JPH07238239A - 蛍光体ペースト組成物 - Google Patents

蛍光体ペースト組成物

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JPH07238239A
JPH07238239A JP3167494A JP3167494A JPH07238239A JP H07238239 A JPH07238239 A JP H07238239A JP 3167494 A JP3167494 A JP 3167494A JP 3167494 A JP3167494 A JP 3167494A JP H07238239 A JPH07238239 A JP H07238239A
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JP
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phosphor
paste composition
weight
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phosphor film
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JP3167494A
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English (en)
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Yukihiro Ikegami
幸弘 池上
Kiichiro Ishiguro
喜一郎 石黒
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】(a)アルキルメタクリレート、(b)不飽和
カルボン酸及び(c)他の共重合可能なビニルモノマー
からなるアルキル系ポリマー(A)と、(d)アルキル
メタクリレート、(e)アミノ基含有アルキル(メタ)
アクリレート及び(f)他の共重合可能なビニルモノマ
ーからなるアクリル系ポリマー(B)とからなるアクリ
ル系ポリマー混合物100重量部に対し、蛍光体微粉末
及び沸点150℃以上の有機溶剤とからなる、粘度50
〜300ポイズの蛍光体ペースト組成物。 【効果】高輝度かつ高解像度で、焼成性のよい蛍光体膜
を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陰極線管(以下、CR
Tと略す)の蛍光体面に高輝度、高解像度の蛍光体膜を
形成する際に用いる蛍光体ペースト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビのブラウン管に代表されるCRT
は、蛍光体面、ファンネルおよび電子銃により構成され
ている。そして、このCRTは電子銃からでる電子ビー
ムが蛍光体面に衝突し、蛍光体面中の蛍光体粒子が励起
されて発光表示されるものであり、電子ディスプレーの
中では最も古くから利用されている。
【0003】近年のエレクトロニクスの発展に伴い、各
種ビジュアル機器が多様化しており、カラーCRTから
モノクロCRT、大型CRTから超小型CRTと、様々
な種類のCRTが製造されている。また、近年液晶等の
他の電子ディスプレーがシェアを伸ばしているが、製造
コスト、生産性の面でCRTの方が有利であるため、各
種ビジュアル機器では、依然CRTが大きなシェアを占
めている。
【0004】このようなビジュアル機器に用いられるC
RTのうち、高輝度、高解像度といったCRT性能を大
きく支配するのが、蛍光体面上にある蛍光体膜である。
モノクロCRTに使用される蛍光体膜の製造方法として
は、スラリー法、沈降法、電着法、蒸着法が知られてい
る。モノクロモニター用高解像度CRTに用いられてい
る蛍光体膜の製造方法としては、従来より沈降法が一般
に使用されている。しかしながら、該沈降法で蛍光体膜
を得る場合には、その表面に凹凸が少なく、均一な厚み
の蛍光体膜を効率よく形成することが難しいという欠点
があった。
【0005】一方、カラーCRTに使用される蛍光体面
は、一般に、赤,緑,青の3色の各蛍光体粒子をドット
またはストライプ状に各々配置させた蛍光体膜を、CR
T前面パネルに付けて蛍光体面としたものであり、電子
線を蛍光体面に衝突させて、蛍光体膜中の蛍光体粒子を
発光表示させるものである。このカラーCRTに使用さ
れる蛍光体膜の製造方法としては、従来よりシャドウマ
スクを用いた光硬化型の印刷法が使用されている。
【0006】しかしながら、該光硬化型の印刷法で高解
像度の優れた蛍光体膜を製造するには、細かいパターン
を刻んだシャドウマスクの使用が不可欠である。つま
り、カラーCRTが小型化になればなるほど、また、高
精細な画面が必要とされればされるほど高精細なシャド
ウマスクが必要となり、その製作の技術的困難さが伴っ
てくる。
