JPH0723791Y2 - 蓄積性蛍光体シート用カセッテ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の分野） 本考案は蓄積性蛍光体シートを収納する蓄積性蛍光体シ
ート用カセッテに関し、特に詳細には蓄積性蛍光体シー
トの取出しを良好に行なうことのできる蓄積性蛍光体シ
ート用カセッテに関するものである。

（従来の技術） ある種の蛍光体に放射線（Ｘ線，α線，β線，γ線，電
子線，紫外線等）を照射すると、この放射線エネルギー
の一部が蛍光体中に蓄積され、この蛍光体に可視光等の
励起光を照射すると、蓄積されたエネルギーに応じて蛍
光体が輝尽発光を示すことが知られており、このような
性質を示す蛍光体は蓄積性蛍光体（輝尽性蛍光体）と呼
ばれる。

この蓄積性蛍光体を利用して、人体等の被写体の放射線
画像情報を一旦シート状の蓄積性蛍光体に記録し、この
蓄積性蛍光体シートをレーザ光等の励起光で走査して輝
尽発光光を生ぜしめ、得られた輝尽発光光を光電的に読
み取って画像信号を得、この画像信号に基づき被写体の
放射線画像を写真感光材料等の記録材料、CRT等に可視
像として出力させる放射線画像情報記録再生システムが
本出願人によりすでに提案されている。（特開昭55-124
29号，同56-11395号，同55-163472号，同56-104645号，
同55-116340号など。） 上記システムにおいて、蓄積性蛍光体シートは通常１枚
ずつカセッテに収納された状態で画像情報の記録（撮
影）が行なわれ、読取装置においてカセッテから取り出
されて画像情報が読取られるようになっている。上記カ
セッテは、カセッテ本体と該本体に対して開閉可能な蓋
部とからなっており、蓄積性蛍光体シートは蓄積性蛍光
体層が形成された表面をカセッテ本体の内壁面に対向さ
せてカセッテ内に収納される。撮影時には、上記カセッ
テはカセッテ本体側を放射線源に向けて配され、被写体
を透過した放射線は、カセッテ本体を透過して蓄積性蛍
光体シートに照射される。上記撮影が終了すると、カセ
ッテは放射線画像情報読取装置に装填され、装置内にお
いて蓋部が開かれ、カセッテ本体内に吸着盤等のシート
取出し手段が進入して、蓄積性蛍光体シートはその裏面
（蓄積性蛍光体層が形成されている面と反対側の面）を
吸着されてカセッテから取り出される。

ところで上記のように吸着盤等によりカセッテから蓄積
性蛍光体シートを取り出すと、この取り出し時に蓄積性
蛍光体シートの蓄積性蛍光体層側表面には、カセッテ本
体の内壁面と擦れ合うことにより細かい傷が生じ易い。
また蓄積性蛍光体層側表面の傷は、蓄積性蛍光体シート
をカセッテ内に搬入する際にも生じる場合がある。そこ
で、本出願人は、上記傷の発生を防止するために、カセ
ッテ本体の内壁面に発泡材を貼付した蓄積性蛍光体シー
ト用カセッテを既に提案した（特開昭59-83151号）。ま
た、蓄積性蛍光体シートは上述したようにカセッテ本体
内からシート取出し手段により吸引されて取り出される
ため、シートの蓄積性蛍光体層側表面とカセッテ本体内
壁面（発泡材）の間が略真空状態になると、蓄積性蛍光
体シートがカセットに密着して取出しのために大きな吸
引力が必要となったり、取出し不良が発生するといった
不都合が生じる。そこで、本出願人は上記発泡材の一部
を切欠いて、カセッテ本体の内壁面を露出させることに
より、蓄積性蛍光体シートとカセッテ本体の間に空気が
入り易くして蓄積性蛍光体シートの密着を防止するよう
にした蓄積性蛍光体シート用カセッテを既に提案した
（特開昭59-133500号）。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上述のように発泡材の一部に切欠きを設
けると、カセッテの発泡材と重なり合う部分と、発泡材
と重なり合わない部分（切欠きの部分）とは放射線透過
率が微妙に異なるため、マンモ撮影等、低エネルギー領
域の放射線による画像記録を行なう場合には、切欠きの
端縁が蓄積性蛍光体シートに視認可能に記録されてしま
うといった不都合が生じる。

本考案は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、上
述した発泡材を備えた蓄積性蛍光体シート用カセッテに
おいて、蓄積性蛍光体シートが発泡材に密着することが
ないとともに、低エネルギーの放射線により画像記録を
行なっても、不要な画像が蓄積性蛍光体シートに視認可
能に記録されることのない蓄積性蛍光体シート用カセッ
テを提供することを目的とするものである。

（課題を解決するための手段および作用） 本考案の第１の蓄積性蛍光体シート用カセッテは、上述
したカセッテ本体と蓋部とからなり、カセッテ本体の蓄
積性蛍光体シートと平行な内壁面に発泡材が貼着されて
いるとともに、該発泡材が圧縮により形成された凹部を
有していることを特徴とするものである。

