止できる効果を有している。
【0058】一方、請求項5に係る発明によれば、波長
変換素子を中心にしてそのポンプ光源側とその反対側に
配置され共振器を構成する一対の反射鏡が請求項1、
2、3又は4記載の一対の反射鏡から成るため、アイド
ラ光とシグナル光双方の光について上記一対の反射鏡で
共振させることができる効果を有している。
【0059】また、請求項6に係る発明によれば、アイ
ドラ光とシグナル光双方の光に対し1組の反射鏡でこれ
等を共振させる共振器が組込まれているため、レーザ装
置の小型化、製造コストの低減化を図れる効果を有して
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は実施例に係る波長可変レーザ装置
の概略上面図、図1(B)はその入力側反射鏡の拡大断
面図。
【図2】実施例に係る入力側反射鏡の対向側光学薄膜に
おける分光反射率計算値のグラフ図。
【図3】実施例に係る入力側反射鏡の非対向側光学薄膜
における分光反射率計算値のグラフ図。
【図4】実施例に係る出力側反射鏡の対向側光学薄膜に
おける分光反射率計算値のグラフ図。
【図5】実施例に係る出力側反射鏡の非対向側光学薄膜
における分光反射率計算値のグラフ図。
【図6】光学的第一透明基板と光学的第二透明基板の貼
合わせ面に設けられた反射防止膜の分光反射率計算値の
グラフ図。
【図7】図7(A)及び(B)は請求項1に係る一対の
反射鏡の作用説明図。
【図8】図8(A)及び(B)は請求項2に係る一対の
反射鏡の作用説明図。
【図9】図9(A)〜(C)は本発明に係る反射鏡の構
成断面図。
【図10】波長変換素子を構成するKTPの位相整合ア
ングルθとアイドラ光並びにシグナル光の波長との関係
を示すグラフ図。
【図11】従来の波長可変レーザ装置の概略上面図。
【図12】従来例に係る入力側反射鏡の光学薄膜におけ
る分光反射率計算値のグラフ図。
【図13】従来例に係る出力側反射鏡の光学薄膜におけ
る分光反射率計算値のグラフ図。
【符号の説明】
1 ポンプ光源 2 波長変換素子 3 入力側反射鏡 4 出力側反射鏡 31 非対向側光学薄膜 32 対向側光学薄膜 41 非対向側光学薄膜 42 対向側光学薄膜 50 光学接着剤 51 光学的第一透明基板 52 光学的第二透明基板 61 反射防止膜 62 反射防止膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非線形光学結晶から成りその結晶のY軸を
    中心にして回転可能に設けられると共に入射されたポン
    プ光をシグナル光とアイドラ光に変換させる波長変換素
    子を中心にしてそのポンプ光源側とその反対側に各々配
    置され、上記シグナル光とアイドラ光の共振器を構成す
    る波長可変レーザ装置用の一対の反射鏡において、 ポンプ光源側に配置される入力側反射鏡が、光学的透明
    基板と、この基板のポンプ光入射面に設けられ上記シグ
    ナル光とアイドラ光の一方の光に対して高反射機能を有
    する非対向側光学薄膜と、この基板の反対面に設けられ
    上記一方の光に対して反射防止機能を有すると共に他方
    の光に対して高反射機能を有する対向側光学薄膜とで構
    成され、 かつ、ポンプ光源とは反対側に配置される出力側反射鏡
    が、光学的透明基板と、この基板の上記入力側反射鏡と
    の対向面に設けられ上記一方の光に対して反射防止機能
    を有すると共に上記他方の光に対して高反射機能を有す
    る対向側光学薄膜と、この基板の反対面に設けられ上記
    一方の光に対して高反射機能を有すると共に上記他方の
    光に対して反射防止機能を有する非対向側光学薄膜とで
    構成されることを特徴とする一対の反射鏡。
  2. 【請求項2】非線形光学結晶から成りその結晶のY軸を
    中心にして回転可能に設けられると共に入射されたポン
    プ光をシグナル光とアイドラ光に変換させる波長変換素
    子を中心にしてそのポンプ光源側とその反対側に各々配
    置され、上記シグナル光とアイドラ光の共振器を構成す
    る波長可変レーザ装置用の一対の反射鏡において、 ポンプ光源側に配置される入力側反射鏡が、光学的透明
    基板と、この基板のポンプ光入射面に設けられ上記シグ
    ナル光とアイドラ光の一方の光に対して高反射機能を有
    する非対向側光学薄膜と、この基板の反対面に設けられ
    上記一方の光に対して反射防止機能を有すると共に他方
    の光に対して高反射機能を有する対向側光学薄膜とで構
    成され、 かつ、ポンプ光源とは反対側に配置される出力側反射鏡
    が、光学的透明基板と、この基板の上記入力側反射鏡と
    の対向面に設けられ上記他方の光に対して反射防止機能
    を有すると共に上記一方の光に対して高反射機能を有す
    る対向側光学薄膜と、この基板の反対面に設けられ上記
    他方の光に対して高反射機能を有すると共に上記一方の
    光に対して反射防止機能を有する非対向側光学薄膜とで
    構成されることを特徴とする一対の反射鏡。
  3. 【請求項3】上記入力側反射鏡及び出力側反射鏡が、片
    面に非対向側光学薄膜が設けられた光学的第一透明基板
    と、片面に対向側光学薄膜が設けられた光学的第二透明
    基板と、これ等透明基板とその屈折率が等しく各透明基
    板の反対面同士を貼合わせる光学接着剤とを備えること
    を特徴とする請求項1又は2記載の一対の反射鏡。
  4. 【請求項4】上記入力側反射鏡及び出力側反射鏡が、片
    面に非対向側光学薄膜が設けられた光学的第一透明基板
    と、片面に対向側光学薄膜が設けられた光学的第二透明
    基板と、これ等透明基板とその屈折率が異なり各透明基
    板の反対面同士を貼合わせる光学接着剤とを備え、か
    つ、各透明基板の貼合わせ面に上記光学接着剤の屈折率
    に対する反射防止膜が各々設けられていることを特徴と
    する請求項1又は2記載の一対の反射鏡。
  5. 【請求項5】非線形光学結晶から成りその結晶のY軸を
    中心にして回転可能に設けられると共に入射されたポン
    プ光をシグナル光とアイドラ光に変換させる波長変換素
    子を中心にしてそのポンプ光源側とその反対側に各々配
    置された一対の反射鏡により構成される波長可変レーザ
    装置用の共振器において、 上記一対の反射鏡として請求項1、2、3又は4記載の
    一対の反射鏡が組込まれていることを特徴とする共振
    器。
  6. 【請求項6】ポンプ光源と、非線形光学結晶から成りそ
    の結晶のY軸を中心にして回転可能に設けられると共に
    入射されたポンプ光をシグナル光とアイドラ光に変換さ
    せる波長変換素子と、この波長変換素子を中心にしてそ
    のポンプ光源側とその反対側に各々配置された一対の反
    射鏡により構成される共振器とを備える波長可変レーザ
    装置において、 上記共振器として請求項5記載の共振器が組込まれてい
    ることを特徴とする波長可変レーザ装置。
JP3553794A 1994-03-07 1994-03-07 一対の反射鏡とこれ等反射鏡を用いた共振器及びこの共振器が組込まれた波長可変レーザ装置 Pending JPH07245438A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005026792A1 (ja) * 2003-09-09 2005-03-24 Seiko Epson Corporation リフレクタ、補助ミラー、光源装置及びプロジェクタ

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