JPH07241998A - インクジェットプリンタのインクカートリッジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】インクジェットヘッドに対して着脱自在に設け
られたインクジェットプリンタのインクカートリッジに
関し、インク流路内に気泡の混入する可能性が高いイン
クジェットヘッドへの着脱時に気泡の混入を最小限に抑
えることを目的とする。 【構成】インクジェットヘッド１に供給するためのイン
クが入れられたインクタンク部１３に連通してそれより
下方に設けられ、インクジェットヘッド１に突設された
インク導入管４が挿脱自在に嵌入されるインク供給口２
０と、インク供給口２０のインクタンク部１３側の口元
に密接する状態とその密接状態から退避する状態との間
を移動自在な栓体２１と、栓体２１をインク供給口２０
に密接させるように付勢する付勢手段２２と、一端側が
インク供給口２０の途中の内壁面に開口し、他端側が外
部に開口する排気孔２４とを設けて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はインクジェットヘッドに
対して着脱自在に設けられたインクジェットプリンタの
インクカートリッジに関する。

【０００２】インクジェットプリンタ等に用いられるイ
ンクジェットヘッドは、インクを加圧して先端の細いノ
ズルからインク滴を吐出させて記録を行うものである
が、インク流路内に気泡が混入するとインクに対する吐
出圧力が吸収されてインクが吐出されない場合がある。
したがって、インク吐出時にはインク流路内に気泡が混
入していない状態にしておく必要がある。

【０００３】

【従来の技術】従来のインクジェットプリンタにおいて
は、ノズルからインクが吐出されないことが検出される
と、ノズルの先端側から吸引をして気泡を排出するいわ
ゆるパージ機構によって、インクを吸い出して排気を行
っていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】インク流路内への気泡
の混入は、インクカートリッジの着脱時にインクカート
リッジ内に気泡が入ってしまう場合に起きるケースが多
い。

【０００５】したがって、パージ機構によってその気泡
を排出するためには、ヘッド内に残留しているインクを
吸い出す必要があるので、大量のインクが無駄になって
しまう。そのため、記録に有効に使用されないインクの
消費量が極めて多くなっていた。

【０００６】また、近年のインクカートリッジには、イ
ンクの残量を電気抵抗によって検知する電極を設置して
いるものがあり、そのようなものではカートリッジの電
極に気泡が接触すると誤作動の原因となる。

【０００７】そのため、ユーザが誤ってインクカートリ
ッジを外した場合になどは、カートリッジをもう一度装
着しても、気泡の混入により残量検知機構が誤作動し
て、インクがあるにもかかわらずカートリッジの取り替
えを促す信号が発せられ、印字動作に移行できないとい
う問題が生じていた。

【０００８】そこで本発明は、インク流路内に気泡の混
入する可能性が高いインクジェットヘッドへの着脱時に
気泡の混入を最小限に抑えることのできるインクジェッ
トプリンタのインクカートリッジを提供することを目的
とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のインクジェットプリンタのインクカートリ
ッジは、実施例を説明するための図１に示されるよう
に、インクジェットヘッド１に対して着脱自在に設けら
れたインクジェットプリンタのインクカートリッジ１０
において、インクジェットヘッド１に供給するためのイ
ンクが入れられたインクタンク部１３と、上記インクタ
ンク部１３に連通してそれより下方に設けられ、上記イ
ンクジェットヘッド１に突設されたインク導入管４が挿
脱自在に嵌入されるインク供給口２０と、上記インク供
給口２０の上記インクタンク部１３側の口元に密接する
状態とその密接状態から退避する状態との間を移動自在
な栓体２１と、上記栓体２１を上記インク供給口２０に
密接させるように付勢する付勢手段２２と、一端側が上
記インク供給口２０の途中の内壁面に開口し、他端側が
外部に開口する排気孔２４とを設けたことを特徴とす
る。

