JPH07238749A - 耐火サッシ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 火災の際の枠体部分からの熱伝導による周辺
雰囲気の温度上昇を防止し、かつ、耐火硝子を配設し
て、耐火硝子の中間層の発泡による熱膨張を吸収する機
能を備えた耐火サッシを提供する。 【構成】 耐火サッシは、内周面に板材１の周縁辺を嵌
入する凹溝２ａを設けた枠体２において、枠体２は、断
面略Ｈ型の鋼材から成る枠芯材３と、芯材３の外周へ凹
溝２ａを設けて被覆した無機断熱材４と、無機断熱材４
の外周の凹溝の２ａの一方の開口端縁から一方の側面に
亘り被覆した第１外装材５Ａと、無機断熱材４の外周の
凹溝の他方の開口端縁から他方の側面に亘り被覆した第
２外装材５Ｂから成る。板材１は、通常の板硝子から成
る板材１ａと板材１ｂとの間に、例えば、珪酸ナトリウ
ム等を主成分とする溶液で形成した中間層１ｃを介して
合着させた合わせ硝子である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、一般建築物の開口部へ
板硝子等の板材を配設する際に用いられる枠体に関する
ものであり、特に、板材を耐火硝子とした場合に好適な
耐火性のサッシに関するものである。

【０００２】

【従来技術とその問題点】従来より、一般建築物の壁面
の開口部においては、金属製の枠体の内周面へ嵌合溝を
形成し、その嵌合溝内へ板硝子の外周縁を嵌入して採光
窓を形成しているが、室内等で火災が生じた場合には、
板硝子が火焔や周辺雰囲気の温度上昇によって溶融した
り、或いは、風圧等により破損して破片が周辺に飛散す
るために危険であり、また、特に、採光窓に合わせ硝子
を使用している場合には、樹脂層が燃焼して延焼を助長
させてしまう等の問題があった。

【０００３】これ等の現状に対して、珪酸ナトリウム等
を主成分とする中間層を設けた積層型の耐火硝子が開発
されている。この耐火硝子の中間層は、平常時には透明
度を保っているが、熱を与えられると発泡して断熱層を
形成するので、火災の際に延焼を防ぎ、硝子破片の飛散
を防止する等の効果がある。

【０００４】然し乍ら、この種の耐火硝子も、前述のよ
うな通常の枠体に配設されていると、金属製の枠体部分
からの熱伝導により周辺雰囲気の温度上昇を招いたり、
また、耐火硝子が強固に固定されていると、経時に亘っ
て熱が与えられた際に、中間層に水蒸気が蓄積して外層
の板硝子を破壊する等の危険性を回避できない等の問題
があった。

【０００５】

【発明の目的】本発明は上記の事由に着目してなされた
もので、火災の際の枠体部分からの熱伝導による周辺雰
囲気の温度上昇を防止する遮熱機能を備えた耐火サッシ
を提供すると共に、特に、耐火硝子を配設した際に、耐
火硝子の中間層の発泡による熱膨張を吸収する機能を備
えた耐火サッシを提供するものである。

【０００６】

【発明の構成】本発明の耐火サッシの請求項１の構成
は、一般建築物の開口部に配設すると共に内周面に板材
の周縁辺を嵌入する凹溝を設けた枠体において、枠体
は、断面略Ｈ型の鋼材から成る枠芯材と、枠芯材の外周
へ前記凹溝を設けて被覆した無機断熱材と、無機断熱材
の外周の凹溝の一方の開口端縁から一方の側面に亘り被
覆した第１外装材と、無機断熱材の外周の前記凹溝の他
方の開口端縁から他方の側面に亘り被覆した第２外装材
から成る構成であり、請求項２の構成は、請求項１に記
載の耐火サッシにおいて、凹溝内へ嵌入された板材の周
縁と凹溝の内壁面との間に柔軟な無機断熱材から成る応
力吸収材を充填させた構成である。

【０００７】

【実施例】斯る目的を達成した本発明を以下の実施例の
図面により説明する。

【０００８】図１は、本発明の請求項１の耐火サッシの
概要断面図であり、図２は、本発明の請求項２の耐火サ
ッシの概要断面図であり、図３は、本発明の耐火サッシ
の概要正面図である。