上記圧縮とは、発泡材を除去することなく、見かけ上の
体積のみ減少させることを意味するものであり、具体的
には熱による圧縮、機械的に圧力を加えることによる圧
縮等がある。

発泡材が上記のような凹部を有していれば、これらの凹
部に空気が入り易くなるので、蓄積性蛍光体シートが取
出し時に発泡材に密着することが防止されるとともに、
この凹部は発泡材の他の部分と放射線透過率が略等しい
ので凹部が蓄積性蛍光体シートに画像として記録される
ことはない。

また、本考案の第２の蓄積性蛍光体シート用カセッテ
は、上述したカセッテ本体と蓋部とからなり、カセッテ
本体の蓄積性蛍光体シートと平行な内壁面に発泡材が貼
着されているとともに、該発泡材には１個または複数個
の凸部および／または１個または複数個の凹部が形成さ
れ、前記各凹部はそれぞれがその外周全体から中央部に
向かって徐々に高さが増加するものであり、前記各凹部
はそれぞれがその外周全体から中央部に向かって徐々に
深さが増加するものであることを特徴とするものであ
る。

上記のように発泡材が凹部および／または凸部を有して
いれば、凹部内および／または凸部の周囲に空気が入り
易くなるので、蓄積性蛍光体シートが取り出し時に発泡
材に密着することが防止される。また、凸部および凹部
は発泡材の他の部分と放射線透過率が若干異なるが、各
凸部の高さおよび各凹部の深さはそれぞれの凸部および
凹部の外周部から中央部に向けて徐々に増加するように
なっているので、各凸部および各凹部領域内の上記放射
線透過率は徐々に変化し、このような連続的な変化は画
像として記録された場合極めて視認されにくくなり、凸
部および凹部の輪郭部分等が再生された画像に視認可能
にあらわれることが防止される。なお、上記凸部の高さ
および凹部の深さが徐々に変化するとは、放射線の線質
等の条件に応じて、最終的に得られる再生画像に凸部お
よび凹部が視認可能にあらわれない程度に、高さおよび
深さが変化していくことを意味するものである。

（実施例） 以下、図面を参照して本考案の実施例について説明す
る。

第１図は本考案の一実施例による蓄積性蛍光体シート用
カセッテの斜視図である。

本実施例のカセッテ１は、蓄積性蛍光体シート６（第１
図には図示せず）を収納可能なカセッテ本体２と、カセ
ッテ本体に対して開閉可能に取り付けられた蓋部３とか
らなっている。蓄積性蛍光体シート６は、蓄積性蛍光体
層の形成された表面をカセッテ本体２の内壁面に対向さ
せて収納されるようになっており、カセッテ本体１の上
記内壁面上には、カセッテ本体１に対して蓄積性蛍光体
シート６が出し入れされる際に、シート表面が傷付くこ
とを防止するためのポリエチレン発泡シート等の発泡材
４が貼着されている。またこの発泡材４には熱または圧
力による圧縮により複数の凹部５が形成されている。

上記カセッテ１は遮光性を有するとともに、少なくとも
カセッテ本体２が放射線透過率を有するものとなってお
り、カセッテ１内の蓄積性蛍光体シート６は、第２図に
示すように蓋部３が閉じられている状態でカセッテ本体
側を放射線源に向け、被写体を介して放射線７の照射を
受ける。放射線７はカセッテ本体２を透過して蓄積性蛍
光体シート６を照射し、該放射線の担持する被写体の透
過放射線画像は蓄積性蛍光体シート６の蓄積性蛍光体層
に蓄積記録される。また放射線７は前記発泡材４を透過
し、発泡材４には前述のように凹部５が形成されている
が、この凹部５は発泡材４を圧縮させて形成されている
ので、発泡材の他の部分に比べて密度が高くなってお
り、凹部５の部分の放射線透過率は発泡材４の他の部分
と略等しいものである。従って例えばマンモ撮影を行な
う場合のように、低エネルギー領域の放射線を用いて撮
影を行なった場合にも、蓄積性蛍光体シートには凹部５
に対応する画像が記録されてしまうことはない。

撮影が終了すると、カセッテ１は蓄積性蛍光体シート６
に蓄積記録された画像情報を読取るために読取装置に装
填され、該装置内において第１図に示すように蓋部３が
開かれ、カセッテ内部の蓄積性蛍光体シート６の取出し
が行なわれる。蓄積性蛍光体シート６の取り出しは、カ
セッテ本体２内に吸着盤８が進入して蓄積性蛍光体シー
ト６の裏面を吸引することにより行なわれる。このため
蓄積性蛍光体シート６と上記発泡材４の間が略真空状態
になっていると、蓄積性蛍光体シートが発泡材に密着し
て、吸引に大きな力が必要となったり、取出し不良が発
生したりするが、本実施例のカセッテにおいては、前述
したように発泡材４に凹部５が形成されており、これら
の凹部５内に空気が入り易いため、蓄積性蛍光体シート
は発泡材４に密着することなく円滑に取り出されること
ができる。このように本実施例のカセッテによれば、撮
影時に蓄積性蛍光体シートに不要な画像を記録させるこ
となく蓄積性蛍光体シートの取り出しを容易かつ確実に
行なわせることができる。