【0007】その他にも該印刷法では、蛍光体膜形成の
際、CRTの蛍光体膜形成面以外の部分に余剰に生じ
た、蛍光体ペースト組成物及び該組成物中にある蛍光体
の回収等に手間がかかりロスが大きいという欠点を有し
ており、材料面、その他生産性の面からコスト高にもな
る。そこで、前記欠点を解決するために、特公昭61−
23231号公報や特開昭59−21377号公報など
に記載された印刷法による蛍光体面の形成方法が提案さ
れている。
【0008】該印刷法とは、バインダー樹脂、蛍光体粒
子、そして蛍光体ペーストの粘度調節のために用いる溶
剤とからなる、白、赤、緑、青等の各印刷用蛍光体ペー
スト組成物を、シャドウマスクを用いてCRT前面パネ
ルに直接又は間接的に印刷して所定の場所に所定の色を
固定させ蛍光体膜を形成し、しかる後に該ペースト組成
物中のバインダー樹脂成分を焼成除去し、蛍光体面を製
造することを特徴とする方法である。該バインダー樹脂
としては、セルロース系樹脂やビニルアルコール系樹脂
が挙げられるが、いずれも焼成温度が高くしかも焼成残
渣が蛍光体膜中に残り易いため、得られた蛍光体面を光
らせたとき、この焼成残渣が黒点となりCRTの寿命に
悪影響を及ぼすなど実用上の問題が多い。
【0009】また、焼成性の良好なバインダー樹脂とし
てアクリル樹脂を用いた印刷用蛍光体ペースト組成物が
特開平2−77477号公報で提案されているが、該ペ
ースト組成物のレベリング性を良好にするために印刷し
た蛍光体膜が厚くなってしまい、本発明が目標とする高
輝度、高解像度の蛍光体膜面を実現することができな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】近年のハイビジョンテ
レビに代表されるように、CRTの高解像度化に伴い、
輝度の低下が生じてしまうことから、高解像度でかつ輝
度の高い蛍光体面の要求が高まっている。この要求を解
決する手段として、蛍光体膜の薄膜化を行うために、蛍
光体膜中の蛍光体粒子を1層〜3層の厚さに均一に配列
する必要がある。しかし現在知られている印刷用蛍光体
ペースト組成物では、上記のような薄い蛍光体膜を形成
しようとすると、該ペースト組成物のレベリング力が不
足しており、形成された膜中にピンホールが多く発生
し、均一な蛍光体面を形成することができない。また、
蛍光体粒子とバインダー樹脂との親和性を上げてレベリ
ング性を向上させるために、官能基を導入したバインダ
ー樹脂を用いる蛍光体ペースト組成物が特開平2−77
477号公報等に提案されているが、この蛍光体ペース
ト組成物でも蛍光体粒子を1層〜3層に均一配列させた
薄い高輝度の蛍光体膜を形成するまでには至っていな
い。
【0011】つまり、印刷法により得られた蛍光体面に
おいて、蛍光体粒子を1層〜3層に均一配列された蛍光
体膜の厚さにするためには、印刷用蛍光体ペースト組成
物中において蛍光体粒子の分散性が良好で、該組成物の
印刷後に蛍光体粒子が均一にレベリングし、且つ印刷・
乾燥後の焼成工程で完全に分解し焼成残渣のないバイン
ダー樹脂が必要不可欠である。また、蛍光体ペースト組
成物を用い印刷法により蛍光体面を形成するには、印刷
用蛍光体ペースト組成物の粘度、チキソトロピー性とい
った印刷適正を満足しなければならず、現在このような
性能を満足する該ペースト組成物は見いだされていない
のが現状である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の目的とするとこ
ろは、アクリル系バインダー樹脂のもつ熱分解性の良さ
を損なうことなく、高いレベリング性を備えた、高輝度
及び高解像度、且つ長寿命な蛍光体膜を有するCRTを
提供しうる蛍光体ペースト組成物を提供することにあ
る。
【0013】すなわち、本発明の要旨とするところは、 (A)(a)アルキルメタクリレート65〜99.5重
量%、(b)不飽和カルボン酸0.5〜15重量%、
(c)他の共重合可能なビニルモノマー0〜20重量%
からなるモノマー混合物を重合して得られるアクリル系
ポリマー10〜80重量%と、 (B)(d)アルキルメタクリレート60〜99.75
重量%、(e)アミノ基含有アルキル(メタ)アクリレ
ート0.25〜20重量%、(f)他の共重合可能なビ
ニルモノマー0〜20重量%からなるモノマー混合物を
重合して得られるアクリル系ポリマー90〜20重量%
とからなるアクリル系ポリマー混合物100重量部に対
し、 (C)蛍光体粒子200〜500重量部、及び (D)沸点150℃以上の有機溶剤 とからなる粘度50〜300ポイズの蛍光体ペースト組
成物にある。
【0014】本発明に用いられるバインダー樹脂成分と
しては、以下に記載する(a)〜(c)成分からなるア
クリル系ポリマー(A)と、以下に記載する(d)〜
(f)成分からなるアクリル系ポリマー(B)とからな
るアクリル系ポリマー混合物が用いられる。
【0015】まず、本発明で用いられる(A)成分を構
成する(a)成分であるアルキルメタクリレートは、本