【０００９】本発明の耐火サッシは、図３に図示の如
く、一般建築物の開口部に用いられる汎用のサッシであ
る。この耐火サッシを構成する板材１は、単層のフロー
ト硝子、磨き板材、型板材、強化硝子等の板硝子であっ
ても良いが、好ましくは、積層構造の耐火硝子を使用す
る。耐火硝子を使用することで、耐火機能はより効果を
発揮するものであり、本発明の各実施例では、配設され
る板材１を積層構造の耐火硝子としている。

【００１０】図１及び図２に図示の如く、前記板材１
は、通常の板硝子から成る板材１ａと板材１ｂとの間
に、例えば、珪酸ナトリウム等を主成分とする溶液で形
成した中間層１ｃを介して合着させた合わせ硝子であ
り、該中間層１ｃの加熱時の発泡作用により防火機能を
備えるだけでなく、平常時には、防音機能を備えると共
に、耐貫通性等の機械的強度に優れている等の利点があ
る。

【００１１】本発明の特許請求の範囲の請求項１に記載
の耐火サッシは、図１に図示の如く、内周面に板材１の
周縁辺を嵌入する凹溝２ａを設けた枠体２において、前
記枠体２は、断面略Ｈ型の鋼材から成る枠芯材３と、該
枠芯材３の外周へ前記凹溝２ａを設けて被覆した無機断
熱材４と、該無機断熱材４の外周の前記凹溝の２ａの一
方の開口端縁から一方の側面に亘り被覆した第１外装材
５Ａと、該無機断熱材４の外周の前記凹溝の他方の開口
端縁から他方の側面に亘り被覆した第２外装材５Ｂから
成ることを要旨とする。

【００１２】即ち、請求項１に記載の枠体２は、図１に
図示の如く、枠芯材３と、無機断熱材４と、第１外装材
５Ａ及び第２外装材５Ｂから構成されたものであって、
この内、前記枠芯材３は、長尺に形成された断面コ字状
の鋼材の側面へタッピングネジ７等により長尺に形成さ
れた鋼材を貼りあわせ、略断面Ｈ型の部材として形成し
たものである。該夫々の鋼材は、例えば、鉄等の強度の
高いものを使用する。

【００１３】前記無機断熱材４はセラミックボード等か
ら成り、板材１を嵌入する凹溝２ａが形成された状態で
枠芯材３の外周へ被覆したものである。尚、実施例の如
く、凹溝２ａの底面へはセメントボード等の材質の異な
る無機断熱材４を用いることも可能である。

【００１４】前記第１外装材５Ａ及び第２外装材５Ｂ
は、例えば、ステンレス、アルミ等の断面Ｌ字状の一対
の部材から成り、該夫々の外装材５Ａ．５Ｂは前記無機
断熱材４の外周へ板材１を嵌入する凹溝２ａの開口端縁
が形成された状態で被覆される。

【００１５】つまり、前記第１外装材５Ａ及び第２外装
材５Ｂは、枠体の保形機能と外観の装飾的機能を備えた
金属製の素材が使用されるが、前記無機断熱材４に予め
設けられた凹溝２ａの一方の開口端縁から室内側と成る
無機断熱材４の一方の側面に亘り第１外装材５Ａを被覆
すると共に、前記無機断熱材４に予め設けられた凹溝２
ａの他方の開口端縁から室外側と成る無機断熱材４の一
方の側面に亘り第２外装材５Ｂを被覆することにより、
夫々の外装材５Ａ．５Ｂが何れの個所においても断熱効
果の高い無機質材料を介して接触を阻まれているため
に、室内外の遮熱効果を生じさせることができる。

【００１６】尚、前記枠体２の凹溝２ａ内へ板材１を嵌
入させた後には、凹溝２ａの開口縁と該凹溝２ａ板材１
との間へ耐火性のシーラント８を施す。この際、第１外
装材５Ａ及び第２外装材５Ｂの端縁が板材１と接触しな
いように絶縁する。