【００１０】そして、上記インクジェットヘッド１にイ
ンクカートリッジ１０を取り付けた状態のときに上記排
気孔２４の出口付近になる位置に、上記インクを吸収す
るためのインク吸収部材２８が設けられていてもよく、
上記インク導入管４と上記インク供給口２０の少なくと
も一方が弾力性のある部材によって形成されているとよ
い。

【００１１】

【作用】インクカートリッジ１０のインク供給口２０に
インクジェットヘッド１のインク導入管４を嵌入させる
と、付勢手段２２の付勢力に抗して、栓体２１がインク
供給口２０の口元から押し上げられ、インク導入管４と
インクタンク部１３とが連通する。

【００１２】その動作の過程において、インク供給口２
０中で栓体２１とインク導入管４の頭部との間の空間に
存在する空気は、インク導入管４が侵入してくることに
よって排気孔２４から外部に排出され、インクカートリ
ッジ１０内に入らない。

【００１３】そして、排気孔２４の出口付近にインク吸
収部材２８を配置することによって、排気孔２４から空
気に混じって排出されたインクがそこに吸収され、周囲
が汚されない。

【００１４】また、インク導入管４とインク供給口２０
の少なくとも一方を弾力性のある部材で形成することに
よって、両者をよく密着させて両者の間からのインク漏
れを防止することができる。

【００１５】

【実施例】図面を参照して実施例を説明する。図２は、
フルカラーのインクジェットプリンタに設けられたイン
クジェットヘッド１とそのインクジェット１に着脱自在
なインクカートリッジ１０を示している。

【００１６】インクジェットヘッド１は、ステーシャフ
ト２に沿ってスライドするキャリッジ３に搭載されて、
黄色用ヘッド１Ｙ、マゼンタ用ヘッド１Ｍ、シアン用ヘ
ッド１Ｃ及び黒色用ヘッド１Ｂの４つのヘッドを横、一
列に並べて構成されている。

【００１７】各色用ヘッド１Ｙ，１Ｍ，１Ｃ，１Ｂの上
端壁には、各ヘッド１Ｙ，１Ｍ，１Ｃ，１Ｂにインクを
供給するためのインク導入管４…が突設されている。各
インク導入管４は、図３に示されるように、上端が平面
状に塞がれた円筒状に形成されていて、その上端近く
に、周方向に位置をずらして複数の導入口５，５が穿設
されている。

【００１８】図２に戻って、各色用のヘッド１Ｙ，１
Ｍ，１Ｃ，１Ｂに対応して、その上側に各色用のインク
カートリッジ１０Ｙ，１０Ｍ，１０Ｃ，１０Ｂが、上方
から着脱自在に設けられている。図２には、各インクカ
ートリッジ１０をインクジェットヘッド１から少し切り
離した状態を図示してある。

【００１９】各インクカートリッジ１０の下端縁には側
方に両側に突出する突部１１が形成されていて、それに
対応して、インクジェットヘッド１の上面には凹部６が
形成されている。

【００２０】その結果、インクカートリッジ１０の下端
を上方からインクジェットヘッド１に押し付けることに
よって、インクジェットヘッド１の凹部６にインクカー
トリッジ１０の凸部１１が弾力的に嵌め込まれ、それに
よってインクカートリッジ１０がインクジェットヘッド
１に固定される。取り外しはその逆の操作による。

【００２１】図１は、図２に示された部分の側面断面図
であり、インクジェットヘッド１側では、インク導入管
４に連通する圧力室７に沿って圧電素子８が配置されて
おり、その圧電素子８を電圧印加により変形させること
によって、先端のノズル９からインク滴が吐出される。
このような圧力室７及びノズル９が、一つのインク導入
管４に対して例えば６４個設けられている。

【００２２】インクカートリッジ１０のインクタンク部
１３内には連続気孔の多孔質体１４が充填されていて、
そこにインクが吸収されて負圧保持されている。インク
タンク部１３の上端壁には、外部と連通する通気孔１２
が形成されている。