発明の蛍光体ペースト組成物より形成した蛍光体膜の焼
成開始温度、完全焼成温度、熱減量速度等を必要な条件
に適用させるのに必要な成分であり、その目的に応じて
任意に選択すればよい。(a)成分の具体例としては、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブ
チルメタクリレート、イソブチルメタクリレートなど炭
素数1〜8のアルキル基を有するアルキルメタクリレー
ト等が挙げられる。
【0016】本発明で用いられる(a)成分のアルキル
メタクリレートは、(A)成分中に65〜99.5重量
%の割合で共重合せしめることが必要である。(a)成
分の共重合量が65重量%より少ないバインダー樹脂か
ら作った蛍光体ペースト組成物を用いて形成した蛍光体
膜は、その焼成性が低下するため、蛍光体膜中に焼成残
渣が残り、その輝度低下が発生し好ましくない。また
(a)成分の共重合量が99.5重量%を越えたバイン
ダー樹脂から作った蛍光体ペースト組成物を用いて蛍光
体膜を形成すると、バインダー樹脂中での蛍光体粒子の
分散性が不良のため、蛍光体粒子を1層〜3層の薄膜に
することができない。
【0017】本発明で用いられる(A)成分を構成する
(b)成分である不飽和カルボン酸は特に限定されない
が、具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン
酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。(b)成分
の不飽和カルボン酸は、(A)成分中に0.5〜15重
量%までの割合で共重合される。(b)成分の共重合量
が15重量%を越えたバインダー樹脂で作った蛍光体ペ
ースト組成物を用いて蛍光体膜を形成すると、その焼成
性が低下するため、蛍光体膜中に焼成残渣が残り、輝度
低下が発生し好ましくない。また、(b)成分の共重合
量が0.5重量%より少ないバインダー樹脂で作った蛍
光体ペースト組成物はレベリング性が不良であり、これ
を用いて蛍光体膜を形成すると、均一性の良好な蛍光体
膜を得られない。
【0018】本発明で用いられる(A)成分を構成する
(c)成分としては、バインダー樹脂の焼成性を損なわ
ない範囲で用いることができる。(c)成分の具体例と
しては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート等のア
ルキルアクリレート類や、その他酢酸ビニル、エトキシ
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテ
ル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテ
ル、n−プロピルビニルエーテル、メチルビニルケト
ン、エチルビニルケトン、イソプロピルビニルケトン、
γ−メタクリロキシプロピルトリス(β−メトキシエト
キシ)シラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラ
ン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、o−ビニル安息香酸、p−ビ
ニル安息香酸、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジ
メチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、N−ビニ
ルピロリドン等が挙げられる。
【0019】(c)成分として、上述の(a)成分及び
(b)成分以外の共重合可能なモノビニルモノマーを
(A)成分中に20重量%まで共重合することができ
る。(c)成分を20重量%より多く共重合したバイン
ダー樹脂は、その焼成性及び蛍光体粒子の分散性が不良
となる。
【0020】次に、本発明で用いられる(B)成分を構
成する(d)成分であるアルキルメタクリレートは、本
発明の蛍光体ペースト組成物で作った蛍光体膜の焼成開
始温度、完全焼成温度、熱減量速度等を必要な条件に適
合するように任意に選択すればよい。
【0021】(d)成分の具体例としては、例えばメチ
ルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチル
メタクリレート、イソブチルメタクリレート、等炭素数
1〜8のアルキル基を有するアルキルメタクリレート等
が挙げられる。本発明で用いられる(d)成分のアルキ
ルメタクリレートは、(B)成分中に60〜99.75
重量%の割合で共重合せしめることが必要である。
(d)成分の共重合比が65重量%より少ないバインダ
ー樹脂で作った蛍光体ペースト組成物を用いて蛍光体膜
を形成すると、その焼成性は低下し、得られる蛍光体膜
中に焼成残渣が残り、輝度低下が発生し好ましくない。
また(d)成分の共重合比が99.75重量%を越えた
バインダー樹脂で作った蛍光体ペースト組成物は、バイ
ンダー樹脂中での蛍光体粒子の分散性が不良となり好ま