次に第３図および第４図を参照して本考案の他の実施例
について説明する。なお、前述した実施例と同一部分に
は同一番号を付し、その説明は省略する。

第３図に示すカセッテ１′は、カセッテ本体２の蓄積性
蛍光体シート６と対向する内壁面に発泡材14が貼着され
ており、この発泡材14には外周全体から中央部に向かっ
て徐々に深さが増加する凹部15が形成されている。この
ような発泡材14は、凹部15の中央部が最も放射線透過率
が高くなり、凹部15の形成されていない部分の放射線透
過率が最も低くなるが、発泡材はもともと放射線透過率
の高いものであるとともに、上記発泡材の厚みの変化は
上記のようにゆるやかであり、かかる発泡材の放射線透
過率の変化は極めてゆるやかなものとなる。従って上記
発泡材の厚みの変化による画像状態の変化は視認するこ
とのできない程度のものとなり、本実施例のカセッテを
用いてマンモ撮影等を行なった場合にも、良好な再生画
像を得ることができる。またカセッテ内から蓄積性蛍光
体シート６を取り出す際には、上記凹部15内に空気が入
り込むので、蓄積性蛍光体シート６の密着を防いで蓄積
性蛍光体シートの取出しを良好に行なうことができる。

さらに第４図のカセッテ１″は、カセッテ本体２の内壁
面に貼着された発泡材24に、外周全体から中央部に向か
って徐々に高さが増加する凸部25が形成されたものであ
る。本実施例においても、発泡材24の厚みの変化による
放射線透過率の変化はゆるやかなものであるので、かか
る変化が最終的に得られる可視像に視認可能に表われる
ことはない。また上記凸部25は、蓋部３が閉じられた際
には押し縮められて平坦になっているが、図示のように
蓋部３が開放されると蓄積性蛍光体シート６側に突出す
る。従ってこれらの凸部25の周囲には空気が入り込み、
蓄積性蛍光体シートの取り出しは前述した他の実施例と
同様に良好に行なわれる。

なお、上述した凹部15および凸部25は同一の発泡材に共
に形成されてもよい。またいずれの実施例においても凹
部および凸部の大きさ、数、位置は任意に決めることが
できるが、吸着盤による吸着位置近傍にはできるだけ空
気を流入させることができるように形成されるのが望ま
しい。さらに発泡材の具体的な材質は、蓄積性蛍光体シ
ートの保護に適しており、上述した凹部および凸部を形
成することのできるものであれば任意に選択することが
できる。また、発泡材は、カセッテ本体の他の内壁面お
よび蓋部の内壁面にも貼着されてもよい。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案の蓄積性蛍光体シート用カ
セッテによれば、カセッテ本体内に貼着される発泡材
に、放射線透過率が他の部分と急激に異なることのない
ように凸部および／または凹部を形成するようにしたの
で、低エネルギー領域の放射線を用いた撮影により得ら
れる画像においても、上記凹部，凸部による影響を、少
なくとも視認不能な程度に低減することができる。従っ
て再生画像の画質を損うことなく、蓄積性蛍光体シート
の発泡材と密着を防止し、蓄積性蛍光体シートの良好な
取り出しを行なわせることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による蓄積性蛍光体シート用
カセッテの斜視図、 第２図は上記蓄積性蛍光体シート用カセッテの断面図、 第３図および第４図は本考案の他の実施例による蓄積性
蛍光体シート用カセッテの断面図である。 1,1′,1″……蓄積性蛍光体シート用カセッテ ２……カセッテ本体、３……蓋部 4,14,24……発泡材、5,15……凹部 ６……蓄積性蛍光体シート、25……凸部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】蓄積性蛍光体シートを収納可能なカセッテ
   本体、および該カセッテ本体に対して開閉可能な蓋部か
   らなる蓄積性蛍光体シート用カセッテにおいて、前記カ
   セッテ本体の前記蓄積性蛍光体シートと平行な内壁面に
   発泡材が貼着されており、該発泡材が圧縮により形成さ
   れた凹部を有していることを特徴とする蓄積性蛍光体シ
   ート用カセッテ。
2. 【請求項２】蓄積性蛍光体シートを収納可能なカセッテ
   本体、および該カセッテ本体に対して開閉可能な蓋部か
   らなる蓄積性蛍光体シート用カセッテにおいて、前記カ
   セッテ本体の前記蓄積性蛍光体シートと平行な内壁面に
   発泡材が貼着されており、該発泡材には１個または複数
   個の凸部および／または１個または複数個の凹部が形成
   され、前記各凹部はそれぞれがその外周全体から中央部
   に向かって徐々に高さが増加するものであり、前記各凹
   部はそれぞれがその外周全体から中央部に向かって徐々
   に深さが増加するものであることを特徴とする蓄積性蛍
   光体シート用カセッテ。