【００２３】インクタンク部１３の下側に形成されたイ
ンク溜め部１５には、一端がインクタンク部１３に開口
し、他端がインク溜め部１５内の下部において側方に向
いて開口するＬ字形の毛細管１６が設けられていて、イ
ンクタンク部１３とインク溜め部１５とはこの毛細管１
６によって連通している。

【００２４】インクが消費されてインクタンク部１３内
のインクが無くなり、インク溜め部１５に空気が入る
と、毛細管１６が無ければインクの保持ができなくなる
が、毛細管１６によってインク面のメニスカスが形成さ
れ、その毛管力でインク溜め部１５内にあるインクが負
圧保持される。

【００２５】インク溜め部１５内には、インクの残量を
検知するための電極１８，１９が設置されていて、イン
ク溜め部１５内のインクが減少することによって生じる
インクの電気抵抗変化を検知することができる。

【００２６】インク溜め部１５の下端には、インクジェ
ットヘッド１のインク導入管４が挿脱自在に嵌入される
インク供給口２０が開口形成されており、インク導入管
４の挿入が容易なように、インク供給口２０の口元は、
テーパ状に面取りされている。

【００２７】なお、インク供給口２０とインク導入管４
は、気密に接続できるように少なくとも一方を弾力性の
ある材料で形成してあり、着脱のくり返しによる磨耗に
よって接続部の気密性が低下しないように、インクジェ
ットヘッド１側の部分はインクカートリッジ１０側の部
分に比べて高硬度の材料が使用されている。

【００２８】インク供給口２０のインク溜め部１５内の
口元（即ち、インクタンク部１３側の口元）には、弾力
性のある材料からなる栓体２１が配置されている。この
栓体２１はインク溜め部１５内において、圧縮コイルバ
ネ２２によってインク供給口２０の口元に密接するよう
に付勢されていて、インク供給口２０からインクが漏れ
出さないようになっている。

【００２９】ただし栓体２１は、インク溜め部１５内で
インク供給口２０から離れる方向に移動自在に配置され
ているので、インク供給口２０側から圧縮コイルバネ２
２の付勢力に抗して栓体２１を押せば、栓体２１が押し
上げられてインク供給口２０から離れ、インク供給口２
０が開く。

【００３０】したがって、インク供給口２０にインクジ
ェットヘッド１のインク導入管４を差し込めば、インク
導入管４によって栓体２１が押し上げられて、インクジ
ェットヘッド１とインクタンク部１３との間にインク流
路が形成される。

【００３１】なお、インク導入管４と栓体２１との密着
性が良好になるように、これらの間には硬度差を設けて
あり、栓体２１は、インク導入管４より低硬度の材料で
形成されている。

【００３２】インクカートリッジ１０のインク供給口２
０の途中の内壁面には、栓体２１が密着する上端側の口
元に隣接して、排気孔２４の一端（入口）が開口してお
り、その排気孔２４の他端（出口）は、インクカートリ
ッジ１０の下面に外部に向けて開口している。

【００３３】したがって、図４に示されるように、イン
ク供給口２０にインク導入管４が差し込まれると、イン
ク導入管４の上端面とインク供給口２０の内壁面と栓体
２１とによって形成される空間に残留する空気が、イン
ク導入管４によって排気孔２４を通って外部へ押し出さ
れながら挿入される。

【００３４】そして、インク導入管４の上端面が栓体２
１にぶつかると空間内の空気がすべて排出され、排気孔
２４の入口がインク導入管４の側面で塞がれて、排気孔
２４を経由しての空気の流入が防止される。

【００３５】その状態からインクジェットヘッド１に対
してインクカートリッジ１０をさらに押し込むと、図５
に示されるように、排気孔２４を閉じたまま、インク導
入管４が圧縮コイルバネ２２の付勢力に抗して栓体２１
を押し上げて、インク導入管４の導入口５がインク溜め
部１５内に入る。したがって、その際にインクに空気が
混入することなく、インクカートリッジ１０からインク
ジェットヘッド１に対してインクの供給が可能となる。