しくない。
【0022】本発明で用いられる(B)成分を構成する
(e)成分であるアミノ基含有アルキル(メタ)アクリ
レートは、バインダー樹脂中への蛍光体粒子の分散性に
寄与する成分である。(e)成分の具体例としては、例
えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジ
メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチル
アミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル
(メタ)アクリレート、ジエチルアミノブチル(メタ)
アクリレート、エチルメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、エチルメチルアミノプロピル(メタ)アクリ
レート、エチルメチルアミノブチル(メタ)アクリレー
ト、等の炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキル
アミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】本発明で用いられる(e)成分のアミノ基
含有アルキル(メタ)アクリレートは、(B)成分中に
0.25〜20重量%の割合で共重合せしめることが必
要である。(e)成分の共重合量が20重量%を越えた
バインダー樹脂で作った蛍光体ペースト組成物を用いて
蛍光体膜を形成すると、その焼成性が低下し、得られる
蛍光体膜中に焼成残渣による輝度低下が発生し好ましく
ない。また(e)成分の共重合量が0.25重量%より
少ないバインダー樹脂で作った蛍光体ペースト組成物
は、バインダー樹脂中での蛍光体粒子の分散性が不良と
なり好ましくない。
【0024】本発明で用いられる(B)成分を構成する
(f)成分として、上述の(d)成分及び(e)成分以
外の共重合可能なモノビニルモノマーは、焼成性を損な
わない範囲で用いることが可能である。
【0025】(f)成分の具体例としては、例えば、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアク
リレート、ブチルアクリレート、等のアルキルアクリレ
ート類や、その他酢酸ビニル、エトキシ酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニ
ルエーテル、イソプロピルエーテル、n−プロピルビニ
ルエーテル、メチルビニルケトン、エチルビニルケト
ン、イソプロピルビニルケトン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、メタク
リロキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、スチレン、o−メ
チルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、o−ビニル安息香酸、p−ビニル安息香酸、2,4
−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,
5−ジメチルスチレン、N−ビニルピロリドン、(メ
タ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げ
られる。
【0026】上記単量体は、共重合した樹脂の焼成性に
問題が生じない範囲で、単独または2種以上を組み合わ
せて用いることができる。本発明では、(f)成分とし
て、(d)成分及び(e)成分以外の他の共重合可能な
モノビニルモノマーを、(B)成分中に20重量%まで
用いることができる。
【0027】また、本発明の蛍光体ペースト組成物にお
いて、(A)成分及び(B)成分からなるアクリル系ポ
リマー混合物(以下、アクリル系バインダー樹脂と称
す)の焼成性を損なわない範囲で、(A)成分中及び/
又は(B)成分中に多官能架橋モノマーを共重合するこ
とも可能である。本発明のアクリル系バインダー樹脂の
混合比は、(A)成分:(B)成分が10〜80:90
〜10(重量%)である。
【0028】(A)成分が80重量%を越えるアクリル
系バインダー樹脂を用いた蛍光体ペーストを用いて形成
した蛍光体膜は、その蛍光体粒子のレベリングが不良と
なるため、蛍光体粒子が均一に配列せず、蛍光体膜中に
ピンホールが発生するため好ましくない。また、(A)
成分が10重量%より少ないアクリル系バインダー樹脂
を用いた蛍光体ペーストにて形成した蛍光体膜は、その
印刷パターンの再現性が不良となるため、微細パターン
を精度良く形成して蛍光体膜を得ることはできないので
好ましくない。
【0029】本発明に用いられる(C)成分である蛍光
体粒子は、種類を特に限定せずに、目的に応じて任意に
選択すればよい。本発明の蛍光体ペースト組成物を用い
て凹凸が少なく、発光効率のよい高解像度CRT用蛍光
体膜を製造する場合、具体的にモノクロ蛍光体粒子とし