【００１７】本発明の特許請求の範囲の請求項２に記載
の耐火サッシは、図２に図示の如く、請求項１に記載の
耐火サッシにおいて、前記凹溝２ａ内へ嵌入された板材
１の周縁と凹溝２ａの内壁面との間に柔軟な無機断熱材
から形成させた応力吸収材６を充填させたことを要旨と
する。

【００１８】即ち、請求項２に記載の耐火サッシは、請
求項１に記載の耐火サッシと同様の構成を基本構成とし
て、枠体２の内周面へ形成される凹溝２ａ内へ嵌入され
た板材１、詳細には、該板材１の外層を構成する板材１
ａ．１ｂの周縁と凹溝２ａの内壁面との間に、セラミッ
クファイバー等の柔軟な無機断熱材から成る応力吸収材
６を充填させたものである。

【００１９】

【作用】本発明の耐火サッシを構成する枠体２の凹溝２
ａ内へは、図１及び図２に示される実施例の如く、積層
構造の耐火硝子とした板材１を配設することが好まし
い。

【００２０】このように構成された採光窓において室内
で火災等が生じると、先ず、前記板材１の室内側と成る
一方の板材１ａに熱が加わり、中間層２が発泡して断熱
層が形成される。この際、枠体２の室内側における最外
層と成る第１外装材５Ａにも熱が加わるが、板材１と無
機断熱材４により室外側と成る第２外装材５Ｂには熱が
あまり伝導することがない。

【００２１】次に、前記中間層１ｃが発泡して断熱層が
形成されることにより、板材１ａ．１ｂは夫々外方向に
押出され、その結果、板材１は厚みを増すが、板材１
ａ．１ｂの周縁辺と凹溝２ａの内壁面との間には、セラ
ミックファイバー等の柔軟な無機断熱材から成る応力吸
収材６が充填されているため、凹溝２ａの略幅分の板材
１の熱膨張は緩和されるのである。

【００２２】

【発明の効果】本発明の耐火サッシは、上記の如く、鋼
材が露出することなく無機断熱材で覆われていると共
に、それを外装する金属製の材料がシーラントを介して
板材と接触していないので、室内側と室外側との熱絶縁
が完全に行われ、遮熱性に優れていることは勿論のこ
と、凹溝内へ嵌入された板材の周縁と凹溝の内壁面との
間に柔軟な無機断熱材を充填させたので、耐火硝子を配
設した際には、耐火硝子の中間層の発泡による熱膨張を
吸収して、板材の破損を防止することができる。従っ
て、一般建築物の開口部へ本発明の耐火サッシと耐火硝
子とを配設することにより、防火性と安全性を相乗的に
向上させることができる画期的で且つ有意義な発明であ
る。

【００２３】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の請求項１の耐火サッシの概要断面図で
ある。

【図２】本発明の請求項２の耐火サッシの概要断面図で
ある。

【図３】本発明の耐火サッシの概要正面図である。

【００２４】

【符号の説明】

１ 板材 １ａ 板材 １ｂ 板材 １ｃ 中間層 ２ 枠体 ２ａ 凹溝 ３ 枠芯材 ４ 無機断熱材 ５Ａ 外装材 ５Ｂ 外装材 ６ 応力吸収材 ７ タッピングネジ ８ シーラント

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小倉 謙二 東京都港区芝公園２丁目６番15号 フィグ ラ株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一般建築物の開口部に配設すると共に内周
   面に板材の周縁辺を嵌入する凹溝を設けた枠体におい
   て、前記枠体は、断面略Ｈ型の鋼材から成る枠芯材と、
   該枠芯材の外周へ前記凹溝を設けて被覆した無機断熱材
   と、該無機断熱材の外周の前記凹溝の一方の開口端縁か
   ら一方の側面に亘り被覆した第１外装材と、該無機断熱
   材の外周の前記凹溝の他方の開口端縁から他方の側面に
   亘り被覆した第２外装材から成ることを特徴とする耐火
   サッシ。
2. 【請求項２】特許請求の範囲の請求項１に記載の耐火サ
   ッシにおいて、前記凹溝内へ嵌入された板材の周縁辺と
   凹溝の内壁面との間に柔軟な無機断熱材から成る応力吸
   収材を充填させたことを特徴とする耐火サッシ。