【００３６】なお、このようなインクカートリッジ取り
付け時に、インク供給口２０部分にインクが付着してい
ると、排気孔２４から排出される空気に混じってインク
が飛散する場合がある。そこで、インクジェットヘッド
１の上面には、排気孔２４の出口に対向してインク吸収
部材２８が配置されている。

【００３７】したがって、排気孔２４の出口からインク
が排出されても、それはインク吸収部材２８に吸収され
るので、周辺が汚されない。なおインク吸収部材２８
は、排気孔２４から排出されたインクが触れるように排
気孔２４の出口の近くの適当な位置に配置すればよい。

【００３８】インクカートリッジ１０をインクジェット
ヘッド１から取り外す際には、インク導入管４がインク
供給口２０から引き抜かれる動作に伴って、圧縮コイル
バネ２２の付勢力により栓体２１が押し下げられ、栓体
２１がインク供給口２０の口元に密着することによって
インク供給口２０が閉じる。排気孔２４が開くのはその
後になるので、インク溜め部１５内に空気が混入するこ
とはない。

【００３９】その動作の際に、インク導入管４が栓体２
１の下端面から少し離れると、排気孔２４が開いてイン
ク供給口２０内に空気が入り、インク供給口２０内部の
空間が大気圧になる。

【００４０】したがって、インク導入管４がインク供給
口２０から外れる瞬間には、インク供給口２０内部に大
きな圧力変化は無く、インクカートリッジ１０及びイン
クジェットヘッド１への気泡混入が生じない。

【００４１】

【発明の効果】本発明によれば、インク供給口の途中の
内壁面に開口する排気孔を設けたことにより、インクカ
ートリッジ中のインクに空気が混入し易い着脱時に空気
の侵入が防止されるので、パージによってインクカート
リッジ内の気泡を排除する必要がなくなり、インクの無
駄な消費がなくなる。また、インクの残量検出の誤作動
がなくなるので、インクカートリッジを一度取り外し
て、再度同じインクカートリッジを取り付けても、普通
にインク供給が行われる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の側面断面図である。

【図２】実施例の斜視図である。

【図３】実施例の部分拡大斜視図である。

【図４】実施例の動作説明図である。

【図５】実施例の動作説明図である。

【符号の説明】

１ インクジェットヘッド ４ インク導入管 １０ インクカートリッジ ２０ インク供給口 ２１ 栓体 ２２ 圧縮コイルバネ（付勢手段） ２４ 排気孔

Claims (3)

０ 【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】インクジェットヘッド（１）に対して着脱
   自在に設けられたインクジェットプリンタのインクカー
   トリッジ（１０）において、 インクジェットヘッド（１）に供給するためのインクが
   入れられたインクタンク部（１３）と、 上記インクタンク部（１３）に連通してそれより下方に
   設けられ、上記インクジェットヘッド（１）に突設され
   たインク導入管（４）が挿脱自在に嵌入されるインク供
   給口（２０）と、 上記インク供給口（２０）の上記インクタンク部（１
   ３）側の口元に密接する状態とその密接状態から退避す
   る状態との間を移動自在な栓体（２１）と、 上記栓体（２１）を上記インク供給口（２０）に密接さ
   せるように付勢する付勢手段（２２）と、 一端側が上記インク供給口（２０）の途中の内壁面に開
   口し、他端側が外部に開口する排気孔（２４）とを設け
   たことを特徴とするインクジェットプリンタのインクカ
   ートリッジ。
2. 【請求項２】上記インクジェットヘッド（１）にインク
   カートリッジ（１０）を取り付けた状態のときに上記排
   気孔（２４）の出口付近になる位置に、上記インクを吸
   収するためのインク吸収部材（２８）が設けられている
   請求項１記載のインクジェットプリンタのインクカート
   リッジ。
3. 【請求項３】上記インク導入管（４）と上記インク供給
   口（２０）の少なくとも一方が弾力性のある部材によっ
   て形成されている請求項１又は２記載のインクジェット
   プリンタのインクカートリッジ。