ては体積平均粒子径が1〜4μm、カラー蛍光体粒子と
しては体積平均粒子径が1〜9μmであり、且つ粉砕等
により微細化されていないものが好ましい。
【0030】本発明に用いられる(C)成分は、アクリ
ル系バインダー樹脂100重量部(固形分100%)に
対し、200〜500重量部の範囲で添加される。ここ
で、蛍光体粒子の添加量が200重量部より少ない蛍光
体ペースト組成物では、蛍光体粒子数が不足し、均一な
蛍光体膜を形成することが難しく好ましくない。また、
蛍光体粒子含量が500重量部を越えた蛍光体ペースト
組成物では、アクリル系バインダー樹脂の量が不足する
ため、該ペースト組成物より形成される蛍光体のレベリ
ング性が低下し、印刷塗膜にピンホールが発生したり、
蛍光体膜表面に凹凸が発生するなど均一な蛍光体膜が得
られず、好ましくない。
【0031】本発明の蛍光体ペースト組成物には、該ペ
ースト組成物の粘度を調整するために、(D)成分とし
て沸点150℃以上の有機溶剤を配合するとよい。本発
明の蛍光体ペースト組成物の粘度は、塗工性の面から、
50〜300ポイズ程度に調整するとよい。
【0032】50ポイズより小さい粘度の該ペースト組
成物は、その流動性が大きすぎ、蛍光体膜の印刷後に得
られる蛍光体膜端ににじみが発生しやすく、印刷パター
ンの再現性が不良となり好ましくない。また、300ポ
イズより大きい粘度の該ペースト組成物は、その流動性
が低下し、得られる蛍光体膜表面に凹凸が生じ、好まし
くない。沸点が150℃より低い有機溶剤を用いた蛍光
体ペースト組成物は、蛍光体膜の印刷時に該ペースト組
成物の粘度の経時的な変化が生じ、均一な特性を備えた
蛍光体膜の形成が困難となるので好ましくない。
【0033】(D)成分の具体例としては、例えば、ジ
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、
2,2,4−トリメチル1,3−ペンタジオールモノイ
ソブチルレート、イソホロン、3−メトキシブチルアセ
テート等が挙げられる。本発明の蛍光体ペースト組成物
には、目的を損なわない範囲であれば、一般公知の可塑
剤、分散安定剤、レベリング剤、チキソトロピー性付与
剤等の各種添加剤等を添加してもよい。
【0034】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて説明する。
実施例中の、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ示
す。なお、蛍光体粒子及び付活剤の記載は、JEDEC
に基づくRNA番号を使用している。
【0035】また、実施例及び表中の記号は以下のこと
を示す。 iBMA:イソブチルメタクリレート MAA:メタクリル酸 DMAEMA:N,N−ジエチルアミノエチルメタクリ
レート St:スチレン 蛍光体ペースト組成物の粘度:25℃、E型粘度計(東
京計器(株)製)にて測定した。
【0036】[蛍光体膜表面の評価]隠蔽性、平滑性、
印刷精度及び焼成性については、透過光、反射光の両方
を使用した光学顕微鏡(50〜400倍)を、蛍光体膜
厚については、蛍光体面の断面を電子顕微鏡(3500
倍)を用いて以下の評価を行った。 隠蔽性:透過光、反射光の両方を使用し、光学顕微鏡で
蛍光体膜のピンホールの有無を調べた。 ○…ピンホールなし △…ピンホールあり ×…ピンホール多くあり 蛍光体膜厚:蛍光体膜断面を、電子顕微鏡を用いて測定
した。 平滑性:斜光を使用し、光学顕微鏡(50倍、100
倍、400倍)で蛍光体膜表面の凹凸を調べた。 ○…凹凸がなく、斜光による陰の発生はない。 △…凹凸が多少あり、斜光による陰の発生が見られる。 ×…凹凸が多く、斜光による陰の発生がはっきりと見ら
れ、スクリーンメッシュ跡がある。 印刷精度:#400メッシュスクリーンで10mm×1
0mmのパターンを印刷し、転写パターンの寸法変化及
びパターンエッジ部におけるにじみの有無を調べた。 ○…±5%以下の寸法変化、パターンエッジ部における
にじみ無し。 ×…±5%以上の寸法変化、パターンエッジ部における
にじみあり。 焼成性:蛍光体ペースト組成物約10mgを用いて、室
温から500℃まで(昇温速度15℃/分)徐々に焼成
温度をあげて焼成を行った。 ○…焼成残渣なし。 ×…焼成残渣多くあり、黒色に着色。
【0037】[実施例1] 〈アクリル樹脂溶液Aの重合〉iBMA 98部、MA
A2部、およびアゾビスイソブチロニトリル2部を、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート18
5部中にて80℃で10時間反応させ、アクリル樹脂溶
液A(重量平均分子量18万、固形分35%)を得た。
【0038】〈アクリル樹脂溶液Bの重合〉iBMA
95部、DMAEMA 5部、及びアゾビスイソブチロ
ニトリル1部を、ジエチレングリコールモノブチルエー
テルアセテート185部を用いる以外は実施例1と同様
にして、アクリル樹脂溶液B(重量平均分子量15万、
固形分35%)を得た。
【0039】〈モノクロ蛍光体ペースト組成物の調製〉
アクリル樹脂溶液A100重量部(固形分35%)と、
アクリル樹脂溶液B100部(固形分35%)との混合
物に、P−45のモノクロ蛍光体微粉末(Y22S:T
b,体積平均粒子径2μm)200部を分散、混練し、
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートに
て粘度を110ポイズに調整して、モノクロ用蛍光体ペ
ースト組成物を得た。得られた該蛍光体ペースト組成物
を、スクリーン印刷法によってガラス板上に#400メ
ッシュのスクリーン版を用いて、10μmの厚さに塗布
して、150℃で60分間乾燥後、450℃で30分間
焼成して蛍光体面を得た。上記のようにして得た蛍光体
膜表面の状態を評価した結果、ピンホールはなく、完全
な隠蔽性を有した平滑な面を形成していた。また、蛍光
体膜の厚さは約4.5μmであった。
【0040】[実施例2,3、比較例1,2]アクリル
樹脂溶液Aとアクリル樹脂溶液Bの混合比を表1に示す
割合にする以外は、実施例1と同様にして蛍光体面を得
た。得られた蛍光体膜表面の評価結果は表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】[実施例4〜6、比較例3〜5]表2に示
すモノマーを用いる以外はアクリル樹脂溶液Aと同様に
してアクリル樹脂溶液A’を合成し、実施例1と同様に
して蛍光体面を得た。得られた蛍光体膜表面の評価結果
は表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】[実施例7〜9、比較例6〜8]表3に示
すモノマーを用いる以外はアクリル樹脂溶液Aと同様に
してアクリル樹脂溶液B’を合成し、実施例1と同様に
して蛍光体面を得た。得られた蛍光体膜表面の評価結果
は表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】[実施例10,11、比較例9,10]ア
クリル樹脂溶液A100部(固形分100%)とアクリ
ル樹脂溶液B100部(固形分100%)とからなるア
クリル系ポリマー混合物、及びモノクロ蛍光体粒子を表
4に示す割合で用いる以外は、実施例1と同様にして蛍
光体面を得た。得られた蛍光体膜表面の評価結果は表4
に示す。
【0047】
【表4】
【0048】[実施例12,13、比較例11,12]
希釈剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテル
アセテートを用いて、蛍光体ペースト組成物の粘度を表
5に示す値に調整する以外は、実施例1と同様にして蛍
光体面を得た。得られた蛍光体膜表面の評価結果は表5
に示す。
【0049】
【表5】
【0050】[比較例13]トルエン溶剤に重合してア
クリル樹脂を合成し、これを用いて蛍光体ペースト組成
物を作り、この該ペースト組成物を希釈剤としてトルエ
ンを用いて調整する以外は実施例1と同様にして蛍光体
面を得た。得られた蛍光体面の状態を評価した結果、該
ペースト組成物をガラス板上に印刷中にトルエンが揮発
するため、該ペースト組成物の粘度が上昇し、蛍光体粒
子がレベリングできず、隠蔽性、平滑性ともに不良であ
った。
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の蛍光体ペ
ースト組成物を用いることにより、焼成性に優れ、且つ
輝度、解像度に優れた蛍光体面をもつCRTを得ること
が可能となり、その工業的効果は極めて大きいものであ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(a)アルキルメタクリレート65
    〜99.5重量%、(b)不飽和カルボン酸0.5〜1
    5重量%、(c)他の共重合可能なビニルモノマー0〜
    20重量%からなるモノマー混合物を重合して得られる
    アクリル系ポリマー10〜80重量%と、 (B)(d)アルキルメタクリレート60〜99.75
    重量%、(e)アミノ基含有アルキル(メタ)アクリレ
    ート0.25〜20重量%、(f)他の共重合可能なビ
    ニルモノマー0〜20重量%からなるモノマー混合物を
    重合して得られるアクリル系ポリマー90〜20重量%
    とからなるアクリル系ポリマー混合物100重量部に対
    し、 (C)蛍光体粒子200〜500重量部、及び (D)沸点150℃以上の有機溶剤 とからなる粘度50〜300ポイズの蛍光体ペースト組
    成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016132814A1 (ja) * 2015-02-19 2016-08-25 綜研化学株式会社 焼成ペースト用樹脂組成物および焼成ペースト

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